JP4432260B2 - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関からの排気ガスを浄化するための内燃機関の排気浄化装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、内燃機関の排気浄化装置に関連する先行技術文献としては、特開平11−141370号公報にて開示されたものが知られている。このものでは、NOx 触媒(NOx 吸収剤)に流入する排気ガスの空燃比をリーン側からリッチ側に一時的に切換えるリッチスパイクを時間間隔を隔てて繰返し与えることにより、NOx 触媒(NOx 吸収剤)から吸収されているNOx を放出させ還元する技術が示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述のものでは、時間を徐変しながらNOx 触媒の適正還元剤量を算出するため、適正還元剤量の算出完了までに時間がかかり、この算出中に運転条件が変化すると適正還元剤量が求まらず、還元剤量の過不足によるエミッション悪化を招くという不具合があった。
【0004】
また、前述のものでは、NOx 触媒の劣化度合いに応じて許容吸蔵量を低下させるとしており、許容吸蔵量が徐々に少なくなる方向にある。ここで、周知のように、NOx 触媒は硫黄被毒によって許容吸蔵量が一旦、低下するが所定の制御により回復させることができる。しかし、NOx 触媒の許容吸蔵量が回復され実際には多くなっていても、許容吸蔵量が少なく設定されたままでは、NOx 触媒を有効に利用することができず、結果として燃費の悪化を招くという不具合があった。
【0005】
そこで、この発明はかかる不具合を解決するためになされたもので、NOx 触媒における現在のNOx 吸蔵能力を的確に知ることによりエミッション悪化を防止し、NOx 触媒の許容吸蔵量の回復によって燃費の悪化も防止可能な内燃機関の排気浄化装置の提供を課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
まず、本発明の考え方について説明する。図19及び図20の特性図に示すように、吸蔵されたNOx 量(流入するNOx が全て吸蔵されたと推定して求めた量)を全て還元するのに必要な燃料噴射量である必要還元剤量は、NOx 触媒が吸蔵するNOx 吸蔵量に比例する(B点まで)。しかし、NOx 触媒が入NOx を吸蔵しきれず漏出する点(C点)においては、A,B点を通る直線に対して出NOx として漏出した量に応じて必要還元剤量は減る。したがって、直線は途中から折れ曲がる。NOx 触媒からNOx が漏出しているかを直接検出することはNOx 濃度を測定する例えば、NOx センサ等を用いなければ分からないので、NOx 吸蔵量と必要還元剤量との関係式より推定する。この変曲点に相当するNOx 吸蔵量を許容吸蔵量とする。
【0007】
請求項1の内燃機関の排気浄化装置によれば、現在のNOx 触媒に吸蔵されているNOx を還元するのに必要な必要還元剤量が第2の空燃比検出手段からの出力に基づき還元剤量演算手段にて算出され、この必要還元剤量とNOx 触媒の吸蔵量とから関係式が関係式演算手段で算出され、関係式学習手段で学習され更新される。この関係式と現在のNOx 触媒の吸蔵量とが比較手段で比較される。そして、この比較結果に応じてNOx 触媒の許容吸蔵量が許容吸蔵量設定手段にて設定され、許容吸蔵量学習手段で学習され更新される。ここで、判定手段にてNOx 触媒における硫黄被毒度合いが判定され、硫黄被毒回復が必要なときには、回復制御手段によって内燃機関に対する空燃比がリッチ側に制御、かつ、触媒温度が昇温制御され、NOx 触媒に吸蔵されているSOx が還元され硫黄被毒が回復されたのち、許容吸蔵量再学習手段で許容吸蔵量が再度学習される。これにより、NOx 触媒における現在のNOx 吸蔵能力を的確に知ることができ、エミッション悪化が未然に防止され、NOx 触媒の許容吸蔵量の回復によって燃費の悪化も防止される。
【0008】
請求項2の内燃機関の排気浄化装置における還元剤量演算手段では、1回目には第2の空燃比検出手段から所定範囲のリッチ信号が出力されると予測されるだけの還元剤量が供給され、2回目には第2の空燃比検出手段による1回目の空燃比挙動に基づき適正還元剤量が逆算される。即ち、第2の空燃比検出手段からの所定範囲のリッチ信号が出力された分が差引かれることで必要還元剤量が正確に算出される。
【0009】
請求項3の内燃機関の排気浄化装置では、適正還元剤量がNOx 触媒の下流側で過剰な空燃比を積算した過剰空燃比積算値によって求められる。即ち、空燃比が理論空燃比を越えリッチ側となった空燃比が積算されることで過剰還元剤量が算出され、この過剰分が与えられた還元剤量から減算されることで正確に求められる。
【0010】
請求項4の内燃機関の排気浄化装置では、適正還元剤量が第1の空燃比検出手段からの出力がリッチ側に変化開始した時点から第2の空燃比検出手段からの出力がリッチ側に変化し始めるまでの時間を求め、更に、排気ガスが第1の空燃比検出手段から第2の空燃比検出手段に至るまでのガス輸送遅れ時間を減算することで正確に求められる。
【0011】
請求項5の内燃機関の排気浄化装置における関係式演算手段では、リッチ側へパージ制御したときのNOx 触媒の吸蔵量に対応する還元剤量を表す点が少なくとも2点以上求められる。これにより、NOx 触媒の吸蔵量に対する必要還元剤量を示す関係式としての直線が簡単に求められる。
【0012】
請求項6の内燃機関の排気浄化装置では、吸蔵量がNOx 触媒がNOx を吸蔵しきれずに漏出することのない十分小さい領域に設定されることで、関係式としての直線を正確に求めることができる。
【0013】
請求項7の内燃機関の排気浄化装置における関係式学習手段では、今回算出された直線の傾きと基準傾きとの偏差が所定範囲内であるときには、直線が更新され記憶される。これにより、求められた傾きを用いた直線に対する信頼性が向上される。
【0014】
請求項8の内燃機関の排気浄化装置における比較手段では、現在のNOx 触媒の吸蔵量に対応する還元剤量を表す点が関係式に対し所定範囲内または所定範囲外にあるか、即ち、関係式の近傍にあるか否かによって、適切な還元剤量が正確に求められる。
【0015】
請求項9の内燃機関の排気浄化装置における許容吸蔵量設定手段では、比較手段での比較結果で現在のNOx 触媒の吸蔵量に対する還元剤量を表す点が関係式に対し所定範囲内、即ち、関係式の近傍にあるときにはNOx 触媒の吸蔵能力に余裕があるとして許容吸蔵量が増量される。また、この点が関係式に対し所定範囲外、即ち、関係式の近傍にないときにはNOx 触媒の吸蔵能力を越えている可能性があるとして許容吸蔵量が減量される。これにより、NOx 触媒からNOx が漏出することが防止されると共に、NOx 触媒の吸蔵能力が最大限に発揮される。
【0016】
