JP4434129B2 - Transmission control device - Google Patents
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Abstract
Description
この発明は、それぞれ独立して変速比を設定できる複数の変速部を備えた変速機の制御装置に関し、特に車輪速度を制御する挙動安定化制御を行う車両挙動制御装置を備えた車両に搭載されている変速機の制御装置に関するものである。 The present invention relates to a transmission control device including a plurality of transmission units that can independently set a gear ratio, and is particularly mounted on a vehicle including a vehicle behavior control device that performs behavior stabilization control for controlling wheel speed. The present invention relates to a transmission control device.
複数の変速部を直列に配列した駆動装置の一例が、特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載された装置は、ハイブリッド車の駆動装置として使用されるものであって、遊星歯車機構のキャリヤに内燃機関が連結されるとともに、その遊星歯車機構のサンギヤに第一の電動発電機が連結されている。さらにリングギヤが変速機の入力側の部材に連結されている。その変速機は、自動変速機などの有段の変速機であって、その変速機の出力側の部材がプロペラ軸に連結され、そのプロペラ軸に第二の電動発電機が連結されている。したがってこのハイブリッド車用駆動装置では、遊星歯車機構が、エンジンの動力を第一の電動発電機と変速機とに分配する分配機構を構成しており、その第一の電動発電機の回転数を変更することにより、リングギヤの回転数すなわちこのリングギヤに連結されている変速機の入力回転数が連続的に変化するので、その遊星歯車機構および第一の電動発電機が無段変速機として機能する。その結果、ハイブリッド車用駆動装置の全体としての変速比は、無段変速機として機能する遊星歯車機構による変速比と、その出力側に配置されている前記変速機での変速比とによって決定される。
ところで、駆動輪と路面との間に作用する駆動トルクが急激に変化すると、駆動輪のいわゆるグリップ力が低下するので、最近では、このような状況になっても車両の挙動を安定させる制御が実行されるようになってきている。その例がアンチロック・ブレーキ・システム(ABS)や車両安定化制御装置(VSC:商標)などである。前者のABSは、車輪ブレーキを効かせた場合には、車輪のロックを回避するように車輪ブレーキ力を低下させ、車輪の回転を維持しつつ制動を行うシステムである。また、後者のVSCは、駆動トルクを増大させた場合のスリップを防止するために、グリップ力の小さい車輪を制動し、また必要に応じてエンジン出力を低下させるように構成された装置である。 By the way, if the driving torque acting between the driving wheel and the road surface changes suddenly, so-called gripping force of the driving wheel is reduced, and recently, control that stabilizes the behavior of the vehicle even in such a situation has occurred. It is getting executed. Examples thereof include an anti-lock brake system (ABS) and a vehicle stabilization controller (VSC: trademark). The former ABS is a system that performs braking while maintaining wheel rotation by reducing wheel braking force so as to avoid wheel lock when wheel braking is applied. The latter VSC is a device configured to brake a wheel with a small grip force and reduce the engine output as necessary in order to prevent slip when the drive torque is increased.
上述した特許文献1に記載されている駆動装置を有するハイブリッド車でこれらの車両挙動制御を行った場合、変速機構からの出力回転数が変化するので、それに伴って動力源としてのエンジンの回転数が変化する。そのため、慣性トルクが生じ、特にエンジンの回転モーメントが相対的に大きいので、エンジンの回転数の変化に伴う慣性トルクが大きく、これが上記の車両挙動制御に影響を及ぼす。例えばABSによる制動力の解除もしくは低減が一時的に過剰になったり、あるいは反対にVSCによる駆動輪の制動に過不足が生じ、その結果、車両挙動制御の応答性が低下する可能性がある。
When these vehicle behavior control is performed in the hybrid vehicle having the drive device described in
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、第1変速部と第2変速部とを備えた変速機の制御装置であって、車両挙動制御装置の応答性を向上させることのできる制御装置を提供することを目的とするものである。 The present invention has been made paying attention to the above technical problem, and is a transmission control device including a first transmission unit and a second transmission unit, and improves the responsiveness of the vehicle behavior control device. It is an object of the present invention to provide a control device that can handle the above.
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、車輪速度を制御する車両挙動制御装置を有する車両に搭載され、無段変速部と複数の前進段を設定する有段変速部との各変速比によってトータル変速比を設定する変速機の制御装置において、前記車両挙動制御装置によって車輪速度が制御された場合に、動力源の回転数の変化を抑制する方向に前記各変速部の少なくともいずれか一方の変速比を変更する変速比制御手段を備え、前記無段変速部は、前記動力源が連結された差動機構を備えるとともにその差動機構に連結された電動機の回転数を変化させることにより前記動力源の回転数を連続的に変化させるように変速比を連続的に変化させることのできる電気的無段変速機構によって構成され、前記変速比制御手段は、前記車両挙動制御装置による車輪速度の制御が実行された場合の前記動力源の回転数の変化を抑制するように前記電気的無段変速機構の変速比を変更する手段を含むことを特徴とする制御装置である。
In order to achieve the above object, an invention according to
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記変速比制御手段は、前記車両挙動制御装置による車輪速度の制御が実行された時点の前記動力源の回転数を維持するように前記電気的無段変速機構の変速比を変更する手段を含むことを特徴とする変速機の制御装置である。
According to a second aspect of the invention, in the invention of
請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、前記変速比制御手段は、前記有段変速部の変速比と車速変化量とから前記無段変速部の変速比変化量を変更する手段を含むことを特徴とする変速機の制御装置である。
The invention according to
請求項1の発明によれば、車両挙動制御装置が動作した場合、車輪速度がその車両制御装置の制御によって変化させられ、それに伴って変速機の出力回転数が変化するが、変速機の入力側に設けられている動力源の回転数が変化しないように、出力回転数の変化に合わせて、無段変速部を構成している電気的無段変速機構の変速比が前記電動機を電気的に制御することにより連続的に変更させられる。その結果、車両挙動制御装置で制御される車輪に大きい慣性トルクが加わらないので、車両挙動制御装置による制御応答性を向上させることができる。 According to the first aspect of the present invention, when the vehicle behavior control device operates, the wheel speed is changed by the control of the vehicle control device, and the output rotational speed of the transmission changes accordingly. The gear ratio of the electric continuously variable transmission mechanism constituting the continuously variable transmission unit is electrically connected to the electric motor in accordance with the change in the output rotational speed so that the rotational speed of the power source provided on the side does not change. It is made to change continuously by controlling to. As a result, since a large inertia torque is not applied to the wheels controlled by the vehicle behavior control device, the control response by the vehicle behavior control device can be improved.
