JP4437909B2 - リサイクル性を向上するギア等周面に摺動用耐圧面を備えた回転体の製造方法 - Google Patents

リサイクル性を向上するギア等周面に摺動用耐圧面を備えた回転体の製造方法 Download PDF

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本発明は、例えば自動車のギア、高面圧が負荷されるスプロケットや、カム等周面に摺動用耐圧面を備えたリサイクル性を向上する回転体の製造方法に関する。
従来、この種のものとしてC、Mo、Niを含有する鉄基焼結合金からなる焼結スプロケットが公知であり、また焼結スプロケットの製造方法として粉末成形体を仮焼結した後にサイジングし、次いで、この仮焼結材をプレス成形し、本焼結した後にサイジングし、そして、その際のプレス成形とサイジングを2回づつ行うことによりスプロケットの密度を増加させるものが公知である。(例えば、特許文献1参照)。
さらに高温安定性を備えた潤滑材と黒鉛粉と粉末冶金用鉄粉を混合した粉末を100℃以上に加熱し、120℃以上に加熱した金型を用いて圧縮成形を行い、その後1180℃以上の高温で焼結すると共に、前記粉末冶金用鉄粉がNi:2.0〜5.0%、Mo:0.2〜1.0%、Cu:0.5〜2.0%、残部Feおよび不可避不純物からなり、該鉄粉が鉄粒子の回りにNi,Mo,Cuの金属粒子が拡散接合されてなるサイレントチェーン用焼結スプロケットの製造方法が公知である(例えば、特許文献2参照)。
また、スプロケットの歯面の耐摩耗性を改善するため、歯面の密度を向上させる手段として、2回成形2回焼結によりスプロケットを製造したり、温間成形によりスプロケットを製造したり、さらにスプロケットの焼結成形後に、密閉型内で熱間精密鍛造を施し、機械的性質を向上させる焼結鍛造法や、スプロケットの焼結後に、ダイスとしてのギヤを焼結金属製スプロケットに噛み合わせるギヤ転造法も公知である(例えば、特許文献3参照)。
特開2002−129295号公報(段落0003,0004) 特開2001−295915号公報(段落0009,0010) 特開特開2001−25838号公報(段落0002,0003)
前記合金中に含まれるC、Mo、Cu、Ni等は材料強度や耐摩耗性の向上に寄与するものである。ところで、このような合金をリサイクルするには、合金を溶融して各種の成分に分離をする必要があるが、Ni、Cuは回収し難くい。これは鉄(Fe)が遷移金属元素のうちVIII族であるのに対して、Niは遷移金属元素のうちVIII族、CuはIb族であり、このような元素は還元しやすく、この結果このような成分を有する焼結体はリサイクルし難いという問題がある。一方、Cと残部Fe及び不可避不純物のみからなる粉末冶金用鉄粉を成形し粉末成形体を成形した後に焼結した焼結体は、リサイクル性には優れるものの、強度や表面の耐摩耗性に劣る問題がある。
そして、このようなリサイクル可能な金属材料の材料強度や耐摩耗性を向上させる手段として、前記焼結鍛造法やギヤ転造法が公知であるが、このような手段による製造方法であっても、前者は表層部に欠陥が発生しやすく、後者は密度向上に限界があり、ギア、高面圧が負荷されるスプロケット、カム等周面に摺動用耐圧面を備えた回転体には適しないものであった。また2回プレス2回焼結を行った後にギア転造する方法ではコスト高が問題となる。
そこで、本発明は、リサイクル可能であって、周面の密度を高めて摺動面における耐圧を向上することができるギア等周面に摺動用耐圧面を備えた回転体の製造方法を提供することを目的とする。
請求項1の発明は、粉末冶金用の原料粉末を成形型本体に収容して粉末成形体を加圧成形した後、該粉末成形体を焼結して形成するギア等周面に摺動用耐圧面を備えた回転体の製造方法であって
内周面に前記摺動用耐圧面の成形部を形成した前記成形型本体に予め潤滑層を形成した後に、前記原料粉末として、炭素粉と、遷移金属元素のうちIIIa族、IVa族、Va族、VIa族、VIIa族の少なくとも1種類の元素を含有し残部Fe及び不可避不純物のみからなる鋼粉を収容して前記粉末成形体を加圧成形する工程、及び
前記粉末成形体を焼結した焼結体を転造した後、さらに熱処理する工程を有し、
