JP4430454B2 - 記録装置 - Google Patents

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Description

本発明は、インキを記録媒体上に転移させることで画像を形成する記録装置に関する。
従来、市販されているプリンタの記録方式として、ドットインパクト方式、熱溶融型熱転写方式、電子写真方式、インキジェット方式が知られている。このうち、シリアルインキジェットヘッド方式は、記録媒体となる用紙上でのドット位置精度が低く、高精細な文字品質が得られず、印刷速度も10ppm以上にあげにくい。マルチノズルによるライン型インキジェットヘッド方式は、高速化がし易いが加工し難く、コストが高くなる欠点がある。
特許文献1、2には、静電型梁構造体を用いることでライン化の簡素化を図った構成が提案されているが、この場合、液体を密閉化する必要がある。また、乾式電子写真方式は、通常5〜7μm程度の大きなトナーを用いるため、オフセット印刷ほど高画質が得られにくい。湿式電子写真方式は、1μm以下のトナーを用いるため、画質はオフセット印刷並であるが、用紙上でのトナーの乾燥がしづらい欠点がある。熱転写方式は、ライン型サーマルヘッドを用いるが、このライン型サーマルヘッドは高価でありコスト高となる。一方、特許文献3、4、5には、ドットインパクト方式の印字ヘッドの構成が記載されている。ドットインパクト方式の場合、比較的簡単にライン型にできるが、機構が複雑であるため、解像度が低い。
特開2000−015808 特開2000−015809 特許第2844717号 特開2001−80095 特開2000−141717
本発明は、簡易な構成でライン化が容易で量産性に優れ、かつ、ドット位置精度に優れる高速・高精細な記録装置を提供することを、その目的とする。
上記目的を達成するため、本発明にかかる記録装置は、屈曲運動可能な複数個のアレイ状に配列された梁構造体と、この梁構造体にインキを供給する手段と、記録媒体を搬送する手段とを有し、画像信号に応じて梁構造体を屈曲させて記録媒体と接触させ、インキを記録媒体上に転移させることで画像を形成することを特徴としている。
梁構造体の形態としては片持ち梁構造体あるいは両持ち梁構造体が想定できる。片持ち梁構造体の場合、片持ち梁の先端を画像信号に応じて梁構造体を屈曲させて記録媒体と接触させて、インキを記録媒体上に転移させて画像を形成すればよく、構成が簡素になり、書き込みユニットの小型化にできる。また、片持ち梁構造体の場合、この梁構造体にインキ保持手段を設けると、インキ付着量にバッファが設けられることになるため、付着量が安定して画像信頼性が増すので好ましい。あるいは、梁構造体の先端にスリットを設けて毛管力でインキの供給と保持を行うようにすると、インキ保持手段として機能するとともに、かつ、この保持手段として一番簡易で低コストとなる。
梁構造体を記録媒体の搬送方向に複数個設けると、ドットが安定し、印字品質が高くなるので好ましい。インキを複数色有し、梁構造体を記録媒体の搬送方向に複数個設ける場合、各色毎に複数個の梁構造体を設けると、カラー記録装置として大幅な小型化を達成できる。また、各色毎の梁構造体間に記録媒体へのインキ固着手段を設けると、インキを直ちに記録媒体に定着できるので、高速印字が可能となる。
インキ固着手段としては、インキ溶剤のみ吸収性を有するローラ状部材を記録媒体に接触させる手段とした場合、その構成が簡易であるため、装置構成を複雑にすることがなくなるので好ましい。インキが樹脂と色材と油性溶媒で構成される場合、この手段はポリオルガノシロキサン骨格を有する部材で構成すると、固着材料として一番適しており、安定した印字が可能となる。
本発明の記録装置に用いるインキの粘度としては0.001Pa・s〜1Pa・sの範囲と規定することで、本発明にもっとも適するインキの管理が行える。そしてこのインキを、樹脂と顔料又は染料と有機溶剤を含有したものとすると、保存性の良いインキを提供でき、装置の放置信頼性が高くなるので好ましい。インキを、保水性部材と色材と水を含有したものとすると、上質紙におけるにじみが防止され、画質と保存性を両立でき、放置信頼性が高く、且つ、高画質化を図れるので好ましい。
本発明において、梁構造体は、電場、磁場もしくは熱により自己収縮・膨張することで屈曲運動する部材から構成した場合、梁構造体材料として最も加工がし易く、量産性が向上するので好ましい。この部材を梁構造体が電場応答性高分子材料から構成すると、高分子材料であるため最も加工性に優れるので好ましい。あるいは、形状記憶合金とシリコン酸化膜を形成したシリコン基板とのユニモルフもしくはバイモルフ構造から構成する形態とすると、金属を使用するため耐環境性に優れるので好ましい。
本発明において、梁構造体を静電アクチュエータで構成すると、電極材料として安価な素材が選定できるため、低コスト化につながるので好ましい。
屈曲運動可能な複数個のアレイ状に配列された梁構造体を、レーザ切削加工により製造すると、精密な加工を短時間にすることができ、歩留まりが向上するので好ましい製造形態となる。
本発明によれば、屈曲運動可能な複数個のアレイ状に配列された梁構造体と、この梁構造体にインキを供給する手段と、記録媒体を搬送する手段とを有し、画像信号に応じて梁構造体を屈曲させて記録媒体と接触させ記インキを記録媒体上に転移させることで画像を形成することで、簡易な構成で、高速、且つ、高精細な画像を形成することができる。
本発明によれば、画像信号に応じてアレイ状の梁構造体を隣り合う構造体毎に交互に記録媒体とを接触させてインキを該記録媒体上に転移することで画像を形成することで、隣の梁の干渉を受けなくなり、印字が安定し信頼性が高くなる。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。図1において本発明における梁構造体の例を示す。図1(a)において、符号1で示す梁構造体は、板状の梁構造体にスリット2を設けて、図示していないインキ供給タンクからチューブ等で、符号3で示すインキ供給手段(インキ供給部)へ符号4で示すインキを供給し、毛細管現象にてインキ4を梁の先端1Aに移動させるものである。これは、万年筆におけるペン先へのインキ供給と同じ原理である。図1(b)に示す梁構造体10は、管状構造の中をインキが毛管力で移動して先端10Aにインキを供給するものである。梁構造体1,10は、その基端1B、10B側がそれぞれ基台11上に支持されていて、片持の梁構造体とされている。図1(a)において、スリット2は梁構造体の先端1Aまで完全に形成されているが、図1(c)に示すように、先端1Aの手前までスリット2が形成されていてもよい。
