以下に本発明の好適な一実施形態であって、所謂4連の血液バッグの例について、添付の図面を参照して説明するが、不図示の3連の血液バッグについても適用可能である。
先ず、図1(a)はバフィーコート層の除去と血液保存液注入のために親バッグである第1容器2aから4連になるように各容器をチューブ11、14、15a、15bを介して子バッグである第2乃至第4容器を接続し、平らに広げて示した多連式容器2の平面図である。また、図1(b)は栓体18の断面図である。
図1(a)において、この4連血液バッグである多連式容器2は、血漿層とバフィーコート層と赤血球層の各層に分離された原料血液を予め収容した半透明樹脂から容積部を形成するように塩化ビニルなどの柔軟性の親バッグの第1容器2aと、空の状態の柔軟性を有する子バッグである第2容器2cと、空の状態であり柔軟性を有する子バッグの第3容器2bと、必要量分の血液保存液を予め収容した子バッグである柔軟性を有する第4容器2dが、図示のように途中の分岐管82、82から分岐するようにして柔軟性のチューブ11、14、15a、15bを用いて接続されて準備されるものである。各容器は破線図示の容積部を外周面に沿う合わせ目の中に形成したものである。
この第1容器2aには、献血者から原料血液を導入するために穿刺針81を端部に接続した導入のためのチューブ79が図示のようにさらに接続されており、第1容器2aの内部に例えば400ml分の原料血液を導入し、その後、このチューブ79の途中部分を溶着シールまたはクランプ部材でクランプして第1容器2a内に血液を貯蔵する。
この第1容器2aは、血液分離装置(以降、装置1とも言う)の第1収容部に設けられたフックに対して懸垂状態にセットされる左右一対の孔部7a、7aが容積部を形成する合わせ目部分に形成されている。また、この第1容器2aに接続されるチューブ11の第1容器2a側の内部には「クリックチップ(テルモ株式会社の登録商標)」と呼ばれる栓体18が接続されている。この栓体18は、図1(b)に示すように、栓体18をバッグの外側から両指先で把持し、先端部分を左右に折り曲げることで、内部に設けられた肉薄の栓部18aが破壊されることにより容積部とチューブ11との間が連通状態になるように、所定樹脂材料から射出成形されている。
また、この栓体18は、収容された血液保存液が流れ出ないようにするために第4容器2dにも、図示のように同様に設けられており、装置1に各容器をセットした後に、夫々の栓体18が左右に折り曲げられることでチューブ11、15a、15bを介した連通状態にされることで分離のための下準備が行われる。また、バフィーコート層の白血球を貯蔵するために分岐管82からチューブ14を介して接続される第3容器2bは廃棄処分される。
また、この第1容器2aには、製造工程の後工程で接着される両面接着層を設けたラベルシート1000が図示のように貼られる。このラベルシート1000には原料血液に関する所定事項の記載と、この所定事項を暗号化したバーコードが印刷されており、後述するハンディバーコードリーダを用いてバーコードの内容を自動読取し、装置において表示できるようにしている。
次に、第2容器2cには、後述するフックに懸垂される横長形状の孔部7bが容積部の合わせ目に形成されており、懸垂時の荷重に充分に耐えることができるようにしている。また、第3容器2bは第3重量測定手段である重量測定部101を備えたトレー12上に置かれる。そして、第4容器2dは第2収納手段である後述する気密ケース内に設けられた左右一対のフックにより懸垂されるために第2容器2cと同様の横長の孔部7bが容積部の合わせ目に形成されている。
以上のように各容器の孔部7a、7bを夫々違う形状乃至位置に形成することにより、各容器のセットミスを無くすように配慮されている。また、チューブ11、11a、11b、14の途中部位は、適度に弾性変形した状態で後述するチューブクランパ手段の各クランプ部内に対して後述するようにセットされるとともに高周波により溶着シールされることから、塩化ビニルなどの柔軟性を有する樹脂材料から準備される。
次に、図2(a)は装置1の概略構成を示すために一部を破断した左側面図、図2(b)は、装置1の背面図である。まず、図2(a)において、図1で述べた多連式容器2がセットされる前の様子が示されている。また、装置1は図示のような比較的に身長の低い看護師であっても起立状態で使用されることを前提として設計されている。このために、この装置1の高さ寸法は720mm程度、幅寸法は350mm、奥行き寸法は600mmに設定されている。また重量は40キログラム程度と重いことから、回転ローラ及びストッパーを有したキャスタを4隅の脚部の底面に設けた移動テーブル500上に装置1を載置乃至固定することで、装置1を簡単に移動でき、かつ所定の場所で固定して使用できるようにしている。あるいは、所定の棚等の固定位置に設置する場合には、装置1の左右壁面はカバーのみであるので、別の装置を隙間なく設置した状態でも使用可能にしている。
この装置1は、図2(a)において一部を破断して示した基部27を、これ以降述べる構成の取り付け部としている。また、この基部27の上面には略水平の操作面27aと、奥側に向けて立ち上がるように所定角度である約15度程度に傾斜した操作面27bとが設けられており、さらに奥において起立部27cが設けられている。この起立部27cの上面には装置1の動作状況を遠方からも確認できるようにするために、発光LEDを内蔵し、異なる色の発色で点滅または点灯で看護師に知らせるようにした動作インジケータ20が設けられている。
装置1の手前側には、第1収容手段を構成する第1蓋部材4を開位置にして示した第1収容部3が設けられている。この第1蓋部材4は、両矢印方向に開閉駆動され、この第1収容部3の内部において、後述するフックに懸垂し、回動自在に設けられている第1圧送手段を構成する第1押圧部材10の上に、第1容器2aを装填した後に、第1蓋部材4を手で閉じるように構成されている。
この第1押圧部材10にはロッド57の一端が図示のように略中央に回動自在に固定されており、このロッド57の他端はモータM1で駆動される往復移動機構により往復移動される。また、この往復移動機構の奥側(図面、左側)には正圧の空気圧を発生するためのエアコンプレッサー55が配置されている。
操作面27a、27b上には図1で述べたチューブ11、11a、11b、14の途中部位をクランプするためのチューブクランパ手段である第1クランプ部36、第2クランプ部38、第3クランプ部39、第4クランプ部37が配置されている。これらのクランプ部の内で、第2クランプ部38と第3クランプ部39については図示のように前からは奥側となるので前面から遠く、操作しずらいことから、図示のように傾斜した操作面27b上に配置されており、チューブのセットを行い易くしている。
第2容器2cを懸垂するためのフック107は、起立部27cの手前側上部に設けられており、このフック107には第2重量測定手段が設けられている。またこのフック107の下方は空間部Kとなっている。
また、破線で示した第2収容手段を構成する第2収容部70は、前面が開口した密閉ケースから構成される。また、その開口部に対して矢印方向に開閉自在かつ気密状態に設けられるとともに、第2収容部70に対する係止状態に維持される第2蓋部材104が設けられている。この第2蓋部材104は、図示のように大きく上方に開くので、看護師の手による開閉操作ができない。このため、後述するようにモータ駆動されて開閉される。そして、この第2蓋部材は、第2収容部70に対する係止状態に自動的に保持され、その係止状態を検出するためのセンサ類(不図示)が設けられている。
次に、図2(b)において、装置1の裏面には、電源コネクタ140と通信回線を介してのデータの送信、遠隔操作を可能にするための拡張通信ボード141が後から装着可能に設けられている。この拡張通信ボード141は上記のハンディバーコードリーダとともに所謂オプションとして準備されるものであり、使用者の必要に応じて増設できるようにしている。
次に、図3は、看護師の目線から装置1を正面から見た外観斜視図である。本図において、図2で既に説明済みの構成部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、装置1の前面下方には、装置全体の起動を行うために操作されるシーソー式の電源スイッチ41が設けられている。この隣には、ハンディバーコードリーダ400から延設されたコード用の接続コネクタ401が設けられている。また、ハンディバーコードリーダ400は、不図示のフックに対して吊り下げることができるようにしている。
このハンディバーコードリーダ400の下方には、初期設定のために操作される複数のスイッチキーを配置した初期設定部300が設けられている。このハンディバーコードリーダ400の左側には、上記の第1蓋部材4が閉じた状態となっている第1収容部3が設けられている。この第1蓋部材4は分厚いアクリル樹脂製であり、内部の様子が手前側から確認できるようにするとともに、血漿層と赤血球層の境界層のレベル検出をするためのレベル(界面)検出手段25の1つを構成する、例えばフォトダイオードからなる受光素子35が裏面の中央に設けられており、さらにステレス板で外側から覆われている。
