JP4422306B2 - ブラシ付き電動機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、正転および逆転の双方向に回転可能なブラシ付き電動機に関する。
【0002】
【従来の技術】
ブラシ付き電動機では、ロータの回転時にコイル両端の整流子と、対応するブラシとが短絡されて整流作用が行われる。この整流作用時には、コイルのインダクタンス成分等により整流電流に遅延が発生するため、該インダクタンス成分に基づく電圧、いわゆるリアクタンス電圧が発生し、このリアクタンス電圧を原因として整流子とブラシ間で火花が発生する。
【0003】
火花が発生した場合には、ブラシあるいは整流子が徐々に損傷し、結果としてブラシ付き電動機の寿命を縮めることとなる。
【0004】
そこで、従来から、火花防止技術として、整流子とブラシ間の接触抵抗を大きくして良好な整流曲線に沿った抵抗整流を行う技術が知られている。
【0005】
しかしながら、整流子とブラシ間の接触抵抗を大きくして抵抗整流を行う技術ではコイルに印加される電圧が低下することを原因として出力トルクが減少し、電動機の性能が悪くなる(効率が低下する)という問題がある。
【0006】
効率の低下を回避するために、ブラシ側またはコイル側にダイオード回路を設け該ダイオード回路に転流させることが考えられる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、電動機の場合、正転ばかりでなく逆転したいという要求が多々存在する。たとえば、エンジンのクランクシャフトに直結したスタータモータの場合、エンジンのクランク位相、換言すればピストン位置によっては始動トルクが非常に大きくなる。逆にある位相から始動すれば始動トルクは低くエンジン圧縮点のトルクの必要な位置においても慣性エネルギーと合わせて低トルクで乗り越えることができることが知られている。
【0008】
ある位相から始動させるため、スタータの始動前に逆方向にクランク位相をもどす方法、すなわちスタータモータを逆転させればよいことが知られている。したがって、モータが逆転可能であれば、スタータモータの必要トルクを低減することが可能となり、結果として、モータを小型、軽量かつ廉価にすることができる。
【0009】
電動機を逆転しようとする場合、リレー等を用いて、直流電源の極性を逆に接続できるようにすればよい。
【0010】
しかしながら、直流電源の極性を逆に接続した場合において、上記のようなダイオード回路を設けて火花を転流させる技術を採用していたときには、コイルを経由することなくダイオード回路を通じて直流電源が短絡されてしまい、ダイオード回路が破壊するという問題がある。
【0011】
この発明は、このような課題を考慮してなされたものであって、双方向回転が可能であって出力トルクの低下が発生せず、しかも無火花整流を行うことを可能とするブラシ付きモータを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るブラシ付き電動機は、直流電源がブラシを介して、整流子に接続されたコイルに供給されるブラシ付き電動機において、前記直流電源と前記ブラシとに接続され、無火花整流するサイリスタと、前記整流子と前記ブラシとの間に発生する火花雑音の雑音信号を検出する雑音検出手段と、前記直流電源と前記サイリスタとに接続され、前記直流電源の接続極性を検出する電源接続極性検出手段と、前記サイリスタのゲートに接続されるゲート制御手段とを備え、該ゲート制御手段は、前記雑音検出手段により雑音が検出されているとき、前記サイリスタのゲートをオン状態にし、雑音が検出されていないときおよび前記電源接続極性検出手段により前記直流電源の逆接続が検出されたときには、前記サイリスタのゲートをオフ状態に保持するブラシ付き電動機であって、前記雑音検出手段と前記電源接続極性検出手段と前記ゲート制御手段とは、同一のトランスコアに巻かれたコイルをそれぞれ含み、前記雑音検出手段は、前記コイルとコンデンサとの直列接続とされて、前記サイリスタのアノードとカソード間に接続され、前記電源接続極性検出手段は、前記コイルとダイオードと抵抗器との直列接続とされ、前記ダイオードのカソード側が前記直流電源の正極側となるように、前記直流電源に並列接続され、前記ゲート制御手段は、前記コイルが前記サイリスタのゲートとカソード間に接続されていることを特徴とする(請求項1記載の発明)。
