JP4434623B2 - ボンディング装置およびボンディング方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワイヤやバンプなどの接合対象物を電子部品や基板の電極などの被接合物にボンディングするボンディング装置およびボンディング方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
超音波接合を用いたボンディング装置におけるボンディング品質確保の方法として、従来より超音波振動子を駆動するドライバより導出される指標値、例えば最大電流値などの指標値をボンディング品質を評価するための品質特性値として用いる方法が知られている。この方法においては、ボンディング動作において検出される指標値と予め設定された良否判定のためのしきい値として設定された基準値との偏差を求めることにより、ボンディング品質の良否判定が行われる(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−345835号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来技術において、良否判定の基準値を適正に定めることは必ずしも容易ではない。品質特性値として用いられる指標値はいわば代用特性値であり、ボンディング品質そのものを常に示すものではなく、実際の品質には各種の要因が複雑に影響しているからである。このため、上記従来技術における基準値の設定には多分に試行錯誤的な要素が大きく、信頼性のある良否判定を行うための適正な基準値の設定には、作業者に多大な手間と労力を強いる場合があった。
【0005】
そこで本発明は、ボンディング品質の良否判定を操作性よく且つ高い信頼性で行うことができるボンディング装置およびボンディング方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載のボンディング装置は、接合対象物を振動と荷重により被接合面にボンディングするボンディング装置であって、接合対象物を被接合面に押圧してボンディングするボンディングツールと、前記ボンディングツールを振動させる振動子と、前記振動子に高周波電圧を印加して該振動子を振動させる振動子駆動手段と、前記振動子駆動手段を制御して所定のボンディングサイクル毎に前記振動子に高周波電圧を印加させる振動制御手段と、前記ボンディングサイクルにおいてボンディングの状況を示すボンディング指標値を前記振動子駆動手段から導出するボンディング指標値導出手段と、前記ボンディング指標値を複数の前記ボンディングサイクルと関連付けて表示する指標値表示手段と、前記ボンディングサイクルを所定回数反覆することによって得られた所定個数のボンディング指標値に基づいて、その後のボンディングサイクルにおけるボンディングの良否判定指針を導出する判定指針導出部を備えた。
【0008】
請求項2記載のボンディング装置は、接合対象物を振動と荷重により被接合面にボンディングするボンディング装置であって、接合対象物を被接合面に押圧してボンディングするボンディングツールと、前記ボンディングツールを振動させる振動子と、前記振動子に高周波電圧を印加して該振動子を振動させる振動子駆動手段と、前記振動子駆動手段を制御して所定のボンディングサイクル毎に前記振動子に高周波電圧を印加させる振動制御手段と、前記ボンディングサイクルにおいてボンディングの状況を示すボンディング指標値を前記振動子駆動手段から導出するボンディング指標値導出手段と、前記ボンディング指標値を複数の前記ボンディングサイクルと関連付けて表示する指標値表示手段と、ボンディングの良否判定基準を記憶する判定基準記憶部と、前記ボンディング指標値を複数記憶するボンディング指標値記憶部と、前記ボンディング指標値の傾向と前記良否判定基準に基づいて、ボンディングの状況が不良平衡する可能性が高い旨の警告の要否を判断する警告判断部と、前記警告を表示する警告表示手段とを備えた。
【0010】
請求項3記載のボンディング方法は、接合対象物を振動と荷重により被接合面にボンディングするボンディング方法であって、接合対象物を被接合面に押圧してボンディングするボンディングツールを振動させる振動子に振動子駆動手段により高周波電圧を印加して駆動する振動子駆動工程と、ボンディングサイクルにおいてボンディングの状況を示すボンディング指標値を前記振動子駆動手段から導出するボンディング指標値導出工程と、前記ボンディング指標値を複数の前記ボンディングサイクルと関連付けて表示する指標値表示工程と、前記ボンディングサイクルを所定回数反覆することによって得られた所定個数のボンディング指標値に基づいて、その後のボンディングサイクルにおけるボンディングの良否判定指針を導出する判定指針導出工程を含む。
