JP4427705B2 - 撮像装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は撮像装置に係り、特に絞り依存感度低下を補正する撮像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
絞り依存感度低下とは、絞りに依存して本来受光できる受光量よりも受光量が少なくなり、見かけ上の感度が低下することをいい、撮影光学系と撮像素子の各受光センサごとに設けられているマイクロレンズとの組み合わせで発生し、開放絞りになる程、低下度合いが大きくなる特性をもっている。
【0003】
カメラの露出制御は、被写体の明るさ(撮影EV 値)を測定し、絞り値(AV )とシャッタスピード(Tv )とが、EV =AV +Tv の計算式を満たすように使用する絞りとシャッタスピードとを決定する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、撮像時に使用する絞りによって上記のような絞り依存感度低下が発生すると、露出制御に影響し、正確な露出制御ができないという問題がある。また、絞り装置(特に虹彩絞り)は、使用する各絞りと理論値とに誤差が生じ、これによって正確な露出制御ができないという問題がある。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、絞り依存感度低下や絞りの精度誤差にかかわらず、正確な露出制御を可能にし、また撮影した画像のS/N劣化を抑制して絞り依存感度低下等を有効に補正することができる撮像装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の第1の態様に係る撮像装置は、撮影光学系と、複数段又は無段階の絞りを有する絞り手段と、前記撮影光学系及び絞り手段を介して被写体像を受光し、該被写体像を示す画像信号を出力する撮像素子と、前記絞り手段での使用絞りごとに前記撮像素子を介して得られる画像信号の明るさを示す信号量と所定の基準量との差分を記憶する記憶手段と、撮影時に前記絞り手段の使用絞りに基づいて前記記憶手段から差分を読み出し、前記差分を前記画像信号に対する利得を制御することによって補正する補正手段とを備えたことを特徴としている。
【0007】
即ち、絞り依存感度低下や絞りの精度誤差に起因して生じる、実際の受光量と本来受光すべき受光量との差分を、予め使用絞りごとに記憶手段に記憶しておく。そして、撮影時に使用する絞りから受光量の差分を前記記憶手段から読み出し、その差分を画像信号に対する利得を制御することによって補正するようにしている。
【0008】
本発明の第2の態様に係る撮像装置は、撮影光学系と、複数段又は無段階の絞りを有する絞り手段と、前記撮影光学系及び絞り手段を介して被写体像を受光し、該被写体像を示す画像信号を出力する撮像素子と、前記絞り手段での使用絞りごとに前記撮像素子を介して得られる画像信号の明るさを示す信号量と所定の基準量との差分を記憶する記憶手段と、撮影時に前記絞り手段の使用絞りに基づいて前記記憶手段から差分を読み出し、前記差分を前記画像信号に対する利得及び露光時間を制御することによって補正する補正手段とを備えたことを特徴としている。
【0009】
即ち、前記差分を画像信号に対する利得のみで補正すると、画像信号のS/Nが劣化するが、露光時間による差分の補正を併用することにより、画像信号のS/Nの劣化を抑制するようにしている。
【0010】
本発明の第3の態様に係る撮像装置は、上記第2の態様において、前記補正手段が、前記差分が所定範囲内の場合には、前記露光時間の制御によって前記差分を補正し、前記差分が前記所定範囲を超えると、前記露光時間の制御及び前記画像信号に対する利得制御によって前記差分を補正することを特徴としている。即ち、前記差分が所定範囲内の場合には、露光時間の制御によって前記差分を補正することにより、画像信号のS/Nの劣化を抑制し、前記差分が所定範囲を超えた場合に露光時間による差分の補正を併用するようにしている。
【0011】