請求項10の内燃機関の排気浄化装置における許容吸蔵量設定手段では、許容吸蔵量学習が完了するまでの初回においては許容吸蔵量が少ない方から多くなる方に向かって探される。これにより、NOx 触媒の吸蔵能力を越えて許容吸蔵量が設定されることがないため、NOx 触媒からNOx が漏出することが未然に防止される。
【0017】
請求項11の内燃機関の排気浄化装置における許容吸蔵量学習手段では、比較手段での比較結果が所定範囲内で最大となる許容吸蔵量が学習値とされ、内燃機関の運転状態毎に学習値が設定され、次回に用いられる。これにより、現在のNOx 触媒の吸蔵能力を最大限に発揮するための適切な許容吸蔵量が正確に求められる。
【0018】
請求項12の内燃機関の排気浄化装置における判定手段では、現在のNOx 触媒の許容吸蔵量と所定値とが比較され、許容吸蔵量が所定値以下であると硫黄被毒度合いが進んでいると判定される。これにより、NOx 触媒に対して硫黄被毒回復制御を行なう好適なタイミングが求められる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。
【0020】
図1は本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関の排気浄化装置が適用された内燃機関とその周辺機器を示す概略構成図である。
【0021】
図1において、内燃機関10は直列4気筒(#1気筒〜#4気筒)4サイクルの火花点火式として構成されている。内燃機関10の上流側の図示しないエアクリーナから吸入された空気は吸気通路11、サージタンク12、吸気マニホルド13を通過し、吸気マニホルド13内で#1気筒〜#4気筒に対応する#1インジェクタ14a〜#4インジェクタ14dから噴射された燃料と混合され、所定の空燃比(Air-Fuel Ratio)の混合気として各気筒(#1気筒〜#4気筒)に分配供給される。また、内燃機関10の#1気筒〜#4気筒に設けられた点火プラグ15a〜15dには図示しない点火回路から逐次、高電圧が供給され、#1気筒〜#4気筒の混合気が所定タイミングで点火燃焼される。そして、燃焼後の排気ガスは排気マニホルド21に接続された排気通路23の上流側に設置された触媒コンバータとしての三元触媒22を通過し、この排気通路23の下流側に設置された触媒コンバータとしてのNOx 触媒24を通過したのち大気中に排出される。
【0022】
また、排気通路23途中で三元触媒22の上流側には、排気ガス中の空燃比を検出するA/Fセンサ31が配設されている。そして、排気通路23途中でNOx 触媒24の下流側には排気ガス中の空燃比を検出するA/Fセンサ32が配設されている。
【0023】
ECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)40は、周知の各種演算処理を実行する中央処理装置としてのCPU、制御プログラムを格納したROM、各種データを格納するRAM、入出力回路及びそれらを接続するバスライン等からなる論理演算回路として構成されている。ECU40によってA/Fセンサ31からの空燃比信号やA/Fセンサ32からの空燃比信号及び図示しない各種センサからの各種入力信号41が読込まれ演算処理され、#1インジェクタ14a〜#4インジェクタ14d、図示しない点火回路や各種アクチュエータに各種出力信号42が出力され、内燃機関10の運転状態が制御される。なお、ECU40によるA/Fセンサ31からの空燃比信号に基づく空燃比フィードバック制御については周知であり、本実施例の説明中では省略されている。
【0024】
次に、本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関の排気浄化装置で使用されているECU40による処理手順について各制御毎に説明する。
【0025】
《NOx 触媒24に対するNOx 吸蔵及び回復制御のメインルーチン:図2参照》
なお、このNOx 吸蔵及び回復制御ルーチンはイグニッションスイッチ(図示略)のON(オン)後、ECU40にて繰返し実行される。
【0026】
図2において、まず、ステップS101で内燃機関10の運転状態がリーン制御領域にあるかが判定される。ステップS101の判定条件が成立せず、即ち、リーン制御領域にないときには後述のNOx 触媒24の吸蔵量が算出できないためリーン制御領域になるまで待ってステップS102に移行する。ステップS102では、後述の吸蔵量演算処理によってΣ吸蔵量が算出される。なお、Σ吸蔵量は積算演算された吸蔵量を表す。
【0027】
次にステップS103に移行して、ステップS102で算出されたΣ吸蔵量が許容吸蔵量以上であるかが判定される。この許容吸蔵量とは、NOx 触媒24の現在の能力で吸蔵可能なNOx の吸蔵量であり、後述の許容吸蔵量学習処理によって算出される。ステップS103の判定条件が成立せず、即ち、Σ吸蔵量が許容吸蔵量未満と少ないときにはNOx 触媒24に未だ吸蔵余裕があるためステップS102に戻り、同様の処理が繰返し実行される。一方、ステップS103の判定条件が成立、即ち、Σ吸蔵量が許容吸蔵量以上と多くなるとステップS104に移行し、リーン制御が一旦終了とされる。
【0028】
次にステップS105に移行して、直線学習フラグが「1」にセットされているかが判定される。ステップS105の判定条件が成立、即ち、直線学習フラグが「0」のままであり、未だNOx 触媒24の特性を表す直線が学習済でないときにはステップS106に移行し、後述の直線学習処理が実行されたのちステップS101に戻り、同様の処理が繰返し実行される。一方、ステップS105の判定条件が成立、即ち、直線学習フラグが「1」にセットされており、直線が学習済であるときにはステップS107に移行し、許容吸蔵量学習フラグが「1」にセットされているかが判定される。ステップS107の判定条件が成立せず、即ち、許容吸蔵量学習フラグが「0」のままであり、NOx 触媒24の許容吸蔵量が未だ学習済でないときにはステップS108に移行し、後述の許容吸蔵量学習処理が実行されたのちステップS101に戻り、同様の処理が繰返し実行される。
【0029】
一方、ステップS107の判定条件が成立、即ち、許容吸蔵量学習フラグが「1」にセットされており、NOx 触媒24の許容吸蔵量が学習済であるときにはステップS109に移行し、後述の適正還元剤量演算処理で算出された適正還元剤量が必要還元剤量として設定される。次にステップS110に移行して、リッチパージ制御が開始される。このリッチパージ制御とは、リーン燃焼中に吸蔵したNOx を空燃比を一時的にリッチにして、吸蔵したNOx をNOx 触媒から放出させ還元することである。次にステップS111に移行して、リッチパージ制御による供給還元剤量が必要還元剤量に等しくなったかが判定される。ステップS111の判定条件が成立せず、即ち、未だ供給還元剤量が必要還元剤量に等しくなっていないときにはリッチパージ制御が繰返される。そして、ステップS111で供給還元剤量が必要還元剤量に等しくなるとステップS112に移行し、リッチパージ制御が終了されたのちステップS101に戻り、同様の処理が繰返し実行される。
