しかしながら、エンジンのシリンダブロックに複数箇所設けられ、クランクジャーナル部を支持する支持部においても同様に摩擦による損失等を低減するため、高い精度が要求される。エンジンのシリンダブロックにおいては、エンジンの組み立て時に、各部をボルト等で締結することにより、歪等が発生する。すなわち、支持部においても変形する可能性がある。したがって、摩擦による損失等を低減するために、支持部の形状について詳細に調査する必要がある。しかしながら、特許文献1に開示されたクランク軸の撓み量計測方法および計測装置によると、クランクジャーナル部の支持部における計測については考慮されていない。
また、クランクジャーナル部あるいはその支持部の計測は、一般的に3次元測定機等を用いて行なわれる。3次元測定機は、その構成上、恒温室等で常温等の温度の低い環境に設置される。そして、3次元測定機による計測は、被測定物の温度も同様な温度に保持された状態で行なわれている。すなわち、エンジンの実働状態のような高温時において発生する熱負荷による変化量を計測することはできない。特許文献1に開示されたクランク軸の撓み量計測方法および計測装置においては、エンジンの実働時について想定していない。
エンジンの摩擦損失(フリクション)を低減させるための設計をする際には、エンジンが冷えている状態における変形を把握するだけでは不十分である。つまり、エンジンの実働時相当の熱分布を模擬してエンジンにおける各部の変形量を計測しないことには、実働時に起こっている挙動を把握することができないという問題がある。エンジン実働時にクランクジャーナル部の支持部が熱によって変形することにより、同軸度・真円度等が悪化する。その結果フリクションが増加し燃費を悪化させている。変形を抑えるための対策は、エンジンの実働時にどのような変形をしているかを把握する必要がある。
本発明の目的は、上述した課題を解決するためになされたものであって、その目的は、エンジンの実働時相当の出力軸の支持部の変形量を計測する変形量計測装置および変形量計測方法を提供することである。本発明の目的は、さらに、エンジンの実働時相当の出力軸以外の軸の支持部の変形量を計測する変形量計測装置および変形量計測方法を提供することである。
第1の発明に係る変形量計測装置は、エンジンブロックにおける、水平方向に設けられた円筒形状の開口部によって軸を支持する支持部の変形量を、計測する変形量計測装置である。エンジンブロックは、シリンダブロックとシリンダヘッドとを有する。変形量計測装置は、エンジンブロックを予め定められた加熱状態にするための加熱手段と、支持部の内径側の面に先端部が対向するように設けられ、先端部から内径側の面までの距離を測定するための測定手段と、測定手段を、軸と平行な方向の軸を中心に内径側の面に沿って回転させるための回転手段と、回転手段により回転されながら測定手段により測定された距離を、回転手段により回転された角度に対応づけて記憶するための記憶手段と、記憶された距離に基づいて、加熱状態における支持部の変形量を算出するための算出手段とを含む。算出手段は、角度と距離とに基づいて支持部の偏心量を算出するための手段と、算出された偏心量に基づいて、変形量を算出するための変形量算出手段とを含む。
第1の発明によると、変形量計測装置は、エンジンブロックを予め定められた加熱状態(たとえば、エンジンの実働時を模擬した状態)にするための加熱手段と、円筒形状の開口部により形成される支持部の内径側の面に先端部が対向するように設けられ、先端部から内径側の面までの距離を測定するための測定手段と、測定手段を軸(たとえば、出力軸)と平行な方向の軸を中心に内径側の面に沿って回転させるための回転手段と、回転手段により回転されながら測定手段により測定された距離を、回転手段により回転された角度に対応づけて記憶するための記憶手段と、記憶された距離に基づいて、エンジンの実働時を模擬した状態における支持部の変形量を算出するための算出手段とを含む。算出手段は、角度と距離とに基づいて支持部の偏心量を算出する。算出手段は、算出された偏心量に基づいて、変形量を算出する。測定手段を回転手段により支持部の内径側の面に沿って回転させながら、回転角に対応した距離を測定する。そして、測定手段の回転半径を考慮することにより、支持部の内径側の形状を算出することができる。このとき、記憶手段に記憶された角度と角度に対応した距離の測定データを、たとえば、フーリエ級数展開して1次成分のみを抽出すると、偏心量が得られる。このように偏心量を求めることにより、常温である初期状態における偏心量と、エンジンの実働時を模擬した状態における偏心量とを比較して中心位置の変化量を算出することができる。そして、偏心量に基づいて、初期状態およびエンジンの実働時を模擬した状態におけるそれぞれの支持部の形状を比較することにより、熱の影響による変形量を正確に把握することができる。したがって、エンジンの実働時を模擬した状態における出力軸の支持部の変形量を測定する変形量計測装置を提供することができる。そして、偏心量に基づいて、変形量として、たとえば、エンジンの実働時を模擬した状態におけるエンジンのエンジンブロックに複数個設けられる支持部の同軸度、各支持部における中心位置の変化量、真円度を算出することができる。エンジンの実働時において、出力軸の支持部が熱によってどのように変形するかを計測することができる。そのため、変形の抑制を考慮するに際に計測結果を指標として用いることができる。
第2の発明に係る変形量計測装置は、第1の発明の構成に加えて、先端部における温度を検知するための温度検知手段をさらに含む。算出手段は、温度検知手段により検知される温度に基づいて、測定手段により測定された距離を算出するための手段をさらに含む。
第2の発明によると、変形量計測装置は、先端部における温度を検知するための温度検知手段をさらに含む。算出手段は、温度検知手段により検知される温度に基づいて、測定手段により測定された距離を算出するための手段を含む。測定手段として、たとえば距離に応じて電圧を出力するギャップセンサを用いる場合、ギャップセンサは、測定する環境の温度によって出力される電圧が異なる。そのため、温度検知手段により、ギャップセンサの先端部における温度を検知し、検知された温度に基づいて、算出手段が測定された距離を算出することにより、より正確な支持部の変形量の計測が可能となる。
第3の発明に係る変形量計測装置は、第1の発明の構成に加えて、変形量算出手段は、常温である初期状態における支持部の偏心量と、加熱状態における支持部の偏心量との比較により、支持部の中心位置の変化量を算出するための手段を含む。
第3の発明によると、変形量算出手段は、常温である初期状態における支持部の偏心量と、加熱状態(たとえば、エンジンの実働時を模擬した状態)における偏心量との比較により、支持部の中心位置の変化量を算出する。具体的には、初期状態における偏心量の水平成分、鉛直成分とエンジンの実働時を模擬した状態における偏心量の水平成分、鉛直成分の差をとることにより、支持部の中心位置の水平成分、鉛直成分の変化量を算出することができる。これにより、エンジンの実働時を模擬した状態において、支持部の中心位置がどれだけ変化するかを把握することが可能になる。
第4の発明に係る変形量計測装置においては、第3の発明の構成に加えて、エンジンブロックは、複数の支持部を有する。変形量算出手段は、複数の支持部において算出された中心位置の変化量に基づいて、複数の支持部の同軸度を算出するための手段を含む。