【0011】
請求項4記載のボンディング方法は、接合対象物を振動と荷重により被接合面にボンディングするボンディング方法であって、接合対象物を被接合面に押圧してボンディングするボンディングツールを振動させる振動子に振動子駆動手段により高周波電圧を印加して駆動する振動子駆動工程と、ボンディングサイクルにおいてボンディングの状況を示すボンディング指標値を前記振動子駆動手段から導出するボンディング指標値導出工程と、前記ボンディング指標値を複数の前記ボンディングサイクルと関連付けて表示する指標値表示工程と、ボンディングの良否判定基準を記憶する判定基準記憶工程と、前記ボンディング指標値を複数記憶するボンディング指標値記憶工程と、前記ボンディング指標値の傾向と前記良否判定基準に基づいて、ボンディングの状況が不良へ移行する可能性が高い旨の警告の要否を判定する警告判断工程と、前記警告を表示する警告表示工程とを含む。
【0012】
本発明によれば、ボンディングサイクルにおいてボンディングの状況を示すボンディング指標値を振動子駆動手段から導出してボンディングサイクルと関連付けて表示することにより、各ボンディングサイクルにおけるボンディング指標値をボンディング品質の良否判定に有効に利用することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態のワイヤボンディング装置の構成を示すブロック図、図2は本発明の一実施の形態のワイヤボンディング装置の表示画面を示す図、図3は本発明の一実施の形態のワイヤボンディングによるバンプ形成における超音波ボンディング条件を示すグラフ、図4は本発明の一実施の形態のワイヤボンディングによるボンディングサイクルのフロー図、図5は本発明の一実施の形態のワイヤボンディングによるバンプ形成における良否判定指針の導出処理のフロー図、図6は本発明の一実施の形態のワイヤボンディングによるバンプ形成における良否判定指針の検証処理のフロー図、図7は本発明の一実施の形態のワイヤボンディングによるバンプ形成における傾向判定処理のフロー図、図8は本発明の一実施の形態のワイヤボンディングによるバンプ形成における傾向判定の表示画面を示す図である。
【0014】
本実施の形態は、接合対象物を振動と荷重により被接合面にボンディングするボンディング装置において、超音波ボンディングの接合対象物がワイヤから形成されたボールであり、このボールを被接合面(電子部品の電極)に接合するワイヤボンディングの例を示している。このワイヤボンディングは、以下に説明するボンディング機構を備えたワイヤボンディング装置によって行われる。
【0015】
まず図1を参照してワイヤボンディング装置のボンディング機構について説明する。図1において、ツール駆動機構1は水平方向に延出したボンディングツール2を備えており、ボンディングツール2は接合対象物を被接合面に押圧してボンディングする。ボンディングツール2の先端部にはキャピラリ2aが装着されており、キャピラリ2aにはバンプ形成用のワイヤが上下方向に挿通する(図3参照)。
【0016】
ボンディングツール2の後端部には超音波振動を発生してボンディングツール2を振動させる振動子4が結合されている。振動子4はUSドライバ9によって駆動され、これによりボンディングツール2を介してキャピラリ2aには超音波振動が印加される。この振動子4の駆動において、制御部10が記憶部12に記憶された電圧指令値を読み取り、この電圧指令値に基づいてUSドライバ9を制御することにより、USドライバ9は常に電圧指令値に応じた高周波電圧を振動子4に印加するように構成されている。
【0017】
すなわち、USドライバ9は、振動子4に高周波電圧を印加して該振動子を振動させる振動子駆動手段となっている。そして制御部10は、この振動子駆動手段を制御してボールを電子部品の電極にボンディングする所定のボンディングサイクル毎に、振動子4に高周波電圧を印加させる振動制御手段となっている。
【0018】
USドライバ9には計測部13が接続されており、計測部13はUSドライバ9によって振動子4を駆動する際の電流・電圧を計測する。計測結果は制御部10に伝達される。これらの電流や電圧の計測値、またはこれらの計測値から求められた電力値もしくはインピーダンス値は、前述のボンディングサイクルにおいてボンディングの状況を示すボンディング指標値として用いられ、制御部10に接続された表示部14に各ボンディングサイクル毎に表示される。なお、ボンディング指標値として、キャピラリ2aの高さ位置を示すZ軸変位や、キャピラリ2aによる押圧荷重を採用してもよい。
