JP4419724B2 - Icカードリーダ及びicカードリーダの送信出力制御方法 - Google Patents

Icカードリーダ及びicカードリーダの送信出力制御方法 Download PDF

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本発明は、非接触型ICカードと電磁結合方式によって通信を行うICカードリーダ、及びそのICカードリーダの送信出力制御方法に関する。
非接触型ICカードのリーダライタは、ICカードとの間で電磁結合を利用して信号を送受信し、通信を行うように構成されている。従って、そのリーダライタが設置されている周囲に、例えば金属などの磁性体が設置物として存在する場合には、リーダライタより送信出力される磁気信号の磁界が変化したり、送信回路のインピーダンスがずれたりすることがある。その結果、リーダライタとICカードとの通信距離が変化したり、ICカードに送信される変調信号が変化する場合がある。
尚、このようなリーダライタの一例は、例えば特許文献1などに記載されている。
特開2002−109495号公報
上述したように、リーダライタが周囲の設置物の影響を受けると、最悪の場合には、ICカードとの通信が不可能な状態となってしまう。このため、リーダライタを設置した周囲に、磁界に影響を与えて通信を妨げそうな設置物がある場合には、その影響を受けないようにリーダライタ或いは設置物の配置を変更するような対応が必要であった。しかしながら、上記のような設置物であるか否かの判定は容易ではなく、また、たとえ判定ができたとしても、配置の変更が必ずしも可能な状況にあるとは限らない。
そして、特許文献1は、リーダライタとICカードとの通信距離が短すぎる場合にカード内部の発熱量が大きくなることを問題としており、上述したような問題には全く着目していない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、周囲に通信を妨げそうな設置物がある場合でも、適切な通信状態を確保することが可能であるICカードリーダ及びそのICカードリーダの送信出力制御方法を提供することにある。
請求項1記載のICカードリーダによれば、記憶手段に、想定した基準環境下における送信信号の出力レベルを予め記憶しておき、制御手段は、記憶されている出力レベルと、送信出力検出手段によって検出された実際の出力レベルとの差を縮小するように補正手段を制御する。従って、実際にICカードリーダが設置された環境の条件が、予め想定した基準環境の条件と異なることにより、通信手段によって送信される信号の出力レベルに差が生じたとしてもその差が縮小されるので、ICカードとの間における通信を、常に基準環境と同様の安定した状態で行なうことが可能となる。
そして、ユーザによって第1の動作モードが設定されると、補正動作を禁止すると共に、検出された出力レベルを記憶手段に記憶させ、第2の動作モードが設定されると、補正動作を実行可能にすると共に記憶手段に対する記憶処理を禁止する。従って、ユーザは、ICカードリーダの動作モードを適宜設定することで、想定した基準環境下における送信信号の出力レベルを記憶させる処理と、実際の設置環境下における補正動作とを夫々実行させることができる。
請求項2記載のICカードリーダによれば、制御手段は、記憶手段に記憶されている出力レベルと、送信出力検出手段によって検出された出力レベルとの差が所定値以上の場合に、当該差を縮小するように補正手段を制御するので、補正を行なうタイミングを適切に設定することができる。
請求項3乃至5記載のICカードリーダによれば、補正手段は、送信信号の出力電力を調整することで(請求項3)、また、通信手段を構成する送信回路の出力インピーダンスを調整することで(請求項4)、また、通信手段を構成するアンテナの入力インピーダンスを調整することで(請求項5)、出力レベルを補正する。従って、補正を適切に実行することができる。
請求項6記載のICカードリーダによれば、制御手段は、実際に電磁信号を送信した場合に検出された出力レベルと記憶されている出力レベルとを比較して補正手段に対する制御の要否を決定し、その制御が必要であれば当該制御を実行した後に前記比較を再実行する。従って、双方の出力レベルの差が、補正が不要と判断される状態に至るまで、比較動作及び補正動作を続行させることができる。
請求項記載のICカードリーダによれば、ユーザによって第3の動作モードが設定されると、補正動作及び記憶処理を何れも禁止するので、ユーザは、補正動作が終了した後、ICカードリーダを実際に運用するための動作モードに切替えてその運用を開始させることができる。
(第1実施例)
以下、本発明の第1実施例について図1乃至図3を参照して説明する。図1は、非接触型のICカードと磁気信号を介して通信を行うリーダライタについて、本発明の要旨に係る送信回路部分の電気的構成を示す機能ブロック図である。リーダライタ(ICカードリーダ)1の送信回路部(通信手段)20は、CPU(マイクロコンピュータ,制御手段)2に接続される送信符号生成部3,送信出力部4,送信フィルタ部(補正手段)5,アンテナ6などで構成されている。
