JP4435508B2 - 固体高分子型燃料電池用セパレータ - Google Patents

固体高分子型燃料電池用セパレータ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池セパレータ及び固体高分子型燃料電池に関し、更に詳述すると、柔軟性、ガスバリア性、耐久性に優れた燃料電池セパレータおよびこの燃料電池セパレータを一部又は全部に用いた高いガスシール性と優れた耐衝撃性を有し、自動車等の移動用電源および携帯機器用電源として好適な固体高分子型燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体高分子型燃料電池は、水素を含む燃料ガスと、酸素を含む燃料ガス(酸化剤)とを、電気化学的に反応させることで、電力と熱とを同時に発生させるものである。その構造は、まず、プロトン伝導性を有する高分子電解質膜の両面に、白金系の金属触媒を担持したカーボン粉末を主成分とする触媒反応層を形成する。次に、この触媒反応層の外面に、燃料ガスの通気性と、電子導電性を併せ持つカーボンペーパー等で拡散層を形成し、この拡散層と触媒反応層とを合わせて電極とする。一般に、高分子電解質膜と電極を積層したものを電極電解質膜接合体(MEA)と呼ぶ。
次に、供給する燃料ガスが外にリークしたり、二種類の燃料ガスが互いに混合しないように、MEAの周囲にはガスシール材やガスケットを配置する。MEAの外側には、これを機械的に固定するとともに、隣接したMEAを互いに電気的に直列に接続するための導電性のセパレータを配置する。セパレータのMEAと接触する部分には、電極面に反応ガスを供給し、生成ガスや余剰ガスを運び去るためのガス流路を形成する。ガス流路はセパレータと別に設けることもできるが、セパレータの表面に溝を設けてガス流路とする方式が一般的である
【0003】
また、燃料電池は運転中に発熱するので、電池を良好な温度状態に維持するために、冷却水等で冷却する必要がある。通常、1〜3セル毎に冷却水を流す冷却部をセパレータとセパレータとの間に挿入するが、セパレータの背面に冷却水流路を設けて冷却部とする場合が多い。これらのMEAとセパレータおよび冷却部を交互に重ねていき、10〜200セル積層した後、集電板と絶縁板を介し、端板でこれを挟み、締結ボルトで両端から固定するのが一般的な積層燃料電池の構造である。
【0004】
上記のMEA、ガスケットおよびセパレータからなる燃料電池単セルにはガスシール性と燃料電池の組み立て時のボルトとナットによる締め付けで割れやヒビが生じないこと、特に移動用電源として用いる場合には優れた耐衝撃性を有することが強く望まれている。セパレータおよびガスケットはMEAと接触することから、耐酸性および水素/酸素を酸化還元する際の反応に対して高い耐食性を有する必要する。
【0005】
この要求を満たすため、MEAの周縁に柔軟性を有する低硬度のエラストマーガスケットを設けてシール性、組み立て容易性を向上させた燃料電池が提案されている(特許文献1)。また、セパレータと電解質膜との接着面に弾性率が10MPa以下のゴム変性接着剤を塗布して接着することにより、ガスシーリング性を高めた燃料電池が提案されている(特許文献2)。更に、一対の反応性電極を一対のセパレータで挟持する際に、セパレータ間の電極周辺部の空隙又はセパレータの電極周縁部分にポリイソブチレン系高分子材料からなるガスケットシール材を配置した燃料電池が提案されている(特許文献3)。
【0006】
しかしながら、従来の燃料電池のセパレータには、グラッシーカーボンやフェノール樹脂等に黒鉛を配合した熱硬化樹脂や金属板が用いられている。これらの材料は、柔軟性が低いためセパレータに厚みむらや寸法変化がある場合、エラストマー性ガスケットを取り付けたり、セパレータとMEAとの間をシールしたりしても、十分なガスシール性は得るのが困難である。また、燃料電池を組み立てる際のボルトとナットによる締め付けでセパレータに割れが発生し、これらの割れからガス漏れが生じてしまうという問題がある。
このため、導電材と熱可塑性エラストマーからなる熱可塑性重合体組成物を用いたセパレータが提案されている(特許文献4)が、従来の熱可塑性エラストマーでは耐酸性および耐食性が不十分であり、耐久性に問題がある。また、燃料ガスのバリア性も十分とは言えない。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−219714号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】