請求項2の発明によれば、車両挙動制御装置が動作する前後に亘って動力源の回転数を維持するように電気的無段変速機構の変速比が制御されるので、車両挙動制御装置の制御応答性を更に向上させることができる。
According to the invention of
請求項3の発明によれば、有段変速部の変速比と車速変化量から無段変速部の変速比の変化量を変更できることにより、さらに確実に防止もしくは抑制して車両挙動制御装置の制御応答性を向上させることができる。
According to the invention of
つぎにこの発明を図に示す具体例に基づいて説明する。先ず、この発明で対象とする変速機10が搭載される車両について説明すると、図4において、変速機10の入力側に動力源としての内燃機関(エンジン)8が連結されており、そのエンジン8が出力した動力を変速機10で変速されて出力軸22から出力され、デファレンシャルDfを介して左右の駆動輪Wdにトルクが伝達されるように構成されている。各駆動輪Wdには、ブレーキペダル(図示せず)を踏み込むことにより制動力を生じる車輪ブレーキBwが設けられている。この車輪ブレーキBwは、従来知られているディスクブレーキやドラムブレーキからなるものであって、その制動力をブレーキペダルによる操作以外に車両挙動制御装置50によって制御できるようになっている。
Next, the present invention will be described based on a specific example shown in the drawings. First, a vehicle on which the
車両挙動制御装置50は、前述したアンチロック・ブレーキ・システム(ABS)や車両安定化制御装置(VSC:商標)などであって、例えば車体速度と車輪速度とを比較し、その比較の結果に基づいて所定の車輪の制動力を低下させ、あるいは反対に制動を行い、さらにはこれらの制動力の制御と合わせてエンジン8のスロットル開度を制御することにより、車両の挙動を安定化させるように構成された装置である。したがって、この車両挙動制御装置50が動作することにより、車輪ブレーキBwによる制動力が変化し、それに伴って車輪速度が変化する。
The vehicle
上記の車両は、ハイブリッド車であってよく、その駆動装置の一部を構成する変速機10の一例を、図5にスケルトン図で示してある。図5において、変速機10は車体に取り付けられる非回転部材としてのトランスミッションケース12(以下、ケース12という)内において共通の軸心上に配設された入力回転部材としての入力軸14と、この入力軸14に直接にあるいは図示しない脈動吸収ダンパー(振動減衰装置)などを介して間接に連結された無段変速部11と、その無段変速部11と駆動輪38との間の動力伝達経路で伝達部材(伝動軸)18を介して直列に連結されている有段式の変速機として機能する有段変速部20と、この有段変速部20に連結されている出力回転部材としての出力軸22とを直列に備えている。この変速機10は、例えば車両において縦置きされるFR(フロントエンジン・リヤドライブ)型車両に好適に用いられるものであり、入力軸14に直接にあるいは図示しない脈動吸収ダンパーを介して直接的に連結された走行用の駆動力源として例えばガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関であるエンジン8と一対の駆動輪(図示せず)との間に設けられている。なお、変速機10はその軸心に対して対称的に構成されているため、図5のスケルトン図においてはその下側が省略されている。以下の各実施例についても同様である。
The vehicle described above may be a hybrid vehicle, and an example of the
無段変速部11は、第1電動機M1と、入力軸14に入力されたエンジン8の出力を機械的に分配する機械的機構であってエンジン8の出力を第1電動機M1および伝達部材18に分配する差動機構としての動力分配機構16と、伝達部材18と一体的に回転するように設けられている第2電動機M2とを備えている。なお、この第2電動機M2は伝達部材18から駆動輪までの間の動力伝達経路を構成するいずれの部分に設けられてもよい。本実施例の第1電動機M1および第2電動機M2は発電機能をも有するいわゆるモータジェネレータであるが、第1電動機M1は反力を発生させるためのジェネレータ(発電)機能を少なくとも備え、第2電動機M2は走行用の駆動力源として駆動力を出力するためのモータ(電動機)機能を少なくとも備える。
The continuously
動力分配機構16は、例えば「0.418」程度の所定のギヤ比ρ1を有するシングルピニオン型の第1遊星歯車装置24を主体的に備えている。この第1遊星歯車装置24は、第1サンギヤS1、第1遊星歯車P1、その第1遊星歯車P1を自転および公転可能に支持する第1キャリヤCA1、第1遊星歯車P1を介して第1サンギヤS1と噛み合う第1リングギヤR1を回転要素(要素)として備えている。第1サンギヤS1の歯数をZS1、第1リングギヤR1の歯数をZR1とすると、上記ギヤ比ρ1はZS1/ZR1である。
The
この動力分配機構16においては、第1キャリヤCA1は入力軸14すなわちエンジン8に連結され、第1サンギヤS1は第1電動機M1に連結され、第1リングギヤR1は伝達部材18に連結されている。また、動力分配機構16は第1遊星歯車装置24の3要素である第1サンギヤS1、第1キャリヤCA1、第1リングギヤR1がそれぞれ相互に相対回転可能とされて差動作用が作動可能なすなわち差動作用が働く差動状態とされることから、エンジン8の出力が第1電動機M1と伝達部材18とに分配されるとともに、分配されたエンジン8の出力の一部で第1電動機M1から発生させられた電気エネルギで蓄電されたり第2電動機M2が回転駆動されるので、無段変速部11(動力分配機構16)は電気的な差動装置として機能させられて例えば無段変速部11はいわゆる無段変速状態(電気的CVT状態)とされて、エンジン8の所定回転に拘わらず伝達部材18の回転が連続的に変化させられる。すなわち、動力分配機構16が差動状態とされると無段変速部11も差動状態とされ、無段変速部11はその変速比Y0(入力軸14の回転速度/伝達部材18の回転速度)が最小値Y0minから最大値Y0maxまで連続的に変化させられる電気的な無段変速機として機能する無段変速状態とされる。
In the
有段変速部20は、シングルピニオン型の第2遊星歯車装置26、シングルピニオン型の第3遊星歯車装置28、およびシングルピニオン型の第4遊星歯車装置30を備えている。第2遊星歯車装置26は、第2サンギヤS2、第2遊星歯車P2、その第2遊星歯車P2を自転および公転可能に支持する第2キャリヤCA2、第2遊星歯車P2を介して第2サンギヤS2と噛み合う第2リングギヤR2を備えており、例えば「0.562」程度の所定のギヤ比ρ2を有している。第3遊星歯車装置28は、第3サンギヤS3、第3遊星歯車P3、その第3遊星歯車P3を自転および公転可能に支持する第3キャリヤCA3、第3遊星歯車P3を介して第3サンギヤS3と噛み合う第3リングギヤR3を備えており、例えば「0.425」程度の所定のギヤ比ρ3を有している。第4遊星歯車装置30は、第4サンギヤS4、第4遊星歯車P4、その第4遊星歯車P4を自転および公転可能に支持する第4キャリヤCA4、第4遊星歯車P4を介して第4サンギヤS4と噛み合う第4リングギヤR4を備えており、例えば「0.421」程度の所定のギヤ比ρ4を有している。第2サンギヤS2の歯数をZS2、第2リングギヤR2の歯数をZR2、第3サンギヤS3の歯数をZS3、第3リングギヤR3の歯数をZR3、第4サンギヤS4の歯数をZS4、第4リングギヤR4の歯数をZR4とすると、上記ギヤ比ρ2はZS2/ZR2、上記ギヤ比ρ3はZS3/ZR3、上記ギヤ比ρ4はZS4/ZR4である。