【0013】
この発明によれば、サイリスタのゲートに接続されるゲート制御手段は、雑音検出手段により火花雑音が検出されているとき、サイリスタのゲートをオン状態にし、雑音が検出されていないときおよび電源接続極性検出手段により直流電源の逆接続が検出されたときには、サイリスタのゲートをオフ状態に保持するよう制御している。このため、正転時の火花を防止することができ、かつ、サイリスタを用いているので、従来技術のように出力トルクの低下が発生しない。しかも、直流電源の逆接続の検出時にはゲートをオフ状態に保持するので、サイリスタを導通させて短絡状態を形成する可能性がなくなる。
【0015】
さらに、前記サイリスタに対して、逆極性のサイリスタを並列的に接続し、かつ該逆極性のサイリスタに新たなゲート制御手段を接続するとともに、新たな雑音検出手段を接続し、前記電源接続極性検出手段に対して、ダイオードの極性を反転した電源接続極性検出手段を並列に接続することにより、逆転時においても火花を発生させることがない(請求項記載の発明)。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
図1は、この発明の一実施の形態が適用された電動発電機システム10の模式的電気回路図を示している。
【0018】
図2は、図1に示した電動発電機システム10の機械的模式的断面図を示している。
【0019】
電動発電機システム10は、たとえば内燃機関であるエンジンを有するスクータ等の二輪車や、四輪乗用車等に組み込まれて使用に供される。
【0020】
図1に示すように、電動発電機システム10は、基本的には、電動発電機12と、この電動発電機12に、リレー接点14およびスリップリング15を介して接続される直流電源であるバッテリー16とから構成されている。
【0021】
リレー接点14は、スプリングにより自動復帰する自動復帰接点を有するイグニッションスイッチ18に直列に接続されているリレーコイル20を通じて駆動(開閉制御)される。
【0022】
電動発電機12は、整流子22間にコイル24が三相のΔ配線されたステータ26と、電動発電機12が電動機として動作するときに、接触して直流電源を供給するスリップリング15およびブラシ28と、コイル励磁用永久磁石30(図2参照)とが配されるロータ32とを有している。ロータ32の軸は、エンジンのクランクシャフト34に係合している。隣り合う整流子22の間には、補助的なサブ整流子23(図1参照)が配置されている。
【0023】
ロータ32は、正転方向(矢印方向)Fあるいは逆転方向(矢印方向)Rに回転することができる。
【0024】
ここで、ロータ32を構成するブラシ28は、電気角で180゜離間して配置され、それぞれ正転方向Fの前方には、電気角で約90゜ずらした位置にサブブラシ36が配置されている。サブブラシ36相互は、電気角で180゜離間している。なお、ここでは、理解の便宜のために、整流子22の数を3個のみ描いているが、実際には、整流子22とコイル24は、それぞれ9個存在し、ブラシ28は6個、サブブラシ36は2個存在する。
【0025】
図1において、ブラシ28は、スリップリング15を通じてリレー接点14の一方の側に接続され、サブブラシ36は、サイリスタ回路40およびスリップリング15を通じてリレー接点14の一方の側に接続されている。リレー接点14の他端側には、バッテリー16間に接続されている逆転スイッチ44と直列に接続されているリレーコイル46により切り替えられる連動リレー接点48の共通端子が接続されている。連動リレー接点48の固定端子側は、バッテリー16に接続されている。
【0026】
図2に示すように、ステータ26のコア82には、電動機用のコイル24とともに、別のコイルである発電用コイル25が巻かれており、図1に示すように、この発電用コイル25は、整流・レギュレータ回路50を介してバッテリー16に接続されている。
【0027】
図3は、主に無火花整流するためのサイリスタ回路40の詳細な構成とこのサイリスタ回路40に関連する部分を示している。なお、この図3では、バッテリー16が正転側に接続されている状態を示しており、また、煩雑となるので、連動リレー接点48、リレー接点14等は省略している。