特開平11−154522号公報(特許請求の範囲)
【特許文献3】
特開平11−345620号公報(特許請求の範囲)
【特許文献4】
特開2001−313045公報(特許請求の範囲)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
したがって本発明は、柔軟性、ガスバリア性および耐久性に優れた燃料電池セパレータ及び燃料電池を組み立てる際の締め付けによりセパレータに割れの発生がなく、高いガスシール性と優れた耐衝撃性を備えた固体高分子型燃料電池を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、熱可塑性重合体として特定のイソブチレン系ブロック共重合体を用い、この特定のイソブチレン系ブロック共重合体と導電材とを配合することにより、柔軟性、ガスバリア性および耐久性に優れた高品質な燃料電池セパレータが得られること見出した。また、この燃料電池セパレータを用いて燃料電池を組み立てる際に、ボルトとナットで締め付けてもセパレータに割れが生じることがなく、高いガスシール性と優れた耐衝撃性を有し、自動車等の移動用電源や携帯機器用電源として最適な固体高分子型燃料電池が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち本発明は、導電材100質量部と熱可塑性重合体10〜100質量部とを含有する熱可塑性重合体組成物を成形してなる燃料電池セパレータにおいて、熱可塑性重合体が、イソブチレン重合体ブロックの少なくとも1個と芳香族ビニル化合物重合体ブロックの少なくとも1個とからなるブロック共重合体であることを特徴とする燃料電池セパレータである
【0011】
そして本発明は、上記の燃料電池セパレータを配置してなる固体高分子型燃料電池である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について更に詳しく説明する。
本発明の燃料電池セパレータは、導電材と熱可塑性重合体とを主成分とする熱可塑性重合体組成物を成形することにより得ることができる。
【0013】
ここで、上記導電材としては、カーボンブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、カーボンウイスカー、黒鉛、金属ファイバ、酸化チタン、酸化ルテニウム等の金属粉末などが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、特に黒鉛が好ましい。
【0014】
この場合、黒鉛は、天然に産出したものであっても人工的に製造したものであってもよく、鱗片状、針状、球状などの如何なる形状の黒鉛であっても構わない。黒鉛の平均粒径は好ましくは1000μm以下、より好ましくは30〜1000μm、更に好ましくは50〜500μmである。黒鉛の平均粒径が小さすぎると組成物の流動性が低下し、射出成形することが困難となる場合がある。一方、黒鉛の平均粒径が大きすぎると成形したセパレータの機械的強度が低下する場合がある。
【0015】
また、本発明で用いる導電材としては、黒鉛と共に導電性に優れたケッチェンブラック若しくはアセチレンブラック又はこれらの混合物を添加したものを用いることが好ましい。このケッチェンブラック若しくはアセチレンブラック又はこれらの混合物の添加量は導電材全量の1〜30質量%であることが好ましい。
【0016】
このように導電材として、黒鉛にケッチェンブラック若しくはアセチレンブラック又はこれらの混合物を混合したものを用いる場合には、予めケッチェンブラック若しくはアセチレンブラック又はこれらの混合物を熱可塑性重合体と十分混練した後、黒鉛を添加混合することが導電性をより向上させる上で好ましい。
【0017】
上記の熱可塑性重合体としては、特定のイソブチレン系ブロック共重合体を用いる。この特定のイソブチレン系ブロック共重合体としては、芳香族ビニル化合物単位から主としてなる重合体ブロック[以下、これを「芳香族ビニル化合物系重合体ブロック(a)」ということがある]の少なくとも1つと、イソブチレン単位から主としてなる重合体ブロック[以下、これを「イソブチレン系重合体ブロック(b)」ということがある]の少なくとも1つとからなるブロック共重合体である。
