JP4434955B2 - 蛋白質結合膜上での蛋白質の電気泳動分離用システム及び方法 - Google Patents

蛋白質結合膜上での蛋白質の電気泳動分離用システム及び方法 Download PDF

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Description

本発明は分子の電気泳動分離、特に高分子膜を通す電気泳動による蛋白質の分離の分野に関する。
近年ヒトゲノムは約35000の異なる遺伝子を含むことが証明された。翻訳後の修飾(改質)のおかげで、ヒト「プロテオーム」又はこれら遺伝子により生成された蛋白質の数は多分数十万である。多くの研究及び努力がヒトプロテオームの完全な補体(complement)及び機能を解明するために必要である。
ヒトプロテオーム(及び他のソース)からの蛋白質分析の基本的手段は電気泳動である。電気泳動は、通電により分子が多孔質支持体又は基板を通過して移動する方法である。この方法を使用して、荷電された分子の混合物は、それらの物理的性質(例えば、分子量又は「Mr」)及び/又はそれらの化学的性質(例えば、電荷又は等電点)を基礎として、電気分解用の導電性溶媒を通る荷電された種の移動により分離されることができる。
一次元(1−D)電気泳動は標準的な技術であり、分子は分離基材中で1つの軸に平行に泳動する。蛋白質の1−D電気泳動分析は、通常、変性条件下;即ち、イオン性又は非イオン性洗浄剤を使用してゲルマトリックス(ポリアクリルアミド等)中で行われる。蛋白質を変性するために使用される洗浄剤は、ランダム配置を引き起こし、蛋白質分子に対して一定の電荷/マス割合を付与することができる。これら条件下で、変性された蛋白質の相対移動度は、log(Mr)の増加でほとんど直線的に減少する。蛋白質結合又は生物学的活性が維持される場合、電気泳動は蛋白質をその本来の形状に維持することが出来る「非変性」条件下で行うことが出来る。非変性条件下での蛋白質の相対移動度はMr及び電荷両方の関数である。しかし、通常非変性条件下でゲルを通過して電気泳動された蛋白質の分解能は低い。
O'Farrell(J.Biol.Chem.250:4007-4021、1975)により最初に開発された二次元ポリアクリルアミドゲル電気泳動(2-D PAGE)は、別の広く使用されている蛋白質の分離及び分析方法である。この方法では、蛋白質はそれらの等電点に従って両性物質又は類似の材料を使用して生成されたpH勾配の存在下で一次元で分離される。蛋白質は次にそれらの分子量に従って二次元で分離される。蛋白質は通常、均一の電荷/マス割合を負わせない変性条件下で、例えば9M尿素の存在下で、一次元で電気泳動する。二次元の電気泳動は、通常SDS等のイオン性洗浄剤の存在下で行われ、上記記載の変性1−D電気泳動と同様である。分離された蛋白質の蛋白質−蛋白質相互作用又は生物学的活性は、従来の2−DPAGE技術では保存されない。
「プロテオミクス」又は細胞中の蛋白質の機能の分析の進歩の主な障害は、その複雑さ及び目的の蛋白質分子の分離に必要な時間の長さである。従来の上記2−DPAGE技術は多数のステップを含み、完了するために一般的に1〜2日間必要である。例えば、代表的な2−DPAGEプロトコルには:1)一次元等電点電気泳動(IEF)ステップ、及び一次元でのIEFゲルの「試行」を行うための特定のpH勾配でゲルマトリックスの調製;2)二次元試行用のバッファ中のIEFゲルの平衡、及び3)IEFゲルから二次元スラブゲル上への蛋白質の移動、及び次に続く二次元電気泳動の試行、が挙げられる。特定のpH勾配を有する予め形成されたIEFゲルストリップは市販されているが、このようなストリップは通常乾燥状態で提供され、使用前の10〜12時間の再水和ステップを必要とする。
1−D又は2−D電気泳動による分子の効率的分離は、同一の物質の全ての分子は、分離プロセス中同一の速度を有することを必要とする。これを達成するために、電界、従って導電性は、分離媒体容積全体を通して均一でなければならない。しかし、分離される分子の導電性は媒体に導電性を引き起こし不均一とする。実際には、均一の電界は、分離される分子の導電性寄与に関して、高導電性を有する電気泳動分離媒体及びバッファを使用して概算された。高度に導電性電気泳動分離媒体及びバッファは通常水ベースである。
電流を高度に導電性電気泳動媒体及びバッファへ荷電すると多量の熱が発生する。それが分散されるか減少されない場合、この熱は分離プロセスを妨害し、分離される分子を破壊し、電気泳動装置を損傷させる。熱発生は電気泳動ユニットの電極を横断してより低い電圧を荷電することにより減少できる。しかし、より低い電圧を使用すると分子の全体の分離時間を増加させる。一方、熱は大容積の電気泳動バッファをヒートシンクとして使用するか、電気泳動バッファの直接冷却により分散することができる。これら技術のいずれかは、費用、複雑さ及び電気泳動分離装置の規模を増加させる。
水性電気泳動媒体は、疎水性蛋白質(例えば、生物学的に重要な細胞膜蛋白質)にも幾つかの低分子量蛋白質(例えば、Mr≦10000)を分離するためにも同様に不適当である。これら蛋白質は有機溶媒バッファを使用して分離することができる。有機溶媒バッファは通常媒体よりも導電性が低いために、上記発熱問題も同様に軽減される。しかし、有機溶媒中のいくつかのゲルの重合中の問題及び、有機溶媒バッファの多くのゲル電気泳動システムとの不適合性は、蛋白質電気泳動中のこれらバッファの使用を非常に制限している。
ろ紙等の分離基材上で小さな分子を分離するために水混和性有機溶媒を使用する1−D電気分離が開発された(参照米国特許番号第4146454;Haber N.PNAS USA、79:272-276、1982;及びHaber N.Biotechnic&Histochemistry、73:59-70、1998)。このシステムは「電子分子推進」又は「EMP」と称される。EMPでは、非極性又は非荷電の化合物(芳香族炭化水素等)は一旦しきい値電流レベルを超えると、分離基材を通過する泳動が誘起される。
従来の電気泳動システムと異なり、EMPによる分子の移動は電気分解の導電性溶媒中に溶解されたイオン性種に依存しない。参照Haber N.,Biotechnic&Histochemistry、1998、supra。反対に、EMPは非極性又は非荷電の化合物の泳動を、未知の機構により分子の電子的電荷をかける「電荷移動」効果により誘起する。EMP「電荷誘起された」分子は、動電学的に荷電された電界へ応答し、分子の泳動を起こす。
EMP技術は染料化合物等の小さな非極性分子を分離するのに使用できることが明らかになった。しかし、EMPではアルブミン、ヘモグロビン、ミオグロビン、シトクロムC及びキモトリプシノーゲンがこの技術を使用してワットマンNo.3ろ紙上で分離されているが(Haber N.PNAS USA、1982、supra)、が蛋白質等の両性バイオポリマーの分析に適切であるかは明らかではない。同様に、EMPプロセスで使用されたろ紙及び他の基材は蛋白質を良く結合せず、EMPにより分離された蛋白質は電流中断後ほとんど即座に基材上で拡散し始める。蛋白質の拡散は、EMPプロセスの有効性を非常に制限し、ろ紙を使用する2−D蛋白質分離手順は報告されていない。
従来の電気泳動技術により分離された蛋白質はしばしば、ニトロセルロース、ナイロン、ポリビニリデンジフルオライド(PVDF)又は他の蛋白質結合ポリマーから構成される高い蛋白質結合能力の低多孔性膜上に「ブロットされる」か移動される。ブロット膜は次に、染色、免疫検出(例えば、ウェスタンブロット)、質量分析法、アミノ酸配列分析及び他の操作の対象にされる。ブロッティングステップは時間がかかり、分離された蛋白質の非効率な移動しか得られない。例えば、ニトロセルロースによる低分子量蛋白質の保持は移動バッファ中のメタノールの存在に影響される(Pluskalら、Biotechniques4:272-283、1986)。高い分子量蛋白質は同様にブロッティング膜上でより低い移動効率を有することが知られている。
従って必要なのは、親水性、疎水性及び低分子量蛋白質と適合性のある有機溶媒バッファを使用する、高速度、高分解能電気泳動システムである。有機溶媒バッファは好ましくは蛋白質結合相互作用及び生物学的活性を保存するために非変性であり、電気泳動分離中熱発生を最小限にするために低導電性を有する。同様に必要なものは、電気泳動完了後分子の拡散を最小化し、ブロッティング膜上に分離マトリックスから分離された分子を移動することを不要とする分離基材である。
本発明において、蛋白質は高い蛋白質結合能力を示す高分子膜上の一次及び二次元の両方で電気泳動的に分離できることが明らかになった。電気泳動分離は低導電性、水混和性有機溶媒バッファ中で行われる。バッファが水性ベースでないので、疎水性及び小さな分子量の両方の蛋白質が容易に分離できる。有機溶媒バッファの低導電性も同様に電気泳動分離中熱発生を最小化させる。従って、分子の分離が従来の水性電気泳動システムに必要な時間のフラクションのみで効果を示す本発明の電気泳動システムへ充分な電圧が荷電できる。更に、蛋白質分離がブロッティング膜上で直接行われるため、次に続く分離された蛋白質の移動が不要である。
上記のように本発明は、少なくとも1の低導電性有機溶媒バッファ;有機溶媒バッファと適合性がある高い蛋白質結合能力を有する高分子膜;並びにバッファ及び膜を備えた少なくとも1の電気泳動ユニット、及び電気泳動ユニット中の電流を発生可能な電力供給源を有する電気泳動装置、を備えた蛋白質の分離用電気泳動システムを提供する。
本発明では例えば、電気泳動システムの電気泳動ユニットはそれらに挟まれた膜及びウィックを有する一対の板により橋渡しされている2つの独立バッファ室を備える。バッファ室は独立しているため、電気泳動ユニットのサイズは膜及びウィックを保持する板のサイズに応じて変化できる。ウィックは板より長いため、電気泳動ユニットが組み込まれたときにウィックの端はバッファ室中へ延出する。
同様に本発明は蛋白質の電気泳動分離法を提供する。本発明の方法では、少なくとも1の低導電性有機溶媒バッファ及び高い蛋白質結合能力を有し、有機溶媒バッファと適合性のある高分子膜が用意される。分離するべき蛋白質を含有するサンプルが次に膜へ適用され、蛋白質が電気泳動により分離される。
更に本発明は、二次元膜電気泳動を行う方法を提供する。本発明の方法では、電気泳動システムは下記を含むように提供される;
(1)第一pHを有する第一低導電性有機溶媒バッファ及び第二pHを有する第二低導電性有機溶媒バッファ;
(2)高い蛋白質結合能力を有し、第一及び第二有機溶媒バッファと適合性がある高分子膜;並びに
(3)第一及び第二有機溶媒バッファ及び膜を備えるための少なくとも1の電気泳動ユニットを含有する電気泳動装置。
分離される蛋白質を含有するサンプルは膜へ適用され、その膜は、第一方位方向に電気泳動ユニット中に配置される。第一有機溶媒バッファは電気泳動ユニットへ添加され、蛋白質が電気泳動ユニット中の電流の発生により一次元で分離される。一次元分離完了後、第一有機溶媒バッファは電気泳動ユニットから除去され、第二有機溶媒バッファで置き換えられる。第二有機溶媒バッファで平衡化された膜は、次に電気泳動ユニット中に第二方位方向に配置される。膜上で一次元方向に分離された蛋白質は、次に電気泳動ユニット中の電流の発生により二次元方向に分離された。
定義
