JP4424564B2 - 回転界面を横切ってディジタル信号データを結合する装置と方法 - Google Patents
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Description
【発明の背景】
本発明は計算機式断層撮影(CT)装置に関し、更に具体的に言えば、CT装置の回転界面を横切ってデータ速度の高い信号画像を伝送することに関する。
【0002】
公知のように、CT装置は試験物体の非侵入形断層画像を求める為に使われる。最も普通の使い方は、医学的な解析及び処置の為に、患者の内部画像を作ることである。動作の際、物体又は患者が、不動の枠の内側に支持された回転枠又はガントリの中心開口の中で、テーブルの上に位置ぎめされる。ガントリーは、装置のイメージング平面内で、開口の両側に位置ぎめされたx線源及び検出器配列を持ち、各々がイメージングしようとする物体の周りをガントリーと共に回転する。回転通路に沿った幾つかの角度位置の各々で、x線源がコリメートされたビームを放出し、このビームが物体を通過して検出器配列に入射する。検出器配列の中にあるセンサが、その表面に入射したx線の強度を表す電気信号を発生し、これらの信号が回転枠の中にある回路によって収集されて、各々の角度における1組の画像データに作成される。各々の画像データの組がビューと呼ばれ、また、1回転毎に得られた複数個のビューが走査と呼ばれ、それが不動側にある計算機によって処理されて、物体の断面画像が作成される。
【0003】
RF(無線周波)スリップリングと呼ばれる非接触形の電磁結合装置を用いて、検出器データを回転ガントリー界面から不動側の計算機へ転送することが知られている。このデータ転送は走査中に行われる。完全な(すなわち、360゜の)走査には公称1000個のビューがあり、典型的な最大ガントリー回転速度は毎秒360゜である。752個の検出器チャンネルを持ち、各チャンネルが16ビットの画像解像度を持つデータ信号を発生するCT装置では、データ信号ビット速度=(752×1000×16)/1.0=12.03Mbpsになる。ビット・セル時間は83ナノ秒である。これは比較的遅いビット速度であり、それに対応してビット・セル期間も長く、それが信号の完全さに対する周囲雑音の影響を最小限に抑える。こういう装置では、データでRF搬送波信号を振幅変調し、RFスリップリングを介して不動側へ伝送する。
【0004】
更に新しいCT装置では、患者の快適さ並びに効率に関係する理由で、CT走査を実施するときに費やされる時間を短縮することが強調されている。この為、1回転の内に多数のスライス画像を発生することが出来るCTの設計が生まれた。このようにして提案された1つのCT装置は、1回転当たり4つのスライスを作成し、ガントリーの回転速度は毎秒720゜又は1回転当たり0.5秒である。信号の解像度が同じ16ビット・エレメントで1000個の画像/スライス/回転とすると、この結果生ずるデータ速度は(752×4×1000×16)/0.5=96.26Mbpsである。オーバヘッド・ビットを加えると、信号のビット速度は110Mbpsに近づき、ビット・セル時間は9.2ナノ秒になる。これは、回転界面を介して必要なスループットが1桁近く増加する。
【0005】
RF振幅変調は別の変調方法に比べるとコスト効果があるが、雑音の影響を受け易い。データ信号のビット速度が高くなると、ビット・セル時間が一層短くなる為に、周囲雑音の影響が次第に大きくなる。このようにセル時間が短くなることにより、データ・ビットは、データ・ビットが失われること又は変位することを含めて、誘起された雑音に次第に影響され易くなり、その為、同期を失い、データ・ストリームに「ジッタ」が生ずる。現在では、この雑音及びジッタを減らす為に、データ・ストリームの前方誤り訂正(FEC)を使うことが知られているが、FECは実施するのに費用がかかると共に複雑である。
【0006】
【発明の簡単な要約】
本発明の目的は、従来の方法に並ぶ精度で、但しコストを一層安くして、回転界面を介してビット速度の高いディジタル信号データを結合する装置と方法を提供することである。本発明の別の目的は、従来利用し得るよりも一層高い画像走査速度を可能にする改良されたCT装置を提供することである。
【0007】