【0018】
芳香族ビニル化合物系重合体ブロック(a)は、芳香族ビニル化合物からなる構造単位から主としてなり、他の共重合性単量体からなる構造単位を少量有していても良い重合体ブロックである。芳香族ビニル化合物系重合体ブロック(a)を構成する芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、モノフルオロスチレン、ジフルオロスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、α−メチルスチレン、メトキシスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、t−ブチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、ビニルナフタレン、アセトナフチレンビニルアントラセン、インデン、などのビニル芳香族化合物を挙げることができ、芳香族ビニル化合物系重合体ブロック(a)は前記した芳香族ビニル化合物の1種のみからなる構造単位を有していてもよいし、2種以上からなる構造単位を有していてもよい。そのうちでも、芳香族ビニル化合物系重合体ブロック(a)はスチレン、p−メチルスチレン、またはα−メチルスチレンからなる構造単位から主としてなっていることが好ましく、α−メチルスチレンが特に好ましい。
【0019】
また、芳香族ビニル化合物系重合体ブロック(a)が芳香族ビニル化合物からなる構造単位と共に他の共重合性単量体からなる構造単位を有している場合は、該他の共重合性単量体からなる構造単位の割合は、芳香族ビニル化合物系重合体ブロック(a)の総量に基づいて30質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。その際の他の共重合性単量体としては、例えば1−ブテン、ペンテン、ヘキセン、ブタジエン、2,3−ジメチル1,3−ブタジエン、イソプレン、メチルビニルエーテルなどの共重合性単量体を挙げることができる。
【0020】
そして、ブロック共重合体におけるイソブチレン系重合体ブロック(b)は、イソブチレンからなる構造単位から主としてなり、場合により他の共重合性単量体からなる構造単位を少量含有する重合体ブロックである。イソブチレン系重合体ブロック(b)がイソブチレンからなる構造単位と共に他の共重合性単量体からなる構造単位を有している場合は、該他の共重合性単量体からなる構造単位の割合は、イソブチレン系重合体ブロック(b)の質量に基づいて30質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。その際の他の共重合性単量体としては、例えば1−ブテン、ブタジエン、2,3−ジメチル1,3−ブタジエン、イソプレン、メチルビニルエーテル、ペンテン、ヘキセンなどの重合性単量体を挙げることができる。
【0021】
本発明に用いるブロック共重合体では、重合体組成物のガスバリア性および力学的特性などの点から、芳香族ビニル化合物系重合体ブロック(a)とイソブチレン系重合体ブロック(b)との割合が、5:95〜80:20の質量比であることが好ましく、10:90〜70:30の質量比であることがより好ましい。
【0022】
ブロック共重合体における芳香族ビニル化合物系重合体ブロック(a)とイソブチレン系重合体ブロック(b)の結合形態などは特に限定されず、芳香族ビニル化合物系重合体ブロック(a)とイソブチレン系重合体ブロック(b)とがブロック状に結合しているブロック共重合体であればいずれでもよく、例えば、下記の一般式(I)〜(III);
【0023】
【化1】
a−b (I)
a−(b−a) (II)
b−(a−b) (III)
[式中、aは芳香族ビニル化合物系重合体ブロック(a)、bはイソブチレン系重合体ブロック(b)、mおよびnは1以上の整数(例えば1〜5)を示す。]
で表されるブロック共重合体などを挙げることができる。
【0024】
そのうちでも、本発明では、ブロック共重合体が、上記の一般式(II)で表されるブロック共重合体において、mが1であるブロック共重合体、すなわち、芳香族ビニル化合物系重合体ブロック(a)−イソブチレン系重合体ブロック(b)−芳香族ビニル化合物系重合体ブロック(a)というブロック構造を有するトリブロック共重合体であることが取り扱い性、力学物性、入手の容易性などの点から好ましい。
