JP4425024B2 - ストレス測定方法及びストレス測定システム - Google Patents

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Description

本発明は、生体のストレスを測定する方法及びシステムに関する。
従来から、健康状態や精神状態の把握、また、その他医療上の目的からストレスの測定が行われている。ストレスを測定する一つの方法として、ストレスの指標(ストレスマーカ)として知られる唾液中のコルチゾールの濃度を測定する方法が提案されている(例えば下記の特許文献1参照)。
特許第3108765号公報
上述の方法では、取得した唾液を直接、生化学的な方法等を用いて分析装置で分析することによってストレスを測定している。従って、この方法は特別な装置を必要とし、分析には高度な知識や熟練を要するという問題がある。また、唾液中の成分濃度を同定するのに、長い分析時間を必要とするなど、ストレス測定を簡易に行うことができない。
本発明は、以上の問題点を解決するためになされたものであり、より簡易かつ迅速な方法で、生体のストレスを測定することができるストレス測定方法及びストレス測定システムを提供することを目的とする。
本願発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、唾液中の成分が酸化還元反応の触媒として作用し反応における電子移動などに伴い化学発光することを見出した。さらに、本願発明者は、唾液を採取された被験者にストレスがあるとその化学発光の発光量が強くなるなどの、ストレスと化学発光との間の密接な関係を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によるストレス測定方法は、(1)液状物質の吸収及び保持が可能な吸収材により、生体の唾液を採取して唾液サンプルとする唾液採取工程と、(2)上記唾液サンプルに還元剤を加える還元剤付加工程と、(3)上記唾液サンプルに酸化剤を加える酸化剤付加工程と、(4)上記還元剤付加工程において還元剤が加えられ、上記酸化剤付加工程において酸化剤が加えられた唾液サンプルの化学発光を測定する発光測定工程と、(5)上記発光測定工程において測定された化学発光データを参照し、所定の基準に基づいてストレスを評価するストレス評価工程とを備えることを特徴とする。
上記したストレス測定方法では、まず、唾液採取工程において、唾液を採取して唾液サンプルとする。採取は、例えばストレス測定の被験者の口中に、吸収材を含ませることなどにより行われる。
次に、唾液サンプルに、還元剤付加工程において還元剤を加え、酸化剤付加工程において酸化剤を加える。還元剤及び酸化剤を加えられた唾液サンプルは、上記の化学発光メカニズムにより化学発光する。その化学発光を、発光測定工程において測定する。続いて、ストレス評価工程において、測定された化学発光データを参照し所定の基準に基づいてストレスを評価する。
また、本発明によるストレス測定システムは、(a)生体の唾液を吸収材に吸収及び保持した唾液サンプルを設置する唾液サンプル設置手段と、(b)上記唾液サンプルに還元剤を加えるための還元剤付加手段と、(c)上記唾液サンプルに酸化剤を加えるための酸化剤付加手段と、(d)上記唾液サンプル設置手段により設置された唾液サンプルの化学発光を測定する発光測定手段と、(e)上記発光測定手段により測定された化学発光データを参照し、所定の基準に基づいてストレスを評価するストレス評価手段とを含んで構成されることを特徴とする。
上記したストレス測定方法及びストレス測定システムによれば、唾液を採取し、採取されたサンプルの発光を計測するという、簡易な方法で生体のストレスを測定することができる。また、測定システムを簡単な構成で低コスト化することができる。また、発光の計測は通常数十秒〜数分程度行えば充分であるので、迅速な測定が可能である。また、化学発光を測定対象とする上記構成では、フォトンカウンティングなどの手法を用いることにより、ごく微量物質による発光まで精度よく測定して、確実にストレス測定を行うことが可能である。また、唾液の採取に吸収材を用いているため、唾液を液状のまま取り扱うよりもサンプルの局所濃度が高くなり、化学発光の測定を容易かつ高効率で行うことができる。
