JP4415367B2 - Method of forming quartz glass - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、グラファイト製モールド内に石英ガラスを収容して加熱しつつ、加圧して均質な石英ガラスを所定形状に成形するための成形方法、特に、グラファイト製モールドと石英ガラスとの離型性等を向上させた成形方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、IC、LSI等の集積回路パターン転写には、主に投影露光装置(または光リソグラフィ装置)が用いられている。この装置に用いられる投影光学系には、集積回路の高集積化に伴い、広い露光領域と、その露光領域全体にわたって、より高い解像力が要求される。投影光学系の解像力の向上については、露光波長をより短くするか、あるいは投影光学系の開口数(NA)を大きくすることが行われる。
【0003】
露光波長については、g線(436nm)からi線(365nm)、KrF(248nm)やArF(193nm)エキシマレーザーへと短波長化が進められている。また、更に高集積化を進めるに当たって、現在、F2(157nm)エキシマレーザ,X線,電子線を光源に用いる方法が検討されている。この中で、これまでの設計思想を生かして作製することが可能なF2エキシマレーザを用いた縮小投影露光装置がにわかに脚光を浴びてきている。
【0004】
一般に、i線より長波長の光源を用いた縮小投影露光装置の照明光学系あるいは投影光学系のレンズ部材として用いられる光学ガラスは、i線よりも短い波長領域では光透過率が急激に低下し、特に250nm以下の波長領域ではほとんどの光学ガラスでは透過しなくなる。そのため、エキシマレーザを光源とした縮小投影露光装置の光学系を構成するレンズの材料には、石英ガラスとフッ化カルシウム結晶のみが使用可能である。この2つの材料はエキシマレーザの結像光学系で色収差補正を行う上で不可欠な材料である。
【0005】
縮小投影露光装置でウェハー上に回路を焼き付けるためのもう一つの重要な要素としてレチクルが挙げられる。このレチクルに用いられる材料としては、エキシマレーザ耐久性はもとより、基板の発熱による熱膨張が大きな問題になるため、耐久性が良好でなおかつ熱膨張係数の小さい、直接法と呼ばれる方法(火炎加水分解により透明石英ガラスを製造する方法)で合成された石英ガラスが用いられている。
【0006】
直接法では、石英ガラス製バーナにて支燃性ガス(酸素含有ガス、例えば酸素ガス)及び可燃性ガス(水素含有ガス、例えば水素ガスあるいは天然ガス)を混合・燃焼させ、前記バーナの中心部から原料ガスとして高純度のケイ素化合物(例えば、四塩化ケイ素ガス)をキャリアガス(通常酸素ガス)で希釈して噴出させ、前記原料ガスを周囲の前記酸素ガス及び水素ガスの燃焼により反応(加水分解反応)させて石英ガラス微粒子を発生させ、その前記石英ガラス微粒子を、前記バーナ下方に配置され、回転および揺動および引き下げ運動を行う不透明石英ガラス板からなるターゲット上に堆積させ、同時に前記酸素ガス及び水素ガスの燃焼熱により溶融・ガラス化して石英ガラスインゴットを得ている。
【0007】
この方法によると、比較的大きな径の石英ガラスインゴットを得易いため、インゴットからブロックを切り出して所望の形状,大きさの光学部材を製造することができる。
【0008】
また、近年、大型のレンズやレチクル、或いは大型の液晶ディスプレイ等、広い面積の面を有する光学部材を得るため、予め形成されたインゴット等の石英ガラス塊を加熱加圧成形することにより扁平形状にして面積を拡大する成形方法が利用されている。
【0009】
この成形方法では、石英ガラス塊をモールド内に収容して加熱した状態で、加圧板により加圧することにより成形を行い、その後モールド内で徐冷したり、更にアニール処理を行い、扁平形状で上下面の面積が拡大された所定形状の成形体を得ることができる。
【0010】
このような加熱加圧成形を行うものとして、例えば、グラファイト製のモールド内で、絶対圧が 0.1Torr以上大気圧以下のヘリウムガス雰囲気下に、1700℃以上の温度に加熱加圧成形し、ついで1100〜1300℃まで急冷する方法が知られている。また、石英ガラスとモールドの型材との熱膨張率差に起因する応力を緩和する構造を有するグラファイト製のモールドを用いて1600℃〜1700℃で加圧成形する方法(下記、特許文献1参照。)や、そのグラファイト製のモールドが2分割以上の縦型構造である成型装置が提案されている(下記、特許文献2及び3参照。)。更には、黒鉛製のモールド内面に石英粉末からなる被覆層を設けて、1550℃〜1700℃で加圧成形する方法(下記、特許文献4参照。)も知られている。
【0011】
【特許文献1】
特公平4−54626号公報。
【0012】
【特許文献2】
特開昭56−129621号公報。
【0013】
【特許文献3】
特開昭57−67031号公報。
【0014】
【特許文献4】