図2は、図1(a)で示した梁構造体1が複数個のアレイ状に配列された具体例である。図2では、1枚の板状部材11に複数のスリット2を板状部材11の長手方向に沿って設け、複数個の梁構造体1をアレイ状に配列している。各梁構造体1は、電気信号が入力(印加)されることにより個別に屈曲可能とされている。この屈曲方向は図2において上下方向となる。
図3は、本発明の一つの具体例による記録原理を示す。図3(a)において、図示しないインキ供給手段から梁構造体1に搬送されるインキは、梁構造体1の先端1Aに毛管力にて供給される。記録部材としての記録紙5は、その搬送中において、梁構造体1が屈曲することでインキ4が接することが可能な位置で、梁構造体1の配列方向Bとの直角方向で配置配送されている。そして、電気信号が後述する電極に印加されると、図3(b)に示すように、梁構造体1を屈曲させて記録紙5に接触させ、記録紙上にインキ4を付着させる。次に、印加した電気信号を切るか、あるいは逆極性の電気信号を印加して、図3(c)に示すように梁構造体1を元の位置、すなわち、屈曲前の位置に戻す。記録紙5を矢印Aで示す搬送方向に移動させながら、この一連の動作を画像信号に応じて行うことで、記録紙5上にインキ画像を形成する。
梁構造体1は、具体例として、画像解像度の整数倍のピッチでアレイ状に配列する。図2(a)、(b)では、電界をかけることで変形する部材を板状部材11として用いて一体的に複数の梁構造体1を構成し、共通電極6を片面(裏面)の長手方向に形成し、対する面(表面)に各画素に応じた個別電極7をそれぞれ形成したものである。個別の梁構造体1は、この例に限らず、画素単位で梁構造体1を形成し、お互いの梁構造体1をアレイ状に連結した構成であっても構わない。
図4に示すように、各梁構造体1の長さLは、図4(a)に示すように同じであっても良いし、図4(b)に示すように、互い違いに異なるようになっても良いし、図4(c)に示すように、斜めに配列する形態であっても良い。
図5に本発明の具体例にて記録原理を示す。図中符号8は、インキ供給手段としてのインキ壷を示す。図5(a)は、インキ壷8に接することが可能な複数個のアレイ状に配列された片持ちの梁構造体1と、この梁構造体1に接することが可能な位置に梁構造体列1と直行する方向に搬送中の記録紙5との位置関係を示す。矢印Aは搬送方向を示す。記録を行うためには、まず図5(b)に示すように、梁構造体1をインキ壷8側に屈曲変形させて先端1Aをインキ4に接触させ、図5(c)に示すように、梁構造体1の一部である、ここでは先端1Aにインキ4を付着させる。その後、梁構造体1を、記録紙5を図5(d)に示すように図5(b)とは逆方向に屈曲変位させて記録紙5に接触させて記録紙5上にインキ4を付着させ、図5(e)に示すように梁構造体1の屈曲変形を解除する。この一連の動作を画像信号に応じて行うことで、記録紙5上にインキ画像を形成する。
梁構造体1の配列方向B(図2参照)と記録紙5の搬送方向Aとは直角の関係にあり、梁構造体1の長さLが記録幅と同じである場合、図6に示すような記録ヘッド9の配置が望ましい。このとき、当該梁構造体1を有する記録ヘッド9は、図7に示すようにその長手方向に沿ってアレイ状の梁構造体1を配置し、梁構造体1よりも上方にインキ壷8を配置する構成とし、図8に示すように配置して記録装置100を構成する。記録装置100は、図8に示すように、アレイ状の梁構造体1とインキ壷8を有する記録ヘッド9と、記録ヘッド9の下方で記録紙5を介して梁構造体1の先端1Aと略対向する部位に配設され、先端1Aに向かってその位置が上下動可能なローラ101と、このローラ101の前後に配置された複数の搬送ローラ対102,103,104と、ガイド板105とを備えている。これら搬送ローラ対102,103,104は記録紙5を搬送する手段を構成する。梁構造体1の長さLが記録幅よりも狭い場合、シリアルプリンターのごとくシャトル方式による印字走査を行っても構わない。
以下に様々な梁構造体の構成を説明するが、片持ち梁構造体に関連する各種梁構造体は、図8に示す記録装置100に適用され、両持ち梁構造体に関連する各種梁構造体は、図11に示す記録装置200に適用されるものとする。
(アレイ状に配列された片持ちの梁構造体の構成)
下部に共通電極、上部に幅170μmピッチで個別電極をパターニングしたポリフッ化ビニリデンフィルム(厚み200μm)をレーザ加工により上部個別電極に沿って図2に示すようにスリット加工を施し、個別電極にリード線を形成する。梁構造体1の長さLは30mmとした。
・インキ:顔料(カーボンブラック)14wt%、顔料分散剤1wt%、オレフィン系溶剤85wt%からなる油性インキ
・インキ供給部材:多孔質ウレタンフォーム材に上記インキを含浸しアルミ材に固定
図8に示すように、搬送ローラ対102、103、104により記録紙5としてのコート紙を搬送し、インキ供給手段(インキ壷8)の下面とコート紙とのギャップCをローラ101の位置を調整して30μmとし、その中間に梁構造体1を配置した。
実施結果
このような構成において、周波数10Hz、電圧30Vにてパルスを当該梁構造体1に印加しながら、記録紙5を搬送したところ、紙上にドット径約150μmのドット列が形成できた。
本発明の別な形態の記録原理について説明する。図9は、その両端が基台11A、11Bに支持された両持ちの梁構造体20を示す。この梁構造体20は、その中央部20Aが画像信号に応じて屈曲してインキ壷8と記録紙5とに接触し、インキ4を記録紙5上に転移させて画像を形成するものである。
