本発明のカラーフィルタ基板は、透明基板と、基板の上に設けられた着色層とを備える。着色層は複数の着色列を含んでいる。複数の着色列は、ある方向(第1方向)に沿って延びており、上記第1方向に交差する第2方向に配列されている。複数の着色列は、第1着色列および第2着色列を含んでいる。本発明のカラーフィルタ基板の製造方法では、着色層を形成する工程において、互いに間隙を介して上記第1方向に配列された複数の第1着色部を含む第1着色列を形成する。第1着色列を形成した後、透明基板の上に第2着色列用ドライフィルムを上記第1方向と交差する第3方向に沿って押圧しながら貼り合わせた後、所定のパターニングを行って第2着色列を形成する。
本発明のカラーフィルタ基板の製造方法では、第2着色列に先立って形成される第1着色列を1つの短冊状の着色部とするのではなく、互いに間隙を介して配列された複数の第1着色部で形成する。したがって、第2着色列を形成するためのドライフィルムの貼り付け方向を、先に形成された第1着色列の延びる方向(第1方向)以外の方向(第1方向と交差する第3方向)にしても、ドライフィルムと基板との間に生じる気泡を上記複数の着色部の間に形成された間隙を通じて逃がすことができる。従って、第2着色列を形成するためのドライフィルムを先に形成された第1着色列の延びる方向以外の方向から貼り付けることが可能となる。
第1着色列の後にドライフィルム法で形成される第2着色列のためのドライフィルムの貼り付け方向の好ましい範囲は間隙の延びる方向に依存するが、間隙の延びる方向に対して+45°から−45°の範囲であることが好ましい。
ここで、「着色列」は、カラーフィルタ列および遮光列を含む。カラーフィルタ列は、画素の列に対応して設けられ、遮光列は、必要に応じて隣接するカラーフィルタ列の間に設けられる。個々の着色列は、ひとつの着色部から形成されてもよいし、間隙を介して配列された複数の着色部から形成されてもよい。着色列は間隙も含む。さらに着色列は、間隙に着色部が形成されて構成されるダミー着色部も含む。ダミー着色部は、間隙にカラーフィルタ部が形成されて構成されるダミーカラーフィルタ部、および間隙に遮光部が形成されて構成されるダミー遮光部を含む。
例えば、図1に示したカラーフィルタ基板100は、複数の着色列を含む着色層102を有しており、複数の着色列として、赤カラーフィルタ列104、緑カラーフィルタ列106および青カラーフィルタ列108を有している。着色層102は、典型的には、行方向に互いに配列された赤カラーフィルタ列104、緑カラーフィルタ列106、青カラーフィルタ列108がこの順で巡回的に配列されて構成されている。
これらのカラーフィルタ列は、いずれも、画素120の列に対応して、画素120の列方向70に延びるように形成されている。赤カラーフィルタ列104は1つの赤カラーフィルタ部104aで構成されており、青カラーフィルタ列108は1つの青カラーフィルタ部108aで構成されている。これに対し、緑カラーフィルタ列106は、複数の緑カラーフィルタ部106aおよび106bと、その間に形成された間隙106cとから構成されている。
このカラーフィルタ基板は、ドライフィルム法を用いて、例えば以下のようにして製造される。
3種類のカラーフィルタ列のうち、赤カラーフィルタ列104を形成する。その後で、複数の緑カラーフィルタ部106aおよび106bと、その間に形成された間隙106cとを有する緑カラーフィルタ列106を形成する。間隙106cは、例えば、行方向に延びる方向に平行な方向に形成する。緑カラーフィルタ列106を形成するためのドライフィルムは、列方向70に交差する方向71のうち一方向71a(図中左から右)から押圧しながら貼り付ける。すなわち、既に形成されている赤カラーフィルタ列104側から、この後に形成する青カラーフィルタ列108の方に向かって貼り付ける。この方向に貼り付けると、後に青カラーフィルタ列108を形成する領域に気泡を逃がすことができるので、緑カラーフィルタ列用ドライフィルムを貼り付ける過程で、緑カラーフィルタ列106となる領域に気泡が残存することを防止できる。この緑カラーフィルタ列用ドライフィルムの感光性樹脂層をフォトリソプロセスによってパターニングし、間隙106cを有する緑カラーフィルタ列106を形成する。