特開2002−22020号公報。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の石英ガラスの成形方法では、石英ガラスをグラファイト製モールドにて加熱加圧成形処理を行う場合、熱膨張係数が大きいグラファイト製モールドの内部に同係数が小さい石英ガラスが配置されており、高温での成形後、同モールドと成形後の石英ガラスとは実質的に隙間が無い状態となり、室温まで温度を下げることにより、石英ガラスと比べて熱膨張係数が一桁大きいグラファイト製モールドの方がより大きく収縮するため、この発生する石英ガラスとグラファイトの収縮量の差を逃がす必要がある。収縮量の差を逃しきれない場合には、石英ガラス及びグラファイト製モールドに不必要な応力が加わり、処理した石英ガラスのひび割れや、グラファイト製モールドの破損を招くことがある。特に、屈折率を変化させるような成分を混入させた場合、熱膨張係数の他に粘性もかなり異なってくることから、通常の石英ガラス以上にひび割れ等が発生し易い。
【0016】
また、上記の熱膨張係数の差に起因する不都合に加えて、石英ガラスは高温になるとグラファイト製モールドと反応して炭化ケイ素をつくると共に、1400℃〜1600℃程度では結晶化が起こる。そのため、処理後の石英ガラスの表面は、処理温度によっては表面に凸凹が生じ、そこから亀裂が生じることもあった。
【0017】
さらには、石英ガラスとグラファイト製モールドが反応して融着し、モールドはおろか被処理物(石英ガラス)までも破損してしまうことがあった。
【0018】
そこで、この発明は、石英ガラスやグラファイト製モールドの損傷を防止すると共に、石英ガラスとグラファイト製モールドとの反応を防止する石英ガラスの熱間成形方法を提供することを課題としている。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題について鋭意検討を行った結果、以下のようにすれば解決できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0021】
すなわち、請求項1に記載の発明は、グラファイト製モールド内に石英ガラスを収容して、該石英ガラスを加熱加圧することにより、所望の形状に成形する方法において、前記グラファイト製モールドの内壁面に、カーボン粒子を主な固形成分とする懸濁液を塗布し、乾燥後、SiC粒子を主な固形成分とする懸濁液を塗布して乾燥させて離型層を形成し、次いで、前記グラファイト製モールド内に前記石英ガラスを収容して加熱加圧する石英ガラスの成形方法としたことを特徴とする。
【0022】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の成形方法において、前記離型層のカーボン粒子の層とSiC粒子の層との厚さがそれぞれ30μm〜1000μmであることを特徴とする。
【0023】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の成形方法において、前記カーボン粒子とSiC粒子の平均粒子径がそれぞれ0.01μm〜100μmであることを特徴とする。
【0024】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れか一つに記載の成形方法において、前記カーボン粒子の層と前記SiC粒子の層とが二重構造、又は、前記カーボン粒子と前記SiC粒子とが混在した層になっていることを特徴とする。
【0025】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れか一つに記載の成形方法において、前記グラファイト製モールド内の離型層を真空雰囲気中、又は、塩素含有ガス雰囲気中での熱処理によって純化処理を行うことを特徴とする。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について説明する。
【0028】
図1は、この実施の形態の成形装置10を示す。
【0029】
この成形装置10は、四塩化ケイ素、シラン、有機ケイ素等のケイ素化合物を原料として製造される合成石英ガラスのインゴットやその一部、又は、Ge、Ti、B、F、Al等の屈折率を変化させる成分を添加した合成石英ガラスのインゴットやその一部等の石英ガラス塊から、例えば、大型の液晶用マスク、半導体用マスク等のレチクル(フォトマスク)用基板、結像光学系の大型のレンズ材料などのように広い面を有する板状体やその他の大型ガラスブロックを成形するための装置である。
【0030】
この成形装置10は、金属製の真空チャンバー11の内壁に、全面にわたって設けられた断熱材12と、断熱材12の縦壁内に設けられたカーボンヒータ13とを有し、更に、真空チャンバー11内部の略中央部に、中空部21を有するグラファイト製モールド15(以下「モールド15」という)が収容されている。
【0031】
このモールド15は、底板16及び受板17を備えた底部18と、この底部18の上側に四角筒状に形成された側壁部20とを備え、この筒状の側壁部20と底部18とにより中空部21が形成されている。
【0032】
この中空部21内には、この中空部21の形状に対応する形状の天板23が配置され、天板23の押圧面23b(上面)を、真空チャンバー11の外部に配設されたプレス装置としての油圧シリンダのシリンダロッド26で押圧することにより、モールド15の底部18側に移動可能となっている。
【0033】
なお、このシリンダロッド26を備えた油圧シリンダは、外部から供給する油圧を調整することにより加圧されて移動するように構成されているが、詳細な図示は省略されている。
【0034】
これらのモールド15及び天板23は、塊状の石英ガラス25の成形時における温度及び圧力に対する耐熱性及び強度を有し、且つ、成形時に塊状の石英ガラス25と接触しても不純物を混入し難い材料から形成されており、ここでは全てグラファイトにより形成されている。