【0028】
図3から理解されるように、バッテリー16の正端子側と一方のサブブラシ36との間に、カソードがバッテリー16に接続されたサイリスタ52に接続され、他方のサブブラシ36とバッテリー16の負端子側に、アノードがバッテリー16に接続されたサイリスタ53が接続されている。
【0029】
サイリスタ52のアノードカソード間にコイルAと直流素子手段であるコンデンサ56の直列回路が接続され、サイリスタ52のゲートとカソード間に定電圧ダイオード54とコイルCとの並列回路が接続されている。
【0030】
一方、サイリスタ53のアノードカソード間にコイルBとコンデンサ57の直列回路が接続され、サイリスタ53のゲートとカソード間に定電圧ダイオード55とコイルDとの並列回路が接続されている。
【0031】
サイリスタ52のカソードとサイリスタ53のアノードとの間、換言すれば、バッテリー16の正負端子間には、バッテリー16の接続極性を検出するダイオード62、コイルEおよび抵抗器64からなる直列回路が、ダイオード62のカソード側がバッテリー16の正端子側に接続されるように配置されている。
【0032】
5つのコイルA〜Eは、図4に示すように、トロイダル型のコア60(図3では点線で示している。)にそれぞれ巻き付けられている。コア60は、トランスコアとして機能する。
【0033】
コイルAに矢印で示す電流iaが流れると、コア60には、矢印で示す磁束φが発生し、この磁束φにより、コイルCおよびコイルDに矢印で示す電流ic、idを流そうとする電圧が発生する。
【0034】
ここで、コイルAとコンデンサ56およびコイルBとコンデンサ57のそれぞれは、後述するように、整流子22とブラシ28、36との間に発生しようとする火花雑音の雑音信号を検出する雑音検出手段として機能する。
【0035】
また、コイルCとコイルDは、それぞれサイリスタ52とサイリスタ53のゲート制御手段として機能する。
【0036】
さらに、コイルEは、直流電源であるバッテリー16の接続極性を検出する電源接続極性検出手段として機能する。ここで、コイルEの巻き回数は、他のコイルA〜Dの巻き回数よりも大きい巻き回数としている。なお、コイルEは、トランスコア60を介し、コイルC、Dを通じてサイリスタ52のゲートに間接的に接続され、後述するように、サイリスタ52のゲートを制御するので、コイルEもゲート制御手段に含めて考えることができる。
【0037】
次に、電動発電機12の機械的構成について、主に図2を参照して説明する。
【0038】
電動発電機12は、基本的には、整流子22間にコイル24が配されるステータ26と、コイル24の励磁用の永久磁石30が配されるとともに電動機としての動作時に整流子22と接触するブラシ28が配されたロータ32とを備えている。
【0039】
ロータ32は、同時に回転する第1回転部32aとこれに係合する第2回転部32bとから構成されている。第2回転部32bは、第1回転部32aに対し、スライド機構70を介して矢印P方向(発電機としての動作時)あるいは矢印Q方向(電動機としての動作時あるいは停止時)に移動可能に構成されている。また、第2回転部32bのブラシ28の近傍には、サイリスタ回路40が搭載されている。
【0040】
第2回転部32bのスライド機構70は、ばね72、連結ピン74、円盤76およびウエイトローラー78とから構成されている。
【0041】
第1回転部32aには、エンジンのクランクシャフト34が固定されるとともに、永久磁石30が固定されている。第2回転部32bには、ブラシ28とスリップリング15が埋め込まれている。
【0042】
一方、ステータ26は、モールド部材80を有し、このモールド部材80にコア82と整流子22の保持部材が絶縁固定されている。上述したように、コア82には、電動機用コイル24と発電用コイル25が巻かれている。
【0043】
そして、バッテリー16からの直流電源が供給されるリレー接点14がそれぞれ端子84、86に接続されている。端子84、86は、電動機としての動作時には、スリップリング15を介してブラシ28に接続される。
【0044】
この実施の形態に係る電動発電機システム10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作についてさらに詳しく説明する。