本発明の第1の面では、回転側の直列データ信号が、選ばれたビット速度で伝搬する逐次的なディジタル信号ビットで構成され、これらの各ビットが関連するデータ・ビット期間内に発生して、各々交代的に第1の論理状態及び第2の論理状態を表している場合に、この回転側の直列データ信号が、各々の第1の論理状態のビットをディジタル無線周波(RF)搬送波信号を用いて変調することによって回転界面の不動側に電磁結合され、この結合されたデータ信号は不動側で復調されて、復調された各々のビットが第1の側の第1の論理状態に復元される。本発明のこの面では、更に、第1の側のRF変調信号がRFスリップリングを介して第2の側に電磁結合される。更に本発明のこの面では、ディジタルRF搬送波信号がデータ信号の各々の回転側の第1の論理状態をRFディジタル信号パターンでディジタル符号化し、そして不動側の受信データ信号が、第1の論理状態の出現を受信パターン中の雑音の出現から区別することが出来る規則準拠アルゴリズムに従って、復号される。
【0008】
本発明のこの面では、更に、RFディジタル信号パターンが、データ信号の選ばれたビット速度のN倍に略等しい周波数のN個の直列パルスで構成される。更に本発明のこの面では、N個の直列パルスが選ばれた最小デューティ・サイクルで回転枠に供給され、不動の枠側にある規則準拠アルゴリズムが、データ・ビット・セル時間内にN個のパルスの半分より多くが出現したことを第1の論理状態として復号すると共に、他のすべての数のパルスが出現したことを第2の論理状態として復号する。更に本発明のこの面では、第1の論理状態のビットは、回転枠側で、4パルスの50%のデューティ・サイクル・パターンで符号化され、不動の枠側のアルゴリズムが、データ・ビット期間内に4つの受信パルスの内の3個並びに4つの受信パルスの内の4個が出現する度に、それを第1の論理状態として復号すると共に、データ・ビット期間内に2個又はそれ未満の受信パルスが出現する度に、それを第2の論理状態として復号する。
【0009】
本発明の第2の面では、RFディジタル信号パターンが、回転界面の第1の側で直列データ信号と同期し、こうして復号された第2の側のデータ・ビットが関連するデータ・ビット期間から整合外れになることを最小限に抑える。更に本発明の第2の面では、回転界面の両側で、RFディジタル信号パターンを直列データ信号に位相固定することによって同期が達成される。
【0010】
本発明の第3の面では、回転界面の第1の側にある送信器回路が、RFディジタル信号パターンを用いて直列データ信号をディジタル符号化し、何れも略同一の複数個の差分信号として符号化信号を発生し、その各々が回転側の360゜の円弧に互って縦続的に配置された複数個の伝送線路の関連する1つに加えられ、各々の伝送線路が、その中にあるRFディジタル符号化信号を界面の第2の側にあるカップラ素子に電磁結合する様な配列になっていて、このカップラが結合された信号を受信器回路に加え、この受信器回路が直列データ信号を復号すると共に、元の形に復元する。更に本発明のこの面では、送信器回路及び受信器回路が何れもエミッタ結合ロジック(ECL)回路素子で構成される。更に本発明のこの面では、送信器及び受信器回路のECL素子が正のECL(PECL)回路素子で構成される。
【0011】
本発明は、回転界面を介して、ビット速度の高いデータ信号の完全さの高い伝送を行う。この伝送は、RFディジタル信号パターンを用いて直列ビット・データ信号のディジタル符号化を行うことによって行われ、このRFディジタル信号パターンはRFスリップリングにより界面を横切る。このディジタル符号化の利点は、スリップリングの送信器及び受信器回路に対する高価なアナログRF素子をコストが一層安いディジタル回路素子に置換えたこと、並びに符号化を使って、雑音によるデータの誤りの発生を実質的に減らしたことが挙げられる。更に、RFディジタル符号化パターンを直列ビット・データと同期させることにより、それぞれのビット・セルに対する復号された信号ビットの重なり又は潜り込みによるデータ・ストリームのジッタが最小限に抑えられる。
【0012】
本発明は走査速度の高いCT装置に使うのに非常に適しているが、回転界面を介しての完全さの高い信号速度の高い伝送を必要とするこの他のデータ速度の高い種々の用途にも使うことが出来る。本発明の上記並びにその他の種々の目的、特徴及び利点は、図面に示した最善の態様の実施例を以下詳しく説明するところから、更に明らかになろう。
【0013】
【発明の詳しい説明】
図1について説明すると、計算機式断層撮影(CT)イメージング装置は、回転枠すなわちガントリー構造12と、不動の支持構造13とを含んでいる。ガントリーはx線源14を持ち、これがガントリー開口19の反対側に配置された検出器配列18に向かってx線ビーム16を投射する。開口は、医療の患者20の様な試験物体をプラットフォーム21の上に配置することが出来るようにし、このプラットフォームがガントリーの回転軸線21に沿って位置ぎめすることが出来る。これによって、試験物体の関心のある異なる部分を、装置のイメージング平面であるガントリーの平面内に配置することが出来る。
【0014】