フック7、7は、後述する秤部材上に固定されており、上記の第1容器2aを懸垂するとともに破線図示の第1重量測定手段である第1重量測定部102bによる重量測定を行うように構成されている。このフック7、7の後方には、操作面27a上においてチューブ11を挟持状態に維持するために図示のように上方に開口した溝部を形成したチューブフック78が固定されている。このチューブフック78の後方には第1クランプ部36が操作面27a上において固定されている。この第1クランプ部36の後方には、気泡検出手段である気泡センサ13が配置されている。
そして、この気泡センサ13のさらに後方には一直線上になるようにして図1で述べた分岐管82を保持するための分岐管ホルダ21が設けられている。そして、この分岐管ホルダ12の左隣りには図示のようにやや斜めの状態で第2クランプ部38が設けられている。また、この分岐管ホルダ12の右隣りには図示のように前後方向になるようにして第3クランプ部39が設けられている。そして、この第3クランプ部39の手前には第4クランプ部37が設けられている。また、第3クランプ部39の右隣りには第3重量測定手段である第3重量測定部101(破線図示)を底面において設けるとともに、上方に大きく開口した樹脂製のトレー12が設けられている。このトレー12の手前側には後述するチューブ溶着手段で溶着シールする操作を行う各スイッチと、重量測定された各容器の重量を表示する重量表示を行う表示部と、スタートスイッチ42と停止スイッチ44とを設けた表示部500が設けられている。
そして、起立部27cの略左半分の部分には上記の開口部Kの上においてフック107が設けられており、このフック107には第2重量測定手段である第2重量測定部102a(破線図示)が設けられている。
また、起立部27cの略右半分の部分には上記の第2蓋部材104を閉じた状態で示した第2収容部70が設けられている。
一方、操作面27aの右側面には破線図示の窓部27cが穿設されており、後述する手動式の係止解除機構のレバー操作を指先を入れて外部から行えるようにしている。
また、空間部Kの右内側面にも破線図示の窓部27dが穿設されており、後述する手動式の係止解除機構のレバー操作を外部から行えるようにしている。
続いて、図4は、図1で述べた多連式容器2を装置1に装填した後に、看護師の目線から装置1を正面から見た外観斜視図である。本図において、既に説明済みの構成部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、第1容器2aは、第1蓋部材4が後述するように自動的に開位置に開かれた後に、第1収容部3内にセットされる。このセットを行うために孔部7a、7a(図1参照)をフック7、7に引っ掛ける。その後、チューブ11をチューブホルダ78に挿入してセットし、栓体18を折る。
続いて、チューブ11は、第1クランプ部36と気泡センサ13とに挟持されるようにセットされ、分岐管82を分岐管ホルダ21に図示のようにセットする。そして、チューブ15aを第2クランプ部38にセットし、第2容器2cの孔部7bをフック107に引っ掛ける。
第3容器2bは、チューブ14を第4クランプ部37にセットした後に、トレー12内に入れられる。
また、血液保存液(MAPとも言う)を予め収容した第4容器2dは、第2収容手段にセットされる。このために第2蓋部材104が後述するように自動的に開かれた後に、第2収容部70にセットするために孔部7a、7aを押圧板のフック7、7に引っ掛ける、これに前後してチューブ15bを第3クランプ部39に挿入してセットし、栓体18を折ることで連通状態にする。
以上のようにして多連式容器2の装置1に対するセットが終了すると、第1蓋部材4を手動で閉じ、また、第2蓋部材104がモータ駆動で閉じられる。以上で、図4に図示された待機状態となる。なお、この第2蓋部材104も、第1蓋部材4と同様に分厚い透明または光透過性のアクリル樹脂製であり、内部の様子が手前側から確認できるようにしている。以下に、各構成について個別の図面を参照して説明する。
図5(a)は、第1収容部3の内部に第1容器2aを懸垂する前の様子を示した断面図である。また、図5(b)は、第1収容部3の内部に第1容器2aを懸垂した後に、押圧位置に第1蓋部材4を駆動した様子を示した断面図である。
本図において、既に説明済みの構成部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、第1収容部3は前面が開口した所定強度を有する箱体の基部として準備されフレームの基部27に対して固定される。この第1収容部3に対する閉状態にされたときに、その内部が見えるようにするために、第1蓋部材4は約10mm厚以上の透明樹脂部材であるアクリル板から形成されている。この第1蓋部材4の下方の両側側面には軸体4aを設けており、後述する基部に形成された軸支部4b、4bで軸体4aを軸支することで図5(a)の開位置と、後述する重量測定位置と、押圧位置にモータ駆動できるように構成されている。
具体的には、第1蓋部材4の両側上部には被係止部が固定されており、これらの被係止部を係止部材で係止して(図5(b)の矢印D2方向)に引き入れて、第1蓋部材4を、第1容器4aを装填させかつ懸垂するための開位置と、重量測定を行うための重量測定位置と、第1圧送手段の押圧部材10による挟持及び押圧を行うための押圧位置に夫々往復駆動するように構成されている。また、係止状態が解除されると第1蓋部材4は図5(a)の矢印D1方向に穏かに開くように構成されている。
次に、第1圧送手段を詳述する。第1押圧部材10は、図示のような板部材であり、両端の回動軸支部10a(図5では手前側のみ図示されている)が、上方に設けられており基部において回動軸支されている。この第1押圧部材10の裏面側の略中央にはロッド57の一端が図示のように回動自在に連結されており、この第1押圧部材10を矢印D4方向に移動するための上記の往復移動機構部または空気圧シリンダにより第1押圧部材10を手前側(図5(b)の矢印D3方向)に押し出すことで、第1容器2aを挟持及び押圧して圧送(送液)を行うように構成されている。遠心分離された後の第1容器2a中には血漿層Cとバフィーコート層Dと赤血球層Eとが図1に図示のように分離して内蔵されているので、これらの各層の間の境界面または界面レベルを検出することで、後述する圧送制御を行うようにしている。
このために、一般的にはフォトセンサ、すなわち発光/受光素子が対になって使用され、それぞれの層の光吸収率(発光素子25aからの光の受光素子35での受光率)の差によって境界面を、発光素子25aと受光素子35で構成されるレベル(界面)の境界面検出手段25で検出する。この検出手段25の取付位置は上下方向に若干補正することができる。この境界面検出手段25は後述する入出力ポートを介して演算制御部に電気的に接続されている。このために、境界面検出手段25は、第1収容部3の内部の位置であって、フック7、7で挟まれる位置において基部27に固定される。
この境界面検出手段25を構成する発光素子は複数個(例えば8〜15個)の赤外発光ダイオードからなり、受光素子は発光素子の全発光ダイオードに長手方向(縦方向)に一列に対向配置される2枚の並列接続された板状の発光ダイオードから形成されている。以上の構成によって、図示のようにセットされた第1容器2aに対する境界面設定位置(分離終了時にあるべき境界面の位置)を、今回分離終了時にあるべき血漿残留量に応じて(従って、今回使用の第1容器2aの容量、或いは前工程の遠心分離条件に応じて)設定するための境界面設定部に対して境界面の検出結果を送るようにしている。
図示のように第1容器2aをフック7、7に吊すことで、第1収容部3の第1容器2aのみの重量測定が行われることから、各フック7、7は秤部材47に固定されている。この秤部材47は後述するように上下方向に移動自在になるように基部27に設けられる一方で、測定精度の分解能を向上させるように第1重量測定部102bを構成して第1容器2aのみの重量測定を高い精度で行えるようにしている。
この第1容器2aの容量は、200ml(cc)または400mlであり、白血球が含まれるバフィーコート層の除去用セットのほかに、図1で述べた白血球除去後のセットの柔軟性の第1容器2aが図示のようにセットされる。この第1収容部3内に保持された第1容器2aは、上記の第1押圧部材10により加圧されて第1容器2a内の上方の血漿層の血液成分が上方に圧送されることで、第1容器2aのチューブ11から、続いてチューブ15aを介して空の状態となっている第2容器2cに収容される。また、血液保存液を予め収容した第4容器2dと、バフィーコート層の白血球成分などを収容する空の第3容器2bと、血液保存液を予め収容した第4容器2dとの間で送液を行うように構成されている。
図6は、第1収容装置の外観斜視図である。本図において、既に説明済みの構成部品については同様の符号を附して説明を割愛する。第1収容手段は上記の第1収容部3を形成するとともに第1蓋部材4の軸体4aの軸支部4bを設けた板金製の基部600を有しており、この基部600の内部において押圧板10の軸体10a、10aを回動軸支している。また、途中で破断して示したロッド57は基部600の後方に延びている。
第1蓋部材4の軸体4aには、基部600に固定されたダンパー671に先端が当接した片支持部材672が図示のように固定されている。また、この片支持部材672の途中には基部600に一端が固定された引っ張りコイルバネ670の他端が引っ掛けられている。