【0019】
図2は表示部14に表示されるボンディング指標値の表示画面を示している。表示部14のモニタ画面15には、ボンディング指標値を選択するための操作キー16a、後述する良否判定基準設定のための操作キー16bおよび計測されたボンディング指標値を表示するためのグラフ表示枠17が設定されている。
【0020】
操作キー16aを操作することにより、計測・表示するボンディング指標値の種類(電流、電圧、電力、インピーダンスなど)を選択することができ、操作キー16bを操作することにより、ボンディング指標値を用いた良否判定のための基準値設定処理を画面上で実行することが可能となる。グラフ表示枠17には、各ボンディングサイクル毎に計測されたボンディング指標値の変動を示すグラフ19が表示される。図2の例では、ボンディング指標値として電力(W)が選択された例を示している。そしてグラフ表示枠17には、後述する方法によって設定された良否判定基準を示す上限・下限ライン18が表示される。
【0021】
これらのボンディング指標値や良否判定基準の表示は、制御部10が計測部13の計測データを処理し、表示部14に表示させることによって行われる。したがって制御部10は、ボンディング指標値を振動子駆動手段であるUSドライバ9から導出するボンディング指標値導出手段となっており、表示部14はボンディング指標値をボンディングサイクルと関連付けて表示する指標値表示手段となっている。
【0022】
計測されたボンディング指標値は、各ボンディングサイクル毎に記憶部12に記憶される。そして後述するように、これらのボンディング指標値に基づいてボンディング品質の良否判定基準が設定され、設定された良否判定基準は同様に記憶部12に記憶される。したがって、記憶部12は、ボンディング指標値を複数記憶するボンディング指標値記憶部であるとともに、ボンディングの良否判定基準を記憶する判定基準記憶部となっている。
【0023】
次に図3を参照して、ワイヤボンディングによるバンプ形成動作およびワイヤボンディング過程において行われるボンディング指標値導出処理について説明する。図3は、1つのボンディングサイクルを対象としたボンディング動作時におけるキャピラリ2aの高さ位置を示すZ軸変位、キャピラリ2aによる押圧荷重、USドライバ9によって振動子4を駆動する電流、電圧および電力の変化状態を経時的に示している。
【0024】
まずバンプ形成動作について説明する。まずワイヤをスパークさせることにより形成された接合対象物としてのボールBを下端部に保持したキャピラリ2aを電子部品の電極などの被接合面に対して下降させる。そしてタイミングt1にてボールBを被接合面に当接させ、ボールBを被接合面に対して1段目荷重F1で押圧しボールBを幾分押しつぶす。この後、タイミングt2にて押圧荷重を1段目荷重F1よりも高い2段目荷重F2に増加させる。
【0025】
次いで、タイミングt3にてキャピラリ2aを介してボールBに超音波振動を印加する。これにより、ボールBはさらに押しつぶされるとともに下面が被接合面に超音波接合される。この後、タイミングt4にて超音波振動の印加を停止し、次いでタイミングt5にてキャピラリ2aを上昇させることにより、ボールBが押しつぶされて被接合面に接合されたバンプB’が形成される。
【0026】
ボンディング指標値導出について説明する。各ボンディングサイクルにおいては、USドライバ9によって振動子4を駆動する際の電流および電圧が計測部13によって計測され、制御部10に計測されたデータが取り込まれ、これらのデータから電力またはインピーダンスのデータが求められる。制御部10は、これらのうち電力のデータからボンディング指標値を導出する。すなわち、予め定められた特定の時間帯域TWにおける電力値の最大値・最小値・平均値を算出し、これらを当該ボンディングサイクルにおけるボンディング指標値として出力する。図2は、これらのボンディング指標値のうち、電力値の平均値を表示した例を示している。
【0027】
次に図4を参照して、接合対象物としてのワイヤを振動と荷重によりボンディング面にボンディングするボンディング方法におけるボンディング指標値の処理について説明する。この処理は、通常のボンディングサイクルにおいて実行されるものである。図4において、図3に示すボンディング動作が実行される(ST1)。すなわち振動子4にUSドライバ9により高周波電圧を印加して駆動し(振動子駆動工程)、ボンディングツール2を振動させてボールBを被接合面に押圧してボンディングする。
【0028】