第4の発明によると、変形量算出手段は、エンジンブロックに複数設けられる支持部おいて、算出された中心位置の変化量に基づいて、複数の支持部の同軸度を算出する。これにより、常温である初期状態と加熱状態(たとえば、エンジンの実働時を模擬した状態)とにおける各支持部における中心位置の鉛直方向および水平方向の変化量を算出し、複数の支持部の中から基準となる支持部における中心位置の鉛直成分および水平成分と、その他の支持部における中心位置の鉛直成分および水平成分との差により同軸度を算出することができる。そのため、エンジンの実働時を模擬した状態における支持部の同軸度を把握することができる。
第5の発明に係る変形量計測装置は、第1の発明の構成に加えて、変形量計測装置は、偏心量に基づいて、距離を補正するための手段をさらに含む。変形量算出手段は、角度と補正された距離とに基づいて、初期状態における支持部の形状と、加熱状態における支持部の形状とを比較して、支持部の真円度を算出するための手段を含む。
第5の発明によると、偏心量に基づいて、距離を補正し、変形量算出手段は、角度と補正された距離に基づいて、常温である初期状態における支持部の形状と、加熱状態(たとえば、エンジンの実働時を模擬した状態)における支持部の形状とを比較して、支持部の真円度を算出する。具体的には、偏心量に基づいて距離を補正することにより、初期状態における支持部の形状と、エンジンの実働時を模擬した状態における支持部の形状とを中心位置を一致させて比較することができる。そのため、真円度を算出することができる。
第6の発明に係る変形量計測装置においては、第1〜5のいずれかの発明の構成に加えて、回転手段は、その両端部がそれぞれエンジンブロックにより支持される。
第6の発明によると、回転手段の両端部がそれぞれエンジンブロックにより支持されることにより、エンジンブロックがエンジンの実働時を模擬した状態になるように加熱されたときに、エンジンブロックが変形しても、回転手段とエンジンブロックとの位置関係が相対的に大きく変化することを抑制することができるため、回転手段とエンジンブロックとの干渉を抑制することができる。
第7の発明に係る変形量計測装置においては、第6の発明の構成に加えて、両端部は、それぞれ自在継手を介してエンジンブロックにより支持される。
第7の発明によると、両端部がそれぞれ自在継手(たとえば、ユニバーサルジョイント)を介してエンジンブロックにより支持されることにより、エンジンブロックが変形して、回転手段を支持する部分が変形しても、回転手段の自在継手間の軸の変形を抑制することができる。すなわち、回転手段の回転軸を真直ぐに保つことができるため、エンジンブロックに複数設けられる支持部の同軸度の計測の精度の悪化を抑制することができる。
第8の発明に係る変形量計測装置においては、第1〜7のいずれかの発明の構成に加えて、加熱状態は、エンジンの実働時を模擬した状態である。
第8の発明によると、加熱状態をエンジンの実働時を模擬した状態とすることにより、エンジンの実働時を模擬した状態における支持部の変形量を計測することが可能になる。
第9の発明に係る変形量計測装置においては、第1〜8のいずれかの発明の構成に加えて、軸は、シリンダブロックにおいて支持されるエンジンの出力軸である。
第9の発明によると、エンジンの実働時を模擬した状態において、シリンダブロックに複数設けられる出力軸の支持部の変形量を測定することにより、エンジンの実働時において、出力軸の支持部が熱によってどのように変形するかを計測することができる。そのため、変形の抑制を考慮するに際に計測結果を指標として用いることができる。
第10の発明に係る変形量計測装置においては、第1〜8のいずれかの発明の構成に加えて、軸は、シリンダヘッドにおいて支持されるエンジンのカムシャフトである。
第10の発明によると、エンジンの実働時を模擬した状態において、シリンダヘッドに複数設けられるカムシャフトの支持部の変形量を測定することにより、エンジンの実働時において、カムシャフトの支持部が熱によってどのように変形するかを計測することができる。そのため、変形の抑制を考慮するに際に計測結果を指標として用いることができる。したがって、出力軸以外の軸の変形量の計測をする変形量計測装置を提供することができる。
第11の発明に係る変形量計測方法は、エンジンブロックにおける、水平方向に設けられた円筒形状の開口部によって軸を支持する支持部の変形量を、計測する変形量計測方法である。エンジンブロックは、シリンダブロックとシリンダヘッドとを有する。変形量計測方法は、エンジンブロックを予め定められた加熱状態とする加熱ステップと、支持部の内径側の面に対向するように設けられる距離測定装置の先端部を、軸と平行な方向の軸を中心に内径側の面に沿って回転させて、先端部の角度に対応した、先端部から内径側の面までの距離を測定するステップと、回転された角度と測定された距離とを対応づけて記憶するステップと、記憶された角度と距離とに基づいて支持部の偏心量を算出するステップと、算出された偏心量に基づいて、変形量を算出する算出ステップとを含む。
第11の発明によると、加熱ステップにて、エンジンブロックを予め定められた加熱状態(たとえば、エンジンの実働時を模擬した状態)とする。そして、距離を測定するステップにて、円筒形状の開口部により形成される支持部の内径側の面に対向するように設けられる距離測定装置の先端部を軸(たとえば、出力軸)と平行な方向の軸を中心に内径側の面に沿って回転させて、先端部の角度に対応した、先端部から内径側の面までの距離を測定する。記憶するステップにて、回転された角度と測定された距離とを対応づけてメモリに記憶する。偏心量を算出するステップにて、記憶された角度と距離とに基づいて支持部の内径側の面の形状の偏心量を算出する。算出ステップにて、算出された偏心量に基づいて、変形量を算出する。距離測定装置を支持部の内径側の面に沿って回転させながら、回転角に対応した距離を測定する。そして、距離測定装置の回転半径を考慮することにより、支持部の内径側の形状を算出することができる。このとき、記憶された角度と角度に対応した距離の測定データを、たとえば、フーリエ級数展開して1次成分のみを抽出すると、偏心量が得られる。このように偏心量を求めることにより、常温である初期状態における偏心量と、エンジンの実働時を模擬した状態における偏心量とを比較して中心位置の変化量を算出することができる。そして、偏心量に基づいて、初期状態およびエンジンの実働時を模擬した状態におけるそれぞれの支持部の形状を比較することにより、熱の影響による変形量を正確に把握することができる。したがって、エンジンの実働時を模擬した状態における出力軸の支持部の変形量を測定する変形量計測方法を提供することができる。そして、偏心量に基づいて、変形量として、たとえば、エンジンの実働時を模擬した状態におけるエンジンのエンジンブロックに複数個設けられる支持部の同軸度、各支持部における中心位置の変化量、真円度を算出することができる。エンジンの実働時において、出力軸の支持部が熱によってどのように変形するかを計測することができる。そのため、変形の抑制を考慮するに際に計測結果を指標として用いることができる。
第12の発明に係る変形量計測方法は、第11の発明の構成に加えて、変形量計測方法は、先端部における温度を検知するステップと、検知される温度に基づいて、距離を算出するステップとをさらに含む。
第12の発明によると、温度を検知するステップにて、距離測定装置の先端部における温度を検知する。距離を算出するステップにて、検知される温度に基づいて、距離を算出する。距離測定装置として、たとえば、距離に応じて電圧を出力するギャップセンサを用いる場合、ギャップセンサは、測定する環境の温度によって出力される電圧が異なる。そのため、ギャップセンサの先端部における温度を検知し、検知された温度に基づいて、測定された距離を算出することにより、より正確な支持部の変形量の計測が可能となる。