前記潤滑層は、水溶性の潤滑剤の濃度が1PPM〜飽和濃度の水溶液を前記成形部に付着させ、該水溶液を蒸発させることで形成された、厚みを均一に有している前記潤滑剤の晶出層からなることを特徴とするリサイクル性を向上するギア等周面に摺動用耐圧面を備えた回転体の製造方法であり、成形部に潤滑層を形成することで、成形部により粉末成形体を成形する際に、成形部と鋼粉との潤滑性が向上して、粉末成形体の表面密度を向上することができる。粉末成形体、ひいては摺動用耐圧面の表面の密度を向上することで、摺動用耐面圧を大きくすることができると共に、焼結体のリサイクルも行いやすい。また、晶出層により成形部の潤滑層を均一な層に形成することができ、このため成形部に粉末冶金用鋼粉を収容し前記粉末成形体を成形した際、粉末成形体、ひいては摺動用耐圧面の表面の密度を均一にすることができる。粉末成形体、ひいては摺動用耐圧面の表面の密度を均一にすることで、摺動用耐面圧をいっそう大きくすることができる。さらに、周面を正確に形成することができると共に緻密にすることができる。摺動用耐圧面の精度を向上でき、さらに密度を向上して摺動用耐面圧を向上することができる。
請求項2の発明は、前記遷移金属元素がCr、Mn、Moであることを特徴とする請求項1記載のギア等周面に摺動用耐圧面を備えた回転体の製造方法であり、Cr、Mn、Moを含有せしめて、焼結金属の強度を高める。
請求項1の発明によれば、成形部に潤滑層を形成することで、成形部により粉末成形体を成形する際に、成形部と鋼粉との潤滑性が向上して、粉末成形体の表面密度を向上することができる。粉末成形体、ひいては摺動用耐圧面の表面の密度を向上することで、摺動用耐面圧を大きくすることができると共に、焼結体のリサイクルも行いやすい。また、粉末成形体、ひいては摺動用耐圧面の表面の密度を均一にすることで、摺動用耐面圧をいっそう大きくすることができる。さらに、摺動用耐圧面の精度を向上でき、さらに密度を向上して摺動用耐面圧を向上することができる。
請求項2の発明によれば、焼結金属の強度をリサイクルが比較的容易な元素を利用して高めることができる。
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。例えば、回転体としては、高面圧が負荷されるスプロケット、カム等でもよい。この場合には歯、カム面が摺動用耐圧面となる。
以下、本発明の一実施例を添付図を参照して説明する。実施例は図6に示すような円盤状本体Bの外周面に沿って摺動用耐圧面たる歯Tを並設した回転体としてのギアGの場合を示している。尚、歯Tにおける具体的な摺動用耐圧面はチェーンのローラが接触する歯面である。
次に製造工程について説明する。図1は第1工程を示しており、同図において、1は後述する圧粉体たる粉末成形体Aを成形する成形型本体たるダイ2に形成した貫通孔であり、該貫通孔2の下方より下パンチ3が嵌合され、一方貫通孔2の上方より上パンチ4が嵌合されるようになっている。そして、貫通孔1の内周面により前記歯Tが成形されるように成形部1Aが内周面により形成されている。成形部1Aは歯Tを成形するため、貫通孔2の軸芯Zを中心として凹凸が環状に形成されている。さらに、ダイ2の上面に原料粉末Mを供給する原料供給体たるフィーダー5が摺動自在に設けられている。さらに、貫通孔2の上方に潤滑剤の溶液Lを噴霧して溶液Lを成形部1Aに付着する付着手段たる噴霧部6が設けられており、該噴霧部6は貫通孔2に臨むように設けられると共に、溶液Lのタンク(図示せず)に自動開閉弁(図示せず)を介して接続されている。また、貫通孔1と該貫通孔1に嵌合した下パンチ3とで形成される粉末成形体Aの成形部1Aの周囲にヒータ7と温度検出部8が設けられ、そして、これらヒータ7と温度検出部8は温度制御手段たる温度制御装置9に接続され、該温度制御装置9により貫通孔2の温度を溶液Lの蒸発温度より高く、かつ潤滑剤の溶融温度よりも低く制御するようになっている。
そして、第1工程においては、予め温度制御装置9により制御されたヒータ7の熱により成形部1Aの周面は溶液Lの蒸発温度より高く、かつ潤滑剤の溶融温度よりも低く設定されている。そして、貫通孔1に下パンチ3が嵌合して有底な成形用空間部が形成されている状態で、自動開閉弁を開いて噴霧部6より潤滑剤の溶液Lを、ヒータ7により加熱されたダイ2の成形部1Aに吹き付けて付着させる。この結果、溶液Lは蒸発、乾燥して成形部1Aには結晶が成長して前記潤滑剤の晶出層Bが潤滑層として均一に形成される。