図9(a)は、インキ壷8と、これに接することが可能な複数個のアレイ状に配列された両持ちの梁構造体20と、梁構造体20に接することが可能な位置に梁構造体1の配列方向と直角方向に搬送中の記録紙5との位置関係を示す。各梁構造体20の中央部20Aには、インキ4を保持するインキ保持手段としてのインキ孔21が形成されている。本形態では、記録を行うため、図9(b)に示すように、梁構造体20はインキ壷8のインキ4に接触し、図9(c)に示すように、梁構造体20の一部である中央部20Aにインキを付着させる。その後、該梁構造体20を記録紙5に接触させ、インキ孔21から紙上にインキ4を付着させ、図9(e)に示すように梁構造体20の屈曲変形を解除する。この一連の動作を画像信号に応じて行うことで、記録紙5上にインキ画像を形成する。
本形態の梁構造体20は、画像解像度の整数倍のピッチでアレイ状に配列される。図10にその具体例を示す。図10は、電界を与えることで図10において上下に変形する板状部材30にて一体的に構成された梁構造体20の構成を示すものである。板状部材30の片面(裏面)には図10(b)に示すように共通電極31が形成され、対する面(表面)には図10(a)に示すように各画素に応じた個別電極32がそれぞれ形成されている。
板状部材30には、配列方向Bと直行する方向に延びる複数のスリット22が等間隔で形成されていていて、各スリット22の間にインキ孔21がそれぞれ形成されている。個別の梁構造体20は、この例に限らず、画素単位で梁構造体を形成し、お互いの梁構造体をアレイ状につないだ構成でも構わない。梁構造体20の配列方向Bと記録紙5の搬送方向Aとは直角であり、該梁構造体20の長さが記録幅と同じである場合、図6に示すような配置が望ましい。
図11は、この梁構造体20を有する記録ヘッド40を備えた記録装置200を示す。記録ヘッド40は、両持ちの梁構造体20とインキ壷8とを備えている。記録装置200は、記録ヘッド40の下方で、記録紙5を介して梁構造体20の中央部20Aと略対向する部位に配設され、中央部20Aに向かって上下動可能なローラ101と、このローラ101の前後に配置され、搬送手段を構成する複数の搬送ローラ対102,103,104と、ガイド板105とを備えている。
(アレイ状に配列された両持ちの梁構造体の構成)
厚み100μmのステンレス板を貼り付けた積層PZT(厚み1000μm)を用い、下部に共通電極、上部に幅170μmピッチで長さ30mmの積層PZT(厚み1000μm)をダイシングソーにより上部個別電極32に沿って、図10に示すようにスリット加工を施し、個別電極32にリード線を接続する。その後、梁全体をポリアミド樹脂にてコートし、絶縁性を付与した。PZTとは、チタン酸ジルコン酸鉛を示す。
・インキ:染料1wt%含有した水性インキ
・インキ供給部材:多孔質ウレタンフォーム材に上記インキを含浸しアルミ材に固定
図11に示すように、搬送ローラ対102、103、104により記録紙5としてコート紙を搬送し、インキ供給手段(インキ壷8)とコート紙とのギャップCをローラ101の位置を調整して30μmとし、その中間に梁構造体20を配置した。
実施結果
このような構成において、周波数10Hz、電圧50Vにてパルスを当該梁構造体20に印加しながら、記録紙5を搬送したところ、紙上にドット径約150μmのドット列が形成できた。
ところで、上記屈曲運動可能な複数個のアレイ状に配列された梁構造体1、20において、隣り合う各梁構造体を同時に動かすと、梁同士がぶつかる可能性があるので、隣合う梁どうしを交互に時間差を設けて動かすように電圧印加時間をずらすと、隣り合う梁構造体同士の衝突のおそれがなくなるので好ましい。梁構造体1、10、20としては、記録紙5の搬送方向Aに対峙する方向に複数個設けてもよい。記録幅が長い場合、一度に複数個のアレイ状に配列された梁構造体1、10、20を記録幅分製作するよりも、短い長さの複数個のアレイ状に配列された梁構造体をつなげて記録幅分にした方が生産性に優れる。
梁構造体1、10、20としては、記録紙5の搬送方向Aに複数個設けたものでも良い。上記発明において、一回の記録工程で梁構造体1,10,20に付着するインキ量が多すぎると、各梁構造体への負荷が大きくなり、梁構造体が正常に作動しなくなるおそれがある。しかし、逆に、付着するインキ量が少ないと、記録紙5上のインキドットの濃度が足りず画像濃度が低くなるおそれがある。そこで、該アレイ状の梁構造体1、10、20を記録紙5の搬送方向Aに複数個設けることで、梁構造体の振動動作が正常に動作する程度のインキ量でも、複数個の梁構造体にて記録紙5上で同じドット位置に何度もインキを付着させることで濃度低下を防ぐことが可能となる。図12は、そのうちの具体例の一つで、この例では、記録ピッチの1/3づつのピッチ毎にアレイ状の梁構造体1、10、20を記録紙5の搬送方向Aに(a)(b)(c)の順に複数個設けたものである。
(アレイ状に配列された片持ちの梁構造体の構成)
下部に共通電極、上部に幅80μmピッチで個別電極をパターニングしたP(VDF−TrEF)コポリマーフィルム(厚み40μm)をレーザ加工により上部個別電極に沿って、図2に示すように、梁の長さ20mmにてスリット加工を施し、個別電極にリード線を形成。この梁構造体を間隔5mmあけて、2個配置した。P(VDF−TrEF)とは、Poly(vinylidene Fluoride-trifluoroethykene)Copolymerの略で、フッ化ビニリデン−トリフロロエチレン共重合体を示す。
・インキ:顔料(カーボンブラック)15wt%、オレフィン系溶剤85wt%からなる油性インキ
・インキ供給部材:多孔質ウレタンフォーム材に上記インキを含浸しアルミ材に固定
図8に示す搬送ローラ102、103、104により記録紙5(コート紙)を搬送し、インキ供給手段としてのインキ壷8と記録紙5とのギャップをローラ101の位置を調整して500μmとし、その中間に当該梁構造体を配置した。
実施結果
このような構成において、周波数5Hz、電圧300Vにてパルスを当該梁構造体に印加しながら、記録紙5を搬送したところ、紙上にドット径約200μmのドット列が形成できた。