第13の発明に係る変形量計測方法においては、第11の発明の構成に加えて、算出ステップは、常温である初期状態における支持部の偏心量と、加熱状態における支持部の偏心量との比較により、支持部の中心位置の変化量を算出するステップを含む。
第13の発明によると、算出ステップにて、常温である初期状態における支持部の偏心量と、加熱状態(たとえば、エンジンの実働時を模擬した状態)における支持部の偏心量との比較により、支持部の中心位置の変化量を算出する。具体的には、初期状態における偏心量の水平成分、鉛直成分とエンジンの実働時を模擬した状態における偏心量の水平成分、鉛直成分の差をとることにより、支持部の中心位置の水平成分、鉛直成分の変化量を算出することができる。これにより、エンジンの実働時を模擬した状態において、支持部の中心位置がどれだけ変化するかを把握することが可能になる。
第14の発明に係る変形量計測方法においては、第13の発明の構成に加えて、エンジンブロックは、複数の支持部を有する。算出ステップは、複数の支持部において算出された中心位置の変化量に基づいて、複数の支持部の同軸度を算出するステップを含む。
第14の発明によると、算出ステップにて、エンジンブロックに設けられる複数の支持部において算出された中心位置の変化量に基づいて、複数の支持部の同軸度を算出する。これにより、常温である初期状態と加熱状態(たとえば、エンジンの実働時を模擬した状態)とにおける各支持部における中心位置の鉛直方向および水平方向の変化量を算出し、複数の支持部の中から基準となる支持部における中心位置の鉛直成分および水平成分と、その他の支持部における中心位置の鉛直成分および水平成分との差により同軸度を算出することができる。そのため、エンジンの実働時を模擬した状態における支持部の同軸度を把握することができる。
第15の発明に係る変形量計測方法は、第11の発明の構成に加えて、偏心量に基づいて、距離を補正するステップをさらに含む。算出ステップは、角度と補正された距離とに基づいて、常温である初期状態における支持部の形状と、加熱状態における支持部の形状とを比較して、支持部の真円度を算出するステップを含む。
第15の発明によると、距離を補正するステップにて、算出された偏心量に基づいて、距離を補正する。算出ステップにて、角度と補正された距離とに基づいて、常温である初期状態における支持部の形状と、加熱状態(たとえば、エンジンの実働時を模擬した状態)における支持部の形状とを比較して、支持部の真円度を算出する。具体的には、偏心量に基づいて距離を補正することにより、初期状態における支持部の形状と、エンジンの実働時を模擬した状態における支持部の形状とを中心位置を一致させて比較することができる。そのため、真円度を算出することができる。
第16の発明に係る変形量計測方法においては、第11〜15のいずれかの発明の構成に加えて、加熱状態は、エンジンの実働時を模擬した状態である。
第16の発明によると、加熱状態をエンジンの実働時を模擬した状態とすることにより、エンジンの実働時を模擬した状態における支持部の変形量を計測することが可能になる。
第17の発明に係る変形量計測方法においては、第11〜16のいずれかの発明の構成に加えて、軸は、シリンダブロックにおいて支持されるエンジンの出力軸である。
第17の発明によると、エンジンの実働時を模擬した状態において、シリンダブロックに複数設けられる出力軸の支持部の変形量を測定することにより、エンジンの実働時において、出力軸の支持部が熱によってどのように変形するかを計測することができる。そのため、変形の抑制を考慮するに際に計測結果を指標として用いることができる。
第18の発明に係る変形量計測方法においては、第11〜16のいずれかの発明の構成に加えて、軸は、シリンダヘッドにおいて支持されるエンジンのカムシャフトである。
第18の発明によると、エンジンの実働時を模擬した状態において、シリンダヘッドに複数設けられるカムシャフトの支持部の変形量を測定することにより、エンジンの実働時において、カムシャフトの支持部が熱によってどのように変形するかを計測することができる。そのため、変形の抑制を考慮するに際に計測結果を指標として用いることができる。したがって、出力軸以外の軸の変形量の計測をする変形量計測方法を提供することができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態に係る変形量計測装置および変形量計測装置を用いた計測方法について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
<第1の実施の形態>
本実施の形態において、支持部は、エンジンの出力軸であるクランクシャフトを支持する。また、以下の説明において、支持部により支持されるクランクシャフトの非支持部をクランクジャーナル部という。
図1に示すように、本実施の形態に係る変形量計測装置100は、エンジン熱負荷模擬装置200と、計測装置300と、演算装置400とから構成される。
熱負荷模擬装置200は、スチーム加熱機112と、スチーム加熱機制御回路110と、熱風配管114と、シリンダヘッド102と、シリンダブロック116と、ピストン118と、冷却水配管106と、冷却水ポンプ108と、冷却水制御回路104とから構成される。
シリンダヘッド102およびシリンダブロック116とは、ボルト等で締結される。シリンダヘッド102およびシリンダブロック116によりエンジンブロックが構成される。シリンダヘッド102は、固定冶具156、158により水平に吊り下げられて固定される。なお、シリンダヘッド102は、車両の搭載状態を想定して、たとえば、エンジンマウントを介して固定されるようにしてもよい。シリンダブロックの気筒数は、特に限定されないが、本実施の形態においては、たとえば4気筒である。気筒内には、ピストン118がそれぞれ予め定められた高さで保持される。
また、シリンダブロック116は、クランクジャーナル部を支持し、水平方向に円筒形状の開口部を形成する。そして、鉛直方向下側からクランクキャップ(図示せず)をボルト等で締結することにより円形断面の支持部が形成される。シリンダブロック116は、上述のような支持部を気筒数に対応して複数個有する。たとえば、本実施の形態において、シリンダブロック116は4気筒であるため、シリンダブロック116にクランクジャーナル部の支持部(1)160〜支持部(5)168が設けられる。
シリンダヘッド102の排気ポートには、熱風配管114に接続される。熱風配管114は、スチーム加熱機112に接続される。そして、スチーム供給源から供給されたスチームは、スチーム加熱機112によって加熱される。加熱された熱風は、熱風配管114を介して、シリンダヘッド102の排気ポートからシリンダブロック116の気筒内に熱風が送り込まれる。そして、熱風によってシリンダポート壁面およびピストン118を加熱させた後、排出される。あるいは、シリンダヘッド102の吸気ポートから熱風配管(図示せず)を介して熱風をスチーム加熱機112に戻し、熱風の循環系を形成してもよい。
スチーム加熱機112におけるスチームを加熱するヒータとして、数kW相当で300〜400℃程度まで加熱できる市販の工業用ヒータ等が用いられる。燃料の燃焼温度はもっと高いが、そのような温度になるのはわずかな時間であり、平均的には300℃程度あれば十分実働の温度分布に近似となる。そして、このときのスチームの加熱温度は、スチーム加熱機制御回路110により予め定められた温度になるように制御される。
一方、シリンダヘッド102およびシリンダブロック116のウォータジャケットの流入口(図示せず)および流出口(図示せず)は、冷却水配管106に接続される。冷却水配管106の途中には冷却水ポンプ108が設けられる。そして、冷却水ポンプ108により、冷却水を循環させる。このときの冷却水の温度は、冷却水制御回路104により予め定められた温度になるように制御される。