【0025】
また、ブロック共重合体において、芳香族ビニル化合物系重合体ブロック(a)の数平均分子量は、2,500〜50,000の範囲が好ましく、5,000〜40,000の範囲がより好ましい。イソブチレン系重合体ブロック(b)の数平均分子量は、5000〜100,000の範囲が好ましく、10000〜80,000の範囲がより好ましい。ブロック共重合体の全体の数平均分子量は、10000〜200000の範囲が好ましく、20000〜160000の範囲がより好ましい。
【0026】
ブロック共重合体は、場合により、分子鎖の途中および/または分子鎖末端に、塩素原子や臭素原子などのハロゲン原子、カルボキシル基、水酸基、酸無水物基、エポキシ基などの官能基を有していてもよい。
【0027】
ブロック共重合体の製造法や入手法などは特に制限されず、上記した芳香族ビニル化合物系重合体ブロック(a)およびイソブチレン系重合体ブロック(b)を有するブロック共重合体であればいずれも使用でき、例えば重合体組成物用に前記ブロック共重合体を製造してもよいし、または市販されているブロック共重合体をそのまま用いてもよい。
【0028】
上記ブロック共重合体の製造法については何ら限定されるものではなく、従来公知の方法を採用して製造することができる。例えば、カチオン重合法により製造する場合には、ルイス酸およびこれと組み合わせてカチオン重合活性種を形成する有機化合物から構成される開始剤系の存在下に、必要に応じてピリジン誘導体、アミド類などの添加剤を共存させ、ヘキサン、塩化メチレンなどの不活性溶媒中で、主として芳香族ビニル化合物からなる単量体と、主としてイソブチレンからなる単量体とを、任意の順序で段階的に重合させて各重合体ブロックを逐次形成してゆくことにより製造することができる。
【0029】
その場合に、上記したルイス酸としては、例えば、四塩化チタン、三塩化ホウ素、塩化アルミニウム、四塩化スズなどを挙げることができ、またカチオン重合活性種を形成する有機化合物としては、例えばアルコキシ基、アシロキシ基、ハロゲン原子などの官能基を有する有機化合物を挙げることができる。該有機化合物の具体例としては、ビス(2−メトキシ−2−プロピル)ベンゼン、ビス(2−アセトキシ−2−プロピル)ベンゼン、ビス(2−クロロ−2−プロピル)ベンゼンなどを挙げることができる。上記のピリジン誘導体としては、例えば2−メチルピリジン、2−エチルピリジン、2−プロピルピリジン2,6−ジメチルピリジン、2,3−ジエチルピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン、2,3,6−トリメチルピリジン、2,3,4,6−テトラメチルピリジン、2,3,5,6−テトラメチルピリジン、2,3,4,5,6−ペンタメチルピリジン、2,6−ジメチルー3−エチルピリジン、2,6−ジメチルー4−エチルピリジンなどを挙げることができる。また、上記のアミド類としては、例えば、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドなどを挙げることができる。
【0030】
より具体的に、芳香族ビニル化合物系重合体ブロック(a)−イソブチレン系重合体ブロック(b)−芳香族ビニル化合物系重合体ブロック(a)のブロック構造を有するトリブロック共重合体の場合は、例えば、上記のカチオン重合活性種を形成する有機化合物のうち官能基を1個有する有機化合物とルイス酸とを開始剤系として用いて、まず、主として芳香族ビニル化合物からなる単量体を重合系内に添加して重合させ、重合反応が実質的に終了した後に、主としてイソブチレンからなる単量体を重合系内に添加して重合させ、その重合反応が実質的に終了した後、再度、主として芳香族ビニル化合物からなる単量体を重合系内に添加して重合させる方法によって製造することができる。
【0031】
また前記した方法とは別に、上記のカチオン重合活性種を形成する有機化合物のうち1分子内に官能基を2個有する化合物とルイス酸を開始剤として用いて、主としてイソブチレンからなる単量体を重合させ、その重合が実質的に終了した後に、主として芳香族ビニル化合物からなる単量体を供給して先に形成したイソブチレン重合体の両端に芳香族ビニル化合物を結合重合させて、芳香族ビニル化合物系重合体ブロック(a)−イソブチレン系重合体ブロック(b)−芳香族ビニル化合物系重合体ブロック(a)のブロック構造を有するトリブロック共重合体を製造することもできる。