なお、吸収材とは、液状物質の吸収及び保持が可能なものであり、特に、ろ紙を用いることが好ましい。あるいは、ろ紙以外のもの、例えばスポンジ等を用いることとしても良い。また、ストレス評価工程における所定の基準とは、例えば発光量が多ければストレスが多いと評価するというような、ストレスを定性的または定量的に評価可能な基準であるものとする。また、化学発光の測定は、例えば光電子増倍管やフォトンカウンタなどを用いて行うことができる。
また、唾液サンプルからの発光測定の対象となる化学発光は、サンプルに酸化剤及び還元剤を加えたときの酸化・還元反応に伴って、光エネルギーが放出されることによる発光である。このような化学発光がストレスと関係しているのは、化学発光に関わっている化学物質が、被験者がストレスを感じると、より多く分泌されるストレスマーカであるからであると推測される。
ここで、ストレス測定方法は、還元剤付加工程を行った後に、酸化剤付加工程を行う構成とすることが好ましい。
また、ストレス測定方法において、より具体的には、上記所定の基準は、上記発光測定工程において測定された化学発光における所定の発光パラメータの値が予め定められた標準範囲から外れている場合、ストレスが有ると評価する基準とすることが好ましい。同様に、ストレス測定システムにおいて、より具体的には、上記所定の基準は、上記発光測定手段により測定された化学発光における所定の発光パラメータの値が予め定められた標準範囲から外れている場合、ストレスが有ると評価する基準とすることが好ましい。
このように、ストレスの評価に標準範囲を利用する場合には、上記標準範囲は、上記唾液を採取する生体に応じて予め測定されたデータに基づき設定することが好ましい。これにより、被験者(生体)毎に標準範囲が設定されるので、個人差の影響等も含めてより正確に被験者毎のストレスの測定を行うことができる。
また、ストレス測定方法及びストレス測定システムにおいて、より具体的には、上記発光パラメータは、発光量、発光量の時間変化の微分係数のうち少なくとも何れか1つであることを特徴とすることが好ましい。このような発光パラメータを用いることにより、ストレスを好適に評価することができる。また、これら以外の発光パラメータを用いても良い。
また、ストレス測定方法は、上記唾液サンプルを密閉容器に密閉状態で封入して冷却保存する保存工程を更に備えることが好ましい。同様に、ストレス測定システムは、上記唾液サンプルを密閉容器に密閉状態で封入して冷却保存する保存手段を更に含むことが好ましい。これにより、生体の唾液を採取した後、時間を開けてその唾液の化学発光の測定を行うことができる。したがって、例えば複数の被験者の唾液を採取し、その後それらの唾液の分析を一度に行うなどの柔軟なストレス測定を行うことができる。
また、ストレス測定方法において、より具体的には、上記還元剤付加工程において付加する還元剤は、没食子酸、カテキン,ルミノ−ルのうち少なくとも何れか1つを含むことが好ましい。同様に、ストレス測定システムにおいて、上記還元剤付加手段により付加する還元剤は、没食子酸、カテキン,ルミノ−ルのうち少なくとも何れか1つを含むことが好ましい。
また、ストレス測定方法において、より具体的には、上記酸化剤付加工程において付加する酸化剤は、過酸化水素であることが好ましい。同様に、ストレス測定システムにおいて、上記酸化剤付加手段により付加する酸化剤は、過酸化水素であることが好ましい。
本発明によれば、唾液を採取し、採取されたサンプルの発光を計測するという、簡易かつ迅速な方法で生体のストレスを測定することができる。
以下、図面とともに本発明によるストレス測定方法及びストレス測定システムの好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
図1は、ストレス測定システム10の実施形態の機能構成図である。ストレス測定システム10は、被験者(生体)から採取された唾液の発光現象を利用して被験者のストレスを測定するものである。具体的には、本システム10は、唾液サンプル設置部11と、還元剤付加部12と、酸化剤付加部13と、発光測定部14と、ストレス評価部15とを含んで構成されている。
唾液サンプル設置部11は、発光測定の対象となる生体の唾液を含む唾液サンプルを設置する設置手段である。唾液サンプルとしては、液状物質の吸収及び保持が可能な吸収材を利用し、この吸収材に生体の唾液を吸収及び保持したものが用いられる。吸収材としては、好ましくはろ紙が用いられる。あるいは、ろ紙以外のもの、例えばスポンジ等を用いることとしても良い。
