JP4441352B2 - 重合性組成物及びそれを用いた平版印刷版原版 - Google Patents
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Description
これら各種レーザ光に感応する記録材料については種々研究されており、代表的なものとして、第一に、感光波長760nm以上の赤外線レーザで記録可能なポジ型記録材料(例えば、特許文献1参照。)や、酸触媒架橋型のネガ型記録材料(例えば、特許文献2参照。)等がある。第二に、300nm〜700nmの紫外光または可視光レーザ対応型の記録材料として、ラジカル重合型のネガ型記録材料(例えば、特許文献3、4参照。)等が多数ある。
その問題を解決するひとつの手段として、アルカリ可溶性樹脂に重合性基を導入する技術が提案されている(例えば、特許文献5参照。)。ここで樹脂中に導入される重合性基の反応性と、架橋剤の有する架橋性基との反応性の差が小さく、反応性に選択性が少ない。このため、樹脂中に導入された重合性基同士の反応は多数起こるものの、樹脂中に存在する重合性基ラジカルはモビリティーが少なく反応性に乏しいために、重合性基反応率の向上効果が十分に得られないのが実情である。
本発明の重合性組成物は、(A)ラジカル重合性基を有するアルカリ可溶性樹脂と、(B)重合性化合物と、(C)ラジカル開始剤とを含有し、(B)重合性化合物同士の反応性が、(B)重合性化合物と(A)ラジカル重合性基を有するアルカリ可溶性樹脂との反応性より大きく、且つ、(B)重合性化合物と(A)ラジカル重合性基を有するアルカリ可溶性樹脂との反応性が、(A)ラジカル重合性基を有するアルカリ可溶性樹脂同士の反応性より大きく、且つ、(A)アルカリ可溶性樹脂が有するラジカル重合性基(a)と、(B)重合性化合物が有する重合性基(b)との組み合わせが以下に挙げる組み合わせから選択されることを特徴とする。
重合性基(b)/ラジカル重合性基(a):アクリレート/クロトネート、アクリレート/メタクリルアミド、メタクリレート/メタクリルアミド、メタクリレート/スチレン、メタクリレート/イタコネート、メタクリレート/マレイミド
このような重合性組成物は、感度の観点から、さらに、(D)増感色素を含有することが好ましい。
本発明の重合性組成物は、露光領域において、重合性化合物の重合反応が優先的に進行するため、重合過程における重合性化合物の高分子量化に伴うラジカルモビリティーの低下がなく、架橋性基の反応率が向上したものと考えられる。また、このような官能基の組み合わせを選択することにより、重合により形成された硬化膜の膜性低下を引き起こす低分子化合物が選択的に減少することにより、優れた膜性が達成され、残存する低分子化合物の影響による経時的な膜性の低下が抑制されるものと考えられる。
重合性基(b)/ラジカル重合性基(a):アクリレート/クロトネート、アクリレート/メタクリルアミド、メタクリレート/メタクリルアミド、メタクリレート/スチレン、メタクリレート/イタコネート、メタクリレート/マレイミド
このような平版印刷版原版では、記録層は前記本発明の重合性組成物を主成分として含有するため、露光部においては、架橋密度が高く、低分子量成分の残存が少ない記録層が形成され、現像液の浸透を促進する膜中の低分子化合物が選択的に減少し、現像液浸透抑制効率が向上する。これにより、現像後も高い膜強度が得られ、低分子成分に起因する経時的な膜性の低下も抑制されることから、優れた耐刷性と保存安定性とを発現するものと思われる。
特に、赤外線レーザ露光により画像形成を行う記録層においては、感度と熱安定性との両立が困難であることから、このような用途に本発明の重合性組成物が好適に用いられるという利点をも有するものである。
本発明の重合性組成物は、(A)ラジカル重合性基を有するアルカリ可溶性樹脂(以下、適宜、重合性アルカリ可溶性樹脂と称する)、(B)重合性化合物と、(C)ラジカル開始剤とを含有するが、ここで用いられる(B)重合性化合物同士の反応性が、(B)重合性化合物と(A)ラジカル重合性基を有するアルカリ可溶性樹脂との反応性より大きく、且つ、(B)重合性化合物と(A)ラジカル重合性基を有するアルカリ可溶性樹脂との反応性が、(A)ラジカル重合性基を有するアルカリ可溶性樹脂同士の反応性より大きい、下記重合性基の組合せから選択されることを特徴とするものである。
重合性基(b)/ラジカル重合性基(a):アクリレート/クロトネート、アクリレート/メタクリルアミド、メタクリレート/メタクリルアミド、メタクリレート/スチレン、メタクリレート/イタコネート、メタクリレート/マレイミド
本発明の重合性組成物に含まれる(B)重合性化合物及び(A)重合性アルカリ可溶性樹脂が有する各重合性基としては、以下に述べる公知の重合性基あるいは架橋性基、即ち、付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する官能基を用いることができる。本発明の成分に導入可能な公知の付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する官能基としては、例えば、アクリル、メタクリル、クロトニル、スチリル、ビニル、シンナミル等、「高分子データハンドブック―基礎編―(高分子学会編、培風館、1986)」記載のモノマーの架橋性基が挙げられ、これらのなかから適宜選択したものを用いることができる。
具体的には、系中で生成する(B)重合性化合物のラジカルを(M・)、(A)重合性基含有アルカリ可溶性樹脂のラジカルを(B・)として共重合すると考えた場合、共重合の反応様式は下記4つの成長素反応で表される。