ガントリーを回転させて、回転通路に沿った複数個の角度位置の各々で、x線源14によりx線ビーム16を放出する。x線ビーム16は試験物体を通過して、検出器配列18の複数個の検出器素子(個別に示していない)の受取り面に入射する。これに応答して、検出器素子はそれぞれ受取ったx線の強度、従って試験物体を通過した後のビームの減弱の程度に比例する大きさの電気信号を発生する。後で更に詳しく説明するが、各々の素子からの信号が線23を介して制御及び配列プロセッサ24に送られ、このプロセッサがデータの組の値を処理して、選ばれた半径方向の位置における物体の合成像を形成する。この合成像はビューと呼ばれる。走査とも呼ばれるが、ガントリーの完全な1回転に互って求められたビューの集まりが、公知の画像処理アルゴリズムを用いて処理されて、画像平面内にある試験物体の部分の断面画像が作成される。
【0015】
図2は、図1の装置10の一部分の素子の見取図風の簡単にした簡略ブロック図であるが、判り易くする為に、本発明の考えに必要な機能素子だけが示されている。検出器配列18からの信号が線26を介してデータ収集装置(DAS)28に供給され、これが各々の信号をアナログ信号フォーマットから、典型的には16ビットの解像度を持つディジタル2進信号に変換する。DASは、変換された検出器チャンネル信号を、データ・クロック信号及び誤り検査信号機能と共に、直列ディジタル・ビット信号に多重化する。本発明では、直列ディジタル・ビット信号が線30を介して、回転枠12上に配置されたデータ送信器32に供給される。後で図3について更に詳しく説明するが、データ送信器はRF(無線周波)パルス・パターンを用いて直列データをディジタル符号化し、RF符号化信号が、ハリソン他に付与されて本出願人に譲渡された米国特許第5530424号(これをここで引用する)に開示された形式のRFスリップリング34の様な電気カップラに送られる。
【0016】
この米国特許のスリップリングの形式は、界面の回転側に配置された1つ又は更に多くの伝送線路と、相対的に不動の側に装着された1つのカップラ・セグメントとを含む。不動のカップラと回転する伝送線路との間の距離に応じて、カップラーが、電磁信号を受信するために常に少なくとも1つのセグメントに空間的に接近しているように保証するために、多数の伝送線路セグメントが必要になることがある。その場合、各々のセグメントは、ガントリーの回転通路の円弧長の一部分の長さを持つ。セグメントは、ガントリーの回転軸線22(図1)の周りに端を突き合わせて縦続接続され、典型的には、開口19(図1)の円周に沿って設けられ、合計の長さが略360゜の円弧、すなわちガントリーの完全な1回転になるようにする。
【0017】
この実施例では、2つの伝送線路セグメント36、38が使われていて、伝送線路36、38の第1の端40、41及び第2の端42、43が隣接して位置ぎめされるように取付けられている。各々の伝送線路の端を連接するように配置することにより、ガントリーの完全な回転通路に沿った電磁結合の実質的な連続性が得られる。
【0018】
データ送信器32は、各々の伝送線路36、38の第1の端40、41に符号化直列データを供給する。各々の伝送線路の第2の端42、43が終端インピーダンス40、46を介して信号の大地48に接続される。ガントリーの回転中、カップラを一方並びに両方の伝送線路36、38に確実に物理的に接近させるような形で、不動の枠(図2には示していない)の上にカップラ素子50が配置されている。前に引用した米国特許第5530424号に記載されているように、符号化データがカップラ50に電磁結合される。
【0019】
不動の枠側では、結合されたデータ信号が線52を介して制御及び配列プロセッサ24(図1)に供給される。本発明では、符号化データをディジタル信号受信器54が受取る。後で図4について更に詳しく説明するが、信号受信器54は、規則準拠アルゴリズムを用いて、直列データを復号し、復号データを線56を介して信号プロセッサ58に供給する。信号プロセッサ58は、オペレータ・コンソール60を介して入力されたオペレータ指令に応答して、受取ったデータのCT処理を制御するプログラム・アルゴリズムを記憶する信号メモリ(図に示していない)を含む。アルゴリズム並びにその結果行われるプロセスは周知である。こうして、信号プロセッサが復号画像データの組を照合して、ガントリーの特定の角度位置に関係する合成ビューを形成する。個別のビューが大容量記憶装置62に記憶され、個別のビューの処理の際、必要に応じて検索されて、試験物体の断面に対応する合成画像を作る。
【0020】