唾液サンプル設置部11に設置された唾液サンプルに対し、測定システム10には、還元剤付加部12、及び酸化剤付加部13が設けられている。還元剤付加部12は、唾液サンプルに還元剤を加える。また、酸化剤付加部13は、唾液サンプルに酸化剤を加える。還元剤としては例えば、没食子酸、カテキン,ルミノ−ルなどを含むものを用いるのが好ましい。また、酸化剤としては例えば、過酸化水素であることが好ましい。これらの還元剤及び酸化剤は、唾液サンプルで化学発光を生じさせるために用いられる。
発光測定部14は、唾液サンプル設置部11に対して所定位置に設けられており、設置部11に設置された唾液サンプルの化学発光を測定する。また、発光測定部14で測定された化学発光データは、ストレス評価部15に入力されている。ストレス評価部15は、測定された化学発光データを参照し、所定の基準に基づいてストレスを評価する。なお、所定の基準とは、化学発光データからストレスの測定を可能とする基準であり、具体的な内容については後述する。
図2は、図1に示した実施形態のストレス測定システム10における、具体的装置構成の一例を示す。図2に示す構成例においては、ストレス測定システム10は、シャーレ10aと、還元剤付加用シリンジ10bと、酸化剤付加用シリンジ10cと、光電子増倍管10dと、暗箱10eと、フォトンカウンタ10fと、情報処理装置10gとの各装置を含んで構成されている。
シャーレ10aは、唾液サンプル20を設置するためのものであり、唾液サンプル設置部11に相当する。還元剤付加用シリンジ10bは、液体物質を吐出する装置であり、液体の還元剤をシャーレ10aに設置された唾液サンプル20に付加するためのものである。即ち、還元剤付加用シリンジ10bは、図1における還元剤付加部12の機能を実現する。また、酸化剤付加用シリンジ10cも構造は還元剤付加用シリンジ10b同様であり、液体の酸化剤をシャーレ10aに設置された唾液サンプル20に付加するためのものである。即ち、酸化剤付加用シリンジ10cは、図1における酸化剤付加部13の機能を実現する。なお、還元剤付加用シリンジ10b及び酸化剤付加用シリンジ10cは、情報処理装置10gにより、還元剤及び酸化剤の唾液サンプル20に対する吐出の量やタイミングなどが制御される構成とするのが好ましい。
光電子増倍管10dは、シャーレ10aに設置されたサンプル20の発光、即ち還元剤、酸化剤とサンプル20との酸化還元反応の結果生じるフォトン(光子)を検出する。暗室10eは、シャーレ10aでの微弱な発光を検出するために、外部からの光を遮断し、シャーレ10a及び光電子増倍管10dの周囲を暗くするために設けられている。このような構成において、光電子増倍管10dにより検知されたフォトンに対応して出力された検出信号が、計数回路などから構成されたフォトンカウンタ10fによりカウントされる。これにより、シャーレ10aからの化学発光が計測され、化学発光データが取得される。光電子増倍管10d、及びフォトンカウンタ10fは、図1における発光測定部14の機能を実現する。
フォトンカウンタ10fにより測定された化学発光データは情報処理装置10gに送信される。情報処理装置10gは、CPU及びメモリなどから構成され、ストレスを評価するための所定の基準を記憶しており、ストレスを評価するための演算などを行う。情報処理装置10gは、受信した化学発光データを参照し、所定の基準に基づいて被験者のストレスを評価する。これにより、情報処理装置10gは、図1におけるストレス評価部15の機能を実現する。また、この情報処理装置10gは、ストレス評価以外の機能、例えば測定システム10の各部の制御機能などを併せて有していても良い。
なお、各装置には必要に応じて電源が備えられており、動作に必要な電力が供給される。また、情報処理装置10gに対しては、キーボードやマウスなどの入力装置、CRTディスプレイや液晶ディスプレイなどの表示装置などが、必要に応じて接続される。入力装置は、ストレス測定実行の指示情報や、測定条件の情報などの入力に用いることができる。また、表示装置は、ストレスの測定結果や、測定の実行状況などの表示に用いることができる。
次に、図1及び図2に示したストレス測定システム10を用いた本発明によるストレス測定方法について、図3に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
まず、ろ紙やスポンジなどの吸収材を用いて、ストレスの測定対象となる生体の口中から唾液を採取し、唾液サンプル20とする(ステップS101、唾液採取工程)。唾液サンプル20は、シャーレ10a上に設置される。