従って、本発明に用いる(B)重合性化合物における重合性基(b)と、(A)重合性基含有アルカリ可溶性樹脂における重合性基(a)と、の組み合わせとしては、「高分子データハンドブック(高分子学会編、培風館、1986)」等の文献に記載の架橋性基において、r1>1、r2<1であるような組み合わせを選択すれば、特に制限なく用いることができる。好ましくはr1>1.2であり、より好ましくはr1>2.0であり、さらに好ましくはr1>2.7である。また、好ましくはr2<0.8であり、より好ましくはr2<0.6であり、さらに好ましくはr2<0.3である。また、両者の関係でいえば、好ましくはr1>1.2かつr2<0.8であり、より好ましくはr1>2.0かつr2<0.6であり、さらに好ましくはr1>2.7かつr2<0.3である。
以上、本発明に好適な重合性基(a)、(b)の選択基準を述べたが、以下に、本発明の重合性組成物に好ましく用いられる各化合物について順次説明する。
本発明に好適に用いられる(B)重合性化合物としては、例えば、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、上記不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド等があげられる。
イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネー卜等がある。
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。さらに、前述のエステルモノマーの混合物もあげることができる。また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−へキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−へキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。
CH2=C(R)COOCH2CH(R’)OH (A)
(ただし、RおよびR’はHあるいはCH3を示す。)
以下に本発明に好適な(B)重合性化合物の構造〔例示化合物(B−1)〜(B−11)〕を示すが、本発明はこれらに制限されるものではない。
本発明に係る、(A)重合性アルカリ可溶性樹脂は、分子内に前記本発明の条件を満たす重合性基(A)とアルカリ可溶性基とを有する。
以下、この(A)樹脂の好ましい主鎖構造、導入し得るアルカリ可溶性基、重合性基(A)について、順次説明する。
本発明に係る(A)樹脂は、前記光重合可能なエチレン性不飽和化合物〔前記(B)重合性化合物〕と相溶性を有しており、前記条件を満たす重合性基(A)を有している特定樹脂である限り、どのような樹脂を使用しても構わない。
また、この特定樹脂はアルカリ可溶性を有することが必要であり、高分子中の主鎖および/または側鎖に酸性基を有する重合体である。従って、本発明に係る重合性組成物からなる記録層は、未露光部、即ち、重合硬化する前の領域においては、アルカリ性現像液に接触すると溶解する特性を有するものである。
また、(A)樹脂の酸価(meg/g)としては、現像性と耐刷性の観点から好ましくは0.01〜10.00、より好ましくは0.1〜7.0、もっとも好ましくは、0.2〜5.0の範囲である。酸価が高すぎると、平版印刷版原版の記録層として用いた場合、インキが着きにくくなる懸念がある。
(A)樹脂のガラス転移点(Tg)は、皮膜性、感度の観点から、好ましくは0〜300℃、より好ましくは20〜250℃、最も好ましくは50〜200℃である。
また、本発明に用いうるこの(A)樹脂は、線状高分子であっても、枝分かれ高分子であっても、ブロック構造またはグラフト構造を有していてもかまわない。
(2)スルホンアミド基(−SO2NH−R)
(3)置換スルホンアミド系酸基(以下、「活性イミド基」という。)
〔−SO2NHCOR、−SO2NHSO2R、−CONHSO2R〕
(4)カルボン酸基(−CO2H)
(5)スルホン酸基(−SO3H)
(6)リン酸基(−OPO3H2)
(1)フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性構造単位としては、側鎖にヒドロキシアリール基を有する構造単位等が挙げられる。
また、側鎖にヒドロキシアリール基を有する構造単位としては、例えば、下記一般式(a)〜(d)で表される構造単位のうちのいずれか1種を含むものを挙げることができる。
(5)スルホン酸基を有するアルカリ可溶性構造単位としては、例えば、スルホン酸基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物に由来する最小構造単位を挙げることができる。
(6)リン酸基を有するアルカリ可溶性構造単位としては、例えば、リン酸基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物に由来する最小構造単位を挙げることができる。
一般式(I)におけるR1は、水素原子又はメチル基を表し、特にメチル基が好ましい。
鎖状構造の連結基としては、エチレン、プロピレン等が挙げられる。また、これらのアルキレンがエステル結合を介して連結されている構造もまた好ましいものとして例示することができる。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基、2−ノルボルニル基等の炭素数1〜10までの直鎖状、分枝状、又は環状のアルキル基が挙げられる。
アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、インデニル基等の炭素数6〜10までのアリール基、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選ばれるヘテロ原子を1個以上含有する炭素数1〜10までのヘテロアリール基、例えば、フリル基、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基、キノリル基等が挙げられる。
アルキニル基の具体例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、1−オクチニル基等の炭素数2〜10までのアルキニル基が挙げられる。R3が有してもよい置換基としては、R2が導入し得る置換基として挙げたものと同様である。但し、R3の炭素数は、置換基の炭素数を含めて1〜10である。
一般式(I)におけるAは、合成が容易であることから、酸素原子又は−NH−であることが好ましい。
以下に本発明に好適な(A)重合性アルカリ可溶性樹脂の構造〔例示化合物(A−1)〜(A−37)〕を、その重量平均分子量(MWと記載)とともに例示するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
本発明の重合性組成物を平版印刷版原版における記録層に適用する場合、皮膜形成性ポリマーは、前記(A)重合性アルカリ可溶性樹脂単独であってもよいし、これ以外のポリマーの1種以上併用して、混合物として用いてもよい。
併用しうる一般的なバインダーポリマーは、(A)樹脂とバインダーポリマーとの総重量に対し1〜60重量%の範囲で併用することができ、好ましくは1〜40重量%、更に好ましくは1〜30重量%の範囲で用いられる。
平版印刷版原版の記録層中においては、前記(A)樹脂及び所望により併用されるバインダーポリマーの合計量は、適宜決めることができるが、記録層中の不揮発性成分の総重量に対し、通常10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%、更に好ましくは30〜70重量%の範囲である。
(A)重合性アルカリ可溶性樹脂(A−4)、及び、(A−7)と(B)重合性化合物(B−3)、
(A)重合性アルカリ可溶性樹脂(A−5)と(B)重合性化合物(B−4)、
(A)重合性アルカリ可溶性樹脂(A−23)及び(A−29)と(B)重合性化合物(B−6)。
また、(A)重合性アルカリ可溶性樹脂(A−26)と(B)重合性化合物(B−9)。
本発明の重合性組成物には、(C)ラジカル開始剤を含有する。
好ましいラジカル開始剤としては、(a)芳香族ケトン類、(b)オニウム塩化合物、(c)有機過酸化物、(d)チオ化合物、(e)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(f)ケトオキシムエステル化合物、(g)ボレート化合物、(h)アジニウム化合物、(i)メタロセン化合物、(j)活性エステル化合物、(k)炭素ハロゲン結合を有する化合物等が挙げられる。以下に、上記(a)〜(k)の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明に用いられるラジカル開始剤として好ましい(a)芳香族ケトン類としては、「RADIATION CURING IN POLYMER SCIENCE AND TECHNOLOGY」J.P.Fouassier,J.F.Rabek(1993),p77−117記載のベンゾフェノン骨格あるいはチオキサントン骨格を有する化合物が挙げられる。例えば、下記化合物が挙げられる。
本発明に用いられるラジカル開始剤として好ましい(b)オニウム塩化合物としては、下記一般式(1)〜(3)で表される化合物が挙げられる。
本発明に用いられるラジカル開始剤として好ましい(c)有機過酸化物としては、分子中に酸素−酸素結合を1個以上有する有機化合物のほとんど全てが含まれるが、その例としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1−ビス(ターシャリイブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(ターシャリイブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(ターシャリイブチルパーオキシ)ブタン、ターシャリイブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジターシャリイブチルパーオキサイド、
本発明で用いられるラジカル開始剤として好ましい(d)チオ化合物としては、下記一般式(4)で示される構造を有する化合物が挙げられる。
上記一般式(4)におけるアルキル基としては、炭素原子数1〜4個のものが好ましい。また、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基のような炭素原子数6〜10個のものが好ましく、置換アリール基としては、上記のようなアリール基に塩素原子のようなハロゲン原子、メチル基のようなアルキル基、メトシキ基、エトキシ基のようなアルコキシ基で置換されたものが含まれる。R27は、好ましくは炭素原子数1〜4個のアルキル基である。一般式(4)で示されるチオ化合物の具体例としては、下記に示すような化合物が挙げられる。
本発明に用いられるラジカル開始剤として好ましい(e)ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、特公昭45−37377号、特公昭44−86516号記載のロフィンダイマー類、例えば2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(o,o′−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−メチルフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