解像度を上げるために、梁構造体の幅を短くするとインキ搬送力が低下し、上記と同様画像濃度が低下する。そこで、画像濃度が十分でる程度のインキ付着量を保てる幅の梁構造体を用い、かつその低解像度のアレイ状梁構造体を千鳥に複数個設けることで解像度を上げることができる。
(アレイ状に配列された片持ちの梁構造体の構成)
下部に共通電極、上部に幅170μmピッチで個別電極をパターニングしたP(VDF−TrEF)コポリマーフィルム(厚み40μm)をレーザ加工により上部個別電極に沿って図2に示すように、スリット加工を施し、個別電極にリード線を形成する。この梁構造体を2個用い、40μmほどずらして配置する。
・インキ:ロジン変性フェノール樹脂30wt%、顔料(カーボンブラック)15wt%、オレフィン系溶剤55wt%からなる油性インキ
・インキ供給部材:多孔質ウレタンフォーム材に上記インキを含浸しアルミ材に固定
図8に示す搬送ローラ102、103、104により記録紙5(コート紙)を搬送し、インキ供給手段としてのインキ壷8と記録紙5とのギャップをローラ101の位置を調整して100μmとし、その中間に当該梁構造体を配置した。
実施結果
このような構成において、周波数5Hz、電圧300Vにてパルスを当該梁構造体に印加しながら記録紙5を搬送したところ、2倍の画像解像度で紙上にドット径約150μmのドット列が形成できた。
インキを複数色有する場合の構成について説明する。
この場合、上記の複数個のアレイ状梁構造体を、上記記録装置100、200に各色毎に設けるとカラー記録装置を構成することとなる。各色としては、プロセスカラーであるイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックや、補色であるブルー、グリーン、レッドや、各色において濃度が異なるインキを複数個のアレイ状梁構造体に搭載することで自然画質を得ることができる。図16(a)において、符号1Y、1M、1C、1Kは、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックのインキを供給する梁構造体をそれぞれ示す。これら各梁構造体は、記録紙5の搬送方向Aに間隔をおいて配置されている。
(アレイ状に配列された片持ちの梁構造体の構成)
厚み50μmのアクリル系樹脂エラストマーシートの両面に金電極を形成し、その後、図2の如く、ピッチ170μm、長さ10mmにてアレイ状梁構造体をカッターナイフで加工した。
・インキ:Y,M,C,Kの各色毎に顔料15wt%、オレフィン系溶剤85wt%からなる油性インキ
・インキ供給部材:多孔質ウレタンフォーム材に上記インキを含浸しアルミ材に固定
図16に示す構成を図8に示す記録装置100に設け、搬送ローラ102、103、104により記録紙5(コート紙)を搬送し、インキ供給手段としてのインキ壷8と記録紙5とのギャップをローラ101の位置を調整して100μmとし、その中間に当該梁構造体を配置した。
実施結果
Y,M,C,Kの各色ごとに梁構造体1Y、1M、1C、1Kを30mm間隔で記録紙5が搬送方向Aに並べ、周波数10Hz、電圧1kVにてパルスを当該梁構造体に印加しながら、記録紙を搬送したところ、紙上にドット径約150μmの各色のドット列が形成できた。
複数個の各色毎の当該アレイ状梁構造体を設けた記録装置において、記録紙5上に付着したインキが乾燥しないまま次の色のアレイ状梁構造体を通過すると、色が混じり、且つ、画像ドットに尾引きが発生してしまい、画質劣化を招くおそれがある。そこで、一つのアレイ状梁構造体にて記録後の位置に、インキ固着手段を設ける。すなわち、各色毎のアレイ状梁構造体1Y、1M、1C、1Kの間に記録紙5へのインキ固着手段を設ける。
(アレイ状に配列された片持ちの梁構造体の構成)
厚み50μmのポリウレタン樹脂エラストマーシートの両面に金電極を形成し、その後、図2の如く、ピッチ170μm、長さ10mmにてアレイ状梁構造体をカッターナイフで加工した。
・インキ:各色染料1wt%の水性インキ
・インキ供給部材:多孔質ウレタンフォーム材に上記インキを含浸しアルミ材に固定
インキ固定手段を有するアレイ状梁構造体1Y、1M、1C、1Kを図2に示す記録装置100に装着し、搬送ローラ102、103、104により記録紙5(コート紙)を搬送し、上記インキ供給手段となるインキ壷8と記録紙5とのギャップをローラ101の位置を調整して500μmとし、その中間に当該梁構造体1Y、1M、1C、1Kをそれぞれ配置した。
インキ固着手段としては、インキを乾燥させる機能を有するものが有効であり、例えば図16(a)に示すように複数の発熱体70Y、70M、70C、70Kを配置すればよい。本実施例では発熱体として記録紙5の表面が50℃となるよう設定した棒状ハロゲンランプを用いる。
実施結果
図16(a)に示すように、各色ごとに梁構造体1Y,1M,1C,1Kを100mm間隔で記録紙5の搬送方向Aに並べ、周波数10Hz、電圧1kVにてパルスを当該梁構造体に印加しながら、記録紙5を搬送したところ、記録紙上にドット径約150μmのドット列が形成できた。さらに、外線ランプを点灯させることで、インキ4はすぐに乾燥したため、混色による異常画像も発生しなかった。
インキ固着手段としては各発熱体ではなく、図16(b)に示すように、インキ溶剤吸収性を有するローラ状部材71Y,71M,71C,71Kを記録紙5に接触するように設けても良い。インキ固着手段としては、単にローラ状部材71Y,71M,71C,71Kをインキ4による画像ドット記録後の位置に設ける構成が最も簡素である。このとき、これらローラがインキ溶剤吸収性を有する部材であれば、ローラとの接触により記録紙5上に付着したインキの溶剤がローラ状部材に吸収され、直ちにインキは紙上に固着する。また、何度も記録するうちにローラ状部材中にインキ溶剤が飽和してきた場合、装置内で定期的にローラを加熱する等の手段により飽和したインキ溶剤を蒸発するようにすれば、インキ固定手段の耐久性も向上することになる。
(アレイ状に配列された片持ちの梁構造体の構成)
