以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、単に実施の形態という。)について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係るスイッチング電源装置の構成を表すものである。このスイッチング電源装置は、高圧バッテリ51から入出力端子T1,T2間に印加される直流高圧電圧VHに基づいて直流低圧電圧VLを生成し、これを入出力端子T3,T4から出力して低圧バッテリ52へ供給する順方向動作と、逆にこの低圧バッテリ52から入出力端子T3,T4間に印加される直流低圧電圧VLに基づいて直流高圧電圧VHを生成し、これを入出力端子T1,T2から出力して高圧バッテリ51へ供給する逆方向動作とを行うことが可能な双方向型のスイッチング電源装置(DC−DCコンバータ)である。
このスイッチング電源装置は、高圧バッテリ51側(高圧側)の高圧ラインL1Hおよび低圧ラインL1Lの間に設けられた平滑コンデンサCH、スイッチング回路1、サージ電圧抑止回路2およびインダクタLrと、高圧側の巻線31および低圧バッテリ52側(低圧側)の巻線32A,32Bを有するトランス3と、低圧側に設けられたスイッチング回路4、インダクタLchおよび平滑コンデンサCLと、スイッチング回路1,4をそれぞれ駆動する駆動回路6とを備えている。
平滑コンデンサCHは、直流高圧電圧VHを平滑化するためのものである。
スイッチング回路1は、4つのスイッチング素子S1〜S4と、これらスイッチング素子S1〜S4に対してそれぞれ並列接続されたコンデンサC1〜C4およびダイオードD1〜D4とを有しており、フルブリッジ型の回路構成となっている。具体的には、スイッチング素子S1,S2の一端同士が接続点P1で互いに接続されると共に、スイッチング素子S3,S4の一端同士が接続点P2で互いに接続されている。また、スイッチング素子S1,S3の他端同士が互いに接続されると共にスイッチング素子S2,S4の他端同士が互いに接続され、これらの他端同士は、それぞれ入出力端子T1,T2に接続されている。このような構成によりスイッチング回路1は、後述するように、順方向動作時にはフルブリッジ型のインバータ回路として機能する一方、逆方向動作時にはフルブリッジ型の整流回路として機能するようになっている。
なお、スイッチング素子S1〜S4は、例えば電界効果型トランジスタ(MOS−FET;Metal Oxide Semiconductor-Field Effect Transistor)やIGBT(Insulated Gate Bipolor Transistor)などのスイッチ素子から構成される。また、これらスイッチ素子としてMOS―FETを用いた場合には、上記コンデンサC1〜C4およびダイオードD1〜D4をそれぞれ、このMOS―FETの寄生容量または寄生ダイオードから構成することが可能である。また、上記コンデンサC1〜C4をそれぞれ、ダイオードD1〜D4の接合容量で構成することも可能である。このように構成した場合、スイッチ素子とは別個にコンデンサC1〜C4やダイオードD1〜D4を設ける必要がなくなり、回路構成を簡素化することができる。
サージ電圧抑止回路2は、逆方向接続の一対のダイオードD5,D6と、これらダイオードD5,D6にそれぞれ並列接続されたコンデンサC5,C6とを有している。ダイオードD5のアノードは接続点P3に接続され、カソードは高圧ラインL1Hに接続されている。また、ダイオードD6のアノードは低圧ラインL1Lに接続され、カソードは接続点P3に接続されている。このような構成によりサージ電圧抑止回路2は、コンデンサC5,C6と後述するインダクタLrまたはインダクタLchとの間でLC直列共振回路(第1共振回路または第2共振回路)を構成し、このLC直列共振回路による共振特性を利用することで、後述するスイッチング回路4内のダイオードD10,D20に加わるサージ電圧を抑制するようになっている。
インダクタLrは、一端が接続点P1に接続され、他端が接続点P3に接続されている。すなわち、このインダクタLrは、スイッチング素子S1,S2とダイオードD5,D6およびコンデンサC5,C6とから構成されるブリッジ回路に、Hブリッジ接続されるようになっている。このような構成によりインダクタLrは、スイッチング回路1内のコンデンサC1〜C4と共にLC直列共振回路を構成し、このLC直列共振回路による共振特性を利用することで、後述するように、スイッチング素子S1〜S4における短絡損失を抑制するようになっている。また、上記のように、サージ電圧抑止回路2内のコンデンサC5,C6と共にLC直列共振回路(第1共振回路)を構成し、スイッチング回路4内のダイオードD10,D20に加わるサージ電圧を抑制するようになっている。
トランス3は、高圧側の巻線31と、低圧側の一対の巻線32A,32Bとを有している。巻線31は一端が接続点P3に接続され、他端が接続点P2に接続されている。すなわち、この巻線31は、スイッチング素子S3,S4とダイオードD5,D6およびコンデンサC5,C6とから構成されるブリッジ回路に、Hブリッジ接続されるようになっている。一方、巻線32A,32Bの一端同士はセンタタップCTで互いに接続され、このセンタタップCTは、低圧側の高圧ラインL2H上をインダクタLchを介して入出力端子T3に導かれている。このような構成によりトランス3は、スイッチング回路1または後述するスイッチング回路4によって生成された入力交流電圧を降圧し、巻線32A,32Bの各端部または巻線31の端部から、互いに180度位相が異なる出力交流電圧を出力するようになっている。なお、この場合の降圧または昇圧の度合いは、巻線31と巻線32A,32Bとの巻数比によって定まる。
スイッチング回路4は、2つのスイッチング素子S10,S20と、これらスイッチング素子S10,S20に対してそれぞれ並列接続されたダイオードD10,D20とを有しており、プッシュプル型の回路構成となっている。ダイオードD10,D20について具体的にみると、ダイオードD10のカソードはトランス3の巻線32Aの他端に接続され、ダイオードD20のカソードはトランス3の巻線32Bの他端に接続されている。また、これらダイオードD10,D20のアノード同士は互いに接続され、低圧側の低圧ラインL2Lに接続されている。つまり、このスイッチング回路4のダイオードD10,D20は、センタタップ型のアノードコモン接続の構成となっている。このような構成によりスイッチング回路4は、後述するように、順方向動作時にはセンタタップ型の整流回路として機能する一方、逆方向動作時にはプッシュプル型のインバータ回路として機能するようになっている。
なお、スイッチング素子S10,S20も、例えばMOS−FETやIGBTなどのスイッチ素子から構成される。また、これらスイッチ素子としてMOS―FETを用いた場合には、上記ダイオードD10,D20をそれぞれ、このMOS―FETの寄生ダイオードから構成することが可能である。そのように構成した場合も、スイッチ素子とは別個にダイオードD10,D20を設ける必要がなくなり、回路構成を簡素化することができる。
インダクタLchは、高圧ラインL2Hに挿入配置されており、一端はセンタタップCTに接続され、他端は入出力端子T3に接続されている。また、平滑コンデンサCLは、高圧ラインL2H(具体的には、インダクタLchの他端)と低圧ラインL2Lとの間に設けられ、低圧ラインL2Lの端部には、入出力端子T4が設けられている。このような構成によりインダクタLchは、後述するように順方向動作時にはチョークコイルとして機能し、平滑コンデンサCLと共に平滑回路を構成することで、スイッチング回路4で整流された直流電圧を平滑化して直流低圧電圧VLを生成し、これを入出力端子T3,T4から低圧バッテリ52に給電するようになっている。また、逆方向動作時には、昇圧用インダクタとして機能すると共に、サージ電圧抑止回路2内のコンデンサC5,C6と共にLC直列共振回路(第2共振回路)を構成し、スイッチング回路4内のダイオードD10,D20に加わるサージ電圧を抑制するようになっている。