以上の構成により、第1蓋部材4には、軸体4a、4a廻りに穏やかに開くように付勢するための蓋付勢部が設けられる。すなわち、後述する係止状態が解除されると、第1蓋部材4は、引っ張りコイルバネ670の作用により実線図示の位置から破線図示の位置に移動するが、このときダンパー671である例えば油圧動作による制動力が片支持部材672に加わる。このため第1蓋部材4は緩やかに開位置で止まる。このようにして設けられる蓋付勢部は、片側のみで良いが、図示しない反対側に設けても勿論よい。
第1蓋部材4の上端側面には被係止部となるローラ602が図示のブラケットの上下端部において回転自在に固定されており、これらのローラ602、602を左右の係止爪ブラケット652、653の係止爪部652c(手前側のみ図示)で係止する。
基部600には、軸支部4bを第1蓋部材4との共通の回動支点とするとともに、基部600を跨ぐように回動自在に設けられる回動部材601が設けられている。この回動部材601の上には上記の係止爪ブラケット652、653を回動軸支する回動ピン610.610が植設されており、基部600に穿設された開口部600aに爪部652cが潜入してローラ602に対して係止する状態と、係止を解除する位置に回動駆動されるように構成されている。
回動部材601上に固定されたソレノイド651のプランジャーには、レバー655の一端が連結されており、このレバー655の他端が右の係止爪ブラケット652に連結されている。また、レバー654は引っ張りバネ612により図中の左側に移動付勢されるとともに、左右の係止爪ブラケット652、653の間に連結されることで、ソレノイド651への通電時において引っ張りバネ612の引っ張り力に抗して左右の係止爪部材652、653を開く方向(係止解除方向)に回動駆動するように構成されている。 また、右の係止爪部材652は、図示のように下方に曲げ加工された壁面652aを形成しており、この壁面652aの下方において外部係止解除レバー650を設けている。この外部係止解除レバー650は、窓部27c(図3に示す)から操作可能であるので、任意に係止状態を解除できる。
軸支部4bを回動支点として基部600を図示のように跨ぐように回動自在に設けられる回動部材601は基部600に固定されたブッシュ608により基部600から離れないように案内されるとともに、一端が基部600に固定された引っ張りバネ606(両側に設けられる、図示では手前側のみ示す)により反時計回転方向に回動付勢されており、この回動付勢状態を左右のカムフォロアーローラ666がカム板667、667に当接することでそれ以上回動することを防止している。カムフォロアローラ666は回動部材601に植設されるピン回りに回動自在に保持される。
各カム板667は、基部600において両端が軸支された軸体615の端部に夫々固定されている。モータM2は基部600に固定されるとともに出力軸に軸体615に固定された大径のギア614に噛合する小径のギア613を固定している。軸体615にはセンサK2で検出されるアクチエータが固定されている。
以上の構成により、左右の係止爪部材652、653を搭載した回動部材601は、モータM2への通電により回動されることで、第1蓋部材4を係止した状態で、重量測定位置から押圧位置(図5(b)の破線図示の位置)まで駆動する。この後に、押圧板10を駆動するが、この押圧位置において第1蓋部材4を不動状態にしないと、第1蓋部材4が開いてしまう。そこで、左右の回動部材601には固定用のピン603が両側面に固定されており、押圧位置に駆動されるとこのピン603に対して固定部材604(手前のみ図示)が係止するように引っ張りバネ605で付勢されるように回動自在に設けられている。また、ソレノイド607が設けられており、通電により手前に図示されている固定部材604は時計廻り方向に回動して係止を解除するように構成されている。
図7(a)は、第1収容部3の第1蓋部材4が開位置に移動された様子を示した動作説明のための断面図、図7(b)は重量測定位置を通過して押圧位置に第1蓋部材4が移動された様子を示した動作説明のための断面図である。また、図8は動作説明のための外観斜視図である。
図7と図8において、既に説明済みの構成部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、先ず、図7(a)において、第1蓋部材4が係止状態を解除されて図示の開位置に移動した状態になる。そこで、看護師は、第1容器2a(不図示)をフックに懸垂する。その後、第1蓋部材4が手動で矢印方向に閉じられることで、係止位置に回動した回動部材601に搭載された左右の係止爪ブラケット652、653はローラ602に係止する。以上で第1蓋部材4は第1容器2aに直に触れない状態になるので、正確に第1容器2aの重量測定、すなわち第1容器2a内の血液成分の重量測定を行えるようになる。なお、このとき第1押圧部材10は図5(a)に図示のように下方に垂れ下がっている。
次に、図7(b)において、第1蓋部材4が閉じられると装填完了を、後述する演算制御部に蓋スイッチ回路を介して電気信号として送る。次に、モータM2への通電により回動部材601が矢印方向に回動されることで、係止された第1蓋部材4が破線図示の位置(重量測定位置)から、さらに矢印D2方向に回動されて押圧位置において停止する。このときピン603が係止ブラケット604に係止されて押圧の反力を受けるようにする。
以上で第1容器2aを第1蓋部材4と第1押圧板10との間で挟持および押圧して血漿を最初に圧送する準備が整う。このために図2で述べた往復移動機構のモータM1で、ロッド57を矢印方向に移動することで、第1押圧部材10が第1蓋部材4側に回動移動されるので、第1容器2aが前後から圧縮されて、血漿層の血漿がチューブを介して圧送される。
より詳しくは、図8において、看護師は、第1容器2a(不図示)をフック7(不図示)に懸垂する。その後、第1蓋部材4が手動で二点鎖線図示の位置から実線図示の位置に閉じられることで、係止位置に回動した回動部材601に搭載された左右の係止爪ブラケット652、653はテーパ部652dが押圧されることにより、矢印F4、F2方向に一旦開き、その後にバネ612によりローラ602に夫々係止する。この状態をセンサK1で検出する。
以上で第1蓋部材4は第1容器2aに直に触れない状態になるので、重量測定を行えるようになる。第1蓋部材4が閉じられるとモータM2への通電によりカム板667が矢印F10方向に回動されることで、これに追動するカムフォロアローラ666を設けた回動部材610が矢印F11方向に回動駆動されて、係止された第1蓋部材4が押圧位置に駆動され停止する。このときピン603が係止ブラケット604に係止されて押圧の反力を受けるようにする。また、係止ブラケット604のピン603の係止を解除するためにはソレノイド607への通電によりプランジャーが吸引されて係止ブラケット604が矢印F13方向に回動される。
一方、第1容器2a内に血液保存液(MAP)を導入するときには、ロッド57を図7(b)中の矢印方向とは逆方向に移動し、モータM2への通電によりカム板607が、矢印F10方向に回動されることで、これに追動するカムフォロアローラ666を設けた回動部材610が矢印F11方向に回動駆動され、第1蓋部材4が破線に示す位置に戻り、第1容器2aが第1収容部3の中で拡張できる状態になる。血液保存液の圧送後に、チューブ11の一部が後述する溶着手段である高周波シール装置でクランプ状態から溶着シールされる。
この後に、第1蓋部材4の係止が解除されて、図7(a)に図示のように自動的に開かれるので外部に第1容器2aを取り出せるようになる。このように、フック7の近くを回動支点とした第1押圧部材10の平らな平面部による押圧を行うことで、第1容器2aは、第1押圧部材10の平面部と第1蓋部材4の平面部との間で次第に液面が上昇するように挟持されるので、第1容器2aは均一に押されることとなる。このように駆動される第1押圧部材10による押圧を行わないと、第1容器2aが不均一状態で圧縮されることとなり、特にバフィーコート層の検出が正しくできなくなってしまう不都合がある。
図9(a)は、右の係止爪ブラケット652に設けられる外部係止解除レバー650が非動作状態であることを示す平面図、図9(b)は、右の係止爪ブラケット652に設けられる外部係止解除レバー650が動作状態であることを示す平面図である。
本図において、既に説明済みの構成部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、上記のように右の係止爪ブラケット652には下方に曲げ加工された壁面652aが形成されており、この壁面652aの下方において外部係止解除レバー650が回動自在となるように基部600に部材646を介して設けられている。この外部係止解除レバー650は、窓部27c(図3に示す)から操作可能である位置に配置されるとともに、部材646に固定された軸体648廻りに回動自在かつトーションバネ647により時計方向に移動付勢されている。また、外部係止解除レバー650の端部には壁面652aに当接する回転ローラ649が設けられている。