厚み50μmのシリコーン樹脂エラストマーシートの両面に金電極を形成し、その後、図2の如く、ピッチ170μm、長さ10mmにてアレイ状梁構造体をカッターナイフで加工した。
・インキ:ロジン変性フェノール樹脂5wt%、顔料(カーボンブラック)15wt%、オレフィン系溶剤80wt%からなる油性インキ
・インキ供給部材:多孔質ウレタンフォーム材に上記インキを含浸しアルミ材に固定
・インキ固着手段:クロロプレンゴム(硬度50度)を巻きつけたゴムローラ(長さ:印字幅、ローラ径40mm)
図8に示す搬送ローラ102、103、104により記録紙5(コート紙)を搬送し、上記インキ供給手段とインキ固定手段とを備え、インキ供給手段となるインキ壷8と記録紙5とのギャップをローラ101の位置を調整して500μmとし、その中間に当該梁構造体を配置した。
実施結果
このような構成において、周波数10Hz、電圧1kVにてパルスを当該梁構造体に印加しながら、紙を搬送したところ、紙上にドット径約150μmのドット列が形成できた。また、指で印刷物を擦ったところ、指にはインキが全く付着していなかった。
実施例7のようなインキ吸収型のインキ固着手段において、インキ溶剤を吸収し、かつ、インキ自身がローラに付着しない部材としては、ポリオルガノシロキサン骨格を有する部材が適する。
(アレイ状に配列された片持ちの梁構造体の構成)
厚み50μmのシリコーン樹脂エラストマーシートの両面に金電極を形成し、その後、図2の如く、ピッチ170μm、長さ10mmにてアレイ状梁構造体をカッターナイフで加工した。
・インキ:ロジン変性フェノール樹脂5wt%、顔料(カーボンブラック)15wt%、オレフィン系溶剤80wt%からなる油性インキ
・インキ供給部材:多孔質ウレタンフォーム材に上記インキを含浸しアルミ材に固定
・インキ固着手段:シリコーンゴム(硬度50度)を巻きつけたゴムローラ(長さ:印字幅、ローラ径40mm)
図8に示す搬送ローラ102、103、104により記録紙5(コート紙)を搬送し、上記インキ供給手段とインキ固定手段とを備え、インキ供給手段となるインキ壷8と記録紙5とのギャップをローラ101の位置を調整して100μmとし、その中間に当該梁構造体を配置した。
実施結果
このような構成において、周波数10Hz、電圧1kVにてパルスを当該梁構造体に印加しながら、記録紙5を搬送したところ、記録紙上にドット径約150μmのドット列が形成できた。また、指で印刷物を擦ったところ、指にはインキが全く付着していなかった。
片持ち梁構造体においては、その先端にインキ保持部材を設けてもよい。例えば、図13(c)に具体例を示す。この例は、インキが水溶性である場合で、片持ち梁構造体となる梁構造体1の先端1Aに親水性部35を形成したものである。この形成方法として、先端1Aを粗面化することや、親水性樹脂をコートなどが適する。インキが油性である場合、梁構造体1の先端1Aに親油性部を形成する。この形成方法として、先端1Aを粗面化することや、親油性樹脂をコートなどが適する。
(アレイ状に配列された片持ちの梁構造体の構成)
厚み50μmのシリコーン樹脂エラストマーシートの両面に金電極を形成し、その後、図2の如く、ピッチ170μm、長さ10mmにてアレイ状梁構造体をカッターナイフで加工した。その後、梁構造体の先端を粗面化した。
・インキ:ロジン変性フェノール樹脂5wt%、顔料(カーボンブラック)15wt%、オレフィン系溶剤80wt%からなる油性インキ
・インキ供給部材:多孔質ウレタンフォーム材に上記インキを含浸しアルミ材に固定
図8に示す搬送ローラ102、103、104により記録紙5(コート紙)を搬送し、上記インキ供給手段を備え、インキ供給手段となるインキ壷8と記録紙5とのギャップをローラ101の位置を調整して100μmとし、その中間に当該梁構造体を配置した。
実施結果
このような構成において、周波数10Hz、電圧1kVにてパルスを当該梁構造体に印加しながら、記録紙5を搬送したところ、記録紙上にドット径約150μmのドット列が形成できた。さらに、ドット径のばらつきが±10μm以内となった。従来は±20μm程度であったので、ばらつきが半減した。
片持ち梁構造体において、この梁構造体の先端にスリットを設けてインキを保持するようにしても良い。例えば、図1(a)、図13(a)に示すように、スリット2を設けることで、毛管力でインキ4をスリット中に保持することができる。この場合、スリット2を長くしておけば、保持量が多くとれ、インキバッファの役目をはたし、一回ごとの付着量が安定する。また、インキ保持手段としてはスリット2に限定されるものではなく、図13(b)に示すように微細な孔21Aを先端1Aに形成してもよい。
(アレイ状に配列された片持ちの梁構造体の構成)
下部に共通電極、上部に幅170μmピッチで個別電極をパターニングしたP(VDF−TrEF)コポリマーフィルム(厚み40μm)をレーザ加工により上部個別電極にそって図2のごとく、梁の長さ20mmにてスリット加工を施した。更に、図13(a)に示すように、幅20μm・長さ15mmにてスリット2を各梁ごとに形成した。各梁ごとに個別電極にリード線を形成し、この梁構造体を間隔5mmあけて、2個配置した。
・インキ:顔料(カーボンブラック)15wt%、オレフィン系溶剤85wt%からなる油性インキ
・インキ供給部材:梁構造体の付け根にインキを含浸した多孔質ウレタンフォーム材を貼り付け、毛管力で各梁ごとに先端までインキを供給できるようにした。
図8に示す搬送ローラ102、103、104により記録紙5(コート紙)を搬送し、上記インキ供給手段を備え、スリット付の梁構造体の先端と記録紙5とのギャップをローラ101の位置を調整して100μmとして配置した。
実施結果
このような構成において、周波数10Hz、電圧300Vにてパルスを当該梁構造体に印加しながら、記録紙5を搬送したところ、記録紙上にドット径約150μmのドット列が形成できた。また、連続印字の際のドット径ばらつきが±10μm以内に抑えられた。