次に、還元剤付加用シリンジ10bを用いて、唾液サンプル20に没食子酸などの還元剤を加える(ステップS102、還元剤付加工程)。また、酸化剤付加用シリンジ10cを用いて、唾液サンプル20に過酸化水素などの酸化剤を加える(ステップS103、酸化剤付加工程)。なお、各シリンジ10b、10cには、それぞれ予め必要量の還元剤、酸化剤を入れておくものとする。
還元剤及び酸化剤が加えられた唾液サンプル20では、唾液中に含まれ被験者のストレスと何らかの相関を有する物質(ストレスマーカ)が、還元剤と酸化剤との反応を促進する。そして、この酸化還元反応での電子移動等に伴って、化学発光する。このときの化学発光は、唾液を採取した被験者のストレスと相関を有することとなる。光電子増倍管10dは、その化学発光によるフォトンを検知する。さらに、フォトンカウンタ10fが、光電子増倍管10dにより検知されたフォトンをカウントし、化学発光を測定する(ステップS104、発光測定工程)。フォトンカウンタ10fは測定された化学発光データを情報処理装置10gに送信する。
次に、情報処理装置10gは、受信した化学発光データを参照し、所定の基準に基づいてストレスを評価する(ステップS105、ストレス評価工程)。ここで、所定の基準ととしては、例えば、測定された化学発光における所定の発光パラメータの値が予め定められた標準範囲から外れている場合、ストレスが有ると評価する基準を用いることが好ましい。具体的には、化学発光の発光量に対し、閾値によって標準範囲を設定し、発光量が閾値を超えている場合にストレスが有るとする構成がある。
また、ストレス評価の基準で用いることができる発光パラメータとしては、発光量以外にも例えば、発光量の時間変化の微分係数(微分係数が大きい、即ち発光が急激に増加していればストレスがある)などを用いてもよい。また、ストレスマーカとなる唾液中の成分の量は、通常、個人差があると考えられる。このため、ストレスを測定する生体毎に、予めストレスが無い状態などのデータを取得しておき、そのデータに基づき基準を設定することが好ましい。また、上記の例では、ストレスの有り無しという定性的なストレスの評価について示したが、ストレスを数値化する定量的な基準を設定してもよい。なお、ここで、ストレスが「有る」とはある一定以上のストレスを感じている状態をいう。
上記実施形態によるストレス測定方法及びストレス測定システム10の効果について説明する。
図1〜図3に示したストレス測定方法及びストレス測定システム10によれば、唾液を採取し、採取されたサンプルの発光を計測するという、簡易な方法で生体のストレスを測定することができる。また、生化学的な分析装置などの特別な装置を必要としないので、測定システムを簡単な構成で低コスト化することができる。また、ストレス測定を行う測定者において、高度な知識や熟練が不要になる。また、化学発光を測定することによるストレス測定では、発光の計測は通常数十秒〜数分程度行えば充分であるので、迅速な測定が可能である。
また、化学発光を測定対象とする上記構成では、フォトンカウンティングなどの手法を用いることにより、ごく微量物質による発光まで精度よく測定して、確実にストレス測定を行うことが可能である。また、唾液の採取にろ紙という吸収材を用いている。このような吸収材を用いた唾液サンプルでは、唾液を液状のまま取り扱うよりもサンプルの局所濃度が高くなり、化学発光の測定を容易かつ高効率で行うことができる。また、このような唾液サンプルは、サンプルの保存等を行う上でも好適である。
このようなストレス測定は、例えば、病院において入院患者に対して1日1回ずつ、例えば起床時に唾液の発光測定を行うなど、被験者の日常的な健康状態や精神状態の把握に利用することができる。また、この他にも様々な目的に対して化学発光測定によるストレス測定を応用することが可能である。例えば、医療上の目的としては、健康状態のモニタリングの他、うつ病や極端なストレス状態の測定、神経内科へのサポート、健康機器への応用などが挙げられる。また、医療上の目的以外にも、音楽CDなどリラクゼーション機器や健康食品の研究開発の支援などに利用することが可能である。
ここで、唾液サンプルからの発光測定の対象となる化学発光は、上記したように唾液中に含まれストレスと何らかの相関を有する物質(ストレスマーカ)が、酸化還元反応の触媒として作用して生じる化学発光である。ただし、化学発光の原因となる唾液中の物質については、既知となっている必要はなく、実際に測定される化学発光とストレスとの相関がわかっていれば良い。また、ストレスと相関を有し化学発光の原因となる物質については、1種類または複数種類の物質であって良い。