以上の構成により、なんらかの原因で第1容器を外部に取り出す必要があるときには、停電時であっても外部係止解除レバー650を、図9(b)に図示の解除位置に操作することで、第1蓋部材4を開くことができるようになる。
次に、第2収容部70の構成について、図10(a)の第2収容部70の断面図と、図10(b)の要部断面図に基づき説明する。この第2収容部70の送液のための構成は、上記の第1収容部3の構成に一部似ているが、血液保存液を内蔵した第4容器2d内に赤血球層を送り込むために減圧状態にされることから、以下の点で異なる。
先ず、第2収容部70の容器は前面が開口した所定強度を有する金属製密閉容器であり、例えば鉄、ステンレス等のケースとして準備される。そして、この第2収容部70の開口部の縁部に沿うフランジ部70fが全周に渡り形成されている。このフランジ部70fにはさらにエラストマーラバー系またはシリコンラバーのシール部材9が約半分の深さで全周に渡り埋設されている。
第2蓋部材104は軸体104aにより基部727において回動軸支されており、正逆方向に駆動されるDCモータまたはステッピングモータであるモータM3により矢印A2方向に駆動されることで閉められた密閉状態になったときに、この第2収容部70の内部を外気と完全に遮断する状態にして、第2収容部70の内部を減圧状態に維持できるようにしている。
また、第2収容部70の両端の回動軸支部110a(図では手前側のみ図示)を上方において設けた第2圧送手段を構成する第2押圧部材110が内蔵されており、この第2押圧部材110の上方に固定されたフック207、207に対して第4容器2dの孔部7b(図1を参照)を、図示のように吊り下げるようにしてセットするようにしている。
さらに、この第2押圧部材110を回動駆動するための第2圧送手段を構成するエアバッグ156が図示のように第2押圧部材110の裏面側に配置されており、また第2収容部70の内部を加圧/排気状態にするために配管73が図示のように接続されている。これらの配管73は、3方電磁弁62を介してコンプレッサー55に接続される。これらの配管を介して加圧空気が第2収納部70の内部に導入される。なお、加圧空気については導入せずに、減圧空気のみ導入させて吸引動作機能のみを持たせても良い。
この第2収容部70に対する閉状態にされたときにその内部が見えるようにする第2蓋部材104は、約10mm厚以上の透明樹脂部材であるアクリル板から形成されている。この第2蓋部材4の上方の両側側面には一対の軸支部104aを設けており、基部27によりこれらの軸支部104aを軸支することで図示の途中まで開いた状態と、後述する閉じた状態に自動的にできるようにモータM3が連結されている。また、第2蓋部材104の下部には係止ピン721を植設した係止ブラケット720が固定されており、後述する係止ブラケットにより第2蓋部材104を密閉状態において係止するように構成されている。
また、図10(b)はチューブ15bがシール部材9と第2蓋部材104の間で挟持されることで気密状態を維持する様子を示した断面図である。本図において、第2収容部70のフランジ部70fにおいて全周に渡り半分が埋設するように設けられるシール部材9の一部には、チューブ15bの半円分よりもやや小さめの凹部9aが形成されている。一方、第2蓋部材104にもこのチューブ15bの半円分よりもやや小さめの凹部104kが形成されている。以上の構成により、チューブ15bについてもシール部材9と第2蓋部材104の間で気密状態に維持できるようにしている。
図11は、シール部材9の横断面図であり、フランジ部70fに圧入してセットした後の様子を示したものであり、試行錯誤の上で図示の寸法(mm)と充分に長いリップ部9aを略45度の傾斜角度で成形することで、良好な気密状態を維持できることがようやく確認されたものである。
図12は、吸引を行うために減圧状態にされる気密箱である第2収容部70を基部700に内蔵した様子を示した外観斜視図である。また、図13は図12のX−X線矢視図である。
図12と図13において、既に説明済みの構成部品については同様の符号をして説明を割愛すると、基部700は図示のように前面に開口した箱形状を有するように板金製として準備される。この内部において気密箱である第2収容部70を設けており、基部700の天井部分において第2蓋部材104を開閉自在に設けている。
このように、気密箱を減圧状態にするための気密位置に第2蓋部材104を駆動するための第2蓋駆動手段は、気密箱の上方の基部700の前面側に設けられた軸体104aを回動支点にするように軸支部705により軸支されて開閉自在に設けられる部材702に第2蓋部材104の上端側を固定している。この部材702の両端からはアーム部703,704が延設されており、このアーム部703、704は1方向クラッチ710、711の出力軸側に固定されている。1方向クラッチ710、711の入力軸側は軸体104aに固定されている。また、軸体104aにはギア714が固定されており、ブラケット712により基部700上に固定されているモータM3の出力軸に固定されたギア713にはギア714が噛合している。センサK3は、アーム部704に固定されたアクチエータ716によりオン・オフする。
一方、基部700の下方には装置外部から解除可能にするために、図2で述べた窓部27dから操作できる外部解除機構のレバー701が設けられている。
図12のY−Y線矢視図である図14を参照して、基部700の底面には係止ブラケット730がピン731を回動支点にして設けられている。この係止ブラケット730は、係止ピン721に対して係止する状態になるように引っ張りバネ740により付勢されており、ソレノイド742への通電で係止を解除するように部材743が連結されている。 レバー701は、引っ張りバネ738で常時図示の位置に移動付勢されるとともに、窓部27dを介して外部から押圧されることで係止ブラケット730の係止を解除できるように構成されている。センサK4は係止ピン721を植設した係止ブラケット720によりオン・オフされる一方で、センサK5は係止ブラケット730の延設部でオン・オフされる。
以上の構成により、押圧板110の移動による押圧力に耐えるように第2蓋部材104を不動状態に係止でき、また係止を解除することで第2蓋部材104を大きく約180度回動駆動することで図2(a)に示した開位置に回動駆動させることができる。
また、この第2蓋駆動装置は、第2蓋部材104が開位置から気密位置に駆動される途中、またはこれとは逆に気密位置から開位置に駆動される途中において、外部から加わる過剰負荷を防止するように上記のクラッチ手段である1方向クラッチ710、711を正逆方向に軸体104aに固定している。この結果、第2蓋部材104の開閉動作途中に予期しない外力が加わった場合には、スベリが発生して損傷することなく開閉することができるようになる。
次に、図15(a)〜(c)は、第2収容部70の動作説明図である。本図において、既に説明済みの構成部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、この第2収容部70内に設けられる第2押圧部材110の下方のエアバッグ156に対して配管73から分岐した不図示の配管を介して空気供給が行われることで、第2収容部70の底面と第2押圧部材110との間の空間で膨らむこととなり、図15(c)に図示の状態となる。
この結果、第4容器2dは第2蓋部材104との間で圧縮されて、チューブ15bを介して血液保存液を第1容器2aに向けて圧送できるようになる。このとき、ケース内部に空気を送り込み加圧状態にすることで第4容器2dの外周面全体を均等に押圧して、さらに積極的に圧送しても良い。
その後に、配管73から分岐した不図示の配管を介して空気が抜かれるように排気されることで、第2収容部70の底面と第2押圧部材110との間の空間でエアバッグ156が収縮するので、図15(a)に図示の状態に戻る。また、係止ピン721が係止ブラケットにより係止状態にされる。その後、内部を気密状態にした後に、配管73から減圧空気が内部に導入されることで、第4容器2dの内部に血漿を圧送できるようになる。そして、チューブ15bが高周波シールされて溶着された後にチューブ15bを切断した後に、図15(a)に示したように第2蓋部材104が自動的に開かれることで第4容器2dをフックから取り外して、外部に取り出せるように構成されている。
以上の構成において、チューブクランパの各クランパ部36、37、38、39を順次開閉し、かつ、第1容器2aを押圧することで第2容器2cに血漿層を圧送する状態と、第1容器2aから第3容器2bに白血球を含むバフィーコート層を圧送する状態と、第4容器2dから第1容器2aへ血液保存液を圧送する状態と、第2容器2cから第4容器2dに血漿を送る吸引状態とに適宜切り替えることで、血液保存液と赤血球層とを第1容器2a内に収容し、第2容器2cと第4容器2d内に血漿を収容する分離モードを実行できることとなる。この後、各チューブの溶着シールを行い漏れ防止し、チューブを挟みなどで切断した後に各容器を取り出せるように構成されている。
図16(a)は、フック107を固定した秤部材47aを介して第2容器2cの重量測定をする第2重量測定部102aの正面模式図である。また、図16(b)は、フック7,7を固定した秤部材47bを介して第1容器2aの重量測定をする第1重量測定部102bを斜め右下方から見た外観斜視図である。