駆動回路6は、スイッチング回路1内のスイッチング素子S1〜S4、およびスイッチング回路4内のスイッチング素子S10,S20をそれぞれ駆動するためのものである。具体的には、スイッチング素子S1〜S4に対してそれぞれ駆動信号SG1〜SG4を供給し、これらスイッチング素子S1〜S4をオン・オフ制御する一方、スイッチング素子S10,S20に対してそれぞれ駆動信号SG10,SG20を供給し、これらスイッチング素子S10,S20をオン・オフ制御するようになっている。また、この駆動回路6は、後述するように、順方向動作時にスイッチング回路1内のスイッチング素子S1〜S4に対してスイッチング位相制御(位相シフト制御)を行い、スイッチング位相差を適切に設定することで、順方向動作時の直流出力電圧(直流低圧電圧VL)を安定化させるようになっている。なお、駆動回路6が、スイッチング回路1内のダイオードD1〜D4やスイッチング回路4内のダイオードD10,D20の導通期間にそれぞれ同期してスイッチング素子S1〜S4やスイッチング素子S10,S20がオン状態となるように制御した場合(同期整流)には、これらダイオードD1〜D4,D10,D20での電力損失を低減することができる。
ここで、入出力端子T1,T2および入出力端子T3,T4が、本発明における「第1および第2の入出力端子対」の一具体例に対応する。また、順方向動作時における入出力端子T1,T2および逆方向動作時における入出力端子T3,T4が本発明における「一方の入出力端子対」の一具体例に対応し、順方向動作時における入出力端子T3,T4および逆方向動作時における入出力端子T1,T2が本発明における「他方の入出力端子対」の一具体例に対応する。また、巻線31が本発明における「第1の巻線」の一具体例に対応し、巻線32A,32Bが本発明における「第2の巻線」の一具体例に対応する。また、スイッチング回路1が本発明における「第1の回路」の一具体例に対応し、スイッチング回路4が本発明における「第2の回路」の一具体例に対応する。また、スイッチング素子S1〜S4が本発明における「複数の第1のスイッチング素子」の一具体例に対応し、スイッチング素子S10,S20が本発明における「複数の第2のスイッチング素子」の一具体例に対応する。また、ダイオードD1〜D4が本発明における「第1の整流素子」の一具体例に対応し、ダイオードD10,D20が本発明における「第2の整流素子」の一具体例に対応する。また、ダイオードD5,D6が本発明における「第3の整流素子」の一具体例に対応し、コンデンサC5,C6が本発明における「第1の容量素子」の一具体例に対応し、ダイオードD5とコンデンサC5とからなる素子対およびダイオードD6とコンデンサC6とからなる素子対が、本発明における「素子対」の一具体例に対応する。
次に、以上のような構成のスイッチング電源装置の動作について説明する。まず、スイッチング電源装置の基本動作を、順方向動作および逆方向動作に分けて説明する。
図2は、このスイッチング電源装置における順方向動作および逆方向動作における各回路の役割の違いを表したものである。
まず、順方向動作(直流高圧電圧VHから直流低圧電圧VLへの降圧動作)時には、スイッチング回路1内のスイッチング素子S1〜S4は、駆動回路6からの駆動信号SG1〜SG4によってオン・オフ動作し、インバータ回路として機能する一方、スイッチング回路4内のスイッチング素子S10,S20は、駆動信号SG10,SG20によってオフ状態となり、整流回路として機能する(図2)。なお、前述した同期整流の場合には、これらスイッチング素子S10,S20もオン・オフ動作することになる。また、インダクタLrがLC直列共振回路(コンデンサC1〜C4との共振回路、およびコンデンサC5,C6との第1共振回路)の共振用インダクタとして機能する一方、インダクタLchはチョークコイルとして機能する(図2)。なお、詳細は後述するように、サージ電圧抑止回路2による整流ダイオードD10,D20のサージ電圧抑止機能も有効となっている(図2)。
よって、この順方向動作時には、以下のような基本動作となる。まず、高圧バッテリ51から入出力端子T1,T2間に直流高圧電圧VHが印加され、インバータ回路として機能するスイッチング回路1によって、入力交流電圧が生成される。
次に、この入力交流電圧がトランス3の巻線31に入力すると変圧(この場合、降圧)され、巻線32A,32Bから出力交流電圧が出力される。そしてこの出力交流電圧が、整流回路として機能するスイッチング回路4内のダイオードD10,D20によって整流され、チョークコイルとして機能するインダクタLchと平滑コンデンサCLとによって平滑化されることで、入出力端子T3,T4から直流低圧電圧VLとして出力され、低圧バッテリ52に給電される。
一方、逆方向動作(直流低圧電圧VLから直流高圧電圧VHへの昇圧動作)時には、逆にスイッチング回路1内のスイッチング素子S1〜S4は、駆動信号SG1〜SG4によってオフ状態となり、整流回路として機能する一方、スイッチング回路4内のスイッチング素子S10,S20は、駆動信号SG10,SG20によってオン・オフ動作し、インバータ回路として機能する(図2)。なお、前述した同期整流の場合には、スイッチング素子S1〜S4もオン・オフ動作することになる。また、インダクタLrがLC直列共振回路(コンデンサC1〜C4との共振回路)の共振用インダクタとして機能する一方、インダクタLchもLC直列共振回路(コンデンサC5,C6との第2共振回路)の共振用インダクタとして機能すると共に、昇圧用インダクタとしても機能する(図2)。なお、詳細は後述するように、この逆方向動作時においても、サージ電圧抑止回路2によるダイオードD10,D20のサージ電圧抑止機能が有効となっている(図2)。
よって、この逆方向動作時には、以下のような基本動作となる。まず、低圧バッテリ52から入出力端子T3,T4間に直流低圧電圧VLが印加され、昇圧用インダクタとして機能するインダクタLchおよびインバータ回路として機能するスイッチング回路4によって、入力交流電圧が生成される。
次に、この入力交流電圧がトランス3の巻線32A,32Bにそれぞれ入力すると変圧(この場合、昇圧)され、巻線31から出力交流電圧が出力される。そしてこの出力交流電圧が、整流回路として機能するスイッチング回路1内のダイオードD1〜D4によって整流され、入出力端子T1,T2から直流高圧電圧VHとして出力され、高圧バッテリ51に給電される。
このようにして、本実施の形態のスイッチング電源装置において、順方向動作および逆方向動作がなされるようになっている。
次に、図3〜図29を参照して、本発明の主な特徴である、スイッチング回路4内のダイオードD10,D20に加わるサージ電圧を抑止する動作について、順方向動作時と逆方向動作時と分けて詳細に説明する。
<順方向動作時のサージ電圧抑制動作>
まず、図3〜図16を参照して、順方向動作時における、ダイオードD10,D20に加わるサージ電圧を抑止する動作について説明する。