両持ち梁構造体においては、該梁構造体の中央部にインキ保持部材を設けてもよい。インキが水溶性である場合、両持ち梁構造体となる梁構造体20の中央部20Aに親水性部を形成する。形成方法として、中央部20Aを粗面化することや、親水性樹脂をコートなどが適する。インキが油性である場合、図14(c)に示すように、該梁構造体20の中央部20Aに親油性部45を形成する。形成方法として、中央部を粗面化することや親油性樹脂をコートなどが適する。
(アレイ状に配列された両持ちの梁構造体の構成)
下部に共通電極、上部に幅80μmピッチで個別電極をパターニングしたP(VDF−TrEF)コポリマーフィルム(厚み40μm)をレーザ加工により上部個別電極にそって図2の如く、梁の長さ20mmにてスリット加工を施し、更に、梁中央部にポリビニルアルコール樹脂をコート後、個別電極にリード線を形成した。この梁構造体を間隔5mmあけて、2個配置した。
・インキ:染料1wt%からなる水性インキ
・インキ供給部材:多孔質ウレタンフォーム材に上記インキを含浸しアルミ材に固定
図11に示す搬送ローラ102、103、104により記録紙5(コート紙)を搬送し、上記インキ供給手段を備え、インキ供給手段と紙とのローラ101の位置を調整してギャップを100μmとし、その中間に当該梁構造体を配置した。
実施結果
このような構成において、周波数10Hz、電圧300Vにてパルスを当該梁構造体に印加しながら、記録紙5を搬送したところ、記録紙上にドット径約150μmのドット列が形成できた。さらに、ドット径のばらつきが±10μm以内となった。従来は±20μm程度であったので、ばらつきが半減した。
両持ち梁構造体においては、図14(a)に示すように、該梁構造体20の中央部20Aに図14(b)に示すインキ孔21に代えてスリット46を設けてインキ保持手段としても良い。このように梁構造体20の中央部20Aにスリット46を設けることで、毛管力でインキ4をスリット46中に保持することができる。この場合、スリット46を長くしておけば、保持量が多くとれ、インキバッファの役目をはたし、一回ごとの付着量が安定する。
(アレイ状に配列された両持ちの梁構造体の構成)
下部に共通電極、上部に幅170ピッチで個別電極をパターニングしたP(VDF−TrEF)コポリマーフィルム(厚み40μm)をレーザ加工により上部個別電極に沿って図10のごとく、梁の長さL:20mmにてスリット加工を施し、更に、梁中央部にインキ孔21に代えて幅20μm・長さ1mmのスリットを加工し、個別電極にリード線を形成した。この梁構造体を間隔5mmあけて、2個配置した。
・インキ:顔料(カーボンブラック)15wt%、オレフィン系溶剤85wt%からなる油性インキ
・インキ供給部材:多孔質ウレタンフォーム材に上記インキを含浸しアルミ材に固定
図11に示す搬送ローラ102、103、104により記録紙5(コート紙)を搬送し、上記インキ供給手段を備え、ローラ101の位置を調整してインキ供給手段と記録紙5とのギャップを100μmとし、その中間に当該梁構造体20を配置した。
実施結果
このような構成において、周波数10Hz、電圧300Vにてパルスを当該梁構造体に印加しながら、記録紙5を搬送したところ、記録紙上にドット径約150μmのドット列が形成できた。また、連続印字の際のドット径ばらつきが±10μm以内に抑えられた。
次に本発明におけるインキ4の粘度について説明する。インキ4の粘度としては0.1Pa・s〜10Pa・sの範囲としている。これは、インキ粘度が高いほうが、記録紙5へ付着した際に広がり難いのでにじみの発生を抑えられる点で有利となる。しかし、インキ4の粘度が高すぎるとインキ壷8からインキ4が離れにくくなり、梁構造体の動作不良をまねくおそれである。本発明者らは、実施形態において記載されている各種梁構造体とインキ粘度との関係を鋭意検討した結果、インキ4の粘度が0.1Pa・s〜10Pa・sの範囲であれば、上記のような問題は発生しないことが分った。
(アレイ状に配列された片持ちの梁構造体の構成)
下部に共通電極、上部に幅80μmピッチで個別電極をパターニングしたP(VDF−TrEF)コポリマーフィルム(厚み40μm)をレーザ加工により上部個別電極にそって図2の如く、梁の長さ20mmにてスリット加工を施し、個別電極にリード線を形成。この梁構造体を間隔5mmあけて、2個配置した。
・インキ:ロジン変性フェノール樹脂1〜30wt%、顔料(カーボンブラック)15wt%、オレフィン系溶剤45〜55wt%の範囲で粘度(L型粘度計で測定、25℃での粘度)が0.003Pa・s〜1Pa・sのの油性インキを試作
・インキ供給部材:多孔質ウレタンフォーム材に上記インキを含浸しアルミ材に固定
図8に示す搬送ローラ102、103、104により記録紙5(コート紙)を搬送し、上記インキ供給手段を備え、ローラ101の位置を調整してインキ供給手段と記録紙5とのギャップを100μmとし、その中間に当該梁構造体20を配置した。
実施結果
このような構成において、周波数10Hz、電圧300Vにてパルスを当該梁構造体に印加しながら、記録紙5を搬送したところ、インキ4の粘度がおよそ0.001Pa・s〜1Pa・sの範囲であれば、記録紙5上にドット径が形成できた。
インキ4の粘度を0.001Pa・s〜1Pa・sの範囲とした場合、樹脂と顔料と有機溶剤を含有するものであっても良い。水溶性インキは、非塗工紙の場合、記録紙5への浸透が均一でなく、画像ドットの真円度や大きさがばらつき、画質が紙種に依存してしまう。一方、樹脂と顔料と有機溶剤を含有しているインキは、樹脂が記録紙5への浸透性を抑え、また、顔料を用いることで耐水性を高めることができる。さらに、各該梁構造体にインキを付着させた際、樹脂と顔料と有機溶剤を含有しているインキは、インキの凝集力が高いため、梁構造体上でインキは半球上になりやすく、ドット径の均一化に有利となる。
(アレイ状に配列された片持ちの梁構造体の構成)
厚み50μmのシリコーン樹脂エラストマーシートの両面に金電極を形成し、その後、図2のごとく、ピッチ170μm、長さ10mmにてアレイ状梁構造体をカッターナイフで加工した。
・インキ:アルキッド樹脂30wt%、顔料(カーボンブラック)15wt%、パラフィン系溶剤55wt%からなる油性インキ
・インキ供給部材:多孔質ウレタンフォーム材に上記インキを含浸しアルミ材に固定