【0030】
〈イニシャルルーチン:図3参照〉
なお、このイニシャルルーチンはイグニッションスイッチ(図示略)のON(オン)直後に1回だけ、学習値を除いてECU40にて実行される。
【0031】
図3において、ステップS201で、各フラグや変数が「0」に初期設定されたのち、本ルーチンを終了する。
【0032】
〈リーン制御ルーチン:図4参照〉
なお、このリーン制御ルーチンは所定時間毎にECU40にて繰返し実行される。
【0033】
図4において、ステップS301で、A/Fセンサ31からの空燃比信号やA/Fセンサ32からの空燃比信号及び図示しない各種センサからの各種入力信号41が読込まれ運転条件検出処理が実行され、更に、ステップS302にて、運転状態に見合った後述のTAU(燃料噴射量)演算処理が実行され、このときのTAUが算出される。次にステップS303に移行して、後述の許容吸蔵量学習処理で算出された許容吸蔵量学習値が許容吸蔵量に設定される。なお、許容吸蔵量学習値の初期値としては、NOx 触媒24における耐久後の低い値を予め入れておき、最初、許容吸蔵量を小さい方から大きい方へ探すことでエミッション悪化を防止することができる。
【0034】
次にステップS304に移行して、後述の直線学習処理による直線上のポイント1が算出されポイント1終了フラグが「1」にセットされているかが判定される。ステップS304の判定条件が成立せず、ポイント1終了フラグが「0」のままであり、未だポイント1が未確定であるときにはステップS305に移行し、ステップS303で設定された許容吸蔵量がα1 、即ち、関係式である直線上のα1 (入NOx 量)が横軸のX1 に設定される。一方、ステップS304の判定条件が成立するときにはステップS306に移行し、後述の直線学習処理による直線上のポイント2が算出されポイント2終了フラグが「1」にセットされているかが判定される。ステップS306の判定条件が成立せず、ポイント2終了フラグが「0」のままであり、未だポイント2が未確定であるときにはステップS307に移行し、ステップS303で設定された許容吸蔵量がα2 、即ち、関係式である直線上のα2 (入NOx 量)が横軸のX2 に設定される。
【0035】
一方、ステップS306の判定条件が成立、即ち、ポイント1終了フラグが「1」及びポイント2終了フラグが「1」にセットされているとき、またはステップS305またはステップS307における処理ののちステップS308に移行し、後述の吸蔵量演算処理が実行される。次にステップS309に移行して、後述の吸蔵量演算処理によって算出されたΣ吸蔵量がステップS303で設定された許容吸蔵量以上であるかが判定される。ステップS309の判定条件が成立せず、即ち、Σ吸蔵量が許容吸蔵量未満と少ないときにはNOx 触媒24に未だ吸蔵余裕があるためステップS301に戻り、同様の処理が繰返し実行される。そして、ステップS309の判定条件が成立、即ち、Σ吸蔵量が許容吸蔵量以上となるとNOx 触媒24に吸蔵余裕がないためリーン制御できないとして、本ルーチンを終了する。
【0036】
〈TAU(燃料噴射量)演算のサブルーチン:図5参照〉
なお、このTAU演算ルーチンは、図4のステップS302または後述の図7のステップS601または後述の図12のステップS1101または後述の図15のステップS1401による割込毎にECU40にて実行される。
【0037】
図5において、ステップS401で、そのときの運転条件に見合った基本噴射量TPが算出される。次にステップS402に移行して、リーン制御中であるかが判定される。ステップS402の判定条件が成立、即ち、リーン制御中であるときにはステップS403に移行し、TAUが次式(1)にて算出されたのち、本ルーチンを終了する。ここで、LFAFは空燃比フィードバック係数の学習値、KAF1 は目標空燃比にするための係数である。
【0038】
【数1】
TAU=TP×LFAF×KAF1 ・・・(1)
【0039】
一方、ステップS402の判定条件が成立せず、即ち、リーン制御中でないときにはステップS404に移行し、TAUが次式(2)にて算出されたのち、本ルーチンを終了する。ここで、KAF2 は目標空燃比にするための係数である。
【0040】
【数2】
TAU=TP×LFAF×KAF2 ・・・(2)
【0041】
〈吸蔵量演算のサブルーチン:図6参照〉
なお、この吸蔵量演算ルーチンは図4のステップS308による割込毎にECU40にて実行される。
【0042】
図6において、ステップS501で、吸蔵量が次式(3)にて算出される。ここで、NOx 濃度は内燃機関10の機関回転数と負荷とをパラメータとするマップ(図示略)により算出される。ここで、計測時間とは前回吸蔵量算出から今回吸蔵量算出までに要した時間である。
【0043】
【数3】
【0044】
次にステップS502に移行して、前回までのΣ吸蔵量にステップS501で算出された吸蔵量が加算されてΣ吸蔵量が算出されたのち、本ルーチンを終了する。
【0045】
〈リッチパージ制御ルーチン:図7参照〉
なお、このリッチパージ制御ルーチンは、図2のステップS110〜ステップS112までのリッチパージ制御中、ECU40にて繰返し実行される。
【0046】
図7において、まず、ステップS601で、上述の図5によるTAU演算処理が実行される。次にステップS602に移行して、直線学習フラグが「1」にセットされているかが判定される。ステップS602の判定条件が成立せず、即ち、直線学習フラグが「0」のままであり、未だ直線が学習済でないときにはステップS603に移行し、後述の直線学習処理が実行される。
【0047】
一方、ステップS602の判定条件が成立、即ち、直線学習フラグが「1」にセットされており、直線が学習済であるときにはステップS604に移行し、許容吸蔵量学習フラグが「1」にセットされているかが判定される。ステップS604の判定条件が成立せず、即ち、許容吸蔵量学習フラグが「0」のままであり、未だ許容吸蔵量学習値が算出されていないときにはステップS605に移行し、後述の許容吸蔵量学習処理が実行される。
【0048】
一方、ステップS604の判定条件が成立、即ち、許容吸蔵量学習フラグが「1」にセットされているときにはステップS606に移行し、後述の適正還元剤量演算処理で算出された適正還元剤量が必要還元剤量として設定される。次にステップS607に移行して、1噴射当たり還元剤量FQが次式(4)にて算出される。
【0049】
【数4】
FQ←TAU×(単位時間当たり噴射量)×(還元剤密度) ・・・(4)
【0050】
次にステップS608に移行して、1噴射が終了するまで待ってステップS609に移行する。ステップS609では、前回の必要還元剤量からステップS607で算出された1噴射当たり還元剤量FQが減算され今回の必要還元剤量とされる。次にステップS610に移行して、必要還元剤量が「0」となったかが判定される。ステップS610の判定条件が成立せず、即ち、必要還元剤量が「0」となっておらず、未だ必要還元剤量が必要であるときにはステップS607に戻り、同様の処理が繰返し実行される。そして、ステップS610の判定条件が成立、即ち、必要還元剤量が「0」となったとき、またはステップS603またはステップS605の処理ののちステップS611に移行し、Σ吸蔵量が「0」に戻されたのち、本ルーチンを終了する。