次に図2の第2工程に示すように、フィーダー5が前進して原料粉末Mを有底状態の貫通孔1に落下させて充填する。前記原料粉末Mとしては、符号M1で示した炭素C:0.1〜1.0重量%と、符号M2で示すモリブデンMo:0.1〜2.0重量%を含有せしめたFeからなる鋼粉である。尚、鋼粉には必要に応じて潤滑剤、例えばステアリン酸リチウムを混合するようにしてもよく、またモリブデンMoにかえてクロムCr、マンガンMnの粉、或いはこれらモリブデンMo、クロムCr、マンガンMnの粉をいずれか2種類、またはモリブデンMo、クロムCr、マンガンMnの3種類の粉を混合してもよい。そして、鉄Feは元素の周期表(長周期型)におけるVIII族の遷移金属元素に属するものの、クロムCr、モリブデンMoは、IVa族の遷移金属元素に属し、マンガンMnはVIIa族の遷移金属元素に属すものである。
次に図3の第3工程に示すように、ダイ2を下方に移動させると共に、貫通孔1に上方から上パンチ4を挿入し、上パンチ4と下パンチ3とで挟むようにして原料粉末Mを圧縮する。この時、下パンチ3は、下端が固定されており動かないようになっている。そして、この第3工程において、ギアGの歯Tを形成する成形部1Aに接する或いはその近傍の原料粉末Mは、潤滑剤により形成されている晶出層Bに潤滑状態で圧縮される。
このように加圧成形された粉末成形体Aは、ダイ2がさらに下方に下がり、図4の第4工程で示すように下パンチ3の上面がダイ2の上面と略同じ高さになったとき取出し可能となる。この取り出しの際においても、潤滑剤により形成されている晶出層Bに粉末成形体AにおけるギアGの歯Tを形成する部位は潤滑状態で接触する。このようにして、粉末成形体Aが取出された後、再び第1工程に戻って再び成形部1Aに溶液Lが噴霧されて晶出層Bが形成された後に、原料粉末Mが成形部1Aに充填されるものである。
このようにして粉末成形体Aを成形した後に、第5工程として粉末成形体Aを図示しない焼結炉に収容して雰囲気ガス中で焼結を行うものである。
この後、焼結して得られたものを研磨などの後処理を行ってギアGの製造を行うものである。
尚、焼結して得られたものを必要に応じて図5で示した転造による第6工程による転造及び熱処理を行う。これは粉末成形体Aを第5工程で焼結した焼結体の外周面を、歯Tの歯形を型取った凹状の転造用工具11に押接して、前記転造用工具11の歯形を転写して前記ギアGにおける歯Tの歯面の密度を向上し、さらに熱処理を行うことで歯Tの硬度などを向上するものである。
尚、晶出層を形成するための前記潤滑剤は、水溶性のりん酸系金属塩として、りん酸水素2カリウム、りん酸水素2ナトリウム、りん酸3カリウム、りん酸3ナトリウム、ポリりん酸カリウム、ポリりん酸ナトリウム、りん酸リボフラビンカリウム、りん酸リボフラビンナトリウム等の様に構造中にりん酸系の基を含むものが好適である。
水溶性の硫黄酸塩系金属塩として、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム、チオ硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸カリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼン硫酸カリウム、ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、食用青色1号(C37H34N2Na2O9S3)、食用黄色5号(C16HlON2Na2O7S2)、アスコルビン酸硫酸エステルカリウム、アスコルビン酸硫酸エステルナトリウム等の様に構造中に硫酸系の基を含むものが好適である。
水溶性のほう酸系金属塩として、四ほう酸カリウム、四ほう酸ナトリウム等の様に構造中にほう酸系の基を含むものが好適である事が表1〜3からわかる。
水溶性のけい酸系金属塩として、けい酸カリウム、けい酸ナトリウム等の様に構造中にけい酸系の基を含むものが好適である。