【0032】
この特定のイソブチレン系ブロック共重合体の添加量は、導電材100質量部に対して10〜100質量部であり、好ましくは20〜90質量部、より好ましくは20〜80質量部である。特定のイソブチレン系ブロック共重合体の添加量が少なすぎると成形材料(原料混合物)の流動性が低くなり、射出成形をすることが困難となり、一方、多すぎると導電材含有量の増加を計ることができず、導電性が低下して本発明の目的を達成することができない。
【0033】
本発明の燃料電池セパレータは、上記導電材および熱可塑性重合体成分の他に、必要に応じて他の樹脂を含有しても良い。配合し得る他の樹脂の例としては、ポリアミド、ポリエステル、エチレン−ビニルアルコール共重合体が挙げられるが、ガスバリア性の点からエチレン−ビニルアルコール共重合体が好ましい。
【0034】
また、本発明の燃料電池セパレータには、強度、離型性、耐加水分解性、導電性等の向上を目的として繊維状充填材、離型剤、金属粉末、耐加水分解剤などを必要に応じて添加することができる。
【0035】
上記繊維状充填材としては、例えば鉄、銅、真鍮、青銅、アルミニウム等の金属繊維、セラミック繊維、チタン酸カリウム繊維、ガラス繊維、炭素繊維、ロックウール、ウォラストナイト、セピオライト、アタパルジャイト、人工鉱物質繊維等の無機質繊維、アラミド繊維、ポリイミド繊維、ポリアミド繊維、フェノール繊維、セルロース、アクリル繊維等の有機質繊維などが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。この場合、繊維状充填材の配合量は導電材100質量部に対して0〜10質量部である。
【0036】
離型剤としては、特に制限されず、シリコーン系離型剤、フッ素系離型剤、脂肪酸金属系離型剤、アマイド系離型剤、ワックス系離型剤などが挙げられ、特にカルナバワックス、ステアリン酸、モンタン酸等の内部離型剤が用いられる。この場合、離型剤の配合量は(A)成分の導電材100質量部に対して0〜3質量部である。
【0037】
金属粉末としては、ステンレス、金、銀、銅、白金、チタン、アルミニウム、ニッケル等を用いることができる。この場合、金属粉末の平均粒径は通常5〜30μmである。
【0038】
次に、本発明の燃料電池セパレータの製造方法は、導電材100質量部に対して特定のイソブチレン系ブロック共重合体を10〜100質量部と、必要に応じて繊維状充填材、離型剤、金属粉末などを添加混合した混合物を用いて射出成形するものである。
【0039】
この場合、成形材料(原料混合物)は、予め単軸又は二軸或いはこれらに特殊な機構を組み合わせた混練押出し機を用いてペレット化したペレットを用いることが好ましい。また、ニーダーや押出し機等により溶融混練後の冷却物を所定の粒径まで粉砕した粉砕物を用いることもできる。
【0040】
なお、上記熱可塑性重合体組成物は、射出成形、押出し成形だけでなく、通常の圧縮成形、トランスファ成形により燃料電池セパレータに成形することも勿論可能である。
【0041】
次に、本発明の固体高分子型燃料電池は、固体高分子電解質膜を挟む一対の電極と、該電極を挟んでガス供給排出用流路を形成する一対のセパレータとから構成される単位セルを多数並設した構造を備えてなり、この燃料電池中のセパレータとして上記本発明の燃料電池セパレータを用いたものである。
【0042】
この場合、本発明の燃料電池は、その燃料電池の全セパレータの一部又は全部として上記本発明の柔軟性及び優れたガスバリア性の燃料電池セパレータを用いるものである。燃料電池中の全セパレータに占める本発明の燃料電池セパレータの割合が少なすぎると、燃料電池に組み立てる際のボルトとナットによる締め付けでセパレータに割れが生じ、ガスシール性及び耐衝撃性が低下し、本発明の目的及び作用効果を達成できなくなる場合がある。
【0043】
ここで、上記固体高分子電解質膜としては、固体高分子型燃料電池に普通に用いられているものを使用することができる。例えばフッ素系樹脂により形成されたプロトン伝導性のイオン交換膜であるポリトリフルオロスチレンスルフォン酸、パーフルオロカーボンスルフォン酸(商品名:Nafion)などを用いることができる。この電解質膜の表面には、触媒としての白金又は白金と他の金属からなる合金を担持したカーボン粉を調製し、この触媒を担持したカーボン粉をパーフルオロカーボンスルフォン酸を含む低級脂肪酸族アルコールと水の混合溶液(Nafion117溶液)等の有機溶剤に分散させたペーストを塗布している。