各重量測定部101、102a、102bは、精密かつ安定した重量測定ができる歪ゲージでホイットストーンブリッジ回路を形成した秤機構により各容器の重量検出を行うものである。しかし、上記のようにフック7、107、207に各容器を引っ掛けた後に各栓体18を折り曲げることで連通状態にする作業が加わることから、重量測定に関係ない余分な荷重が加わることになる。この荷重は、歪ゲージ他の破損を招きかねないので、直に荷重が加わることがないように構成されている。
具体的には、図16(a)において、フック107を固定した秤部材47aは、リニアブッシュ49aを裏面に固定している。このリニアブッシュ49aは、基部27に固定されているリニアガイド50aにより上下方向に無負荷で案内される。また秤部材47aの底面には半球体の作用部材48aが固定されている。
一方、上面、下面の歪ゲージ53a、54aでホイットストーンブシッジ回路を形成し、図示のような「8」の字形状の孔部を形成した秤機構の一部をなす歪部材51aが、図示のような片支持状態となるように回動部材66に固定されている。この回動部材66は基部27のピン68a周りに回動自在に設けられるとともに、圧縮コイルバネ67aによる圧縮力を受けて上方に移動するように構成されている。また、歪部材51aの左側の端部には、上記の作用部材48aが当接する当接面を有した部材52aが固定されており、この下方のピン64に当接して過剰に下方に移動することを防止されている。
以上の構成において、秤部材47aはフック107に容器が吊るされることで下方に移動し、作用部材48aが部材52aを下方に押圧して移動することで、歪部材51aが下方に向けて変形し、この変形量に応じた電気出力信号が得られることとなる。以上のようにすれば、フック107に第2容器2cを引っ掛けた後に、栓体18を折り曲げるときに発生する余分な荷重は左右方向となることから、歪部材51aには伝達されないこととなる。
図16(b)のフック7、7を固定した秤部材47bについても略同じに構成されており、基部27bに固定されているリニアガイド50bにより上下方向に無負荷で案内されるリニアブッシュ49bを裏面に固定している。また秤部材47bの裏面には半球体の作用部材48b(破線図示)が固定されている。この作用部材48bは、部材52bの作用面52b1に当接作用するように、部材52bは図示のように直角形状の部材として準備され、歪部材51bの下側に固定されている。
以上の構成において、秤部材47bはフック7、7に第1容器2aの孔部7a、7a(図1を参照のこと)が吊るされることで下方に移動し、作用部材48bが部材52bの作用面52b1を下方に押圧して移動することで、歪部材51bが下方に向けて変形し、この変形量に応じた電気出力信号が得られる。以上のように構成することで、フック7,7に第1容器2a引っ掛けた後に栓体18を折り曲げるときに発生する余分な荷重は左右方向であり、歪部材51bには伝達されないこととなるので、精度が長期間に渡り保証できることとなる。
次に、図17(a)は、チューブクランプ手段の第1クランプ部36と気泡センサ13の構成を示した平面図、また図17(b)はその断面図である。本図において、既に説明済みの構成部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、チューブの第1クランプ部36、第2クランプ部38、第3クランプ部39にはチューブを一時的に閉塞(クランプ)することで圧送を停止させるためのチューブ閉塞機能に加えて、高周波でチューブを溶融させ溶着することで閉塞する溶着シール機能とが内蔵されている。
これらの各クランプ部の構成について、図17の第1クランプ部36で代表して述べる。基部27に固定されるベース板201には第1エアシリンダ36aが図示のような片支持状態で固定されている。この第1エアシリンダ36aには加圧タンク57(図18を参照)からの空気供給を受けて往復移動する電極205が設けられており、図示の開位置と後述する閉じた位置との間で駆動されるとともに、これに対向して、破線図示の電極204が起立部材202に固定されている。これらの電極204(+側)、205(−側)は、高周波を伝えるものである。
電極204、205の間には溝部203が起立部材202において形成されており、この溝部203中においてチューブを弾性変形させて挟持するようにしている。樹脂製のカバー208が2本のネジ210を用いて着脱自在に設けられている。このカバー208には溝部208bが上記の溝部203に相当する位置に設けられている。カバー208にはシャッタ部208aが下方に延設されており、ベース201上に固定されたセンサ211をシャッタ部208aで遮断することでカバー208が固定されている状態を検出可能にしている。また、発光LED素子212がカバー208の開口部208cから露出するように設けられており、不図示のセンサによりチューブの装填状態が正常であるとグリーンに点灯するようにしている。また、カバー208が外れた場合には、赤色に点灯して注意を促すようにしている。ここで、電極205はエアシリンダ又は電磁ソレノイド駆動される。
一方、気泡センサ13は、超音波発振器222と受信器233をカバー223に内蔵しており、これらの間においてチューブを保持して気泡検出を行う一方で、不図示のセンサによりチューブ11の装填状態を検出し、発光LED212でチューブのセット状況を知らせるようにしている。
次に、図18は、以上説明した多連式容器2を装置1にセットした後の様子を模式的に示した図である。また、図19は装置1のブロック図である。両図において、既に説明済みの構成部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、図18と図19において、界面設定部50で設定された界面設定位置が後述する記憶部40の不揮発性のEEPROM40cに記憶される。不揮発性のEEPROM40cは、上述の記憶データを書換え呼出しできるとともに、主電源を切った状態においても記憶データを消去しないようにしている。この結果、界面検出手段25が上記の界面設定部50で設定された境界面位置を検出する方式は以下のようになる。
演算制御部26が、界面検出手段25の検出位置を、今回の第1容器2aについて、界面設定部50が不揮発性のEEPROM40cに記憶させた境界面設定位置に対応している。
一方、第1容器2aに収容される血液成分の重量を測定する第1重量測定部102bと、第2容器2cの重量を測定する第2重量測定部102aと、第3容器2bの第3重量測定部101と、境界面検出部25によって検出された検出信号、各重量測定部101、102によって測定された測定信号、及び予め入力されているプログラムに基づきモータM1と各チューブクランパのクランプ部に設けられたエアシリンダの開閉を操作する信号を演算出力する演算制御部26とが接続されている。上記の各チューブのクランパ部36、37、38及び39はそれぞれエアシリンダ36a、37a、38a及び39aにより開閉駆動されるとともに、この各エアシリンダに空気を供給するように制御する電磁弁駆動回路36b、37b、38b、及び39bが入出力ポート31を介して演算制御部26に電気的にそれぞれ接続されている。
各重量測定部101、102a、102bは上記のように歪ゲージで形成されたホイットストーンブリッジ回路による重量計測回路35が、入出力ポート31を介して演算制御部26に電気的に接続されている。さらに、セットされた各容器2b〜2dに収容すべき液量を、今回使用の容器2b〜2dの容量に応じて設定するための液量設定部60を備えている。この液量設定部60で設定された設定液量を不揮発性のEEPROM40cに記憶させる。記憶部40は、上述の記憶データを書換え読出しできるとともに、主電源を切った状態においても記憶データを消去しないので、各重量測定部101、102a、102bは液量設定部60で設定された液量を以下のように測定する。
即ち、演算制御部26は、不揮発性のEEPRROM40cが記憶している液量設定部60の記憶データと、各重量測定部101、102a、102bの測定結果とを得て各重量測定部101、102a、102bの測定結果がそれらの設定液量に達したことを認識できる。
また、演算制御部26は、入出力ポート31から入力される各信号と、必要に応じて記憶部40(ROM40a、RAM40b、EEPROM40cを含む)から読み出した情報とに基づき演算して操作信号を各回路を介して各構成に出力する。そして、記憶部40のROM40aには、予め操作方法が記憶されているプログラムが装着されており、演算制御部26に電気的に接続されている。
尚、このプログラムは、例えば、200mL用ダブル(2連)バッグ、トリプル(3連)バッグ、クォドラプル(4連)バッグ、400mL用ダブルバッグ、トリブルバッグ、クォドラプルバッグ、それらの血液保存液入りバッグ、白血球除去フィルター付きバッグ等、血液バッグのタイプの種々の操作方向の各場合について使用でき、このプログラムをモード設定で選択することにより、操作方法を種々に変えることができる。