本発明の第4の態様に係る撮像装置は、上記第2又は第3の態様において、前記露光時間による前記差分の補正範囲が、該露光時間による露出制御の刻み幅の2分の1以下とし、前記補正手段は、前記差分が前記露光時間による補正範囲内の場合には、該差分を露光時間を制御することによって補正し、前記差分が前記露光時間による補正範囲を超えると、その補正範囲を超えた分の差分を前記画像信号に対する利得を制御することによって補正することを特徴としている。
【0012】
前記露光時間による前記差分の補正範囲を、露光時間による露出制御の刻み幅の2分の1以下とした理由は、前記刻み幅の2分の1を超えて補正すると、撮影者が設定した露光時間又は自動的に設定された露光時間と異なる露光時間で撮影されるおそれがあるからである。
本発明の第5の態様に係る撮像装置は、上記第4の態様において、前記使用する絞りの絞り値、及び前記刻み幅で制御される露光時間をそれぞれ表示する表示手段を有することを特徴としている。
【0013】
本発明の第6に係る撮像装置は、撮影光学系と、複数段又は無段階の絞りを有する絞り手段と、前記撮影光学系及び絞り手段を介して被写体像を受光し、該被写体像を示す画像信号を出力する撮像素子と、前記絞り手段での使用絞りごとに前記撮像素子により実際に得られる画像信号の明るさを示す信号量と、前記使用絞りを用いたときに本来得られる信号量との差分を記憶する記憶手段と、閃光手段と、閃光撮影時における前記絞り手段の使用絞りに基づいて前記記憶手段から前記差分を読み出し、前記画像信号に対する利得及び前記閃光手段の光量を制御することによって、前記撮像素子により実際に得られる画像信号の信号量を補正する補正手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
閃光撮影時に前記差分を画像信号に対する利得のみで補正すると、画像信号のS/Nが劣化するが、閃光手段の光量制御による差分の補正を併用することにより、画像信号のS/Nの劣化を抑制するようにしている。
【0015】
本発明の第7の態様に係る撮像装置は、上記第6の態様において、前記閃光撮影時はスローシンクロ又は日中シンクロ撮影時であることを特徴とする。
本発明の第8の態様に係る撮像装置は、上記第6又は第7の態様において、前記補正手段は、前記差分が所定範囲内の場合には、前記閃光手段の光量制御によって前記差分を補正し、前記差分が前記所定範囲を超えると、前記閃光手段の光量制御及び前記画像信号に対する利得制御によって前記差分を補正することを特徴とする。
本発明の第9の態様に係る撮像装置は、上記第6から第8の態様において、前記補正手段が、前記差分が所定範囲内の場合に、前記差分の絶対値が大きいほど前記閃光手段の発光時間を長くすることを特徴とする。
本発明の第10の態様に係る撮像装置は、上記第6から第9の態様において、前記閃光手段が、加えられる基準電圧が高いほど発光時間が長くなるように構成されており、前記補正手段が、前記使用絞りにおける適正な撮影のための基準電圧をVref、前記信号量の補正量をdSSvとしたときに、前記閃光手段に加える基準電圧Vref´を、
Vref´=Vref×2 dSSv ,
により設定することを特徴とする。
【0016】
本発明の第11の態様に係る撮像装置は、上記第6から第10の態様において、前記画像信号のデジタル値に対してデジタルゲイン値を乗算するデジタルゲイン乗算手段を有し、前記補正手段は、前記画像信号に対する利得を制御する際に、前記デジタルゲイン乗算手段に付与するデジタルゲイン値を制御することを特徴としている。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って本発明に係る撮像装置の好ましい実施の形態について詳説する。
【0018】
まず、本発明の概要について説明する。
【0019】
撮影光学系と撮像素子上のマイクロレンズとの組み合わせにより、絞り径の大きな絞りで撮影する場合には、絞り依存感度低下が大きくなり、本来受光すべき受光量よりも実際に受光する受光量が少なくなり、一方、絞り径の小さな絞りで撮影する場合には、絞り依存感度低下が小さく、本来受光すべき受光量と実際に受光する受光量とがほぼ一致する。