また、上記実施形態では、比較的不安定な酸化剤(例えば過酸化水素)を還元剤の後に加えることとしている。これにより、安定した条件で化学発光を起こさせることができ、より確実にストレスを測定することができる。ただし、唾液サンプルに加える具体的な酸化剤、還元剤の種類などによっては、必ずしも還元剤、次に酸化剤という順序には限定されない。
また、唾液サンプルの発光測定においては、測定作業の効率などの観点から、例えば複数の被験者についてそれぞれ唾液の採取を行い、その後に、それらの唾液の分析を一度に行う場合がある。この場合、唾液の採取から発光測定までの間で、唾液サンプルの状態が変化しないように保存を行うことが好ましい。このようなサンプルの保存方法としては、唾液サンプル20を密閉容器に密閉状態で封入して低温で冷却保存しておくことが好ましい。これにより、被験者の唾液の採取から時間を開けて、良好な状態で唾液の化学発光の測定を行うことが可能となる。ただし、唾液の採取後に直ちに発光測定を行っても良い。
また、本実施形態においては、シリンジにより還元剤及び酸化剤を唾液サンプル20に加えることとしているが、還元剤及び酸化剤の付加手段としては、シリンジ以外の構成を用いても良い。また、例えば、酸化剤及び還元剤のうちの少なくとも一つを、吸収材に予め含ませておき、唾液を採取した時点で加えられた状態となるようにしてもよい。そのような方法としては、ろ紙にお茶のカテキン等を染み込ませておく方法がある。この場合、より簡便なストレス測定が可能となる。
次に、実施例により本発明の内容をより具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
本実施例においては、60人の学生に対し単位認定試験の30分前、試験直後、試験の30分後の3度、唾液を採取し、ストレスの測定を行った。ここで、単位認定試験は、学生にとり、通常かなり緊張する、即ちストレスの原因となる試験である。
唾液の取得はろ紙を30秒間、被験者の舌の上に載せることにより行われた。そして、得られた唾液サンプルを密閉可能なポリ袋に入れて、冷凍庫で−30℃の温度で冷凍保存し、後日、以下の測定を行った。測定日には、冷凍保存されたサンプルを一度0℃の氷の温度まで戻し、次に室温まで戻して測定を行った。
唾液サンプルの保存については、具体的には図4に示すように、唾液を採取した後、唾液を含むろ紙(図4(a))を採取者の手で、チャック付ポリ袋(ユニパックA−4、株式会社生産日本社製)に入れて封をした(図4(b))。さらに、氷上にて冷却した回収ポリ袋(ユニパックJ−4、株式会社生産日本社製)に入れた(図4(c))。そして、単位認定試験の実習終了後(最初に採取した人は約5時間後、最後に採取した人は直後)に、−30℃に設定した冷凍庫(Medical Freezer, SANYO製)にて保存し、発光測定の当日までそのまま保管した(図4(d))。
発光測定においては、シャーレに設置された唾液サンプルに対して、まず3mMの没食子酸(還元剤)1mlを滴下し、その20秒後に3%w/vの過酸化水素(酸化剤)1mlを滴下させ化学反応させた。なお、発光の測定は没食子酸の滴下時から開始し、120秒間行われた。
測定された化学発光の発光量の時間波形を図5のグラフに示す。図5のグラフは、横軸に測定時間、縦軸に1秒あたりにカウントされたフォトンの数、即ち発光量をとったものである。このグラフでは、試験の30分前、試験直後、及び試験の30分後のいずれの場合も、測定開始から20秒後の過酸化水素が滴下された時点から化学発光が立ち上がっていることがわかる。いずれの場合も,測定開始10秒後に没食子酸を滴下しているが,その時には化学発光の立ち上がりはない。
また、図5では、試験の30分前及び30分後と比較して、通常最も緊張した状態となる試験の直後における発光量は2〜3倍と、高い値となっている。このグラフは60人のうちで特定の被験者に関するものであるが、各被験者に対して得られた化学発光スペクトルの典型例を示すものである。具体的には、約60%の被験者において、試験30分前及び30分後と比較して試験の直後の発光量が高いという、図5と同様の発光パターンとなっていた。最も緊張が高いと考えられる、試験直後の発光量が最も高くなっている上記結果より、本測定方法により適切にストレスを測定可能であることがわかる。また、このような化学発光の発光量の変化に対して、閾値などにより標準範囲を設定しておけば、上記したように簡易にストレスの評価を行うことが可能となる。