尚、ROM40aに装着されるプログラムは各操作方法毎に作られたプログラムカセットを、操作方法毎に交換する方式でも良い。ここで、ROM40aは、「リード・オンリー・メモリ」であり、液体分離操作を自動的に行なうためのプログラムが入っており、電源を切っても、その内容は失われることがない。又、その内容を書き替えることはできない。また、RAM40bは、「ランダム・アクセス・メモリ」であり、液体分離操作の途中で現在の分離操作が何ステップ目に有るかを記憶したり、液量の測定結果を記憶したり、境界面検出部の測定結果を記憶したり、演算制御部で行なっている演算の途中結果を記憶するためのメモリであり、電源を切ると、その内容は全て失われる。さらに、EEPROM40cは、「エレクトリカル・イレーサブル・プログラマブル・リード・オンリー・メモリ」であり、リード・オンリー・メモリとは言っても書き込み用の高電圧を印加することで内容を書き替えることが可能である。又、記憶した内容は電源を切っても消えない。このEEPROMには上述の種々の血液バッグのタイプ毎の、分離モード毎の境界面検出設定値、液量設定値が全て記憶されており、設定変更モードに切り換えた時のみ、設定内容を書き替えることができるようにしている。
即ち、演算制御部26は、界面検出部25によって検出された検出結果、重量測定部101、102a、102bによって測定された測定結果、及びプログラムに基づき空気圧シリンダによる第1容器2aの押圧と、ケース70内の減圧加圧状態と各チューブクランパの開閉を制御して、液体分離を自動的に行なうようにしている。この時、演算制御部26は、不揮発性のEEPROM40Cが記憶している界面設定位置及び設定液量のデータと、界面検出部25の検出結果と、各重量測定部101、102a、102bの測定結果とに基づき、界面検出部25の検出境界面が界面設定位置に達し、及び/又は各重量測定部101、102a、102bの測定結果が所定液量に達したことを認識してチューブクランプを閉止させ、分離動作を終了させる。また、各重量測定部101、102a、102bの重量測定結果が、後述のように各個別の表示部においてリアルタイムで表示されるので看護師は適宜溶着シールして容器を取り出せるようにしている。
この演算制御部26には、入出力ポート31を介して、電源部に接続される電源スイッチ41と、スタートスイッチ42と、上記の蓋スイッチ6に接続される蓋スイッチ回路43と停止スイッチ44等のスイッチ類並びに表示部500と初期設定部300が電気的に接続されている。
これらスイッチ類及び表示部は、図3で述べたように操作面27aの右側の使い易い所定位置に一括して配置されている。この表示部において使用プログラムの名称を表示し、このプログラムが正しいものであるかどうか確認できるようにしても良い。また、エラーメッセージ、例えば境界面レベル、各重量計に異常がある場合や、子バッグが所定個所にセットされていない場合、蓋部材が正しく係止されていない場合等はその旨が後述するように表示されるように構成されている。
さらに、図18において、コンプレッサー55に接続される加圧タンク57に対して配管を介して接続される電磁弁63が接続されるとともに、コンプレッサー55のオン・オフ制御を行うためのコンプレッサー駆動回路69が接続されている。また、配管73へ接続するため、3方向電磁弁62が設けられている。
また、センサK1、K4、K5に接続される蓋スイッチ回路43と、モータM1、M2、M3を駆動するように接続されるモータ駆動回路750と、センサK2、K3に接続されてモータの駆動制御を行うモータ回転検出部751とソレノイド651、607、742に接続されて通電制御を行うソレノイド駆動回路752がさらに接続されている。
以上説明した血液分離装置1の動作例を、図20の装置1の動作説明のフローチャートと、図21(a)〜(d)の動作説明模式図に基づき説明する。尚、両図において、既に説明済みの構成部品については同様の符号を附して説明を割愛することとする。尚、「エア抜き」モード設定がされた場合のフローチャートは後述する。
先ず、血液分離装置1に4連バッグ2であって供血者から400mL(cc)採血した第1容器2aを例えば、3000〜4000Gで5分間遠心分離したものを、図3で述べたようにセットするために電源スイッチ41がオンされることで第1蓋部材4が自動的に開く。他の容器も同様にセットする。
その後、スタート(開始)スイッチ42がオンされるとステップS98で各容器の内、第1容器2aと第2容器2cの重量測定であって、風袋を除いた血液成分の重量測定が上記の各重量測定部で実施されて、ステップS99で重量測定結果の表示が行われる。また、同時に各収容部の蓋部材の開閉状態を検出するセンサがオンされており第1収容部3と第2収容部70の各蓋部材4、104が閉じられていることを判断する。この際に、セット異常状態があるとその旨が表示されるから、これを見て判定することになり、異常があると、停止スイッチ44をオンして全面解除し、第1容器2aの位置を所定位置に再度セットするなどして、再びスタートスイッチ42をオンする。ステップS102で、各重量測定部101、102a、102bが所定の重量(風袋を除いた重量)を示するとともに、各容器2c、2b、2dが所定位置にセットされているか否かを判定する。これは表示されるから、これを見て判定する。
そして、ステップS102の答が肯定であればステップ103に進み、チューブクランパ手段の第1〜第4クランプ部36、37、38、39が全て閉にされる。そこで、第1容器2aのチューブ11内に内蔵された栓体18を折り、第1容器2aとチューブ11を連通すると同時に、バッグ2dのチューブ15bに内蔵された栓体18を折り、第4容器2dとチューブ15bを連通する。
次に、スタートスイッチ42をオンしてステップS104に進み、第1クランプ部36及び第2クランプ部38が開かれ、第4クランプ部37と第3クランプ部39が閉となる。次にステップS105に進み、第1押圧部材10をモータM1への通電で回動させることで第1容器2aの加圧が第1蓋部材4との間で開始されることで、第1容器2aの血漿層Cは第2容器2cに圧送され始めることで、図21(a)に図示のようになる。
次に、ステップS106に進んで、血漿層Cとバフィーコート層Dとの界面が界面検出部25にて設定された位置に達したか否かが判定される。このステップS106での答が否定であれば、ステップS105に戻り、第1押圧部材10の押圧を続行して血漿層Cを第2容器2cに圧送する。このとき、第2容器2cの重量測定は重量測定部102aで連続測定され、測定結果が表示される。このステップS106での答が肯定であればステップS107に進み、図21(b)に示したようにチューブクランパ手段の第1クランプ部36及び第4クランブ部37が開され、第2クランプ部38及び第3クランプ部39が閉となり、第3容器2bに血漿層Cの一部とバフィーコート層D及び赤血球層Eの一部が圧送される状態になる。
次に、ステップS108に進み、第3重量測定部101の測定結果を得て、第3容器2b内に入った血液重量が所定重さになったか否かを判定する。このステップS108での答が否定であれば、その先のステップに進まず、重量が所定重さになるまで待つ。ステップS108での答が肯定であれば、ステップS109に進んで、第1押圧部材10の加圧を停止してステップS110に進む。
このステップS110では、図21(c)に示すように、第1クランプ部36及び第3クランプ部39が開であり、第4クランプ部37と第2クランプ部38が閉となる。これに続きステップS111に進み、3方向電磁弁62(図18参照)によりコンプレッサー55で加圧された空気が配管73を経て送られて第2収容部70内のエアバッグ156が膨らむことで第2押圧部材110を移動して、第4容器2dに収容されていた血液保存液の約半分が第1容器2a中に短時間で圧送される。この状態をステップS112において、第1重量測定部102bで検出し、その測定結果を得て、第1容器2a内に入った血液保存液がなくなったことを判断する。このステップS112での答が否定であれば、ステップS111に戻る。このようにして、重量測定部102bで測定された第1容器2aの重量を常に視認できるようにしている。以上の動作により、第1容器2a中に血液保存液が導入される。
次に、ステップS113において、図21(d)に示すように、クランプ部38及び39が開、クランプ部36及び37が閉となる。その後、ステップS114において、第2収容部70の内部を配管73を介して減圧(又は、大気開放)するとともにエアバッグ156を縮小させて、第2容器2c中に一時的に収容された血漿を第4容器2d内に短時間で送るように吸引する。ここで、図21(a)〜(d)に示した動作状態である第1〜第4容器の間に連通状態については、図22に示す表示部500においてカラー表示するようにしても良い。
以上で、遠心分離された血液成分の分離と血液保存液の導入が終了することとなる。この後、各クランプ部の高周波シール機能により各バッグのチューブを溶着シールした後に、第1容器2a、第4容器2dのチューブをはさみ等で切断し、これらの切断された第1容器2a及び第4容器2dを、冷蔵庫などの所定の保管場所に保管することで、血液製剤を得る。尚、上記の自動シールを予め初期設定として選択した場合には、各クランプ部の高周波シール機能が自動作動し、自動でチューブが溶着シールされる。上述の処理フローは、一例であってこれに限定されるものではない。
尚、本発明は上記実施形態に限定されず、たとえばモータ駆動される送りねじ機構により第1押圧部材10を回動駆動するためにロッド57を往復駆動する構成に換えて空気圧シリンダを使用しても良い。