【0020】
いま、図1に示すように被写体の明るさ(撮影EV 値)により、絞り径の大きな大絞り(例えばF=2.8)を使用して撮影する場合と、絞り径の小さな小絞り(例えばF=5.6)を使用して撮影する場合について考察する。
【0021】
大絞りでの絞り依存感度低下ΔAV を0.4 とし、小絞りでの絞り依存感度低下ΔAV を0とすると、撮像素子から得られる画像信号の信号レベルは、図1に示すように大絞りの場合には、本来受光すべき受光量よりも実際に受光する受光量が少なくなり、アンダー露光となる。一方、小絞りの場合には、本来受光すべき受光量と実際に受光する受光量とが一致し、適正露光となる。
【0022】
本発明は、絞り依存感度低下によって本来受光すべき受光量よりも実際に受光する受光量が少なくなる場合に、その不足分を画像信号に対する利得を調整することによって補正するようにしている。
【0023】
また、画像信号に対する利得制御のみで補正すると、画像信号のS/Nが劣化するため、所定の範囲内でシャッタスピードも補正するようにしている。
【0024】
更に、閃光撮影時には、シャッタスピードによる受光量の補正が適正に行われなくなるため、シャッタスピードによる補正の代わりに、ストロボ発光量で補正するようにしている。
【0025】
更に、絞り装置(特に虹彩絞り)は、機械的な精度誤差によって使用する各絞りの絞り値と理論値とに誤差が生じ、これにより本来受光すべき受光量と実際に受光する受光量とに誤差が生じる。本発明はこの誤差も絞り依存感度低下の補正と同様に補正するようにしている。
【0026】
次に、本発明に係る撮像装置の実施の形態における具体的な絞り依存感度低下について説明する。
【0027】
本発明に係る撮像装置では、後述するように虹彩絞りを使用しており、この虹彩絞りは、AV 値3(F=2.8)〜AV 値7(F=11) まで、1/3・AV 刻みで13段の使用絞りを有する。
【0028】
図2(A)は上記虹彩絞りと本発明に係る撮像装置の撮影光学系と撮像素子のマイクロレンズとの組み合わせで発生する絞り依存感度低下の一例を示すグラフである。
【0029】
一方、図2(B)は上記虹彩絞りの各絞りの絞り値(AV 値)と理論値との誤差の一例を示すグラフである。
【0030】
従って、図2(A)に示す絞り依存感度低下と、図2(B)に示す虹彩絞りの各絞りの理論値からの誤差とのトータルの感度誤差は、図2(C)のグラフに示すようになる。図4は上記絞り依存感度低下、絞りのバラツキ、トータルの誤差を数値で表した図表である。
【0031】
図4は本発明に係る撮像装置において使用するプログラム線図の一例を示す。
【0032】
この撮像装置における露出制御は、被写体の明るさ(撮影EV 値)を測定し、この撮影EV 値から図4に示すプログラム線図に基づいて絞り値(AV 値)とシャッタスピード(Tv 値)を決定する。
【0033】
ここで、撮影EV 値、AV 値、Tv 値は、次式の関係、
【0034】
【数1】
EV =AV +Tv
があるが、上記のように絞り依存感度低下等があるため、本来受光すべき受光量を得るためには、次式、
【0035】
【数2】
EV =AV +Tv +ΔEV
に示すように、本来受光すべき受光量と実際に受光する受光量との差分を相殺するための値(以下、「感度低下値」という)ΔEV だけ別途露出制御する。
【0036】
即ち、図3に示したトータルの誤差を相殺するため、この誤差と符号が逆の感度低下値ΔEV を予め不揮発性メモリに記憶させ、撮影時に使用する絞りに応じて不揮発性メモリから感度低下値ΔEV を読み出し、その読み出した感度低下値ΔEV だけ別途露出制御する。尚、感度低下値ΔEV は、絞り依存感度低下による光量の不足分を補正する場合、正の符号となるが、虹彩絞りの各絞りの理論値からの誤差は、正負の符号をとるため、負の符号となる場合もある。
【0037】
次に、上記感度低下値ΔEV を補正するための露出制御について説明する。
【0038】