ここで使用される「蛋白質」は、ペプチド結合又は改質されたペプチド結合(例えば、ペプチド等(配)電子体)により共役的に結合された少なくとも2つのアミノ酸残基を含有する分子を言う。蛋白質に含有されるアミノ酸の最大数には限定はない。ここで蛋白質に含有されるアミノ酸は、D−又はL−アミノ酸のいずれでもよいが、L−アミノ酸が好ましい。更に、アミノ酸成分は、β−アミノ酸、目的用に合成されたアミノ酸若しくは、Friedinger γ−ラクタム、ペプトイド等の擬ペプチドフラグメント、又はこれら物質の混合物を言う。
本発明の蛋白質も同様に、1以上の他の蛋白質等の1以上の他の分子と、又は1以上の金属原子若しくはジンクフィンガー蛋白質等の金属複合体と関連(結合)する。例えば、蛋白質はホモ−若しくはヘテロ多重結合性蛋白質、抗体/抗原複合体、又はリガンド/レセプター複合体を含有してもよい。ここで使用される、蛋白質の別の蛋白質又は非−蛋白質分子との関連(結合)とは、「蛋白質結合相互作用」を言う。ここでいう蛋白質は、同様に酵素活性等の生物学的活性を示す。
ここでいう蛋白質は修飾(改質)体を含む。これら修飾としてアセチル化、アシル化、ADP−リポシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム成分の共有結合、ヌクレオチド若しくはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質若しくは脂質誘導体の共有結合、ホスファチジルイノシトールの共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有架橋形成、シスチン形成、ピログルタミン酸形成、ホルミル化、γ−カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、蛋白質分解作用、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、アルギニル化、及びユビキチン化等の、アミノ酸の蛋白質への移動−RNA仲介付加が挙げられる。例えば、「蛋白質構造及び分子性質」、第2版、T.E.Creighton、W.H.Freeman and Company、NewYork、1993;Wold F「翻訳後の蛋白質修飾」:Perspectives and Prospects、pgs.1-12「翻訳後の蛋白質の共有修飾」、B.C.Johnson、Ed.、Academic Press、New York、1983;Seifterら、「蛋白質修飾及び非蛋白質共因子の分析」Meth.Enzymol.(1990)182:626-646;及びRattanら(1992)、「蛋白質合成:翻訳後の修飾及びエイジング」Ann NYA cad Sci 663:48-62を参照のこと、それらを全てここで資料として使用する。
本発明の「膜電気泳動」システム及び方法は、蛋白質直接の高分子膜上での素早く、高い分解能分離を可能とする。本発明の膜電気泳動システム及び方法は、単純で及び汎用性が高く、従来のゲル電気泳動が通常に使用される用途のいずれでも使用できる。例えば、膜電気泳動は、分析目的での蛋白質サンプルの分離、特定の蛋白質の性質の同定、蛋白質の純度評価等に使用できる。
本発明の膜電気泳動は、非変性条件下で行なうことが出来、その結果蛋白質結合相互作用及び酵素活性の保持が可能となる。本発明の膜電気泳動は同様に変性条件下で行なわうこともできる(例えば、尿素の存在下)。
ここでいう全ての割合は特記されない限り体積割合である。
膜電気泳動に使用する電気泳動バッファとして、低導電性を示すように配合された水混和性有機溶媒が挙げられる。ここで使用される有機溶媒バッファは、一定の電圧(例えば、3.5kV)が荷電された時に、そのバッファが約0.0001mA/cm2膜〜約0.2mA/cm2膜の電流を製造する場合、「低導電性」を有する。当業者は当分野で公知の技術を使用して有機溶媒バッファの導電性を容易に決定できる。バッファの導電性の測定用に本発明で使用できる有用な技術は、例えば下記実施例2に記載のとおり、3.5kVで、1cm×8cm膜上での蛋白質サンプルの電気泳動である。
本発明の低導電性有機溶媒バッファは、導電性を僅か又は全く示さない1以上の高沸点有機溶媒を含有する。これら溶媒は、バッファ中に終末濃度約1%〜約80%、好ましくは約20%〜50%、例えば約40%で存在する「ベース」溶媒である。ベース溶媒として使用できる適切な有機溶媒として、例えば、プロピレンカーボネート(1,2−プロパンジオール環状カーボネートとして知られる)(bp=240oC);エチレンサイクリックカーボネート(1,3−ジオキサン−2−オン)(bp=245oC);ジメチルフタレート(bp=282oC);ジエチルフタレート(bp=294oC);エチレングリコール(bp=195oC);プロピレングリコール(bp=185oC);ブチレングリコール(bp=180oC);ジメチルスルホキシド(bp=189oC);メチルカルビトール(bp=193oC);及びそれらの混合物が挙げられる。好ましいベース溶媒は、プロピレンカーボネート、エチレンサイクリックカーボネート又はそれらの混合物である。
蛋白質は、本発明の電気泳動システム及び方法で使用される膜へしっかりと結合することが知られている(下記参照)。膜上の蛋白質の泳動の原因となる充分な電流を発生するために、1以上の導電性強化剤をベース溶媒へ添加する。
ここで使用される「導電性強化剤」とは、ベース溶媒へ添加された時に、約0.1〜約0.15mm厚みの、予め湿らせた1cm×8cmPVDF膜ストリップを使用して一定の電圧(例えば、3.5kV)下で測定して電流の増加を生じる有機溶媒又は他の物質を言う(下記実施例1及び2参照)。低導電性有機溶媒バッファ中のそれぞれの導電性強化剤の終末濃度は、好ましくは約0.1%〜約50%、更に好ましくは約5%〜約30%である。適切な導電性強化剤として:ホルムアミド、アセトアミド、プロピオンアミド、ブチルアミド、トルアミド、ベンズアミド、ラクトアミド、ニコチンアミド、及びそれらの混合物等のアミド化合物;N−メチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、及びN−メチルブチルアミド等のアミド誘導体;2−フルアルデヒド;フルフリルアルコール;テトラヒドロフルフリルアルコール;サリチルアルデヒド;グアヤコール;フェノール;ホウ酸;フマル酸;ピペラジン;及びそれらの混合物が挙げられる。好ましい低導電性有機溶媒バッファは少なくとも2つの導電性強化剤を含有する。例えば、低導電性有機溶媒バッファは、ベース溶媒に加えて;サリチルアルデヒド及びフルフリルアルコール;ホルムアミド、2−フルアルデヒド及びベンズアミドの混合物;ホルムアミド及びフルフリルアルコールの混合物;ホルムアミド及びテトラヒドロフルフリルアルコールの混合物又はホルムアミド、2−フルアルデヒド及びホウ酸の混合物を含有してもよい。
しかし、導電性強化剤は、電気泳動中高い電流及び過度の熱を発生する有機溶媒バッファを生じることもある。一般的に熱は、電流が上記1.5mAである場合、本発明のバッファで電気泳動中に発生される。1以上の導電性抑制剤(同様に「熱抑制剤」とも言う)のベース溶媒/導電性強化剤混合物への添加は、膜上の蛋白質の泳動に対し最小の影響のみで電気泳動中の熱発生を減少させることもできる。従って、本発明の有機溶媒バッファは、好ましくは1以上の導電性抑制剤を含有する。
ここで使用される「過度の熱発生」とは、下記現象が起こるのに充分な熱の発生が挙げられる:分離された蛋白質の変性又は変質;電気泳動バッファの沸騰又は膜からのバッファの完全な留去の発生;膜若しくは電気泳動装置の溶解、炭化若しくはそれ以外の損傷;又は電気泳動分離の他の妨害。
ここで使用される「導電性抑制剤」とは、少なくとも1の導電性強化剤を含有するベース溶媒へ添加された場合に、約0.15mm厚みの8cmPVDFストリップにより予め湿らせた1cmを使用して一定の電圧(例えば、3.5kV)下で測定して、電流を減少させる有機溶媒又は他の物質である(下記実施例1及び2参照)。低導電性有機溶媒バッファ中のそれぞれの導電性抑制剤の終末濃度は、存在する場合、好ましくは約0.1%〜約50%、更に好ましくは約5%〜約30%である。適切な導電性抑制剤として:ホルムアミド及びアセトアミドのジメチル誘導体;1,3−ブタンジオール;N−メチルピロリジノン;ソルビトール;グリセロール;カプロラクトン;メトキシエタノール;及びそれらの混合物が挙げられる。好ましい導電性抑制剤は、1,3−ブタンジオール、ジメチルホルムアミド及びジメチルアセトアミドの混合物;又は1,3−ブタンジオール及びN−メチルピロリジノンの混合物である。特に好ましい導電性抑制剤は1,3−ブタンジオールである。
上記記載のように、有機溶媒バッファ中の導電性強化剤の高すぎる濃度は、電気泳動中の高い電流及び過度の熱発生へと導く。有機溶媒バッファ中の導電性抑制剤の高すぎる濃度は、不充分な蛋白質泳動速度を引き起こすことも同様に明らかである。本発明の低導電性有機溶媒バッファ中の導電性強化剤及び導電性抑制剤のそれぞれの濃度は、従って全体のバッファ導電性が低く維持されるが、充分な蛋白質の泳動が過度の熱発生無しに達成されるようにバランスを取る必要がある。当業者は容易に本発明の有機溶媒バッファ中の導電性強化剤及び抑制剤の適切なバランスを決定できる。
本発明の低導電性有機溶媒バッファの有用な製造方法は、溶液が、例えば実施例2に記載のとおり電気泳動中に約0.025mA/cm2膜(0.15mm厚み)の電流の発生が可能となるまで、少なくとも1の導電性強化剤の測定量をベース溶媒へ添加することが含まれる。高い電流及び過度の熱発生が観察された場合、熱発生が許容できる範囲内へ減少するまで、1以上の導電性抑制剤が測定量で添加される。本発明の方法により製造された低導電性有機溶媒バッファは下記実施例1中での「バッファA−D」として例えば示される。
低導電性有機溶媒バッファのpHは、特定のバッファ成分と適合性のある範囲内で目的の通り調整できる。例えばpHは約pH3〜約pH10の範囲に調整できる。しかし、本発明の低導電性有機溶媒バッファがこの範囲外のpHを有してもよいことは当然である。
例えば、同一の組成の有機溶媒バッファが、異なるpHへ調整されてもよい。例えば、実施例1のバッファAの第一量はpH4.5へ調整され、バッファAの第二量はpH8.5へ調整されてもよい。バッファAのこれら第一及び第二量は、次に例えば下記実施例4に記載のとおり、蛋白質の2−D電気泳動中で、順次連続して使用されてもよい。
本発明で使用される分離基材は高分子膜を含有する。この膜分離基材は従来の電気泳動方法中のゲルマトリックスと類似する。
本発明で使用する膜は、上記記載の低導電性有機溶媒バッファと適合性がある必要がある。例えば、セルロース由来の膜(例えば、ニトロセルロース、セルロースアセテート又はDEAEセルロース)は、有機溶媒バッファにより破壊され、膜電気泳動用に使用できなくさせる。多くの他のタイプの市販されている高分子膜は、本発明の有機溶媒バッファによっては破壊されない。
本発明で使用できる膜も同様に高蛋白質結合能力を有する必要がある。ここで使用される「高蛋白質結合能力」は、膜が、膜厚みが約0.15mmの場合、室温で少なくとも約20μg蛋白質/cm2を結合することを意味する。好ましくは、本発明の膜は、室温で厚み約0.15mmの場合、通常少なくとも約50μg蛋白質/cm2、好ましくは約100μg蛋白質/cm2〜約400μg蛋白質/cm2、例えば約150μg蛋白質/cm2又は約250μg蛋白質/cm2を結合する。