次に、青カラーフィルタ列用ドライフィルムを、例えば、緑カラーフィルタ列用ドライフィルムの貼り付け方向とは逆の方向71b(図中の右から左)から押圧しながら貼り付ける。すなわち、緑カラーフィルタ列106の方に向かって、間隙106cの延びる方向と略平行な方向に貼り付ける。この方向に貼り付けると、緑カラーフィルタ列106に形成された間隙106cから気泡を逃がすことができるので、青カラーフィルタ列用ドライフィルムを貼り付ける過程で、青カラーフィルタ列108となる領域に気泡が残存することを防止できる。
このように、青カラーフィルタ列(上記第2着色列に対応)を形成する前に形成され、青カラーフィルタ列に隣接する緑カラーフィルタ列(上記第1着色列に対応)に間隙を設けておけば、上述したように、青カラーフィルタ列を形成するためのドライフィルムの貼り付け方向を、先に形成された緑カラーフィルタ列の延びる方向70以外の方向にしても、ドライフィルムと基板との間に生じる気泡を上記複数の着色部の間に形成された間隙を通じて逃がすことができる。従って、青カラーフィルタ列を形成するためのドライフィルムを先に形成された緑カラーフィルタ列の延びる方向以外の方向から貼り付けることが可能となる。
本発明のカラーフィルタ基板の製造方法では、所望のOD値を得るために所定の膜厚以上の着色樹脂層(ドライフィルムからフィルム支持体を剥離して得られる樹脂層)を用いて着色列を形成する際に、特に、効果的である。着色樹脂層の膜厚は例えば約1〜3μm程度である。なお、OD(Optical Density(光学密度))値とは、物質の透過率を示す値であり、OD値が大きい物質ほど透過率は低い。
間隙の第1方向70の幅は10μm以上であることが望ましい。また、第1方向70に隣接する間隙の間隔は、第1方向70に1000μm以下であることが望ましい。次に形成される着色列のためのドライフィルムを貼り合わせる際に、ドライフィルムと基板との間の気泡を十分に逃がすことができるからである。
上記では、全てのカラーフィルタ列をドライフィルム法で形成する場合を説明したが、青カラーフィルタ列108以外のカラーフィルタ列は、ドライフィルム法以外の方法(例えばスピンコート法、ダイコート法、またはインクジェット法)で形成されてもよい。ただし、全てのカラーフィルタ列をドライフィルム法で形成すれば、製造方法を容易にできる。
また、上記では、着色層102が赤カラーフィルタ列104、緑カラーフィルタ列106および青カラーフィルタ列108を含んでいる場合を例示したが、着色層102に含まれるカラーフィルタ列の種類はこれに限られない。着色層102は、例えば、上記3色のカラーフィルタ列に加えて白色カラーフィルタ列を含んでいてもよい。あるいは、上記3色のカラーフィルタ列に加えてシアンカラーフィルタ列、マゼンダカラーフィルタ列およびイエローカラーフィルタ列を含んでいてもよい。4色および6色のカラーフィルタ列を有するカラーフィルタ基板の詳細は、それぞれ、例えば特開2001−296523号公報および特開2002−286927号公報に説明されている。