送信出力部4は、出力段に配置されるNPNトランジスタ7と、そのトランジスタ7のベース電流を制御する出力可変部(補正手段)8とで構成されている。出力可変部8は、例えば可変抵抗素子や、或いは、接続切り替えが可能な複数の抵抗素子などで構成される。また、送信フィルタ部5は、コイル9及びコンデンサ10のLCフィルタとして構成されていると共に、そのコイル9のインダクタンス又はコンデンサ10の容量が可変となるように構成されている。そして、出力可変部8と、送信フィルタ部5についての素子定数制御(または、複数の素子の接続切替え制御)は、CPU2によって行われる。
また、送信フィルタ部5の出力端子には、振幅検出回路(送信出力検出手段)11が接続されている。振幅検出回路11はローパスフィルタとして構成され、アンテナ6の端子電圧、即ち、キャリアの振幅レベルを検出するようになっている。そして、その検出信号はCPU2に与えられており、CPU2は、その検出信号をA/D変換して読み込むようになっている。
尚、リーダライタ1については、当該リーダライタ1が標準的な設置環境として想定した基準環境下に置かれた状態で、振幅検出回路11によって検出される送信信号の振幅値を予め測定る。ここでの「基準環境」とは、リーダライタ1の周囲に、発生する磁界信号に影響を及ぼす金属のような磁性材料などで構成される物体が存在しない環境である。そして、CPU2は内部にメモリ(記憶手段)12を備えており、そのメモリ12に、前記基準環境下で検出された振幅値をデータとして記憶する。この動作は、リーダライタを設定モード(第1の動作モード)に設定するなどして動作させる(この時、後述するステップS6における補正動作は禁止される)。
次に、本実施例の作用について図2及び図3も参照して説明する。図2は、リーダライタ1を設置してからその運用を開始するまでの処理の流れを示すフローチャートである。先ず、リーダライタ(R/W)1を設置し(ステップS1)、例えば、そのリーダライタ1を調整モード(第2の動作モード)に設定するなどして動作させる(この時、前述したメモリ12に対する記憶処理は禁止される)。すると、リーダライタ1のCPU2は、送信回路部20より13.56MHzのキャリアを送信させる(ステップS2)。
続いて、CPU2は、振幅検出回路11を介してアンテナ6の端子電圧、即ちキャリアの振幅を検出し(ステップS3)、その振幅値と、メモリ12に記憶されている基準環境下で測定された振幅値との差を演算する(ステップS4)。
即ち、図3に示すように、リーダライタ1を実際の使用環境に設置すると、リーダライタ1の側部や(a)下部などに(b)、リーダライタ1が発生させる磁界に影響を及ぼす金属などで構成される物体13〜15が存在する場合も想定される。斯様な物体13〜15が存在する場合、リーダライタ1によって送信される磁界信号の出力は、所期のレベルより変動する。そこで、CPU2は、ステップS4における演算結果の差が所定値未満であれば(ステップS5,「NO」)、そのまま、通常動作に移行して実際の運用を開始する(ステップS7)。また、これ以降調整させたくない場合には、運用モード(第3の動作モード)に設定することでノイズ等の影響で間違って調整することが防げる。
尚、上述したユーザによる動作モードの切替えは、例えばリーダライタ1にモード切換え用のディップスイッチ(図示せず,モード設定手段)を設け、CPU2にそのスイッチの設定を読み込ませたり、或いは、リーダライタ1に接続されるパーソナルコンピュータなどの上位制御装置(図示せず,モード設定手段)を介してリーダライタ1にモード切替えを指示するように構成すれば良い。
一方、前記演算結果の差が所定値以上である場合(ステップS5,「YES」)、CPU2は、送信出力部4の出力可変部8における抵抗値を変更するか、又は、送信フィルタ部5のフィルタ定数を変更する(ステップS6)。前者のように出力可変部8における抵抗値を変更する場合は、送信信号の出力電力を補正することになる。また、後者のように送信フィルタ部5のフィルタ定数を変更する場合は、送信回路部20の出力インピーダンスを補正することになる。
それから、CPU2はステップS3に戻り、ステップS4において双方の振幅値の差が所定値未満になったと判断されるまで同様の処理を繰り返す。以上のように処理を行なう結果、リーダライタ1によって送信される磁界信号の出力レベルは、想定した基準環境下における出力レベルと略同等になる。
以上のように本実施例によれば、リーダライタ1を構成するCPU2は、想定した基準環境下におけるキャリアの振幅値をメモリ12に予め記憶しておき、その記憶した振幅値と、振幅検出回路11によって検出された実際の振幅値との差を縮小するように、送信出力部4の出力可変部8における抵抗値を変更するか、又は、送信フィルタ部5のフィルタ定数を変更するようにした。