図3は、図1のスイッチング電源装置の順方向動作時における各部の電圧波形または電流波形をタイミング波形図(タイミングt0〜t10)で表したものであり、図中の(A)〜(D)は駆動信号SG1〜SG4の電圧波形を、(E),(F)は駆動信号SG10,SG20の電圧波形を、(G)〜(I)は接続点P1〜P3の電位VP1〜VP3を、(J)は接続点P3の電位VP3を基準とした接続点P1,P3間の電位差VP1-P3を、(K)は接続点P2の電位VP2を基準とした接続点P3,P2間の電位差VP3-P2を、(L)はインダクタLrを流れる電流Irを、(M)はトランス3の巻線31を流れる電流I31を、(N),(O)はそれぞれサージ電圧抑止回路2におけるダイオードD5,D6とコンデンサC5,C6との並列接続部分を流れる電流I5,I6を、(P),(Q)はそれぞれダイオードD10,D20のアノード・カソード間に加わる逆電圧V10,V20を、(R),(S)はそれぞれスイッチング素子S10,S20またはダイオードD10,D20を流れる電流I10,I20を、(T)はインダクタLchを流れる電流Ichを、それぞれ表している。なお、各電圧の方向は図1に矢印で示したとおりであり、「−」から「+」の方向を正方向としている。また、各電流の方向も、図1に矢印で示した方向を正方向としている。
また、図4〜図15は、図3の各タイミング(タイミングt0〜t10)におけるスイッチング電源装置の動作状態を表したものであり、図16は、図3で示したタイミング以降(タイミングt10〜t20(t0))の各部の電圧波形または電流波形を表したものである。なお、図3,図16でそれぞれ示したタイミングは、それぞれスイッチング電源装置の動作の半周期分のものを表しており、これらの動作を合わせて一周期分の動作となっている。
まず、図3〜図15を参照して、最初の半周期分の動作について説明する。
スイッチング素子S1〜S4の駆動信号SG1〜SG4(図3(A)〜(D))についてみると、これらのスイッチング素子は、2つのスイッチング素子対に区分されることが分かる。具体的には、スイッチング素子S1,S2はいずれも時間軸上における固定タイミングでオンするように制御され、「固定側スイッチング素子」と称される。また、スイッチング素子S3,S4はいずれも時間軸上における可変タイミングでオンするように制御され、「シフト側スイッチング素子」と称される。
また、これらスイッチング素子S1〜S4は、スイッチング動作のいかなる状態においても、直流高圧電圧VHが印加された入出力端子T1,T2が電気的に短絡されない組み合わせおよびタイミングで駆動される。具体的には、スイッチング素子S3,4(固定側スイッチング素子)は、同時にオンとなることはなく、また、スイッチング素子S1,S2(シフト側スイッチング素子)も、同時にオンとなることはない。これらが同時にオンとなるのを回避するためにとられる時間的間隔は、デッドタイムTdと称される(図3(A),(D))。
また、スイッチング素子S1,S4は同時にオンとなる期間を有し、この同時にオンとなる期間において、トランス3の巻線31が励磁される。そしてこれらスイッチング素子S1,S4は、スイッチング素子S1(固定側スイッチング素子)を基準としてスイッチング位相差φをなすように動作する(図3(A),(D))。また同様に、スイッチング素子S2,S3は同時にオンとなる期間を有し、この同時にオンとなる期間において、トランス3の巻線31が、上記の場合とは逆方向に励磁される。そしてこれらスイッチング素子S2,S3は、スイッチング素子S2(固定側スイッチング素子)を基準としてスイッチング位相差φをなすように動作する(図3(B),(C))。さらに、スイッチング素子S1とスイッチング素子S4とのスイッチング位相差φ、およびスイッチング素子S2とスイッチング素子S3とのスイッチング位相差φがそれぞれ制御されると、スイッチング素子S1およびスイッチング素子S4が同時にオンになっている時間、ならびにスイッチング素子S2およびスイッチング素子S3が同時にオンになっている時間がそれぞれ変化する。これにより、トランス3の巻線31に印加される入力交流電圧のデューティ比が変化し、順方向動作の直流出力電圧(直流低圧電圧VL)が安定化されるようになっている。
なお、この順方向動作時には、スイッチング素子S10,S20の駆動信号SG10,SG20は常に0Vとなっており(図3(E),(F))、スイッチング素子S10,S20が常にオフ状態となるようになっている。ただし、前述した同期整流の場合には、これらスイッチング素子S10,S20もオン・オフ動作することになる。
まず、図4に示したタイミングt0〜t1までの期間では、スイッチング素子S1,S4がオン状態となっており(図3(A),(D))、スイッチング素子S2,S3はオフ状態となっている(図3(B),(C))。また、接続点P1の電位VP1=VH(図3(G))、および接続点P2の電位VP2=0V(図3(H))であり、前述のようにインダクタLrのインダクタンスはトランス3の巻線31のインダクタンスと比べて非常に小さいことから、接続点P3の電位VP3≒VHとなり(図3(I))、VP2を基準とした接続点P3,P2間の電位差VP3-P2もほぼVHと等しくなっている(図3(K))。したがって、スイッチング回路1には図4に示したようなループ電流Iaが流れ、インダクタLrが励磁されると共に高圧側から低圧側へ電力伝送が行われる。よって、低圧側にはダイオードD10およびインダクタLchを介するループ電流Ixaが流れ、低圧バッテリ52へ電荷が供給される。なお、この期間では、ダイオードD10には順方向電圧が印加され、逆電圧V10=0V(図3(P))となる一方、ダイオードD20には、逆電圧V20が印加されている(図3(R))。
次に、図5で示したタイミングt1〜t2までの期間では、タイミングt1でスイッチング素子S4がオフ状態となる(図3(D))。すると、コンデンサC3,C4とインダクタLrとが協働してLC直列共振回路が構成され、共振動作が行われる。したがって、図5に示したようなループ電流Ib,Icが流れ、コンデンサC3が放電される一方、コンデンサC4は充電されるので、接続点P2の電位VP2が徐々に上昇していき、タイミングt2でVP2=VHとなる(図3(H))。また、このときダイオードD20の逆電圧V20が徐々に下降していき、タイミングt2で0Vとなる(図3(R))。
ここで、図6で示したように、タイミングt2でVP2=VHとなると(図3(H))、ダイオードD3が導通するようになる。また、このようにVP2=VHとなってダイオードD3が導通した後に、図7に示したように、タイミングt3でスイッチング素子S3がオン状態となることで(図3(C))ZVS動作がなされ、その結果、スイッチング素子S3における短絡損失が抑制される。
また、このタイミングt2〜t4の期間では、タイミングt0〜t1の期間で励磁されることによりインダクタLrに蓄えられたエネルギーが、このインダクタLrの両端に接続された回路において、電流として循環しようとする。具体的には、図7に示したように、インダクタLrの一端(接続点P3)からスイッチング素子S1の他端(高圧ラインL1H側)までの間の電位差が互いに等しくなるように、ループ電流Id,Ieがそれぞれ流れる。ここで、ループ電流Idの経路においては、この電位差は、トランス3の巻線31の両端間の電圧V31と、スイッチング素子S3の両端間の電圧VS3との和になる。V31は、トランス3の巻線31と巻線32A,32Bとの巻数比をnとすると、ダイオードD10の順方向電圧降下をこの巻数比nで割ったものとなり、V31は、スイッチング素子S3がオフ状態のとき(タイミングt2〜t3の期間)はダイオードD3の順方向電圧降下となり、スイッチング素子S3がオン状態のとき(タイミングt3〜t4の期間)は、スイッチング素子S3のオン抵抗と流れる電流との積になる。一方、ループ電流Ieの経路においては、上記電位差は、ダイオードD5の順方向電圧降下となる。