図1では、カラーフィルタ列の間に間隙109を有する構成を例示したが、この間隙109を遮光するためのブラックマトリクスを形成してもよい。例えば、ブラックマトリクスは金属膜をパターニングすることによって形成される。金属膜を用いてブラックマトリクスを形成すると、黒色感光性樹脂層を用いて形成する場合よりも薄くても十分な遮光性を得ることができる。従って、金属膜から形成されたブラックマトリクスは気泡の移動を阻害することがないので、上記カラーフィルタ列を形成する前にブラックマトリクスを形成してもよい。すなわち、間隙を有しない(1000μmを超える長さを有する)短冊状のブラックマトリクスが、カラーフィルタ列を形成する領域の両側に先に形成されていても、カラーフィルタ列をドライフィルム法で形成する際に気泡の問題が生じない。なお、図1のカラーフィルタ基板100において、カラーフィルタ列の間の間隙109を遮光するためのブラックマトリクスを最後に形成する場合、ドライフィルム法以外の方法を用いれば気泡の問題は生じない。
これに対し、ブラックマトリクスをドライフィルム法を用いて最後に形成する場合、例えば、図2に示す構成を採用すればよい。
例えば、図1に示したカラーフィルタ基板100は、複数の着色列を含む着色層102を有しており、複数の着色列として、赤カラーフィルタ列104、緑カラーフィルタ列106および青カラーフィルタ列108を有している。
図2に示すカラーフィルタ基板130は、複数の着色列を含む着色層112を有しており、複数の着色列として、赤カラーフィルタ列104、緑カラーフィルタ列106および青カラーフィルタ列108を有している。これらのカラーフィルタ列のそれぞれは、間隙によって分割された複数のカラーフィルタ部を有している。赤カラーフィルタ列104は4つの赤カラーフィルタ部104a、104b、104c、104dを有し、緑カラーフィルタ列106は2つの緑カラーフィルタ部106a、104bを有し、青カラーフィルタ列108は4つの青カラーフィルタ部108a、108b、108c、108dを有している。着色層112は、さらに、カラーフィルタ部の上記間隙、および互いに隣接するカラーフィルタ列の間隙を埋めるように形成されたブラックマトリクスを有している。ここで、隣接するカラーフィルタ列の間に配置され、かつ、カラーフィルタ列の延びる方向と同じ方向に延びるように形成されるブラックマトリクス110を遮光列、各カラーフィルタ列が有する間隙(カラーフィルタ部の間隙)に形成されたブラックマトリクス110aをダミー遮光部と呼ぶ。すなわち、各カラーフィルタ列104、106、108は、複数のカラーフィルタ部とダミー遮光部とによって構成されている。着色層112は、典型的には、赤カラーフィルタ列104、遮光列110、緑カラーフィルタ列106、遮光列110、青カラーフィルタ列108、遮光列110がこの順で巡回的に配置されて構成されている。
図2に示すように全てのカラーフィルタ列104、106、108に間隙を形成しておけば、ドライフィルム法を用いて最後にブラックマトリクスを形成する場合でも、ドライ
フィルムを貼り付ける際に、列方向70に交差する方向(例えば図2中の横方向71)から押圧しながら貼り合わせても、それぞれのカラーフィルタ列に形成された間隙に気泡を逃がすことができるので、遮光列110に気泡が残存することを防止することができる。
本発明のカラーフィルタ基板の製造方法では、図1のカラーフィルタ基板100のように、最後にドライフィルム法を用いて形成される着色列に隣接する、少なくとも1つの着色列が間隙を有していれば、すなわち、最後にドライフィルム法を用いて形成される着色列の少なくとも片側の着色列が間隙を有していれば、気泡の問題を回避できる。図2のカラーフィルタ基板130では、最後にドライフィルム法を用いて形成される遮光列110が各カラーフィルタ列の両側に形成されるので、全てのカラーフィルタ列に間隙を形成する。図2のカラーフィルタ基板のように、最後にドライフィルム法を用いて形成される着色列の両側に、間隙を有する着色列が形成されている場合、ドライフィルムの貼り合わせ方向は、着色列の延びる方向70と直交する2つの方向(図1の矢印71aと71b方向)のいずれであっても気泡の問題を回避できる。