このボンディング動作においては、前述のようにボンディング指標値が導出される(ST2)。すなわち、ボンディングサイクルにおいてボンディングの状況を示すボンディング指標値をUSドライバ9から導出する(ボンディング指標値導出工程)。そして導出されたボンディング指標値を複数のボンディングサイクルと関連づけて表示部14に表示する(指標値表示工程)(ST3)とともに、記憶部12に記憶する(ST4)。
【0029】
次に図5を参照して、ワイヤボンディングによるバンプ形成における良否判定指針の導出処理について説明する。この良否判定指針の導出は、上述のボンディング指標値導出を所定ボンディングサイクルについて実行することにより取得されたボンディング指標値に基づいて、良否判定の仮の基準値としての性格を有する良否判定指針を求めるものである。
【0030】
図5において、(ST11)〜(ST14)は、図4に示す(ST1)〜(ST4)と同様の通常のボンディングサイクルにおける処理である。この処理を反復実行し、(ST5)において所定ボンディングサイクルが終了したならば、良否判定指針を導出する(ST16)。すなわち、ボンディングサイクルを所定回数反復することによって得られた所定個数のボンディング指標値に基づいて、その後のボンディングサイクルにおけるボンディングの良否判定指針を導出する(判定指針導出工程)。
【0031】
この良否判定指針としては、例えばボンディングサイクルを100サイクル反復実行して得られた複数個のボンディング指標値を統計処理することによって求められる上下限許容範囲(平均値Wm±3σ)を用いることができる。ここでσは標準偏差である。そして導出された良否判定指針は表示部14に表示される(ST17)(図2参照)とともに、記憶部12に記憶される(ST18)。この後、通常のボンディングサイクルに復帰する。
【0032】
上述の良否判定導出処理は、制御部10によって実行される。したがって制御部10は、ボンディングサイクルを所定回数反復することによって得られた所定個数のボンディング指標値に基づいて、その後のボンディングサイクルにおけるボンディングの良否判定指針を導出する判定指針導出部となっている。
【0033】
次に図6を参照して、上述の方法で求められた良否判定指針の検証処理について説明する。この処理は、仮の基準値として設定された良否判定指針の妥当性を実際の品質に基づいて検証するものである。図6において、(ST21)〜(ST24)は、図4に示す(ST1)〜(ST4)と同様の通常のボンディングサイクルにおける処理である。この処理を実行したならば、ここで求められたボンディング指標値が既に設定された良否判定指針を超えるか否かを判定する(ST25)。ここでボンディング指標値が良否判定指針を超えないならば、正常なボンディングが行われたと判断して、次のボンディングサイクルへ進む。
【0034】
そして(ST25)にてボンディング指標値が良否判定指針を超えているならば、その旨の警告を表示し(ST26)、警告表示の対象となった警告ポイントを記憶(ST27)した後に、装置停止する(ST28)。この後、当該ボンディングサイクルにおけるボンディング結果を作業者が目視、X線、赤外線観察、またはシェア、プルテスト等により実際に検査することによって、実際の品質は良品であるか否かを判定する(ST29)。
【0035】
この判定の結果、良品であれば仮基準値としての良否判定指針は妥当ではないと判断し、良否判定指針を変更する処理を新たに実行する(ST30)。また(ST29)において不良品であれば、良否判定指針は妥当であると判断し良否判定指針を正式の基準値として設定する(ST31)。そして設定された基準値を、ボンディングの良否判定基準として記憶部12に記憶する(判定基準記憶工程)。
【0036】
次に図7を参照して、ワイヤボンディングによるバンプ形成における傾向判定処理について説明する。この傾向判定処理は、所定ボンディングサイクルにおいて得られたボンディング指標値から、ボンディング状況の傾向を判定し、予め定められた所定の傾向と一致している場合には、その旨の警告を発して適切な対応を可能とするものである。
【0037】
図7において、(ST41)〜(ST44)は、図4に示す(ST1)〜(ST4)と同様の通常のボンディングサイクルにおける処理である。この処理を反復実行し、ボンディング指標値を複数記憶する(ボンディング指標値記憶工程)。そして(ST45)において所定ボンディングサイクルが終了したならば、次に述べるボンディング状況の傾向判定を行う。
【0038】
ここではまず各ボンディングサイクルで求められた複数のボンディング指標値を時系列的に前半部と後半部に分け、それぞれのボンディング指標値を対象として平均値を求める処理を行う。すなわち、まず前半部平均値を導出して表示し(ST46)、次いで後半部平均値を導出して表示する(ST47)。