次に図3について説明すると、この実施例では、DAS28(図2)から線30を介してくる直列データ信号は、大体110Mbpsのビット信号速度で受信される。DASデータはT2 L(トランジスタ・トランジスタ・ロジック)フォーマットである。本発明では、使われるビット信号速度では、データのRF振幅変調をRFディジタル符号化に置換するには、高速ディジタル回路が必要になる。その為、本発明の第2の面では、信号送信器32及び信号受信器54はそれぞれ、エミッタ結合ロジック(ECL)デバイスで構成されたディジタル・ゲート論理機能を有する。最善の態様の実施例では、使われるECLデバイスは、単一ゲート・デバイスであって、ゲート・スイッチング速度が250ピコ秒、フリップフロップは2GHzを超える速度でトグル作用する。こういうデバイスは、モータローラ・インコーポレーテッドからECLinPS Lite(商標)として提供されているものを含めて、種々の売り主から入手することが出来るが、小さい(標準8リード線SOIC)パッケージ内の切替え速度の高い単一ゲート・デバイスであって、伝搬遅延は多重ゲート28ピン形式の半分である。こういう特性並びに信号スイッチングの振幅が一層小さい(典型的には指定された50オーム負荷に対する出力の変化は800mVである)ことにより、このRF符号化過程に必要な帯域幅が得られる。
【0021】
図3ではDAS28からのT2 Lフォーマット・データ信号がT2 LからECLへの変換器70に供給され、その出力のECLフォーマットのデータ信号(Q及びコンボリュートQ−NOT)がそれぞれ線72、74を介して、モータローラのECL差分データ及びクロック・フリップフロップ、モデルMC10EL52のようなDエッジ・フリップフロップ(以下、「フロップ」と呼ぶ)76のD及びD−NOT入力にそれぞれ供給される。フロップ76は、線78から供給される110MHzのtaxiクロック信号(CLK及びCLK−NOT)でクロック動作をする。フロップ・データ出力が線80を介して位相固定ループ(PLL)82に供給される。このループは、モータローラのモデルMC12040のような位相−周波数検出器84(検出器)、及びモータローラのモデルMC12148のような電圧制御発信器(VCO)90を含む。検出器84は線30のDASデータ信号をも受取り、両者の間の信号の位相差の存在を判定する。位相差がデューティ・サイクル・パルスとして定量化され、これが出力線86からタンク(抵抗−キャパシタ)回路88を介して電圧制御発信器(VCO)90に供給される。
【0022】
公知の様に、VCO90は、公称の中心周波数で出力クロック信号を発生し、この周波数が、検出器84から供給された位相誤差信号の大きさに基づいて、上向き又は下向きに調節される。この実施例では、DASデータ信号の速度が110Mbpsであり、後で説明するように、RF符号化周波数が4×データ信号速度、すなわち440MHzに選ばれる。従って、この実施例では、VCOの中心周波数は880MHz、又はDASの直列データのビット速度の大体8倍に選ばれる。880MHzのクロック信号が線92を介して、モータローラのMC10EL34クロック発生チップのような周波数分割器94に供給され、この周波数分割器は、8で除算した110MHzのtaxiクロック信号を線78に発生すると共に、2で除算した440MHzのRF符号化信号を線96に発生する。PLL82は、これらの信号の各々がDASデータ信号に対して位相同期していて、データ信号のビット・エッジを同期させて、画像のジッタを発生する惧れのある隣接ビットの重なり又は潜り込みを防止するように保証する。
【0023】
本発明では、直列ビット・データ信号がRF搬送波信号周波数のディジタル・パターンで符号化され、受信器側で復号されて、信号を元の論理状態に復元する。このRF符号化搬送波信号は、RFスリップリングを介しての電磁結合が出来るようにし、ディジタル符号化は、一層簡単で、一層コストの安いRF変調方式であると共に、雑音に対する弁別を高くする。最善の態様の実施例では、直列データ信号の2つの論理状態の内の一方だけを符号化する。第1の論理状態が符号化される状態として選ばれた場合、受信器側では、符号化が存在しないことは、第2の論理状態が存在することを意味する。更に、最善の態様の実施例における符号化過程を簡単にする為に、符号化信号ビットのビット期間内に、所定のパルス幅及びRFパルス周波数(PRF)で既知数のパルスを持つ直列パルス信号が選ばれる。
【0024】