ここで、これらダイオードD10,D3,D5の順方向電圧降下の値は、流れている順方向電流値や周囲の温度によって変化するが、ループ電流Id,Ieはそれぞれ、上記電位差が互いに等しくなるように流れる。また、このように電流が2つのループ電流Id,Ieに分流することにより、トランス3の巻線31を流れる電流I31の絶対値が減少する(図3(M))。さらに、このトランス3でのアンペア・ターンが等しくなると共に、トランス3の巻線32A,32Bをそれぞれ流れる電流の和がインダクタLchを流れる電流Ichに等しくなるように、この電流Ichが、ダイオードD10を流れるループ電流Ixaと、ダイオードD20を流れるループ電流Ixbとに分流する。
次に、図8で示したように、タイミングt4になると、スイッチング素子S1がオフ状態となる(図3(A))。すると、コンデンサC1,C2とインダクタLrとが協働してLC直列共振回路が構成され、共振動作が行われる。したがって、図8に示したようなループ電流If,Ig,Ih,Iiが流れる。よって、コンデンサC2が放電される一方、コンデンサC1は充電されるので、接続点P1の電位VP1が徐々に下降していき、タイミングt5でVP1=0Vとなる(図3(G))。
ここで、図9で示したように、タイミングt5でVP1=0Vとなると(図3(G))、このときVP3=VH(図3(I))およびVP1-P3=−VH(図3(J))であることから、ダイオードD2が導通するようになる。また、このようにVP1=0VとなってダイオードD2が導通した後に、図10に示したように、タイミングt6でスイッチング素子S2がオン状態となることで(図3(B))ZVS動作がなされ、その結果、スイッチング素子S2における短絡損失が抑制される。
次に、図10に示したタイミングt6〜t7までの期間では、インダクタLrに蓄えられたエネルギーは、コンデンサC1,C2における充放電が終了した後も、図10に示したようなループ電流Im,Ilによって、平滑コンデンサCHに回生される。そしてこの平滑コンデンサCHへ回生されるに従ってインダクタLrに蓄えられたエネルギーは減少し、それに伴ってインダクタLrを流れる電流Irの絶対値、およびトランス3の巻線31を流れる電流I31の絶対値も減少していく(図3(L),(M))。このため、トランス3でのアンペア・ターンが等しくなると共に、トランス3の巻線32A,32Bをそれぞれ流れる電流の和がインダクタLchを流れる電流Ichに等しくなるように、この電流Ichが、ダイオードD10を流れるループ電流Ixaと、ダイオードD20を流れるループ電流Ixbとに分流する。
また、この期間では、インダクタLrの一端(接続点P3)からダイオードD5のカソードまでの間の電位差が互いに等しくなるように、上記ループ電流Im,Ilがそれぞれ流れているが、次第にループ電流Imの経路での電位差のほうがループ電流Ilの経路での電位差よりも大きくなり、ダイオードD5が非導通となることで、インダクタLrを流れる電流Irの絶対値とトランス3の巻線31を流れる電流I31の絶対値とが等しくなる(図3(L),(M))。なお、前述したように、ループ電流Ilの経路での電位差は、トランス3の巻線31の両端間の電圧V31(ダイオードD10の順方向電圧降下を、トランス3の巻線31と巻線32A,32Bとの巻数比nで割ったもの)と、スイッチング素子S3の両端間の電圧VS3(この期間では、スイッチング素子S3がオン状態であるので、スイッチング素子S3のオン抵抗と流れる電流との積になる)との和となり、ループ電流Imの経路での電位差は、ダイオードD5の順方向電圧降下となる。
次に、図11で示したように、タイミングt7になると、インダクタLrに蓄えられたエネルギーがすべて回生され、インダクタLrを流れる電流Ir=トランス3の巻線31を流れる電流I31=0A(図3(L),(M))、およびダイオードD10を流れる電流I10=ダイオードD20を流れる電流I20(図3(Q),(S))となる。そしてこのタイミングt7から、インダクタLrはこれまでと逆方向のエネルギーを蓄えるようになり、インダクタLrおよびトランス3の巻線31には、図12に示したようにこれまでと反対方向のループ電流Inが流れるようになると共に、電流IrはVH/L(L;インダクタLrのインダクタンス)の割合で増加していく(図3(L),(M))。このため、トランス3でのアンペア・ターンが等しくなると共に、トランス3の巻線32A,32Bをそれぞれ流れる電流の和がインダクタLchを流れる電流Ichに等しくなるように、この電流Ichが、ダイオードD10を流れるループ電流Ixaと、整流ダイオードD20を流れるループ電流Ixbとに分流する。ただし、ダイオードD10を流れる電流I10は徐々に減少していく一方、ダイオードD20を流れる電流I20は徐々に増加していく(図3(Q),(S))。そしてI10=0Aとなり、トランス3の巻線32Bを流れる電流がインダクタLchを流れる電流Ichと等しくなったとき、このトランス3でのアンペア・ターンはこれ以上増加しないことからI31の増加が妨げられようとするが、サージ電圧抑止回路2のコンデンサC5,C6とインダクタLrとが協働してLC直列共振回路(第1共振回路)が構成され、第1共振動作が開始される。このときが、タイミングt8に相当する。
次に、図13に示したタイミングt8〜t9までの期間では、上記第1共振動作によって、ループ電流Io,Ipが流れる。よって、コンデンサC6が放電される一方、コンデンサC5は充電されるので、この第1共振動作に伴って、接続点P3の電位VP3が緩やかに下降していく(図3(I))。これに伴い、トランス3の巻線31の両端間の電圧V31の絶対値が増加すると共に、巻線32A,32Bにもそれぞれ電圧V32A,V32Bが発生し、V32A=V32B=V31/n(n;トランス3の巻線31と巻線32A,32Bとの巻数比)、(ダイオードD20のカソードの電位)<(センタタップCTの電位)<(ダイオードD10のカソードの電位)、(インダクタLrを流れる電流Ir)=(トランス3の巻線31を流れる電流I31)+(ダイオードD5とコンデンサC5との並列接続部分を流れる電流I5)+(ダイオードD6とコンデンサC6との並列接続部分を流れる電流I6)となる。上記のようにVP3が緩やかに下降していき、VP3=0VおよびVP3-P2=−VH(図3(I),(K))となったときが、タイミングt9に相当する。
ここで、本実施の形態のスイッチング電源装置では、このタイミングt8〜t9までの期間において、上記第1共振回路による共振動作がなされているため、整流ダイオードとして機能するダイオードD10に加わる逆電圧V10の立ち上がりが、従来と比べ緩やかになる(図3(P))。また、インダクタLrの作用によりこの第1共振動作は継続されようとするが、VP3=0V(図3(I))であることから、コンデンサC6およびダイオードD6の両端の電圧は0Vとなり、コンデンサC6を流れる電流IC6=0Aになると共に、ダイオードD6が導通する。
よって、図14に示したタイミングt9〜t10までの期間では、ダイオードD6が導通すること、およびスイッチング素子S3がオン状態(図3(C))であることから、トランス3の巻線31の両端の電圧V31(およびVP3-P2の絶対値(図3(K)))が直流高圧電圧VHにクランプされ、これによりトランスの巻線32Bの両端の電圧V32Bが、VH/n(n;トランス3の巻線31と巻線32A,32Bとの巻数比)にクランプされる。このため、ダイオードD10に加わる逆電圧V10は、整流回路として機能するスイッチング回路4がセンタタップ型の構成であることから、2×(VH/n)よりも大きくなることはない(図3(P))。言い換えると、このダイオードD10に加わる逆電圧V10は、最大でも2×(VH/n)以下となり、サージ電圧の上昇が抑制される。
