ところが、上記の従来のものにおいては、キャップ3の開栓時においては外気が上記通気孔101を通して上記乾燥剤4に接触し、この乾燥剤4が本来の目的である容器2内の雰囲気中の水分ではなくて外気に含まれる水分を吸湿してしまう結果、乾燥剤4の吸湿機能が早期に喪失してしまうことになるという不都合がある。
すなわち、キャップ3に保持された乾燥剤4は上記の通気孔101を通して中栓部材10の外部と常に連通した状態になっているため、キャップ3で容器2の口部21を閉栓した状態では上記通気孔101を通して容器2内の雰囲気中の水分を乾燥剤が吸湿するものの、上記キャップ3を開栓した状態においても上記通気孔101を通して外気中の水分を上記乾燥剤が吸湿し続けることになる。ここで、通気孔の開口面積を小さくしていくと、開栓時に外気からの吸湿量は低減するものの、閉栓時にも容器内雰囲気からの吸湿量も低減し、特に開栓状態にした後に閉栓した時に容器内の雰囲気を早期に所定の防湿状態に回復する機能が十分に果たし得なくなる。逆に、上記通気孔の開口面積を大きくしていくと、閉栓時に容器内の雰囲気からの吸湿性は増大するものの、開栓時には外気からより多くの水分を吸湿してしまうことになる。望ましくは、開栓したときには外気からの水分の吸湿を抑制しつつも、開栓状態から閉栓したときには容器内の水分を素早く吸湿して容器内の雰囲気を所定の防湿状態に保持し得るようにすることである。しかしながら、これは二律背反する要求であり、上記通気孔の開口面積の調整では実現し得ない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、閉栓時には乾燥剤の吸湿機能を発揮させて容器内の雰囲気の防湿を図りつつも、開栓時には乾燥剤を外気から遮断し得る防湿栓装置を提供することにある。併せて、このような乾燥剤の状態の変換を開閉栓操作に基づいて自動的に行い得るようにすることも目的とする。
上記目的を達成するために、本発明では、キャップを容器の口部に閉栓した閉栓状態では乾燥剤の収容空間と容器内の雰囲気とを連通させる一方、上記キャップを容器の口部から取り外した開栓状態では上記乾燥剤の収容空間と外部との連通を遮断してその収容空間を密封した状態に変換させ得るようにした。
具体的には、容器の口部を開閉可能に覆う蓋状のキャップの内側に対しそのキャップの閉栓状態で上記口部よりも径方向内方に位置付けられるように装着される防湿栓装置を対象として、以下の如き種々の特定事項を備える各発明を完成させた。
すなわち、基本的な考え方としては、上記キャップ内面に固定され内部に乾燥剤を収容するための収容空間及びこの収容空間を外部に連通させる通気孔を有する収容部材と、上記通気孔を開放した開放状態と閉止した閉止状態とに変換させる開閉変換手段とを備えることとする。そして、上記開閉変換手段として、上記通気孔を閉止する閉止部であって上記通気孔に対し上記開放状態及び閉止状態の間を位置変換し得るよう可動に配設される閉止部と、この閉止部を上記閉止状態に位置付けるよう付勢する付勢バネとを備えるものとし、上記閉止部を、上記キャップの上記口部に対する閉栓操作に基づき生じる上記口部の開口縁のキャップ内面に向けての押し込み力を受けて、上記閉止状態から上記開放状態に向けて上記付勢バネに抗して位置変換される構成とする。
このようにすれば、開栓状態、つまり上記口部の開口縁から押し込み力を受けていない状態では、上記付勢バネの付勢力を受けて開閉変換手段の閉止部は通気孔を閉止した閉止状態に位置付けられ、これにより、収容部材内の収容空間に収容された乾燥剤は外気との接触から遮断される。そして、開栓状態のキャップを口部にねじ込み等の操作により閉栓操作していくと、口部の開口縁がキャップ内面に向けて近接してきてその開口縁から押し込み力(押圧力)を受けることになり、この押し込み力を受けて上記閉止部が上記付勢バネの付勢力に抗して位置変換し通気孔が開放された開放状態に変換される。これにより、閉栓状態では容器内の雰囲気と乾燥剤とが開放状態の通気孔を通して接触し、乾燥剤の吸湿機能が発揮されることになる。この閉栓状態から開栓操作していくと、上記とは逆に付勢バネの付勢力が発揮されて上記閉止部は閉止状態に位置変換し、収容部材内の収容空間が密閉されて乾燥剤は外気との接触が遮断された状態になる。以上により、開栓状態における外気との遮断による乾燥剤の保護と、閉栓状態における乾燥剤の吸湿機能による容器内の雰囲気の調湿(乾燥状態の維持)とを両立させることが可能となり、乾燥剤による吸湿機能をより一層長期に亘り持続させ得ることになる。しかも、このような開放状態と閉止状態との変換をキャップの閉栓操作又は開栓操作に連動して自動的に行わせることが可能となり、従来の容器の開栓又は閉栓のための操作性を損なうこともない。
そこで、特許請求の範囲の各請求項に係る発明は、以上の基本的な考え方における特に開閉変換手段を、より具体的な特定事項により実現させるものである。
すなわち、請求項1に係る発明では、上記キャップ内面に固定され内部に乾燥剤を収容するための収容空間を有する有底筒状の内筒部材と、外周側に突出する突出縁を有し上記内筒部材に対しその筒軸方向に近接又は離反する側に相対移動可能に外嵌される外筒部材と、上記外筒部材を内筒部材から離反する側に付勢する付勢バネとを備えることとする。そして、上記外筒部材として、その突出縁に対し上記キャップの閉栓操作に伴い上記口部の開口縁が当接しその開口縁から押圧力を受けることにより上記付勢バネに抗して上記内筒部材に近接する側に相対移動する一方、上記キャップの開栓操作に伴い上記押圧力が解消されることにより上記付勢バネの圧縮復元力に基づいて上記内筒部材から離反する側に相対移動する構成とする。加えて、上記内筒部材及び外筒部材のいずれか一方に通気孔を貫通形成し、他方にこの通気孔を開閉可能に閉止する閉止部を形成し、この閉止部を、上記内筒部材に近接する側への上記外筒部材の相対移動により上記通気孔を開放する開放状態と、上記内筒部材から離反する側への上記外筒部材の相対移動により上記通気孔を閉止する閉止状態とに相互に状態変換可能に配設した。