本発明で使用できる膜は、疎水性又は親水性のいずれかでよく、好ましくは低い電荷又は純量中性電荷を有する。本発明の目的のため、「中性」として設計された高分子膜は一般的に電荷を有さず、純量で中性電荷又はわずかに正若しくは負の電荷のいずれかを有する。理論で本発明を限定するものではないが、蛋白質は疎水性相互作用を通して疎水性高分子膜へ結合し、イオン性相互作用を通して親水性膜へ結合すると考えられる。
本発明で適切に使用できる疎水性膜として、ポリビニリデンジフルオライド(PVDF、同様に当分野でポリビニリデンフルオライドとして公知である)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系高分子;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン;ポリスチレン又は置換されたポリスチレン;ポリエーテルスルホン等のポリスルホン;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリブチレンテレフタレート等;ポリアクリレート及びポリカーボネート;ポリウレタン並びにポリ塩化ビニル及びポリアクリロニトリル等のビニルポリマー;及び上記挙げられたポリマーの混合物等の膜が挙げられる。更に、疎水性膜として;例えば、ブタジエン及びスチレン等のコポリマー;フッ素化エチレン−プロピレンコポリマー;等のコポリマーも挙げられる。好ましい疎水性膜はポリビニリデンジフルオライド(PVDF)等のポリマー性フルオロカーボンである。
疎水性膜は、同様に例えば当分野で公知の上記ポリマーの改質体でもよい。例えば、疎水性高分子膜は、Pluskalらの米国特許番号第5004543に記載のとおり(その全ての開示をここで資料として使用する)ポリアミン又はポリアミド−ポリアミンエピクロロヒドリン樹脂の膜に接触させることにより固定された形式的に正の電荷基が含まれるように改質されることができる。
本発明で使用できる適切な親水性膜として、ナイロン(例えば、ナイロン66、ナイロン6、ナイロン610又はナイロン46)等のポリアミド;ポリイミド;ポリエステル;ポリビニルアルコール;ポリビニルアミン;ポリベンジルアミド;ポリビニルイミダゾリン;ポリジアリルアミン;及びそれらの混合物等の膜が挙げられる。好ましい親水性膜として、中性又は僅かに正に荷電されたナイロンポリマー(例えば、「Hybond」商標−N又は「Hybond」商標−NXブロッティング膜、Amersham Biosciences社製市販品、Piscataway、NJ)が挙げられる。
ナイロン膜上にある電荷は、ナイロンポリマー合成反応を終結させるために添加される化合物の種類により主に決定される。例えば、反応終結用化合物がカルボン酸基を有する場合には、得られるナイロンは負に荷電される。同様に、終結用化合物がアミノ基を有する場合には、得られるナイロンは正荷電を有する。
通常、ナイロン合成反応のアミノ基含有化合物による終結では、ナイロン1モル当たり約0.4モル〜約2モルアミノ基を含有するナイロンポリマーが発生し;これらナイロンポリマーからなる膜が好ましい。例えば、ナイロン1モル当たり少なくとも0.9モルアミノ末端基、又はナイロン1モル当たり少なくとも1.3モルアミノ末端基を含有するナイロン膜が、Houらの米国特許番号第5458782に記載されており、それらを全てここで資料として使用する。当業者は、例えばHouら、supra、米国特許番号第5458782に記載されている方法により、ナイロン膜中のナイロン1モル当たりのアミノ酸末端基量を容易に決定できる。
高度に正に荷電されたナイロンからなる膜は当分野で公知であり、通常、従来のナイロン膜を、ポリアミン又はポリアミノ−ポリアミンエピクロロヒドリンカチオン樹脂を含有する溶液と接触させて製造できる。これら高度に正に荷電されたナイロン膜は、本発明の電気泳動方法中での特定量の蛋白質泳動を可能とするが、一般的に充分なサンプル分解能を示さない(下記実施例2参照)。従って、高度に正に荷電されたナイロン膜は好ましくない。反対に、上記段落に記載されいわゆる「中性」ナイロン膜である、低く正に荷電されたナイロンからなる膜は、本発明の方法により良い蛋白質分解能を発生する。
本発明の高分子膜は通常平均孔径約0.01〜約5ミクロンを有し、より大きな又は小さな孔を有する膜も使用できる。孔径0.05〜1ミクロンを有する膜も好ましく、孔径が0.1〜0.5ミクロンである膜が特に好ましい。
本発明で使用される膜のサイズ(即ち、長さ及び幅)は一般的に特定の分離実施技術により決定される。多くの膜電気泳動法に適切な膜サイズは約7.5cm×8cmであるが、より大きな又は小さなサイズも使用できる。例えば、高処理能力スクリーニング用のために、膜は約1cm×8cmのストリップへ切断されてもよい。分離された蛋白質の非常に高い分解能又は多数の蛋白質の分離が必要な適用では、膜は20cm×20cm又はそれ以上に切断してもよい。当業者は、特定の分離技術用の適切な膜サイズを容易に決定できる。
本発明の膜は、分離実施技術と適合性のある厚みであればどの厚みでもよい。市販されている膜は通常、多くの電気泳動適用、例えばサンプル当たり15マイクログラムまでの蛋白質の分離用、に適切な厚みである約0.10〜約0.15mm厚みである。より大きな量の蛋白質を含有するサンプルも、同様に分離できる。他の厚みの膜、例えば約0.01mm〜約3mm以上、も同様に本発明で使用できることが予測できる。厚み約0.05mm〜約0.5mm、例えば約0.1mm〜約0.3mmの膜が特に好ましい。
上記記載のバッファ及び膜は、本発明の電気泳動システムを形成するために電気泳動装置と組み合わせることができる。ここで使用される「電気泳動装置」は、バッファ及び膜、及び電気泳動ユニット中で電流を発生するための電力供給源を備えるために、少なくとも1の電気泳動ユニット(しばしば「ゲルボックス」と呼ばれる)を含有する。
電気泳動ユニットは当分野で公知であり、一般的にその中で分離基材は水平又は縦方向に置かれるユニットへ分離できる。本発明の膜電気泳動はいずれの種類のユニットでも行なうことができるが、好ましくは分離基材が水平方向であるユニット(水平型電気泳動ユニット)上で行なわれる。本発明で使用できる水平型電気泳動ユニットは、一般的にその上に膜分離基材が配置された固定されたプラットフォームと並んで置かれている2つのバッファリザーバを備える。電極はバッファ区画室中に取り付けられ、ユニット頭頂部は、通常安全目的のために覆われる。膜は、両方のバッファ室中のバッファと直接又はウィックを介して接触しなくてはならない。ウィックは通常ろ紙からなる。電流は、電力供給源を両方の電極へ結合し電極間に電圧をかけて、電気泳動ユニット中で発生する。
本発明で使用できる電気泳動ユニットは、上記記載の低導電性有機溶媒バッファと適合性のあるどのような材料から構成されてもよい。一般的に、プラスチック又は「Plexi Glas」商標からなる従来の電気泳動ユニットは、これら材料は有機溶媒で損なわれるため本発明の使用には適切ではない。セラミックス、テフロン、ガラス又は有機溶媒に耐性のある他の材料から構成される電気泳動ユニット、又は、有機溶媒耐性材料(例えば、テフロン又はゴム)で被覆された従来の「Plexi Glas」商標又はプラスチック電気泳動ユニットも使用できる。
一般的に図1中の100として示される改質された水平型電気泳動ユニットが膜電気泳動システム及び方法のために開発された。上記ユニットは、ユニットを挟んで反対端に位置するバッファ室110及び110’を備えている。電極120及び120’は、それぞれバッファ室110及び110’に隣接して位置しており、電極リード線125及び125’がバッファ室へ達する。電極リード線は通常電線形状であり、電気を伝導できるいずれの材料でもよい(例えば白金)。持ち上げられた固定プラットフォーム130は2つのバッファ室を分離し、それらがバッファで満たされた時に室間の流体が通じることを防止する。
実施において、少なくとも1の蛋白質サンプルが高蛋白質結合高分子膜140上にスポットされ、乾燥され、その膜は低導電性有機溶媒バッファで湿潤される。膜は次に過剰のバッファを除去するためブロットされ、同一の有機溶媒バッファで予め湿潤されたろ紙ウィック150上に直接置かれる。ろ紙ウィック150はプラットフォーム130上に配置される。膜140はプラットフォーム130と同一の長さ及び幅を有してもよいが、通常長さ及び幅両方よりも小さい。図1に示される例では、ろ紙ウィックは、ウィックの両末端はバッファ室中へ延長するようにプラットフォーム130より大きい。別の例では、ろ紙ウィック150は2つのウィックで置き換えられてもよく、そのそれぞれは、膜140の一端と重なり、バッファ室中へ延びる。又別の例では、電気泳動は、2つの板間にサンドイッチされた膜で1又は複数のウィック無しに行なうことが出来る。後者の配置中、膜の両方の末端は、2つのバッファ室中に延びてウィックとして働く。上記最初の2つの例では、1又は複数のウィックはバッファをバッファ室から膜へ吸引し、膜を通して2つのバッファ室間の電気的結合を確立することを助ける。
上板160が、膜を覆って直接接触して配置される。電気泳動中の不測の電気ショックを防止するために、電圧が電極間に荷電される前にカバー170が全てのユニットを覆うように配置される。上板160及びカバー170は、有機溶媒バッファに耐性のある適切な非電気的導電性材料;例えば、ガラス、セラミック、テフロン、又は有機溶媒バッファに耐性のある材料で被覆された「Plexi Glas」商標で構成されてもよい。好ましくは、上板160及びカバー170は、テフロン又はガラスからなる。
図2は膜分離基材及びろ紙ウィックの可能な配置を示す。この配置では、膜210及びろ紙ウィック220は上板230及び底板240間にサンドイッチされ、一般的に200に示される「サンドイッチユニット」を形成する。板230及び240は一般的に同一の長さ及び幅を有する。膜210は、どのようなサイズでもよいが、好ましくは板230及び240のそれよりも小さい寸法を有する。表示された例では、ウィック材料がいずれかのサンドイッチユニットで板からはみ出るように、ろ紙ウィック220は板230及び240よりも長い。板230及び240は、有機溶媒バッファに耐性のある適切な非電気的導電性材料で構成されてもよい;例えば、ガラス、セラミック、テフロン、又は有機溶媒バッファに耐性のある材料で被覆された「Plexi Glas」商標。好ましくは、板230及び240はテフロン又はガラスで構成される。
再度図1を引用すると、図2のサンドイッチユニット200は、ろ紙ウィックの末端はバッファ室110及び110’中へ延びるようにプラットフォーム130上に配置されてもよい。
本発明の電気泳動ユニットの別の例は一般的に図3の300として示される。このユニットは2つの独立バッファ室310及び310’を備える。電極320及び320’はバッファ室に隣接して配置され、バッファ室中に延びる電極リード線325及び325’を有する。バッファ室間に固定されたプラットフォームはなく;反対に、電気泳動分離中に長さ可変のサンドイッチユニット330がプラットフォームとして使用される。サンドイッチユニット330は、上板360及び底板370間に保持される膜340及びろ紙ウィック350を含有する。バッファ室を結合する固定されたプラットフォームが存在しないため、独立バッファ室310及び310’は変化する長さを有するサンドイッチユニットを適応させるために、適切な間隔を設けられる。実際には、サンドイッチユニット330は、ろ紙ウィックのいずれかの末端がバッファ室中のバッファ溶液と接触するように、適切に間隔を置かれた独立バッファ室310及び310’間に配置される。電圧が電極間に荷電される前にカバー380が全てのユニットを覆うように配置される。