また、このタイミングt9〜t10までの期間では、上記のようにダイオードD6が導通することから、(インダクタLrを流れる電流Ir)=(トランス3の巻線31を流れる電流I31)+(ダイオードD6を流れる電流ID6)となり、第1共振動作による共振電流が、図14に示したようにループ電流Iqで表される一方、Irは一定となる(図3(L))。また、トランス3の巻線32Bの両端の電圧V32BによってインダクタLchが励磁されるのに伴い、このインダクタLchを流れる電流Ichが増加し、I31=(巻線32Aを流れる電流I32A)+(巻線32Bを流れる電流I32B)=I32B=Ichであることから、I31も増加していく(図3(M))。さらに、Ir=I31+ID6、およびIrが一定であることから、I31の増加によりID6が減少する。ID6=I6=0Vとなったとき(図3(P))が、図15に示したタイミングt10に相当する。以上で、最初の半周期分の動作が終了する。
次に、図16を参照して、図3で示したタイミングt0〜t10以降の半周期分(タイミングt10〜t20(t0))の動作について説明する。
この半周期分の動作も、基本的には図3〜図15で説明した半周期分の動作と同様である。すなわち、スイッチング素子S10,S20の駆動信号SG10,SG20は常に0Vとなっている(図16(E),(F))。また、タイミングt10〜t11までの期間では、スイッチング素子S2,S3がオン状態となっており(図16(B),(C))、スイッチング素子S1,S4はオフ状態となっている(図16(A),(D))。また、接続点P1の電位VP1=0V(図16(G))、および接続点P2の電位VP2=VH(図16(H))であり、インダクタLrのインダクタンスはトランス3の巻線31のインダクタンスと比べて非常に小さいことから、接続点P3の電位VP3≒0Vとなり(図16(I))、VP2を基準とした接続点P3,P2間の電位差VP3-P2もほぼ0Vと等しくなっている(図16(K))。したがって、スイッチング回路1にはループ電流が流れ、インダクタLrが励磁されると共に高圧側から低圧側へ電力伝送が行われる。よって、低圧側にはダイオードD20およびインダクタLchを介するループ電流が流れ、低圧バッテリ52へ電荷が供給される。なお、この期間では、ダイオードD20には順方向電圧が印加され、逆電圧V20=0V(図16(R))となる一方、ダイオードD10には、逆電圧V10が印加されている(図16(P))。
次に、タイミングt11〜t12までの期間では、タイミングt11でスイッチング素子S3がオフ状態となる(図16(C))。すると、コンデンサC3,C4とインダクタLrとが協働してLC直列共振回路が構成され、共振動作が行われる。したがって、2つのループ電流によって、コンデンサC3が充電される一方、コンデンサC4は放電されるので、接続点P2の電位VP2が徐々に下降していき、タイミングt12でVP2=0Vとなる(図16(H))。また、このときダイオードD10の逆電圧V10が徐々に下降していき、タイミングt12で0Vとなる(図16(P))。
ここで、タイミングt12でVP2=0Vとなると(図16(H))、ダイオードD4が導通するようになる。また、このようにVP2=0VとなってダイオードD4が導通した後に、タイミングt13でスイッチング素子S4がオン状態となることで(図16(D))ZVS動作がなされ、その結果、スイッチング素子S4における短絡損失が抑制される。
また、このタイミングt12〜t14の期間では、前述のように、タイミングt10〜t11の期間で励磁されることによりインダクタLrに蓄えられたエネルギーがインダクタLrの両端に接続された回路において電流として循環しようとし、電流が2つのループ電流に分流するため、トランス3の巻線31を流れる電流I31の絶対値が減少する(図16(M))。また、このトランス3でのアンペア・ターンが等しくなると共に、トランス3の巻線32A,32Bをそれぞれ流れる電流の和がインダクタLchを流れる電流Ichに等しくなるように、この電流Ichが、ダイオードD10を流れるループ電流Ixaと、ダイオードD20を流れるループ電流Ixbとに分流する。
次に、タイミングt14になると、スイッチング素子S2がオフ状態となる(図16(B))。すると、コンデンサC1,C2とインダクタLrとが協働してLC直列共振回路が構成され、共振動作が行われる。したがって、4つのループ電流が流れ、コンデンサC2が充電される一方、コンデンサC1は放電されるので、接続点P1の電位VP1が徐々に上昇していき、タイミングt15でVP1=VHとなる(図16(G))。
ここで、タイミングt15でVP1=VHとなると(図16(G))、このときVP3=0V(図16(I))およびVP1-P3=VH(図16(J))であることから、ダイオードD1が導通するようになる。また、このようにVP1=VHとなってダイオードD1が導通した後に、タイミングt16でスイッチング素子S1がオン状態となることで(図16(A))ZVS動作がなされ、その結果、スイッチング素子S1における短絡損失が抑制される。
次に、タイミングt16〜t17までの期間では、インダクタLrに蓄えられたエネルギーは、コンデンサC1,C2における充放電が終了した後も、2つのループ電流によって平滑コンデンサCHに回生される。そしてこの平滑コンデンサCHへ回生されるに従ってインダクタLrに蓄えられたエネルギーは減少し、それに伴ってインダクタLrを流れる電流Irの絶対値、およびトランス3の巻線31を流れる電流I31の絶対値も減少していく(図16(L),(M))。このため、トランス3でのアンペア・ターンが等しくなると共に、トランス3の巻線32A,32Bをそれぞれ流れる電流の和がインダクタLchを流れる電流Ichに等しくなるように、この電流Ichが、ダイオードD10を流れるループ電流Ixaと、ダイオードD20を流れるループ電流Ixbとに分流する。また、この期間では、ダイオードD6が非導通となることで、インダクタLrを流れる電流Irの絶対値とトランス3の巻線31を流れる電流I31の絶対値とが等しくなる(図16(L),(M))。
次に、タイミングt17になると、インダクタLrに蓄えられたエネルギーがすべて回生され、インダクタLrを流れる電流Ir=トランス3の巻線31を流れる電流I31=0A(図16(L),(M))、およびダイオードD10を流れる電流I10=ダイオードD20を流れる電流I20(図16(Q),(S))となる。そしてこのタイミングt17から、インダクタLrはこれまでと逆方向のエネルギーを蓄えるようになり、インダクタLrおよびトランス3の巻線31には、これまでと反対方向のループ電流が流れるようになると共に、電流IrはVH/L(L;インダクタLrのインダクタンス)の割合で増加していく(図16(L),(M))。このため、トランス3でのアンペア・ターンが等しくなると共に、トランス3の巻線32A,32Bをそれぞれ流れる電流の和がインダクタLchを流れる電流Ichに等しくなるように、この電流Ichが、ダイオードD10を流れるループ電流Ixaと、ダイオードD20を流れるループ電流Ixbとに分流する。ただし、ダイオードD20を流れる電流I20は徐々に減少していく一方、ダイオードD10を流れる電流I10は徐々に増加していく(図16(Q),(S))。そしてI20=0Aとなり、トランス3の巻線32Aを流れる電流がインダクタLchを流れる電流Ichと等しくなったとき、このトランス3でのアンペア・ターンはこれ以上増加しないことからI31の増加が妨げられようとするが、サージ電圧抑止回路2のコンデンサC5,C6と低圧側のインダクタLchとが協働してLC直列共振回路(第2共振回路)が構成され、第2共振動作が開始される。このときが、タイミングt18に相当する。