本発明に用いられるラジカル開始剤として好ましい(f)ケトオキシムエステル化合物としては、3−ベンゾイロキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイロキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−p−トルエンスルホニルオキシイミノブタン−2−オン、2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン等が挙げられる。
本発明に用いられるラジカル開始剤として好ましい(g)ボレート化合物の例としては、下記一般式(5)で表される化合物を挙げることができる。
上記R28〜R31のアルキル基としては、直鎖、分枝、環状のものが含まれ、炭素原子数1〜18のものが好ましい。具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ステアリル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが含まれる。また置換アルキル基としては、上記のようなアルキル基に、ハロゲン原子(例えば−Cl、−Brなど)、シアノ基、ニトロ基、アリール基(好ましくはフェニル基)、ヒドロキシ基、−COOR32(ここでR32は水素原子、炭素数1〜14のアルキル基、又はアリール基を示す)、−OCOR33又は−OR34(ここでR33、R34は炭素数1〜14のアルキル基、又はアリール基を示す)、及び下記式で表されるものを置換基として有するものが含まれる。
上記R28〜R31のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基などの1〜3環のアリール基が含まれ、置換アリール基としては、上記のようなアリール基に前述の置換アルキル基の置換基又は、炭素数1〜14のアルキル基を有するものが含まれる。上記R28〜R31のアルケニル基としては、炭素数2〜18の直鎖、分枝、環状のものが含まれ。置換アルケニル基の置換基としては、前記の置換アルキル基の置換基として挙げたものが含まれる。上記R28〜R31のアルキニル基としては、炭素数2〜28の直鎖又は分枝のものが含まれ、置換アルキニル基の置換基としては、前記置換アルキル基の置換基として挙げたものが含まれる。また、上記R28〜R31の複素環基としてはN、S及びOの少なくとも1つを含む5員環以上、好ましくは5〜7員環の複素環基が挙げられ、この複素環基には縮合環が含まれていてもよい。更に置換基として前述の置換アリール基の置換基として挙げたものを有していてもよい。一般式(5)で示される化合物例としては具体的には米国特許3,567,453号、同4,343,891号、ヨーロッパ特許109,772号、同109,773号に記載されている化合物及び以下に示すものが挙げられる。
本発明に用いられるラジカル開始剤として好ましい(h)アジニウム塩化合物としては、特開昭63−138345号公報、特開昭63−142345号公報、特開昭63−142346号公報、特開昭63−143537号公報、及び特公昭46−42363号公報記載のN−O結合を有する化合物群を挙げることができる。
本発明に用いられるラジカル開始剤として好ましい(i)メタロセン化合物としては、特開昭59−152396号公報、特開昭61−151197号公報、特開昭63−41484号公報、特開平2−249号公報、特開平2−4705号公報記載のチタノセン化合物、及び、特開平1−304453号公報、特開平1−152109号公報記載の鉄−アレーン錯体を挙げることができる。
本発明に用いられるラジカル開始剤として好ましい(j)活性エステル化合物としては、特公昭62−6223号公報記載のイミドスルホネート化合物、特公昭63−14340号公報、特開昭59−174831号公報記載の活性スルホネート類をあげることができる。
本発明に用いられるラジカル開始剤として好ましい(k)炭素ハロゲン結合を有する化合物としては、下記一般式(6)から一般式(12)で表される化合物を挙げることができる。
本発明の重合性組成物に用いるラジカル開始剤の最も好ましい例としては、チタノセン化合物、スルホニウム塩、トリハロメチル−S−トリアジン化合物を挙げることができる。
本発明における(C)ラジカル開始剤は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の重合性組成物における(C)ラジカル開始剤は、全固形分中、0.01〜10質量%添加することが好ましく、0.1〜2質量%添加することがより好ましい。また、これを平版印刷版原版の記録層に用いる場合も、好ましい含有量は上記と同様である。
本発明の重合性組成物には、さらに、増感色素を添加することが感度向上の観点から好ましい。増感色素としては、分光増感色素、光源の光を吸収してラジカル開始剤と相互作用する染料あるいは顔料が挙げられる。
本発明に用いられる増感色素として好ましい分光増感色素又は染料は、波長350nm〜700nmに吸収を有する増感色素、又は、波長700nm〜1200nmに吸収を有する赤外線吸収剤であることが好ましい。