板360及び370及びカバー380は、有機溶媒バッファに耐性のある適切な非電気的導電性材料;例えば、ガラス、セラミック、テフロン、又は有機溶媒バッファに耐性のある材料で被覆された「Plexi Glas」商標で構成されてもよい。好ましくは、板360及び370及びカバー380は、テフロン又はガラスからなる。
目的の電流を達成するために充分な電圧を生成できるいずれの電力供給源も、本発明の膜電気泳動システム及び方法で使用できる。代表的な市販されている電力供給源は、大部分の膜電気泳動分離に適切な電圧3〜4kVを発生できる。例えば75kVまでのより高い電圧を発生できる電力供給源も同様に市販されている。当業者は、本発明のシステム及び方法用に必要な電圧を発生できる電力供給源を容易に入手又は製造できる。
本発明の膜電気泳動法は、下記のとおり一般的に行なわれる。例として特定の膜電気泳動プロトコルを下記実施例に記載する。
上記記載の高分子膜は、分離実施技術へ必要なサイズに切断される。一般的に、膜はウェル、窪み、又は載置するサンプルを保持するために設計される他の表面形状を有さない。分離される蛋白質を含有するサンプルは、次に例えば、移動ピペット又はマイクロピペットでサンプルを膜上に「スポット」する等の適切な技術で膜上に載置される。例えば、蛋白質サンプルを疎水性膜(例えば、PVDF)上に供給する時に、ε−カプロラクトン又はジメチルホルムアミド等の湿潤剤が、実施前にサンプルに添加される。好ましくは、サンプルは膜上室温で乾燥される。下記のとおり、蛋白質は荷電された電流の軸にそったいずれかの電極へむかって移動できる。従って、サンプルは一般的に、2つの電極間の約中央の膜上にスポットされる。サンプルは、同様に特定の分離を行うために膜の他の部位上にスポットされてもよい。多数のサンプルが単一の膜上に載せてもよいのは当然である。
蛋白質サンプルは、当分野の方法によりいずれのソースからも得られる。例えば、蛋白質サンプルは単細胞動物又は多細胞動物から得られる。例えば、蛋白質サンプルは、組織、細胞、血液、血清、又は生物からの他の生物学的材料のサンプルを採取することにより多細胞生物(例えばヒト)から直接得られる。蛋白質サンプルは同様に、例えば、血清又は血液サンプル、又は医薬的配合物等の天然又は合成蛋白質を含有する製品からアリコートを分取しても得られる。
膜は次に、電気泳動分離で使用するために低導電性有機溶媒バッファ中で湿潤される。一般的に、例えばペーパータオルを使用してブロッティングすることにより膜から過剰のバッファを除去することが好ましい。同一の有機溶媒バッファで予め湿潤されたろ紙ウィックを、電気泳動ユニットプラットフォーム(又は、サンドイッチユニットが使用された場合底部ガラス板)上に配置した。膜をろ紙ウィック上に配置し、両方のバッファ室を電気泳動バッファで満たした。頭頂部ガラス板が蛋白質サンプル又は混合物を含有する膜の頭頂部上に配置した。電気泳動ユニットをカバー板で覆い、電力供給源を電極へ結合した。例えば75kVの高電圧を発生する電力供給源ユニットを有する、多数の電気泳動ユニット(例えば、4以上のユニット)が単一の電力供給源に結合できる。次に電力供給源のスイッチを入れ、電圧出力を目的の電流が電気泳動ユニット又はユニットを通過するように調整した。電気泳動ユニット又はユニットへ電流が流れると、サンプル中の蛋白質の分離が開まる。
蛋白質は当然、膜表面に直交する方向の泳動ではなく、膜表面に平行な方向で泳動する。理論で本発明を限定するものではないが、サンプル中の蛋白質は、電気泳動中、膜の表面に沿って泳動し、膜を通過してでないと思われる。例えば、両方のレーン中にサンプルを載せるために使用されたマイクロピペットチップで膜表面中に窪みが(原点部分に)意図せずに作成されている下記図9参照。窪みはそれぞれのレーン中の原点でいくつかのサンプルをトラップした。
本発明の膜電気泳動法中、蛋白質サンプルが蛋白質結合膜の表面上を泳動する更なる証拠が、実施例10a及び10b中に見られた。実施例10aでは、その上で蛋白質が本発明の方法で分離された蛋白質結合膜を断面で切断し、共焦点顕微鏡で観察した。サンプル中の蛋白質が膜の表面上のみに関連して観察される。実施例10bは、膜の全てのサンプルの側面がろ紙ウィックと直接接触した時の電気泳動中、蛋白質サンプルが蛋白質結合膜から失われるか、更に分散したことを示す。
又、理論で本発明を限定するものではないが、本発明の膜電気泳動法による蛋白質の分離は、サンプル中の蛋白質及び蛋白質結合膜間の強力な表面相互作用の、有機溶媒バッファによる弱体化を明らかに含む。これは電流をかけた時に蛋白質が蛋白質結合膜の表面を横切って泳動することを可能とする。膜上に載置できるサンプル当たりの蛋白質の量は可変であり、サンプル純度、電気泳動技術の目的、及び視覚上の実際の検出限界又は使用される染色技術等の因子に影響される。一般的に、サンプル当たりの蛋白質の量は、約0.025〜約15マイクログラムの範囲でもよい。当業者はそれぞれのサンプル中の載置される適切な蛋白質の量は容易に決定できる。
低導電性電気泳動バッファの有機的性質に応じて、疎水性又は低分子量(例えばMr≦10000)蛋白質を含有するサンプル、並びに親水性蛋白質を含有するサンプルは本発明の方法により容易に分離できる。
載置前に、サンプルは膜上のサンプルの配置及び保持を助ける物質と混合できる。例えば、サンプルは、疎水性膜上にスポットする前にカプロラクトン又はジメチルホルムアミド等の有機溶媒の同一の容量と混合してもよい。サンプルは同様に、泳動電気泳動中に蛋白質の範囲を視覚化するのを助ける物質と混合してもよい。一般的に、これら物質は、最も速い泳動蛋白質の僅かに前又は同時に泳動する染料であるが、より遅い泳動物質も同様に使用できる。例えば、蛋白質サンプルは、通常最も速い泳動蛋白質の先に泳動するブロモフェノールブルーと混合できる。アクリジンオレンジ等の蛍光色素も同様に使用できる。
サンプル中の1以上の蛋白質も同様に、膜上の載置前に検出剤で標識されてもよい。適切な検出剤として、着色色素;蛍光色素;化学発光標識;ビオチン化標識、放射性標識;アフィニティ標識;酵素標識;蛋白質特定抗体;蛍光抗体等が挙げられる。適切な蛍光色素として、「CyDye2、3又は5DIGE fluors」商標(Amersham Biosciences社より市販されている)が挙げられる。例えば、それぞれ異なる蛍光標識蛋白質を含有するサンプルが同一の膜上に載置でき、電気泳動できる。反対に、単一のサンプルが異なる検出剤で標識された複数の蛋白質を含むこともできる。
同様に、膜上に載置する前に、沸騰又は変性、サンプルと会合しやすい(suspected)リガンドとの混合、免疫沈降、等の他の操作をサンプルへ行なってもよい。
膜のサイズに応じて、電気泳動は一般的に約1〜約4kVで行なわれるが、電圧は低くは0.1kVから高くは約30kVまでも使用できる。好ましくは、使用される電圧は約2kV〜約4kVである。電圧は膜上に載置された充分な蛋白質の分離に充分な時間、電気泳動ユニットへ荷電される。蛋白質分離に必要な時間は可変であり、荷電された電圧、蛋白質サンプルの量及び複雑さ、及び特定の分離実施の目的等の因子に影響される。一般的に、分離時間は高い電圧(例えば約10〜約20kV)の使用で短縮できる。当業者は容易に予定した膜電気泳動条件における適切な分離時間を決定できる。
膜電気泳動法中で発生される電流は、約0.0001mA/cm2膜〜約0.2mA/cm2膜、好ましくは0.0005mA/cm2膜〜約0.05mA/cm2膜、更に好ましくは約0.001mA/cm2膜〜約0.025mA/cm2膜の範囲である。約60cm2(即ち約7.5×8cm)の膜を使用する場合、約0.005mA〜約5mA、好ましくは約0.01mA〜約1.5mA、更に好ましくは約0.03mA〜約1.2mA、特に好ましくは約0.05〜1.0mAの電流が発生される。1.5mA以下の電流での膜電気泳動中には、顕著な熱は発生しない。
理論で本発明を限定するものではないが、膜上の蛋白質の泳動は、それらの等電点(pI)に関係する。例えば、有機溶媒バッファのpHがサンプルの蛋白質分子のpIと同一の場合、蛋白質は中性電荷であり、蛋白質の非泳動が観察された。しかし、有機溶媒バッファのpHがサンプルの蛋白質の等電点より上の場合は、蛋白質は正に荷電され、カソードへ向かって泳動する。同様に、バッファ中で負に荷電された蛋白質はアノードへ向かって泳動する。蛋白質のpI及びバッファのpH間の差が大きいほど、蛋白質の泳動が早くなる。やはり理論で本発明を限定するものではないが、蛋白質の分子量は、実質的に膜電気泳動中泳動に影響しない。
一般的に、有機的バッファのpHが5pIユニット以内の蛋白質が分離できる。例えば下記実施例2に示すように、pH4.5の有機溶媒バッファは、約1〜9.6の範囲のpIを有する蛋白質の分離を可能とする。従って、pH8.5の有機溶媒バッファでは、約3.から12又は13の高さのpIを有する蛋白質の分離が期待できる。しかしそのpI及びバッファpH間の差が5ユニットを超える蛋白質も同様に、発明の方法により分離できる。
ここで使用される、膜にそった蛋白質泳動の軸は「次元」として定義される。蛋白質泳動の軸は、膜の方位に関して異なる方向の電流をかけるか、最初の電流のまま膜の方向を変換することにより変更できる。1−D電気泳動技術では、蛋白質泳動の軸は変更されない。2−D技術では、蛋白質泳動の軸は、例えば電気泳動ユニットの膜を回転させて変更できる。
従って1−D膜電気泳動技術では、蛋白質は、電気泳動バッファのpHにより影響されるためそれらの等電点に基づいて、単一の次元のみで分離される。1−D膜電気泳動技術は広い範囲の種類に適用できる。特に、1−D膜電気泳動技術は、サンプルの蛋白質組成の素早い分析、又は、汚染物質及び劣化物質の存在のための治療用蛋白質製剤、ワクチン又は血液サンプルの素早い分析に有用である。1−D分析的な膜電気泳動技術の例示は下記実施例9に示される。
2−D膜電気泳動技術では、蛋白質は、まず1−D膜電気泳動により単一の次元のみで、第一電気泳動バッファのpHにより影響される等電点に基づいて一次元方向に分離される。次に、二次元方向の蛋白質の分離が第一バッファと異なるpH値を有する第二バッファ中で行なわれる。実際には、膜は、通常一次元での蛋白質の分離後は電気泳動ユニットから除去され、第二バッファ中で平衡化される。好ましくは膜は、第二バッファ中で平衡化される前に第一バッファを除去するために水中で少なくとも1回、例えば1〜4回洗浄される。例えば、適切な洗浄ステップは、水のトレー中へ20分膜を入れ、攪拌し、その時間内に水を3〜4回交換する。
ウィックを使用する場合、第一ウィックは通常破棄し、第二ウィックを第二バッファ中で平衡化する。第一バッファも同様に電気泳動ユニットから除去し、バッファ室を第二バッファで充填する。平衡化した膜を次に電気泳動ユニット中に異なる方位で配置し、電流を再荷電する。第二バッファの異なるpHは、一次元で分離された蛋白質を異なる荷電状態とする。電流を適用すると、蛋白質は第二バッファのpHに基づいて二次元で泳動する。実施例4に示されるように、大量の蛋白質の高い分解能分離が、2−D膜電気泳動法で達成される。
2−D膜電気泳動に使用する第一及び第二バッファは同一の組成を有してもよいが、異なるpHを有する。例えば、第一及び第二バッファのpHは下記実施例1中に記載されたように調整できる。又、第一及び第二バッファは異なる組成及び異なるpHでもよい。