The stepped
有段変速部20では、第2サンギヤS2と第3サンギヤS3とが一体的に連結されて第2クラッチC2を介して伝達部材18に選択的に連結されるとともに第1ブレーキB1を介してケース12に選択的に連結され、第2キャリヤCA2は第2ブレーキB2を介してケース12に選択的に連結され、第4リングギヤR4は第3ブレーキB3を介してケース12に選択的に連結され、第2リングギヤR2と第3キャリヤCA3と第4キャリヤCA4とが一体的に連結されて出力軸22に連結され、第3リングギヤR3と第4サンギヤS4とが一体的に連結されて第1クラッチC1を介して伝達部材18に選択的に連結されている。
In the stepped
前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2、および第3ブレーキB3は従来の車両用自動変速機においてよく用いられている油圧式摩擦係合装置であって、互いに重ねられた複数枚の摩擦板が油圧アクチュエータにより押圧される湿式多板型や、回転するドラムの外周面に巻き付けられた1本または2本のバンドの一端が油圧アクチュエータによって引き締められるバンドブレーキなどにより構成され、それが介挿されている両側の部材を選択的に連結するためのものである。 The first clutch C1, the second clutch C2, the first brake B1, the second brake B2, and the third brake B3 are hydraulic friction engagement devices often used in conventional automatic transmissions for vehicles, A wet multi-plate type in which a plurality of friction plates stacked on each other are pressed by a hydraulic actuator, a band brake in which one end of one or two bands wound around the outer peripheral surface of a rotating drum is tightened by a hydraulic actuator, etc. This is for selectively connecting the members on both sides in which it is inserted.
以上のように構成された変速機10では、例えば、図6の係合作動表に示されるように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2、および第3ブレーキB3が選択的に係合作動させられることにより、第1速ギヤ段(第1変速段:1st)ないし第5速ギヤ段(第5変速段:5th)のいずれかあるいは後進ギヤ段(後進変速段:R)あるいはニュートラル(N)が選択的に成立させられ、ほぼ等比的に変化する変速比Y(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度N0UT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。特に、本実施例では無段変速部11と有段変速部20とで電気的な無段変速機として作動する無段変速状態が構成される。
In the
例えば、無段変速部11の変速比を一定値に固定して変速機10が有段変速機として機能する場合には、図6に示すように、第1クラッチC1および第3ブレーキB3の係合により、変速比Y1が最大値例えば「3.357」程度である第1速ギヤ段が成立させられ、第1クラッチC1および第2ブレーキB2の係合により、変速比Y2が第1速ギヤ段よりも小さい値例えば「2.180」程度である第2速ギヤ段が成立させられ、第1クラッチC1および第1ブレーキB1の係合により、変速比Y3が第2速ギヤ段よりも小さい値例えば「1.424」程度である第3速ギヤ段が成立させられ、第1クラッチC1および第2クラッチC2の係合により、変速比Y4が第3速ギヤ段よりも小さい値例えば「1.000」程度である第4速ギヤ段が成立させられ、第1クラッチC1および第2クラッチC2の係合により、変速比Y5が第4速ギヤ段よりも小さい値例えば「0.705」程度である第5速ギヤ段が成立させられる。また、第2クラッチC2および第3ブレーキB3の係合により、変速比YRが第1速ギヤ段と第2速ギヤ段との間の値例えば「3.209」程度である後進ギヤ段が成立させられる。なお、ニュートラル「N」状態とする場合には、全ての係合機構が解放させられる。
For example, when the
一方、変速機10が無段変速機として機能する場合には、無段変速部11が無段変速機として機能し、それに直列の有段変速部20が有段変速機として機能することにより、有段変速部20の第1速、第2速、第3速、第4速の各ギヤ段に対しその有段変速部20に入力される回転速度すなわち伝達部材18の回転速度が無段的に変化させられて各ギヤ段は無段的な変速比幅が得られる。したがって、その各ギヤ段の間が無段的に連続変化可能な変速比となって、無段変速部11と有段変速部20とで形成される変速比YT、すなわち無段変速部11の変速比Y0と有段変速部20の変速比Yとに基づいて形成される変速機10全体としての変速比YTである総合変速比(以下、トータル変速比という)YTが無段階に得られるようになる。
On the other hand, when the
図7は、差動部あるいは第1変速部として機能する無段変速部11と変速部(自動変速部)あるいは第2変速部として機能する有段変速部20とから構成される変速機10において、ギヤ段毎に連結状態が異なる各回転要素の回転速度の相対関係を直線上で表すことができる共線図を示している。この図7の共線図は、各遊星歯車装置24,26,28,30のギヤ比ρの関係を示す横軸と、相対的回転速度を示す縦軸とから成る二次元座標であり、3本の横線のうちの下側の横線X1が回転速度零を示し、上側の横線X2が回転速度「1.0」すなわち入力軸14に連結されたエンジン8の回転速度Neを示し、横線XGが伝達部材18の回転速度を示している。
FIG. 7 shows a