上記の請求項1に係る発明の場合、容器の口部にキャップを例えばねじ込んで閉栓していくと、上記口部の開口縁が外筒部材の突出縁に当接し次いでその突出縁を押圧していくことになる。そうすると、その押圧力を受けて外筒部材が付勢バネに抗して内筒部材に近接する側に相対移動し、この相対移動に伴い閉止部が開放状態まで状態変換して通気孔を開放することになる。このため、キャップを閉栓した状態では、乾燥剤の収容空間と、容器内とが通気孔を通して連通し、容器内の雰囲気中の水分を乾燥剤が吸湿して容器内の雰囲気が所定状態に調湿されることになる。一方、この閉栓状態から上記キャップを閉栓操作とは逆回りに回して口部から外していくと、それにつれて上記の押圧力が開放され、この押圧力の開放に従い付勢バネの圧縮復元力が作用して外筒部材が内筒部材から離反する側に相対移動することになる。この相対移動により閉止部が閉止状態まで状態変換して通気孔を閉止することになる。そして、開栓状態では通気孔が閉止部により閉止されて内筒部材内の収容空間が密閉され、その収容空間内の乾燥剤と外気との接触が遮断されることになる。これにより、開栓状態においては乾燥剤が外気と遮断されて保護され、乾燥剤の吸湿機能を容器内の雰囲気からの吸湿のみに発揮させることが可能となって、乾燥剤による吸湿機能をより一層長期に亘り持続させ得ることになる。
請求項2に係る発明は、上記の請求項1に係る発明を基本としつつ、請求項1の「閉止部」及び「通気孔」を内筒部材及び外筒部材の両底壁に配設したものについて具体化したものである。すなわち、請求項2に係る発明では、キャップ内面に固定され内部に乾燥剤を収容するための収容空間を有する有底筒状の内筒部材と、外周側に突出する突出縁を有し上記内筒部材に対しその筒軸方向に近接又は離反する側に相対移動可能に外嵌される有底筒状の外筒部材と、上記外筒部材を内筒部材から離反する側に付勢する付勢バネとを備えることとする。そして、上記外筒部材を、その突出縁に対し上記キャップの閉栓操作に伴い上記口部の開口縁が当接しその開口縁から押圧力を受けることにより上記付勢バネに抗して上記内筒部材に近接する側に相対移動する一方、上記キャップの開栓操作に伴い上記押圧力が解消されることにより上記付勢バネの圧縮復元力に基づいて上記内筒部材から離反する側に相対移動する構成とする。又、上記内筒部材及び外筒部材の両底壁を上記筒軸方向に相対面するように配置し、上記内筒部材及び外筒部材の両底壁のいずれか一方に挿入開口を貫通形成し、他方には上記挿入開口に対し上記筒軸方向に相対移動可能に内嵌されるよう突出しかつ筒軸方向一側部位に透孔を有する小径筒部を形成する。そして、上記挿入開口と小径筒部とを、上記内筒部材に近接する側への上記外筒部材の相対移動により上記小径筒部の透孔と挿入開口とが互いに連通した開放状態と、上記内筒部材から離反する側への上記外筒部材の相対移動により上記挿入開口の開口縁と小径筒部の筒軸方向他側部位とが密接して上記連通を遮断した閉止状態とに、相互に状態変換するよう配設した。
この請求項2に係る発明の場合においても、上記の基本的な考え方又は請求項1の場合と同様に閉栓状態においてのみ乾燥剤を容器内の雰囲気と接触させ得る一方、閉栓状態においてはその乾燥剤と外気との接触を遮断し得るようになる。すなわち、容器の口部にキャップを例えばねじ込んで閉栓していくと、上記の請求項1の場合と同様に上記口部の開口縁が外筒部材の突出縁に当接し次いでその突出縁を押圧していくことになる。そうすると、その押圧力を受けて外筒部材が付勢バネに抗して内筒部材に近接する側に相対移動し、この相対移動に伴い小径筒部が挿入開口により押し込まれて開放状態まで状態変換することになる。このため、キャップを閉栓した状態では、乾燥剤の収容空間と容器内とが透孔及び挿入開口を通して連通し、容器内の雰囲気中の水分を乾燥剤が吸湿して容器内の雰囲気が所定状態に調湿されることになる。一方、この閉栓状態から上記キャップを閉栓操作とは逆回りに回して口部から外していくと、それにつれて上記の押圧力が開放され、この押圧力の開放に従い付勢バネの圧縮復元力が作用して外筒部材が内筒部材から離反する側に相対移動することになる。この相対移動により上記小径筒部が挿入開口に対し上記とは逆向きに移動して閉止状態まで状態変換することになる。このため、開栓状態では透孔のない部分の小径筒部が挿入開口の開口縁に密接して内筒部材内の収容空間が密閉され、この収容空間内の乾燥剤と外気との接触が遮断されることになる。これにより、上記基本的な考え方又は請求項1の場合と同様に、開栓状態においては乾燥剤が外気と遮断されて保護され、乾燥剤の吸湿機能を容器内の雰囲気からの吸湿のみに発揮させることが可能となって、乾燥剤による吸湿機能をより一層長期に亘り持続させ得ることになる。つまり、この請求項2の場合では、互いに密接した状態の上記挿入開口の開口縁及び小径筒部の上記筒軸方向他側部位により「閉止部」が構成され、上記挿入開口及び透孔とが互いに連通した状態で「通気孔」が構成されることになる。