なお、カラーフィルタ列の間隙に形成されるダミー遮光部110aに気泡が残存することがある。この場合に、色抜けを防止するために、ダミー遮光部110aをゲートバスラインや補助容量配線など遮光性の部材(アクティブマトリクス基板に設けられる)と対向する位置に設けることが好ましい。
以上説明したように、本発明のカラーフィルタ基板の製造方法では、基板上に着色列が先に形成されている場合に、次に形成する着色列のためのドライフィルムの貼り付け方向を、先に形成された着色列の延びる方向と交差する方向にしても、表示品位の劣化が抑制されたカラーフィルタ基板を作製できる。したがって、従来よりもドライフィルムの貼り付け方向の自由度が高い。このため、例えば従来よりも幅のより小さいドライフィルムを用いることができるので、製造コストを低くできる。具体的には図1および図2のカラーフィルタ基板が、短辺が680mm、長辺が880mmの長方形の形状を有しており、短辺に沿って延びる着色列を形成する場合、ドライフィルムの貼り付け方向を基板の長辺に沿った方向にできるので、幅680mmのドライフィルムを用いることができる。また、全ての着色列のためのドライフィルムの幅を統一することができる。また、全ての着色列のためのドライフィルムの貼り付け方向を統一できるので、製造工程において段取り替えによる生産ロスを削減することができる。
なお、間隙の延びる方向は、所望とするドライフィルムの貼り合わせ方向によって適宜決定され、着色列の延びる方向と略直交する方向以外であってもよい。
以下、図面を参照しながら本発明のカラーフィルタ基板、およびその製造方法をさらに具体的に説明する。以下では、従来技術の説明と同様に、アクティブマトリクス型液晶表示装置に用いられるドライフィルム方式のカラーフィルタ基板を例に実施形態を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されない。
図3は、本発明の実施形態のカラーフィルタ基板50の部分平面図である。このカラーフィルタ基板50の製造方法を説明するための図を図4に示す。図4は図3のB−B'に
対応する断面図である。以下、図3および図4を参照しながら、カラーフィルタ基板50の構成を説明する。
図3および図4に示すように、本発明の一実施形態のカラーフィルタ基板50は、透明基板14と、透明基板14上に設けられた着色層62とを備えている。着色層62は、ストライプ状に延びる赤カラーフィルタ列56、緑カラーフィルタ列58および青カラーフィルタ列60を含む。赤、青および緑カラーフィルタ列は、それぞれ、画素の列に対応し
て配列されており、赤、青および緑カラーフィルタ列は、いずれも、透明基板14の第1端辺(不図示)からこの第1端辺に対向する第2端辺に向かう方向(第1方向(矢印70の方向)と称する)に沿って延びるように形成されている。また、赤カラーフィルタ列56、緑カラーフィルタ列58および青カラーフィルタ列60は、この方向70に直交する方向(第2方向(矢印71の方向)に配列されている。なお、図1では、赤カラーフィルタ列56を2つと、緑カラーフィルタ列58および1つの青カラーフィルタ列60を1つずつ示すが、実際には、着色層62は各色のカラーフィルタ列を複数個ずつ含み、各色のカラーフィルタ列は巡回的に配列されている。赤カラーフィルタ列56、緑カラーフィルタ列58および青カラーフィルタ列60の全ては、この順にドライフィルム法を用いて形成される。
カラーフィルタ基板50では、カラーフィルタ列のうち最後に形成される青カラーフィルタ列60以外のカラーフィルタ列、すなわち、赤カラーフィルタ列56および緑カラーフィルタ列58が、それぞれ、間隙(スリット)56Sおよび58Sを挟んで配置された複数のカラーフィルタ部を含んでいることを特徴としている。スリット56Sおよび58Sは、上記第2方向71に延びるように互いに接続されて形成されている。