このように構成されるエンジン熱負荷模擬装置200において、気筒内に送り込むスチームの温度、流量および冷却水の温度、ピストン118の位置を調整することにより、シリンダヘッド102およびシリンダブロック116の状態をエンジンを実働させることなく、エンジンの実働時を模擬した状態にすることができる。
次に、支持部(1)160〜支持部(5)168の計測装置300は、計測冶具126と、ギャップセンサ148と、手動ハンドル122と、エンコーダ120と、スタンド124とから構成される。
本実施の形態に係るシリンダブロック116は、4気筒のエンジンであるため、5つの支持部を有する。そのため、各支持部に対応するように5個のギャップセンサ148が計測冶具126に設けられている。
計測冶具126に固定されるギャップセンサ148は、特に限定されないが、たとえば、ギャップセンサ148の先端部から対象物までの距離に応じた電圧を出力する。また、支持部(1)160〜支持部(5)168と計測冶具126とのそれぞれの間には、熱膨張しても接触しない程度、たとえば、0.4mm程度の隙間を持たせている。そして、計測冶具126は、スタンド124によりギャップセンサ148をクランクシャフトと平行な方向の回転軸を中心に各支持部の内径側の面に沿って回転自在に支持される。そして、手動ハンドル122により計測冶具126を回転させることができる。また、計測冶具126には、エンコーダ120が直結されている。そのため、計測冶具126が手動ハンドル122により回転させられたとき、ギャップセンサ148がどの回転角にあるかを検出できるようになっている。そのため、エンコーダ120により検知された回転角と、ギャップセンサ148により測定された距離とを対応づけることができるため、より正確な支持部の変形量の計測が可能となる。
計測冶具126は、図2に示すように円筒形状を有する。ギャップセンサ148が設けられる円筒形状の径は、支持部よりも小さい径である。計測冶具126は、クランクジャーナルの各支持部に対応する位置にギャップセンサ148と熱電対150とが設けられる。ギャップセンサ148は、クランクシャフトに直交し、支持部(1)160〜支持部(5)168のそれぞれの内径側の面にギャップセンサ148の先端部が対向するように設けられる。なお、ギャップセンサ148が固定される計測冶具126の材質には、熱による影響の少ない材質が用いられる。これにより、熱が加わった時の膨張量を最小限に抑えることができる。たとえば、計測冶具126の材質として低熱膨張材を用いる。低熱膨張材の線膨張係数は、たとえば、1×10−6/Kであり(鉄の約1/10)である。そのため、常温から80℃まで上昇したときの膨張量は、25mm×1×10−6×(80−25)K=1.4μmとなる。
シリンダブロック116は、熱膨張するため、各支持部は、鉛直方向下側に下がってくる。また、各支持部における内径側の面の形状自体も変化する。ギャップセンサ148の固定している計測冶具126は、材質に低熱膨張材を使用しているため、エンジンの実働時を模擬した状態であっても熱膨張することがほとんどない。そのため、計測冶具126を回転基準として用いることができる。計測冶具126を1回転させることにより1周分のギャップセンサ148の先端部と各支持部の内径側の面までの距離を測定することができる。
また、熱電対150は、温度に応じた電圧を検知する。シリンダブロック116は、エンジンの実働時を模擬した状態となるように加熱されるため、ギャップセンサ148における温度は80℃程度まで上昇する。ギャップセンサ148は、温度に応じて出力電圧が変化する。そのため、予め温度校正曲線を求めておき、熱電対150で温度を計測しながら、パーソナルコンピュータ130内で温度に応じてギャップセンサ148により計測される距離を算出する。具体的には、予め20℃ごとの距離と電圧の関係を求めたテーブルをパーソナルコンピュータ130内のメモリに記憶している。そして、検知される温度によりテーブルに基づいて距離を算出する。
また、各支持部においては、図3に示すように、ギャップセンサ148は、ギャップセンサ148の先端部から内径側の面までの距離を測定する。このとき、ギャップセンサ148は、距離に対応した電圧信号を出力する。出力された電圧信号は、演算装置400のアンプ(1)139〜アンプ(5)146に送信される。
手動ハンドル122により計測冶具126が回転させられると、エンコーダ120は、回転角に対応した回転角検知信号を出力する。出力された回転角検知信号は、後述するパーソナルコンピュータ130のカウンタ部136に送信される。
また、熱電対150は、ギャップセンサ148と接するようにして設けられ、ギャップセンサ148の先端部における温度を検知する。そして、熱電対150は、温度に対応した電圧信号を出力する。出力された電圧信号は、パーソナルコンピュータ130の熱電対アンプ134に送信される。
次に、本実施の形態に係る演算装置400は、図1に示すように、表示器128と、パーソナルコンピュータ130と、アンプ(1)139〜アンプ(5)146とから構成される。
パーソナルコンピュータ130は、制御回路132と、熱電対アンプ134と、カウンタ部136と、アナログ/デジタル変換部138とから構成される。
アンプ(1)139〜アンプ(5)146は、距離変化に応じた電圧を出力し、パーソナルコンピュータ130に入力する。入力された電圧信号は、アナログ/デジタル変換部138(以下、A/D変換部138という。)において、デジタル信号に変換されて制御回路132に送信される。
また、熱電対アンプ134は、計測装置300において計測冶具126に各支持部に対応するようにして設けられた熱電対150に接続される。熱電対アンプ134は、各支持部に対応する熱電対150から送信される電圧信号を受信する。熱電対アンプ134は、受信した電圧信号を増幅される。増幅された電圧信号は、A/D変換部138において、デジタル信号に変換されて、制御回路132に送信される。
カウンタ部136は、計測装置300に設けられたエンコーダ120に接続される。カウンタ部136は、エンコーダ120から送信される回転角検知信号を受信する。そして、カウンタ部136は、受信した回転角検知信号を制御回路132に送信する。
制御回路132は、CPU(Central Processing Unit)(図示せず)とメモリ(図示せず)とから構成される。そして、制御回路132は、CPUがメモリに格納されたプログラムを実行することにより、計測装置300から受信した各信号に基づいて、各支持部における変形量を算出する。
表示器128は、モニタ等からなり、パーソナルコンピュータ130における演算結果、あるいは、パーソナルコンピュータ130に入力される各種信号の値を表示する。
以上のような本実施の形態に係る変形量計測装置の構成において、クランクジャーナル部の5箇所の支持部(1)160〜支持部(5)168における同軸度、各支持部における中心位置の変化量および真円度が実働時にどのように悪化するかを判定することができる。
図4を参照して、本実施の形態に係る変形量計測装置を用いた計測方法の手順について説明する。
ステップ(以下、ステップをSと略して記載する。)1000にて、制御回路132は、常温における初期状態の各支持部の形状を計測する計測処理を行なう。このとき、シリンダブロック116に対しては、熱負荷のかかっていない状態、すなわち、常温における初期状態の各支持部の形状が計測される。計測処理については、後述する。