本発明の膜電気泳動法は、それらの等電点に基づく蛋白質分離の観点からは従来の等電点電気泳動(IEF)技術に似ている。しかし、本発明の膜電気泳動法は、従来のIEF手順よりもいくつかの利点を有する。第一に、従来のIEFは、(例えば、両性物質又は固定化されたpHストリップにより)予め形成されたpH勾配を有するゲルマトリックス中の荷電された蛋白質分子の分離である。上記予め形成されたpH勾配は高価であり、準備に時間がかかる。更に、3未満又は10を超えるpIを有する蛋白質は、適切な両性勾配又は予め形成されたIEFストリップを得るのが困難なため従来のIEFでは容易に分離されない。反対に、本発明の膜電気泳動法では、予め形成されたpH勾配は必要なく、1程度に低いか約12又は13の高さのpIを有する蛋白質が膜電気泳動を使用して容易に分離できる。
第二に、従来のIEFゲルは通常、蛋白質結合相互作用及び酵素活性を消滅させる、高い濃度の尿素(例えば9M)及び他の非イオン性洗浄剤を含有する。同様に、2−DPAGEによる二次元分離で使用されるゲルは蛋白質を分子量により分離し、通常SDS等のイオン性洗浄剤を含有する。反対に、本発明の2−D膜電気泳動は、尿素又は洗浄剤が存在しない水混和性有機溶媒を使用し、その結果生体の蛋白質結合相互作用及び生物学的活性が示される。
第三に、疎水性蛋白質の分離は一般的に、これら蛋白質が水性バッファ中に溶解されないため従来のIEF手順では不可能であった。本発明の2−D膜電気泳動では有機溶媒バッファを使用するために、疎水性及び親水性蛋白質の両方が容易に分離できる。
最後に、従来のIEF手順は終了迄に1〜2日必要である。一方、代表的な2−D膜電気泳動は30分以内に完了できる。特に多数の電気泳動ユニットを単一の電力供給源に結合した場合の本発明の2−D膜電気泳動法の速度は、非常に少ない時間枠内に非常に多数の蛋白質サンプルの分析を可能とする。
2−D膜電気泳動技術は、生物又は生物部位(例えば、細胞、組織又は生物から得られた他の生物学的サンプル)から異なる時点で採取した蛋白質サンプルの分析に有用である。特に2−D膜電気泳動は、生物又は生物部位(例えば、細胞、組織又は生物から得られた他の生物学的サンプル)から、異なる進化段階中に採取した蛋白質サンプルの分析にも有用である。例えば、蛋白質サンプルは、単一の生物から胚形成中を通して得られてもよい。
異なる進化段階中の蛋白質発現における変質は、通常、本発明の方法による分離後の、蛋白質結合膜上の蛋白質スポットの発生、消滅又は移動度シフトに示される。蛋白質スポットの発生、消滅又は移動度シフトは、別々に発現した蛋白質の検出において使用される。別々に発現した蛋白質の性質は、質量分析法、免疫検出、又は当分野の他の適切な技術により同定できる。
2−D膜電気泳動による、異なる時点で採取された蛋白質サンプルの分析の場合、例えば20cm×20cmの大きな蛋白質結合膜を使用することが、多数のサンプルが膜の異なる領域に適用され、同時に試行できるため好ましい。
本発明の膜電気泳動法は同様に、当分野で公知の「パルスフィールド」電気泳動技術を使用できる。
蛋白質が膜電気泳動により分離された後、それらは膜上で標準的な染色又は視覚化技術で検出できる。これら技術として、比色分析用蛋白質検出方法(例えばポンソーS、クマシーブルー、又はアミドブラックが使用できる。);コロイド金染色;銀強化剤を使用した銀染色;免疫染色、化学発光検出、蛍光画像化;放射線画像化、等の当分野で公知の方法が挙げられる。高感度の染色又は視覚化技術が好ましい。例えば、コロイド金染色は、膜上の約1〜2ナノグラム(ng)の蛋白質を検出でき、銀強化剤を使用した銀染色は膜上の約0.5ngの蛋白質を検出できる。しかし、コロイド金染色は完了に2時間かかり、全ての種類の膜上に分離された蛋白質を同一の感度で染色できない(Pluskalら、Biotechniques4:272-283、1986)。銀強化剤を使用した銀染色も同様に非常に時間がかかり、実施が困難である。
反応性茶色織物染料を使用する新規で高感度な蛋白質染色方法が開発された。反応性茶色染色方法は、特に膜電気泳動により分離された蛋白質の検出に適しており、米国予備出願番号第60/409857、supra、題名「蛋白質結合膜へ結合する蛋白質の視覚化方法」2002年9月11日出願に一般に所有される対象でありそれらを全てここで資料として使用する。この方法は、膜電気泳動により約1ngまで分離された、上記記載の様々な種類の高分子膜上で約同一の感度で素早く蛋白質を検出できる。本発明の方法により、このレベルの感度で7.5cm×8cm膜上に分離された数百の蛋白質スポットを解析することが可能である。
例えば、本発明の膜電気泳動は非変性条件下で(例えば尿素又はSDSの存在なしに)実施できる。非変性条件下、蛋白質結合相互作用は、電気泳動中及び後にも維持される。例えば、発明者は図12Aに示される4個の蛋白質スポットの蛋白質組成を質量分析法により分析し、それぞれ4個のスポットは少なくとも15の異なる蛋白質を含有することを発見した。当分野の他の方法も本発明の方法で非変性条件下分離された蛋白質を同定するために使用でき、配列決定又は蛋白質特定抗体での免疫検出(例えばウェスタン分析)等が挙げられる。
本発明の方法で検出できる2つの異なる種類の蛋白質結合相互作用がある。第一は内因性蛋白質結合相互作用であり、細胞抽出物等のサンプル中に元来存在する蛋白質間の蛋白質結合相互作用である。第二は誘起性蛋白質結合相互作用であり、サンプル中に元来存在する蛋白質及びサンプル採取後にサンプルへ添加された蛋白質間の蛋白質結合相互作用である。誘起性蛋白質結合相互作用は、例えば蛋白質特定抗体のサンプルへの添加により得られる。添加された抗体は、サンプル中に元来存在する蛋白質へ結合できる。
内因性又は誘起性蛋白質結合相互作用は別の蛋白質により結合されている蛋白質の移動度シフトを引き起こす。移動度シフトは容易に検出され、従ってサンプルへ添加された蛋白質は標識される必要はない。しかし、サンプルへ添加された蛋白質は、標識されてもよい。好ましくは、誘起性蛋白質結合相互作用を起こすサンプルへ添加された蛋白質は抗体である。
理論で本発明を限定するものではないが、別の蛋白質へ結合されているサンプル中の蛋白質の移動度シフトは、サンプル中の、同一の結合されていない蛋白質と比較した結合されている蛋白質の等電点の変化に起因すると考えられる。
例えば、サンプルへ添加される抗体は、例えば着色色素、蛍光色素、化学発光標識、ビオチン化標識、放射性標識、アフィニティ標識、又は酵素標識により標識できる。標識された抗体により結合されているサンプル中の蛋白質の移動度シフトは、次にその標識のおかげで当分野の技術を使用して検出できる。抗体/蛋白質複合体は、第二抗体を使用して電気泳動後蛋白質結合膜上で同様に検出できる。
又、蛋白質特定リガンドは、膜電気泳動前にサンプルと混合できる。蛋白質特定リガンドは標識されないか、上記記載のように抗体で標識されてもよい。添加されたリガンドと相互作用するサンプル中の蛋白質も、上記記載の移動度シフトにより又は標識の検出により検出できる。
本発明の方法で非変性条件下電気泳動された蛋白質も同様に酵素活性を維持する。分離された蛋白質又は目的の酵素活性を維持している蛋白質複合体は、例えば直接膜上での電気泳動像分析等の適切な方法で検出できる。電気泳動像分析は、例えば下記実施例8に記載のとおり比色分析用又は螢光性基質を使用して行なうことが出来る。
非変性条件下膜電気泳動は同様に、蛋白質−蛋白質複合体中の蛋白質要素の特定の単純な方法を提供する。蛋白質要素の性質は、手順当分野の手順に従い蛋白質特定抗体、酵素分析、質量分析分析、蛋白質配列決定等を使用して決定できる。
本発明は下記本発明を限定するものではない実施例により例示される。
実施例1;膜電気泳動用低導電性有機溶媒バッファ:
本発明の低導電性有機溶媒バッファを下記のとおり配合した。
バッファA−導電性強化剤サリチルアルデヒド(5ml)及びフルフリルアルコール(3ml)をベース溶媒エチレンサイクリックカーボネート(7ml)へ添加した。使用前にエチレンサイクリックカーボネート(mp35〜37℃)を溶融することが必要である。サンプル蛋白質を3.5kVで実施例2の1cm×8cmストリップ上で電気泳動したところ、1.5mA以上の電流が直ちに発生し、過度の熱も発生した。導電性抑制剤1,3−ブタンジオール、ジメチルホルムアミド及びジメチルアセトアミドの混合物の添加は電流を0.1mAへ減少させ、蛋白質泳動速度の減少を最小にすると共に熱発生を排除した。
バッファAの最終的配合は下記の通り:
28%エチレンサイクリックカーボネート、
20%サリチルアルデヒド、
12%フルフリルアルコール、
8%1,3−ブタンジオール、
16%ジメチルホルムアミド、及び
16%ジメチルアセトアミド。
バッファAのpHを4.5へギ酸で調整したが、ギ酸添加量を変化させてpHの範囲を約3〜約6にすることもできる。更にバッファAのpHは、フルフリルアルコール中に溶解した0.5Mピペラジンを添加して約6〜約10の範囲に調整できる。
バッファB−導電性強化剤ホルムアミド(3ml)及びフルフリルアルコール(3ml)をベース溶媒プロピレンカーボネート(11ml)へ添加した。サンプル蛋白質を3.5kVで実施例2の1cm×8cmストリップ上で電気泳動したところ、2.0mAの電流が発生し、過度の熱も発生した。導電性抑制剤1,3−ブタンジオール及びN−メチルピロリジノンの混合物の添加は電流を0.4mAへ減少させ、蛋白質泳動へ最小の影響を与えると共に熱発生を排除した。バッファBの最終的配合は下記の通り:
44%プロピレンカーボネート、
12%ホルムアミド、
12%フルフリルアルコール、
16%1,3−ブタンジオール、及び
16%N−メチルピロリジノン。
バッファのpHをプロピレンカーボネート中に溶解した0.5Mピペラジンで8.5へ調整したが、ピペラジン添加量を変化させてpHの範囲を約6〜約10にすることもできる。更にバッファBのpHは、ギ酸でpHを調整して酸性にできる。バッファBの有効なpH範囲である3〜6はこの調整により達成できる。
導電性強化剤フルフリルアルコールを、テトラヒドロフルフリルアルコールで置き換えて下記バッファCを得ることもできる:
36%プロピレンカーボネート、
12%ホルムアミド、
20%テトラヒドロフルフリルアルコール、
16%1,3−ブタンジオール、及び
16%N−メチルピロリジノン。
バッファのpHをプロピレンカーボネート中に溶解した0.5Mピペラジンで8.5へ調整したが、ピペラジン添加量を変化させてpHの範囲を約6〜約10にすることもできる。更にバッファCのpHは、ギ酸でpHを調整して酸性にできる。バッファCの有効なpH範囲である3〜6はこの調整により達成できる。
導電性強化剤フルフリルアルコールを、2−フルアルデヒドで置き換えて下記バッファDを得ることもできる:
44%プロピレンカーボネート、
12%ホルムアミド、
12%2−フルアルデヒド、
16%1,3−ブタンジオール、及び
16%N−メチルピロリジノン。
バッファのpHをプロピレンカーボネート中に溶解した0.5Mピペラジンで8.5へ調整したが、ピペラジン添加量を変化させてpHの範囲を約6〜約10にすることもできる。更にバッファDのpHは、ギ酸でpHを調整して酸性にできる。バッファDの有効なpH範囲である3〜6はこの調整により達成できる。
実施例2;膜電気泳動用膜の評価:
バッファへの膜適合性の決定;下記高分子膜をそれらの実施例1のバッファA又はバッファBとの適合性を試験した:ポリビニリデンジフルオライド(PVDF)、ニトロセルロース、サポーテッドニトロセルロース、セルロースアセテート、DEAE−セルロース、「Hybond」商標−N、「Hybond」商標−NX(両者は中性ナイロン膜であるが、上記記載のようにそれらは僅かに荷電されている)、「Hybond」商標−XL、及び「Hybond」商標−N+(両者は改質されて高度に正に荷電されたナイロン膜である)。それぞれの膜を1cm×8cmストリップへ切断し、バッファA又はバッファBのいずれかで湿潤した。試験された膜中で、セルロース由来の膜(例えばニトロセルロース、セルロースアセテート及びDEAEセルロース)は、接触直後バッファにより完全に破壊され、それらは膜電気泳動不可能となった。残りの膜は、バッファ中の有機溶媒へ耐性であり、膜電気泳動使用に対するそれらの適合性を更に試験した。
分離用蛋白質サンプルの調製;蛋白質サンプルをチャバネゴキブリ(Blatella germanica)の乾燥体部分から下記のとおり得た。チャバネゴキブリのコロニーを120−ガロン(454.2リットル)プラスチックコンテナ中で飼育した。死んだゴキブリの乾燥体部分を120−ガロンコンテナの底部から収集し、pH7.4のリン酸バッファ食塩水(PBS)中で乳鉢及び乳棒で均一化し、スラリーを形成した(約1gの乾燥体部分/5mlPBS)。スラリーは次に13000×gで30分遠心分離した。上澄みを水で透析し、低分子量不純物を除去した。透析されたサンプルの蛋白質含有量を標準的な方法で決定し、サンプルを分取し、−20℃で貯蔵した。
チャバネゴキブリ蛋白質の電気泳動;上記調製されたチャバネゴキブリ蛋白質の透析されたサンプルの2マイクロリットル(1.5μg合計蛋白質)を同一量のカプロラクトンと混合し、種々の1cm×8cm膜ストリップの中央にスポットした。カプロラクトンの添加は、蛋白質抽出物の疎水性PVDF膜への結合を促進した。ワットマン3mmろ紙の1cm×8cmストリップを標準(コントロール)として使用した。膜及びワットマン3mmろ紙標準ストリップをそれぞれしばらくバッファA中に浸漬し、過剰の溶媒を除去するためにブロットした。膜及び標準ストリップを長いろ紙ウィックの頭頂部に配置し、ウィック及び膜を2つのガラス板間にサンドイッチした。ウィックは膜及びガラス板よりも長く、ウィックの末端はガラス板からはみ出た。この「サンドイッチユニット」を図1に示された様な水平型電気泳動ユニットの持ち上げられたプラットフォーム上に、ウィックの末端が充填されたバッファ区画室中に延びるように配置した。保護ガラスカバーをユニットの頭頂部に配置し、及び電力供給源を白金電気泳動ユニットの電極へ結合した。次に3.5kVの電圧をユニットへ5分間荷電した。
膜及び標準ストリップを電気泳動ユニットから除去し、米国予備出願番号第60/409857、supra、題名「蛋白質結合膜へ結合する蛋白質の視覚化方法」2002年9月11日出願に記載されており、一般に所有されている方法に基づく反応性茶色染料で染色した。電気泳動分離の結果を図4に示す。
図からわかるように、最も良い蛋白質分離がPVDF膜により達成された(図4、レーンA)。両方の中性に荷電されたナイロン膜(「Hybond」商標−N及び「Hybond」商標−NX)は良い蛋白質分離を示した(図4、レーンB及びC)。しかし、「Hybond」商標−N+又は「Hybond」商標−XL(両方共、高度に正に荷電されたナイロン膜)のいずれかに適用した蛋白質サンプルは、非常に減少された泳動速度を示し、分解能は、中性ナイロン又はPVDF膜で示された分解能に比べて劣っていた(図4、レーンD及びE)。ろ紙標準ストリップは劣った分解能及び過度の帯拡散を示した(図4、レーンF)。これら結果は、膜電気泳動に有用な高分子膜のために、膜は、純量電荷を有さないかわずかである疎水性(例えばPVDF)又は親水性(例えば「Hybond」商標−N及び「Hybond」商標−NX)のいずれかが好ましいことを示す。ろ紙は、本発明の方法の使用には明らかに不適切である。
同様の結果が、バッファB中のチャバネゴキブリ蛋白質の電気泳動において同一の条件及び電気泳動ユニット配置を使用して得られた。チャバネゴキブリ蛋白質の膜電気泳動は、異なるウィック配置(即ち、1の代わりに2つのウィック;膜とバッファ室とのウィック無しの直接結合)、及び上板が膜上に直接置かれない配置を使用して同様に行なわれた。これら配置は、いくらかの熱発生、膜の局所的乾燥、及びガラスカバー板上のバッファ濃縮を発生した。しかし、充分な蛋白質分離がそれぞれの配置で得られた。
実施例3;一次元膜電気泳動:
3.6〜9.6の範囲の等電点を有する6種の蛋白質を、7.5cm×8cmPVDF膜上で実施例2の通りにバッファA中3.5kVで5分間電気泳動した。電気泳動後、蛋白質を実施例2の通りに反応性茶色染色した。6種の蛋白質は:アミログルコシダーゼ(pI3.6);グルコースオキシダーゼ(pI4.2);β−ラクトグロブリンA(pI5.1);ミオグロビン(pI6.8及び7.2);ヒラマメレクチン(pI8.2、8.6及び8.8)及びシトクロムC(pI9.6)であった。図5に示されるように、蛋白質はそれらの等電点に基づき分離された。これら結果は、蛋白質分子上の電荷は、膜電気泳動中のそれらの泳動の重要因子であることを示す。
pI9.6を有するシトクロムCはpH4.5を有する有機溶媒バッファを使用して分離されため、有機溶媒バッファのpHと5ユニット異なるpIを有する蛋白質は本発明の方法で有効に分離できることを示す。
実施例4;二次元膜電気泳動:
ヒト乳ガン細胞抽出物(テンプル大学、生物学部のGeorge Tuszynski博士から提供された)を2〜3秒、氷上で細胞の低出力音波粉砕により調製した。6μg合計蛋白質を含有する4マイクロリットルの抽出物を4μlのカプロラクトンと混合し、PVDFブロット膜(7.5cm×8cm)の中央にスポットした。電気泳動を実施例2に記載された「サンドイッチユニット」配置を有する水平型電気泳動装置上で行った。細胞抽出物を3.5kVで5分間一次元で(約0.1mA又は約0.0016mA/cm2の電流の発生)、バッファA(pH4.5)を使用して分離した。
一次元分離の完了において、膜に適切な方位を確実にするため印を付け、2回それぞれ脱イオン水で数分間洗浄し、一次元溶媒を除去した。新しいろ紙ウィックを二次元バッファB(pH8.5)で平衡化し、底板の頭頂部へ配置した。二次元溶媒での平衡後、膜を次に新しいろ紙ウィックの頭頂部上にその元の位置から90°の位置に配して上板で覆った。二次元分離を3.5kVで5分間行った(約0.4mA又は約0.007mA/cm2の電流の発生)。全ての操作は室温で冷却せずに行なった。
二次元分離の最後に膜を除去し、水で洗浄し、反応性茶色染料で実施例2の通りに染色した。比較のために2−D SDS−PAGE(アニオン性変性剤−ポリアクリルアミドゲル)を上記と同様に調製したヒト乳ガン細胞抽出物80μgで同様に行なった。SDS−PAGEゲルを銀染料(従来の2−Dゲル染色用の通常の染料)で染色した。2−D SDS−PAGE中で使用された細胞抽出物量は、本発明の2−D膜電気泳動中で使用された量の10倍を超えるものであった。更に2−D SDS−PAGEは実施に2日必要であったが、2−D膜電気泳動は約30分で完了した。
2−D SDS−PAGE及び本発明の2−D膜電気泳動の結果をそれぞれ図6A及び6Bに示す。2−D膜電気泳動は、数百の明確で及び輪郭のはっきりした蛋白質スポットを示した(図6B)。反対に、2−D SDS−PAGEではかなり少ない蛋白質スポットしか視認できず、視認されたものは拡散してむらがあった(図6A)。2−D SDS−PAGE分離中に観察されるむらは、貧溶媒和された疎水性蛋白質のゲルマトリックスを通過する泳動のせいであると考えられる。これらの結果は、本発明の2−D膜電気泳動は従来の2−Dポリアクリルアミドゲル電気泳動方法に対して、分離完了に必要な時間、電気泳動実施に必要なサンプル量、及び得られる分解能の点で顕著な改良を示すことを示す。
実施例5;膜電気泳動でのアレルゲン免疫検出:
膜電気泳動により分離された蛋白質は、目的の蛋白質特有の抗体で膜を直接プローブして同定できる。これは下記のとおりPVDF膜上で電気泳動されたチャバネゴキブリ蛋白質抽出物中の喘息発生アレルゲンを検出することにより示された。
2cm×8cmPVDF膜に、実施例2の通りに調製した単一の4μlサンプルのチャバネゴキブリ乾燥体部分蛋白質抽出物(5μg合計蛋白質)をスポットした。サンプルを実施例2の通りに、バッファB(pH8.5)を使用して3.5kVで5分間、一次元電気泳動した。下記電気泳動で、膜を完全に脱イオン水で数分間洗浄し、過剰の有機溶媒を除去した。次に膜を半分に切断し、2つの1cm×8cmとした。二分の一を反応性茶色染料で実施例2の通りに染色し、他の半分を下記のとおり免疫検出にかけた。
膜半分を最初に、0.05%「Tween」商標20を含有し、pH7.4(TTBS)のトリスバッファ食塩水で15分間洗浄した。膜半分を次に5%無脂乾燥乳のTTBSバッファ中で2時間インキュベートし、次にTTBSで15分間、1回TTBSを交換して洗浄した。次に膜半分を、チャバネゴキブリに起因する喘息症状を有することがわかっている個体から採集された貯蔵血清から得られた主要抗体溶液(IgE)(滴定濃度は1:1000希釈)中で一晩インキュベートした。膜半分を次に再度少なくとも30分、TTBS中洗浄し、主要抗体を除去した。膜半分を標識した第二抗体(ヤギ−抗ヒトIgE)中で、1:5000の滴定濃度で2時間インキュベートし、次に再度30分TTBS中で洗浄した。アレルゲンの視覚化を、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸及びニトロブルーテトラゾリウム(BCIP/NBT)の溶液に膜半分を配置して行なった。アレルゲン帯が必要な強度の時に、反応を脱イオン水の添加により中止する。
図7は、免疫検出を受ける膜半分(レーン2)と比較した、反応性茶色染料で染色した膜半分(レーン1)の蛋白質プロファイルを示す。7個の明らかに視認できて高度に分離された免疫原が免疫染色した膜半分中に存在し、その6個が、反応性茶色−蛋白質プロファイル中に見られるそれらの対応する蛋白質に容易に帰属できる。残りのアレルゲン帯は明らかに、反応性茶色染色の検出限界の下(〜1ng)である蛋白質に由来する。分離試験中では、喘息症状を有さないことがわかっている個体から採集された貯蔵された血清を標準として使用したもので、免疫反応性帯はいずれも検出されなかった。
実施例6;蛋白質−蛋白質複合体の検出:
蛋白質−蛋白質複合体は、蛋白質サンプルが膜電気泳動により分離された後に検出できる。これを示すために、トリプシン−大豆トリプシンインヒビター複合体を含有するサンプル、及び線虫共生細菌(Photorhabdus luminescens Hp.)由来のプロテアーゼ−プロテアーゼインヒビター複合体を含有するサンプルをPVDF膜上で下記のとおり電気泳動した。
P.luminescens Hp蛋白質サンプルの調製;1リットルのLB媒体へP.luminescens Hpの単一のコロニーを接種し、7日間攪拌しながら28℃でインキュベートした。次に媒体を7500×g、1時間で遠心分離した。上澄みを採集し、80%w/v硫酸アンモニウムで沈殿して濃縮し、7000×gで遠心分離し、10mMリン酸ナトリウムバッファ、pH6.5中で再懸濁した。濃縮した培養物を一晩、水で透析した。プロテアーゼをベンズアミジン−アガロースアフィニティクロマトグラフィーで精製し、プロテアーゼインヒビターも同様にトリプシン−アガロースアフィニティクロマトグラフィーで精製した。5μl(1μg蛋白質)の個体蛋白質及び複合体(蛋白質をその複合相手と共に10分室温で混合して)をスポットとして3cm×8cmPVDF膜の中央へ適用した。トリプシン及びトリプシンインヒビターの両方をSigma Chemical社(St.Louis、MO)から入手した。トリプシン及びトリプシンインヒビターを分離して調製し、濃度1mg/mlの水溶液とした。トリプシン−トリプシンインヒビター複合体を得るために、蛋白質を組み合わせて15分間室温でインキュベートした。