【0051】
〈直線学習のサブルーチン:図8参照〉
なお、この直線学習ルーチンは、図2のステップS106または図7のステップS603の割込毎にECU40にて実行される。
【0052】
図8において、ステップS701では、ポイント1終了フラグが「1」にセットされているかが判定される。ステップS701の判定条件が成立せず、即ち、ポイント1終了フラグが「0」のままであり、未だポイント1が未確定であるときにはステップS702に移行し、後述のポイント1演算処理による直線上のポイント1が算出されたのち、本ルーチンを終了する。一方、ステップS701の判定条件が成立、即ち、ポイント1終了フラグが「1」にセットされているときにはステップS703に移行し、後述のポイント2演算処理による直線上のポイント2が算出される。次にステップS704に移行して、ステップS702で算出されたポイント1とステップS703で算出されたポイント2とから後述の直線演算処理によって直線が算出され、本ルーチンを終了する。
【0053】
〈許容吸蔵量学習のサブルーチン:図9参照〉
なお、この許容吸蔵量学習ルーチンは、図2のステップS108または図7のステップS605の割込毎にECU40にて実行される。
【0054】
図9において、ステップS801で、適正還元剤量算出フラグが「1」にセットされているかが判定される。ステップS801の判定条件が成立せず、即ち、適正還元剤量算出フラグが「0」のままであり、未だ適正還元剤量が算出されていないときにはステップS802に移行し、後述の適正還元剤量演算処理が実行され、適正還元剤量が算出される。一方、ステップS801の判定条件が成立、即ち、適正還元剤量算出フラグが「1」で、既に適正還元剤量が算出されているときにはステップS802がスキップされる。
【0055】
次にステップS803に移行して、今回の計算還元剤量(i) が次式(5)にて算出される。ここで、aは後述の直線演算処理で算出される直線の傾き、bは後述の直線演算処理で算出される直線の切片である。
【0056】
【数5】
計算還元剤量(i) ←a×許容吸蔵量(i) +b ・・・(5)
【0057】
次にステップS804に移行して、今回の還元剤量が直線上にあるかを知るため、今回の計算還元剤量(i) から許容量KGを減算した値が今回の適正還元剤量(i) を越えているかが判定される。ステップS804の判定条件が成立するときには今回の計算還元剤量(i) が直線より上にあり、許容吸蔵量が大き過ぎるとしてステップS805に移行し、許容吸蔵量から所定量Kが減算され許容吸蔵量学習値とされ、本ルーチンを終了する。
【0058】
一方、ステップS804の判定条件が成立せず、即ち、今回の計算還元剤量(i) から許容量KGを減算した値が今回の適正還元剤量(i) 以下と小さいときにはステップS806に移行し、前回の還元剤量が直線上にあったかを知るため、前回の計算還元剤量(i-1) から許容量KGを減算した値が前回の適正還元剤量(i-1) を越えているかが判定される。ステップS806の判定条件が成立しないときには今回の計算還元剤量(i) 及び前回の計算還元剤量(i-1) が共に直線上にあるため、許容吸蔵量を今より大きくできる可能性があるとしてステップS807に移行し、許容吸蔵量に所定量Kが加算され許容吸蔵量学習値とされ、本ルーチンを終了する。
【0059】
一方、ステップS806の判定条件が成立、即ち、前回の計算還元剤量(i-1) から許容量KGを減算した値が前回の適正還元剤量(i-1) を越えているときにはステップS808に移行し、前回の計算還元剤量(i-1) が直線上になく今回の計算還元剤量(i) が直線上にあるので、現在の許容吸蔵量が適正値であるとして許容吸蔵量学習フラグが「1」にセットされ、本ルーチンを終了する。
【0060】
〈ポイント1及びポイント2演算のサブルーチン:図10参照〉
なお、このポイント1及びポイント2演算ルーチンは、図8のステップS702またはステップS703の割込毎にECU40にて実行される。
【0061】
図10において、ステップS901で、後述の適正還元剤量演算処理が実行される。次にステップS902に移行して、ポイント1終了フラグが「1」にセットされているかが判定される。ステップS902の判定条件が成立せず、即ち、ポイント1終了フラグが「0」のままであり、未だポイント1が未確定であるときにはステップS903に移行し、ステップS901で算出された適正還元剤量がY1 とされる。次にステップS904に移行して、ポイント1終了フラグが「1」にセットされたのち、本ルーチンを終了する。
【0062】
一方、ステップS902の判定条件が成立、即ち、ポイント1終了フラグが「1」にセットされているときにはステップS905に移行し、ステップS901で算出された適正還元剤量がY2 とされる。次にステップS906に移行して、ポイント2終了フラグが「1」にセットされたのち、本ルーチンを終了する。
【0063】
〈直線演算のサブルーチン:図11参照〉
なお、この直線演算ルーチンは図8のステップS704の割込毎にECU40にて実行される。
【0064】
図11において、まず、ステップS1001で、直線の傾きa1 が次式(6)にて算出される。
【0065】
【数6】
a1 =(Y2 −Y1 )/(X2 −X1 ) ・・・(6)
【0066】
次にステップS1002に移行して、ステップS1001で算出された直線の傾きa1 と予め格納されている直線の傾きaとの偏差の絶対値が所定値未満であるかが判定される。ステップS1002の判定条件が成立するときにはNOx 触媒24が正常であるとしてステップS1003に移行し、ステップS1001で算出された直線の傾きa1 が予め格納されている直線の傾きaとして設定される。次にステップS1004に移行して、直線の切片bが次式(7)にて算出される。
【0067】
【数7】
b=Y1 −aX1 ・・・(7)
【0068】
一方、ステップS1002の判定条件が成立せず、即ち、ステップS1001で算出された直線の傾きa1 と予め格納されている直線の傾きaとの偏差の絶対値が所定値以上と大きいときにはNOx 触媒24が劣化している可能性等があり直線が求められないためステップS1003及びステップS1004がスキップされる。次にステップS1005に移行して、直線学習フラグが「1」にセットされたのち、本ルーチンを終了する。
【0069】
〈適正還元剤量演算のサブルーチン:図12参照〉
なお、この適正還元剤量演算ルーチンは図9のステップS802または図10のステップS901の割込毎にECU40にて実行される。
【0070】