水溶性のタングステン酸系金属塩として、タングステン酸カリウム、タングステン酸ナトリウムの様に構造中にタングステン酸系の基を含むものが好適である。
水溶性の有機酸系金属塩として、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸ナトリウム、アスコルビン酸カリウム、アスコルビン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸ナトリウム等の様に構造中に有機酸系の基を含むものが好適である。
水溶性の窒素酸系金属塩として、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム等の様に構造中に窒素酸系の基を含むものが好適である事が表1〜3からわかる。
水溶性の炭酸系金属塩として、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム等の様に構造中に炭酸系の基を含むものが好適である。
これらの挙げられた様な潤滑剤の1種又は2種以上を用いることができる。
そして、水溶性潤滑剤の濃度は、前記晶出層Bの厚みが前記潤滑剤の1分子により形成される濃度以上で飽和濃度未満とする。具体的には1PPM〜飽和濃度とする。これは、1PPM未満では、成形型に付着する潤滑剤が多量でなければ安定して潤滑性が得られる晶出の被膜が得難いためであり、飽和濃度以上では、潤滑剤が溶解しきれず固体となって沈殿し、噴霧部6による付着を行なう場合、噴務部6が詰まる等の不具合が発生するためである。
また、溶解する水は、蒸留水やイオン交換水といった金属成分やハロゲン元素成分を取り除いた水が好ましい。潤滑剤の種類によっては、容易に水中の金属成分と置換して沈殿物を生成して不具合を起こす場合があり、また、ハロゲン成分が多量に含まれていた場合、圧粉体がびやすくなったり、焼結時にダイオキシン等の有害物質が生成したりする不具合を起こす場合があるためである。
さらに、潤滑剤の種類によっては、微生物が繁殖して腐りやすいという問題があり、成分が変化したり悪臭が発生する場合があるが、防腐剤を添加することで微生物の発生を防止することができる。防腐剤には、安息香酸ナトリウム等の潤滑性を損なわず、人体に対する有害性が低く、ハロゲン元素成分を含まないものが好ましい。
また、潤滑剤の種類によっては、泡が発生しやすいという問題があり、溶液Lを成形部1Aに付着させたときに、泡が発生して原料粉末が固まるおそれがあるが、アルコールやケトンといった水溶性の溶媒や消泡剤を添加することで泡の発生を防止することができる。アルコールやケトンには、エタノールやアセトン等の潤滑性を損なわず、人体に対する有害性が低く、ハロゲン元素成分を含まないものが好ましい。
アルコールやケトンといった水溶性の溶媒には、水よりも沸点や蒸発潜熱の低いものを使用することで、蒸発、乾燥時間を短くしたり、成形型本体2を高温にする必要がなくなる場合もある。
これらの潤滑剤及び添加物、溶解する水にはハロゲン元素が含まれていると、炭素成分の共存中で焼結するという鉄系の粉末冶金でよく使用される条件ではダイオキシン等の微量で毒性の高い成分の生成が懸念されるため、ハロゲン元素を含ませないことが好ましい。
成形型本体2の温度や混合した原料粉末Mは、高温にした方が乾燥時間の短縮や温間成形の効果等があるため好ましいが、不具合がなければ常温でもよい。高温にする場合は、原料粉末が固まったり潤滑剤が金型(成形部1A)の底へ流れ落ちるため安定して温間成形することが困難であるため設定温度で溶融しない潤滑剤の選定が好ましいが、不具合がなければ半溶融状態や高粘性状態、2種以上の潤滑剤配合の1種以上が溶融状態でもよい。従来使用されていたステアリン酸亜鉛は約120°C、ステアリン酸リチウムは約220°Cで溶融するためそれ以上の温度で安定して温間成形することが困難であったが、本発明の潤滑剤の中には220°C以上で溶融しないものは多数存在し、中には1000°Cを超えても溶融しないものも含まれているため、金型(成形部1A)の耐熱温度や原料粉末の酸化温度ぎりぎりまで高温にして容易に安定して温間成形することが可能である。