【0039】
そしてこれらの前半部平均値と、後半部平均値を比較して次の判定を行う。まず前半部平均値と後半部平均値を連続して変動する一連の値として見た場合に、これらの値が減少または増加傾向にあるか否かを判断し(ST48)、次いでこれらの値が記憶部12に記憶された基準値(良否判定基準)の中央値から偏りがあるか否かを制御部10によって判断する(ST49)。すなわち、ボンディング指標値の傾向と良否判定基準に基づいて、ボンディングの状況が不良である旨の警告の要否を判断する(警告判断工程)。
【0040】
ここで(ST48)、(ST49)のいずれかに該当するならば、何らかの原因によりボンディングの状況が不良へ移行する可能性が高い旨の警告を表示部14に表示する(警告表示工程)(ST50)。例えば、図8(a)はボンディング指標値である電力値が右肩上がりに増加している場合、すなわち(ST48)に該当する場合である。この場合は、ボンディング装置が何らかの原因で急激に経時変化している可能性が高いことが予想される。また図8(b)は、ボンディング指標値である電力値の平均値に偏りがある場合、すなわち(ST49)に該当する場合である。この場合は、ワイヤ、バンプ、基板等のワークの品質が悪い、または基板等を保持する治具のセッティングが悪い可能性が高いことが予想される。
【0041】
そして警告ポイントを記憶して(ST51)、通常のボンディングサイクルに復帰する。すなわち制御部10は、ボンディング指標値の傾向と良否判定基準に基づいて、ボンディングの状況が不良へ移行する可能性が高い旨の警告の要否を判断する警告判断部となっており、表示部14は、この警告を表示する警告表示手段となっている。
【0042】
なお、上記実施の形態では、ボンディング状況の傾向を判定するために所定のボンディング指標値の平均値を求める処理を行う例を示しているが、これに限られるものではない。要は、ボンディング状況の傾向が判ればよく、例えば制御部10により、複数のボンディング指標値から回帰曲線を求める処理を行い、その曲線の傾きからボンディング状況の傾向を見てもよい。
【0043】
上記説明したように、本実施の形態に示すボンディング方法では、各ボンディングサイクルにおいてボンディングの状況を示すボンディング指標値をUSドライバ9から導出し、これらのボンディング指標値をボンディング品質管理のための基礎データとして用いるものでる。
【0044】
すなわち、ボンディング指標値から品質判定のための仮基準値としての良否判定指針を導出し、次いでこの良否判定指針の妥当性を実証的に確認することによって、正式な良否判定基準として採用するものである。さらに、ボンディング指標値の経時変化からボンディング状況の傾向を判定し、不具合発生予測結果を実際に不具合が発生する前に警告として事前に表示するようにしている。
【0045】
これにより、ボンディング品質管理における基準値の設定を、ボンディング装置の特性に起因する各種要因が反映されたボンディング指標値と、作業者による実際の品質判定結果とに基づいて合理的に行うことができる。そしてボンディング指標値の取得は、各ボンディングサイクル毎に作業者に多大な作業負担を強いることなく行われることから、ボンディング品質の良否判定を操作性よく且つ高い信頼性で行うことができる。
【0046】
なお、ボンディング品質の良否判定の際には、複数のボンディング指標値を組み合わせて用いてもよい。また上記実施の形態では、超音波ボンディングの例としてワイヤにより形成されたボールをボンディングするワイヤボンディングの例を示したが、これ以外の接合対象であっても、接合対象物に振動を付与する振動子駆動手段からボンディング指標値が導出可能であれば、本発明の適用対象となる。例えば、超音波ボンディングの接合対象物が電子部品に設けられた外部接続用のバンプであり、このバンプを被接合面としての基板の電極に振動と荷重により接合するフリップチップボンディングに対しても、本発明を適用することができる。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、ボンディングサイクルにおいてボンディングの状況を示すボンディング指標値を振動子駆動手段の出力値から導出してボンディングサイクルと関連付けて表示することにより、各ボンディングサイクルにおけるボンディング指標値をボンディング品質の良否判定に有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態のワイヤボンディング装置の構成を示すブロック図
【図2】本発明の一実施の形態のワイヤボンディング装置の表示画面を示す図
【図3】本発明の一実施の形態のワイヤボンディングによるバンプ形成における超音波ボンディング条件を示すグラフ