【0044】
上記固体高分子電解質膜を挟む一対の電極としては、カーボンペーパー、カーボンフェルト、炭素繊維からなる糸で織成したカーボンクロスなどにより形成することができる。
【0045】
これら電解質膜及び電極は、一対の電極の間に電解質膜を介在させ、120〜130℃で熱圧着することにより一体化することができる。なお、接着剤を用いて電解質膜と一対の電極とを接合して一体化することもできる。
【0046】
このようにして一体化された電解質膜及び電極を一対のセパレータの間に燃料ガスを供給排出可能な流路を形成するように取り付けて、単位セルが得られる。この場合、セパレータの電極と接する部分(リブ)に接着剤を塗布して取り付ける方法などを採用することができる。
【0047】
本発明の固体高分子型燃料電池は、この燃料電池中の全セパレータの一部又は全部に、柔軟性及び優れたガスバリア性を有する本発明の燃料電池セパレータを用いることにより、組み立て時の締め付けによりセパレータに割れが生じることがなく、高いガスシール性と優れた耐衝撃性を有するので、特に自動車、小型船舶等の移動用電源および携帯機器用電源として好適なものである。
【0048】
なお、本発明の固体高分子型燃料電池は、自動車、小型船舶等の移動用電源および携帯機器用電源以外にも、小規模地域発電、家庭用発電、キャンプ場等での簡易電源、人工衛星、宇宙開発用電源等の各種用途に幅広く用いることができるものである。
【0049】
【実施例】
以下に実施例により本発明について具体的に説明するが、本発明はそれにより何ら限定されない。重合体組成物の成形性、曲げ弾性率、耐薬品性、固有抵抗、組み立て性、および使用した熱可塑性重合体のガス透過性の評価は次のようにして行った。
【0050】
(1)重合体組成物の成形性:
熱可塑性重合体組成物を用いて、温度220℃、プレス圧力10MPaの条件下に熱プレス成形を行って、図1に示す縦×横×厚さ=10cm×10cm×2mmの燃料電池セパレータを成形し、その際の重合体組成物の流動性および表面状態を目視により観察して、下記に示す評価基準にしたがって評価した。
[成形性の評価基準]
○:溶融した重合体組成物の流動性が良好で、プレス金型と同じ形状及び寸法の成形品が得られ、しかもセパレータの表面が平滑である。
△:溶融した重合体組成物の流動性が良好で、プレス金型とほぼ同じ形状及び寸法の成形品が得られるが、セパレータの表面が平滑でない。
×:溶融した重合体組成物の粘度が高くて流動性が悪く、プレス金型と同じ形状および寸法のセパレータが得られない。
【0051】
(2)曲げ強度、曲げ弾性率
曲げ強度、曲げ弾性率、歪みJIS−K6911の熱硬化性プラスチックの一般試験法に準じて測定した。
【0052】
(3)耐薬品性試験
燃料電池セパレータの一部を切り出し、そのシートを10%硫酸水溶液に室温下で30日間浸漬し、外観の変化を目視で観察した。
[耐薬品性の評価基準]
○:外観変化ほとんど認められない。
△:わずかに外観変化が認められる
×:外観変化あり
【0053】
(4)固有抵抗
JIS−H0602のシリコン単結晶及びシリコンウェーハの4探針法による抵抗率測定方法に準拠して固有抵抗を測定した。
【0054】
(5)組み立て性
得られた燃料電池セパレータ2枚を一組とし、これを50組並設してボルトとナットで60MPaの圧力で締め付けた際のセパレータの割れ、ヒビの発生程度を下記基準で評価した。
[組み立て性の評価基準]
○:割れ及びヒビの発生なし
△:ヒビの発生が少しあり
×:割れ及びヒビの発生あり
【0055】
(6)ガス透過性:
熱可塑性重合体組成物の20μm厚みのフイルムを熱プレスにより作製し、そのフイルムを用いて、ガス透過性試験装置(柳本株式会社製「GTR−10」)を使用して、水素ガスの透過係数をASTM−D3985に準じて測定して、水素ガス透過性の評価を行った。
【0056】
<実施例1>