従って、実際にリーダライタ1が設置された環境の条件が予め想定した基準環境の条件と異なり、送信回路部20によって送信される信号の出力レベルに差が生じたとしても、その差は最小となるように補正され、ICカードとの間における通信を常に基準環境と同様の安定した状態で行なうことが可能となる。
また、CPU2は、メモリ12に記憶されている出力レベルと、振幅検出回路11によって検出された出力レベルとの差が所定値以上の場合に、当該差を縮小するように出力可変部8又は送信フィルタ部5を制御するので、両者が略同等とみなされる範囲(差が所定値未満)では送信出力を補正せず、補正を行なうタイミングを適切に設定することができる。
また、CPU2は、実際に電磁信号を送信した場合に検出された出力レベルとメモリ12に記憶されている出力レベルとを比較してステップS5で補正制御の要否を決定し、その制御が必要であれば(「YES」)ステップS6で当該制御を実行した後、ステップS3に戻って比較動作を再実行するようにしたので、双方の出力レベルの差が、補正が不要と判断される状態に至るまで、比較動作及び補正動作を続行させることができる。
更に、CPU2は、ユーザによって設定モードが設定されると、補正動作を禁止して検出された出力レベルをメモリ12に記憶させ、調整モードが設定されると、補正動作を実行可能にすると共にメモリ12に対する記憶処理を禁止する。従って、ユーザは、リーダライタ1の動作モードを適宜設定することで、想定した基準環境下における送信信号の出力レベルを記憶させる処理と、実際の設置環境下における補正動作とを夫々実行させることができる。そして、ユーザによって運用モードが設定されると、補正動作及び記憶処理を何れも禁止するので、ユーザは、補正動作が終了した後、リーダライタ1を実際に運用するための動作モードに切替えてその運用を開始させることができる。
(第2実施例)
図4は本発明の第2実施例を示すものであり、第1実施例と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、以下異なる部分についてのみ説明する。図4は、図1の一部相当図であり、アンテナ6部分を示すものである。送信フィルタ部5の出力端子の一方とアンテナ6との間には、アンテナ6のインピーダンスを整合させるため、コンデンサ21及び抵抗22が直列に挿入されている。また、両者の共通接続点と前記出力端子の他方との間に、コンデンサ23が接続されている。コンデンサ21,23は容量が可変に(即ち、第1実施例と同様に、複数の素子の接続形態を変更可能に)構成されている。
そして、図4では図示しないCPU2は、ステップS5で「YES」と判断すると、コンデンサ21又は23の容量を変化させることで送信出力の補正を行なう。即ち、前記容量を変化させることでアンテナ6の入力インピーダンスが変化するため、その変化に伴って磁気信号の送信出力を調整することができる。
以上のように第2実施例によれば、CPU2は、アンテナ6の入力インピーダンスを変化させることでリーダライタ1の送信出力を補正するようにしたので、第1実施例と同様の効果を得ることができる。
本発明は上記しまたは図面に記載した実施例にのみ限定されるものではなく、以下のような変形が可能である。
第1実施例において、送信出力部4,送信フィルタ部5の何れか一方のみを、素子定数が変更可能となるように構成しても良い。
また、送信フィルタ部5については、コイル9,コンデンサ10の何れか一方の定数だけを変更可能に構成しても良い。
また、第2実施例の構成を第1実施例の構成に組合わせて、送信出力電力、送信回路部20の出力インピーダンス、アンテナ6の入力インピーダンスを夫々変更可能な構成としても良い。
その場合、上記各部を変更する際の優先順位を設定しておき、何れか1つを調整した段階でステップS3〜S5を実行し、その結果「YES」と判断された場合に他の1つを調整するように構成しても良い。
ICカードに記憶されているデータの読取り機能だけを有する、ICカードリーダに適用しても良い。
本発明の第1実施例であり、非接触型のICカードと磁気信号を介して通信を行うリーダライタについて、本発明の要旨に係る送信回路部分の電気的構成を示す機能ブロック図 リーダライタを設置してからその運用を開始するまでの処理の流れを示すフローチャート リーダライタを実際の使用環境に設置した場合に想定される、周囲の状況例を示す図 本発明の第2実施例を示す図1の一部相当図
符号の説明
図面中、1はリーダライタ(ICカードリーダ)、2はCPU(制御手段)、5は送信フィルタ部(補正手段)、8は出力可変部(補正手段)、11は振幅検出回路(送信出力検出手段)、12はメモリ(記憶手段)、20は送信回路部(通信手段)を示す。

Claims (14)

  1. 非接触型ICカードと電磁結合方式により通信を行うための通信手段と、
    この通信手段を介して前記ICカードに送信される電磁信号の出力レベルを検出する送信出力検出手段と、
    前記通信手段によって送信される信号の出力レベルを補正するための補正手段と、
    想定した基準環境下における前記送信信号の出力レベルが記憶される記憶手段と、