図22は、図3に示した表示部500と初期設定部300に配設される各スイッチ及び表示部のレイアウト図である。本図において、既に説明済みの構成部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、図22において、第1重量測定部により重量測定された第1容器2aの重量を表示する第1重量表示手段と、第2重量測定部により重量測定された第2容器2cの重量を表示する第2重量表示手段と、第3重量測定部により重量測定された第3容器2bの重量を表示する第3重量表示手段と、第4容器2dの重量を表示する第4重量表示手段とに加えて、上記の各開始スイッチ42と停止スイッチ44とが同じ枠内に図示のように配設されている。また、図示の各スイッチと表示部は同一の実装回路基板上に実装されるとともに、表面において凸状にディンプル加工され所定事項を裏面側から印刷した樹脂シートカバーで覆われており、液体を扱う関係上から耐防水性が確保されている。
開始スイッチ42は、1回押すと全部のクランプ部が閉じられることで、待磯状態から分離準備状態になる。また、これを2回押すと分離動作を開始することで、分離準備状態から分離状態になる。また、左上の発光LEDがスイッチの押圧で点灯する。解除スイッチ501は、これが押されると第1収容部3、第2収容部70の各蓋部材が自動的に開くようになる。また、左上の発光LEDがスイッチの押圧で点灯する。
左下の停止スイッチ44は、分離中にこのスイッチが押されると、分離動作を中断し分離終了に移行する。このとき左上のLEDが点灯する。また、内蔵ブザーの鳴動中にこのスイッチが押されるとプザーを消音する。
停止スイッチ44の上の血液保存液ドアである第2蓋部材104の開閉スイッチ部530は、第2蓋部材104の開閉をするために押されることで自動閉閉する。しかし、分離中は押圧しても無効となる。また、左上のLEDは第2蓋部材104の開閉動作中は点滅し、開いた状態では点灯する。右隣りの手動シールスイッチ502は、分離終了状態でこのスイッチが押されると、溶着シールがされていないチューブのクランプ箇所の溶着シールを行う。
バッグ(容器)サイズスイッチ及びその表示部504は、第1容器2aのサイズである200mlまたは400mlの選択を行うために押圧され、結果が左上のLEDで点灯表示される。
次に、さらに小さい枠で囲まれた最上部のバーコード未読表示部516は、バーコード未読状態であって、次工程に移ろうとしたときに点灯して表示する。「製剤番号」の表示部と、「バッグ」の表示部と、「オペレータ」の表示部は、バーコードをハンディバーコードリーダ400で読み取るタイミングで点灯する。そして、バーコード読取完了時まで点灯し、解除スイッチ501が押されることで待機状態に移行するときに消灯する。
次に、第2重量表示手段である血漿重量表示部517は、血漿分離の終了後に、待機中に各分離結果の重量を4桁表示の発光LEDで表示する。また、第4重量表示手段である血液保存液重量表示部513は、分離終了後に、待機中に血漿の秤量結果を4桁表示の7セグメントの発光LEDで表示する。この左上の秤量内容表示部515は、血液保存液容器である第4容器2dの秤量内容を表示するために「MAP」の印刷文字の下に内蔵のLEDが、血液保存液量で決まる血液保存液重量表示時に点灯する。また、「血漿量」の印刷文字の下に内蔵のLEDは血漿小分け重量表示時に点灯する。
これらの表示部からはチューブが、図示のように多連式容器と同じように印刷表示されている。このチューブ印刷部の途中のシール選択スイッチ及びその表示部538はクランプ部38に対応付けされた位置に配置されており、分離準備中にこのスイッチを押すと、自動/手動シールが切り替わる、このとき左上の発光LEDが点灯し、さらにクランプ部38の発光LEDの表示色が変化する。シール選択スイッチ及び表示部539は、第2クランプ部39に対応しており、分離準備中にこのスイッチを押すと、自動/手動シールが切り替わる。そして、左上の表示灯が自動点灯する。
第3重量測定部による重量測定結果を表示するバフィーコート層重量表示部510は、分離終了後に、待機中においてバフィーコート層の秤量結果を表示する。また、クランプ部37が図示のように印刷されている。
また、シール選択スイッチ及び表示部536は、第1クランプ部36に対応しており、分離準備中または設定時にこのスイッチを押すと、自動/手動シールが切り替わる。そして、左上の表示灯が自動点灯する。
第1重量表示手段である秤量内容表示部505は、第1容器(親バッグ)重量表示部であって、血漿を第2容器2cに分離完了後、または血液保存液を第4容器2dから第1容器2aに導入中に重量測定を行い、その結果の表示を行う。左上の全血量表示部508は、分離前の第1容器2aの重量の表示時に点灯する。右上のCRC表示部509は、分離後の第1容器2aのCRC重量の表示時に点灯する。 次に、上下線で仕切られた範囲に配置された分離中表示部512は、開始スイッチ42が1回押されると点減して分離準備であることを表示し、2回目が押されると内蔵の発光LEDが点灯して分離中であることを表示する。その下の異常表示部511は、重量不足の場合において全血、CRC、血漿、血液保存液の各液量の不足時に各印刷文字の下に内蔵の発光LEDが点灯して表示する。また、重量過多時において、全血、CRC、血漿の重量過多時に点灯して表示する。以下、表示文字の下方には発光LEDが内蔵されており点灯する。
その下の分離種類スイッチ及びその表示部507は、上下矢印のどちらかのスイッチが1回押される毎に分離種類を発光LEDの「1〜9」で表示する。この分離種類は、後述するように秤量内容表示部505を確認しながらユーザは任意に設定できるが、出荷時にはデフォルトで必要な分離機能を実現する設定がされている。
そして、秤表示切替部506は、そのスイッチが押されると重量表示部を秤表示に切替えるためのものである。
以上の各表示部505、510、513、517は、分離時において、操作ミスやチューブ接続不良などの異常状態となったときには、この各重量表示部505、510、513、517において、例えば血漿のチューブなし状態を「E−04」と表示して異常原因を知らせるようにしている。このとき、装置1の起立部の上面において最も目立つ位置に固定されている動作インジケータ20に内蔵の発光LEDによる点滅などで同時に異常発生を知らせるようにしても良い。
次に、初期設定部300において同じ枠内に配設される校正/設定スイッチ301は、分離モードから校正、界面確認モード、時計設定/確認モード、設定モードに1回押される毎に切り替える。右隣りの項目スイッチ302は、各設定モードの項目を切り換えるために押される。
また、上下方向矢印で示した値変更スイッチ303は、各設定値の値を変更するために押される。すなわち、値を上げるときは上向き矢印スイッチを押し、下げるときは下向き矢印スイッチを押すようにする。右側の決定スイッチ304は、各設定値の記憶をするときに押される。
以上の各スイッチの下段には、校正モードに内蔵のLEDの点灯表示を行う校正表示部305と、界面確認モード時に内蔵のLEDの点灯表示を行う界面確認部306と、時計設定モード時に内蔵のLEDの点灯表示を行う時計設定部307と、設定モードの表示時に内蔵のLEDの点灯表示を行う設定部308とが配置されている。
次に、図23は、パラメータの設定項目表の例であって、各内容と設定範囲について記載されている。また、図24(a)はこのパラメータの設定項目表に基づき分離の種類を設定するときの秤量内容表示部505の4桁の表示内容を示した図である。そして、図24(b)は分離種類の設定を上記の初期設定部300に設けられたスイッチを押圧して設定するフローチャートである。分離の種類は、1.血漿取り切り、2.血漿分割、3.余剰血漿、4.血漿(2単位+1単位)に加えて、白血球除去フィルタ付きセット使用時の気泡抜き取りがある。
分離の種類の変更をする場合には、図24(b)のフローチャートにおいてステップS20で解除スイッチ501を押す。次に、ステップS21で校正/設定スイッチ301を長く(2秒以上)押す。すると表示部505の発光LEDが点滅する。そこで、項目スイッチ302を押すと「1401」と表示される。この内容は、分離種類番号1のときは、400mlの第1容器を使用し、境界面センサ位置が1であることを意味するので、これで良い場合には決定スイッチ304を押す。続いて、境界レベルを代えたい場合にはスイッチ303を押して上下に設定し、最後に決定スイッチ304がステップS26で押されることで分離モードの登録を終える。
また、図23に示したようにパラメータには、境界面センサ位置のほかに、気泡抜き、気泡収容容器の設定、血漿小分けモードの4通りの設定、血漿量のゼロから250グラムの間の設定、バフィーコート層の重量設定、血液保存液の重量設定、溶着シールの手動、自動切換えなどがある。
図25は、分離パラメータ初期値一覧表の例であり、図23のパラメータに対応しており、表中において「200」は、200mlの容器にモード設定されたことを示し、「400」は400mlの容器にモード設定されたことを示している。 詳しい説明は省略するが、例えば図表において、設定項目1では界面センサ位置を0〜8の範囲で設定することができるが、このとき分離の種類として、血漿分割モードに設定されると、このモードでは400mlの容器しか使用しないことから界面センサレベルは自動的に8に設定される一方で、余剰血漿モードでは400mlの容器では8のレベルに、また200mlの容器では同様に8のレベルに設定される。