また、無段変速部11を構成する動力分配機構16の3つの要素に対応する3本の縦線Y1,Y2,Y3は、左側から順に第2回転要素(第2要素)RE2に対応する第1サンギヤS1、第1回転要素(第1要素)RE1に対応する第1キャリヤCA1、第3回転要素(第3要素)RE3に対応する第1リングギヤR1の相対回転速度を示すものであり、それらの間隔は第1遊星歯車装置24のギヤ比ρ1に応じて定められている。さらに、有段変速部20の5本の縦線Y4,Y5,Y6,Y7,Y8は、左から順に、第4回転要素(第4要素)RE4に対応しかつ相互に連結された第2サンギヤS2および第3サンギヤS3を、第5回転要素(第5要素)RE5に対応する第2キャリヤCA2を、第6回転要素(第6要素)RE6に対応する第4リングギヤR4を、第7回転要素(第7要素)RE7に対応しかつ相互に連結された第2リングギヤR2、第3キャリヤCA3、第4キャリヤCA4を、第8回転要素(第8要素)RE8に対応しかつ相互に連結された第3リングギヤR3、第4サンギヤS4をそれぞれ表し、それらの間隔は第2、第3、第4遊星歯車装置26,28,30のギヤ比ρ2,ρ3,ρ4に応じてそれぞれ定められている。共線図の縦軸間の関係においてサンギヤとキャリヤとの間が「1」に対応する間隔とされるとキャリヤとリングギヤとの間が遊星歯車装置のギヤ比ρに対応する間隔とされる。すなわち、無段変速部11では縦線Y1とY2との縦線間が「1」に対応する間隔に設定され、縦線Y2とY3との間隔はギヤ比ρ1に対応する間隔に設定される。また、有段変速部20では各第2、第3、第4遊星歯車装置26,28,30毎にそのサンギヤとキャリヤとの間が「1」に対応する間隔に設定され、キャリヤとリングギヤとの間がρに対応する間隔に設定される。
Further, three vertical lines Y1, Y2, Y3 corresponding to the three elements of the
上記図7の共線図を用いて表現すれば、本実施例の変速機10は、動力分配機構16(無段変速部11)において、第1遊星歯車装置24の第1回転要素RE1(第1キャリヤCA1)が入力軸14すなわちエンジン8に連結され、第2回転要素RE2が第1電動機M1に連結され、第3回転要素(第1リングギヤR1)RE3が伝達部材18および第2電動機M2に連結されて、入力軸14の回転を伝達部材18を介して有段変速部20へ伝達する(入力させる)ように構成されている。このとき、Y2とX2の交点を通る斜めの直線L0により第1サンギヤS1の回転速度と第1リングギヤR1の回転速度との関係が示される。
If expressed using the collinear diagram of FIG. 7, the
また、第1電動機M1の発電による反力を制御することによって直線L0と縦線Y1との交点で示される第1サンギヤS1の回転が上昇あるいは下降させられると、直線L0と縦線Y3との交点で示される第1リングギヤR1の回転速度が下降あるいは上昇させられる。 When the rotation of the first sun gear S1 indicated by the intersection of the straight line L0 and the vertical line Y1 is raised or lowered by controlling the reaction force generated by the power generation of the first electric motor M1, the straight line L0 and the vertical line Y3 The rotational speed of the first ring gear R1 indicated by the intersection is lowered or raised.
また、有段変速部20において第4回転要素RE4は第2クラッチC2を介して伝達部材18に選択的に連結されるとともに第1ブレーキB1を介してケース12に選択的に連結され、第5回転要素RE5は第2ブレーキB2を介してケース12に選択的に連結され、第6回転要素RE6は第3ブレーキB3を介してケース12に選択的に連結され、第7回転要素RE7は出力軸22に連結され、第8回転要素RE8は第1クラッチC1を介して伝達部材18に選択的に連結されている。
In the stepped
有段変速部20では、図7に示すように、第1クラッチC1と第3ブレーキB3とが係合させられることにより、第8回転要素RE8の回転速度を示す縦線Y8と横線X2との交点と第6回転要素RE6の回転速度を示す縦線Y6と横線X1との交点とを通る斜めの直線L1と、出力軸22と連結された第7回転要素RE7の回転速度を示す縦線Y7との交点で第1速の出力軸22の回転速度が示される。同様に、第1クラッチC1と第2ブレーキB2とが係合させられることにより決まる斜めの直線L2と出力軸22と連結された第7回転要素RE7の回転速度を示す縦線Y7との交点で第2速の出力軸22の回転速度が示され、第1クラッチC1と第1ブレーキB1とが係合させられることにより決まる斜めの直線L3と出力軸22と連結された第7回転要素RE7の回転速度を示す縦線Y7との交点で第3速の出力軸22の回転速度が示され、第1クラッチC1と第2クラッチC2とが係合させられることにより決まる水平な直線L4と出力軸22と連結された第7回転要素RE7の回転速度を示す縦線Y7との交点で第4速の出力軸22の回転速度が示される。上記第1速ないし第4速では、第1電動機M1の回転数を制御することにより、エンジン回転速度NEと同じ回転速度で第8回転要素RE8に無段変速部11すなわち動力分配機構16からの動力が入力される。これに対して、第1電動機M1の回転を止めて第1サンギヤS1を固定した場合には、無段変速部11からの動力がエンジン回転速度NEよりも高い回転速度で入力されることから、第1クラッチC1および第2クラッチC2が係合させられることにより決まる水平な直線L5と出力軸22と連結された第7回転要素RE7の回転速度を示す縦線Y7との交点で第5速の出力軸22の回転速度が示される。
In the stepped
上記の第1電動機M1を制御するための第1コントローラ31と、第2電動機M2を制御するための第2コントローラ32とが設けられている。これらのコントローラ31,32は、例えばインバータを主体として構成され、それぞれに対応する電動機M1,M2とを電動機として機能させ、あるいは発電機として機能させるように制御し、併せてそれぞれの場合における回転数やトルクを制御するように構成されている。また、各電動機M1,M2は、各コントローラ31,32を介して蓄電装置33に接続されている。この蓄電装置33は、各電動機M1,M2に電力を供給し、また各電動機M1,M2が発電機として機能した場合に、その電力を充電して蓄える装置であって、二次電池やキャパシタなどから構成されている。
A
一方、前記各クラッチやブレーキの係合圧や解放圧を制御するための油圧制御装置34が設けられている。この油圧制御装置34は、オイルポンプ(図示せず)で発生した油圧をライン圧に調圧するとともに、そのライン圧を元圧として各摩擦係合装置の係合圧を制御し、あるいは摩擦係合装置を解放させる際の解放圧を制御するように構成されており、具体的には従来の自動変速機で使用されている油圧制御装置を採用することができる。
On the other hand, a
そして、前記各コントローラ31,32や油圧制御装置34を電気信号によって制御することにより変速機10の全体を制御するための電子制御装置(ECU)40が設けられている。図8は、その電子制御装置40に入力される信号およびその電子制御装置40から出力される信号を例示している。この電子制御装置40は、CPU,R0M,RAM、および入出カインターフェースなどから成るいわゆるマイクロコンピュータを含んで構成されており、RAMの一時記憶機能を利用しつつR0Mに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことによりエンジン8、第1、第2電動機M1,M2に関するハイブリッド駆動制御、有段変速部20の変速制御等の駆動制御を実行するものである。