【0035】
そして、そのモールド15の内壁面15a及び天板23の加圧面23a(下面)には、離型層27が設けられている。この離型層27は、カーボン粒子を主な固形成分とする懸濁液を塗布し、乾燥後、更にSiC粒子を主な固形成分とする懸濁液を塗布して乾燥させることにより成形されている。
【0036】
ここで、カーボン粒子やSiC粒子を懸濁液とする際の溶媒の種類は、塗布後の乾燥や取扱い易さなどの理由で、アルコール系のものが望ましく、この実施の形態ではエチルアルコールを使用している。このエチルアルコールにカーボン粒子又はSiC粒子を分散させて刷毛で塗って塗布する。なお、SiC粒子は結晶系がβ形を使用するのが望ましい。
【0037】
次に、成形装置10を用いて塊状の石英ガラス25を所定の形状の成形する場合について説明する。
【0038】
まず、真空チャンバー11内に配置されたモールド15の内壁面に、カーボン粒子を主な固形成分とする懸濁液を塗布し、乾燥後、更にSiC粒子を主な固形成分とする懸濁液を塗布して乾燥させて離型層27を形成する。
【0039】
このようにカーボン粒子を主な固形成分とする懸濁液を塗布し、乾燥後、更にSiC粒子を主な固形成分とする懸濁液を塗布するようにしたため、SiC粒子を主な固形成分とする懸濁液を塗布し易い。カーボン粒子を主な固形成分とする懸濁液が未乾燥の状態で、SiC粒子を主な固形成分とする懸濁液を塗ろうとすると、部分的にカーボン粒子が剥がれる傾向がある。
【0040】
この離型層27は、カーボン粒子とSiC粒子の平均粒子径がそれぞれ0.01μm〜100μmであると共に、カーボン粒子層とSiC粒子層の厚さがそれぞれ30μm〜1000μmで、二重構造に形成されている。なお、カーボン粒子とSiC粒子とが混在した層とすることもできる。
【0041】
このように離型層27を成形した後、モールド15内の純化処理を行う。この純化処理には、2種類あり、その一つは、真空雰囲気中で加熱(1000℃〜2000℃)して、不純物を蒸発させて除去する方法と、塩素含有ガス雰囲気中で加熱して塩素と金属不純物とを反応させて蒸発させて除去する方法がある。
【0042】
その後、モールド15の中空部21内に塊状の石英ガラス25を配置する。この実施の形態では、塊状の石英ガラス25として合成石英ガラスインゴットを用いており、リードタイムの短縮化のために、モールド15の中空部21に収容する前に、予め300℃未満の温度で予熱している。
【0043】
次いで、中空部21内に収容した塊状の石英ガラス25の上部に天板23を配置し、更に、天板23の押圧面23bに油圧シリンダのシリンダロッド26の押圧部位26aを当接させてセットする。そして、真空チャンバー11内を不活性ガスで置換し、真空チャンバー11内の圧力を、所定の圧力とする。
【0044】
次に、カーボンヒータ13により、モールド15及びその中空部21に収容された塊状の石英ガラス25を加熱する。
【0045】
また、この成形に際しては、塊状の石英ガラス25の全体の温度を、結晶化温度以上軟化点以下に昇温するのが好ましいが、成形の開始段階で、塊状の石英ガラス25の頂部25a付近を加圧する時点では、少なくとも頂部25a側が、成形温度に到達していればよい。
【0046】
そして、このように塊状の石英ガラス25を加熱した状態で、油圧シリンダへの油圧を制御調整することにより、シリンダロッド26を下方へ移動させて、シリンダロッド26の押圧部位26aで天板23の押圧面23bを押圧する。これにより、天板23がモールド15の底部18側の加圧方向へ移動し、天板23の加圧面23aと底部18との間で塊状の石英ガラス25が加圧される。
【0047】
石英ガラス25が所定形状に成形された段階で、天板23による加圧を終了する。その後、板状に成形された石英ガラス25を、モールド15内に配置した状態のままで冷却し、そして、モールド15から石英ガラス25を取り出すことにより成形が完了する。
【0048】
以上のようにして、塊状の石英ガラス25を扁平形状に成形すれば、カーボン粒子により、離型性が向上することから、冷却時のモールド15と石英ガラス25との間に収縮量の差が発生しても、モールド15の離型層27と石英ガラス25との間で相対移動を生じさせ易いことから、収縮量の差を逃がすことができる。
【0049】
従って、石英ガラス25及びモールド15に不必要な応力が加わることなく、処理した石英ガラス25のひび割れや、モールド15の破損を防止することができる。特に、屈折率を変化させるような成分を混入させ、粘性が低い場合でも、石英ガラス25のひび割れ等を効果的に防止することができる。
【0050】
また、SiC粒子により、モールド15の酸化を防止でき、モールド15の汚染防止を図ることができると共に、モールド15と石英ガラス25との反応を防止することができ、石英ガラス25への浸炭防止を図り、変質層が縮小され、品質良好部分の拡大が図られる。従って、処理後の石英ガラス25は、表面に凸凹が生じることなく、亀裂の発生も防止できる。
【0051】
しかも、離型層27を設けることにより、石英ガラス25とモールド15とが反応して融着するのを防止できるため、モールド15や石英ガラス25の破損を防止することができる。
【0052】
【実施例】
以下、実施例について説明する。
【0053】
[実施例]
合成された合成石英ガラスインゴットを所定の形状に加工した後、上記成形装置10を用いて表1の実施例1〜4に示すような条件で処理を行った。この際の昇温速度は600℃/hrである。また、表2には、その処理により得られた石英ガラス25の特性を示した。