1−D膜電気泳動を実施例2の通りに3.5kVでバッファB(pH8.5)中5分間、電流0.003mA/cm2で行なった。ブロット膜を水で洗浄後、蛋白質を実施例2の通りに反応性茶色染料方法により検出した。図8A及び8Bは個体蛋白質種及び蛋白質−蛋白質複合体の両方が検出できたことを示す。
実施例7;蛋白質−リガンド相互作用の検出:
蛋白質−蛋白質複合体の検出に加えて、蛋白質サンプルの膜電気泳動後、蛋白質−リガンド相互作用も同様に検出できる。これは、β−ラクトグロブリンA(脂肪酸結合蛋白質)とステアレート(脂肪酸)との相互作用がPVDF膜上でのサンプルの電気泳動後に示されることで明らかである。
1mg/mlβ−ラクトグロブリンAの脱イオン水H2Oの溶液を調製し、0.1mMステアリン酸亜鉛のフルフリルアルコール溶液も調製した。2つの溶液の1マイクロリットルアリコートを混合し、5分間室温でインキュベートし、蛋白質−リガンド複合体を形成した。β−ラクトグロブリンA(フリー蛋白質)、ステアリン酸亜鉛(フリーリガンド)及び蛋白質−リガンド複合体を含有するサンプルを3cm×8cmPVDF膜上にスポットした。1−D膜電気泳動を実施例2の通りに3.5kVで5分間バッファB(pH8.5)中で行った。電気泳動後、膜を反応性茶色染料で実施例2の通りに染色した。図9に示す結果は、複合体を形成したβ−ラクトグロブリンA及びステアレートが容易に検出される(レーン2)ことを明らかに示す。上記複合体上の膜に見られるスポットは、蛋白質サンプルがスポットされた原点を示す。
実施例8;酵素活性の検出:
通常はゲルがアニオン性変性剤(例えばSDS)を含有するために、普通のポリアクリルアミドゲル電気泳動による酵素活性の検出は困難である。同様に、アニオン性洗浄剤の除去に必要な非常に長い洗浄は蛋白質帯をこれらゲル中に拡散させてしまう。そして、蛋白質帯の拡散は目的の酵素の精密な検出を不可能にする。
反対に、膜電気泳動は蛋白質生物学的活性を保存し、酵素活性の検出前の再生ステップは不要である。従って電気泳動後、酵素は素早く精密に膜上で検出される。これは、エステラーゼ活性が3cm×8cmPVDF膜上で実施例2の通りに、3.5kVで5分間バッファB(pH8.5)中で電気泳動されたチャバネゴキブリ蛋白質抽出物中に検出されたことで明らかである。
電気泳動後、0.1Mトリス−HCl、pH7.5中20分間、バッファを1回交換して膜を平衡化した。膜を半分に切断し、2つの1cm×8cmとした。二分の一の膜を反応性茶色染料で実施例2の通りに染色し、チャバネゴキブリ蛋白質プロファイルを調製した(図10、レーンA)。他の半分の膜を7.5μg/ml4−メチルウンベリフェリルブチレート(4MU−ブチレート)中5分間インキュベーションしてエステラーゼ酵素の存在を試験した。膜上のエステラーゼは4MU−ブチレート蛍光原基質を分割し、4−メチルウンベリフェロン(4MU)を含有する強い蛍光の帯を発生した。エステラーゼ活性を示す蛍光帯を「Alpha Imager 2000デジタルカメラ」商標(Alpha Inotech社製)でイメージ化した。図10のレーンBに示されるように、5本の蛍光エステラーゼ帯がチャバネゴキブリ蛋白質サンプル中に視認できる。
同様の試験が行われ、プロテアーゼ活性が分離されたチャバネゴキブリ蛋白質中に6μg/mlNα−カルボベンゾキシ−L−アルギニン−7−アミド−4−メチルクマリン(「CBZ−arg−7AMC」)により検出された。CBZ−arg−7AMCはトリプシン様セリンプロテアーゼに特有の螢光原基質である。図10のレーンCは膜上の2つの顕著な蛍光帯を示し、チャバネゴキブリ蛋白質サンプル中のプロテアーゼの存在を示す。
実施例9;1−D膜電気泳動による蛋白質純度及び蛋白質劣化の評価:
多くの治療用薬又はワクチン製剤は蛋白質であるか、蛋白質分子を含有する。運搬及び貯蔵中、これら蛋白質含有製剤は劣化又は汚染されることがある。製剤中の蛋白質は劣化するために、製剤の純度の評価及び、可能な汚染物質の同定に使用するための用法指示プロファイルが作成されている。
SDS−PAGEは現在、蛋白質含有製剤の蛋白質分解プロファイルの分析・選別方法として採用されている。しかし、SDS−PAGEは時間がかかり、大量のサンプルを必要とし、及びしばしば分離された蛋白質の低い分解能しか提供できない。下記試験で示されるように、これら欠点は本発明の蛋白質含有製剤の劣化分析用膜電気泳動を使用することにより避けられる。
ウシ血清アルブミンを含有する1ミリリットルの製剤(BSA;1mg/ml)を室温で12時間貯蔵し、蛋白質の劣化を誘起した。50マイクロリットルのBSA調製物を0時及び全ての毎時間抜き取り、後で1−D膜電気泳動により分析するために冷凍した。電気泳動を実施例2の通りに3.5kVで5分間、バッファA(pH4.5)を使用して行なった。結果を図11に示す。
図11より、5時間室温への曝露後BSAの劣化が発生し、残りの12時間中進行することが観察された。本発明特有の高い分解能分解プロファイルが5〜6時間時点、7〜9時間時点、及び10〜12時間時点で明らかである。これら結果は蛋白質製剤中の蛋白質劣化が膜電気泳動により素早く精密に検出できることを示し、この方法は多量の蛋白質製剤の高い処理能力スクリーニングに容易に適用できることを示唆した。
実施例10a及び10b;膜電気泳動中蛋白質結合膜の表面上の蛋白質サンプル泳動:
実施例10a;蛋白質結合膜の共焦点顕微鏡断面:
6マイクログラムの血清蛋白質サンプルを7.5cm×8cmPVDF片上に上記実施例2に記載のとおり適用した。次に蛋白質サンプルを本質的に上記実施例4に記載のとおり二次元で分離した。一次元分離をバッファA中(参照実施例1)5分間3.5kVで行なった。二次元をバッファB(参照実施例1)を使用して3.5kVで5分間行なった。次に膜を30分間水を2回交換して洗浄した。分離した蛋白質を、Houston、B.,&Peddie、D.Anal.Biochem.177、263−267(1989)に記載のとおり(その全ての開示をここで資料として使用する。)フルオレセイン−イソチオシアナート(FITC)で共有的に標識した。共有標識手順に続いて、膜を洗浄して不必要なバックグラウンド蛍光発光を生じる過剰のFITCを除去した。分離された蛋白質はUV照明下で黄色蛍光スポットとして視認できる。
中間サイズのスポットを膜から切除し、断面を切断して蛋白質スポットを二等分した。二分の一の二等分したスポットをパラフィンワックス中凹型顕微鏡用スライド上にPVDF膜がスライドに直交するように固定した。次にスライド中の凹部に水を充填し、カバースリップをサンプル上に配置した。共焦点顕微鏡を使用して観察すると、蛍光標識された蛋白質が膜の表面上のみに見られた。
実施例10b;ろ紙ウィックと完全に接触している蛋白質結合膜のサンプルサイドでの電気泳動:
2つの同一にスポットされたPVDF膜を別々に、バッファAを使用して(参照実施例1)1D膜電気泳動にかけた。一方の膜を上記実施例3のように、頭頂部ガラス板に面しているサンプル側面(即ち、ろ紙ウィックと接触していない側面)で電気泳動した。他方の膜は、頭頂部ガラス板に面するのではなくろ紙ウィックに面して下向きのサンプル側面を有した。前者の配置では、膜は「表を上にした」と言う。後者の配置では、膜は「逆さま」であると言う。
「逆さま」膜上では、「表を上にした」膜上に視認できる軽く染色した蛋白質帯は存在しない。同様に、より濃密に染色した帯は「逆さま」膜上に「表を上にした」膜上よりも更に拡散した。これらの結果は膜電気泳動中、蛋白質は膜の表面上にあることを示す。より豊富でない蛋白質はその結果ろ紙ウィックから失われ、より豊富な蛋白質は膜表面及びろ紙ウィック間の競合により拡散した。より豊富な蛋白質の完全な喪失は、ろ紙よりも蛋白質がよりしっかりとPVDFの表面へ結合しているために、確認されなかった。
実施例11;親水性及び疎水性蛋白質の2−D膜電気泳動による分離:
新しく開発された2−D膜電気泳動は親水性だけでなく疎水性蛋白質も同様に分離できることを示すために、ヒト血清蛋白質をBordierの手順に従い(J.Biol.Chem.256.1604−1607、1981、その全ての開示をここで資料として使用する。)「TritonX−114」商標を使用して親水性及び疎水性フラクションの両方を分取した。血清の5μlアリコートを、1%TritonX−114、10mMトリス−HCl(pH8.0)及び100mMNaClを含有する200μlの溶液と4℃で処理した。次に溶液を25℃で10分インキュベートした。得られた濁った溶液を10000×gで25℃、10分間スパンした。水性の上相及び底部洗浄剤小滴を分離した。上記プロセスを2つの蛋白質フラクションの完全な分離を確保するために繰り返した。下記2−D膜電気泳動による分析の前にバイオゲルP−6ミクロスピンカラムを通してフラクションをスピンして、過剰の洗浄剤を両方の相から除去した。
それぞれのサンプルを同一の容量のカプロラクトンを添加する前に12mg/mlまで脱イオン水で希釈した。6マイクログラムのそれぞれのサンプルを7.5cm×8cmPVDF片膜の中央上にそれぞれのサンプルを別々に載置した。それぞれのサンプルに一次元でバッファA(参照実施例1)を使用して5分間、0.1mA及び3.5kVで、二次元でバッファB(参照実施例1)を使用して5分間、0.4mA及び3.5kVで上記記載のとおり2−D膜電気泳動を行なった。蛋白質分離に続いて、脱イオン水中で少なくとも20分、2回水を交換して膜を洗浄し、銀染色した。図12Bに示されるように、疎水性血清蛋白質が非常に優れた不純物のない良く分離されたスポットとして分離された(即ち、通常2−DPAGEで観察されたように拡散がなく、むらが無い)。親水性血清蛋白質も同様に明らかに分離された(図12A参照)。
ここで引用した書類を全てここで資料として使用する。本発明は好ましい例及び種々の図を使用して記載されているが、本発明と同一の作用を奏する本発明の他の同様の実施例、それらの改質及び付加も本発明の範囲内であることは当然である。従って、本発明の範囲は特許請求の範囲に基づき定められ、実施例により限定されるものではない。