次に、タイミングt18〜t19までの期間では、上記第2共振動作によって2つのループ電流が流れ、コンデンサC6が充電される一方、コンデンサC5は放電されるので、この第2共振動作に伴って、接続点P3の電位VP3が緩やかに上昇していく(図16(I))。これに伴い、トランス3の巻線31の両端間の電圧V31が増加すると共に、巻線32A,32Bにもそれぞれ電圧V32A,V32Bが発生する。このようにVP3が緩やかに上昇していき、VP3=VHおよびVP3-P2=VH(図16(I),(K))となったときが、タイミングt19に相当する。
ここで、本実施の形態のスイッチング電源装置では、このタイミングt18〜t19までの期間において、上記第1共振回路による共振動作がなされているため、整流ダイオードとして機能するダイオードD20に加わる逆電圧V20の立ち上がりが、従来と比べ緩やかになる(図16(R))。また、インダクタLrの作用によりこの第1共振動作は継続されようとするが、VP3=VH(図16(I))であることから、コンデンサC5およびダイオードD5の両端の電圧は0Vとなり、コンデンサC5を流れる電流IC5=0Aになると共に、ダイオードD5が導通する。
よって、タイミングt19〜t20までの期間では、ダイオードD5が導通すること、およびスイッチング素子S4がオン状態(図16(D))であることから、トランス3の巻線31の両端の電圧V31(およびVP3-P2の絶対値(図16(K)))がVHにクランプされ、これによりトランスの巻線32Aの両端の電圧V32Aが、VH/n(n;トランス3の巻線31と巻線32A,32Bとの巻数比)にクランプされる。このため、ダイオードD20に加わる逆電圧V20は、整流回路として機能するスイッチング回路4がセンタタップ型の構成であることから、2×(VH/n)よりも大きくなることはない(図16(R))。言い換えると、このダイオードD20に加わる逆電圧V20は、最大でも2×(VH/n)以下となり、サージ電圧の上昇が抑制される。
また、このタイミングt19〜t20までの期間では、上記のようにダイオードD5が導通することから、Irは一定となる(図16(L))。また、トランス3の巻線32Aの両端の電圧V32AによってインダクタLchが励磁されるのに伴い、このインダクタLchを流れる電流Ichが増加し、I31も増加していく(図16(M))。さらに、Ir=I31+ID5、およびIrが一定であることから、I31の増加によりID5が減少する。ID5=I5=0Vとなったとき(図16(N))が、タイミングt20に相当する。以上で後半の半周期分の動作が終了し、図2のタイミングt0と等価な状態となる。
このようにして、順方向動作時において、整流回路として機能するスイッチング回路4内のダイオードD10,D20に加わるサージ電圧が抑制される。
<逆順方向動作時のサージ電圧抑制動作>
次に、図17〜図26を参照して、逆方向動作時における、ダイオードD10,D20に加わるサージ電圧を抑止する動作について説明する。
図17は、図1のスイッチング電源装置の逆方向動作時における各部の電圧波形または電流波形をタイミング波形図(タイミングt0〜t10)で表したものであり、図中の(A)〜(D)は駆動信号SG1〜SG4の電圧波形を、(E),(F)は駆動信号SG10,SG20の電圧波形を、(G)は接続点P2の電位VP2を基準とした接続点P3,P2間の電位差VP3-P2を、(H)は接続点P3の電位VP3を基準とした接続点P1,P3間の電位差VP1-P3を、(I)はトランス3の巻線31を流れる電流I31を、(J)はスイッチング回路1におけるスイッチング素子S2,S3を流れる電流I2,I3を、(K)はスイッチング回路1におけるスイッチング素子S1,S4を流れる電流I1,I4を、(L),(N)はそれぞれダイオードD10,D20のアノード・カソード間に加わる逆電圧V10,V20を、(M),(O)はそれぞれスイッチング素子S10,S20またはダイオードD10,D20を流れる電流I10,I20を、(P)はインダクタLchを流れる電流Ichを、それぞれ表している。なお、各電圧の方向は図1に矢印で示したとおりであり、「−」から「+」の方向を正方向としている。また、各電流の方向も、図1に矢印で示した方向を正方向としている。
また、図18〜図26は、図17の各タイミング(タイミングt30〜t40)におけるスイッチング電源装置の動作状態を表したものである。なお、図17で示したタイミングはスイッチング電源装置の動作の一周期分のものを表しており、図18〜図22および図23〜図26で示した動作状態はそれぞれ、このうちの半周期分のものとなっている。
まず、図18〜図22を参照して、最初の半周期分(タイミングt30〜t35)の動作について説明する。
まず、この逆方向動作時には、スイッチング素子S1〜S4の駆動信号SG1〜SG4は常に0Vとなっており(図17(A)〜(D))、スイッチング素子S1〜S4が常にオフ状態となるようになっている。ただし、前述した同期整流の場合には、これらスイッチング素子S1〜S4もオン・オフ動作することになる。
図18に示したタイミングt30〜t31までの期間では、スイッチング素子S10,S20とも、オン状態となっている(図18(E),(F))。したがって、スイッチング回路4を含む低圧側には図18に示したようなループ電流Ixc,Ixdが流れ、インダクタLchが励磁される。また、トランス3の巻線32A,32Bは互いに巻回し方向が逆であると共に巻数が等しいため、これら巻線32A,32Bに流れる電流によって発生する磁束が互いに打ち消し合うこととなり、巻線32A,32Bの両端間の電圧はいずれも0Vとなっている。よって、低圧側から高圧側への電力伝送はなされず、図18に示したように、高圧側のスイッチング回路1およびサージ電圧抑止回路2には、電流が流れない。なお、この期間では、ダイオードD10,D20ともに、逆電圧V10,V20は印加されていない(図18(L),(N))。
次に、図19に示したタイミングt31〜t32までの期間では、タイミングt31において、スイッチング素子S10がオフ状態となる(図18(E))。よって、低圧側には図19に示したようなループ電流Ixdのみが流れ、このタイミングt31から後述するタイミングt34までの期間では、インダクタLchに蓄積されたエネルギーに基づいて、低圧側から高圧側への電力伝送がなされる。
また、このタイミングt31〜t32までの期間では、サージ電圧抑止回路2のコンデンサC5,C6と低圧側のインダクタLchとが協働してLC直列共振回路(第2共振回路)が構成され、第2共振動作がなされる。よって、ループ電流Ir,Isが流れ、コンデンサC6が放電される一方、コンデンサC5は充電されるので、この第2共振動作に伴って、接続点P3の電位VP3が緩やかに下降していく。これに伴い、トランス3の巻線31の両端間の電圧V31の絶対値が増加すると共に、巻線32A,32Bにもそれぞれ電圧V32A,V32Bが発生し、V32A=V32B=V31/n(n;トランス3の巻線31と巻線32A,32Bとの巻数比)となる。上記のようにVP3が緩やかに下降していき、VP3=0VおよびVP3-P2=−VH(図17(G))となったときが、タイミングt32に相当する。
