JP4441553B2 - ポリゴンミラーの加工方法、ポリゴンスキャナ及び光走査装置 - Google Patents
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Description
しかしながら、ポリゴンミラーは板バネ部材で回転軸に固定されているため高速回転すると、その回転による温度上昇、遠心力により固定されているポリゴンミラーが微移動し回転体のバランスが変化しやすく、振動の原因となる。特に上下段一体化しているポリゴンミラーは質量が重く多少の微移動でも振動の発生は顕著である。
一方、カラー画像形成装置の高速プリント化、画質の高精細化を実現するにあたって、厚板あるいは2枚ミラーのポリゴンスキャナを25,000rpm以上の高速、かつ高精度に回転させる必要が生じている。従来の厚板ミラーで高速回転させると、ミラーによる風損が多くなることによりモータ消費電力が増大してしまう。
また、2枚の独立したミラーを軸方向に間隔を空けて配置する方法においては、それぞれのミラーを搭載する際の基準面を精度良く仕上げる必要があり、かつ2枚のミラー間の面倒れも精度良くする必要があり、加工・組立工数が複雑でコストアップする問題があった。
特に上下段一体化しているポリゴンミラーは質量が大きく、多少の微移動でも振動の発生は顕著である。
また、回転体を構成している部品(ポリゴンミラー、ロータ磁石が固定されるフランジ、軸)の熱膨張率が異なっていたり、一致していても部品公差や固定方法等により高温高速回転時に微移動(回転体のバランス変化)が発生し、ひいては振動を増大させる結果となっていた。
請求項2の発明は、請求項1に記載の加工方法により加工されたポリゴンミラー部を有するポリゴンスキャナであることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項2に記載のポリゴンスキャナを用いた光走査装置であることを特徴とする。
回転部材8に設けられた円周溝8i,8kは、軸受シャフト10の焼キバメ固定時や環境温度変動に伴うポリゴンミラー反射面8a,8bへの応力歪の防止やバランス修正用の接着剤塗布部にも使用される。ロータ磁石11は樹脂をバインダーに使用したボンド磁石であり、ロータ磁石11の外径部には高速回転時の遠心力による破壊が発生しないように、回転部材8が外径を保持している構造である。
ロータ磁石11を圧入固定することにより一層の高速回転、かつ高温環境においても固定部の微移動を生ずることなく、回転体バランスの高精度維持が可能となる。
アルミマンガン系の磁石は、機械強度が高く高速回転時の遠心力にも破壊しないこと、高純度アルミはポリゴンミラー反射面8a,8bの反射率が高いこと、アルミ合金シャフトはステンレスよりも軽量化が可能となるという効果を有する。
なお、25,000rpmの高速回転でも含油された油の循環を効率良く行うために、図示しない動圧発生溝を設けることが好適である。動圧溝は軸受シャフト10の外周面または燒結部材の内周面に設けるが、加工性の良好な燒結部材の内周に施すのが好適である。
また、軸受シャフト10と含油軸受との間に形成される密閉空間16により回転体2に衝撃が加わったとき等でも速やかにその振動を抑えるダンピング特性を有している。
なお、上記のような微少な修正を実行する際に接着剤等の付着物では管理がしにくい場合、また量が少ないため接着力が弱く40,000rpm以上の高速回転時には剥離、飛散してしまう場合には、回転体の部品の一部を削除する方法(ドリルによる切削やレーザ加工)を実施することが好適である。
回転駆動は、ロータ磁石11の磁界により回路基板14に実装されているホール素子12から出力される信号を位置信号として参照し、駆動IC13により巻線コイル4aの励磁切り替えを行い回転する。
ロータ磁石11は径方向に着磁されており、ステータコア4aの外周とで回転トルクを発生し回転する。ロータ磁石11は内径以外の外径及び高さ方向は磁路を開放しており、モータの励磁切り換えのためのホール素子12を開放磁路内に配置している。