符号化回路100は、この実施例では、モータローラのモデルMC10EL05「2入力差動アンド/ナンド」ゲートのようなアンド機能であって、ゲートのD0 −NOT及びD0 入力に線72、74のECL直列ビット・データ信号を受取る。この実施例では、データ信号の論理ゼロ状態が、符号化のために選ばれるビット状態であり、DATA−NOT(データ信号の反転)がゲートのD0 入力に供給される。アンド・ゲートは、そのゲートのD1 −NOT及びD1 入力に、周波数分割器94からの線96の変調信号をも受取る。図4で、線図(a)はDATA信号波形104の1011001抽出部分を示し、線図(b)は対応するDATA−NOTセグメント波形106を示し、線図(c)は440MHz変調信号波形108を示す。ゲート102が変調信号をDATA−NOT信号とアンド(論理積)して、図4の線図(d)に示した対応する符号化パターン波形110を発生する。
【0025】
直列パルス・パターンは実施するのに簡単な方式になる他に、それが雑音の妨害を検出する簡単なパターンにもなることを強調しておきたい。符号化信号がアンド・ゲートから出力線112を介して、モータローラのモデルMC10EL11のような差動ファンアウト・バッファのようなバッファ114に供給される。この実施例のRFスリップリングの2つの伝送線路セグメントを用いるとき、バッファ114は線116及び118の1対の同一の差分符号化直列データ信号を、抵抗−キャパシタ・インピーダンス整合/フィルタ回路120を介して、左半分伝送線路セグメント36及び右半分伝送線路セグメント38(図2)の入力40、41に供給する。
【0026】
差分RF符号化データ信号は、米国特許第5530424号に記載されているようなRFスリップリングを介して結合されて、スリップリング・カップラ50によって受信され、線52を介してデータ受信器54(図2)に供給される。次に図5について説明すると、最善の態様の実施例では、受信器54は1対の復号回路122、124の各々の入力に符号化データ信号を受取る。説明の為、1対の復号回路122、124をチャンネルA及びチャンネルBとそれぞれ呼ぶ。クロック回復回路(図に示していない)が、図4の線図(e)の波形125で示されたtaxiクロック信号を回復し、それが線126を介して2で除算する回路128に供給されると共に、それが反転されて、最後の再クロック・フリップフロップ130のCLK−NOT入力に供給される。
【0027】
チャンネルA及びチャンネルBを使うと、相次ぐビット期間で復号タスクを交互に行うことにより、110Mbpsの9.2ナノ秒のビット期間が容易になる。従って、各チャンネルは相次ぐ2つの内の一方だけを復号し、各チャンネルのサイクル時間は18.4ナノ秒になる。チャンネルは、(110MHz)taxiクロック周波数の半分(すなわち、55MHz)で、除算回路128から供給されるチャンネル選択信号によって、作動されると共に不作動にされる。選択信号が、図4の線図(f)の波形132によって示されているが、これが信号送信器32におけるPLL82(図3)によるtaxiクロックの同期を通じて、データ信号に同期し、それぞれチャンネルA及びBのアンド・ゲート136、138のD0 及びD0 −NOT入力に線134を介して(Q及びQ−NOTとして)供給される。
【0028】
チャンネルA及びBはそれぞれ、最初の素子であるアンド・ゲート136、138に続いて、それぞれカスケード接続のDエッジ・トリガ形フリップフロップ140−142及び144−146を含んでいる。最後のフリップフロップ142、146の差分Q出力がアンド・ゲート148のD0 及びD1 入力に供給される。これらのアンド・ゲート及びDフリップフロップは、図3の信号送信器の回路図について前に述べたのと同じ形式のECLゲートである。D0 入力が高であるときには、何時でもアンド・ゲート136、138が低(論理ゼロ状態)に保たれ、不作動になる。従って、Q選択信号がアンド138のD0 入力に供給され、Q−NOT選択信号がアンド136のD0 に供給される。これによってチャンネルの交代的なトグル動作が出来るようになり、これが機能的に選択信号波形132(図4の線図(f))に示されており、波形の交互の状態がA及びBと記されている。図4の線図(d)について言うと、線図(a)のデータ信号波形104の論理ゼロ状態に対応する最初の一連の4個のパルスの発生が、Q選択波形132(線図(f))の低状態で、チャンネルBの復号論理回路124によって復号される。
【0029】
アンド・ゲート138に低のD0 入力があると、ゲートのQ出力が符号化データ信号に追従して、図4の線図(h)の波形150に示す4パルスの出力を発生する。アンド・ゲートのQ出力が各々のDフリップフロップ144−146のCLK入力に供給され、それぞれを、線図(l)乃至(n)の波形152−154で示すように、データ信号の4つのパルスの内の最初の3つで、立て続けに高にトグル動作させる。3番目のパルスは、図4の線図(o)の波形156で示すように、アンド・ゲート148の出力をも高にセットする。ゲート148のQ及びQ−NOT出力が出力Dフリップフロップ130のそれぞれDーNOT及びD入力に逆に供給され、このフリップフロップはそのCLK−NOT入力にtaxiクロック信号(図4の線図(c)の波形108)をも受取る。