図12において、まず、ステップS1101で、上述の図5によるTAU演算処理が実行される。次にステップS1102に移行して、1噴射当たり還元剤量FQが上式(4)にて算出される。次にステップS1103に移行して、1噴射が終了するまで待ってステップS1104に移行する。ステップS1104では、前回までのΣFQにステップS1102で算出された1噴射当たり還元剤量FQが加算され今回のΣFQが設定される。なお、ΣFQは積算演算された1噴射当たり還元剤量FQを表す。
【0071】
次にステップS1105に移行して、NOx 触媒24の下流側の空燃比でありA/Fセンサ32の出力信号に基づくNOx 触媒後空燃比が所定値“1”未満であるかが判定される。ステップS1105の判定条件が成立せず、即ち、NOx 触媒後空燃比がリーンまたはストイキ近傍にあるときにはステップS1106に移行し、NOx 触媒後空燃比が所定値“2”未満であるかが判定される。ステップS1106の判定条件が成立、即ち、NOx 触媒後空燃比が所定値“2”未満とほぼストイキ近傍にあるときにはステップS1107に移行し、前回までのΣ空燃比に今回の空燃比が加算され今回のΣ空燃比が設定される。なお、Σ空燃比は積算演算された空燃比を表す。
【0072】
次にステップS1108に移行して、カウンタNが「+1」インクリメントされたのち、ステップS1101に戻り、同様の処理が繰返し実行される。一方、ステップS1106の判定条件が成立せず、即ち、NOx 触媒後空燃比が所定値以上と大きくリーン側にあるときにはステップS1107及びステップS1108をスキップしてステップS1101に戻り、同様の処理が繰返し実行される。
【0073】
一方、ステップS1105の判定条件が成立、即ち、NOx 触媒後空燃比がリッチであるときにはステップS1109に移行し、リーン制御へ移行されたのちステップS1110に移行し、Σ空燃比をカウンタN値で除算して還元中平均空燃比が算出される。次にステップS1111に移行して、Σ空燃比が「0」に戻され、カウンタNが「0」にクリアされる。
【0074】
次にステップS1112に移行して、後述の空燃比リッチ間の過剰空燃比積算処理が実行される。この空燃比リッチ間の過剰空燃比とは、適正還元剤量を算出するためリーン側からリッチ側へ空燃比制御したとき、余分な噴射量によりNOx 触媒後空燃比が理論空燃比を越え実際にリッチとなった空燃比をいう。次にステップS1113に移行して、後述の適正量演算処理が実行される。次にステップS1114に移行して、適正還元剤量算出フラグが「1」にセットされる。次にステップS1115に移行して、ΣFQが「0」に戻されたのち、本ルーチンを終了する。
【0075】
〈空燃比リッチ間の過剰空燃比積算のサブルーチン:図13参照〉
なお、この空燃比リッチ間の過剰空燃比積算ルーチンは図12のステップS1112の割込毎にECU40にて実行される。
【0076】
図13において、ステップS1201で、空燃比が算出される。次にステップS1202に移行して、NOx 触媒後空燃比が還元中平均空燃比を越えているかが判定される。ステップS1202の判定条件が成立せず、即ち、NOx 触媒後空燃比が還元中平均空燃比以下と小さいときにはステップS1203に移行し、過剰空燃比が設定される。次にステップS1204に移行して、カウンタNが「+1」インクリメントされる。次にステップS1205に移行して、前回までのΣ過剰空燃比に今回の過剰空燃比が加算され今回のΣ過剰空燃比が設定されたのちステップS1201に戻り、同様の処理が繰返し実行される。なお、Σ過剰空燃比は積算演算された過剰空燃比を表す。
【0077】
一方、ステップS1202の判定条件が成立、即ち、NOx 触媒後空燃比が還元中平均空燃比を越え大きいときにはステップS1206に移行し、Σ過剰空燃比がカウンタN値で除算されリッチ間平均空燃比が算出される。次にステップS1207に移行して、Σ過剰空燃比が「0」に戻され、カウンタNが「0」にクリアされたのち、本ルーチンを終了する。
【0078】
〈適正量演算のサブルーチン:図14参照〉
なお、この適正量演算ルーチンは図12のステップS1113の割込毎にECU40にて実行される。
【0079】
図14において、ステップS1301で、還元中平均空燃比からリッチ間平均空燃比が減算され、それらの偏差としてのΔ空燃比が算出される。次にステップS1302に移行して、過剰還元剤量が次式(8)にて算出される。ここで、14.7は理論空燃比(ストイキ)の空燃比である。
【0080】
【数8】
過剰還元剤量←(吸入空気量)×(Δ空燃比)/14.7 ・・・(8)
【0081】
次にステップS1303に移行して、ΣFQから過剰還元剤量が減算され適正還元剤量が算出されたのち、本ルーチンを終了する。
【0082】
〈適正還元剤量演算のサブルーチンの変形例:図15参照〉
なお、この適正還元剤量演算ルーチンの変形例は図9のステップS802または図10のステップS901の割込毎にECU40にて実行される。
【0083】
図15において、まず、ステップS1401で、上述の図5によるTAU演算処理が実行される。次にステップS1402に移行して、噴射開始されたのちステップS1403に移行し、内燃機関排出空燃比がリッチ側に変化したかが判定される。ステップS1403で内燃機関排出空燃比がリッチ側に変化するまで待ってステップS1404に移行する。ステップS1404では、内燃機関排出空燃比がリッチ側に変化開始した時刻が記憶される。次にステップS1405に移行して、NOx 触媒後空燃比がリッチであるかが判定される。
【0084】
ステップS1405でNOx 触媒後空燃比がリッチとなるまで待ってステップS1406に移行する。ステップS1406では、リーン制御へ移行されたのちステップS1407に移行し、NOx 触媒後空燃比がリッチになった時刻が記憶される。次にステップS1408に移行して、後述の適正量演算処理が実行される。次にステップS1409に移行して、適正還元剤量算出フラグが「1」にセットされたのち、本ルーチンを終了する。
【0085】
〈適正量演算のサブルーチン:図16参照〉
なお、この適正量演算ルーチンは図15のステップS1408の割込毎にECU40にて実行される。
【0086】
図16において、ステップS1501で、予めECU40のROMに格納されている運転領域毎のガス輸送遅れ時間TDLYが算出されたのちステップS1502に移行する。ステップS1502では、図15のステップS1407で記憶されたNOx 触媒後空燃比がリッチになった時刻から図15のステップS1404で記憶された内燃機関排出空燃比がリッチ側に変化開始した時刻及びステップS1501で算出されたガス輸送遅れ時間TDLYが減算され必要噴射時間が算出される。次にステップS1503に移行して、ステップS1502で算出された必要噴射時間に基づき必要噴射回数が算出される。ここで、必要噴射回数は必要噴射時間を噴射周期で除算することで求められる。
【0087】
次にステップS1504に移行して、適正還元剤量が次式(9)にて算出されたのち、本ルーチンを終了する。
【0088】
【数9】
【0089】