本発明に好適に用いられる分光増感色素又は染料の具体例としては、例えば、多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えば、チアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、フタロシアニン類(例えば、フタロシアニン、メタルフタロシアニン)、ポルフィリン類(例えば、テトラフェニルポルフィリン、中心金属置換ポルフィリン)、クロロフィル類(例えば、クロロフィル、クロロフィリン、中心金属置換クロロフィル)、金属錯体(例えば、下記化合物)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)等が挙げられる。
特公平37−13034号公報に記載のスチリル系色素。好ましい具体例としては、下記化合物が挙げられる。
本発明において使用される顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。
特に、本発明の重合性組成物を後述する平版印刷版原版のネガ型記録層に使用する場合、該記録層の同一の層に添加してもよいし、別の層を設け、そこへ添加してもよいが、ネガ型平版印刷版原版を作製した際に、記録層の波長300nm〜1200nmの範囲における吸収極大での光学濃度が、0.1〜3.0の間にあることが好ましい。この範囲をはずれた場合、感度が低くなる傾向がある。光学濃度は前記増感色素の添加量と記録層の厚みとにより決定されるため、所定の光学濃度は両者の条件を制御することにより得られる。
記録層の光学濃度は常法により測定することができる。測定方法としては、例えば、透明、或いは白色の支持体上に、乾燥後の塗布量が平版印刷版として必要な範囲において適宜決定された厚みの記録層を形成し、光学濃度計で測定する方法、アルミニウム等の反射性の支持体上に記録層を形成し、反射濃度を測定する方法等が挙げられる。
このような共増感剤の例としては、アミン類、例えばM. R. Sanderら著「Journal of Polymer Society」第10巻3173頁(1972)、特公昭44−20189号、特開昭51−82102号、特開昭52−134692号、特開昭59−138205、特開昭60−84305号、特開昭62−18537号、特開昭64−33104号、Research Disclosure 33825号記載の化合物、等があげられ、具体的には、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ホルミルジメチルアニリン、p−メチルチオジメチルアニリン等があげられる。
本発明の重合性組成物には、既述した成分の他、必要に応じて、例えば、レーザー光吸収剤、着色剤、可塑剤、重合禁止剤などの種々の添加剤を加えてもよい。
適当な熱重合防止剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。
熱重合防止剤の添加量は、全組成物の質量に対して約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。
また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにべヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で感光層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物の約0.5質量%〜約10質量%が好ましい。
前記した本発明の重合性組成物は、平版印刷版原版のネガ型記録層として好適に用いられる。以下、これを用いた本発明の平版印刷版原版について説明する。本発明の平版印刷版原版は、支持体上に、本発明の重合性組成物を含む記録層、及び必要によりその他の層を設けて構成される。
本発明の平版印刷版原版における記録層(感光層)は、必須成分として、上述した(A)アルカリ可溶性ポリマー(特定ブロックポリマー)、(B)重合性化合物(付加重合性化合物ともいう)、及び(C)ラジカル開始剤を含有する重合性組成物を含んでなる重合性感光層である。このような重合性感光層は、レーザー光によりラジカル開始剤が分解し、ラジカルを発生させ、この発生したラジカルにより重合性化合物が重合反応を起こすという機構を有する。更に、本発明における平版印刷版原版は、300〜1,200nmの波長を有するレーザー光での直接描画での製版に特に好適であり、従来の平版印刷版原版に比べ、高い耐刷性及び画像形成性を発現する。
また、記録層中に支持体基板と相互作用を形成し得る化合物を添加することも可能である。そのような化合物としては、例えば、ジアゾニウム構造を有する化合物や、ホスホン化合物等が挙げられ、これらは記録層に添加したり、下塗り層形成用塗布組成物に添加して用いられ、これにより、密着性が向上し、耐刷性を高めることが可能となる。また、非画像部領域の除去性を向上させるためには、ポリアクリル酸や、ポリスルホン酸のような親水性ポリマーを添加したり、これを含有する下塗り層を形成するといった手段をとればよく、これにより、非画像部の現像性が向上し、非画像部領域の汚れを効果的に抑制することが可能となる。
ここで使用する溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチルなどがある。これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。そして、塗布溶液中の固形分の濃度は、2〜50質量%が適当である。
本発明の平版印刷版原版を、走査露光用平版印刷版原版として用いる場合の記録層塗布量は、乾燥後の質量で約0.1〜約10g/m2の範囲が適当であり、より好ましくは0.5〜5g/m2である。