S1100にて、冷却水制御回路104は、冷却水の温度調整を行なう。すなわち、冷却水制御回路104は、設定された温度に基づいて温度調整を行なう。S1200にて、スチーム加熱機制御回路110は、スチームの加熱温度の調整を行なう。すなわち、スチーム加熱機制御回路110は、設定された温度に基づいて、温度調整を行なう。
S1300にて、制御回路132は、シリンダブロック116における温度分布がエンジンの実働時を模擬した状態であるか否かを判断する。エンジンの実働時を模擬した状態であるか否かの判断は、特に限定されないが、たとえば、シリンダブロック116に温度センサを設けて、温度センサにより検知される温度が予め測っておいた実働時の温度分布になることにより判断してもよい。シリンダブロック116における温度分布がエンジンの実働時を模擬した状態であると(S1300にてYES)、処理はS1400に移される。もしそうでないと(S1300にてNO)、処理はS1100に移される。
S1400にて、制御回路132は、計測処理を行なう。このときに、エンジンの実働時を模擬した状態において、シリンダブロック116の各支持部の形状を計測する。
以下、図5を参照して、図4のS1000およびS1400の処理について説明する。
作業者は、手動ハンドル122を回転させて計測冶具126を回転状態にする。
S2000にて、制御回路132は、計測冶具126の回転状態においてエンコーダ120により送信される回転角を読み込む。S2100にて、制御回路132は、熱電対150により送信される電圧値を読み込む。S2200にて、ギャップセンサ148から送信される電圧値を読み込む。
S2300にて、制御回路132は、ギャップセンサ148が1回転したか否かを判断する。エンコーダ120により送信される回転角、熱電対150により送信される温度に応じた電圧およびギャップセンサ148より送信される距離に応じた電圧は、5msec毎のサンプリング周期で取り込まれてもよいし、5度毎に取り込まれてもよい。そして、1回転分(360°)に対して計測が行なわれる。計測された各種信号に基づく計測データは、制御回路132に含まれるメモリに記憶される。すなわち、制御回路132は、計測冶具126が回転されながらギャップセンサ148により測定された距離に対応する電圧を、回転された角度に対応づけてメモリに記憶させる。ギャップセンサ148が1回転すると(S2300にてYES)、処理はS2400に移される。もしそうでないと(S2300にてNO)、処理はS2000に移される。
S2400にて、制御回路132は、計測冶具126が作業者により逆回転させられて、元の位置に戻ったか否かを判断する。計測冶具126が逆回転して元の位置に戻ると(S2400にてYES)処理はS2500に移される。もしそうでないと(S2400にてNO)、逆回転して元の位置に戻るまで処理を繰返す。
S2500にて、制御回路132は、ギャップセンサ148が5回転したかか否かを判断する。すなわち、制御回路132は、5回転分の計測データが得られたか否かを判断する。なお、5回転に特に限定されない。ギャップセンサ148による5回転分の計測データが得られると(S2500にてYES)、処理はS2600に移される。もしそうでないと(S2500にてNO)、処理はS2000に移される。
S2600にて、制御回路132は、平均化処理を行なう。平均化処理は、得られた5回転分の計測データに基づいて、各支持部において計測された角度と角度に対応した距離の電圧値の平均値を算出する処理である。制御回路132は、メモリに記憶された5回転分の計測データに基づいて、各支持部において角度に対応した距離の電圧値の平均値を算出する。
S2700にて、制御回路132は、熱電対150およびギャップセンサ148の電圧値から距離の算出を行なう。
S2800にて、制御回路132は、偏心量の計算と記憶を行なう。計測データを5度毎に72点取得するとすると、そのうちたとえば45度毎の8点のデータをフーリエ級数展開する。そして、その1次成分を抽出することで偏心量が算出される。算出された偏心量は、メモリに記憶される。具体的には、図6(A)に示すように、計測冶具126のギャップセンサ148の先端部から計測冶具126の回転軸中心までの距離Sと計測冶具126を回転させたときに計測される値G(1)〜G(8)とに基づいて、計測冶具126の回転軸中心から各支持部の内径側の面までの距離D(1)〜D(8)を算出する。D(1)〜D(8)は、D(I)=G(I)+S(I=1〜8)の式により算出することができる。そして、算出されたD(1)〜D(8)に基づいて、図6(B)に示すように計測生データのグラフが得られる。そして、D(1)〜D(8)をフーリエ級数展開する。そして、この1次成分を抽出することにより偏心量が得られる。この偏心量に基づいて、72点の計測データの補正をすることにより、図6(C)に示すように補正後データのグラフが得られる。
再び図5を参照して、S2900にて、制御回路132は、偏心量の補正後の処理後データをメモリに記憶させる。S3000にて、制御回路132は、表示器128に演算結果を表示させる。たとえば、メモリに初期状態における支持部の偏心量および形状と、エンジンの実働時を模擬した状態における支持部の偏心量および形状とが記憶されていれば、制御回路132は、比較を行ない、変形量を算出する。そして、制御回路312は、比較結果あるいは変形量を表示器128に表示させる。
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係る変形量計測装置および計測方法の動作について説明する。制御回路132は、常温である初期状態での計測処理を開始する(S1000)。操作者により計測冶具126が1回転されると、回転角、温度、ギャップセンサ148の出力電圧が読み込まれる(S2000、S2100、S2200、S2300にてYES)そして、5回転分の計測データが得られると(S2500にてYES)、制御回路132は、平均化処理を行なって(S2600)、検知された温度に基づいて距離を算出する(S2700)。そして、制御回路132は、算出された距離に基づいて、偏心量を算出し(S2800)、算出された偏心量に基づいて、距離が補正されて、初期状態における支持部の偏心量および形状がメモリに記憶される(S2900)。
初期状態の計測処理が終了すると、冷却水、スチームの温度調整が行なわれる(S1100、S1200)。そして、シリンダブロック116の温度分布が実機を再現すると、すなわち、エンジンの実働時を模擬した状態になると(S1300にてYES)、S1000にて行なわれた計測処理が再び行なわれる(S1400)。
計測処理によりエンジンの実働時を模擬した状態において、偏心量が算出され、算出された偏心量に基づいて、距離が補正されて、エンジンの実働時を模擬した状態における支持部の偏心量および形状がメモリに記憶される(S2900)。そして、制御回路132は、初期状態とエンジンの実働時を模擬した状態とにおける偏心量および補正された距離に基づく支持部の形状の比較を行なって、比較結果あるいは算出された変形量が表示される(S3000)。
以下、初期状態とエンジンの実働時を模擬した状態とにおける偏心量および補正された距離に基づく支持部の形状の比較により、算出される変形量について説明する。
図7に示すように、常温である初期状態での各支持部における偏心量(E(0X)、E(0Y))と、エンジンの実働時を模擬した状態での各支持部における偏心量(E(IX)、E(IY))(I=1〜5)とを算出する。そして、初期状態における偏心量とエンジンの実働時を模擬した状態での偏心量とを比較することにより、中心位置の変化量を算出することができる。すなわち、各支持部における内径側面の形状の中心位置の変化量(P(X)、P(Y))は、P(IX)=E(0X)−E(IX)(I=1〜5)、P(IY)=E(0Y)−E(IY)(I=1〜5)により、水平成分、および鉛直成分の中心位置の変化量を算出することができる。