以上のように、前記実施例では内周面に歯Tの成形部1Aを形成した貫通孔1に予め潤滑層Bを形成した後に、粉末冶金用鉄粉を収容して粉末成形体を加圧成形する際、成形部1Aと原料粉末との潤滑性を向上して、粉末成形体における歯Tに相当する部位の密度を高めて摺動用耐面圧の向上を図ることができると共に、原料粉末Mとして遷移金属元素のうちIIIa族、IVa族、Va族、VIa族、VIIa族の少なくとも1種類を含有するFe及び不可避不純物のみからなることにより、焼結合金を各種の単元素の金属として取り出し易くリサイクル性を向上することができる。
さらに、前記遷移金属元素をCr、Mn、Moとすることで、焼結金属の強度を高めることができると共に、これらの元素を回収してリサイクルを容易に行うことができる。
また、前記潤滑層を、潤滑剤を溶媒に溶解した溶液を前記成形部1Aに付着させ、該溶液を蒸発させた晶出層Bにより形成することにより、歯Tを成形する成形部1Aの潤滑層を均一な層に形成することができ、粉末成形体A、ひいては歯Tの表面の密度を均一にすることで、摺動用耐面圧をいっそう大きくすることができる。
さらに、前記粉末成形体Aを焼結した焼結体を転造した後、さらに熱処理することで、歯Tの金属組織を緻密にして摺動用耐面圧をいっそう向上することができる。
以上のように本発明にかかる回転体は、例えば、高面圧が負荷されるスプロケット、カム等の用途にも適用できる。この場合には歯、カム面が摺動用耐圧面となる。さらに例えば、潤滑層としては、晶出層により形成するものではなく、成形部に高級脂肪酸系潤滑剤を塗布して潤滑層を形成したり、或いは高級脂肪酸系潤滑剤を水に分散したものを、成形部に吹き付け等により塗布し、そして加熱された成形型本体により水を蒸発させて潤滑層を形成してもよい。また、前記実施例において潤滑剤を溶媒に溶解した溶液とは、潤滑剤を溶媒に一部でも溶解したものを含んでいるものでもよい。また、前記原料粉末を充填する前に、前記溶液を前記成形部に付着させ、該溶液を蒸発させて前記成形部に晶出層を形成した後にパンチを前記成形部に嵌合して粉末成形体を成形するものであるが、前記原料粉末を充填する前に必ず溶液を前記成形部に付着させ、該溶液を蒸発させて前記成形部に晶出層を形成する必要はなく、例えば始めの粉末成形体の成形後に、溶液を前記成形部に付着させずに始めの晶出層を利用してそのまま原料粉末を充填して次の成形を行い、次に3回目の原料粉末を充填する前に溶液を前記成形部に付着させ、該溶液を蒸発させて前記成形部に2回目の晶出層を形成するように断続的な連続により溶液を前記成形部に付着させるようにしてもよい。
本発明の第1実施例を示す第1工程の断面図である。 本発明の第1実施例を示す第2工程の断面図である。 本発明の第1実施例を示す第3工程の断面図である。 本発明の第1実施例を示す第4工程の断面図である。 本発明の第1実施例を示す第6工程の平面図である。 本発明の第1実施例を示すギアの平面図である。
符号の説明
1A 成形部
2 成形型本体
11 転造用工具
A 粉末成形体
B 晶出層(潤滑層)
M 原料粉末
G ギア(回転体)
T 歯(摺動用耐圧面)

Claims (2)

  1. 粉末冶金用の原料粉末を成形型本体に収容して粉末成形体を加圧成形した後、該粉末成形体を焼結して形成するギア等周面に摺動用耐圧面を備えた回転体の製造方法であって
    内周面に前記摺動用耐圧面の成形部を形成した前記成形型本体に予め潤滑層を形成した後に、前記原料粉末として、炭素粉と、遷移金属元素のうちIIIa族、IVa族、Va族、VIa族、VIIa族の少なくとも1種類の元素を含有し残部Fe及び不可避不純物のみからなる鋼粉を収容して前記粉末成形体を加圧成形する工程、及び
    前記粉末成形体を焼結した焼結体を転造した後、さらに熱処理する工程を有し、
    前記潤滑層は、水溶性の潤滑剤の濃度が1PPM〜飽和濃度の水溶液を前記成形部に付着させ、該水溶液を蒸発させることで形成された、厚みを均一に有している前記潤滑剤の晶出層からなることを特徴とするリサイクル性を向上するギア等周面に摺動用耐圧面を備えた回転体の製造方法。
  2. 前記遷移金属元素がCr、Mn、Moであることを特徴とする請求項1記載のリサイクル性を向上するギア等周面に摺動用耐圧面を備えた回転体の製造方法。
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