後の製造方法の説明で詳述するが、カラーフィルタ列に上記スリット56Sおよび58Sを設けることにより、青カラーフィルタ列60を形成する際に、カラーフィルタ列の延びる方向70以外の方向(方向70に直交する方向71)からドライフィルムを貼り合わせても、ドライフィルムと基板14との間の気泡をスリット56Sおよび58Sを通じて逃がすことができる。
次に、図3および図4(a)〜(d)を参照しながらカラーフィルタ基板50の製造方法の一例を説明する。以下に説明する方法では、着色層62を構成するカラーフィルタ列56、58、60の全てを、ドライフィルムを用いて形成する。
ドライフィルムは、感光性樹脂層の両主面がPET(ポリエチレンテフタレート)フィルム等のフィルム支持体60Sで挟持されて構成されている。ここでは、感光性樹脂層に赤、青、緑の顔料が分散された3種類のドライフィルムを用いる。また、感光性樹脂層は典型的にはネガ型である。カラーフィルタ層の形成は例えば以下のようにして行う。
ローラ(図5参照)34を用い、赤カラーフィルタ56用のドライフィルム56Rを基板14上に押圧しながら第2方向71に貼り合わせ、フィルム支持体を剥離することによって、図4(a)に示すように赤カラーフィルタ56用の感光性樹脂層を基板上に転写する。この工程は、一般にドライフィルムを加熱しながら実行され、いわゆる熱転写工程である。続いて、マスク74を用いて露光および現像を行い(フォトリソ工程)、第2方向(矢印71の方向)に延びるスリット56Sを有する(図3)ようにパターニングを行い、図4(b)に示すように赤カラーフィルタ列56を形成する。
赤カラーフィルタ列56を形成した後、緑カラーフィルタ列58用のドライフィルムを基板14上に押圧しながら赤カラーフィルタ列56の延びる方向70と略直交する方向71から貼り合わせる。先に形成された赤カラーフィルタ列56が間隙56Sを有しているので、緑カラーフィルタ列58用のドライフィルムを貼り付ける際に、ドライフィルムと基板との間に生じる気泡を、間隙56Sおよび青カラーフィルタ列60を形成する領域を通じて逃がすことができる。赤カラーフィルタ列56を形成した方法と同様の方法を用いて、第2方向(矢印71の方向)に延びるスリット58Sを有するようにパターニングを行い、図4(c)に示すように緑カラーフィルタ列58を形成する。
図3に示すように、スリット56Sとスリット58Sとは、互いに接続されるように形
成することが好ましい。隣接するカラーフィルタ列にそれぞれ設けられたスリットが互いに接続されていれば、最後に形成される青カラーフィルタ列60用のドライフィルム貼り付ける際に、ドライフィルムと基板との間に生じる気泡を逃がし易いからである。
スリット56Sの第1方向70の幅は10μm以上であることが望ましい。また、第1方向70に隣接するスリット56Sの間隔は、第1方向70に1000μm以下であることが望ましい。次に形成されるカラーフィルタ列のドライフィルムを貼り合わせる際に、ドライフィルムと基板との間の気泡を十分に逃がすことができるからである。
緑カラーフィルタ列58を形成した後、図4(d)に示すように青カラーフィルタ列60を形成する。青カラーフィルタ列を形成する工程でも、上記赤および緑カラーフィルタ列を形成する場合と同様に、ドライフィルムを基板14上に第2方向71から貼り合わせる。ただし、スリットを設けず、短冊状になるようにパターニングを行う。
以下、青カラーフィルタ列60を形成する工程をより詳細に説明する。
図5は、青カラーフィルタ列60を形成する際の製造工程を説明するための図であり、図3のカラーフィルタ基板50のA―A’に対応する部分を矢印71方向から観察した図である。比較のために、従来の青カラーフィルタ列20を形成する際の製造工程を説明するための図を図6に示す。
ローラ34を用い、青カラーフィルタ列60用のドライフィルム60Dを透明基板14上に押圧しながら貼り合わせ、フィルム支持体60Sを剥離し、青カラーフィルタ列60用の感光性樹脂層60Rを基板14上に転写する。ドライフィルム60Dは、矢印71方向(第2方向)に押圧しながら貼り合わせる。