また、各支持部における同軸度については、支持部(1)160と支持部(5)168を基準として図8に示すように、同軸度R(IX)は、R(IX)=P(IX)−H(X)(I=2〜4)により算出することができる。ここで、H(X)は、支持部(1)160と支持部(5)168とが初期状態から鉛直方向下側に下がった値である。このようにして、図9に示すように、各支持部における鉛直方向の同軸度を算出することができる。このグラフにおいて、支持部(4)166が他の支持部よりも大きく変化していることがわかる。そのため、支持部(4)166において同軸度が悪化していることがわかる。
また、常温である初期状態での各支持部における偏心量(E(0X)、E(0Y))と、エンジンの実働時を模擬した状態での各支持部における偏心量(E(IX)、E(IY))(I=1〜5)とを算出する。そして、算出した偏心量と計測した72点の計測データに基づいて、各状態における形状をそれぞれ算出する。そして、各状態における偏心量に基づいて、初期状態とエンジンの実働時を模擬した状態における各支持部の中心位置を一致させることにより、初期状態とエンジンの実働時を模擬した状態とでの各支持部の真円度の変形量を算出することができる。
すなわち、図10(A)〜図10(E)に示すように各支持部において、各状態における偏心量の補正後データを重ねることにより、エンジンの実働時を模擬した状態において各支持部の形状の真円度が悪化していることがわかる。なお、このとき、上半分と下半分と比較して下半分の真円度が大きく悪化しているのは、シリンダブロック116と、クランクキャップ154とで材質が異なるためである。
以上のようにして、本実施の形態に係る変形量計測装置によると、変形量計測装置は、クランクシャフトに直交し、円筒形状の開口部により形成される支持部の内径側の面に先端部が対向するように設けられ、先端部から内径側の面までの距離を測定するためのギャップセンサと、ギャップセンサをクランクシャフトと平行な方向の回転軸を中心に内径側の面に沿って回転させるための計測冶具と、測定された距離を記憶するためのメモリと、シリンダブロックをエンジンの実働時を模擬した状態に加熱するためのエンジン熱負荷模擬装置と、測定された距離に基づいて、エンジンの実働時を模擬した状態における支持部の変形量を算出するための制御回路とを含む。制御回路は、計測冶具を回転させた角度に対応した距離を計測する。そして、制御回路は、角度と距離とを対応づけてメモリに記憶させる。さらに、制御回路は、角度と距離とに基づいて支持部の偏心量を算出する。制御回路は、算出された偏心量に基づいて、変形量を算出する。ギャップセンサを支持部の内径側の面に沿って回転させて、回転角に対応した距離を測定し、計測冶具の半径を考慮して、支持部の内径側の形状を算出することができる。このとき、角度と角度に対応した距離の測定データを、たとえば、フーリエ級数展開して1次成分のみを抽出すると、偏心量が得られる。このように偏心量を求めることにより、常温における初期状態における形状と、エンジンの実働時を模擬した状態における形状とを比較して中心位置を算出することができる。そして、初期状態およびエンジンの実働時を模擬した状態におけるそれぞれの形状を比較することにより、熱の影響による変形量を正確に把握することができる。したがって、エンジンの実働時を模擬した状態における出力軸の支持部の変形量を測定する変形量計測装置および変形量計測方法を提供することができる。そして、偏心量に基づいて、変形量として、たとえば、エンジンの実働時を模擬した状態におけるエンジンのシリンダブロックに複数個設けられる支持部の同軸度、各支持部における中心位置の変化量、真円度を算出することができる。エンジンの実働時において、クランクシャフトの支持部が熱によってどのように変形するかを計測することができる。そのため、変形の抑制を考慮するに際に計測結果を指標として用いることができる。
<第2の実施の形態>
以下、第2の実施の形態に係る変形量計測装置について説明する。
本実施の形態に係る変形量計測装置は、上述した第1の実施の形態に係る変形量計測装置の構成と比較して、計測装置300の構成が異なる以外は同じ構成である。それらについては同じ参照符号が付してある。それらの機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰り返さない。
図11に示すように、支持部(1)160〜支持部(5)168の計測装置300は、計測冶具126と、ギャップセンサ148と、手動ハンドル122と、エンコーダ120と、計測冶具支持部250,252とから構成される。
計測冶具支持部250,252は、計測冶具126の両端部をシリンダブロック116に回転自在に支持する。また、計測冶具126の両端部は、自在継手であるユニバーサルジョイント254を介して計測冶具支持部250に、ユニバーサルジョイント256を介して計測冶具支持部252にそれぞれ回転自在に支持される。
以上のような本実施の形態に係る変形量計測装置の構成において、クランクジャーナル部の5箇所の支持部(1)160〜支持部(5)168における同軸度、各指示部における中心位置の変化量および真円度が実働時にどのように悪化するかを判定することができる。
本実施の形態に係る変形量計測装置を用いた計測方法の手順については、図4および図5を用いて説明した第1の実施の形態に係る変形量計測装置を用いた計測方法の手順と同じ手順である。したがって、その詳細な説明は繰り返さない。
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係る変形量計測装置および計測方法の動作について説明する。
制御回路132は、常温である初期状態での計測処理を開始する(S1000)。操作者により計測冶具126が1回転されると、回転角、温度、ギャップセンサ148の出力電圧が読み込まれる(S2000、S2100、S2200、S2300にてYES)そして、5回転分の計測データが得られると(S2500にてYES)、制御回路132は、平均化処理を行なって(S2600)、検知された温度に基づいて距離を算出する(S2700)。そして、制御回路132は、算出された距離に基づいて、偏心量を算出し(S2800)、算出された偏心量に基づいて、距離が補正されて、初期状態における支持部の偏心量および形状がメモリに記憶される(S2900)。
初期状態の計測処理が終了すると、冷却水、スチームの温度調整が行なわれる(S1100、S1200)。そして、シリンダブロック116の温度分布が実機を再現すると、すなわち、エンジンの実働時を模擬した状態になると(S1300にてYES)、S1000にて行なわれた計測処理が再び行なわれる(S1400)。
計測処理によりエンジンの実働時を模擬した状態において、偏心量が算出され、算出された偏心量に基づいて、距離が補正されて、エンジンの実働時を模擬した状態における支持部の偏心量および形状がメモリに記憶される(S2900)。そして、制御回路132は、初期状態とエンジンの実働時を模擬した状態とにおける偏心量および補正された距離に基づく支持部の形状の比較を行なって、比較結果あるいは算出された変形量が表示される(S3000)。