この実施の形態では、前記感度低下値ΔEV を補正する露出制御を、シャッタスピード及び画像信号に対するデジタルゲインを補正することによって行う。
【0039】
図5(A)は感度低下値ΔEV をシャッタスピードで補正する様子を示すグラフであり、図5(B)は感度低下値ΔEV をデジタルゲインで補正する様子を示すグラフであり、図5(C)は感度低下値ΔEV をシャッタスピード及びデジタルゲインの双方で感度低下値ΔEV を補正する様子を示すグラフである。
【0040】
図5(A)に示すように感度低下値ΔEV のうち±0.1 EV をシャッタスピードで補正する。即ち、ΔEV ≧0.1 EV の場合には、シャッタスピードによる補正値ΔTv =0.1 Tv とし、ΔEV ≦0.1 EV の場合には、シャッタスピードによる補正値ΔTv =−0.1 Tv とし、|ΔEV |<0.1 EV の場合には、シャッタスピードによる補正値ΔTv =0とする。
【0041】
一方、シャッタスピードで補正できない感度低下値ΔEV の残りの低下分は、デジタルゲインで補正する。即ち、|ΔEV |≧0.2 EV の場合には、デジタルゲインによる補正値ΔSv を±0.1 Sv 、±0.2 Sv …の0.1 Sv 刻みで補正する。尚、|ΔEV |<0.2 EV の場合には、デジタルゲインによる補正値ΔSv =0とし、デジタルゲインでの補正は行わない。
【0042】
この実施の形態では、前記感度低下値ΔEV をシャッタスピード及びデジタルゲインで補正するようにしたが、これに限らず、デジタルゲインのみで補正するようにしてもよい。尚、この場合には、シャッタスピードと併用する場合に比べて画像信号のS/Nが悪くなる。
【0043】
また、感度低下値ΔEV に対するシャッタスピードによる補正範囲を±0.1 EV に制限している理由は、感度低下値ΔEV をシャッタスピードのみで補正すると、補正後のシャッタスピードが、図4に示したプログラム線図で決定したシャッタスピードからずれたり、シャッタスピードをマニュアル設定した場合に、その設定したシャッタスピードからずれるという不具合が生じるからである。尚、この実施の形態では、プログラム線図で決定され、又はマニュアル設定されるシャッタスピードのTv 値の刻み幅は、1/3・Tv であるが、前記シャッタスピードを±0.1 TV 補正しても、前記刻み幅1/3・Tv の2分の1以下であるため、上記不具合は生じない。
【0044】
図6は本発明に係る撮像装置の実施の形態を示すブロック図である。
【0045】
この撮像装置は、撮影した静止画や動画をメモリカード19に記録するデジタルカメラであり、カメラ全体の動作は、中央処理装置(CPU)20によって統括制御される。
【0046】
デジタルカメラには、二段ストローク・ タイプのシャッタボタン22の第1段階の押下によりS1オン信号が発生し、シャッタボタン22の第2段階の押下によりS2オン信号が発生する。 発生したS1オン信号およびS2オン信号は、CPU20に入力する。
【0047】
また、デジタルカメラには、撮影モードと再生モードとを切り換えるためのモード・ スイッチ21が設けられている。 撮影モードが設定されるときには、モード・ スイッチ21のa端子が接続され、再生モードが設定されるときには、モード・ スイッチ21のb端子が接続される。 接続状況を示す信号は、CPU20に入力する。
【0048】
デジタルカメラはストロボ発光可能なようにストロボ発光装置(閃光手段)24が設けられている。 このストロボ発光装置24はストロボ制御装置23により発光制御される。
【0049】
被写体を示す画像光は、フォーカスレンズを含むレンズ光学系1及び虹彩絞り2を介して固体撮像素子(CCD)3の受光面に結像される。レンズ光学系1は、CPU20によって制御されるモータ・ドライバ12によって駆動され、フォーカス制御等が行われる。虹彩絞り2は、5枚の絞り羽根からなり、CPU20によって制御されるモータ・ドライバ12によって駆動され、前述したように使用絞りがF2.8 〜F11まで1/3・AV 刻みで13段階に絞り制御される。
【0050】