図8に示す搬送ローラ102、103、104により記録紙5(コート紙)を搬送し、上記インキ供給手段を備え、ローラ101の位置を調整してインキ供給手段と記録紙5とのギャップを30μmとし、その中間に当該梁構造体を配置した。
実施結果
このような構成において、周波数10Hz、電圧30Vにてパルスを当該梁構造体に印加しながら、記録紙5を搬送したところ、記録紙上にドット径約150μmのドット列が形成できた。
インキ4の粘度を0.001Pa・s〜1Pa・sの範囲とした場合、保水性部材と色材と水を含有しているものであってもよい。油性インキは、記録装置の放置中に乾燥し難い利点を有するが、表面張力が低いため、上質紙のごとき記録紙に対しては、にじみが著しくなる欠点を有する。そこで、表面張力を高くするため、インキ溶媒として水を用い、装置保管中の乾燥を防止するため、インキ中に保水性部材を添加し、空気中の水分を捕獲することで乾燥を防止した。
各梁構造体1,10、20としては、自己収縮・膨張により屈曲運動する部材から構成する。梁構造体の屈曲方法としては、静電界や磁界の力で梁を静電気力や磁力により屈曲させる方法が考えられるが、これでは装置構成が複雑になり、また、梁の隣同士の電界や磁界によるクロストークで誤動作するおそれがある。これに対し、梁自身が自己収縮・膨張により屈曲する構成であると、構造が簡易で、しかもクロストークに強くなるので好ましい。材料自ら収縮・膨張する材料としては、熱収縮・膨張を利用した材料や、圧電効果を利用した材料などが適する。
(アレイ状に配列された両持ちの梁構造体の構成)
下部に共通電極、上部に幅170μmピッチで長さ30mmの積層PZT(厚み1000μm)をダイシングソーにより上部個別電極に沿って、図10のごとく、スリット加工を施し、個別電極にリード線を形成。その後、梁全体をポリアミド樹脂にてコートし、絶縁性を付与した
・インキ:顔料10wt%含有した油性インキ
・インキ供給部材:多孔質ウレタンフォーム材に上記インキを含浸しアルミ材に固定
図11に示す搬送ローラ102、103、104により記録紙5(コート紙)を搬送し、上記インキ供給手段を備え、ローラ101の位置を調整してインキ供給手段と記録紙5とのギャップを30μmとし、その中間に当該梁構造体を配置した。
実施結果
このような構成によると、周波数10Hz、電圧100Vにてパルスを当該梁構造体に印加しながら、紙を搬送したところ、紙上にドット径約150μmのドット列が形成できた。
梁構造体1、10、20に用いる自己収縮・膨張により屈曲運動する部材としては、電場応答性高分子材料が挙げられる。電場応答性の高分子材料とは、電界を与えることで材料そのものの長さや体積が大きく変化する材料である。具体に適する材料としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)やビニリデンフロライド−トリフロロエチレン共重合体(P(VDF−TrFE))の如きフッ素系の強誘電性高分子材料が適当である。これら材料は電場をかけると圧電効果により材料内部で膨張と収縮がおこり変形する。また、シリコーン樹脂やアクリル系樹脂の如き誘電エラストマーも適する材料の1つであり、強い電場の中で電場の方向に収縮し、電場と垂直な方向に膨張する性質をもつマックスウエル応力と呼ばれる変形力により変形する。これらの材料は高分子であるため、シート状に製造することが容易で、且つ、素材が柔らかいため図2に示すように、スリットを設けて櫛歯状に加工することが簡単であり、量産に向いている。
(アレイ状に配列された片持ちの梁構造体の構成)
厚み50μmのシリコーン樹脂エラストマーシートの両面に金電極を形成し、その後、図2のごとく、ピッチ170μm、長さ10mmにてアレイ状梁構造体をカッターナイフで加工した。
・インキ:ロジン変性フェノール樹脂5wt%、顔料(カーボンブラック)15wt%、オレフィン系溶剤80wt%からなる油性インキ
・インキ供給部材:多孔質ウレタンフォーム材に上記インキを含浸しアルミ材に固定
図8に示す搬送ローラ102、103、104により記録紙5(コート紙)を搬送し、上記インキ供給手段を備え、ローラ101の位置を調整してインキ供給手段と記録紙5とのギャップを500μmとし、その中間に当該梁構造体を配置した。
実施結果
このような構成において、周波数5Hz、電圧1kVにてパルスを当該梁構造体に印加しながら、記録紙5を搬送したところ、記録紙上にドット径約150μmのドット列が形成できた。
梁構造体1、10、20に用いる自己収縮・膨張により屈曲運動する部材としては、形状記憶合金とシリコン酸化膜を形成したシリコン基板とのユニモルフもしくはバイモルフ構造から構成してもよい。形状記憶合金としては、Ti−Ni2元系合金の薄膜やTi−Ni−Pd3元系合金の薄膜が適する。シリコン基板上にシリコン酸化膜を形成後、これらの合金をシリコン基板上にスパッタ蒸着し、ユニモルフ構造もしくはバイモルフ構造を形成する。そして、ダイシングソーにて複数個のアレイ状梁構造体の形状に切削加工する。
このようにして加工した梁構造体は室温下では、シリコン基板と形状記憶合金との熱収縮率の違いから反り返った状態(屈曲した状態)となっている。そして、この状態で加熱すると形状記憶合金が相変体し、応力が緩和され、まっすぐな状態へと変形する。すわちち、画像信号に応じて、該梁構造体を加熱冷却することで梁構造体を屈曲しながら記録紙5へインキを付着させることができる。
(アレイ状に配列された片持ちの梁構造体の構成)
500μm厚みのシリコン基板にシリコン酸化膜を1μm形成し、その上にスパッタ蒸着によりTi−Ni系形状記憶合金を2μm形成した。その後、図2のごとき形状にダイヤモンド砥粒のダイシングソーにて複数個の梁を持つ梁構造体を加工した。さらに、梁構造体に熱素子をスクリーン印刷にて形成し、熱素子の両端にアルミ電極を蒸着した。
・インキ:染料1wt%含有した水性インキ
・インキ供給部材:多孔質ウレタンフォーム材に上記インキを含浸しアルミ材に固定