請求項3に係る発明は、上記の請求項1に係る発明を基本としつつ、請求項1の「閉止部」及び「通気孔」を内筒部材及び外筒部材の両周壁に配設したものについて具体化したものである。すなわち、請求項3に係る発明では、キャップ内面に固定され内部に乾燥剤を収容するための収容空間を有する有底筒状の内筒部材と、外周側に突出する突出縁を有し上記内筒部材に対しその筒軸方向に近接又は離反する側に相対移動可能に外嵌される外筒部材と、上記外筒部材を内筒部材から離反する側に付勢する付勢バネとを備えることとする。又、上記外筒部材を、その突出縁に対し上記キャップの閉栓操作に伴い上記口部の開口縁が当接しその開口縁から押圧力を受けることにより上記付勢バネに抗して上記内筒部材に近接する側に相対移動する一方、上記キャップの開栓操作に伴い上記押圧力が解消されることにより上記付勢バネの圧縮復元力に基づいて上記内筒部材から離反する側に相対移動する構成とする。そして、上記内筒部材の周壁に通気孔を貫通形成し、上記外筒部材の周壁に径方向内方に斜めに突出して上記通気孔を開閉可能に閉止する閉止片部をなし、この閉止片部を、上記内筒部材に近接する側への上記外筒部材の相対移動により上記通気孔を閉止した閉止状態と、上記内筒部材から離反する側への上記外筒部材の相対移動により上記通気孔を開放した開放状態とに、相互に状態変換するよう配設することとした。
この請求項3に係る発明の場合においても、上記の基本的な考え方又は請求項1の場合と同様に閉栓状態においてのみ乾燥剤を容器内の雰囲気と接触させ得る一方、閉栓状態においてはその乾燥剤と外気との接触を遮断し得るようになる。すなわち、容器の口部にキャップを例えばねじ込んで閉栓していくと、請求項1の場合と同様に上記口部の開口縁が外筒部材の突出縁に当接し次いでその突出縁を押圧していくことになる。そうすると、その押圧力を受けて外筒部材が付勢バネに抗して内筒部材に近接する側に相対移動し、この相対移動に伴い閉止片部が開放状態まで状態変換して通気孔を開放することになる。このため、キャップを閉栓した状態では、乾燥剤の収容空間と、容器内とが通気孔を通して連通し、容器内の雰囲気中の水分を乾燥剤が吸湿して容器内の雰囲気が所定状態に調湿されることになる。一方、この閉栓状態から上記キャップを閉栓操作とは逆回りに回して口部から外していくと、それにつれて上記の押圧力が開放され、この押圧力の開放に従い付勢バネの圧縮復元力が作用して外筒部材が内筒部材から離反する側に相対移動することになる。この相対移動により閉止片部が閉止状態まで状態変換して通気孔を閉止することになる。そして、開栓状態では通気孔が閉止片部により閉止されて内筒部材内の収容空間が密閉され、その収容空間内の乾燥剤と外気との接触が遮断されることになる。これにより、上記基本的な考え方又は請求項1の場合と同様に、開栓状態においては乾燥剤が外気と遮断されて保護され、乾燥剤の吸湿機能を容器内の雰囲気からの吸湿のみに発揮させることが可能となって、乾燥剤による吸湿機能をより一層長期に亘り持続させ得ることになる。
以上の請求項1〜請求項3のいずれかの防湿栓装置においては次のような種々の特定事項を選択的にもしくは組み合わせて追加することができ、これにより、さらなる作用を得ることができる。
第1としては、上記内筒部材及び外筒部材を共に合成樹脂成形により円筒形状に形成し、かつ、それら内筒部材及び外筒部材の両筒軸が上記口部の中心軸と互いに同軸になるように配置する。そして、上記外筒部材の外径を上記容器の口部の内径よりも小径に設定し、上記外筒部材の突出縁の外径を上記キャップの内径よりも小さくかつ上記口部の開口縁の開口径と同等以上に大きく設定する(請求項4)。このようにすることにより、防湿栓装置を容易かつ具体的に製造し得て、しかも、キャップの閉栓操作又は開栓操作に伴い外筒部材の相対移動をよりスムースに引き起こさせて開放状態と閉止状態との状態変換をより確実に実現させ得ることになる。
第2としては、上記付勢バネを、単独部品として構成したり、あるいは、付勢バネを外筒部材とキャップとの間に配設したりしてもよいが、次のように内筒部材及び外筒部材のいずれか一方と一体に形成し、その付勢力を内筒部材と外筒部材との間で発揮させるようにすることもできる。すなわち、上記付勢バネを、内筒部材及び外筒部材のいずれか一方と一体に合成樹脂成形により形成し、かつ、上記一方から他方に向けて斜めに延びて素材の弾性に基づき可撓性が付与された自由端をなすように形成する(請求項5)。このようにすることにより、部品点数の増加を招かず、しかも、付勢バネ単独での組み付け作業も不要となって防湿栓装置のキャップへの組み付けも容易となる。さらに、付勢バネを単独部品で構成する場合の位置ずれ等のおそれもなく、付勢バネによる付勢力を確実に作用させて閉栓時の連通(開放状態)と、開栓時の遮断(閉止状態)との状態変換をより確実に行い得ることになる。この場合、上記付勢バネを、螺旋状又はたこ足状に配置された少なくとも2本以上の棒状、杆状又は帯板状の延設片により構成するようにしてもよい(請求項6)。このようにすることにより、合成樹脂一体形成による付勢バネの形成を具体的かつ確実に行い得ることになる。しかも、付勢バネとしての付勢力を確実に発揮させ得ることにもなる。