基板14に青カラーフィルタ列60用のドライフィルム60Dを貼り合わせる際、青カラーフィルタ列60を形成する領域以外は既に他のカラーフィルタ列56、58が形成されている。
従来は、図6に示すように、赤カラーフィルタ列16および緑カラーフィルタ列18を1つの短冊状のカラーフィルタ部で形成していたため、すなわち、赤カラーフィルタ列16および緑カラーフィルタ列18がスリットを有していなかったため、青カラーフィルタ列20を形成する領域は、先に形成された赤カラーフィルタ列16および緑カラーフィルタ列18によって包囲されていた。したがって青カラーフィルタ列20用のドライフィルム20Dを押圧しながら貼り合わせるときに、赤カラーフィルタ列16および緑カラーフィルタ列18が障壁となって、基板14と上記ドライフィルム20Dとの間に存在する気泡を外部に逃がすことができなかった。気泡が存在すると、その部分は感光性樹脂層が載らないため、色抜け欠陥が生じていた。
これに対して本実施形態では、赤カラーフィルタ列56および緑カラーフィルタ列58が、それぞれ、互いに接続されたスリット56Sおよび58Sを備えている。また、これらのスリット56Sおよび58Sは、青カラーフィルタ列を形成する領域と接続されており、青カラーフィルタ列用のドライフィルム60Dの貼り合わせ方向と平行な方向に延びている。
したがって、図5に示すように、青カラーフィルタ列用のドライフィルム60Dを第2方向71から貼り合わせる際に、スリット56Sおよび58Sを通じて、ドライフィルムの貼り合わせ方向の下流側から上流側に向かって、上記気泡を外部に逃がすことができる。このため、最終的に得られる青カラーフィルタ列60と基板との間に気泡が残るのを抑
制できる。
ドライフィルム60Dを貼り合わせた後、パターニングを行う。スリットを設けず、1つの短冊形状となるように青カラーフィルタ列60を形成する。
なお図3に示すカラーフィルタ基板では、最後に形成されるカラーフィルタ列を形成する領域の両側に、スリットを有するカラーフィルタ列が形成されているので、ドライフィルムの貼り合わせ方向は、カラーフィルタ列の延びる方向70と直交する2つの方向(矢印71aと71b方向)のいずれでもよい。
青カラーフィルタ列をパターニングする工程で、図3に示すように、赤カラーフィルタ列56のスリット56Sおよび緑カラーフィルタ列58のスリット58Sにも青色樹脂層60Rを設け、ダミーカラーフィルタ部60aを形成することが好ましい。スリット56S、58S内に青色樹脂層60Rが存在している方が、樹脂層が全く設けられない場合に比べて、色抜けが視認されにくいという利点がある。特に青色、赤色および緑色樹脂層の中で、青色樹脂層60Rは最も視感度が低いので、青色樹脂層60Rでダミー着色部を形成することが好ましい。
なお、最後に形成される青カラーフィルタ列60をパターニングする工程では、基板14の背面側から露光(背面露光)することが好ましい。緑カラーフィルタ列58および赤カラーフィルタ列56に対して自己整合的にパターニングできるので、基板の表側からマスクを用いて露光した場合に生じ得るパターンずれを防ぎ、アライメントずれなしに高い精度でパターニングでき、色抜けをなくすことができる。
マスク74を用いて基板の表側から露光してパターニングする場合、マスクと基板とのズレが生じたときに色抜けが生じることのないように、アライメントズレに対するマージンの確保のため、各カラーフィルタ列のエッジを互いに重ねるように形成しても良い。
以上説明したように着色層62を形成する。この後、公知の方法を用い、必要に応じて保護膜、対向電極、および配向膜等を形成し、カラーフィルタ基板50が作製される。
本実施形態のカラーフィルタ基板50は、液晶表示装置を構成するために用いることができる。図7は、カラーフィルタ基板50を用いて構成された液晶表示装置200の断面図である。図7に示すカラーフィルタ基板50は、図3のカラーフィルタ基板50のA−A'に対応する断面を示している。