【0054】
すなわち、表1に示すように、実施例1〜4は、剥離層27の塗布剤がカーボン粒子(C)及びSiC粒子の2種類である。そして、実施例1では、カーボン粒子径が0.1μm、SiC粒子径が0.1μm、構造が二重構造(カーボン粒子層とSiC粒子層との二重構造)、真空中で純化処理されたものである。
【0055】
実施例2は、カーボン粒子径が10μm、SiC粒子径が1μm、構造が二重構造、Cl2ガス中で純化処理されたものである。
【0056】
実施例3は、カーボン粒子径が0.01μm、SiC粒子径が0.01μm、構造が混在構造(カーボン粒子とSiC粒子とが混在した層)、真空中で純化処理されたものである。
【0057】
実施例4は、カーボン粒子径が1μm、SiC粒子径が10μm、構造が混在構造、Cl2ガス中で純化処理されたものである。
【0058】
[比較例]
合成された合成石英ガラスインゴットを所定の形状に加工し、表1の比較例1〜4に示すような条件で処理を行った。表2には、その処理により得られた石英ガラスの特性を示した。
すなわち、表1に示すように、比較例1〜4では、塗布剤がカーボン粒子又はSiC粒子の何れか一方で、両方が塗布されたものはない。
【0059】
比較例1は、カーボン粒子径が1μm、SiC粒子は存在せず、純化処理もされていないものである。
【0060】
比較例2は、カーボン粒子は存在せず、SiC粒子径が10μm、純化処理もされていないものである。
【0061】
比較例3は、カーボン粒子径が0.1μm、SiC粒子は存在せず、真空中で純化処理されたものである。
【0062】
比較例4は、カーボン粒子は存在せず、SiC粒子径が0.1μm、真空中で純化処理されたものである。
【0063】
ここで、表2に基づいて、実施例1〜4と比較例1〜4とを比較すると、実施例1〜4では透過率分布(Δn)の数値が全体的に小さいのに対し、比較例1〜4では透過率分布(Δn)の数値が全体的に大きい。
【0064】
実施例1〜4では複屈折率の数値が全体的に小さいのに対し、比較例1〜4では複屈折率の数値が全体的に大きい。
【0065】
実施例1〜4では透過率が99.5%/cm〜99.7%/cmの範囲であるのに対し、比較例1〜4では透過率が99.0%/cm〜99.4%/cmの範囲であり、実施例1〜4の方が、比較例1〜4より透過率が良好であることが分かる。
【0066】
実施例1〜4では耐久性がすべて良いのに対し、比較例1〜4では耐久性がすべて悪い結果が出た。
【0067】
実施例1〜4では、外周からの変質層の厚さが、5mm〜10mmの範囲であるのに対し、比較例1〜4では外周からの変質層の厚さが、15mm〜25mmの範囲であり、実施例1〜4の方が、比較例1〜4より、外周からの変質層の厚さが薄いことが分かる。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【0070】
【発明の効果】
以上説明してきたように、各請求項に記載の発明によれば、グラファイト製モールドの内壁面に、カーボン粒子を主な固形成分とする懸濁液を塗布し、乾燥後、SiC粒子を主な固形成分とする懸濁液を塗布して乾燥させて離型層を形成したため、石英ガラスやグラファイト製モールドの損傷を防止すると共に、石英ガラスとグラファイト製モールドとの反応を防止することができる。これにより、四塩化ケイ素,シラン,有機ケイ素等のケイ素化合物を原料として製造される合成石英ガラス、またはGe,Ti,B,F,Al等の屈折率を変化させる成分を添加した合成石英ガラスを加熱加圧成形してレチクル(フォトマスク)基板や結像光学系のレンズ材料に適する大型ガラスブロックを歩留まりよく製造することができる。
【0071】
また、カーボン粒子を主な固形成分とする懸濁液を塗布し、乾燥後、更にSiC粒子を主な固形成分とする懸濁液を塗布するようにしたため、部分的にカーボン粒子が剥がれることなく、SiC粒子を主な固形成分とする懸濁液を塗布し易い。
【0072】
請求項5に記載の発明によれば、グラファイト製モールド内の離型層を真空雰囲気中もしくは塩素含有ガス雰囲気中での熱処理によって純化処理を行うことにより、石英ガラス中への不純物の拡散が微小に抑えられ、品質の良好な部分を拡大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態の成形装置の一部を示す概略縦断面図である。
【符号の説明】
10 成形装置
11 真空チャンバ
13 カーボンヒータ
15 グラファイト製モールド
23 天板
25 石英ガラス
26 シリンダロッド
27 離型層[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention, while heating houses the quartz glass into a graphite mold made, molding of how to be molded into a predetermined shape homogeneous silica glass pressurized, in particular, release of the graphite mold and the quartz glass those concerning the molding how having improved sexual like.