【0045】
まず、電動発電機12の始動時における電動機時の動作と発電機時の動作について説明し、次に、電動機時のサイリスタ回路40に係わる動作について説明する。
【0046】
図示していないエンジンの非動作時において、イグニッションスイッチ18は、開状態(オフ状態)とされている。イグニッションスイッチ18が開状態とされているときには、リレー接点14も開状態となっている。この状態においては、ウエイトローラー78が図2に示すように軸心側の位置にある。
【0047】
このとき、スライド機構70は、ばね72の圧縮力により第2回転部32bを矢印方向Q端側にスライドさせ、ブラシ28に対して整流子22を電気的に接続させるとともに、このブラシ28に接続されているスリップリング15に対して端子84、86を電気的に接続させる状態とする。
【0048】
エンジンを始動しようとするとき、ドライバ等のユーザは、イグニッションスイッチ18を操作する。上述したようにイグニッションスイッチ18は、自己復帰型のスイッチであり、操作する手を離さない状態でのみ図示していないスプリングの圧縮力に対抗して閉状態とされる。
【0049】
イグニッションスイッチ18が閉状態とされたとき、バッテリー16からリレーコイル20に励磁電流が流れ、リレー接点14が閉状態とされる。
【0050】
これにより、図5に示すように、バッテリー16の直流電源が、リレー接点14を通じて電動発電機12のブラシ28間に供給され、電動発電機12は、ロータ32が矢印方向Fに回転して電動機として動作する。
【0051】
ロータ32が矢印方向Fに回転するとクランクシャフト34が同時に回転する。クランクシャフト34の回転により、図示していないエンジンのピストンが往復動を開始し、エンジンが内燃機関としての動作が開始する。
【0052】
エンジンの動作によりロータ32はさらに高速に回転し、これによりウエイトローラー78が、遠心力により図6に示す矢印方向に移動する。このため、スライド機構70の連結ピン74を介し、第2回転部32bが、ばね72の圧縮力より強い力で矢印P方向にスライドされる。この結果、ブラシ28と整流子22との接続が分離され、以降、電動発電機12は、エンジンによりロータ32が回転される発電機として動作し、バッテリー16への充電が開始される。
【0053】
エンジンによりロータ32が回転しているとき、磁石30に係る回転磁界によりコイル25に交流電圧が発生し、発生した交流電圧が整流・レギュレータ回路50を構成する全波整流回路により整流されて直流電圧とされ、この直流電圧がさらに整流・レギュレータ回路50を構成するレギュレータ回路により所定の充電用電圧とされバッテリー16に供給される。これにより、バッテリー16の充電が行われる。この場合、整流・レギュレータ回路50にはバッテリー16への過電圧保護回路を設けることができる。
【0054】
以上が、電動発電機12の始動時における電動機時の動作と始動後における発電機時の動作についての説明であり、次に、電動機時のサイリスタ回路40に係わる動作について説明する。
【0055】
ロータ32の正転時においてブラシ28が図7に示す位置にあるとき、バッテリー16の正端子からの電流が、矢印のルートに示すように、同図中、左側のブラシ28からコイル24を経由し、電流i1、i2として右側のブラシ28を通じてバッテリー16の負端子に流れる。なお、図7において、コイルA〜Eに関連する回路は、コンデンサ56、57や定電圧ダイオード54、55およびダイオード62や抵抗器64を省略して、コイルA〜Eのみを描いている。
【0056】
正転時においてダイオード62(図3参照)は、バッテリー16により逆バイアスとされているので、コイルEに直流電流が流れることはない。
【0057】
図7の状態において、コイルA、Bには、電流が流れないので、コイルC,Dに電圧が誘起されることがなく、サイリスタ52、53は、オフ状態(非導通状態)になっている。
【0058】
さらに、ロータ32が矢印F方向に移動した図8の状態において、図7の電流i2が、右端のコイル24のみを通じて右側のブラシ28側に電流i3として流れるように転流する。このとき、中央のコイル24では、元の電流i2が流れ続けようとするので、電流i4が流れようとする。