【0030】
ゲート148のQ出力が高であると、Q−NOTが低であり、フロップ130に対するD入力を低にセットする。CLK−NOT入力の次の低から高への変化(図4の線図(c)のtaxiクロック信号波形108の高から低への変化)で、フロップ130が低に変化する。選択信号(図4の線図(f)の132)の低から高への変化により、アンド・ゲート148が低になり、データ信号の1ビット期間に対応する、taxiクロック−NOTの次の低から高への変化で、フロップ130のQ出力が高になる。フロップ130の出力、すなわち再クロック信号が、図4の線図(p)の波形158によって示される復号データ信号である。図4の線図(a)を線図(p)と比較すれば、復号信号は、1ビット期間のシフト、すなわち1つのtaxiクロック周期で、回転枠のデータ信号を複製したものになっていることが判る。
【0031】
同様に、復号回路はパルスの不在を論理1ビット状態として復号する。波形110に2番目のパルス群、”00”が出現すると、選択信号が復号回路122をパルスの最初のビット期間の間作動すると共に、回路124を4つのパルスの2番目の群の間作動する。この各々の符号化ビットが、前に述べたのと同じように復号される。
【0032】
この実施例では、符号化アルゴリズムが、限られた数のパルス、並びに受信パルスを論理0に変換する為に単純な多数を要求する簡単な規則準拠復号アルゴリズムを使うことによって、簡単になる。図示の実施例では、ビット期間内に発生する3つのパルスは論理0として変換され、3個未満は論理1として変換される。これは、CT回転界面の信号雑音特性の経験的な観察に基づくものである。4パルス符号化パターンは、CT回転界面を介しての転送の際に結合されるデータの完全さを保証するのに十分であることが判った。しかし、特定の用途に対して当業者によって必要と思われれば、パルスの数をこれより多くしても少なくしてもよいし、或いはパルス・パターン及び復号アルゴリズムをこれより複雑にしてもよいことは言うまでもない。更に、ここに開示した実施例の信号送信器及び信号受信器は、使われる種々の符号化パターン及び復号アルゴリズムを達成するのに必要に応じて、変更しても、或いは完全に構成し直してもよい。
【0033】
本発明は回転界面を介して結合される高速データ信号に高い雑音免疫性を持たせる。データ信号の2つの状態の内の一方をRFパルス・パターンでディジタル符号化することにより、従来の方法及び装置よりも、データの完全さを保証する一層簡単で、一層コストが安く、一層効果的な方法が得られる。同様に、本発明を最善の態様の実施例について説明し、図面に示したが、当業者であれば、特許請求の範囲によって定められた本発明の範囲を逸脱せずに、ここに開示した実施例の形式及び細部に種々の変更、省略並びに追加を加えることが出来ることが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を利用することが出来るCTイメージング装置の一例の斜視図である。
【図2】図1に示した装置の一部分を見取図風に示す簡略ブロック図である。
【図3】図2の装置の1つの素子の簡略ブロック図である。
【図4】本発明の動作を説明する為に図3及び5と共に使われる信号波形図である。
【図5】図2の装置の別の素子の略図である。
Claims (19)
- 各々の信号ビットが関連するビット期間内に信号ビット速度で発生し且つ各々の信号ビットが交代的に第1の論理状態及び第2の論理状態を表している複数の信号ビットで構成されている直列ディジタル・ビット信号を、相対的に回転する第1の面から第2の面に結合する装置において、前記第1の面上に配置されていて、前記直列ディジタル・ビット信号をディジタルRF搬送波信号を用いて符号化してディジタル符号化直列ディジタル・ビット・データ信号を発生する信号送信器と、前記第1の面の回転枠に配置された第1の素子及び前記第2の面の不動の枠に配置された第2の素子を持ち、該第1の素子が前記信号送信器からの前記符号化直列ディジタル・ビット・データ信号を受取って、それを前記第2の素子に電磁結合するようにした電磁カップラと、前記不動の枠上に配置されていて、前記第2の素子に応答して前記ディジタル符号化直列ディジタル・ビット信号を符号化前の状態に変換する信号受信器と、を有し、