〈硫黄被毒度合い判定ルーチン:図17参照〉
なお、この硫黄被毒度合い判定ルーチンは許容吸蔵量学習フラグが「1」にセット、即ち、NOx 触媒24における許容吸蔵量が学習済となったのちの所定時間毎にECU40にて繰返し実行される。
【0090】
図17において、ステップS1601で、現在の許容吸蔵量が所定値以下であるかが判定される。この所定値とは、NOx 触媒24の硫黄被毒度合いを判定するため予め設定された値である。ステップS1601の判定条件が成立、即ち、現在の許容吸蔵量が所定値以下と少なくなっているときにはステップS1602に移行し、後述の硫黄被毒回復制御処理が実行される。次にステップS1603に移行して、ステップS1602による硫黄被毒回復制御処理の実施により硫黄被毒が回復(許容吸蔵量が回復)されているはずなので、再度許容吸蔵量を学習させるため許容吸蔵量学習フラグが「0」にリセットされたのち、本ルーチンを終了する。一方、ステップS1601の判定条件が成立せず、即ち、現在の許容吸蔵量が所定値を越え大きいときには何もすることなく、本ルーチンを終了する。
【0091】
〈硫黄被毒回復制御のサブルーチン:図18参照〉
なお、この硫黄被毒回復制御ルーチンは図17のステップS1602の割込毎にECU40にて実行される。
【0092】
図18において、ステップS1701で、点火時期変更として、例えば、所定量遅角されたのちステップS1702に移行し、点火時期遅角によるトルクダウンを補うためにスロットル開度変更として、例えば、所定開度up(開側へ制御)されることにより、排気ガスが昇温される。次にステップS1703に移行して、NOx 触媒24の触媒推定温度が所定値を越えているかが判定される。ステップS1703の判定条件が成立せず、即ち、触媒推定温度が所定値以下と低いときにはステップS1701に戻り、同様の処理が繰返し実行される。
【0093】
一方、ステップS1703の判定条件が成立、即ち、触媒推定温度が所定値を越え高くなるとステップS1704に移行し、カウンタNが「+1」インクリメントされたのちステップS1705に移行する。ステップS1705では、空燃比リッチ制御が実行されたのちステップS1706に移行し、カウンタN値が所定回数以上であるかが判定される。ステップS1706の判定条件が成立せず、即ち、カウンタN値が所定回数未満と小さいときにはステップS1703に戻り、同様の処理が繰返し実行される。一方、ステップS1706の判定条件が成立、即ち、カウンタN値が所定回数以上となるとステップS1707に移行し、空燃比リッチ制御が終了され、本ルーチンを終了する。
【0094】
このように、本実施例の内燃機関の排気浄化装置は、内燃機関10で検出される種々のパラメータに基づき内燃機関10の運転状態を検出するECU40にて達成される運転状態検出手段と、内燃機関10の運転状態に基づき燃料噴射量TAUを算出するECU40にて達成される燃料噴射量演算手段と、燃料噴射量TAUに基づき内燃機関10に燃料を供給する燃料供給手段と、内燃機関10の排気通路23途中に設置され、排気ガスを浄化する三元触媒22と、内燃機関10の排気通路23途中の三元触媒22の下流側に設置され、排気ガス中のNOx (窒素酸化物)を浄化するNOx 触媒24と、内燃機関10の排気通路23途中の三元触媒22の上流側に配設され、排気ガス中の空燃比を検出する第1の空燃比検出手段としてのA/Fセンサ31と、内燃機関10の排気通路23途中のNOx 触媒24の下流側に配設され、排気ガス中の空燃比または酸素濃度を検出する第2の空燃比検出手段としてのA/Fセンサ32と、現在のNOx 触媒24に吸蔵されているNOx を還元するのに必要な燃料噴射量である必要還元剤量をA/Fセンサ32からの出力に基づいて算出するECU40にて達成される還元剤量演算手段と、NOx 触媒24の吸蔵量と必要還元剤量との関係式を算出するECU40にて達成される関係式演算手段と、前記関係式演算手段で算出された関係式を学習するECU40にて達成される関係式学習手段と、現在のNOx 触媒24の吸蔵量と学習された関係式とを比較するECU40にて達成される比較手段と、前記比較手段による比較結果に応じてNOx 触媒24の許容吸蔵量を設定するECU40にて達成される許容吸蔵量設定手段と、前記許容吸蔵量設定手段で設定された許容吸蔵量を学習するECU40にて達成される許容吸蔵量学習手段と、NOx 触媒24における硫黄被毒度合いを判定するECU40にて達成される判定手段と、前記判定手段による判定結果で硫黄被毒回復が必要なときには、内燃機関10に対する空燃比をリッチ側に制御、かつ、触媒温度を昇温制御し、NOx 触媒24が吸蔵しているSOx を還元し硫黄被毒を回復させるECU40にて達成される回復制御手段と、前記回復制御手段によるNOx 触媒24の硫黄被毒回復後は、許容吸蔵量を再度学習するECU40にて達成される許容吸蔵量再学習手段とを具備するものである。
【0095】
したがって、現在のNOx 触媒24に吸蔵されているNOx を還元するのに必要な必要還元剤量がA/Fセンサ32からの出力に基づき算出され、NOx 触媒24の吸蔵量と必要還元剤量とから算出され学習によって更新される関係式としての直線と現在のNOx 触媒24の吸蔵量とが比較される。そして、この比較結果に応じてNOx 触媒24の許容吸蔵量が設定され、学習によって更新される。ここで、NOx 触媒24における硫黄被毒度合いが判定され、硫黄被毒回復が必要なときには、内燃機関に対する空燃比がリッチ側に制御、かつ、触媒温度が昇温制御され、NOx 触媒24が吸蔵しているNOx が還元され硫黄被毒が回復されたのち、許容吸蔵量が再度学習される。これにより、NOx 触媒24における現在のNOx 吸蔵能力を的確に知ることができ、エミッション悪化が未然に防止され、NOx 触媒24の許容吸蔵量の回復によって燃費の悪化も防止される。
【0096】
また、本実施例の内燃機関の排気浄化装置のECU40にて達成される還元剤量演算手段は、1回目にA/Fセンサ32が所定範囲のリッチ信号を出力すると予測される還元剤量を供給し、2回目ではA/Fセンサ32による1回目の空燃比挙動に基づいて適正還元剤量を逆算し、必要還元剤量を算出するものである。この適正還元剤量は、NOx 触媒24の下流側における過剰な空燃比を積算した過剰空燃比積算値から算出するものである。また、適正還元剤量は、A/Fセンサ31からの出力がリッチ側に変化開始した時点からA/Fセンサ32からの出力がリッチ側に変化し始めるまでの時間とガス輸送遅れ時間とに基づいて算出するものである。
【0097】