【0059】
この電流i4が流れようとする中央のコイル24により大きな起電力が発生して火花を発生させようとするが、そのとき、電流i4の一部が雑音信号としてコイルBに流れる。コイルBに電流i4の一部が流れたとき、換言すれば、コイルBにより雑音が検出されているとき、コア60(図3、図4参照)によるトランス結合によりゲートに接続されているコイルDに電圧が発生する。この電圧によりサイリスタ53のゲートがオン状態(導通状態)となり、結局、電流i4は、サイリスタ53およびサブブラシ36を通じて、図8中、右から2番目の整流子22に流れることになる。
【0060】
ここで、サイリスタ53は、オン状態において、順方向電圧が0.5V程度であるので、中央のブラシ28と右から2番目の整流子22との間にかかる電圧が0.5Vに抑制され、火花の発生が防止される。すなわち、無火花整流が遂行される。
【0061】
さらにロータ32が回転し、電流i4が主に中央のコイル24から熱として消滅すると、図9に示すような電流i1、i3のみが流れる。
【0062】
さらにロータ32が回転し、図10に示すように、電流i1が、電流i5として転流を開始しようとすると、左側のコイル24からの電流i6が雑音信号としてコイルAに流れる。これによりサイリスタ52のゲートに接続されたコイルCに電圧が誘起し、サイリスタ52がオン状態となる。したがって、電流i6は、サイリスタ52側を流れる。このため、この場合にも火花の発生が防止される。
【0063】
ところで、上記発明が解決する課題の項で説明したように、この実施の形態と同様に、エンジンのクランクシャフト34に直結した電動発電機12(スタータモータ)の場合、エンジンのクランク位相、換言すればピストン位置によっては始動トルクが非常に大きくなる。逆にある位相から始動すれば始動トルクは低くエンジン圧縮点のトルクの必要な位置においても慣性エネルギーと合わせて低トルクで乗り越えることができることが知られている。ピストン位置は、通常、別のピストン位置検知手段により検知することができる。したがって、エンジンのスタート時に、ピストン位置によっては、所定量だけピストン位置を逆方向に回転させることが好ましいこととなる。
【0064】
このためには、エンジンの始動前に逆方向にクランク位相を少しもどす、すなわちスタータモータを少し逆転させればよい。
【0065】
そこで、このような場合には、イグニッションスイッチ18が閉状態とされたとき、図示しない制御手段等により自動的に逆転スイッチ44をクランク位相が所望の位置となるまで所定時間閉状態とする。
【0066】
このとき、図11に示すように、バッテリー16が逆接続され、中央側のブラシ28が正極となり、コイル24を通じてそれぞれ電流i7、i8が流れることで、ロータ32(ブラシ28)は、逆方向Rに回転する。この状態において、バッテリー16からの電流i9が、バッテリー16に並列的に接続されているダイオード62(図3も参照)に流れるので、最も巻き数の多いコイルEに電流が流れ、コア60の磁化力Hは、図12に示すように、BH曲線170上、飽和点172に設定される。
【0067】
飽和点172に設定された状態では、多少、コイルA、Bに雑音信号に基づく電流が流れても、コイルC、Dには、電圧が発生しないので、サイリスタ52、53が導通することはない。したがって、サイリスタ52、53(この図11では、左側のサイリスタ52)が、雑音により導通してバッテリー16が短絡される事態が未然に回避される。
【0068】
逆転時ではなく、バッテリー16の通常接続時(正転時)には、コア60は、図12のBH曲線170上の原点を含む傾斜部分で動作するので、スパーク等の雑音信号により磁化力Hが変化し、この磁化力Hに対応する磁束Bの変化により、上述したように、コイルC、Dにサイリスタ52、53を導通状態とさせる電圧がゲートに発生する。
【0069】
このように上述した実施の形態によれば、直流電源としてのバッテリー16がブラシ28を介して整流子22に接続されたコイル24に供給されるブラシ付き電動発電機12において、無火花整流するサイリスタ52、53がバッテリー16とブラシ28、36との間に接続される。そして、雑音検出手段としてのコイルA、Bが整流子22とブラシ28、36との間に発生する火花雑音の雑音信号を検出する。また、バッテリー16の電源接続極性検出手段としてのダイオード62とコイルEとがバッテリー16とサイリスタ52、53との間に接続される。さらに、ゲート制御手段としてのコイルC、Dが、サイリスタ52、53のゲートに接続される。コイルA〜Eは、トロイダル型のコア60により結合している。