また、CPU20は、モータ・ ドライバ12を介して虹彩絞り2を制御するとともに、タイミング・ジェネレータ13を介してCCD3での電荷蓄積時間(シャッタスピード)を制御する。
【0051】
CCD3に蓄積された信号電荷は、タイミング・ジェネレータ13から加えられる転送パルスによって信号電荷に応じた電圧信号として順次読み出される。CCD3から順次読み出された電圧信号は、相関二重サンプリング回路(CDS回路)/増幅器4に加えられ、ここで各画素ごとのR、G、B信号がサンプリングホールドされ、増幅されたのちA/D変換器5に加えられる。A/D変換器5は、順次入力するR、G、B信号をデジタルのR、G、B信号に変換して画像入力コントローラ6に出力する。
【0052】
信号処理回路7は、画像入力コントローラ6を介して入力するデジタルの画像信号に対して、オフセット処理、ホワイトバランス補正及び感度補正を含むゲイン・ コントロール処理、ガンマ補正処理等の所定の信号処理を行う。尚、信号処理回路7でのゲイン・ コントロール処理の詳細については後述する。
【0053】
信号処理回路7で処理された画像データは、VRAM17に入力する。VRAM17には、それぞれが1駒分の画像を表す画像データを記憶するA領域とB領域とが含まれている(物理的に領域が分割されている必要はなく、論理的に領域を分けることができればよい) 。VRAM17において1駒分の画像を表す画像データがA領域とB領域とで交互に書き換えられる。VRAM17のA領域及びB領域のうち、画像データが書き換えられている方の領域以外の領域から、書き込まれている画像データが読み出される。VRAMから読み出された画像データはビデオ・エンコーダ9においてエンコーディングされ、カメラ背面に設けられている液晶モニタなどの画像表示装置10に出力され、これにより被写体像が画像表示装置10の表示画面上に表示される。
【0054】
図7は画像表示装置10の表示画面の一例を示している。同図に示すように、画像表示装置10の表示画面には、図示しないOSDにより現在のシャッタスピード及び絞り値も表示される。
【0055】
シャッタボタン22の第1段階の押下があると、AE動作及びAF動作が開始する。 即ち、A/D変換器5から出力される画像データがAF検出回路14並びにAE/AWB検出回路15に入力し、AF検出回路14では、画像のコントラスト情報をCPU20に出力する。AE/AWB検出回路15では、撮像領域を水平方向8、垂直方向8に分割して得られる各分割領域ごとにR、G、Bの画像データをR、G、Bごとに積算し、各領域ごとの、かつR、G、Bごとの各積算データをCPU20に出力する。
【0056】
CPU20は、AF検出回路14から入力するコントラスト情報に基づいてモータ・ドライバ11を介してレンズ光学系1を制御するとともに、AE/AWB検出回路15から入力する積算データより被写体の明るさ(撮影Ev値)を算出し、この撮影Ev値に基づいて虹彩絞り2の絞り値及びCCD3の電子シャッタ(シャッタスピード)を決定し、決定した絞り値に基づいてモータ・ ドライバ12を介して虹彩絞り2を制御するとともに、決定したシャッタスピードに基づいてタイミング・ジェネレータ13を介してCCD3での電荷蓄積時間を制御する。
【0057】
AE動作及びAF動作が終了し、シャッタボタン22の第2段階の押下があると、その押下に応答してA/D変換器5から出力される1駒分の画像データが画像入力コントローラ6からメモリ(SDRAM) 16に入力し、一時的に記憶される。
【0058】
画像データは、メモリ16から読み出され、信号処理回路7において輝度データ及び色差データの生成処理(YC処理)を含む所定の信号処理が行われる。YC処理された画像データ(YCデータ)は、信号処理回路7から読み出され、再びメモリ16に記憶される。続いて、YCデータは圧縮伸長処理回路8に出力され、JPEG (joint photgraphic experts group)などの所定の圧縮処理が実行される。 圧縮されたYCデータは、再びメモリ16に出力されて記憶されたのち、メディア・コントローラ18によって読み出され、メモリカード19に記録される。