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, projection exposure apparatuses (or photolithography apparatuses) are mainly used for transferring integrated circuit patterns such as ICs and LSIs. The projection optical system used in this apparatus is required to have a higher exposure power over a wide exposure area and the entire exposure area as the integrated circuit is highly integrated. In order to improve the resolution of the projection optical system, the exposure wavelength is shortened or the numerical aperture (NA) of the projection optical system is increased.
[0003]
As for the exposure wavelength, the wavelength is being shortened from g-line (436 nm) to i-line (365 nm), KrF (248 nm), and ArF (193 nm) excimer laser. In order to further increase the integration, a method of using an F 2 (157 nm) excimer laser, an X-ray, and an electron beam as a light source is currently being studied. Among them, a reduction projection exposure apparatus using an F 2 excimer laser that can be manufactured by making use of the design concept so far has been attracting attention.
[0004]
In general, optical glass used as a lens member of an illumination optical system or a projection optical system of a reduction projection exposure apparatus using a light source having a wavelength longer than that of i-line has a light transmittance drastically decreased in a wavelength region shorter than that of i-line. In particular, most optical glasses do not transmit light in the wavelength region of 250 nm or less. Therefore, only quartz glass and calcium fluoride crystals can be used as the material of the lens constituting the optical system of the reduction projection exposure apparatus using an excimer laser as a light source. These two materials are indispensable materials for correcting chromatic aberration in the excimer laser imaging optical system.
[0005]
Another important element for printing a circuit on a wafer with a reduction projection exposure apparatus is a reticle. As a material used for this reticle, not only excimer laser durability but also thermal expansion due to heat generation of the substrate becomes a big problem. Therefore, a method called a direct method (flame hydrolysis, which has good durability and low thermal expansion coefficient). The quartz glass synthesized by the method for producing transparent quartz glass by the above method is used.