【図4】本発明の一実施の形態のワイヤボンディングによるボンディングサイクルのフロー図
【図5】本発明の一実施の形態のワイヤボンディングによるバンプ形成における良否判定指針の導出処理のフロー図
【図6】本発明の一実施の形態のワイヤボンディングによるバンプ形成における良否判定指針の検証処理のフロー図
【図7】本発明の一実施の形態のワイヤボンディングによるバンプ形成における傾向判定処理のフロー図
【図8】本発明の一実施の形態のワイヤボンディングによるバンプ形成における傾向判定の表示画面を示す図
【符号の説明】
1 ツール駆動機構
2 ボンディングツール
2a キャピラリ
4 振動子
9 USドライバ
10 制御部
12 記憶部
13 計測部
14 表示部
Claims (4)
- 接合対象物を振動と荷重により被接合面にボンディングするボンディング装置であって、接合対象物を被接合面に押圧してボンディングするボンディングツールと、前記ボンディングツールを振動させる振動子と、前記振動子に高周波電圧を印加して該振動子を振動させる振動子駆動手段と、前記振動子駆動手段を制御して所定のボンディングサイクル毎に前記振動子に高周波電圧を印加させる振動制御手段と、前記ボンディングサイクルにおいてボンディングの状況を示すボンディング指標値を前記振動子駆動手段から導出するボンディング指標値導出手段と、前記ボンディング指標値を複数の前記ボンディングサイクルと関連付けて表示する指標値表示手段と、前記ボンディングサイクルを所定回数反覆することによって得られた所定個数のボンディング指標値に基づいて、その後のボンディングサイクルにおけるボンディングの良否判定指針を導出する判定指針導出部を備えたことを特徴とするボンディング装置。
- 接合対象物を振動と荷重により被接合面にボンディングするボンディング装置であって、接合対象物を被接合面に押圧してボンディングするボンディングツールと、前記ボンディングツールを振動させる振動子と、前記振動子に高周波電圧を印加して該振動子を振動させる振動子駆動手段と、前記振動子駆動手段を制御して所定のボンディングサイクル毎に前記振動子に高周波電圧を印加させる振動制御手段と、前記ボンディングサイクルにおいてボンディングの状況を示すボンディング指標値を前記振動子駆動手段から導出するボンディング指標値導出手段と、前記ボンディング指標値を複数の前記ボンディングサイクルと関連付けて表示する指標値表示手段と、ボンディングの良否判定基準を記憶する判定基準記憶部と、前記ボンディング指標値を複数記憶するボンディング指標値記憶部と、前記ボンディング指標値の傾向と前記良否判定基準に基づいて、ボンディングの状況が不良へ移行する可能性が高い旨の警告の要否を判断する警告判断部と、前記警告を表示する警告表示手段とを備えたことを特徴とするボンディング装置。
- 接合対象物を振動と荷重により被接合面にボンディングするボンディング方法であって、接合対象物を被接合面に押圧してボンディングするボンディングツールを振動させる振動子に振動子駆動手段により高周波電圧を印加して駆動する振動子駆動工程と、ボンディングサイクルにおいてボンディングの状況を示すボンディング指標値を前記振動子駆動手段から導出するボンディング指標値導出工程と、前記ボンディング指標値を複数の前記ボンディングサイクルと関連付けて表示する指標値表示工程と、前記ボンディングサイクルを所定回数反覆することによって得られた所定個数のボンディング指標値に基づいて、その後のボンディングサイクルにおけるボンディングの良否判定指針を導出する判定指針導出工程を含むことを特徴とするボンディング方法。
- 接合対象物を振動と荷重により被接合面にボンディングするボンディング方法であって、接合対象物を被接合面に押圧してボンディングするボンディングツールを振動させる振動子に振動子駆動手段により高周波電圧を印加して駆動する振動子駆動工程と、ボンディングサイクルにおいてボンディングの状況を示すボンディング指標値を前記振動子駆動手段から導出するボンディング指標値導出工程と、前記ボンディング指標値を複数の前記ボンディングサイクルと関連付けて表示する指標値表示工程と、ボンディングの良否判定基準を記憶する判定基準記憶工程と、前記ボンディング指標値を複数記憶するボンディング指標値記憶工程と、前記ボンディング指標値の傾向と前記良否判定基準に基づいて、ボンディングの状況が不良へ移行する可能性が高い旨の警告の要否を判定する警告判断工程と、前記警告を表示する警告表示工程とを含むことを特徴とするボンディング方法。
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