第3としては、上記の閉止状態に変換されたときにその閉止状態の維持を、例えば付勢バネのバネ開放設定や、かかるバネ開放状態の付勢バネによる内筒部材及び外筒部材の相互連結等により実現させるようにしてもよいが、次のようなストッパ部を追加することでより確実に実現させ得る。すなわち、上記内筒部材の外周面及び外筒部材の内周面に、上記外筒部材の離反する側の相対移動により互いに凹凸係合し上記外筒部材のそれ以上の相対移動を阻止して閉止状態に保持するストッパ部を形成する(請求項7)。このようにすることにより、特に開栓操作により外筒部材が付勢バネの圧縮復元力を受けて内筒部材から離反する側に相対移動する場合に、上記ストッパ部の凹凸係合によって外筒部材と内筒部材との位置関係を閉止状態に確実に保持し得ることになる。これにより、開栓状態での乾燥剤と外気との遮断をより一層確実に保持し得ることになる。ここで、上記ストッパ部を、径方向に突出するよう形成された係合凸部と、この段部に当止して移動規制するする径方向に突出する係合凸部との組み合わせにより構成することにより(請求項8)、上記のストッパ部による閉止状態の保持をより一層確実に行い得ることになる。
以上、説明したように、請求項1〜請求項8のいずれかの防湿栓装置によれば、キャップを容器の口部に閉栓した閉栓状態では乾燥剤の収容空間と容器内の雰囲気とを連通させた開放状態に変換して上記乾燥剤による吸湿機能を発揮させることができる一方、上記キャップを容器の口部から取り外した開栓状態では上記乾燥剤の収容空間を閉止した閉止状態に変換させて乾燥剤と外気との接触を遮断させることができる。しかも、このような開放状態と閉止状態との状態変換をキャップの閉栓操作又は開栓操作に連動して自動的に行わせることができる。これにより、開栓状態における外気との遮断による乾燥剤の保護と、閉栓状態における乾燥剤の吸湿機能による容器内の雰囲気の所定状態への維持とを両立させることができ、つまり、乾燥剤の吸湿機能を容器内雰囲気に対してのみ発揮させることができ、乾燥剤による吸湿機能をより一層長期に亘り持続させることができるようになる。
特に、請求項1の防湿栓装置によれば、開閉変換手段を備えることとする基本的な考え方の防湿栓装置をより具体化させてその基本的考え方による上記効果を具体的に得ることができる。そして、請求項2の防湿栓装置によれば、上記の開放状態と閉止状態との状態変換を内筒部材及び外筒部材の底壁側部位、つまり容器の口部内の奥方に臨む部位で実現させることができ、又、請求項3の防湿栓装置によれば、上記の開放状態と閉止状態との状態変換を内筒部材及び外筒部材の周壁側部位、つまり容器の口部内の内周面に臨む部位で実現させることができ、容器やその容器の口部等のサイズもしくは形状等の違いによっても上記の効果を実現させることができる。
また、請求項4によれば、請求項1〜請求項3のいずれかの防湿栓装置を容易かつ具体的に製造することができる上に、キャップの閉栓操作又は開栓操作に伴い外筒部材の相対移動をよりスムースに引き起こさせて開放状態と閉止状態との状態変換をより確実に実現させることができる。
請求項5によれば、請求項1〜請求項3のいずれかの防湿栓装置を構成する上で部品点数の増加を招かず、しかも、付勢バネ単独での組み付け作業も不要となって防湿栓装置のキャップへの組み付けの容易化を図ることができる。加えて、付勢バネを単独部品で構成する場合の位置ずれ等のおそれも回避して、付勢バネによる付勢力の確実なる作用によって閉栓時の連通と、開栓時の遮断との状態変換をより確実に行うことができる。この場合において、請求項6によれば、合成樹脂一体形成による付勢バネの形成を具体的かつ確実に行うことができ、付勢バネとしての付勢力をより確実に発揮させることができるようになる。
請求項7又は請求項8によれば、特に開栓操作により外筒部材が付勢バネの圧縮復元力を受けて内筒部材から離反する側に相対移動する場合に、上記ストッパ部の凹凸係合によって外筒部材と内筒部材との位置関係を確実に閉止状態に保持させることができ、開栓状態での乾燥剤と外気との遮断をより一層確実に保持することができるようになる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
<第1実施形態>
図1及び図2は本発明の第1実施形態に係る防湿栓装置を示し、符号2は容器、3はこの容器2の口部21を開栓又は閉栓するための蓋状のキャップ、4は乾燥剤(例えばシリカゲル)、5はこの乾燥剤4を内部に収容する収容部材としての内筒部材、6は開閉変換手段の一部を構成する外筒部材である。図1はキャップ3が容器2から外されて開栓状態にされるに伴い上記乾燥剤4が外気と自動遮断された閉止状態に変換された状態を示し、図2は上記キャップ3が容器2の口部21にねじ込まれて閉栓状態にされるに伴い上記乾燥剤4が容器2内の雰囲気と接触する開放状態に変換された状態を示す。又、図3には上記の防湿栓装置が内側に装着されたキャップ3の斜視図を示している。
上記容器2は、合成樹脂製ボトル又はガラス瓶等により口部21の中心軸Xを筒軸とする有底の円筒状容器として構成されたものであり、例えばカプセル,錠剤等の経口薬剤、又は粉状,粒状の栄養補助食品等の湿気を嫌うものを収容するために用いられるものである。そして、上記口部21の外周面にはキャップ3を閉栓させるためのネジ部211が形成されている。なお、本発明が適用される容器としては、特にその形状が限定されるものではなく、キャップ3により閉栓される口部21を有するものであればよい。以下の説明では上記中心軸X及び後述の筒軸Yが延びる方向を上下方向とし、図1及び図2の上を「上」、下を「下」として説明する。