[0006]
In the direct method, a combustion supporting gas (oxygen-containing gas, for example, oxygen gas) and a combustible gas (hydrogen-containing gas, for example, hydrogen gas or natural gas) are mixed and burned in a quartz glass burner, and the center of the burner is mixed. A high-purity silicon compound (for example, silicon tetrachloride gas) is diluted as a raw material gas with a carrier gas (usually oxygen gas) and ejected, and the raw material gas is reacted (hydrated) by combustion of the surrounding oxygen gas and hydrogen gas. Decomposition silica) to generate quartz glass fine particles, and the quartz glass fine particles are deposited on a target made of an opaque quartz glass plate which is disposed below the burner and performs rotation, swinging and lowering movements, and at the same time, the oxygen Quartz glass ingots are obtained by melting and vitrifying with the combustion heat of gas and hydrogen gas.
[0007]
According to this method, since it is easy to obtain a quartz glass ingot having a relatively large diameter, an optical member having a desired shape and size can be manufactured by cutting out a block from the ingot.
[0008]
In recent years, in order to obtain an optical member having a large area, such as a large lens or reticle, or a large liquid crystal display, a quartz glass lump such as a pre-formed ingot is formed into a flat shape by heating and pressing. Therefore, a molding method for expanding the area is used.
[0009]
In this molding method, a quartz glass lump is accommodated in a mold and heated, and then molded by pressing with a pressure plate. Thereafter, the quartz glass lump is gradually cooled in the mold or further annealed to obtain a flat shape. A molded body having a predetermined shape with an enlarged area of the lower surface can be obtained.
[0010]
As an example of performing such heat-pressure molding, for example, in a graphite mold, heat-pressure molding is performed at a temperature of 1700 ° C. or higher in a helium gas atmosphere having an absolute pressure of 0.1 Torr or more and atmospheric pressure, Next, a method of rapidly cooling to 1100 to 1300 ° C. is known. Also, a method of pressure molding at 1600 ° C. to 1700 ° C. using a graphite mold having a structure that relieves stress caused by a difference in thermal expansion coefficient between quartz glass and a mold mold (see Patent Document 1 below). ) And a molding apparatus in which the graphite mold has a vertical structure with two or more divisions (see Patent Documents 2 and 3 below). Furthermore, a method of forming a coating layer made of quartz powder on the inner surface of a graphite mold and performing pressure molding at 1550 ° C. to 1700 ° C. (see Patent Document 4 below) is also known.
[0011]
[Patent Document 1]
Japanese Patent Publication No. 4-54626.
[0012]
[Patent Document 2]
JP-A-56-129621.
[0013]
[Patent Document 3]
JP-A-57-67031.
[0014]
[Patent Document 4]
Japanese Patent Application Laid-Open No. 2002-22020.
[0015]
[Problems to be solved by the invention]
However, in the conventional method for molding quartz glass, when the quartz glass is heat-pressed in a graphite mold, the quartz glass having the same coefficient is disposed inside the graphite mold having a large thermal expansion coefficient. After molding at a high temperature, the mold and the quartz glass after molding are substantially free of gaps. By lowering the temperature to room temperature, the graphite mold has a thermal expansion coefficient that is an order of magnitude higher than that of quartz glass. Therefore, it is necessary to release the difference in the shrinkage between the generated quartz glass and graphite. If the difference in shrinkage cannot be fully missed, unnecessary stress is applied to the quartz glass and the graphite mold, which may cause cracks in the treated quartz glass and breakage of the graphite mold. In particular, when a component that changes the refractive index is mixed, the viscosity is considerably different in addition to the coefficient of thermal expansion, so that cracks and the like are more likely to occur than in ordinary quartz glass.
[0016]
Moreover, in addition to the above-mentioned inconvenience due to the difference in thermal expansion coefficient, quartz glass reacts with the graphite mold to form silicon carbide at high temperatures, and crystallization occurs at about 1400 ° C to 1600 ° C. For this reason, the surface of the quartz glass after the treatment may have irregularities on the surface depending on the treatment temperature, and cracks may be generated therefrom.
[0017]
Furthermore, the quartz glass and the graphite mold may react and be fused, and the mold may be damaged as well as the workpiece (quartz glass).
[0018]
Accordingly, the invention is to prevent damage to the quartz glass or graphite molds, and aims to provide a hot forming how the quartz glass to prevent the reaction between the quartz glass and graphite mold.