鏡面加工は、軸受シャフト10の外径(図2)、回転部材8の上端面8c(図4)または回転部材8の下端面8g(図3)を基準として高精度に加工される。図3、4に示す回転部材8の上端面8cまたは下端面8gが基準の場合は、予め軸外径中心に対する振れを5μm以下の高精度に加工しておく必要がある(振れ精度は鏡面加工時の平面度、面倒れ品質に影響する)。
なお、回転部材8のポリゴンミラー反射面部以外は、内接円径よりも小径となっている(直径で0.1mm以上の小径であれば良い)。このようにする理由は、鏡面加工時に切削用バイト(刃物)21の先端が回転部材外径部に衝突しないように避けるためである。
この加工の際、回転部材8のポリゴンミラー反射面8a,8bに隣接する外径部8d、8e、8fの角(すみ)形状をR状の丸みを設けてある(実際にはポリゴンミラー反射面8a,8bの厚み分の半径以下とするR形状が良い。例えばポリゴンミラー厚さ3mmの場合、すみ部の半径3mm以下)。
このようにする理由は、鏡面加工時、バイトの切削方向(図1の上下方向)に切削荷重がかかるため、その荷重に対して変形を小さくするために剛性を高める効果がある。その後、軸受シャフト10を焼キバメし、ポリゴンミラー反射面を鏡面加工する。鏡面加工時に発生する上下のポリゴンミラー反射面8a、8bの切削切り粉は、空間部8jに逃げるので切り粉によるスクラッチの防止が図れる。本工程により、従来は面倒れ特性を維持するために必要であったポリゴンミラー搭載面の平面度や直角度を高精度にする必要がなくなる。
端面と当接する治具部材25の対向面25aは上下端面8c、8gとともに振れ精度を5μm以下としている。端面を基準とする方法は、上方から一定の押圧力で回転部材8を固定する。
固定部材26,29には回転部材8との当接部に弾性部材27,28が配置される。弾性部材27,28により回転部材8を全周均等に押圧することが可能であり、局部的な押圧力により鏡面加工品質を劣化させることがない。21aは鏡面加工時のバイト21の先端位置、22は加工バイト21の回転軸心である。
図5(B)は、いわゆる凹面形状をしており、偏向に寄与する部分の両端X、Yを結んだ線よりも中心側に凹む形状になっている例である。同様に図5(C)はいわゆる凸面形状をしており、両端X,Yを結んだ線よりも外径側に凸状となっている例である。上記形状はポリゴンミラーの全面とも(図5では6面)凹面または凸面に揃えることにより、レーザ偏向後の走査光学系を通ったビームスポット位置の主走査方向のずれが抑えられる。
一方、図5(B−2)、図5(C−1)のように両者が混在する面の場合、同じ平面度Dでも一定角度で入射するレーザビームに対して、凹部または凸部で反射されたレーザビームの偏向位置は大きく変動する。同様な形状(凹面、凸面)状態であれば、反射後の偏向位置の変動は小さくでき平面度Dの許容範囲を広くすることができる。平面度Dは0.6μm以下となっており、ビームスポット小径化による一層の高画質化のためには0.1〜0.3μmがより好適である。なお、平面度の測定はレーザ干渉計(Zygo社製)を用いて行った。
上下に離間した反射面の凹凸形状が異なる場合、各ビームに対応する各色の画像毎にずれが生じてしまい、主走査方向の色ずれが発生してしまうからである。
Claims (3)
- 鏡面に加工される側面部を有する回転部材と、前記回転部材の回転中心に軸止した軸受シャフトとが少なくとも固定された組立体のポリゴンミラーの加工方法において、前記回転部材の上端面または下端面と当接する治具部材の対向面との振れ精度を5μm以下に加工し、前記回転部材と固定部材との当接部に弾性部材を配置して、前記回転部材を全周均等圧となるように前記固定部材を一定の押圧力で前記治具部材に固定し、前記回転部材の前記側面部を軸方向に円弧形状となるように切削加工して、形成された複数段のポリゴンミラーの反射面を切削加工することを特徴とするポリゴンミラーの加工方法。
- 請求項1に記載の加工方法により加工されたポリゴンミラー部を有することを特徴とするポリゴンスキャナ。
- 請求項2に記載のポリゴンスキャナを用いたことを特徴とする光走査装置。
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