つまり、1回目にはA/Fセンサ31から所定範囲のリッチ信号が出力されると予測されるだけの還元剤量が供給され、2回目にはA/Fセンサ32による1回目の空燃比挙動に基づき適正還元剤量が逆算される。即ち、A/Fセンサ32からの所定範囲のリッチ信号が出力された分が差引かれることで必要還元剤量が正確に算出される。この適正還元剤量がNOx 触媒24の下流側で過剰な空燃比を積算した過剰空燃比積算値によって求められる。即ち、空燃比が理論空燃比を越えリッチ側となった空燃比が積算されることで過剰還元剤量が算出され、この過剰分が与えられた還元剤量から減算されることで正確に求められる。また、変形例では、適正還元剤量がA/Fセンサ31からの出力がリッチ側に変化開始した時点からA/Fセンサ32からの出力がリッチ側に変化し始めるまでの時間を求め、更に、排気ガスがA/Fセンサ31からA/Fセンサ32に至るまでのガス輸送遅れ時間を減算することで正確に求められる。
【0098】
そして、本実施例の内燃機関の排気浄化装置のECU40にて達成される関係式演算手段は、2回のリッチ側へのパージ制御に対応するNOx 触媒24の吸蔵量とそれに対応する還元に必要な還元剤量とを表す点から直線を算出するものである。この吸蔵量は、NOx 触媒24がNOx を吸蔵しきれずに漏出することのない十分小さい領域に設定するものである。つまり、リッチ側へパージ制御したときのNOx 触媒24の吸蔵量に対する還元剤量を表す点が少なくとも2点以上求められる。これにより、NOx 触媒の吸蔵量に対する必要還元剤量を示す関係式としての直線が簡単かつ正確に求められる。
【0099】
更に、本実施例の内燃機関の排気浄化装置のECU40にて達成される関係式学習手段は、今回算出された直線の傾きaが予め設定された基準傾きa1 に対し所定範囲内にあるときのみ、更新学習するものである。つまり、今回算出された直線の傾きと基準傾きとの偏差が所定範囲内であるときには、直線が更新され記憶される。これにより、求められた傾きを用いた直線に対する信頼性が向上される。また、本実施例の内燃機関の排気浄化装置のECU40にて達成される比較手段は、現在のNOx 触媒24の吸蔵量とその還元に必要な還元剤量とを表す点が、関係式としての直線に対し所定範囲内または所定範囲外にあるかを比較するものである。したがって、現在のNOx 触媒24の吸蔵量に対する還元剤量を表す点が関係式に対し所定範囲内または所定範囲外にあるか、即ち、関係式の近傍にあるか否かによって、適切な還元剤量が正確に求められる。
【0100】
そして、本実施例の内燃機関の排気浄化装置のECU40にて達成される許容吸蔵量設定手段は、比較手段による比較結果が所定範囲内にあるときには許容吸蔵量を増量、また、比較手段による比較結果が所定範囲外にあるときには許容吸蔵量を減量するものである。つまり、比較手段での比較結果で現在のNOx 触媒24の吸蔵量に対する還元剤量を表す点が関係式に対し所定範囲内、即ち、直線の近傍にあるときにはNOx 触媒24の吸蔵能力に余裕があるとして許容吸蔵量が増量される。また、この点が直線に対し所定範囲外、即ち、直線の近傍にないときにはNOx 触媒24の吸蔵能力を越えている可能性があるとして許容吸蔵量が減量される。これにより、NOx 触媒24からNOx が漏出することが防止されると共に、NOx 触媒24の吸蔵能力が最大限に発揮される。
【0101】
加えて、本実施例の内燃機関の排気浄化装置のECU40にて達成される許容吸蔵量設定手段は、許容吸蔵量学習が完了するまでの初回には許容吸蔵量を少ない方から多くなる方に向かって探すものである。これにより、NOx 触媒24の吸蔵能力を越えて許容吸蔵量が設定されることがないため、NOx 触媒24からNOx が漏出することが未然に防止される。また、本実施例の内燃機関の排気浄化装置のECU40にて達成される許容吸蔵量学習手段は、比較手段による比較結果が所定範囲内で最大となる許容吸蔵量を学習値とし、内燃機関10の運転状態毎に学習値を設定し、次回に反映するものである。これにより、現在のNOx 触媒の吸蔵能力を最大限に発揮するための適切な還元剤量が正確に求められる。そして、本実施例の内燃機関の排気浄化装置のECU40にて達成される判定手段は、現在のNOx 触媒24の許容吸蔵量が所定値以下であるかによって硫黄被毒度合いを判定するものである。これにより、NOx 触媒に対して硫黄被毒回復制御を行なう好適なタイミングが求められる。
【0102】
ところで、上記実施例では、第2の空燃比検出手段としてA/Fセンサ32を用いているが、上記変形例では、O2 センサを用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関の排気浄化装置が適用された内燃機関とその周辺機器を示す概略構成図である。
【図2】 図2は本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関の排気浄化装置で使用されているECUにおけるNOx 触媒に対するNOx 吸蔵及び回復制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図3】 図3は本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関の排気浄化装置で使用されているECUにおけるイニシャル処理を示すフローチャートである。
【図4】 図4は本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関の排気浄化装置で使用されているECUにおけるリーン制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】 図5は本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関の排気浄化装置で使用されているECUにおけるTAU演算の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】 図6は図4における吸蔵量演算の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】 図7は本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関の排気浄化装置で使用されているECUにおけるリッチパージ制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】 図8は図2及び図7における直線学習の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】 図9は図2及び図7における許容吸蔵量学習の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】 図10は図8におけるポイント1及びポイント2演算の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】 図11は図8における直線演算の処理手順を示すフローチャートである。
【図12】 図12は図9及び図10における適正還元剤量演算の処理手順を示すサブルーチンである。
【図13】 図13は図12における空燃比リッチ間の過剰空燃比積算の処理手順を示すサブルーチンである。
【図14】 図14は図12における適正量演算の処理手順を示すサブルーチンである。