本発明の平版印刷版原版に用い得る支持体としては、表面が親水性の支持体が望ましく、従来公知の、平版印刷版に使用される親水性支持体であれば、特に限定無く使用することができる。
支持体基板は、寸度的に安定な板状物であることが好ましく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記のような金属がラミネートもしくは蒸着された紙もしくはプラスチックフィルム等が含まれる。支持体としては、これらの基材表面に、必要に応じ親水性の付与や、強度向上等の目的で適切な公知の物理的、化学的処理を施したものを用いることができる。
また、特公昭48−18327号公報に記載されているようなポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムシートが結合された複合体シートも好ましい。
このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本発明で用いられるアルミニウム板の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程度、好ましくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは0.2mm〜0.3mmである。
また、特開昭56−28893号公報に開示されているような機械的粗面化、化学的エッチング、電解グレイン、陽極酸化処理さらに珪酸ソーダ処理を順に行ったものも好適である。
その他好ましい例として、任意の支持体上に表面層として耐水性の親水性層を設けたものも挙げることができる。このような表面層としては例えばUS3055295号や、特開昭56−13168号公報記載の無機顔料と結着剤とからなる層、特開平9−80744号公報記載の親水性膨潤層、特表平8−507727号公報記載の酸化チタン、ポリビニルアルコール、珪酸類からなるゾルゲル膜等を挙げることができる。
本発明の平版印刷版原版を、走査露光用平版印刷版に用いる場合、記録層の上に、必要に応じて保護層を設けることができる。このような平版印刷版原版は、通常、露光を大気中で行うが、保護層は、感光層中で露光により生じる画像形成反応を阻害する大気中に存在する酸素や塩基性物質等の低分子化合物の感光層への混入を防止し、大気中での露光を可能とする。従って、このような保護層に望まれる特性は、酸素等の低分子化合物の透過性が低いことであり、更に、露光に用いる光の透過は実質阻害せず、感光層との密着性に優れ、かつ、露光後の現像工程で容易に除去できることが望ましい。
ガスレーザーとしては、Arイオンレーザー(364nm、351nm、10mW〜1W)、Krイオンレーザー(356nm,351nm,10mW〜1W)、He−Cdレーザー(441nm,325nm,1mW〜100mW)、固体レーザーとして、Nd:YAG(YVO4)とSHG結晶×2回の組み合わせ(355mm、5mW〜1W)、Cr:LiSAFとSHG結晶の組み合わせ(430nm,10mW)が挙げられる。半導体レーザー系としては、KNbO3、リング共振器(430nm,30mW)、導波型波長変換素子とAlGaAs、InGaAs半導体の組み合わせ(380nm〜450nm、5mW〜100mW)、導波型波長変換素子とAlGaInP、AlGaAs半導体の組み合わせ(300nm〜350nm、5mW〜100mW)、AlGaInN(350nm〜450nm、5mW〜30mW)、その他、パルスレーザーとしてN2レーザー(337nm、パルス0.1〜10mJ)、XeF(351nm、パルス10〜250mJ)が挙げられる。
特に、この中でAlGaInN半導体レーザー(市販InGaN系半導体レーザー400〜410nm、5〜30mW)が波長特性、コストの面で好適である。
上記の中でも、本発明に係る平版印刷版原版の像露光に用いられる光線の光源としては、近赤外から赤外領域に発光波長を持つ光源が好ましく、固体レーザ、半導体レーザが特に好ましい。
さらに、特開昭50−26601号公報、同58−54341号公報、特公昭56−39464号公報、同56−42860号に記載されている現像液も優れている。
また、現像液として、特願2001−62270明細書に記載の特定の芳香族ノニオン界面活性剤含有現像液を用いることが、ポリマーを主体とする重合性組成物を用いた本系に対し、現像性の点でより好ましい。
その他、本発明の平版印刷版原版の製版プロセスとしては、必要に応じ、露光前、露光中、露光から現像までの間に、全面を加熱してもよい。このような加熱により、記録層中の画像形成反応が促進され、感度や耐刷性の向上や、感度の安定化といった利点が生じ得る。さらに、画像強度・耐刷性の向上を目的として、現像後の画像に対し、全面後加熱もしくは、全面露光を行うことも有効である。通常現像前の加熱は150℃以下の穏和な条件で行うことが好ましい。温度が高すぎると、非画像部までがかぶってしまう等の問題を生じる。現像後の加熱には非常に強い条件を利用する。通常は200〜500℃の範囲である。この温度範囲においては、充分な画像強化作用が発揮され、支持体の劣化や画像部の熱分解といった問題を生じることもない。本発明による走査露光平版印刷版の露光方法は、公知の方法を制限なく用いることができる。
〔合成例1:重合性アルカリ可溶性樹脂(A−1)の合成〕
コンデンサー、攪拌機を取り付けた1000ml三口フラスコに、N,N−ジメチルアセトアミド 30mlを入れ、70℃に加熱した。窒素気流下、M−1(0.5mol)、メタクリル酸メチル(0.3mol)、メタクリル酸(0.2mol)、2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(和光純薬製)(0.001mol)の300mlのN,N−ジメチルアセトアミド溶液を2時間半かけて滴下した。更に、70℃で2時間反応させた。