液晶表示装置200は、カラーフィルタ基板50と、カラーフィルタ基板50に対向するように配置されたアクティブマトリクス基板2と、両基板の間に配置された液晶層6とを有している。液晶表示装置200は公知の方法を用いて作製可能である。
液晶表示装置200を構成する場合、カラーフィルタ基板50のスリット56S、58S(あるいはダミーカラーフィルタ部60a)を、アクティブマトリクス基板2のゲートバスラインや補助容量配線などの遮光性を有する配線11と対向する位置に設けることが望ましい。補助容量配線は、例えば、第1方向70に隣接する2本のゲートバスラインの間に設けられる。なお、図7に示すアクティブマトリクス基板2は、簡単のために、配線11以外の構成要素を省略して示している。
スリット56S、58Sを配線11と対向する位置に設けることにより、仮に気泡による色抜けがスリット上で発生したとしても配線11によって遮光されるので、視認されにくく、表示品位の劣化を回避できる。
スリット56S、58Sは、例えば、全てのゲートバスラインまたは全ての補助容量配線に対応するように設けられてもよいし、全てのゲートバスラインと全ての補助容量信号線とに対応するように設けられてもよい。あるいは、第1方向70に隣接する2本のゲートバスラインおよびそれらの間に配置された補助容量配線のうちの1つの配線に対応するように設けられてもよい。ただし、上述したように、1つのカラーフィルタ列に設けられるスリットの隣接間隔(第1方向70)を1000μm以下にすることが好ましい。
図8は、隣り合うカラーフィルタ列の間のそれぞれに遮光列を有し、全てのカラーフィルタ列を形成した後で、最後にドライフィルム法で遮光列が形成されるカラーフィルタ基板52の構成を示す。以下、図8を参照しながら、カラーフィルタ基板52の構成および製造方法を説明する。
カラーフィルタ基板52の着色層63は、赤カラーフィルタ列56、緑カラーフィルタ列58、青カラーフィルタ列60および遮光列80を有しており、赤カラーフィルタ列56、遮光列80、緑カラーフィルタ列58、遮光列80、青カラーフィルタ列60、遮光列80の順に、着色列の延びる方向に直交する第2方向71に巡回的に配列されている。赤、青および緑カラーフィルタ列は、それぞれ、画素の列に対応して配列されている。遮光列80は、例えば、アクティブマトリクス基板2と組みあわせて液晶表示装置を構成した場合に、アクティブマトリクス基板2のソースバスライン10(図10参照)と対向する位置に設けられている。遮光列80の幅(第2方向71)は、各カラーフィルタ列56、58、60の幅よりも小さく、例えば、カラーフィルタ列56、58、60の幅が82μmである場合、遮光列80の幅は17μmである。赤カラーフィルタ列56、緑カラーフィルタ列58、青カラーフィルタ列60および遮光列80の全ては、この順にドライフィルム法を用いて形成される。
カラーフィルタ基板52では、全ての着色列の中で最後に形成される遮光列80以外の着色列、すなわち、赤カラーフィルタ列56、緑カラーフィルタ列58および青カラーフィルタ列60が、それぞれ、間隙(スリット)56S、58Sおよび60Sを挟んで配置された複数のカラーフィルタ部を含んでいる。スリット56S、58Sおよび60Sは、遮光列80を挟んで第2方向71に延びるように互いに接続されて形成されている。このため、遮光列80を形成する際に、ドライフィルムを第2方向71に貼り合わせた場合、ドライフィルムと基板14との間の気泡をスリット56S、58Sおよび60Sを通じて逃がすことができる。
スリット56S、58Sおよび60Sには、遮光列80を形成するための黒色樹脂層が設けられており、ダミー遮光部80aを形成している。ダミー遮光部80aは、アクティブマトリクス基板のゲートバスラインや補助容量配線などの遮光性を有する配線に対応するように配置されることが好ましい。