[0019]
[Means for Solving the Problems]
As a result of intensive studies on the above problems, the present inventors have found that the problem can be solved as follows, and have completed the present invention.
[0021]
That is, the invention according to claim 1 is a method in which quartz glass is accommodated in a graphite mold, and the quartz glass is heated and pressed to form a desired shape. Then, a suspension containing carbon particles as a main solid component is applied, dried, and then a suspension containing SiC particles as a main solid component is applied and dried to form a release layer. The method is characterized in that the quartz glass is accommodated in a mold and is heated and pressed.
[0022]
According to a second aspect of the present invention, in the molding method according to the first aspect , the thickness of the carbon particle layer and the SiC particle layer of the release layer is 30 μm to 1000 μm, respectively.
[0023]
According to a third aspect of the present invention, in the molding method according to the first or second aspect , the average particle diameter of the carbon particles and the SiC particles is 0.01 μm to 100 μm, respectively.
[0024]
Invention of Claim 4 is a shaping | molding method as described in any one of Claims 1 thru | or 3. WHEREIN: The layer of the said carbon particle and the layer of the said SiC particle are a double structure, or the said carbon particle and the said It is a layer in which SiC particles are mixed.
[0025]
The invention according to claim 5 is the molding method according to any one of claims 1 to 4 , wherein the release layer in the graphite mold is heat-treated in a vacuum atmosphere or a chlorine-containing gas atmosphere. In this case, the purification process is performed.
[0027]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Embodiments of the present invention will be described below.
[0028]
FIG. 1 shows a
[0029]
This
[0030]
The
[0031]
The
[0032]
In the
[0033]
The hydraulic cylinder provided with the
[0034]
The
[0035]
A
[0036]
Here, the type of the solvent when the suspension of carbon particles or SiC particles is used is preferably an alcohol type for reasons such as drying after coating and ease of handling. In this embodiment, ethyl alcohol is used. is doing. Carbon particles or SiC particles are dispersed in this ethyl alcohol and applied with a brush. In addition, it is desirable for the SiC particles to use a β-type crystal system.
[0037]
Next, a case where the
[0038]
First, a suspension containing carbon particles as a main solid component is applied to the inner wall surface of the
[0039]
Thus, since the suspension which makes a carbon particle a main solid component was apply | coated, and the suspension which makes a SiC particle a main solid component was apply | coated after drying, a SiC particle was made into a main solid component. Easy to apply suspension. If a suspension containing carbon particles as a main solid component is applied in an undried state with a suspension containing carbon particles as a main solid component, the carbon particles tend to partially peel off.
[0040]
The
[0041]
After the
[0042]
Thereafter, a
[0043]
Next, the
[0044]
Next, the
[0045]
In this molding, it is preferable to raise the temperature of the
[0046]
Then, by controlling and adjusting the hydraulic pressure to the hydraulic cylinder in a state where the
[0047]
When the
[0048]
As described above, if the
[0049]
Therefore, it is possible to prevent cracks in the treated
[0050]
Further, the SiC particles can prevent the
[0051]
In addition, since the
[0052]
【Example】
Examples will be described below.
[0053]
[Example]
After the synthesized synthetic quartz glass ingot was processed into a predetermined shape, it was processed using the
[0054]
That is, as shown in Table 1, in Examples 1 to 4, there are two types of coating agents for the release layer 27: carbon particles (C) and SiC particles. In Example 1, the carbon particle diameter was 0.1 μm, the SiC particle diameter was 0.1 μm, the structure was a double structure (a double structure of a carbon particle layer and an SiC particle layer), and purification was performed in vacuum. Is.
[0055]
In Example 2, the carbon particle diameter is 10 μm, the SiC particle diameter is 1 μm, the structure is a double structure, and purification is performed in Cl 2 gas.
[0056]
In Example 3, the carbon particle diameter is 0.01 μm, the SiC particle diameter is 0.01 μm, the structure is a mixed structure (a layer in which carbon particles and SiC particles are mixed), and purification is performed in vacuum.
[0057]
In Example 4, the carbon particle diameter is 1 μm, the SiC particle diameter is 10 μm, the structure is a mixed structure, and purification is performed in Cl 2 gas.
[0058]
[Comparative example]
The synthesized synthetic silica glass ingot was processed into a predetermined shape and processed under the conditions shown in Comparative Examples 1 to 4 in Table 1. Table 2 shows the characteristics of the quartz glass obtained by the treatment.