前記信号送信器は、前記直列ディジタル・ビット・データ信号の各々の第1の論理状態ビットに関連するビット期間だけをディジタル符号化し、前記信号受信器は、前記直列ディジタル・ビット・データ信号の符号化前の状態に対応して、受信した第1の論理状態の符号化信号を第1の論理状態ビット及び第2の論理状態ビットに変換することを特徴とする前記装置。 - 前記信号送信器は、RFパルス繰返し周波数で発生する複数個の直列パルスを用いて、各々の第1の論理状態ビットの各々のビット期間を符号化する請求項1記載の装置。
- 前記信号送信器は、送信器クロック及び位相固定ループを含んでいて、前記データ信号ビット速度に同期したtaxiクロック信号を発生し、該taxiクロック信号が前記ディジタル符号化直列ディジタル・ビット・データ信号のビット期間の発生を制御して、それをデータ信号ビット速度と同期させ、前記信号受信器は、受信した前記ディジタル符号化直列ディジタル・ビット・データ信号から前記taxiクロック信号を復元する信号検出回路を含んでいる請求項2記載の装置。
- 前記信号送信器は、RFパルス繰返し周波数で発生する既知の偶数の直列パルスを用いて、各々の前記第1の論理状態ビットの各々のビット期間を符号化し、前記信号受信器は、ビット期間内に前記既知の偶数個の直列パルスの大多数が存在する毎に、それを第1の論理状態の信号ビットとして変換すると共に、この他のすべての数の直列パルスが発生したことを第2の論理状態の信号ビットとして変換する請求項3記載の装置。
- 前記信号送信器は、RFパルス繰返し周波数で発生する既知の偶数個の直列パルスを用いて各々の前記第1の論理状態ビットの各々のビット期間を符号化し、前記信号受信器は、前記taxiクロック信号から各々のビット期間の存在を検出すると共に、各々の検出されたビット期間内に発生する直列パルスを計数して、前記検出されたビット期間内に前記既知の偶数個の直列パルスの大多数が存在する度に、それを第1の論理状態の信号ビットとして変換すると共に、他のそれぞれの数の直列ビットが発生したことを第2の論理状態の信号ビットとして変換する請求項3記載の装置。
- 前記信号送信器は、RFパルス繰返し周波数で発生する4つの直列パルスを用いて、各々の前記第1の論理状態ビットの各々のビット期間を符号化し、前記信号受信器は、前記taxiクロック信号から各々のビット期間の存在を検出すると共に、検出された各々のビット期間内に発生する直列パルスを計数して、検出されたビット期間内に前記4個のパルスの内の3個並びに前記4個のパルス内の4個が存在する度に、それを第1の論理状態の信号ビットとして変換すると共に、前記検出されたビット期間内のパルスなし並びに4個のパルスの内1個及び4個のパルスの内の3個が存在する度に、それを第2の論理状態の信号ビットとして変換する請求項3記載の装置。
- 前記信号送信器は、前記データ信号ビット速度に対応する周波数より少なくとも4倍高いRFパルス繰り返し周波数で前記4つの直列パルスを発生する請求項6記載の装置。
- 前記信号送信器は、略50%デューティ・サイクルで前記4つの直列パルスを発生する請求項6記載の装置。
- 前記信号送信器は更に、送信器クロック及び位相固定ループを含んでいて、前記データ信号ビット速度に同期したtaxiクロック信号を発生し、該taxiクロック信号が前記ディジタル符号化直列ディジタル・ビット・データ信号のビット期間の発生を制御して、それと前記データ信号ビット速度とを同期させ、前記信号受信器は、前記受信したディジタル符号化直列ディジタル・ビット・データ信号から前記taxiクロック信号を復元する信号検出回路を含んでいる請求項1記載の装置。
- 前記信号送信器及び前記信号受信器の何れもECL回路素子で構成されている請求項1記載の装置。
- 相対的に不動の枠に装着された回転枠を持つ形式であって、該回転枠がその中のイメージング平面に配置された試験物体を回転方向に取巻くようにした開口を持っていて、該回転枠の1つ又は更に多くの角度位置で試験物体のx線ビューを求めるようになっており、各々のビューが直列ディジタル・ビット・データ信号で構成され、各々の直列ディジタル・ビットが関連するビット期間内にデータ信号ビット速度で発生して、各々交代的に第1の論理状態及び第2の論理状態を表し、それらが包括的に所望のビューを表すようになっており、各々のビューに関連する直列ディジタル・ビット・データ信号が相対的に不動の枠に装着された信号プロセッサに供給され、該信号プロセッサがこのようなすべてのビューの合成として試験物体の断面画像を作るように構成されている計算機式断層撮影装置で、回転界面を横切って信号データを転送する方法において、ディジタルRF搬送波信号を用いて前記回転枠上で前記直列ディジタル・ビット・データ信号を符号化してディジタル符号化直列ディジタル・ビット・データ信号を発生する工程と、それぞれ前記回転枠上に配置された第1の素子及び不動の枠上に配置された第2の素子を持つ電磁カップラを用いて、前記ディジタル符号化直列ディジタル・ビット信号を前記第1の素子に加えて、該第1の素子から第2の素子へ電磁結合する工程と、前記第2の素子からディジタル符号化直列ディジタル・ビット・データ信号を受取り、該符号化信号を符号化前の状態に変換する工程と、有しており、