上記キャップ3は、下方に開放された周壁31と、この周壁31の上端側を覆う頂壁32とが合成樹脂成形により一体に形成されたものであり、周壁31の内周面には上記口部21のネジ部に嵌合するネジ部311が一体に形成されている。また、上記キャップ3の頂壁32下面、つまりキャップ3の内面には上記内筒部材5を固定するために環状の取付部33が下向きに突出するように一体に形成されている。なお、かかるキャップ3と口部21との閉栓のための手段は、上記のネジ部による締結手段の他に、例えばキャップを口部に被せて押し込むことにより凹凸係合する係合手段等の、閉栓操作によりキャップ3が口部21に対し容器2の奥方(図1及び図2の下方)に相対移動することになるものであれば、本発明を適用することができる(他の実施形態において同じ)。
上記内筒部材5は図4にも示すように上側が開放され下側に有底とされた有底円筒状とされ、上側に大径部51、下側に小径部52が筒軸Yに沿って同軸上に2段配置となるように合成樹脂成形により形成されたものである。上記大径部51は内部に乾燥剤4の収容空間50を画成し得るサイズに形成され、上記小径部52は乾燥剤4よりも小さくかつ後述の小径筒部66よりも大きいサイズに形成されている。又、上記大径部51と小径部52とを連結するドーナッツ板状の底壁53上に乾燥剤4が載置されるようになっており、この底壁53にはその下面から斜め下方に螺旋状に延びる複数本の付勢バネ54,54,…が一体に形成されている。
上記大径部51は、その上端(先端)開口側の内周面から所定間隔毎に径方向内方に突出する係合凸部511と、下端側所定位置の外周面から径方向外方に全周にわたり突出する係合凸部512とを一体に有している。上記係合凸部511が上記環状取付部33の外周面に形成された係合凸部331を下から上に乗り越えた状態で両係合凸部511,331が互いに係止し、これにより、内筒部材5がキャップ3の内面に固定されるようになっている。この係止された状態では、上記大径部51の先端開口縁がキャップ3の頂壁32下面に突き当たることにより、内筒部材5がキャップ3に対し位置ずれすることなく強固に固定されることになる。また、上記係合凸部512は外筒部材6の後述の係合凸部611と共にストッパ部を構成するものであり、開栓時に外筒部材6を閉止状態に保持する役割を果たすものである。
上記小径部52の底壁55には後述の小径筒部66が挿入される挿入開口56が筒軸Yを中心にして貫通形成され、その開口縁561が上向きに筒状をなして突設されている。そして、この開口縁561の内周面には径方向内方に僅かに突出して後述の小径筒部66の外周面に密接するシール部562が一体に形成されている。
上記各付勢バネ54は、図5にも示すように底壁53の下面位置であって周方向に等間隔位置から斜め下方にかつ円弧状に延ばされ、先端が自由端541とされている。この各付勢バネ54は、その形成素材である合成樹脂が有する可撓性に基づいて外筒部材6に対し内筒部材5から下側(離反する側)に相対移動させ得る弾性付勢力を付与するように、その断面積や長さが定められている。そして、上記各付勢バネ54は、その自由端541が外筒部材6の後述の底壁63の上面に当接し、外筒部材6に対し内筒部材5から離反する側(下側)に付勢力を付与するようになっている。
また、上記外筒部材6も、上側が開放され下側が有底とされた有底円筒状に構成され、内筒部材5と同様に、筒軸Yに沿って同軸上に2段配置となる大径部61及び小径部62と、この大径部61と小径部62とを連続させるドーナッツ板状の底壁63と、小径部62の底壁64と、大径部61の上端縁から外周側(径方向外方側)に突出する突出縁65とが合成樹脂成形により一体に形成されたものである。そして、この外筒部材6は上記内筒部材5に対し下から上に筒軸Yと同軸に外嵌させ得るように内筒部材5よりも一回り大きいサイズに設定されている。加えて、上記大径部61の外径が容器2の口部21の内径よりも小さく設定され、上記突出縁65の外径が上記口部21の開口縁212の直径と同等以上で、かつ、キャップ3の周壁31の最小内径よりも小さくなるように設定されている。
上記大径部61の内周面にはその上下方向所定位置から径方向内方側に突出する係合凸部611が全周にわたり形成されている。この係合凸部611は、開栓状態(図1参照)において内筒部材5の係合凸部512と係合することにより、外筒部材6を上記付勢バネ54の付勢力に抗して収容空間50が閉止状態になるように位置付け、内筒部材5からそれ以上に離反する側(下側)に相対移動することを阻止するようになっている。
上記底壁64には内筒部材5の挿入開口56に挿入し得る外径の小径筒部66が上側に突出形成されている。この小径筒部66の上側部位の周面及び先端は共に閉塞される一方、下側部位には上下方向に長いスリット状の透孔(図例では周方向に4つ)661,661,…が貫通形成されている。
上記突出縁65の最外周位置には先細断面のベロ部651が上向きに突出して形成されている。このベロ部651は、閉栓状態(図2参照)で突出縁65が口部21の開口縁212により押圧されることによりキャップ3の頂壁32の下面に密接され、これにより、ネジ部211,311によるシールに加えてさらなるシール性を発揮すると共に、閉栓操作の最終段階でのクッション性を付与するようにしている。
以上の第1実施形態においては、「通気孔」が挿入開口56により、あるいは、挿入開口56及び各透孔661により構成され、「開閉変換手段」が小径筒部66や突出縁65を備えた外筒部材6と、各付勢バネ54とによって構成されることになる。また、「閉止部」が上記小径筒部66の上側部位により構成されることになる。
この第1実施形態の防湿栓装置を組み付けるには、まず、内筒部材5の収容空間50に例えばシリカゲルにより構成された乾燥剤4を入れ、その大径部51の開口部側からキャップ3の環状取付部33に押し込む。この押し込みにより、係合凸部511が上記環状取付部33の係合凸部331を下から上に乗り越えて両係合凸部511,331が互いに密着状態で係止され、内筒部材5が内部に乾燥剤4を収容した状態でキャップ3に固定される。