That is, as shown in Table 1, in Comparative Examples 1 to 4, the coating agent is either carbon particles or SiC particles, but none of them is applied.
[0059]
Comparative Example 1 has a carbon particle diameter of 1 μm, no SiC particles, and no purification treatment.
[0060]
In Comparative Example 2, no carbon particles are present, the SiC particle diameter is 10 μm, and no purification treatment is performed.
[0061]
In Comparative Example 3, the carbon particle diameter was 0.1 μm, no SiC particles were present, and the product was purified in a vacuum.
[0062]
In Comparative Example 4, carbon particles are not present, the SiC particle diameter is 0.1 μm, and purification is performed in a vacuum.
[0063]
Here, when Examples 1-4 and Comparative Examples 1-4 are compared based on Table 2, in Examples 1-4, although the numerical value of the transmittance distribution (Δn) is generally small, the Comparative Example In 1-4, the numerical value of the transmittance distribution (Δn) is large overall.
[0064]
In Examples 1 to 4, the numerical value of the birefringence is generally small, whereas in Comparative Examples 1 to 4, the numerical value of the birefringence is large.
[0065]
In Examples 1 to 4, the transmittance is in the range of 99.5% / cm to 99.7% / cm, whereas in Comparative Examples 1 to 4, the transmittance is 99.0% / cm to 99.4%. It can be seen that the transmittance is better in Examples 1 to 4 than in Comparative Examples 1 to 4.
[0066]
In Examples 1 to 4, all the durability was good, but in Comparative Examples 1 to 4, all the durability was bad.
[0067]
In Examples 1-4, the thickness of the deteriorated layer from the outer periphery is in the range of 5 mm to 10 mm, whereas in Comparative Examples 1-4, the thickness of the deteriorated layer from the outer periphery is in the range of 15 mm to 25 mm. Yes, it can be seen that in Examples 1 to 4, the altered layer from the outer periphery is thinner than Comparative Examples 1 to 4.
[0068]
[Table 1]
[0069]
[Table 2]
[0070]
【The invention's effect】
As described above, according to the invention described in each claim, a suspension containing carbon particles as a main solid component is applied to the inner wall surface of a graphite mold, and after drying , SiC particles are mainly used. Since the release layer is formed by applying and drying the suspension as the solid component, it is possible to prevent damage to the quartz glass and the graphite mold and to prevent reaction between the quartz glass and the graphite mold. As a result, synthetic quartz glass manufactured using silicon compounds such as silicon tetrachloride, silane, and organic silicon as raw materials, or synthetic quartz glass added with components that change the refractive index, such as Ge, Ti, B, F, and Al. A large glass block suitable for a reticle (photomask) substrate or a lens material for an imaging optical system can be manufactured with high yield by heating and pressing.
[0071]
Also , since a suspension containing carbon particles as a main solid component was applied, and after drying, a suspension containing SiC particles as a main solid component was applied, so that the carbon particles were not partially peeled off. It is easy to apply a suspension containing SiC particles as a main solid component.
[0072]
According to the fifth aspect of the present invention, the diffusion layer in the graphite mold is subjected to purification treatment by heat treatment in a vacuum atmosphere or a chlorine-containing gas atmosphere, thereby minimizing impurity diffusion into the quartz glass. Therefore, it is possible to enlarge a portion with good quality.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a schematic longitudinal sectional view showing a part of a molding apparatus according to an embodiment of the present invention.
[Explanation of symbols]
10 Molding equipment
11 Vacuum chamber
13 Carbon heater
15 Graphite mold
23 Top plate
25 quartz glass
26 Cylinder rod
27 Release layer
Claims (5)
前記グラファイト製モールドの内壁面に、カーボン粒子を主な固形成分とする懸濁液を塗布し、乾燥後、SiC粒子を主な固形成分とする懸濁液を塗布して乾燥させて離型層を形成し、次いで、前記グラファイト製モールド内に前記石英ガラスを収容して加熱加圧することを特徴とする石英ガラスの成形方法。In a method of forming quartz glass in a desired shape by housing quartz glass in a graphite mold and heating and pressing the quartz glass,
A suspension containing carbon particles as the main solid component is applied to the inner wall surface of the graphite mold, and after drying , a suspension containing SiC particles as the main solid component is applied and dried to release the release layer. Then , the quartz glass is accommodated in the graphite mold and heated and pressed.
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