An electronic control unit (ECU) 40 is provided for controlling the whole of the
電子制御装置40には、図8に示すような各センサやスイッチなどから、エンジン水温を示す信号、シフトポジションを表す信号、エンジン8の回転速度であるエンジン回転速度Neを表す信号、ギヤ比列設定値を示す信号、M(モータ走行)モードを指含する信号、エアコンの作動を示すエアコン信号、出力軸22の回転速度N0UTに対応する車速を表す信号、有段変速部20の作動油温(AT油温)を示す油温信号、サイドブレーキ操作を示す信号、フットブレーキ操作を示す信号、触媒温度を示す触媒温度信号、運転者の出力要求量に対応するアクセルペダルの操作量を示すアクセル開度信号、カム角信号、スノーモード設定を示すスノーモード設定信号、車両の前後加速度を示す加速度信号、オートクルーズ走行を示すオートクルーズ信号、車両の重量を示す車重信号、各車輸の車輪速を示す車輸速信号、第1電動機M1の回転速度(以下、第1電動機回転速度という)を表す信号、第2電動機M2の回転速度(以下、第2電動機回転速度という)を表す信号などが、それぞれ入力される。
The
また、上記電子制御装置40からは、電子スロットル弁の開度を操作するスロットルアクチュエータヘの駆動信号、燃料噴射装置によるエンジン8への燃料供給量を制御する燃料供給量信号、過給圧を調整するための過給圧調整信号、電動エアコンを作動させるための電動エアコン駆動信号、点火装置によるエンジン8の点火時期を指令する点火信号、電動機M1,M2の作動を指令する指令信号、シフトインジケータを作動させるためのシフトポジション(操作位置)表示信号、ギヤ比を表示させるためのギヤ比表示信号、スノーモードであることを表示させるためのスノーモード表示信号、制動時の車輸のスリップを防止するABSアクチュエータを作動させるためのABS作動信号、Mモードが選択されていることを表示させるMモード表示信号、有段変速部20の油圧式摩擦係合装置の油圧アクチュエータを制御するために油圧制御装置34に含まれる電磁弁を作動させるバルブ指令信号、この油圧制御装置34の油圧源である電動油圧ポンプを作動させるための駆動指令信号、電動ヒータを駆動するための信号、クルーズコントロール制御用コンピュータヘの信号等が、それぞれ出力される。
Further, the
図9は、有段変速部20の変速制御で使用される変速線図を示しており、車速を横軸にとり、要求出力を縦軸にとって、これら車速および要求出力をパラメータとして変速段領域が定められている。図9における実線は、アップシフト線を示し、アップシフトする際の各変速段領域の境界となっている。また、図9における破線は、ダウンシフト線を示し、ダウンシフトする際の各変速段領域の境界となっている。
Figure 9 shows a shift diagram used in the shift control of the geared
これらの変速段の全ては、ドライブレンジ(ドライブポジション)が選択されている場合に設定可能であるが、手動変速モード(マニュアルモード)では高速側の変速段が制限されるようになっている。図10は上記の電子制御装置40に対してシフトポジション信号を出力するシフト装置42におけるシフトポジションの配列を示しており、車両を停止状態に維持するパーキング(P)、後進段(R:リバース)、ニュートラル(N)、ドライブ(D)の各ポジションがほぼ直線的に配列されている。この配列方向は、例えば車両の前後方向に沿う方向である。そのドライブポジションに対して車両の幅方向で隣接する位置にマニュアルポジション(M)が設けられ、そのマニュアルポジションを挟んで車両の前後方向での両側にアップシフトポジション(+)とダウンシフトポジション(−)とが設けられている。これらの各シフトポジションは、シフトレバー43を案内するガイド溝44によって連結されており、したがってシフトレバー43をガイド溝44に沿って移動させることにより適宜のシフトポジションが選択され、その選択されたシフトポジション信号が電子制御装置40に入力されるようになっている。
All of these shift speeds can be set when the drive range (drive position) is selected, but in the manual shift mode (manual mode), the shift speed on the high speed side is limited. FIG. 10 shows an arrangement of shift positions in the
そして、ドライブポジションが選択された場合には、有段変速部20での第1速から第5速の全ての前進段が走行状態に応じて設定されるようになっている。これに対して、ドライブポジションからマニュアルポジションにシフトレバー43を移動させた状態ではドライブポジションが維持され、第5速までの変速が可能であるが、この状態から1回ダウンシフトポジションにシフトレバー43を移動する都度、ダウンシフト信号(ダウンレンジ信号)が出力され、第5速が禁止された4レンジ、第4速以上が禁止された3レンジ、第3速以上が禁止された3レンジ、第1速に固定されるLレンジに切り替えられるようになっている。なお、アップシフトポジションを選択する都度、アップシフト信号(アップレンジ信号)が出力されて、順次、高速側のレンジに切り替えられるようになっている。
When the drive position is selected, all the forward speeds from the first speed to the fifth speed in the stepped
上記変速機10では、駆動トルクに関する要求を満たしつつエンジン8を燃費が最適な回転数で運転し、さらに電力への変換を少なくして動力伝達効率の良い走行を行うために、車速が所定の幅の範囲内ではその車速に応じた変速段を有段変速部20で設定し、その状態で第1電動機M1によって無段変速部11の変速比を連続的に変化させる。これに対して、図9に変速線図で示す変速段領域を渡って走行状態が変化した場合、有段変速部20がその変速線図に従って変速される。具体的には、図6に示す各変速段に応じて摩擦係合装置が係合・解放させられる。このような有段変速部20での変速では、変速比がステップ的に変化するので、エンジン回転数に変化を防止もしくは抑制するために、無段変速部11の変速比は、有段変速部20での変速比の変化とは反対方向に変化させられる。例えば、有段変速部20でダウンシフトすると、その変速比の増大によって、図5に示す入力部材である第8回転要素RE8(第3リングギヤR3と第4サンギヤS4)の回転数が増大するので、その第8回転要素(第8要素)RE8に第1クラッチC1を介して連結されている第1リングギヤR1の回転数が同様に増大するように、第1電動機M1の回転数が増大させられる。これは、エンジン回転数を可及的に維持するように第1リングギヤR1の回転数を増大させる制御であるから、エンジン回転数が相対的に低下し、したがって無段変速部11はアップシフトされられる。
In the