反応混液をN,N−ジメチルアセトアミド 300mlで希釈、室温まで冷却した後、撹拌しながら、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(フリーラジカル)(0.2g)と、tert−ブタノール(5g)とを反応溶液に加え、0℃で1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(0.8mol)を2時間かけて滴下後、24時間室温で攪拌した。その後、0℃で塩酸により溶液を酸性とし、30分間0℃で攪拌した。そして、この溶液を激しく攪拌している水(5L)中に投入し、1時間攪拌した。析出した白色固体を、ろ別、乾燥することにより、本発明に係る重合性アルカリ可溶性樹脂(A−1)を得た。
得られたポリマー(A−1)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定したところ、重量平均分子量はポリスチレン換算で13.1万であった。さらに、同定はNMR、IRスペクトルより行った。
コンデンサー、攪拌機を取り付けた1000ml三口フラスコに、N,N−ジメチルアセトアミド 30mlを入れ、70℃に加熱した。窒素気流下、M−2(0.5mol)、フェニルメタクリレート(0.3mol)、メタクリル酸(0.2mol)、2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(和光純薬製)(0.001mol)の300mlのN,N−ジメチルアセトアミド溶液を2時間半かけて滴下した。更に、70℃で2時間反応させた。そして、この溶液を激しく攪拌している水(5L)中に投入し、1時間攪拌した。析出した白色固体を、ろ別、乾燥することにより、本発明に適用しうる重合性アルカリ可溶性樹脂(A−23)を得た。
得られたポリマー(A−23)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定したところ、重量平均分子量はポリスチレン換算で10.6万であった。さらに、同定はNMR、IRスペクトルより行った。
コンデンサー、攪拌機を取り付けた1000ml三口フラスコに、N,N−ジメチルアセトアミド 30mlを入れ、70℃に加熱した。窒素気流下、ヒドロキシエチルメタクリレート(0.5mol)、メタクリル酸メチル(0.2mol)、メタクリル酸(0.3mol)、2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(和光純薬製)(0.001mol)の300mlのN,N−ジメチルアセトアミド溶液を2時間半かけて滴下した。更に、70℃で2時間反応させた。反応混液を0℃に冷却した後、攪拌しながら、クロトン酸クロリド(0.55mol)を滴下し、徐々に室温まで昇温させながら、12時間反応させた。そして、この溶液を激しく攪拌している水(5L)中に投入し、1時間攪拌した。析出した白色固体を、ろ別、乾燥することにより、本発明に係る重合性アルカリ可溶性樹脂(A−30)を得た。
得られたポリマー(A−30)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定したところ、重量平均分子量はポリスチレン換算で11.9万であった。さらに、同定はNMR、IRスペクトルより行った。
(支持体の作製)
厚さ0.3mmのアルミニウム板を10質量%水酸化ナトリウムに60℃で25秒間浸漬してエッチングした後、流水で水洗後20質量%硝酸で中和洗浄し、次いで水洗した。これを正弦波の交番波形電流を用いて1質量%硝酸水溶液中で300クーロン/dm2の陽極時電気量で電解粗面化処理を行った。引き続いて1質量%水酸化ナトリウム水溶液中に40℃で5秒間浸漬後30質量%の硫酸水溶液中に浸漬し、60℃で40秒間デスマット処理した後、20質量%硫酸水溶液中、電流密度2A/dm2において、陽極酸化皮膜の厚さが2.7g/m2になるように、2分間陽極酸化処理した。その表面粗さを測定したところ、0.3μm(JIS B0601によるRa表示)であった。
・テトラエチルシリケート 50質量部
・水 20質量部
・メタノール 15質量部
・リン酸 0.05質量部
ジメチルフタレート 5質量部
フッ素系界面活性剤 0.7質量部
(N−ブチルペルフルオロオクタン
スルホンアミドエチルアクリレート/ポリオキシエチレン
アクリレート共重合体:分子量2万)
メタノールシリカゾル 50質量部
(日産化学工業(株)製、メタノール30質量%)
メタノール 800質量部
上記のようにバックコート層を設けたアルミニウム支持体上に、下記組成の光重合性組成物(記録層塗布液)を乾燥塗布量が1.5g/m2となるように塗布し、100℃で1分乾燥させ記録層を形成させた。
・重合性化合物((B)成分、表2〜表4に記載の化合物) 2.0g
・バインダーポリマー 2.0g
〔(A)重合性アルカリ可溶性樹脂、表2〜表4に記載の化合物〕
・増感色素((D)成分、表2〜表4に記載の化合物) 0.08g
・ラジカル開始剤((C)成分、表2〜表4に記載の化合物) 0.3g
・フッ素系ノニオン界面活性剤 0.01g
(大日本インキ化学工業(株)製、メガファックF−176)
・ビクトリアピュアブルーのナフタレンスルホン酸塩 0.04g
・メチルエチルケトン 9.0g
・プロピレングリコールモノメチルエーテル 8.0g
・メタノール 10.0g