    この記憶手段に記憶されている出力レベルと、前記送信出力検出手段によって検出された出力レベルとの差を縮小するように前記補正手段を制御する制御手段と
    ユーザが複数の動作モードを設定するためのモード設定手段とを備え、
    前記モード設定手段を介して第1の動作モードが設定されると、前記制御手段による補正動作を禁止すると共に、前記送信出力検出手段によって検出された出力レベルを前記記憶手段に記憶させ、
    前記モード設定手段を介して第2の動作モードが設定されると、前記制御手段による補正動作を実行可能にすると共に、前記記憶手段に対する記憶処理を禁止することを特徴とするICカードリーダ。
  2. 前記制御手段は、前記記憶手段に記憶されている出力レベルと、前記送信出力検出手段によって検出された出力レベルとの差が所定値以上の場合に、当該差を縮小するように前記補正手段を制御することを特徴とする請求項1記載のICカードリーダ。
  3. 前記補正手段は、前記送信信号の出力電力を調整することで出力レベルを補正するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のICカードリーダ。
  4. 前記補正手段は、前記通信手段を構成する送信回路の出力インピーダンスを調整することで出力レベルを補正するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のICカードリーダ。
  5. 前記補正手段は、前記通信手段を構成するアンテナの入力インピーダンスを調整することで出力レベルを補正するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のICカードリーダ。
  6. 制御手段は、電磁信号を送信した場合に、前記送信出力検出手段によって検出された出力レベルと前記記憶手段に記憶されている出力レベルとを比較して前記補正手段に対する制御の要否を決定し、前記制御が必要な場合は当該制御を実行した後に前記比較を再度実行することを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載のICカードリーダ。
  7. 前記モード設定手段を介して第3の動作モードが設定されると、前記制御手段による補正動作及び前記記憶手段に対する記憶処理を何れも禁止することを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載のICカードリーダ。
  8. 想定した基準環境下において、非接触型ICカードと電磁結合方式により通信を行うための通信手段を介して前記ICカードに送信される電磁信号の出力レベルを予め記憶手段に記憶し、実際に前記ICカードに送信される電磁信号の出力レベルを検出して、その出力レベルと前記記憶手段に記憶されている出力レベルとの差を縮小するように、前記通信手段によって送信される信号の出力レベルを補正する場合に、
    ユーザによって第1の動作モードが設定されると、前記補正を禁止すると共に、検出された電磁信号の出力レベルを前記記憶手段に記憶させ、
    ユーザによって第2の動作モードが設定されると、前記補正を実行可能にすると共に、前記記憶手段に対する記憶処理を禁止することを特徴とするICカードリーダの送信出力制御方法
  9. 前記記憶手段に記憶されている出力レベルと、検出された電磁信号の出力レベルとの差が所定値以上の場合に、当該差を縮小するように補正することを特徴とする請求項8記載のICカードリーダの送信出力制御方法。
  10. 前記送信信号の出力電力を調整することで出力レベルを補正することを特徴とする請求項8又は9記載のICカードリーダの送信出力制御方法。
  11. 前記通信手段を構成する送信回路の出力インピーダンスを調整することで出力レベルを補正することを特徴とする請求項8乃至10の何れかに記載のICカードリーダの送信出力制御方法。
  12. 前記通信手段を構成するアンテナの入力インピーダンスを調整することで出力レベルを補正することを特徴とする請求項8乃至11の何れかに記載のICカードリーダの送信出力制御方法。
  13. 電磁信号を送信する第1ステップと、
    検出された前記電磁信号の出力レベルと前記記憶手段に記憶されている出力レベルとを比較する第2ステップと、
    この第2ステップの比較結果に応じて前記補正の要否を決定する第3ステップとを有し、
    前記第3ステップにおいて、補正が必要であると決定した場合は、前記第2ステップを再度実行することを特徴とする請求項8乃至12の何れかに記載のICカードリーダの送信出力制御方法。
  14. ユーザによって第3の動作モードが設定されると、前記補正及び前記記憶手段に対する記憶処理を何れも禁止することを特徴とする請求項8乃至13の何れかに記載のICカードリーダの送信出力制御方法。
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