車両の車速は、車輪の回転速度(回転数)に基づいて検出されており、したがって上述した変速は、実際の車速が変化した場合以外に、車輪速度のみが変化した場合であっても実行される場合がある。例えば、前述したABSやVSCなどの車両挙動制御装置50が動作し、それに伴って車輪速度が変化すると、これは車速の変化として検出される。その結果、無段変速部11での変速が生じたり、無段変速部11と有段変速部20との互いに反対方向の変速が生じたりする。図1は車両挙動制御装置50が動作した場合におけるこの発明の装置による制御例を示しており、ABSやVSCなどの車両挙動制御装置50が動作中か否か、もしくは動作するか否かが判断される(ステップS1)。これは、車両挙動制御装置50の出力信号の状態や車輪速度、車速とスロットル開度などの走行状態、車両の加速度などに基づいて判断することができる。
The vehicle speed of the vehicle is detected on the basis of the rotation speed (number of rotations) of the wheel. Therefore, the above-described shift is executed even when only the wheel speed changes, other than when the actual vehicle speed changes. There is a case. For example, when the vehicle
ステップS1で否定的に判断された場合には、特に制御を行うことなくリターンし、これとは反対に肯定的に判断された場合には、車輪速度が制御されているか否か、もしくは車輪速度が制御されるか否かが判断される(ステップS2)。車両挙動制御装置50によって実行する制御には、エンジン出力のみの制御と前述したABSアクチュエータなどによって車輪ブレーキBwの制動力を変化させる車輪速度の制御を含む制御とがあり、したがってステップS2において後者の車輪速度の制御を含む制御が実行されるか否か、もしくは実行されているか否かを判断することとしたのである。
If the determination in step S1 is negative, the process returns without performing any particular control. On the other hand, if the determination is affirmative, determination is made as to whether or not the wheel speed is being controlled, or the wheel speed. Whether or not is controlled is determined (step S2). The control executed by the vehicle
車輪速度が制御されることによりステップS2で肯定的に判断された場合には、無段変速部11の変速比と有段変速部20の変速比とが計算される(ステップS3)。これは、車両挙動制御装置50が動作することに伴うエンジン回転数の変化を可及的に抑制するための制御ステップであり、例えば車両挙動制御装置50が動作し始める時点のエンジン回転数を検出するとともに、車両挙動制御装置50が動作することによる車速(もしくは車輪速度)の低下幅に対してエンジン回転数の変化を抑制する変速比を求める制御ステップである。ついで、このようにして求められた変速比を達成するように変速が実行される(ステップS4)。なお、その変速比を達成する変速は、車両の走行状態あるいは変速幅によっては、無段変速部11のみでの変速と、有段変速部20と無段変速部11との両方での変速とのいずれかとなる。
If the determination is positive in step S2 by controlling the wheel speed, the gear ratio of the continuously
ここで、車両挙動制御装置50が動作することに伴う車速の変化量に対する無段変速部11の変速比の変化量を、有段変速部20の変速比(変速段)をパラメータとして示すと、図2のとおりである。すなわち、車速の変化量が大きいほど、また有段変速部20での変速比が低車速側の変速比(大きい変速比)であるほど、エンジン回転数を維持するための無段変速部11の変速比の変化量が大きくなる。したがって、ステップS3で無段変速部11での変速比を求める場合には、このような関係からその変速比を求めればよい。
Here, when the change amount of the transmission ratio of the continuously
一方、車両挙動制御装置50による制御が車輪速度の制御を含まないものであることによりステップS2で否定的に判断された場合、通常の変速制御が実施される(ステップS5)。すなわち、上記の車両挙動制御装置50が動作した場合の車速の低下幅に基づく変速比の計算などを行わずに、検出された要求出力トルクや車速などの車両の走行状態に基づいて変速比を求め、その変速比を達成するように各変速部11,20が制御される。
On the other hand, if the control by the vehicle
車両挙動制御装置50としてVSCが動作し、それに伴う車速の低下が検出されて上記の制御を実行した場合のタイムチャートを図3に模式的に示してある。図3は有段変速部20が第2速で走行している際にVSCが動作して車速の低下が検出された場合の例を示しており、t1時点にVSCが作動して車速が低下し始めると、その車速の低下に伴うエンジン回転数Neの変化を防止もしくは抑制するように、無段変速部11の変速比が変化させられる。具体的には、エンジン8に連結されている第1キャリヤCA1の回転数を一定に維持しつつ出力要素である第1リングギヤR1の回転数を低下させるように、第1サンギヤS1の回転数すなわち第1電動機M1の回転数が増大させられる。これは、前述したように無段変速部11のダウンシフトであり、その変速比は所定の勾配で増大する。
FIG. 3 schematically shows a time chart when the VSC is operated as the vehicle
車両挙動制御装置50が作動していることにより車速が更に低下すると、車両の走行状態が図9の変速線図で示す第1速の領域に入り、その結果、第1速への変速の判断が成立し、有段変速部20が第1速にダウンシフトされる(t2時点)。有段変速部20の変速が開始されると、トータル変速比が大きく変化するから、その時点からは無段変速部11の変速比の変化勾配が緩和される。すなわち、無段変速部11の変速速度がそれ以前よりも相対的に遅くされる。
If the vehicle speed further decreases due to the operation of the vehicle
そして、VSCの作動が終了すると(t3時点)、車速の低下が止まり、したがって出力軸22の回転数の変化が無くなるので、各変速部11,20の変速が終了させられる。このような変速の過程では、車速の低下に応じて上述した図1の制御が実行されるために、エンジン回転数Neが車両挙動制御装置50の作動前からの回転数にほぼ維持される。そのため、車両挙動制御装置50の作動中にエンジン8の回転数の変化に伴う慣性トルクが生じることがなく、その結果、車輪にエンジン8側から伝達されるトルクがほぼ一定に保たれるので、車両挙動制御装置50による車輪速度あるいは駆動トルクの制御が精度よく行われる。言い換えれば、車両挙動制御装置50の制御が所期通りに実行できるので、その制御応答性が良好になる。