【図15】 図15は図9及び図10における適正還元剤量演算の処理手順の変形例を示すサブルーチンである。
【図16】 図16は図15における適正量演算の処理手順を示すサブルーチンである。
【図17】 図17は本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関の排気浄化装置で使用されているECUにおける硫黄被毒度合い判定の処理手順を示すフローチャートである。
【図18】 図18は図17における硫黄被毒回復制御の処理手順を示すサブルーチンである。
【図19】 図19は本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関の排気浄化装置で用いられているNOx 触媒におけるNOx 吸蔵量と必要還元剤量との関係を示す特性図である。
【図20】 図20は本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関の排気浄化装置で用いられているNOx 触媒への入NOx 及び出NOx におけるNOx 濃度を示す特性図である。
【符号の説明】
10 内燃機関
14a,14b,14c,14d インジェクタ(燃料供給手段)
22 三元触媒
23 排気通路
24 NOx 触媒
31 A/Fセンサ(第1の空燃比検出手段)
32 A/Fセンサ(第2の空燃比検出手段)
40 ECU(電子制御ユニット)
Claims (12)
- 内燃機関で検出される種々のパラメータに基づき前記内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出手段と、
前記内燃機関の運転状態に基づき燃料噴射量を算出する燃料噴射量演算手段と、
前記燃料噴射量に基づき前記内燃機関に燃料を供給する燃料供給手段と、
前記内燃機関の排気通路途中に設置され、排気ガスを浄化する三元触媒と、
前記内燃機関の排気通路途中の前記三元触媒の下流側に設置され、排気ガス中のNOx (窒素酸化物)を浄化するNOx 触媒と、
前記内燃機関の排気通路途中の前記三元触媒の上流側に配設され、排気ガス中の空燃比を検出する第1の空燃比検出手段と、
前記内燃機関の排気通路途中の前記NOx 触媒の下流側に配設され、排気ガス中の空燃比または酸素濃度を検出する第2の空燃比検出手段と、
現在の前記NOx 触媒に吸蔵されているNOx を還元するのに必要な燃料噴射量である必要還元剤量を前記第2の空燃比検出手段からの出力に基づいて算出する還元剤量演算手段と、
前記NOx 触媒の吸蔵量と前記必要還元剤量との関係式を算出する関係式演算手段と、
前記関係式演算手段で算出された前記関係式を学習する関係式学習手段と、
現在の前記NOx 触媒の吸蔵量と学習された前記関係式とを比較する比較手段と、
前記比較手段による比較結果に応じて前記NOx 触媒の許容吸蔵量を設定する許容吸蔵量設定手段と、
前記許容吸蔵量設定手段で設定された前記許容吸蔵量を学習する許容吸蔵量学習手段と、
前記NOx 触媒における硫黄被毒度合いを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果で硫黄被毒回復が必要なときには、前記内燃機関に対する空燃比をリッチ側に制御、かつ、触媒温度を昇温制御し、前記NOx 触媒が吸蔵しているSOx (硫黄酸化物)を還元し硫黄被毒を回復させる回復制御手段と、
前記回復制御手段による前記NOx 触媒の硫黄被毒回復後は、前記許容吸蔵量を再度学習する許容吸蔵量再学習手段と
を具備することを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。 - 前記還元剤量演算手段は、1回目に前記第2の空燃比検出手段が所定範囲のリッチ信号を出力すると予測される還元剤量を供給し、2回目では前記第2の空燃比検出手段による1回目の空燃比挙動に基づいて適正還元剤量を逆算し、前記必要還元剤量を算出することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記適正還元剤量は、前記NOx 触媒の下流側における過剰な空燃比を積算した過剰空燃比積算値から算出することを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記適正還元剤量は、前記第1の空燃比検出手段からの出力がリッチ側に変化開始した時点から前記第2の空燃比検出手段からの出力がリッチ側に変化し始めるまでの時間とガス輸送遅れ時間とに基づいて算出することを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記関係式演算手段は、少なくとも2つ以上の異なる前記NOx 触媒の吸蔵量とそれに対応する還元に必要な還元剤量とを表す点から直線を算出することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記吸蔵量は、前記NOx 触媒がNOx を吸蔵しきれずに漏出することのない十分小さい領域に設定することを特徴とする請求項5に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記関係式学習手段は、今回算出された直線の傾きが予め設定された基準傾きに対し所定範囲内にあるときのみ、更新学習することを特徴とする請求項5に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記比較手段は、現在の前記NOx 触媒の吸蔵量とそれに対応する還元に必要な還元剤量とを表す点が、前記関係式に対し所定範囲内または所定範囲外にあるかを比較することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記許容吸蔵量設定手段は、前記比較手段による比較結果が所定範囲内にあるときには前記許容吸蔵量を増量、また、前記比較手段による比較結果が所定範囲外にあるときには前記許容吸蔵量を減量することを特徴とする請求項8に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記許容吸蔵量設定手段は、前記許容吸蔵量学習が完了するまでの初回には前記許容吸蔵量を少ない方から多くなる方に向かって探すことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記許容吸蔵量学習手段は、前記比較手段による比較結果が所定範囲内で最大となる前記許容吸蔵量を学習値とし、前記内燃機関の運転状態毎に学習値を設定し、次回に反映することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記判定手段は、現在の前記NOx 触媒の前記許容吸蔵量と所定値との比較によって硫黄被毒度合いを判定することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
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