また、設定項目2における気泡を抜き取るための「エアー抜き」では、分離の種類の白血球除去フィルター80(図28を参照)を設けた多連式容器20を使用した血漿抜き取りモード時においてのみ気泡検出有りが自動的に設定される。以下、図表のように設定項目別に設定される。この多連式容器20は、一例であって、これに限定されるものではない。
図28において、図1で既に説明済みの構成部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、血液分離の前段階として、原料血液は献血者から穿刺針81とチューブ79aを介して抗血液凝固液を予め溜めた200mlまたは400mlの採血容器2a0中に導入される。その後、栓体18を折り連通状態にし、白血球除去フィルター80と、チューブ79を経て重力落下作用によって、第1容器2aに原料血液を導入する。その後に、チューブ79をシールし、切断する。以上の結果、白血球が予め除去されるので、白血球のバフィーコート層を分離する工程が不要となるが、白血球除去フィルター80に含まれる主に空気の気泡が、第1容器2aにそのまま導入されることから、血漿を第2容器2cに分離する際に、気泡が導入されないようにする必要がある。
図26は、第3容器2bに気泡を送るように「エアー抜き」モード設定がされた場合における動作説明のフローチャートである。
このモードに設定され、開始スイッチ42が押されることで開始すると、ステップS98で各容器の内で、第1容器2aと第2容器2cの重量測定が各重量測定部で実施されて、ステップS99で重量測定結果の表示が行われる。その後、全クランプが開いた状態からステップS201において、第2クランプ部38、第3クランプ部39を閉じるとともに、第1クランプ36、第4クランプ部37を開くように各エアシリンダが駆動される。これで気泡を圧送する準備ができたので、ステップS202でモータを起動して、第1押圧板を駆動して第1容器2aを押圧する。これに続き、ステップS203では、気泡がチューブ11を介して圧送される。次に、ステップS204では気泡センサに内蔵の超音波式センサで気泡検出が行われ、検出結果を演算制御部26(図19参照)に送る。次に、ステップS205に進み演算制御部26において、気泡有ると判断されるとステップS202に戻り、気泡を第3容器2bに対して引き続き送り出す。ステップS202で気泡検出無しを検出すると、ステップS206に進むことで第4クランプ部37を閉じることで、気泡が第3容器2bであって、血漿または赤血球層を収容しない容器中に送り出されて、気泡除去またはエアー抜きを終了する。その後の処理は、バフィーコート層の除去工程を除いて、前述の図15に基づき説明した工程を同様に行い、血液分離が行われる。なお、気泡センサ13を用いて、第4容器2d中の血液保存液の第1容器2aへの導入終了を検出することも可能となる。また、第3容器2bを、設けず、第4容器2dへ気泡を送るようにした血液容器に適用することもできる。
図27は、装置1の動作説明のフローチャートである。本図に図22をさらに参照して、分離終了までの概略について述べると、ステップS1において電源オフ状態から装置1の電源スイッチ41が入れられ、各容器とチューブがセットされると、ステップS2のセルフチェック動作が開始されてセルフチェックプログラムが自動的に起動されて、各構成が正常に機能することが確認される。正常であるとステップS3の始業点検動作に入り、初期設定スイッチ300が押圧されて行われる諸設定モードの確認を行うためにステップS4に進み、校正/設定スイッチ301のオン・オフを確認する。このステップS4でスイッチがオンされたことが確認されると、ステップS5に進み、校正、界面確認、時計設定、モード設定後にステップS7の待機状態になる。
例えば、校正において第1重量測定部の歪ゲージの秤の校正を行う場合には、200グラムの錘をフックに引っ掛けることで、表示部505に「200」と表示されるまで、スイッチ303のいずれかを押圧し、「200」と表示されると決定スイッチ304を押して決定することで秤の校正が終了する。
このステップS4で所定時間内にいずれのスイッチもオンされないことが確認されると、ステップS3に戻る。ステップS3の次に、ステップS6に進み解除スイッチ501が押されるとステップS7の待機状態になり、ステップS8に進み開始スイッチ42が押されるのを待つ。開始スイッチ42が押されると、ステップS9に進み各クランプ部でのチューブ閉塞と各押圧部材の起動のための分離準備に入り、ステップS10における分離動作を行う。
このステップS10における分離動作の終了後に自動シールが設定されていた場合にはステップS11においてチューブを溶着シールする。また、手動シールが設定されていた場合には分離工程終了を知らせる(ステップS12)ことにより、手動による溶着シールを促す。
上記のように、例えば第2容器2cから第4容器2dに分離された血漿を圧送する状態に切り替えるためには、従来の装置では、懸垂されている状態の第2容器2cをフックから取り外し、下方位置に置くことで重力の作用で送るように構成されていたために、かなりの時間を要する問題があったが、この作業が不要となる。
特に、第2容器から第4容器に血漿を圧送する状態に切り替える操作を忘れた場合には第1容器2aに血液保存液と赤血球層とを収容し、かつ第4容器2dに血漿を収容した状態には、永遠できなかったが、上記の装置ではこの分離を全自動で行うことができる。
さらに、赤血球層が残る親バッグである第1容器の重量測定結果がリアルタイム乃至は所定時間ごとに表示されるので、第1容器が所望の重量になったときには任意にチューブを上記の溶着シールあるいはクレンメなどのクランプ部材を用いて閉塞した状態で、いつでも取り外すことができる。このため、赤血球の輸血が緊急に必要な場合にも柔軟に対応できる。
図29は、第1蓋駆動機構の動作説明のフローチャートである。本図において、第1蓋部材4を開位置に駆動し、押圧位置まで駆動する制御例を示す。図29と図8の外観斜視図を参照して、回動部材601が重量測定位置に予め回動されておりステップS301において解除スイッチ501が押圧されると、ステップS302に進み、ソレノイド651への通電が行われて、ステップS303において係止爪部材652、653の回動(F2、F4方向)が実施される。この結果、ステップS304において、第1蓋部材4の係止解除がされて、ステップS305において穏かに第1蓋部材4が前方に開き、開位置で停止して図7(a)に示した状態になる。
そこで、ステップS306に進み、第1容器2a(親バッグ)をフック7に懸垂する。次に、ステップS307で第1蓋部材4を手動で重量測定位置まで閉じる。するとステップS308において、係止爪部材652、653がF2、F4の逆方向に移動されて係止される。この状態を、ステップS309においてセンサK1で検出する。以上でステップS310で第1蓋部材4が機械的かつ電気的に係止されたことが検出されるので、ステップS311において図20のステップS98の重量測定を行う。これに続き、ステップS312に進み、モータM2への通電がステップS313でセンサK2で検出されるまで行われることで、回動部材601が回動されて、容器を第1蓋部材4を第1押圧部材10との間で挟持する押圧位置に移動する(ステップS314)。
続いて、ステップS315で固定部材604が回動部材601のピン603に係止されて、ステップS316で輸液準備が終了する。そこで、モータM1への通電により押圧板を移動してステップS318で圧送(送液)を行う。以上のように制御することで、確実な重量測定を行える。
最後に、図30は、第2蓋駆動装置の動作説明のフローチャートである。本図と、図12の外観斜視図と図13、図14において、第2蓋部材104が密閉位置から上方に約180度駆動される場合について述べると、ステップS401において開始スイッチ42の押圧がされるとステップS402に進み、ソレノイド742への通電がされて、ステップS403では係止部材730の回動が行われて、ステップS404でセンサK5による検出がされる。ステップS405で第2蓋部材104の係止解除が確認される。ステップS406ではモータM3への通電がされ、ステップS407でセンサK4による検出があるまで実施される。ステップS408では第2蓋部材104が上方に向けて回動駆動される途中で外部から不注意または事故により加わる過剰負荷をクラッチ710、711におけるスベリで防止する。そして、ステップS409では第2蓋部材104の回動(A1方向)を行い、ステップS410でセンサK3で検出するまで、モータ駆動を行う。
以上で、図2(a)に図示の状態になるので第4容器(MAPバッグ)2dを第2押圧部材110のフック207に懸垂する(ステップS411)。
次に、ステップS412においてモータM3への通電を行い、ステップS413で第2蓋部材104の回動(A2方向)駆動を行い、その回動途中で外部の過剰負荷をクラッチ710、711で防止し(ステップS414)、ステップS415で第2蓋部材104が係止部材730で係止される(ステップS415)ので、ステップS416における輸液準備終了となり、MAPの輸液が可能になる。