本実施例では、ブロック共重合体−1として、ポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレントリブロック共重合体[数平均分子量=100000、分子量分布(Mw/Mn)=1.1、スチレン単位含有量=30質量%]を使用した。表1に示す配合比で該ブロック共重合体と黒鉛(BF80A、中越黒鉛工業所製)をドライブレンド後、二軸押出し機を用いてシリンダー温度230℃で溶融混連し、熱可塑性重合体組成物のペレットを得た。得られたペレットを用いて、金型温度220℃で熱プレスにより、図1に示す燃料電池用セパレータおよびフィルムを作製し、各種物性評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0057】
<実施例2>
本実施例では、ブロック共重合体−2として、ポリα−メチルスチレン−ポリイソブチレン−ポリα−メチルスチレントリブロック共重合体[数平均分子量=98000、分子量分布(Mw/Mn)=1.1、α−メチルスチレン単位含有量=30質量%]を使用した。表1に示す配合比で該ブロック共重合体と黒鉛(BF80A、中越黒鉛工業所製)をドライブレンド後、二軸押出し機を用いてシリンダー温度230℃で溶融混連し、熱可塑性重合体組成物のペレットを得た。得られたペレットを用いて、金型温度220℃でに熱プレスより、図1に示す燃料電池用セパレータおよびフィルムを作製し、各種物性評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0058】
<比較例1>
熱可塑性重合体としてポリウレタンエラストマー(株式会社クラレ製、商品名クラミロン8175)を用いて実施例と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0059】
<比較例2>
熱可塑性重合体としてポリオレフィンエラストマー(三井化学株式会社製、商品名ミラストマー5030N)を用いて実施例と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0060】
【表1】
Figure 0004435508
【0061】
<実施例3および4>(固体高分子型燃料電池)
固体高分子電解質膜(商品名:Nafion)を挟む一対の電極としてカーボンペーパー(東レ製、TGP−H−120)を用いた。これらを常法により接合してMEA(電極電解質膜接合体)を作製した。この一体化電極を、実施例1で作成した一対の燃料電池セパレータ(実施例3)、または実施例2で作成した一対の燃料電池セパレータ(実施例4)で挟んで、図2に示すような、燃料ガス供給排出用流路を有する単位セルを得た。この単位セルを50個並設し、ボルトとナットで締め付けて燃料電池を組み立てた。この際ボルトとナットでの締め付けによりセパレータにワレやヒビが生じることはなかった。得られた燃料電池は、発電可能であり、燃料電池として有効に機能することが認められた。
【0062】
【発明の効果】
本発明によれば、柔軟性とガスバリア性に優れた燃料電池セパレータを効率よく、大量生産できると共に、この燃料電池セパレータを一部又は全部に用いることにより、組み立て時のヒビや割れの発生がなく、高いガスシール性と優れた耐衝撃性を有する高性能な固体高分子型燃料電池が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】セパレータの構成図
【符号の説明】
1.セパレータ
2.ガス流路溝
3.入口ガスマニホールド
4.出口マニホールド
5.ガスマニホールド
6.締め付けボトル孔
【図2】燃料電池の単セルの断面概略図
【符号の説明】
1.セパレータ
2.アノード電極
3.カソード電極
4.高分子電解質膜
5.ガスケット状シール材

Claims (3)

  1. 導電材100質量部と熱可塑性重合体10〜100質量部とを含有する熱可塑性重合体組成物を成形してなる燃料電池セパレータにおいて、熱可塑性重合体が、イソブチレン重合体ブロックの少なくとも1個と芳香族ビニル化合物重合体ブロックの少なくとも1個とからなるブロック共重合体であることを特徴とする燃料電池セパレータ。
  2. ブロック共重合体の芳香族ビニル化合物重合体ブロックを構成する芳香族ビニル化合物単位が、α−メチルスチレン単位である請求項1に記載の燃料電池セパレータ。
  3. 請求項1または2に記載の燃料電池セパレータを配置してなる固体高分子型燃料電池。
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