When the operation of the VSC is completed (at time t3), the vehicle speed stops decreasing, and therefore the change in the rotation speed of the
なお、この発明を適用できる変速機構は、前述した図5に示す構成のものに限定されないのであって、前進4段を設定できる有段変速部を備えた変速機構であってもよい。その例を図11ないし図13に示してある。 The speed change mechanism to which the present invention can be applied is not limited to the structure shown in FIG. 5 described above, and may be a speed change mechanism including a stepped speed change portion capable of setting four forward speeds. Examples of this are shown in FIGS.
図11において、変速機構70は、前述の実施例と同様に第1電動機M1、動力分配機構16、および第2電動機M2を備えている無段変速部11と、その無段変速部11と出力軸22との間で伝達部材18を介して直列に連結されている前進3段の有段変速部72とを備えている。動力分配機構16は、例えば「0.418」程度の所定のギヤ比ρ1を有するシングルピニオン型の第1遊星歯車装置24を有している。有段変速部72は、例えば「0.532」程度の所定のギヤ比ρ2を有するシングルピニオン型の第2遊星歯車装置26と例えば「0.418」程度の所定のギヤ比ρ3を有するシングルピニオン型の第3遊星歯車装置28とを備えている。第2遊星歯車装置26の第2サンギヤS2と第3遊星歯車装置28の第3サンギヤS3とが一体的に連結されて第2クラッチC2を介して伝達部材18に選択的に連結されるとともに第1ブレーキB1を介してケース12に選択的に連結され、第2遊星歯車装置26の第2キャリヤCA2と第3遊星歯車装置28の第3リングギヤR3とが一体的に連結されて出力軸22に連結され、第2リングギヤR2は第1クラッチC1を介して伝達部材18に選択的に連結され、第3キャリヤCA3は第2ブレーキB2を介してケース12に選択的に連結されている。
In FIG. 11, the
以上のように構成された変速機構70では、例えば、図12の係合作動表に示されるように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第1ブレーキB1、および第2ブレーキB2が選択的に係合作動させられることにより、第1速ギヤ段(第1変速段:1st)ないし第4速ギヤ段(第4変速段:4th)のいずれかあるいは後進ギヤ段(後進変速段:R)あるいはニュートラル(N)が選択的に成立させられ、ほぼ等比的に変化する変速比Y(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度N0UT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
In the
例えば、無段変速部11の変速比を一定に維持すれば、変速機構70が有段変速機として機能し、図12に示すように、第1クラッチC1および第2ブレーキB2の係合により、変速比Y1が最大値例えば「2.804」程度である第1速ギヤ段が成立させられ、第1クラッチC1および第1ブレーキB1の係合により、変速比Y2が第1速ギヤ段よりも小さい値例えば「1.531」程度である第2速ギヤ段が成立させられ、第1クラッチC1および第2クラッチC2の係合により、変速比Y3が第2速ギヤ段よりも小さい値例えば「1.000」程度である第3速ギヤ段が成立させられ、第1クラッチC1および第2クラッチC2の係合により、変速比Y4が第3速ギヤ段よりも小さい値例えば「0.705」程度である第4速ギヤ段が成立させられる。また、第2クラッチC2および第2ブレーキB2の係合により、変速比YRが第1速ギヤ段と第2速ギヤ段との間の値例えば「2.393」程度である後進ギヤ段が成立させられる。なお、ニュートラル「N」状態とする場合には、全ての係合機構が解放させられる。
For example, if the transmission ratio of the continuously
一方、変速機構70が無段変速機として機能する場合には、無段変速部11が無段変速機として機能し、それに直列の有段変速部72が有段変速機として機能することにより、有段変速部72の第1速、第2速、第3速の各ギヤ段に対しその有段変速部72に入力される回転速度すなわち伝達部材18の回転速度が無段的に変化させられて各ギヤ段は無段的な変速比幅が得られる。したがって、その各ギヤ段の間が無段的に連続変化可能な変速比となって変速機構70全体としてのトータル変速比YTが無段階に得られるようになる。
On the other hand, when the
図13は、差動部あるいは第1変速部として機能する無段変速部11と変速部(自動変速部)あるいは第2変速部として機能する有段変速部72から構成される変速機構70において、ギヤ段毎に連結状態が異なる各回転要素の回転速度の相対関係を直線上で表すことができる共線図を示している。
FIG. 13 illustrates a
図13における自動変速機72の4本の縦線Y4,Y5,Y6,Y7は、左から順に、第4回転要素(第4要素)RE4に対応しかつ相互に連結された第2サンギヤS2および第3サンギヤS3を、第5回転要素(第5要素)RE5に対応する第3キャリヤCA3を、第6回転要素(第6要素)RE6に対応しかつ相互に連結された第2キャリヤCA2および第3リングギヤR3を、第7回転要素(第7要素)RE7に対応する第2リングギヤR2をそれぞれ表している。また、自動変速機72において第4回転要素RE4は第2クラッチC2を介して伝達部材18に選択的に連結されるとともに第1ブレーキB1を介してケース12に選択的に連結され、第5回転要素RE5は第2ブレーキB2を介してケース12に選択的に連結され、第6回転要素RE6は自動変速機72の出力軸22に連結され、第7回転要素RE7は第1クラッチC1を介して伝達部材18に選択的に連結されている。
The four vertical lines Y4, Y5, Y6, Y7 of the