ここで、本実施の形態のスイッチング電源装置では、このタイミングt31〜t32までの期間において、上記第2共振回路による共振動作がなされているため、ダイオードD10に加わる逆電圧V10の立ち上がりが、従来と比べ緩やかになる(図17(L))。また、インダクタLchの作用によりこの第2共振動作は継続されようとするが、上記のようにVP3=0Vであることから、コンデンサC6およびダイオードD6の両端の電圧は0Vとなり、コンデンサC6を流れる電流IC6=0Aになると共に、ダイオードD6が導通する。
次に、図20に示したタイミングt32〜t33までの期間では、スイッチング回路1内のコンデンサC2と高圧側のインダクタLrとが協働してLC直列共振回路が構成され、共振動作がなされる。よって、ループ電流It,Iuが流れ、コンデンサC2が放電されるので、この共振動作に伴って、接続点P1の電位VP1が緩やかに下降していく。この接続点P1の電位VP1=0Vとなり、ダイオードD2が導通したときが、タイミングt33に相当する。
次に、図21に示したタイミングt33〜t34までの期間では、ダイオードD2,D3,D6が導通していることから、トランス3の巻線31の両端の電圧V31(およびVP3-P2の絶対値(図17(G)))が直流高圧電圧VHにクランプされ、これによりトランスの巻線32Aの両端の電圧V32Aが、VH/n(n;トランス3の巻線31と巻線32A,32Bとの巻数比)にクランプされる。このため、ダイオードD10に加わる逆電圧V10は、インバータ回路として機能するスイッチング回路4がプッシュプル型の構成であることから、2×(VH/n)よりも大きくなることはない(図17(L))。言い換えると、このダイオードD10に加わる逆電圧V10は、最大でも2×(VH/n)以下となり、サージ電圧の上昇が抑制される。
次に、図22に示したタイミングt34〜t35までの期間では、タイミングt34において再びスイッチング素子S10がオン状態となり(図18(E))、図22に示したようなループ電流Ixc,Ixdが流れることから、インダクタLchが再び励磁される。また、高圧側では、インダクタLrに蓄積されたエネルギーが、図22に示したようなループ電流Iwによって、コンデンサC6へ放出される。なお、蓄積されたエネルギーが全て放出され、ループ電流Iw=0Aとなったときが、タイミングt35に相当する。このようにして、最初の半周期分の動作が終了する。
次に、図23〜図26を参照して、後半の半周期分(タイミングt30〜t35)の動作について説明する。
まず、タイミングt35〜t36までの期間では、図18に示したタイミングt30〜t31までの期間と同様に、低圧側にループ電流Ixc,Ixdが流れ、インダクタLchが励磁されている。また、低圧側から高圧側への電力伝送はなされず、高圧側のスイッチング回路1およびサージ電圧抑止回路2には、電流が流れない。なお、この期間では、ダイオードD10,D20ともに、逆電圧V10,V20は印加されていない(図18(L),(N))。
次に、図23に示したタイミングt36〜t37までの期間では、タイミングt36において、スイッチング素子S20がオフ状態となる(図18(F))。よって、低圧側には図23に示したようなループ電流Ixcのみが流れ、このタイミングt36から後述するタイミングt39までの期間では、インダクタLchに蓄積されたエネルギーに基づいて、低圧側から高圧側への電力伝送がなされる。
また、このタイミングt36〜t37までの期間では、サージ電圧抑止回路2のコンデンサC5,C6と低圧側のインダクタLchとが協働してLC直列共振回路(第2共振回路)が構成され、第2共振動作がなされる。よって、ループ電流Ix,Iyが流れ、コンデンサC5が放電される一方、コンデンサC6は充電されるので、この第2共振動作に伴って、接続点P3の電位VP3が緩やかに上昇していく。これに伴い、トランス3の巻線31の両端間の電圧V31の絶対値が増加すると共に、巻線32A,32Bにもそれぞれ電圧V32A,V32Bが発生し、V32A=V32B=V31/n(n;トランス3の巻線31と巻線32A,32Bとの巻数比)となる。上記のようにVP3が緩やかに上昇していき、VP3=VHおよびVP3-P2=VH(図17(G))となったときが、タイミングt37に相当する。
ここで、本実施の形態のスイッチング電源装置では、このタイミングt36〜t37までの期間において、上記第2共振回路による共振動作がなされているため、ダイオードD20に加わる逆電圧V20の立ち上がりが、従来と比べ緩やかになる(図17(N))。また、インダクタLchの作用によりこの第2共振動作は継続されようとするが、上記のようにVP3=VHであることから、コンデンサC5およびダイオードD5の両端の電圧は0Vとなり、コンデンサC5を流れる電流IC5=0Aになると共に、ダイオードD5が導通する。
次に、図24に示したタイミングt37〜t38までの期間では、スイッチング回路1内のコンデンサC1と高圧側のインダクタLrとが協働してLC直列共振回路が構成され、共振動作がなされる。よって、ループ電流Iz1,Iz2が流れ、コンデンサC1が放電されるので、この共振動作に伴って、接続点P1の電位VP1が緩やかに上昇していく。この接続点P1の電位VP1=VHとなり、ダイオードD1が導通したときが、タイミングt34に相当する。
次に、図25に示したタイミングt38〜t39までの期間では、ダイオードD1,D4,D5が導通していることから、トランス3の巻線31の両端の電圧V31(およびVP3-P2の絶対値(図17(G)))が直流高圧電圧VHにクランプされ、これによりトランスの巻線32Bの両端の電圧V32Bが、VH/n(n;トランス3の巻線31と巻線32A,32Bとの巻数比)にクランプされる。このため、ダイオードD20に加わる逆電圧V20は、インバータ回路として機能するスイッチング回路4がプッシュプル型の構成であることから、2×(VH/n)よりも大きくなることはない(図17(N))。言い換えると、このダイオードD20に加わる逆電圧V20は、最大でも2×(VH/n)以下となり、サージ電圧の上昇が抑制される。
最後に、図26に示したタイミングt39〜t40(t30)までの期間では、タイミングt39において再びスイッチング素子S20がオン状態となり(図18(F))、図26に示したようなループ電流Ixc,Ixdが流れることから、インダクタLchが再び励磁される。また、高圧側では、インダクタLrに蓄積されたエネルギーが、図26に示したようなループ電流Iz4によって、コンデンサC5へ放出される。なお、蓄積されたエネルギーが全て放出され、ループ電流Iz4=0Aとなったときが、タイミングt40に相当する。以上で後半の半周期分の動作が終了し、図18のタイミングt30と等価な状態となる。
このようにして逆方向動作の場合も、インバータ回路として機能するスイッチング回路4内のダイオードD10,D20に加わるサージ電圧が抑制される。
次に、図27〜図29を参照して、本実施の形態のスイッチング電源装置において整流ダイオードに加わるサージ電圧の波形と、従来のスイッチング電源装置(比較例)において整流ダイオードに加わるサージ電圧の波形とについて、比較しつつ説明する。
ここで、図27,図28は、比較例に係るスイッチング電源装置の構成および逆方向動作時のタイミング波形をそれぞれ表したものである。具体的には、図38に示した従来のスイッチング電源装置において、スイッチング回路101内にインダクタLrを設けたスイッチング回路201を有する構成であり、本実施の形態のスイッチング電源装置からサージ電圧抑止回路2が除かれた構成に相当する。また、図29(A),(B)は、それぞれ本実施の形態および比較例に係るスイッチング電源装置において、ダイオードD10,D20に加わる逆電圧のタイミング波形を表したものである。なお、図29(A),(B)にそれぞれ示した逆電圧波形は、センタタップCTにおける電圧波形であり、実際にダイオードD10,D20に加わる逆電圧は、この2倍の値となる。