また、図5に示す各グラフの立ち上がり、即ち、発光量の時間変化開始時における発光スペクトルの傾きに着目すると、試験の30分前及び30分後と比較して、試験の直後における発光スペクトルの傾きが急に(微分係数が大きく)なっていることがわかる。したがって、発光量、あるいは発光量の時間変化の微分係数を用いてもストレスの測定を好適に行うことができる。
次に、唾液の中に含まれ、ストレスマーカとして知られているIgAの濃度と、各測定時点での総発光量との関係を図6及び図7のグラフに示す。ここで、IgA(免疫グロブリンA)は、局所的生体防御を支配していて、外界と接する粘膜面で防御機能を発揮するものであり、ストレス刺激で上昇することが知られている。また、以下のグラフにおいてIgAの濃度は、唾液中のIgAの精製を行わず、唾液を10mMのPBS(Phosphate buffered saline、pH7.4)にて200倍に希釈してELISA法により測定した。
具体的には、まず、96 well plate(Falcon製、353912)の各wellに、mouse IgG 抗 human IgA(10mM のPBS(pH7.4)で10.5μg/mlに希釈したもの)を 100μlずつ加え、4℃で数時間吸着させた。その後、1%T−TBS(Tris-buffered saline-including 0.5mL/L tween20)で3回洗浄して、Block液(1%BSA(Sigma製):5% skim-milk(Wako製)=1:1 in TBS)を各well に200μLずつ加え、4℃で3時間吸着させた。次いで1%T−TBSで3回洗浄後、10mM のPBSにて200倍に希釈した唾液100μl、スタンダードとしてhuman IgA(PROTOS IMMUNORESEARCH製、CAT NO.502, LOT.NO 1766-8)を10mM のPBSにて段階希釈(167,125,83,63,42,31,21ng/mL)したもの、及びブランクとして10mMのPBSを100μlずつ加え、室温で1時間吸着させた。続いて、1%T−TBSで5回洗浄後、HRP-Goat抗 human IgA(SIGMA製、Product No.A 0295をBlock液にて2.16 μg/ml に希釈したもの)を加え、室温で1時間吸着させた。続いて、1%T-TBSで5回洗浄後、ABTS (0.2g ABTS-50mM citrate buffer pH4.0)にH(1/600の量)を直前に加え、各wellに100μlずつ加えて、その20分後に415nmの波長にて吸光度を測定した。
図6は、試験の30分前、直後、30分後及び60分後のそれぞれの時点における、IgAの濃度と、総発光量(図5のグラフに示したような化学発光の発光量の時間変化を時間で積算したもの、測定時間20秒〜120秒の間)との値を示したものである。なお、グラフにおいて折れ線部分がIgA濃度であり、棒グラフが総発光量である。図6から分かるとおり、最も緊張する試験直後におけるIgA濃度及び総発光量が他の時点よりも高くなっている。このことから、化学発光による総発光量が、上記のELISA法によるIgA濃度などの化学発光現象を利用しないストレスマーカと同様に、被験者のストレスを評価するための好適な指標となっていることがわかる。
図7は、横軸をIgA濃度、縦軸を総発光量(測定時間20秒〜120秒の間)とした測定データのプロット図である。また、図中に引かれている直線は、図中のデータから算出された回帰直線である。IgA濃度と総発光量との相関係数は0.672であり、また図7に示されるデータからも分かるように、IgAと本実施例における化学発光とは、強い相関があると考えられる。従って、これらデータからも本方法で、ストレスの測定を行うことができると推測される。
本発明によるストレス測定方法及び測定システムは、上記した実施形態及び実施例に限られるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、化学発光を測定する発光測定手段としては、上記した光電子増倍管10d及びフォトンカウンタ10fを用いた構成以外にも、測定対象となる化学発光の強度などに応じて、様々な構成を用いて良い。
ストレス測定システムの実施形態の機能構成図である。 ストレス測定システムの実施形態における、具体的装置構成の一例を示す図である。 図1及び図2に示したストレス測定システムを用いたストレス測定方法の一例を示すフローチャートである。 唾液サンプルの保存方法について示す図である。 実施例における測定時間と発光量との関係を示したグラフである。 実施例におけるIgA濃度と総発光量とを示したグラフである。 実施例におけるIgA濃度と総発光量とのプロット図である。