【0059】
モード・スイッチ21により再生モードが設定されると、メモリカード19に記録されている圧縮されたYCデータが読み出され、メモリ16に一時的に記憶される。この圧縮されたYCデータは、メモリ16から読み出され、圧縮伸長回路8においてデータ伸長される。伸長されたYCデータは、メモリ16に出力され再び記憶されたのち、メモリ16から読み出され、ビデオ・エンコーダ9を介して画像表示装置10に入力する。 これにより、メモリカード19に記録されている画像データによって表される画像が画像表示装置10の表示画面上に表示されるようになる。
【0060】
次に、本発明に係る絞り依存感度低下の補正動作について説明する。
【0061】
図6に示す不揮発性メモリ(EEPROM)25には、図3に示したトータルの誤差(感度低下値ΔEV )が、虹彩絞り2の使用する各絞りごとに記憶されている。尚、トータルの誤差ΔEV は、カメラごとにバラツキがあるため、製品出荷前の調整時に誤差ΔEV が測定され、EEPROM25に書き込まれる。
【0062】
CPU20は、AE/AWB検出回路15から入力する積算データより被写体の明るさ(撮影Ev値)を算出し、この撮影Ev値に基づいて図4に示したブロック線図にしたがって虹彩絞り2の絞り値(Av値)及びシャッタスピード(Tv 値)を決定する。CPU20は、前記決定したAv値に基づいて虹彩絞り2がAv値に対応した絞りになるようにモータ・ ドライバ12を介して駆動制御する。
【0063】
その一方、CPU20は、前記決定したAv値に基づいてEEPROM25から使用する絞りに対応した感度低下値ΔEV を読み出す。そして、この感度低下値ΔEV が、ΔEV ≧0.1 EV の場合には、前記決定したシャッタスピードTv をΔTv (=0.1 Tv )だけ補正し、ΔEV ≦−0.1 EV の場合には、前記決定したシャッタスピードTv をΔTv (=−0.1 Tv )だけ補正する。尚、|ΔEV |<0.1 EV の場合には、前記決定したシャッタスピードTv に対する補正は行わない(図5(A)参照)。
【0064】
そして、CPU20は、前記決定したシャッタスピードTv を、感度低下値ΔEV に応じて補正したシャッタスピード(Tv +ΔTv )に基づいてタイミング・ジェネレータ13を介してCCD3での電荷蓄積時間を制御する。
【0065】
また、前記感度低下値ΔEV に基づく信号処理回路7でのゲイン・ コントロール処理は、以下のようにして行う。
【0066】
まず、CPU20は、AE/AWB検出回路15から入力する各領域ごとの、かつR、G、Bごとの各積算データに基づいてデーライト(晴れ)、日陰−曇り、蛍光灯、タングステン電球等の光源種の判別を行う(特開2000-224608 参照) 。
このようにして光源種を判別すると、その判別した光源種のホワイトバランスに適したR、G、Bごとのデジタルゲインを決定する。尚、マニュアルで光源種を設定する場合には、上記光源種の判別は不要である。
【0067】
上記のようにしてホワイトバランス補正するための、R、G、BごとのデジタルゲインRG 、GG 、BG を決定すると、続いて前記シャッタスピードで補正できない感度低下値ΔEV の残りの低下分(ΔEV −ΔTV )は、前記R、G、Bに対するデジタルゲインRG 、GG 、BG を補正することにより行う。
【0068】
即ち、デジタルゲインRG 、GG 、BG は、次式、
【0069】
【数3】
RG ' =RG ×K
GG ' =GG ×K
BG ' =BG ×K
RG ' 、GG ' 、BG ' :補正後のデジタルゲイン
K:補正係数
によって補正する。また、補正係数Kは、シャッタスピードで補正できない感度低下値ΔEV の残りの低下分の補正値ΔSV に基づいて図8に示すテーブルから読み出す。尚、図8に示すテーブルは、EEPROM25に記憶されている。
【0070】