次に、外筒部材6を突出縁65が形成された開口部側から上記内筒部材6に対し下から上に填め込む。このはめ込みにより、小径筒部66が挿入開口56に挿入されると共に、内筒部材5の各付勢バネ54の自由端541が底壁63の上面に接触し、この付勢バネ54に抗してなおも上方に填め込んでいくと係合凸部611が内筒部材5の係合凸部512を乗り越えることになる。この乗り越えた段階で係合凸部611が係合凸部512に係合して外筒部材6が内筒部材5に保持され、以上で組み付けが完了して図1の開栓状態と同じ状態になる。
なお、上記の係合凸部331に対する係合凸部511の乗り越えによる係合や、係合凸部512に対する係合凸部611の乗り越えによる係合は、共に素材の有する柔軟性もしくは可撓性に基づいて圧入気味の押し込み操作により行う。
この図1の開栓状態では、外筒部材6は各付勢バネ54から若干の付勢力を受けつつ、上記係合凸部611と係合凸部512との係合により、内筒部材5から下側に所定量離反した状態に保持される。そして、小径筒部66の上側部位の外周面と挿入開口56の開口縁とがシール部562により密接した状態となって、これにより、挿入開口56が閉止されて収容空間50内が密閉される。つまり、乾燥剤4と外気との接触が遮断された閉止状態となる。
この開栓状態のキャップ3を容器2の口部21に対し上側から被せて閉栓操作を行うと、キャップ3側の筒軸Yと、容器2側の中心軸Xとは同軸上に配置されることになり、外筒部材6の大径部61が口部21内に入り込み、口部21の開口縁212が外筒部材6の突出縁65の下面に当接することになる。そして、キャップ3をねじ込んでいくと、そのねじ込みに伴い上記開口縁212が突出縁65を押圧し、外筒部材6は内筒部材5に近接する側に各付勢バネ54の付勢力に抗して押し込まれていくことになる。この押し込みに伴い外筒部材6の小径筒部66も挿入開口56から内筒部材5の小径部52内に前進する。最終的にキャップ3を口部21にねじ込み終えると(図2参照)、挿入開口56の上下が小径筒部66の透孔661により連通し、内筒部材5の収容空間50が容器2内と連通した開放状態に変換されることになる。これにより、容器2内の雰囲気に対し乾燥剤4の吸湿機能が発揮され、容器2内の雰囲気が防湿された状態に維持される。
この図2の閉栓状態から開栓操作すると、つまり、キャップ3を上記の閉栓操作とは逆回りに回転させて口部21から外していくと、それに伴い口部21の開口縁212が離れる側に相対移動するため外筒部材6は各付勢バネ54の復元力により内筒部材5から下に離反する側に相対移動する。この外筒部材6の下側への相対移動によりその小径筒部66も挿入開口56を下側に相対移動し、口部21から完全に離された開栓状態に至れば、挿入開口56は上述の図1に示す閉止状態に変換される。これにより、収容空間50は密閉されて乾燥剤4は外気から遮断されることになる。
以上のように、閉栓状態では乾燥剤4の吸湿機能を発揮させることができる一方、開栓状態ではその乾燥剤4と外気との接触を遮断して乾燥剤4を保護することができる。しかも、そのような開放状態と閉止状態との状態変換を、キャップ3の閉栓操作又は開栓操作に連動させて自動的行うことができる。
<第2実施形態>
図6及び図7は本発明の第2実施形態に係る防湿栓装置を示す。両図において、符号7は乾燥剤4を内部に収容する収容部材としての内筒部材、8は開閉変換手段の一部を構成する外筒部材である。図6はキャップ3が容器2から外されて開栓状態にされるに伴い上記乾燥剤4が外気と自動遮断された閉止状態に変換された状態を示し、図8は上記キャップ3が容器2の口部21にねじ込まれて閉栓状態にされるに伴い上記乾燥剤4が容器2内の雰囲気と接触する開放状態に変換された状態を示す。又、図8には上記の防湿栓装置が内側に装着されたキャップ3の斜視図を示している。なお、以下の説明では、第1実施形態と同様に容器2の中心軸X及び筒軸Yが延びる方向を上下方向とし、図6及び図7の上ほ「上」、下を「下」として説明する。また、第1実施形態と同じ構成要素については第1実施形態と同じ符号を付してその詳細な説明を省略している。
上記内筒部材7は、図9にも示すようにYを筒軸とする周壁71と底壁72とから上側が開放され下側に有底とされて内部に乾燥剤4の収容空間70を画成し得るサイズの有底円筒状に合成樹脂成形により形成されたものである。上記周壁71の開口側である上側部位は下側部位よりも僅かに大径になるように形成され、この上側部位には、その内周面において所定間隔毎に径方向内方に突出する係合凸部711と、外周面において径方向外方に突出する係合凸部712とが形成されている。上記内周側の各係合凸部711はキャップ3の環状取付部33の係合凸部331と互いに係止することにより、内筒部材7をキャップ3の内面に固定するようになっている。この際、第1実施形態と同様に内筒部材7の先端開口縁がキャップ3の頂壁32下面に突き当たることにより、内筒部材7がキャップ3に対し位置ずれすることなく強固に固定されることになる。又、上記外周側の係合凸部712は、後述の係合凸部811と共に、開栓時において外筒部材8を内筒部材7に対し閉止状態に位置付けかつそれ以上の下方への相対移動を阻止するストッパ部を構成するものである。