【0070】
ここで、コイルA、Bにより、スパーク等による火花雑音が検出されたときには、コイルC、Dが励磁され、コイルC、Dにゲート電圧が発生する。このためサイリスタ52、53がオン状態とされ、火花の発生が防止される。なお、コイルC、Dに並列に接続される定電圧ダイオード54、55は、コイルC、Dに発生するゲート電圧の最大値を定電圧値に制限するためのものである。
【0071】
そして、ブラシ28、36の回転に伴いゲート電圧が低下して、サイリスタ52、53は再びオフ状態とされるが、また、スパーク等により信号が検出されて、サイリスタ52、53のゲートオン状態が繰り返される。
【0072】
バッテリー16を逆接続とした場合には、ダイオード62が導通してコイルEに電流が流れる。このとき、コイルEの巻き数が最大となっているので、コア60が飽和する(図12参照)。コア60が飽和しているとき、スパーク等の信号が入力されても(磁化力が変化しても)磁束の変化がなく、コイルC、Dには電圧が発生しない。このため、サイリスタ52、53がダイオードとして動作することがなく、バッテリー16が短絡する事態が回避される。なお、コイルA、Bは、いずれか一つであっても動作することを確認している。
【0073】
図13は、この発明の他の実施の形態に係るサイリスタ回路140の構成を示している。この図13において、図3に示したものと対応するものには同一の符号を付け、その詳細な説明は省略する。
【0074】
上述した図3例のサイリスタ回路40では、バッテリー16の逆接続時における電動機の逆回転時には、クランクシャフト34の僅かな回転を想定しており、また、逆転時は正転時に比べてトルクも低く(電流も少なく)火花の消去について考慮する必要がないという考えにもとづき、逆方向の火花発生の回避技術については考慮していない。この図13例のサイリスタ回路140は、恒常的な逆回転時にも火花の発生を防止することができる回路構成としている。
【0075】
この図13例では、ダイオード62とコイルEと抵抗器64とからなる逆転時におけるサイリスタ52、53の転流防止回路と並列に逆極性のダイオード162と、コイルE’と抵抗器164とからなる正転時におけるサイリスタ152、153の転流防止回路を設けている。
【0076】
このように、図13に示す実施の形態では、サイリスタ52、53に対して、逆極性のサイリスタ152、153を並列的に接続し、かつ該逆極性のサイリスタ152、153に新たなゲート制御手段としてのコイルC’、D’、定電圧ダイオード154、155を接続するとともに、新たな雑音検出手段としてのコイルA’、B’、コンデンサ156、157を接続し、かつ電源接続極性検出手段であるダイオード62、コイルE、抵抗器64の直列回路に対して、ダイオードの極性を反転した電源接続極性検出手段であるダイオード162、コイルE’、抵抗器164を並列に接続することにより、逆転時においても火花を発生させることがなくなる。なお、コイルA’〜E’は、トランスコア60とは異なるが同一形状のトランスコア60’に巻かれている。
【0077】
すなわち、この図13例では、正転時の火花雑音防止作用がトランスコア60にそれぞれ巻かれたコイルA〜Eにより遂行され、逆転時の火花雑音防止作用がトランスコア60’にそれぞれ巻かれたコイルA’〜E’により遂行される。
【0078】
なお、この発明は、上述の実施の形態に限らず、この発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採りうることはもちろんである。
【0079】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、ゲート制御手段により転流時にサイリスタを導通状態とすることで無火花整流を可能とし、かつ電源接続状態検出手段により、電源逆接続時の短絡の防止を行うようにしているので、双方向回転を可能としている。また、無火花整流のために整流子とブラシ間の接触抵抗を大きくする必要がないので、出力トルクの低下が発生することがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態が適用された電動発電機システムの模式的電気回路図である。