CPU20は上記補正後のデジタルゲインRG ' 、GG ' 、BG ' を信号処理回路7に付与し、信号処理回路7では、R、G、B信号に対してそれぞれデジタルゲインRG ' 、GG ' 、BG ' を乗算することによりホワイトバランス補正とともに、絞り依存感度低下分の補正を行う。
【0071】
尚、この実施の形態では、ホワイトバランス補正用のデジタルゲインRG 、GG 、BG を補正して絞り依存感度低下分を補正するようにしたが、ホワイトバランス補正とは別々にデジタルゲインを補正してもよい。また、アナログゲインを補正することにより絞り依存感度低下分を補正するようにしてもよい。
【0072】
次に、ストロボ撮影(スローシンクロ、日中シンクロ)時における絞り依存感度低下の補正動作について説明する。
【0073】
上記実施の形態では、絞り依存感度低下分をシャッタスピードとデジタルゲインとの組み合わせで補正するようにしたが、シンクロ撮影時には、シャッタスピードの代わりにストロボ発光量を補正し、ストロボ発光量とデジタルゲインとの組み合わせで補正する。ストロボ撮影時にはシャッタスピードによる受光量の補正が適正に行われなくなるからである。
【0074】
ストロボ発光量による絞り依存感度低下の補正は、図5(A)に示すように感度低下値ΔEV のうち±0.1 EV をストロボ発光量で補正する。即ち、ΔEV ≧0.1 EV の場合には、ストロボ発光量による補正値ΔSSv =0.1 SSv とし、ΔEV ≦0.1 EV の場合には、ストロボ発光量による補正値ΔSSv =−0.1 SSV とし、|ΔEV |<0.1 EV の場合には、ストロボ発光量による補正値ΔSSv =0とする。尚、ストロボ発光量で補正できない感度低下値ΔEV の残りの低下分は、デジタルゲインで補正するが、前述した場合と同様であるため、その詳細については省略する。
【0075】
次に、上記ストロボ発光量の制御について説明する。
【0076】
図9は図6に示したストロボ制御装置23によるオートストロボ制御の概念図である。
【0077】
図9(A)に示すようにストロボ発光装置24のキセノン管Xeで発光した光が被写体に反射し、受光センサ(フォトトランジスタ)Trに入射すると、ここで光電変換される。光電変換された電流Icが積分コンデンサCに流れ、積分コンデンサCで積分されると、コンパレータCompの正入力に加わる電圧Vinが上昇する。
【0078】
コンパレータCompの負入力には基準電圧Vref が加えられており、コンパレータCompは2入力の関係がVin>Vref となったときにコンパレータ出力が変化し、発光停止信号を発生し、キセノン管Xeでの発光を停止させる。
【0079】
ストロボ制御装置24は、上記基準電圧Vref を変えることでストロボ発光量を変化させる。図9(B)は発光時間とVin、Vref との関係を示すグラフである。
【0080】
いま、絞りF2.8 ( AV 3)で撮影したときに適正に撮れる基準電圧をVref0とすると、ある絞りAV1で撮影したときの基準電圧Vref は、次式、
【0081】
【数4】
Vref =Vref0×2Av1-3
で表される。従って、絞り依存感度低下をストロボ発光量で補正する場合、各絞りでの適切な基準電圧をVref1とすると、感度低下を補正するための基準電圧Vref'は、次式、
【0082】
【数5】
Vref’=Vref1×2dSSv
(dSSv:ストロボ発光量で補正する補正値)
で表される。
【0083】
ストロボ制御装置24は、図9(A)のコンパレータCompの負入力に加える基準電圧Vref を、上記[数5]に示した基準電圧Vref'にすることにより感度低下を補正するストロボ発光量を得るようにしている。
【0084】
尚、この実施の形態では、シャッタスピード、デジタルゲイン及びストロボ発光量による感度低下の補正を、それぞれ0.1 EV 刻みで段階的に補正するようにしたが、これに限らず、リニアに補正するようにしてもよい。また、絞りも虹彩絞りに限らず、複数の絞り孔が設けられたターレット板を回転させて所望の絞り孔を選択するターレット型絞りでもよい。