符号の説明
10…ストレス測定システム、10a…シャーレ、10b…還元剤付加用シリンジ、10c…酸化剤付加用シリンジ、10d…光電子増倍管、10e…暗箱、10f…フォトンカウンタ、10g…情報処理装置、11…唾液サンプル設置部、12…還元剤付加部、13…酸化剤付加部、14…発光測定部、15…ストレス評価部、20…唾液サンプル。

Claims (15)

  1. 液状物質の吸収及び保持が可能な吸収材により、生体の唾液を採取して唾液サンプルとする唾液採取工程と、
    前記唾液サンプルに還元剤を加える還元剤付加工程と、
    前記唾液サンプルに酸化剤を加える酸化剤付加工程と、
    前記還元剤付加工程において還元剤が加えられ、前記酸化剤付加工程において酸化剤が加えられた前記唾液サンプルの化学発光を測定する発光測定工程と、
    前記発光測定工程において測定された化学発光データを参照し、所定の基準に基づいてストレスを評価するストレス評価工程と
    を備えるストレス測定方法。
  2. 前記還元剤付加工程を行った後に、前記酸化剤付加工程を行うことを特徴とする請求項1記載のストレス測定方法。
  3. 前記所定の基準は、前記発光測定工程において測定された化学発光における所定の発光パラメータの値が予め定められた標準範囲から外れている場合、ストレスが有ると評価する基準とすることを特徴とする請求項1または2記載のストレス測定方法。
  4. 前記標準範囲は、前記唾液を採取する生体に応じて予め測定されたデータに基づき設定することを特徴とする請求項3記載のストレス測定方法。
  5. 前記発光パラメータは、発光量、発光量の時間変化の微分係数のうち少なくとも何れか1つであることを特徴とする請求項3または4記載のストレス測定方法。
  6. 前記唾液サンプルを密閉容器に密閉状態で封入して冷却保存する保存工程を更に備える請求項1〜5のいずれか一項記載のストレス測定方法。
  7. 前記還元剤付加工程において付加する還元剤は、没食子酸、カテキン,ルミノ−ルのうち少なくとも何れか1つを含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項記載のストレス測定方法。
  8. 前記酸化剤付加工程において付加する酸化剤は、過酸化水素であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項記載のストレス測定方法。
  9. 生体の唾液を吸収材に吸収及び保持した唾液サンプルを設置する唾液サンプル設置手段と、
    前記唾液サンプルに還元剤を加えるための還元剤付加手段と、
    前記唾液サンプルに酸化剤を加えるための酸化剤付加手段と、
    前記唾液サンプル設置手段により設置された前記唾液サンプルの化学発光を測定する発光測定手段と、
    前記発光測定手段により測定された化学発光データを参照し、所定の基準に基づいてストレスを評価するストレス評価手段と
    を含んで構成されるストレス測定システム。
  10. 前記所定の基準は、前記発光測定手段により測定された化学発光における所定の発光パラメータの値が予め定められた標準範囲から外れている場合、ストレスが有ると評価する基準とすることを特徴とする請求項9記載のストレス測定システム。
  11. 前記標準範囲は、前記唾液を採取する生体に応じて予め測定されたデータに基づき設定することを特徴とする請求項10記載のストレス測定システム。
  12. 前記発光パラメータは、発光量、発光量の時間変化の微分係数のうち少なくとも何れか1つであることを特徴とする請求項10または11記載のストレス測定システム。
  13. 前記唾液サンプルを密閉容器に密閉状態で封入して冷却保存する保存手段を更に含む請求項9〜12のいずれか一項記載のストレス測定システム。
  14. 前記還元剤付加手段により付加する還元剤は、没食子酸、カテキン,ルミノ−ルのうち少なくとも何れか1つを含むことを特徴とする請求項9〜13のいずれか一項記載のストレス測定システム。
  15. 前記酸化剤付加手段により付加する酸化剤は、過酸化水素であることを特徴とする請求項9〜14のいずれか一項記載のストレス測定システム。
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