まず、図29(B)に示した比較例に係る逆電圧波形では、サージ電圧の最大値が100Vとなっており、VH/nの約2倍に相当するものである。また、この比較例に係る逆電圧波形では、サージ電圧抑止回路2が設けられていないため、この最大値までの立ち上がり時間が約20nsとなっており、急峻に立ち上がっていることが分かる。
これに対して、図29(A)に示した本実施の形態に係る逆電圧波形では、サージ電圧抑止回路2が設けられ、順方向動作時には、このサージ電圧抑止回路2内のコンデンサC5,C6とインダクタLrとから第1共振回路が構成される一方、逆方向動作時には、これらコンデンサC5,C6とインダクタLchとから第2共振回路が構成される。よって、これらの共振動作によって逆電圧が緩やかに立ち上がっていると共に、サージ電圧の最大値も低くなっていることが分かる。具体的には、サージ電圧の最大値が45.5Vであり、(VH/n)の約1倍(1.08倍)に相当するものであると共に、このこの最大値までの立ち上がり時間が、約100nsとなっている。すなわち、図29(B)に示した比較例と比べて逆電圧の立ち上がりが緩やかになると共に、サージ電圧の上昇が抑制されていることが分かる。
以上のように、本実施の形態では、順方向動作時には、サージ電圧抑止回路2内のコンデンサC5,C6と高圧側のインダクタLrとから第1共振回路を構成し、逆方向動作時には、これらコンデンサC5,C6と低圧側のインダクタLchとから第2共振回路を構成するようにしたので、両動作時とも、スイッチング回路4内のダイオードD10,D20に加わる逆電圧の立ち上がりを緩やかにすることができると共に、この逆電圧の最大値を低くすることができる。よって、動作方向によらず、ダイオードD10,D20に発生するサージ電圧を抑制することが可能となる。
また、サージ電圧を抑制することができることにより、整流素子での損失を低減し、装置の効率を向上させることが可能となる。また、整流素子での損失を低減することにより、素子での発熱を抑制することも可能となる。
また、サージ電圧の上昇を抑制することにより、耐圧の低い整流素子(整流ダイオード)を使用することでき、部品コストを低減することが可能となる。
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されず、種々の変形が可能である。
例えば、上記実施の形態では、スイッチング回路1がフルブリッジ型のスイッチング回路または整流回路であると共にスイッチング回路4がプッシュプル型のスイッチング回路または整流回路である場合について説明したが、例えば図30に示したように、スイッチング回路1の代わりに、2つのスイッチング素子S1,S2を含むハーフブリッジ型のスイッチング回路11を設けるようにしてもよく、また、例えば図31に示したように、スイッチング回路4の代わりに、4つのスイッチング素子S11,S12,S21,S22および4つのダイオードD11,D12,D21,D22を含むフルブリッジ型のスイッチング回路41を設けるようにしてもよい。また、例えば図32に示したように、これらを組み合わせるようにしてもよい。スイッチング回路41を設けるようにした場合には、上記実施の形態と同様の作用により、ダイオードD11,D12,D21,D22に加わるサージ電圧の最大値を、1×(VH/n)(n;トランス3の巻線31と巻線32A,32Bとの巻数比)に抑えることができ、最大値が2×(VH/n)程度である従来のフルブリッジ型のものと比べて、やはり低くすることが可能となる。なお、これらダイオードD11,D12,D21,D22もまた、ダイオードD10,D20の場合と同様に、それぞれMOS―FETの寄生ダイオードから構成することも可能である。
また、例えば図33に示したように、上記実施の形態のスイッチング電源装置(図1)において、インダクタLrと、トランス3および低圧側の回路(スイッチング回路4、インダクタLchおよび平滑コンデンサCL)の構成とを、サージ電圧抑止回路2に対して左右逆となるように配置してもよい。具体的には、インダクタLrを接続点P2,P3間に配置すると共に、トランス3を接続点P1,P3間に配置するようにしてもよい。このように構成した場合でも、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、上記実施の形態では、トランス3とインダクタLrとが互いに磁気的に独立して設けられている場合で説明したが、例えば図34および図35に示したように、これらトランス3およびインダクタLrが、図中の符号M1,M2でそれぞれ示したように、互いに磁気的に結合されているようにしてもよい。具体的には、インダクタLrを接続点P2,P3間または接続点P1,P3間に配置すると共に、トランス3のリーケージインダクタンス31Bを、接続点P1,P3間または接続点P2,P3間に接続するようにする。このように構成した場合でも、図34,図35に示した構成はそれぞれ、図1または図33に示した構成と等価なものであることから、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、このようにトランス3とインダクタLrとを磁気的に結合した場合において、例えば図36および図37にそれぞれ示したように、サージ電圧抑止回路2の代わりに、サージ電圧抑止回路21,22を設けるようにしてもよい。具体的には、ダイオードD5およびコンデンサC5からなる素子対とダイオードD6およびコンデンサC6からなる素子対とを、高圧ラインL1Hと低圧ラインL1Lとの間に互いに並列接続すると共に、トランス3のリーケージインダクタンス31B,31Cをセンタタップ型の構成(図中の符号M3,M4でそれぞれ示した磁気結合)にするようにしてもよい。このように構成した場合でも、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、上記実施の形態では、順方向動作時に降圧動作を行うと共に逆方向動作時に昇圧動作を行うスイッチング電源装置について説明したが、本発明は、逆に順方向動作時に昇圧動作を行うと共に逆方向動作時に降圧動作を行うスイッチング電源装置に適用することも可能である。
さらに、もちろん、これら変形例を組み合わせて構成するようにしてもよい。
1,11,4,41…スイッチング回路、2,21,22…サージ電圧抑止回路、3,33…トランス、31,31A,31B…第1の巻線、32,32A,32B…第2の巻線、31B,31C…リーケージインダクタンス、51…高圧バッテリ、52…低圧バッテリ、6…駆動回路、S1〜S4,S10〜S12,S20〜S22…スイッチング素子、D1〜D6,D10〜D12,D20〜D22…ダイオード、C1〜C6…コンデンサ、Lr,Lch…インダクタ、CH,CL…平滑コンデンサ、T1〜T4…入出力端子、L1H,L2H…高圧ライン、L1L,L2L…低圧ライン、P1〜P3…接続点、CT…センタタップ、VH…直流高圧電圧、VL…直流低圧電圧、VP1〜VP3…電位、VP1-P3,VP3-P2…電位差、V10,V20…逆電圧(サージ電圧)、Ir,I31,I1〜I6,ID5,ID6,IC5,IC6,I10,I20,Ich,Ia〜Iy,Iz1〜Iz4,Ixa〜Ixd…電流、SG1〜SG4,SG10〜SG12,SG20〜SG22…スイッチング信号、t0〜t40…タイミング、Td…デッドタイム、φ…位相差。