【図2】図1に示した電動発電機システムの機械的模式的断面図である。
【図3】図1に示した電動発電機システムの中、主に無火花整流するためのサイリスタ回路の詳細な構成図である。
【図4】複数のコイルが巻かれたトロイダルコイルの構成図である。
【図5】電動発電機の電動機としての動作状態を示す一部省略断面図である。
【図6】電動発電機の発電機としての動作状態を示す一部省略断面図である。
【図7】正転時における電動機の動作説明に供される回路図である。
【図8】正転時における電動機の転流時の動作説明に供される回路図である。
【図9】正転時における電動機の動作説明に供される回路図である。
【図10】正転時における電動機の転流時の動作説明に供される回路図である。
【図11】逆転時における電動機の動作説明に供される回路図である。
【図12】コアの動作状態の説明に供されるBH曲線を示す図である。
【図13】逆転時においても火花発生を防止可能なサイリスタ回路の詳細な構成図である。
【符号の説明】
10…電動発電機システム 12…電動発電機
14…リレー接点 15…スリップリング
16…バッテリー 20…リレーコイル
22、23…整流子 24…コイル
25…発電用コイル 26…ステータ
28、36…ブラシ 30…永久磁石
32…ロータ 32a…第1回転部
32b…第2回転部 34…クランクシャフト
40、140…サイリスタ回路 46…リレーコイル
48…連動リレー接点 50…整流・レギュレータ回路
52、53、152、153…サイリスタ
54、55、154、155…定電圧ダイオード
56、57、156、157…コンデンサ
60、60’…コア 62、162…ダイオード
64、164…抵抗器 70…スライド機構
72…ばね 74…連結ピン
78…ウエイトローラー 80…モールド部材
82…コア 84、86…端子
A〜E、A’〜E’…コイル F…正転方向
R…逆転方向

Claims (2)

  1. 直流電源がブラシを介して、整流子に接続されたコイルに供給されるブラシ付き電動機において、
    前記直流電源と前記ブラシとに接続され、無火花整流するサイリスタと、
    前記整流子と前記ブラシとの間に発生する火花雑音の雑音信号を検出する雑音検出手段と、
    前記直流電源と前記サイリスタとに接続され、前記直流電源の接続極性を検出する電源接続極性検出手段と、
    前記サイリスタのゲートに接続されるゲート制御手段とを備え、
    該ゲート制御手段は、前記雑音検出手段により雑音が検出されているとき、前記サイリスタのゲートをオン状態にし、雑音が検出されていないときおよび前記電源接続極性検出手段により前記直流電源の逆接続が検出されたときには、前記サイリスタのゲートをオフ状態に保持するブラシ付き電動機であって、
    前記雑音検出手段と前記電源接続極性検出手段と前記ゲート制御手段とは、同一のトランスコアに巻かれたコイルをそれぞれ含み、
    前記雑音検出手段は、前記コイルとコンデンサとの直列接続とされて、前記サイリスタのアノードとカソード間に接続され、
    前記電源接続極性検出手段は、前記コイルとダイオードと抵抗器との直列接続とされ、前記ダイオードのカソード側が前記直流電源の正極側となるように、前記直流電源に並列接続され、
    前記ゲート制御手段は、前記コイルが前記サイリスタのゲートとカソード間に接続されている
    ことを特徴とするブラシ付き電動機。
  2. 請求項記載のブラシ付き電動機において、
    前記サイリスタに対して、逆極性のサイリスタを並列的に接続し、
    かつ該逆極性のサイリスタに新たなゲート制御手段を接続するとともに、新たな雑音検出手段を接続し、
    前記電源接続極性検出手段に対して、ダイオードの極性を反転した電源接続極性検出手段を並列に接続した
    ことを特徴とするブラシ付き電動機。
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