カラーフィルタ基板52の赤カラーフィルタ列56、緑カラーフィルタ列58および青カラーフィルタ列60を形成するには、図3に示したカラーフィルタ基板50のカラーフィルタ列56、58と同様に、各カラーフィルタ列用のドライフィルムを基板14上に押圧しながら第2方向71に貼り合わせた後、パターニングを行う。図8に示すように、遮光列80を形成する領域を挟んで、スリット56S、58Sおよび60Sが互いに接続されるようにパターニングを行う。
赤カラーフィルタ列56を形成した後、緑カラーフィルタ列58を形成する工程では、ドライフィルムを第2方向71から基板14上に貼り合わせる際に、青カラーフィルタ列60および遮光列80が形成される領域とスリット56Sとを通じて気泡を逃がすことが
できるので、緑カラーフィルタ列58と基板との間に気泡が残るのを抑制できる。また、緑カラーフィルタ列58を形成した後、青カラーフィルタ列60を形成する工程では、ドライフィルムを第2方向71から基板14上に貼り合わせる際に、遮光列80が形成される領域とスリット56S、58Sとを通じて気泡を逃がすことができるので、青カラーフィルタ列60と基板との間に気泡が残るのを抑制できる。
全てのカラーフィルタ列56、58および60を形成した後、ドライフィルムを用いて遮光列80を形成する。
基板14に遮光列80用のドライフィルムを貼り合わせる際に、遮光列80を形成する領域以外は既にカラーフィルタ列56、58、60が形成されているが、各カラーフィルタ列は、遮光列を形成する領域を挟んで互いに接続されたスリット56S、58S、60Sを備えているので、第2方向71に遮光列用のドライフィルムを貼り合わせた場合、上記スリットを通じて気泡を逃がすことができる。したがって、遮光列80と基板との間に気泡が残るのを抑制できる。この後、1つの短冊形状となるようにパターニングを行い、遮光列80を形成する。
遮光列80にパターニング工程において、赤カラーフィルタ列56のスリット56Sおよび緑カラーフィルタ列58のスリット58Sに黒色樹脂層を設け、ダミー遮光部80aを形成する。スリット56S、58S内に黒色樹脂層80aが存在している方が、樹脂層が全く設けられない場合に比べて、光漏れが視認されにくいという利点がある。
なお、遮光列80をパターニングする工程では、基板14の背面側から露光(背面露光)することが好ましい。
マスク74を用いて基板の表側から露光してパターニングする場合、マスクと基板とのズレが生じたときに色抜けが生じることのないように、アライメントズレに対するマージンの確保のため、各カラーフィルタ列と遮光列とのエッジを互いに重ねるように形成しても良い。
図9は、遮光列を形成した後にカラーフィルタ列が形成されるカラーフィルタ基板54の着色層64の構成を示す。カラーフィルタ基板54は、基本的には、着色列の形成を遮光列90、赤カラーフィルタ列56、緑カラーフィルタ列58、青カラーフィルタ列60の順で行う点以外は、カラーフィルタ基板52と同様の方法で作製可能である。
カラーフィルタ基板54では、全ての着色列の中で最後に形成される青カラーフィルタ列60以外の着色列、すなわち、遮光列90、赤カラーフィルタ列56、および緑カラーフィルタ列58が、それぞれ、間隙(スリット)90S、56S、および58Sを有している。スリット56S、58Sおよび90Sは、青カラーフィルタ列60を挟んで第2方向71に延びるように互いに接続されて形成されている。
スリット56S、58Sおよび90Sを設けることにより、遮光列90を形成した後、赤カラーフィルタ列、緑カラーフィルタ列58、および青カラーフィルタ列60を形成する際に、ドライフィルムを第2方向71に貼り合わせる過程で、赤カラーフィルタ列、緑カラーフィルタ列58、および青カラーフィルタ列60となる領域に気泡が残存するのを防止できる。