図8に示す搬送ローラ102、103、104により記録紙5(コート紙)を搬送し、上記インキ供給手段を備え、ローラ101の位置を調整してインキ供給手段と記録紙5とのギャップを100μmとし、その中間に当該梁構造体を配置した。梁構造体上に形成した熱素子を駆動周波数5Hzにて駆動し、熱素子の表面温度が150℃となるよう電圧を設定した。画像信号に応じて熱素子を駆動し、普通紙上に100μmサイズのドット列を形成できた。
梁構造体としては静電アクチュエータで構成してもよい。図15に示すように、複数個のアレイ状の梁構造体60を個別電極とし、それに対向する位置に、アースされた一枚の対抗電極61を設けて、平行電極を構成する。そして画像信号に応じて、個別電極に駆動電圧を印加すると、平行電極間に働く静電気力により、個別電極は屈曲し、記録紙に接触する。
(アレイ状に配列された片持ちの梁構造体の構成)
図15に示すように、上部に絶縁被膜を施したニッケル箔のアースされた共通電極、下部に厚み50μmのニッケル箔に幅80μmピッチで個別電極をレーザ加工により形成し、個別電極にリード線を形成した。下部電極と上部電極の間隔は100μmとした
・インキ:顔料(カーボンブラック)15wt%、オレフィン系溶剤85wt%からなる油性インキ
・インキ供給部材:多孔質ウレタンフォーム材に上記インキを含浸しアルミ材に固定
図8に示す搬送ローラ102、103、104により記録紙5(コート紙)を搬送し、上記インキ供給手段を備え、ローラ101の位置を調整してインキ供給手段と記録紙5とのギャップを50μmとし、その中間に当該梁構造体60を配置した。そして、駆動周波数10Hz、電圧50Vにて駆動し、普通紙上に100μmサイズのドット列を形成できた。
梁構造体1、10、20、60としては、レーザ切削加工により製造するのが好ましい。レーザの種類としてはYAGレーザやCO2レーザやエキシマレーザのような切削加工用のレーザを用いて加工するのが良い。
本発明の記録装置に用いられ片持ち梁構造体の一形態を示す斜視図である。 アレイ状に配列された梁構造体の構成を示す拡大斜視図である。 片持ち梁構造体の動作の概略を示す模式図である。 アレイ状に配列された梁構造体の様々な形態を示す斜視図である。 片持ち梁構造体による記録原理と動作を示す模式図である。 梁構造体を有する記録ヘッドと記録媒体との関係を示す図である。 図6に示す記録ヘッドの概略構成を示す内部透視図である。 本発明の一実施の形態である片持ち梁構造体が適用されるは記録装置の概略構成を示す断面図である。 両持ち梁構造体の構成と記録原理並びに動作を示す模式図である。 両持ち梁構造体をアレイ状に配列した一形態を示す斜視図である。 本発明の一実施の形態である両持ち梁構造体が適用される記録装置の概略構成を示す断面図である。 梁構造体を記録媒体の搬送方向に配置した様々な形態を示す図である。 片持ち梁構造体に設けたインキ保持手段の様々な形態を示す拡大図である。 両持ち梁構造体に設けたインキ保持手段の様々な形態を示す拡大図である。 静電アクチュエータを有する梁構造体の一形態を示す斜視図である。 複数のインキ色に対向して設けた梁構造体の構成と、インキ固着手段の様々な形態を示す斜視図である。
符号の説明
1、10、60 梁構造体(片持ち梁構造体)
1A、10A 片持ち梁の先端
1(Y、M、C、K) 複数色に対応した梁構造体
2、46 スリット
3、8 インキ供給手段
4 インキ
5 記録媒体、
20 梁構造体(両持ち梁構造体)
20A 両持ち梁構造体の中央部
21A、35 インキ保持手段
24、45 インキ保持手段
101、102、103 搬送手段
61 静電アクチュエータ
70(Y、M、C、K) インキ固着手段
71(Y、M、C、K) インキ固着手段(ローラ状部材)
100、200 記録装置
A 記録媒体の搬送方向

Claims (11)

  1. 屈曲運動可能な複数個のアレイ状に配列された梁構造体と、この梁構造体にインキを供給するインキ供給手段と、記録媒体を搬送する搬送手段とを有する記録装置において、
    前記梁構造体は、
    前記記録媒体の搬送方向に複数個設けられ、スリットを備えた片持ち梁構造体であり、該スリット部位により前記インキの供給と保持を行い、画像信号に応じて前記片持ち梁構造体の先端を屈曲させて前記記録媒体と接触させ、前記インキを前記記録媒体上に転移させることで画像を形成することを特徴とする記録装置。
  2. 請求項1記載の記録装置において、
    前記インキを複数色有し、各色毎に前記複数個の梁構造体を設けたことを特徴とする記録装置。
  3. 請求項記載の記録装置において、
    各色毎の梁構造体間に前記記録媒体へのインキ固着手段が設けられていることを特徴とする記録装置。
  4. 請求項記載の記録装置において、
    前記インキ固着手段は、インキ溶剤吸収性を有するローラ状部材を前記記録媒体に接触させる手段であることを特徴とする記録装置。
  5. 請求項記載の記録装置において、
    前記インキ固着手段がポリオルガノシロキサン骨格を有する部材からなることを特徴とする記録装置。
  6. 請求項記載の記録装置において、
    前記インキの粘度が0.001Pa・s〜1Pa・sの範囲であることを特徴とする記録装置。
  7. 請求項6記載の記録装置において、
    前記インキは、樹脂と顔料と有機溶剤を含有していることを特徴とする記録装置。
  8. 請求項6記載の記録装置において、
    前記インキは、保水性部材と色材と水を含有していることを特徴とする記録装置。
  9. 請求項記載の記録装置において、
    前記梁構造体は、電場、磁場もしくは熱により自己収縮・膨張することで屈曲運動する部材から構成されていることを特徴とする記録装置。
  10. 請求項9記載の記録装置において、
    前記梁構造体が電場応答性高分子材料から構成されていることを特徴とする記録装置。
  11. 請求項記載の記録装置において、
    前記梁構造体が、形状記憶合金とシリコン酸化膜を形成したシリコン基板とのユニモルフもしくはバイモルフ構造から構成されていることを特徴とする記録装置。
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