有段変速部72では、図13に示すように、第1クラッチC1と第2ブレーキB2とが係合させられることにより、第7回転要素RE7(R2)の回転速度を示す縦線Y7と横線X2との交点と第5回転要素RE5(CA3)の回転速度を示す縦線Y5と横線X1との交点とを通る斜めの直線L1と、出力軸22と連結された第6回転要素RE6(CA2,R3)の回転速度を示す縦線Y6との交点で第1速の出力軸22の回転速度が示される。同様に、第1クラッチC1と第1ブレーキB1とが係合させられることにより決まる斜めの直線L2と出力軸22と連結された第6回転要素RE6の回転速度を示す縦線Y6との交点で第2速の出力軸22の回転速度が示され、第1クラッチC1と第2クラッチC2とが係合させられることにより決まる水平な直線L3と出力軸22と連結された第6回転要素RE6の回転速度を示す縦線Y6との交点で第3速の出力軸22の回転速度が示される。上記第1速ないし第3速では、エンジン回転速度NEと同じ回転速度で第7回転要素RE7に無段変速部11からの動力が入力される。また、第1電動機M1で第1サンギヤS1の回転を止めて第1遊星歯車装置24を増速機構として機能させると、無段変速部11からの動力がエンジン回転速度Neよりも高い回転速度で入力されることから、第1クラッチC1および第2クラッチC2が係合させられることにより決まる水平な直線L4と出力軸22と連結された第6回転要素RE6の回転速度を示す縦線Y6との交点で第4速の出力軸22の回転速度が示される。
In the stepped
本実施例の変速機構70においても、差動部あるいは第1変速部として機能する無段変速部11と、変速部(自動変速部)あるいは第2変速部として機能する有段変速部72とから構成されるので、前述の実施例と同様の効果が得られる。
Also in the
ここで、上記の実施例とこの発明との関係を簡単に説明すると、図1に示すステップS3およびステップS4の機能的手段が、この発明の変速比制御手段に相当する。 Here, the relationship between the above-described embodiment and the present invention will be briefly described. The functional means of step S3 and step S4 shown in FIG. 1 correspond to the gear ratio control means of the present invention.
なお、この発明においては、無段変速部を構成する遊星歯車装置は、シングルピニオン型以外にダブルピニオン型のものであってもよく、またその遊星歯車装置を一体化させるクラッチや増速機構として機能させるブレーキなどを設けてもよい。さらにこの発明では、無段変速部と有段変速部とはいずれがエンジン側に配置されていてもよい。 In the present invention, the planetary gear device constituting the continuously variable transmission unit may be a double pinion type other than the single pinion type, and as a clutch or speed increasing mechanism for integrating the planetary gear device. You may provide the brake etc. which make it function. Further, in the present invention, either the continuously variable transmission unit or the stepped transmission unit may be disposed on the engine side.
8…エンジン、 10,70…変速機構、 11…無段変速部、 16…動力分配機構(差動機構)、 18…伝達部材、 20…有段変速部、 31,32…コントローラ、 34…油圧制御装置、 40…電子制御装置(制御装置)、 50…車両挙動制御装置、 M1…第1電動機、 M2…第2電動機。
DESCRIPTION OF
Claims (3)
前記車両挙動制御装置によって車輪速度が制御された場合に、動力源の回転数の変化を抑制する方向に前記各変速部の少なくともいずれか一方の変速比を変更する変速比制御手段を備え、
前記無段変速部は、前記動力源が連結された差動機構を備えるとともにその差動機構に連結された電動機の回転数を変化させることにより前記動力源の回転数を連続的に変化させるように変速比を連続的に変化させることのできる電気的無段変速機構によって構成され、
前記変速比制御手段は、前記車両挙動制御装置による車輪速度の制御が実行された場合の前記動力源の回転数の変化を抑制するように前記電気的無段変速機構の変速比を変更する手段を含むことを特徴とする変速機の制御装置。 In a transmission control device that is mounted on a vehicle having a vehicle behavior control device that controls wheel speed and sets a total gear ratio according to each gear ratio between a continuously variable transmission unit and a stepped transmission unit that sets a plurality of forward gears . ,
If the wheel speed by the vehicle behavior control device is controlled, e Bei the gear ratio control means for changing at least one of the speed ratio of the direction to suppress the rotation speed of the change of the power source the transmission portion,
The continuously variable transmission includes a differential mechanism to which the power source is connected, and continuously changes the rotational speed of the power source by changing the rotational speed of an electric motor connected to the differential mechanism. It is constituted by an electric continuously variable transmission mechanism that can continuously change the gear ratio.
The gear ratio control means changes the gear ratio of the electric continuously variable transmission mechanism so as to suppress a change in the rotational speed of the power source when wheel speed control is performed by the vehicle behavior control device. control device for a transmission, wherein it to contain.
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