前記符号化する工程が、各々のビット期間の存在を確認する工程と、確認されたビット期間の中から、第1の論理状態ビットを持つビット期間を検出する工程と、各々の第1の論理状態のビット期間をディジタルRF搬送波信号で変調する工程とを含んでいることを特徴とする前記方法。 - 前記変調する工程が、前記第1の論理状態の信号ビットを、RFパルス繰返し周波数で発生する複数個の直列パルスに置換える工程を含んでいる請求項11記載の方法。
- 更に、前記回転枠上でtaxiクロック信号を発生する工程と、該taxiクロック信号を前記データ信号ビット速度と同期させる工程と、同期させたtaxiクロック信号を用いて、前記回転枠上でのディジタル符号化直列ディジタル・ビット・データ信号のビット期間の発生を制御して、それをデータ信号ビット速度と同期させるようにする工程と、受信したディジタル符号化直列ディジタル・ビット・データ信号から前記不動の枠で前記taxiクロック信号を抽出する工程と、を含んでいる請求項12記載の方法。
- 前記置換える工程が、前記複数個の直列のパルスをRFパルス繰返し周波数で発生する既知の偶数個の直列パルスとして用意する工程を含み、前記抽出する工程が、ビット期間内に前記既知の偶数個の直列パルスの内の大多数が存在する毎に、それを第1の論理状態の信号ビットとして記録すると共に、この他の数の直列パルスが発生する度に、それを第2の論理状態の信号ビットとして記録する工程を含んでいる請求項13記載の方法。
- 前記置換える工程が、前記複数個の直列パルスを、RFパルス繰返し周波数で発生する既知の偶数個の直列パルスとして用意する工程を含み、前記抽出する工程が、前記taxiクロック信号から判断して各々のビット期間の存在を検出する工程と、このようにして検出された各々のビット期間内に発生する直列パルスを計数する工程と、こうして計数されたビット期間内に前記既知の偶数個の直列パルスの内の大多数が存在する度に、それを第1の論理状態の信号ビットとして記録すると共に、他の数の直列パルスが発生する度に、それを第2の論理状態の信号ビットとして記録する工程とを含んでいる請求項13記載の方法。
- 前記置換える工程が、RFパルス繰返し周波数で発生する4つの直列パルスを用意する工程を含み、前記抽出する工程が、前記taxiクロック信号から判断して各々のビット期間の存在を検出する工程と、こうして検出されたビット期間内に4つのパルスの内の3個並びに4つのパルスの内の4個が発生したことを第1の論理状態の信号ビットとして記録すると共に、前記検出されたビット期間内にパルスなし並びに4個のパルスの内の1個及び4個のパルスの内の3個が存在する度に、それを第2の論理状態の信号ビットとして記録する工程とを含んでいる請求項13記載の方法。
- イメージング平面内に配置された試験物体を回転方向に取巻くようにした開口を持つと共に、該開口の両側にそれぞれ配置されたx線源及び検出器配列を持つ前記回転枠であって、前記x線源は前記開口の回転通路に沿った幾つかの角度位置の各々で前記イメージング平面内にx線を放出して、前記検出器配列が前記試験物体を通過した放出されたx線を受取り、また前記検出器配列は、それが受取ったx線の強度を表す画像信号を発生し、該画像信号の表示は直列ディジタル・ビット・データ信号であり、その各々の直列ディジタル・ビットは関連するビット期間内にデータ信号ビット速度で発生して、それぞれ交代的に第1の論理状態及び第2の論理状態を表し、それらが包括的に前記開口の関連する角度位置における試験物体のビューを表すように構成されている前記回転枠と、
該回転枠に対して固定である前記不動の枠あって、各々の前記角度位置における各々のビューに関連する前記直列ディジタル・ビット・データ信号を受取ると共に、前記ビューの合成として前記試験物体の断面画像を作るメモリつき信号プロセッサを持っている前記不動の枠とを有し、
前記信号送信器は前記回転枠上に配置されており、
前記第1及び第2の素子はそれぞれ前記回転枠及び前記不動の枠に配置されており、
前記信号受信器は前記不動の枠上に配置されている、請求項1記載の計算機式断層撮影装置。 - 前記電磁カップラはRFスリップリングで構成される請求項17記載の計算機式断層撮影装置。
- 前記信号送信器及び前記信号受信器のいずれもECL回路で構成されている請求項17記載の計算機式断層撮影装置。
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