前記記録層において、実施例1〜5、対照例1、比較例1〜5については、その記録層上にポリビニルアルコール(ケン化度98モル%、重合度550)の3質量%の水溶液を乾燥塗布質量が2g/m2となるように塗布し、100℃で2分間乾燥して保護層を設けた。即ち、後述の波長400nmで記録される実施例1、対照例1、比較例1、波長532nmで記録される実施例2〜4、比較例2〜4、及び、波長830nmで記録される実施例5、対照例2、比較例5の平版印刷版原版は、保護層を有するものである。
以上のようにして、実施例1〜7、対照例1、2の平版印刷版原版を作製した。
上記のように得られた平版印刷版原版に対して、各感材に応じたレーザーで走査露光を行った。露光条件の詳細は以下の通りである。
(1)実施例1、対照例1、比較例1の平版印刷版原版
得られた平版印刷版原版に対し、発振波長400nmのInGaN系半導体レーザを用い、版面でのビーム系25μm、露光エネルギー密度0.15mJ/cm2となる条件で、走査露光行った。
得られた平版印刷版原版に対し、FD−YAG(532nm)レーザ露光機(ハイデンベルグ社製プレートセッター:グーテンベルグ)を用い、版面露光エネルギー密度200μJ/cm2となるように露光した。
得られた各平版印刷版原版に、水冷式40W赤外線半導体レーザー(830nm)を搭載したCreo社製Trendsetter3244VFSにて、出力9W、外面ドラム回転数210rpm、版面エネルギー100mJ/cm2、解像度2400dpiの条件で露光した。
露光後、富士写真フイルム(株)製自動現像機スタブロン900Nに、下記の現像液とフィニッシャー富士写真フイルム(株)製FN−6の1:1水希釈液現像をそれぞれ仕込み、30℃で現像/製版し、平版印刷版を得た。
・水 800g
・DV−2(富士写真フイルム(株)製) 200g
得られた画像記録材料を、以下の方法で評価した。結果を以下に示す。
1.画質−耐刷性の評価
上記記録層を、そこに用いられた各重合性組成物に対応したレーザで走査露光し、0.5%網点(ハイライト)を形成し、露光後、上記記載の現像液で現像した。
このようにして画像形成された平版印刷版を、ハイデルKOR−D機で印刷後、刷了枚数を耐刷性の指標として相対比較した。
なお、露光波長に応じ対照例1、実施例2、対照例2をそれぞれ各露光系での基準とし100とした。製造上指標が大きいほど良好であり好ましい。この数字が大きいことは高精細なハイライト部がどれだけ耐刷性があるかを表しており、実質的に高画質であり、且つ、当該高画質部分の耐刷性に優れ、画質と耐刷性の両立を達成しているか否かの指標となる。
上記平版印刷版原版を各記録層に対応した波長のレーザで走査露光した。露光後、前記組成の現像液に25℃、10秒間浸漬し、現像を行い、画像ができるその最小露光量からそれぞれの露光条件での感度をmJ/cm2単位で算出し、感度の指標として相対比較した。即ち、それぞれの露光波長に応じて、対照例1、実施例2、対照例2を、それぞれ各露光系での基準とし、指標1.0とした相対感度で表示した。
相対感度=(基準感材の感度/対象感材の感度)と定義する。
相対感度は数値が大きい程、感度が良好であると評価する。
上記平版印刷版原版を高温条件下(60℃)に3日間放置し、その後、この保存後の平版印刷版原版を上記の現像液に浸漬して記録層が現像により除去される時間を測定した。さらに、高温条件下で保存しなかった製造直後の平版印刷版原版においても同様の試験を行い、高温保存前後における現像できるまでの時間の比を求めた。この時間比が1.1以下であることが製造上好ましく、保存安定性においても良好といえる。
前記各評価の結果は前記表2〜表4に併記する。
Claims (3)
- (A)ラジカル重合性基を有するアルカリ可溶性樹脂と、(B)重合性化合物と、(C)ラジカル開始剤とを含有し、
(B)重合性化合物同士の反応性が、(B)重合性化合物と(A)ラジカル重合性基を有するアルカリ可溶性樹脂との反応性より大きく、且つ、(B)重合性化合物と(A)ラジカル重合性基を有するアルカリ可溶性樹脂との反応性が、(A)ラジカル重合性基を有するアルカリ可溶性樹脂同士の反応性より大きく、且つ、(A)アルカリ可溶性樹脂が有するラジカル重合性基(a)と、(B)重合性化合物が有する重合性基(b)との組み合わせが以下に挙げる組み合わせから選択されることを特徴とする重合性組成物。
重合性基(b)/ラジカル重合性基(a):アクリレート/クロトネート、アクリレート/メタクリルアミド、メタクリレート/メタクリルアミド、メタクリレート/スチレン、メタクリレート/イタコネート、メタクリレート/マレイミド - さらに、(D)増感色素を含有することを特徴とする請求項1に記載の重合性組成物。
- 支持体上に、(A)ラジカル重合性基を有するアルカリ可溶性樹脂と、(B)重合性化合物と、(C)ラジカル開始剤とを含有し、
(B)重合性化合物同士の反応性が、(B)重合性化合物と(A)ラジカル重合性基を有するアルカリ可溶性樹脂との反応性より大きく、且つ、(B)重合性化合物と(A)ラジカル重合性基を有するアルカリ可溶性樹脂との反応性が、(A)ラジカル重合性基を有するアルカリ可溶性樹脂同士の反応性より大きく、且つ、(A)アルカリ可溶性樹脂が有するラジカル重合性基(a)と、(B)重合性化合物が有する重合性基(b)との組み合わせが以下に挙げる組み合わせから選択される重合性組成物からなる記録層を有することを特徴とする平版印刷版原版。
重合性基(b)/ラジカル重合性基(a):アクリレート/クロトネート、アクリレート/メタクリルアミド、メタクリレート/メタクリルアミド、メタクリレート/スチレン、メタクリレート/イタコネート、メタクリレート/マレイミド
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