ここで、シリンダブロック116と、計測冶具126とがそれぞれ別々に固定されている場合、初期状態において、図12(A)に示すように、シリンダブロック116と計測冶具126とが干渉しないように設けられていても、シリンダブロック116が実働時を模擬した状態において鉛直方向下側に大きく変化すると、図12(B)に示すように、計測冶具126の上部とシリンダブロック116とが干渉する場合がある。計測冶具126に設けられるギャップセンサ148の計測範囲が0.5mmであるため、上述したように、計測冶具126は、ギャップセンサ148とシリンダブロック116とが約0.4mmの隙間を有するように設けられる。そのため、シリンダブロック116が0.4mm以上鉛直方向下側に変形すると、計測冶具126と干渉する場合がある。
本実施の形態においては、計測冶具126は、シリンダブロック116に計測冶具支持部250,252を介して支持される。すなわち、実働時を模擬した状態において、シリンダブロック116が鉛直方向下側に大きく変化しても、シリンダブロック116の変化に伴なって、計測冶具支持部250,252も鉛直方向下側に変化する。そのため、シリンダブロック116と計測冶具126とが相対的に大きく変化することを抑制する。その結果、シリンダブロック116と計測冶具126との干渉を回避できる。
また、エンジンの実働時を模擬した状態においては、シリンダヘッド102およびシリンダブロック116は、上部側の温度(約135℃)が下部側の温度(約95℃)よりも高くなるような温度分布になる。そのため、シリンダヘッド102およびシリンダブロック116は、図13(A)に示すように、上側に反るように変形する。そのため、図13(B)に示すように、計測冶具126の両端部を回転方向にのみ自由になるように支持すると、シリンダブロック116の変形に基づく計測冶具支持部250,252からの力が計測冶具126に働いて、計測冶具126が変形して回転軸を真直ぐに保てない場合がある。回転軸を真直ぐに保てないと、計測されるシリンダブロック116の支持部(1)160〜支持部(5)168の同軸度の変化が、シリンダブロック116の変形に基づくものであるか、計測冶具126の変形に基づくものであるかが不明であるため、計測の精度が悪化する。
本実施の形態において、図13(C)に示すように、計測冶具126の両端部は、ユニバーサルジョイント254,256を介して計測冶具支持部250,252に回転自在に支持される。そのため、シリンダブロック116の変形に基づく計測冶具支持部250,252からの力が計測冶具126に働いても、ユニバーサルジョイント254,256を起点として、計測冶具126の両端部が屈曲することにより、計測されるシリンダブロック116の支持部(1)160〜支持部(5)168の間で計測冶具126を真直ぐに保つことができる。
以上のようにして、本実施の形態に係る変形量計測装置によると、上述した第1の実施の形態に係る変形量計測装置による効果に加えて、計測冶具の両端部がそれぞれシリンダブロックにより支持されることにより、シリンダブロックがエンジンの実働時を模擬した状態になるように加熱されたときに、シリンダブロックが変形しても、計測冶具とシリンダブロックとの位置関係が相対的に大きく変化することを抑制することができるため、計測冶具とシリンダブロックとの干渉を抑制することができる。
また、計測冶具の両端部がそれぞれユニバーサルジョイントを介してシリンダブロックにより支持されることにより、シリンダブロックが変形して、計測冶具支持部が変形しても、計測冶具のユニバーサルジョイント間の回転軸の変化を抑制することができる。すなわち、計測冶具の回転軸を真直ぐに保つことができるため、シリンダブロックに複数設けられるクランクシャフトの支持部の同軸度の計測の精度の悪化を抑制することができる。
<第3の実施の形態>
以下、第3の実施の形態に係る変形量計測装置について説明する。本実施の形態において、支持部は、エンジンのカムシャフトを支持する。また、以下の説明において、支持部により支持されるカムシャフトの非支持部をカムジャーナル部という。
本実施の形態に係る変形量計測装置は、上述した第1の実施の形態に係る変形量計測装置の構成と比較して、計測装置300の構成が異なる以外は同じ構成である。それらについては同じ参照符号が付してある。それらの機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰り返さない。
シリンダヘッド102は、カムシャフトを支持し、水平方向に円筒形状の開口部を形成する。そして、鉛直方向上側からカムキャップ(図示せず)をボルト等で締結することにより円形断面の支持部が形成される。シリンダヘッド102には、上述のような支持部を気筒数に対応して複数個有する。たとえば、本実施の形態において、エンジンは、4気筒であるため、シリンダヘッド102には、吸気ポート側のカムシャフトを支持する吸気側支持部(1)360〜吸気側支持部(5)368および排気ポート側のカムシャフトを支持する排気側支持部(1)〜排気側支持部(5)が設けられる。本実施の形態において、計測装置300により、吸気側支持部(1)360〜吸気側支持部(5)368の同軸度、真円度等を計測するものとするが、排気側支持部(1)〜排気側支持部(5)についても吸気ポート側と同様に計測することができるため、その詳細な説明は繰り返さない。
吸気側支持部(1)360〜吸気側支持部(5)368の計測装置300は、計測冶具126と、ギャップセンサ148と、手動ハンドル122と、エンコーダ120と、計測冶具支持部350,352とから構成される。
計測冶具支持部350,352は、計測冶具126の両端部をシリンダヘッド102に回転自在に支持する。また、計測冶具126の両端部は、自在継手であるユニバーサルジョイント354を介して計測冶具支持部350に、ユニバーサルジョイント356を介して計測冶具支持部352にそれぞれ回転自在に支持される。
このようにして、計測冶具126は、計測冶具支持部350,352により、ギャップセンサ148をカムシャフトと平行な方向の回転軸を中心に各吸気側支持部の内径側の面に沿って回転自在に支持される。そして、手動ハンドル122により計測冶具126を回転させることができる。また、計測冶具126には、エンコーダ120が直結されている。そのため、計測冶具360が手動ハンドル122により回転させられたとき、ギャップセンサ148がどの回転角にあるかを検出できるようになっている。そのため、エンコーダ120により検知された回転角とギャップセンサ358により測定された距離とを対応づけることができるため、より正確なカムシャフトの吸気側支持部の変形量の計測が可能となる。
なお、計測冶具126については、上述した第1の実施の形態に係る変形量計測装置の計測冶具126と比較して、変形量の計測対象が吸気側支持部であること以外については、同様の構成である。したがって、その詳細な説明は繰り返さない。
以上のような本実施の形態に係る変形量計測装置の構成において、カムジャーナル部の5箇所の吸気側支持部(1)360〜吸気側支持部(5)368における同軸度、各支持部における中心位置の変化量および真円度が実働時にどのように悪化するかを判定することができる。
本実施の形態に係る変形量計測装置を用いた計測方法の手順については、図4および図5を用いて説明した第1の実施の形態に係る変形量計測装置を用いた計測方法の手順と同じ手順である。したがって、その詳細な説明は繰り返さない。
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係る変形量計測装置および計測方法の動作について説明する。