上記周壁71の下側部位には、径方向に貫通する少なくとも1つ(図10にも示すように図例では4つ)の通気孔713,713,…が形成され、加えて、上記下側部位の外周面には、上下方向に延びて径方向外方に突出するガイド用の凸条714(図9及び図10参照)が少なくとも1本(図例では周方向に等間隔に4本)形成されている。各凸条714は外筒部材8の後述のガイド溝813に内挿されることにより、外筒部材8が周方向に位置ずれすることなく内筒部材7に対し上下方向に相対移動するようにガイドするようになっている。
上記底壁72の下面には複数本(図例では周方向に等間隔に4本)の付勢バネ73が一体に形成されている。この各付勢バネ73は、図9にも示すように上記底壁72の下面中央寄り位置から放射状配置で斜め下方に向けてたこ足状に延び、先端(下端)が自由端731とされている。この各付勢バネ73も、第1実施形態と同様に、その形成素材である合成樹脂が有する可撓性に基づいて上記各自由端731から外筒部材8に対し内筒部材7から下側(離反する側)に相対移動させ得る弾性付勢力を付与するように、その断面積や長さが定められている。
上記外筒部材8は、内筒部材7と同じ筒軸Yを中心とする周壁81と、底壁82と、周壁81の開口側から径方向外方に突出する突出縁83とから上側が開放され下側が有底とされた有底円筒状に構成され、これらが合成樹脂成形により一体に形成されたものである。そして、この外筒部材8は上記内筒部材7に対し下から上に筒軸Yと同軸に外嵌させ得るように上記周壁81の内径が内筒部材7の周壁71の上側部位の外径に対応するサイズに設定されている。加えて、上記大径部61の外径が容器2の口部21の内径よりも小さく設定され、上記突出縁83の外径が上記口部21の開口縁212の直径と同等以上で、かつ、キャップ3の周壁31の最小内径よりも小さくなるように設定されている。
上記周壁81には、開口側である上側部位の内周面から径方向内方側に突出する係合凸部811(図9参照)と、その下側部位の内周面から径方向内方側に突出し上下方向に互いに平行に延びて対をなす凸条812,812(図9及び図10参照)と、この両凸条812,812間のガイド溝813と、スリット状の切欠部814内に配設された閉止片部815とが形成されている。上記係合凸部811は、開栓状態(図1参照)において内筒部材7の係合凸部712と係合することにより、外筒部材8を上記付勢バネ73の付勢力に抗して収容空間70が閉止状態になるように位置付け、内筒部材5からそれ以上に離反する側(下側)に相対移動することを阻止するようになっている。上記凸条812,812は、内筒部材7の凸条714と同じ数(図例では周方向に等間隔に4対)で同じ配置に形成され、かつ、各対の凸条812,812間のガイド溝813の幅が上記凸条714よりも僅かに大きくなるように設定されている。
また、上記閉止片部815は内筒部材7の通気孔713,713,…と同数でかつ各通気孔713の位置に対応する周方向各位置に形成されている。各閉止片部815は、各切欠部814の上縁位置から径方向内方に斜めに張り出すように形成され、その素材である合成樹脂の有する弾性又は可撓性により内筒部材7の周壁71の下側部位に対し押圧力を作用させつつ密接されるようにされている。そして、内筒部材7の凸条714が外筒部材8のガイド溝813内に填め込まれて外筒部材8と内筒部材7との周方向の相対移動が規制された状態で外筒部材8が上下方向に相対移動することにより、各閉止片部815が通気孔713,713,…を閉止状態と開放状態とに変換させるようになっている。すなわち、外筒部材8の係合凸部811が内筒部材7の係合凸部712に係合した図6の開栓状態では閉止片部815が通気孔713を密封して閉止し、上記外筒部材8が各付勢バネ73に抗して内筒に近接する側に相対移動した図7の閉栓状態では上記閉止片部815が通気孔713の上側に相対移動して通気孔713を開放させることになる。
なお、上記突出縁83は第1実施形態における突出縁65と同様構成とされ、その最外周位置には先細断面のベロ部831が上向きに突出して形成されている。
以上の第2実施形態においては、「閉止部」が上記各閉止片部815により構成され、「開閉変換手段」が上記閉止片部815を備えた外筒部材8と、各付勢バネ73とによって構成されることになる。
この第2実施形態の防湿栓装置を組み付けるには、まず、内筒部材7の収容空間70に例えばシリカゲルにより構成された乾燥剤4を入れ、その内筒部材7を開口部側からキャップ3の環状取付部33に押し込む。この押し込みにより、係合凸部711が上記環状取付部33の係合凸部331を下から上に乗り越えて両係合凸部711,331が互いに密着状態で係止され、内筒部材7が内部に乾燥剤4を収容した状態でキャップ3に固定される。
次に、外筒部材8を突出縁83が形成された開口部側から上記内筒部材7に対し下から上に填め込む。この際、内筒部材7の各凸条714が外筒部材8の各ガイド溝813内に入り込むように周方向位置を合わせて填め込む。この填め込みにより、内筒部材7の各付勢バネ73の自由端731が外筒部材8の底壁82の上面に接触し、この付勢バネ73に抗してなおも上方に押し込んでいくと係合凸部811が内筒部材7の係合凸部712を乗り越えることになる。この乗り越えた段階で係合凸部811が係合凸部712に係合して外筒部材8が各付勢バネ73に抗して内筒部材7に保持される一方、外筒部材8の各閉止部815が内筒部材7の各通気孔713を覆って収容空間70を密封した状態になる。以上で組み付けが完了して図6の開栓状態と同じ状態になる。この状態では、外筒部材8は各付勢バネ73から若干の付勢力を受けつつ、上記係合凸部811と係合凸部712との係合により、内筒部材7から下側に所定量離反した状態に保持され、乾燥剤4と外気との接触が遮断された閉止状態となる。