本発明の水平型電気泳動ユニットの側断面図を示す。 本発明の水平型電気泳動ユニット用の膜及びウィックを有する「サンドイッチユニット」の側面図を示す。 2つの独立バッファ室及び長さ可変のサンドイッチユニットを示す本発明の長さ可変の水平型電気泳動ユニットの側断面図を示す。 種々の膜ストリップ上で電気泳動されたチャバネゴキブリ蛋白質の反応性茶色染色を示す。A:PVDF膜;B:中性ナイロン膜(「Hybond」商標−N);C:中性ナイロン膜(「Hybond」商標−NX);D:荷電されたナイロン膜(「Hybond」商標−N+);E:荷電されたナイロン膜(「Hybond」商標−XL);F:ワットマン3mmろ紙標準ストリップ。電極電気泳動中のストリップの正及び負の方位は「+」及び「−」で示した。 PVDF膜上で等電点(pI)による蛋白質の分離の電気泳動を行った6種の蛋白質の反応性茶色染色を示す。レーン1:アミログルコシダーゼ(pI 3.6)、グルコースオキシダーゼ(pI 4.2)、β−ラクトグロブリンA(pI 5.1)、ミオグロビン(pI 6.8;7.2)、ヒラマメレクチン(pI 8.2;8.6;8.8)及びシトクロムC(pI 9.6)の混合物;レーン2:シトクロムC;レーン3:ヒラマメレクチン;レーン4:ミオグロビン;レーン5:β−ラクトグロブリンA;レーン6:グルコースオキシダーゼ;レーン7:アミログルコシダーゼ。電気泳動中の電極に関する正及び負の膜の方向は、「+」及び「−」として表した。 ヒト乳ガン細胞抽出物の標準的な二次元SDS−PAGEの銀染料を示す。一次元は等電点電気泳動(pI)であり、二次元はSDSバッファ中で分子量により分離した。 本発明のPVDF膜上のヒト乳ガン細胞抽出物の二次元膜電気泳動を示す。膜電気泳動中で蛋白質が分離された第一及び二次元を、それぞれ「−←1D→+」及び「−←2D→+」で示した。 本発明のPVDF膜上で電気泳動されたチャバネゴキブリ蛋白質中の喘息発生アレルゲンの検出を示す。レーン1は分離された蛋白質の反応性茶色プロファイルである。レーン2はアレルゲン帯を示す分離された蛋白質の免疫染色である。電気泳動中の電極に関する正及び負の膜の方向は、「+」及び「−」として表した。 本発明のPVDF膜上で複合体の電気泳動後のトリプシン/トリプシンインヒビター複合体の検出を示す。PVDF膜上で複合体の電気泳動後のプロテアーゼ/プロテアーゼインヒビター複合体の検出を示す。電気泳動中の電極に関する正及び負の膜の方向は、「+」及び「−」として表した。上記両方の図中、矢印は原点を示す。 本発明のPVDF膜上で複合体の電気泳動後のβ−ラクトグロブリンA/ステアレート複合体の検出を示す。電気泳動中の電極に関する正及び負の膜の方向は、「+」及び「−」として表した。矢印は原点を示す。 本発明のPVDF膜上で電気泳動されたチャバネゴキブリ蛋白質中のエステラーゼ及びプロテアーゼ活性の検出を示す。レーンAは分離された蛋白質の反応性茶色プロファイルである。レーンBはエステラーゼ帯を示す分離された蛋白質の蛍光スキャンである。レーンCはプロテアーゼ帯を示す分離された蛋白質の蛍光スキャンである。電気泳動中の電極に関する正及び負の膜の方向は、「+」及び「−」として表した。 本発明のPVDF膜上で長時間の膜電気泳動により得られたBSA分解プロファイルの検出を示す。BSAのサンプルは室温に保たれ、0時から、12時間にわたり1時間間隔で図中に示されるように採取された。蛋白質サンプルがスポットされた原点は矢印で表され、電気泳動中の電極に関する正及び負の膜の方向は、「+」及び「−」として表した。 PVDF膜上で分離し、銀染色したヒト血清の親水性及び疎水性蛋白質フラクションの2D膜電気泳動を示す。 PVDF膜上で分離し、銀染色したヒト血清の親水性及び疎水性蛋白質フラクションの2D膜電気泳動を示す。

Claims (9)

  1. (i)少なくとも1のベース溶媒及び少なくとも1の導電性強化剤を含有する少なくとも1の低導電性有機溶媒バッファ;
    (ii)膜厚みが0.15mmのときに室温で少なくとも20μg蛋白質/cm 2 の蛋白質結合能力を有する高分子膜であり、該膜は少なくとも1の低導電性有機溶媒バッファと適合性がある膜;並びに
    (iii)前記低導電性有機溶媒バッファ及び膜厚みが0.15mmのときに室温で少なくとも20μg蛋白質/cm 2 の蛋白質結合能力を有する前記高分子膜を備えるための少なくとも1の電気泳動ユニット、並びに上記少なくとも1の電気泳動ユニット中の電流を発生可能な電力供給源を有する電気泳動装置、
    ここで、前記少なくとも1のベース溶媒はエチレンサイクリックカーボネートであるか、又はプロピレンカーボネート及びエチレンサイクリックカーボネートの混合物であり、前記低導電性有機溶媒バッファは3.5kVの一定電圧をかけた時に、0.0001mA/cm 2 膜〜0.2mA/cm 2 膜の電流を生じる、
    を備えた蛋白質の分離用電気泳動システム。
  2. 上記少なくとも1の導電性強化剤はホルムアミド;アセトアミド;プロピオンアミド;ブチルアミド;N−メチルホルムアミド;N−メチルアセトアミド;N−メチルプロピオンアミド;N−メチルブチルアミド;ベンズアミド;トルアミド;ラクトアミド;ニコチンアミド;2−フルアルデヒド;フルフリルアルコール;テトラヒドロフルフリルアルコール;サリチルアルデヒド;グアヤコール;フェノール;ホウ酸;フマル酸;ピペラジン;及びそれらの混合物の群から選ばれた請求項1の電気泳動システム。
  3. 前記少なくとも1の低導電性有機溶媒バッファは更に、ホルムアミド及びアセトアミドのジメチル誘導体;1,3−ブタンジオール;N−メチルピロリジノン;ソルビトール;グリセロール;カプロラクトン;メトキシエタノール;及びそれらの混合物の群から選ばれた少なくとも1の導電性抑制剤を含有する請求項1又は2の電気泳動システム。
  4. 前記高分子膜はポリビニリデンジフルオライド(PVDF)である請求項の電気泳動システム。
  5. 下記ステップを有する蛋白質の電気泳動分離法:
    (1)少なくとも1のベース溶媒、少なくとも1の導電性強化剤、及び少なくとも1の導電性抑制剤を含有する少なくとも1の低導電性有機溶媒バッファを用意するステップ、ここで、前記低導電性有機溶媒バッファは3.5kVの一定電圧をかけた時に、0.0001mA/cm 2 膜〜0.2mA/cm 2 膜の電流を生じる
    (2)膜厚みが0.15mmのときに室温で少なくとも20μg蛋白質/cm 2 の蛋白質結合能力を有する高分子膜であり、該膜は少なくとも1の低導電性有機溶媒バッファと適合性がある膜を用意するステップ;
    (3)膜で分離される蛋白質を含有する少なくとも1のサンプルを適用するステップ;並びに
    (4)電気泳動による蛋白質の分離ステップ。
  6. 下記ステップを有する蛋白質の二次元電気泳動分離方法:
    (1)下記を含む電気泳動システム調製ステップ:
    (i)第一pHを有する第一低導電性有機溶媒バッファ及び第二pHを有する第二低導電性有機溶媒バッファ;
    ここで、第一及び第二の低導電性有機溶媒バッファは3.5kVの一定電圧をかけた時に、0.0001mA/cm 2 膜〜0.2mA/cm 2 膜の電流をそれぞれ生じる、
    (ii)膜厚みが0.15mmのときに室温で少なくとも20μg蛋白質/cm 2 の蛋白質結合能力を有し、第一及び第二の低導電性有機溶媒バッファと適合性がある高分子膜;並びに
    (iii)第一及び第二の低導電性有機溶媒バッファ及び膜厚みが0.15mmのときに室温で少なくとも20μg蛋白質/cm 2 の蛋白質結合能力を有する前記高分子膜を備えるための少なくとも1の電気泳動ユニットを含有する電気泳動装置;
    (2)分離される蛋白質を有する少なくとも1のサンプルを膜厚みが0.15mmのときに室温で少なくとも20μg蛋白質/cm 2 の蛋白質結合能力を有する前記膜へ適用するステップ;
    (3)膜厚みが0.15mmのときに室温で少なくとも20μg蛋白質/cm 2 の蛋白質結合能力を有する前記膜及び第の低導電性有機溶媒バッファを少なくとも1の電気泳動ユニット中に配置するステップ、但し、膜は第一方位方向に配置される;
    (4)少なくとも1の電気泳動ユニット中で電流を発生することにより一次元方向に蛋白質を分離するステップ;
    (5)少なくとも1の電気泳動ユニット中の第一の低導電性有機溶媒バッファの第二の低導電性有機溶媒バッファで交換するステップ;
    (6)膜厚みが0.15mmのときに室温で少なくとも20μg蛋白質/cm 2 の蛋白質結合能力を有する前記膜を少なくとも1の電気泳動ユニット中に第二方位方向に配置するステップ;並びに
    (7)少なくとも1の電気泳動ユニット中で電流の発生により二次元方向に蛋白質を分離するステップ。
  7. (i)少なくとも1のベース溶媒及び少なくとも1の導電性強化剤を含有する少なくとも1の低導電性有機溶媒バッファ;
    (ii)膜厚みが0.15mmのときに室温で少なくとも20μg蛋白質/cm 2 の蛋白質結合能力を有する高分子膜であり、該膜は少なくとも1の低導電性有機溶媒バッファと適合性がある膜;並びに
    (iii)前記低導電性有機溶媒バッファ及び前記高分子膜を備えるための少なくとも1の電気泳動ユニット、並びに上記少なくとも1の電気泳動ユニット中の電流を発生可能な電力供給源を有する電気泳動装置、
    ここで、前記低導電性有機溶媒バッファは3.5kVの一定電圧をかけた時に、0.0001mA/cm 2 膜〜0.2mA/cm 2 膜の電流を生じ、
    前記少なくとも1の導電性強化剤は、サリチルアルデヒド及びフルフリルアルコールの混合物、ホルムアミド及び2−フルアルデヒドの混合物、ホルムアミド及びフルフリルアルコールの混合物、又はホルムアミド及びテトラヒドロフルフリルアルコールの混合物である、
    を備えた蛋白質の分離用電気泳動システム。
  8. (i)少なくとも1のベース溶媒、少なくとも1の導電性強化剤及び少なくとも1の導電性抑制剤を含有する少なくとも1の低導電性有機溶媒バッファ;
    ここで、少なくとも1の導電性抑制剤はホルムアミド及びアセトアミドのジメチル誘導体;1,3−ブタンジオール;N−メチルピロリジノン;ソルビトール;グリセロール;カプロラクトン;メトキシエタノール;及びそれらの混合物の群から選ばれ、
    前記低導電性有機溶媒バッファは3.5kVの一定電圧をかけた時に、0.0001mA/cm 2 膜〜0.2mA/cm 2 膜の電流を生じる、
    (ii)膜厚みが0.15mmのときに室温で少なくとも20μg蛋白質/cm 2 の蛋白質結合能力を有する高分子膜であり、該膜は少なくとも1の低導電性有機溶媒バッファと適合性がある膜;並びに
    (iii)前記バッファ及び前記高分子膜を備えるための少なくとも1の電気泳動ユニット、並びに上記少なくとも1の電気泳動ユニット中の電流を発生可能な電力供給源を有する電気泳動装置、
    を備えた蛋白質の分離用電気泳動システム。
  9. (i)少なくとも1のベース溶媒、少なくとも1の導電性強化剤及び少なくとも1の導電性抑制剤を含有する少なくとも1の低導電性有機溶媒バッファ;
    ここで、前記低導電性有機溶媒バッファは3.5kVの一定電圧をかけた時に、0.0001mA/cm 2 膜〜0.2mA/cm 2 膜の電流を生じる、
    (ii)膜厚みが0.15mmのときに室温で少なくとも20μg蛋白質/cm 2 の蛋白質結合能力を有する高分子膜であり、該膜は少なくとも1の低導電性有機溶媒バッファと適合性がある膜;並びに
    (iii)前記低導電性有機溶媒バッファ及び前記高分子膜を備えるための少なくとも1の水平型電気泳動ユニット、並びに上記少なくとも1の水平型電気泳動ユニット中の電流を発生可能な電力供給源を有する電気泳動装置、
    ここで、前記低導電性有機溶媒バッファは3.5kVの一定電圧をかけた時に、0.0001mA/cm 2 膜〜0.2mA/cm 2 膜の電流を生じ、
    前記少なくとも1の水平型電気泳動ユニットは下記を備えている:
    (i)第一及び第二独立バッファ室;
    (ii)第一及び第二独立バッファ室にまたがる実質的に同じ長さ及び幅の上板及び底板、但し前記高分子膜は上板及び底板の間にサンドイッチされており;並びに
    (iii)底板及び前記高分子膜の間に配置され、第一及び第二末端を有するウィック、ここで、第一及び第二ウィック末端は延長してそれぞれ第一及び第二独立バッファ室内へ達するほど上板及び底板よりも長い、
    を備えた蛋白質の分離用電気泳動システム。
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