【0085】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、絞り依存感度低下や絞りの精度誤差に起因して生じる、実際の受光量と本来受光すべき受光量との差分を、画像信号に対する利得を制御することにより、又は露光時間を補正するとともに、利得を制御することにより補正したため、絞り依存感度低下や絞りの精度誤差にかかわらず、正確な露出制御ができる。また、利得制御と露光時間による補正とを併用したため、画像信号のS/Nの劣化を抑制し、かつ正確な露出制御ができる。更に、閃光撮影時には、閃光手段の光量補正と利得制御とを併用したため、画像信号のS/Nの劣化を抑制し、かつ正確な露出制御ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】撮影時に使用する絞りによって絞り依存感度低下が生じることを説明するために用いた図
【図2】各絞りの絞り依存感度低下、各絞りの理論値との誤差及び各絞りにおけるトータルの感度誤差を示すグラフ
【図3】図2に示したグラフを数値で表した図表
【図4】露出制御用のプログラム線図
【図5】シャッタスピード、ストロボ発光量及びデジタルゲインによる感度低下の補正内容を示すグラフ
【図6】本発明に係る撮像装置の実施の形態を示すブロック図
【図7】画像表示装置の表示画面の一例を示す図
【図8】デジタルゲインの補正値ΔSV と補正係数との関係を示す図表
【図9】図6に示したストロボ制御装置によるオートストロボ制御の概念図
【符号の説明】
1…レンズ光学系、2…虹彩絞り、3…固体撮像素子(CCD)、7…信号処理回路、10…画像表示装置、15…AE/AWB検出回路、20…中央処理装置(CPU)、22…シャッタボタン、23…ストロボ制御装置、24…ストロボ発光装置(閃光手段)、25…不揮発性メモリ(EEPROM)
Claims (5)
- 撮影光学系と、
複数段又は無段階の絞りを有する絞り手段と、
前記撮影光学系及び絞り手段を介して被写体像を受光し、該被写体像を示す画像信号を出力する撮像素子と、
前記絞り手段での使用絞りごとに前記撮像素子により実際に得られる画像信号の明るさを示す信号量と、前記使用絞りを用いたときに本来得られる信号量との差分を記憶する記憶手段と、
閃光手段と、
閃光撮影時における前記絞り手段の使用絞りに基づいて前記記憶手段から前記差分を読み出し、前記画像信号に対する利得及び前記閃光手段の光量を制御することによって、前記撮像素子により実際に得られる画像信号の信号量を補正する補正手段であって、前記差分の絶対値が大きいほど前記閃光手段の発光時間を長くすることによって、前記信号量を補正する補正手段と、
を備えることを特徴とする撮像装置。 - 前記閃光撮影時はスローシンクロ又は日中シンクロ撮影時であることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
- 前記補正手段が、前記差分が所定範囲内の場合に、前記閃光手段の光量制御のみによって前記信号量を補正し、前記差分が前記所定範囲を超えた場合に、前記閃光手段の光量制御及び前記画像信号に対する利得制御によって前記信号量を補正することを特徴とする請求項1又は2記載の撮像装置。
- 前記閃光手段が、加えられる基準電圧が高いほど発光時間が長くなるように構成されており、
前記補正手段が、前記使用絞りにおける適正な撮影のための基準電圧をVref、前記信号量の補正量をdSSvとしたときに、前記閃光手段に加える基準電圧Vref´を、
Vref´=Vref×2dSSv,
により設定することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の撮像装置。 - 前記画像信号のデジタル値に対してデジタルゲイン値を乗算するデジタルゲイン乗算手段を有し、
前記補正手段は、前記画像信号に対する利得を制御する際に、前記デジタルゲイン乗算手段に付与するデジタルゲイン値を制御することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の撮像装置。
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