この開栓状態のキャップ3を容器2の口部21に対し上側から被せて閉栓操作を行うと、キャップ3側の筒軸Yと、容器2側の中心軸Xとは同軸上に配置されることになり、外筒部材8が口部21内に入り込み、口部21の開口縁212が外筒部材8の突出縁83の下面に当接することになる。そして、キャップ3をねじ込んでいくと、そのねじ込みに伴い上記開口縁212が突出縁83を押圧し、外筒部材8は内筒部材7に近接する側に各付勢バネ73の付勢力に抗して押し込まれていくことになる。この際、キャップ3のねじ込み操作により外筒部材8は開口縁212からねじり力を受けることになるが、凸条714とガイド溝813との組み合わせによる周方向位置規制によって外筒部材8は筒軸Y回りに回転することなく、各閉止片部815は確実に所定の周方向位置で上下方向に移動するように維持される。上記の押し込みによる外筒部材8の相対移動に伴い各閉止片部815は各通気孔713から上側に相対移動し、最終的にキャップ3をねじ込み終えると(図7参照)、各通気孔713が完全に開放され、容器2内と乾燥剤4の収容空間70とが各通気孔713及び各スリット状切欠部814を通して互いに連通した開放状態に変換されることになる。これにより、容器2内の雰囲気に対し乾燥剤4の吸湿機能が発揮され、容器2内の雰囲気が防湿された状態に維持される。
この図7の閉栓状態から開栓操作すると、つまり、キャップ3を上記の閉栓操作とは逆回りに回転させて口部21から外していくと、それに伴い口部21の開口縁212が離れる側に相対移動するため外筒部材8は各付勢バネ73の復元力により内筒部材7から下に離反する側に相対移動する。この外筒部材8の下側への相対移動により上記閉止片部815も下側に相対移動し、口部21から完全に離された開栓状態に至れば、外筒部材8の係合凸部811が内筒部材7の係合凸部712に係合されて相対移動が停止して上述の図6の閉止状態に変換される。これにより、収容空間70は再び密閉されて乾燥剤4は外気から遮断されることになる。
以上のように、この第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、閉栓状態では乾燥剤4の吸湿機能を発揮させることができる一方、開栓状態ではその乾燥剤4と外気との接触を遮断して乾燥剤4を保護することができる。しかも、そのような開放状態と閉止状態との状態変換を、キャップ3の閉栓操作又は開栓操作に連動させて自動的行うことができる。
<他の実施形態>
なお、本発明は上記第1及び第2実施形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を包含するものである。
すなわち、「付勢バネ」として、上記第1及び第2実施形態の如く内筒部材5,7と一体に形成するのではなくて、外筒部材6,8と一体に形成するようにしてもよい。また、「付勢バネ」を内筒部材5,7や外筒部材6,8とは別体の単独の部品により構成し、これを組み付けの際に内筒部材5,7と、外筒部材6,8との間に介装させるようにしてもよい。この場合には、「付勢バネ」としてコイルスプリング、板バネ等の弾性部材を用いることもできる。この際に、「付勢バネ」の両端を内筒部材5,7と外筒部材6,8との双方に係止もしく係合等の手段により結合し、「付勢バネ」の開放時間隔を乾燥剤4の収容宇空間50,70が閉止状態のときの内筒部材5,7と外筒部材6,8との間の筒軸Y方向間隔に等しくなるようにすれば、係合凸部611,811と係合凸部512,712とによるストッパ部の形成を省略することも可能である。さらに、「付勢バネ」の配設位置としては、上記以外にキャップ3の内面との間、例えば突出縁65,83と頂壁32の下面との間に介装させるようにしてもよく、あるいは、後述の如く「閉止部」を単独で構成する場合にはその「閉止部」と「収容部材」との間に介装させるようにしてもよい。前者の配設位置の場合には、特に第2実施形態では外筒部材8の底壁82を省略してもよい。つまり、有底とはせずに開放にしてもよい。
「収容部材」としての内筒部材5,7のキャップ3に対する固定を、キャップ3の周壁31の内周面との凹凸係合により行うようにしてもよい。この場合には、キャップ3の環状取付部33を省略し、内筒部材の開口縁を外周側に延ばしてフランジ部を形成し、このフランジ部の外周縁を上記周壁31の内周面に対し係合させるようにすればよい。また、「収容部材」として第1及び第2実施形態では内筒部材5,7を示したが、周壁部分と底壁部分とを有しておればよく、「筒」という用語に拘泥するものではなく「皿」なる用語で表すこともできる。
第1実施形態では透孔661を有する小径筒部66を外筒部材6の側に形成し、挿入開口56を内筒部材5の側に形成した例を示したが、これに限らず、互いに逆の側に形成するようにしてもよい。
「開閉変換手段」の閉止部として第1実施形態及び第2実施形態では外筒部材6,8を用いた例を示したが、必ずしも外筒部材を用いる必要はない。例えば、周壁位置に通気孔を有し内部に乾燥剤4を収容した収容部材の周壁に対し、口部21の開口縁212からの押し込み力を受ける受圧部(例えば外周側に突出する突出縁)を有し帯板状もしくは片状に形成された独立した閉止部を筒軸Y方向に移動可能に保持させ、この閉止部と収容部材との間に上記通気孔を閉止した状態に維持するよう付勢する付勢バネを介装させるようにすればよい。このように構成する場合には上記の外筒部材自体を省略することも可能である。