制御回路132は、常温である初期状態での計測処理を開始する(S1000)。操作者により計測冶具126が1回転されると、回転角、温度、ギャップセンサ148の出力電圧が読み込まれる(S2000、S2100、S2200、S2300にてYES)そして、5回転分の計測データが得られると(S2500にてYES)、制御回路132は、平均化処理を行なって(S2600)、検知された温度に基づいて距離を算出する(S2700)。そして、制御回路132は、算出された距離に基づいて、偏心量を算出し(S2800)、算出された偏心量に基づいて、距離が補正されて、初期状態における支持部の偏心量および形状がメモリに記憶される(S2900)。
初期状態の計測処理が終了すると、冷却水、スチームの温度調整が行なわれる(S1100、S1200)。そして、シリンダヘッド102の温度分布が実機を再現すると、すなわち、エンジンの実働時を模擬した状態になると(S1300にてYES)、S1000にて行なわれた計測処理が再び行なわれる(S1400)。
計測処理によりエンジンの実働時を模擬した状態において、偏心量が算出され、算出された偏心量に基づいて、距離が補正されて、エンジンの実働時を模擬した状態における支持部の偏心量および形状がメモリに記憶される(S2900)。そして、制御回路132は、初期状態とエンジンの実働時を模擬した状態とにおける偏心量および補正された距離に基づく支持部の形状の比較を行なって、比較結果あるいは算出された変形量が表示される(S3000)。
本実施の形態における吸気側支持部の変形量の算出については、上述した第1の実施の形態において説明したクランクシャフトの支持部の変形量の算出と同様である。したがって、その詳細な説明は繰り返さない。初期状態および加熱後の実働時を模擬した状態における吸気側支持部(1)360〜吸気側支持部(5)368の同軸度の変化は、図15(A)に示すように、上側に反るように悪化する。排気側支持部(1)〜排気側支持部(5)の同軸度の変化は、図15(B)に示すように、吸気側支持部と同様に上側に反るように悪化する。
ここで、シリンダブロック116と、計測冶具126とがそれぞれ別々に固定されている場合、初期状態において、シリンダヘッド102と計測冶具126とが干渉しないように設けられていても、シリンダヘッド102が実働時を模擬した状態において鉛直方向下側に大きく変化すると、計測冶具126の上部とシリンダヘッド102とが干渉する場合がある。計測冶具126に設けられるギャップセンサ148の計測範囲が0.5mmであるため、たとえば、ギャップセンサ148とシリンダヘッド102とが約0.4mmの隙間を有するように設けられる場合、シリンダヘッド102が0.4mm以上鉛直方向下側に変形すると、計測冶具126と干渉する場合がある。
本実施の形態において、計測冶具126は、シリンダヘッド102に計測冶具支持部350,352を介して支持される。すなわち、実働時を模擬した状態において、シリンダヘッド102が鉛直方向下側に大きく変化しても、シリンダヘッド102の変化に伴なって、計測冶具支持部350,352も鉛直方向下側に変化する。そのため、シリンダヘッド102と計測冶具126との位置関係が相対的に大きく変化することを抑制する。その結果、シリンダヘッド102と計測冶具126との干渉を回避できる。
また、図16に示すように、エンジンの実働時を模擬した状態においては、シリンダヘッド102およびシリンダブロック116は、上部側の温度(約135℃)が下部側の温度(約95℃)よりも高くなるような温度分布になる。そのため、シリンダヘッド102およびエンジンブロック116は、上側に反るように変形する。そのため、計測冶具126の両端部を回転方向にのみ自由になるように支持すると、シリンダヘッド102の変形に基づく計測冶具支持部350,352からの力が計測冶具126に働いて、計測冶具126が変形して回転軸を真直ぐに保てない場合がある。回転軸を真直ぐに保てないと、計測されるシリンダヘッド102の吸気側支持部(1)360〜吸気側支持部(5)368の同軸度の変化が、シリンダヘッド102の変形に基づくものであるか、計測冶具126の変形に基づくものであるかが不明であるため、計測の精度が悪化する。
本実施の形態において、計測冶具126の両端部は、ユニバーサルジョイント354,356を介して計測冶具支持部350,352に回転自在に支持される。そのため、シリンダヘッド102の変形に基づく計測冶具支持部350,352からの力が計測冶具126に働いても、ユニバーサルジョイント254,256を起点として、計測冶具126の両端部が屈曲することにより、計測されるシリンダヘッド102の吸気側支持部(1)360〜吸気側支持部(5)368の間で計測冶具126を真直ぐに保つことができる。
以上のようにして、本実施の形態に係る変形量計測装置は、カムシャフトに直交し、円筒形状の開口部により形成される支持部の内径側の面に先端部が対向するように設けられ、先端部から内径側の面までの距離を測定するためのギャップセンサと、ギャップセンサをカムシャフトと平行な方向の回転軸を中心に内径側の面に沿って回転させるための計測冶具と、測定された距離を記憶するためのメモリと、シリンダヘッドをエンジンの実働時を模擬した状態に加熱するためのエンジン熱負荷模擬装置と、測定された距離に基づいて、エンジンの実働時を模擬した状態における支持部の変形量を算出するための制御回路とを含む。制御回路は、計測冶具を回転させた角度に対応した距離を計測する。そして、制御回路は、角度と距離とを対応づけてメモリに記憶させる。さらに、制御回路は、角度と距離とに基づいて支持部の偏心量を算出する。制御回路は、算出された偏心量に基づいて、変形量を算出する。ギャップセンサを支持部の内径側の面に沿って回転させて、回転角に対応した距離を測定し、計測冶具の半径を考慮して、支持部の内径側の形状を算出することができる。このとき、角度と角度に対応した距離の測定データを、たとえば、フーリエ級数展開して1次成分のみを抽出すると、偏心量が得られる。このように偏心量を求めることにより、常温における初期状態における形状と、エンジンの実働時を模擬した状態における形状とを比較して中心位置を算出することができる。そして、初期状態およびエンジンの実働時を模擬した状態におけるそれぞれの形状を比較することにより、熱の影響による変形量を正確に把握することができる。したがって、エンジンの実働時を模擬した状態におけるカムシャフトの支持部の変形量を測定する変形量計測装置および変形量計測方法を提供することができる。そして、偏心量に基づいて、変形量として、たとえば、エンジンの実働時を模擬した状態におけるエンジンのシリンダヘッドに複数個設けられる支持部の同軸度、各支持部における中心位置の変化量、真円度を算出することができる。エンジンの実働時において、カムシャフトの支持部が熱によってどのように変形するかを計測することができる。そのため、変形の抑制を考慮するに際に計測結果を指標として用いることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
100 変形量計測装置、102 シリンダヘッド、104 冷却水制御回路、106 冷却水配管、108 冷却水ポンプ、110 スチーム加熱機制御回路、112 スチーム加熱機、114 熱風配管、116 シリンダブロック、118 ピストン、120 エンコーダ、122 手動ハンドル、124 スタンド、126 計測冶具、128 表示器、130 パーソナルコンピュータ、132 制御回路、134 熱電対アンプ、136 カウンタ部、138 A/D変換部、139,140,142,144,146 アンプ、148 ギャップセンサ、150 熱電対、152 クランクキャップ、156,158 固定冶具、160〜168 支持部、200 エンジン熱負荷模擬装置、250,252,350,352 計測冶具支持部、254,256,354,356 ユニバーサルジョイント、300 計測装置、360〜368 吸気側支持部、400 演算装置。