JP4413034B2 - 電子レンジ - Google Patents
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Description
また、加熱室内の複数の被加熱物のうち特定位置に載置された被加熱物、あるいは、被加熱物の特定位置に集中的に加熱することが可能となり、被加熱物の温度の低い部分のみを集中加熱して被加熱物全体をより均一に加熱するようにしたり、特定位置に載置された被加熱物のみを他の被加熱物に比べて高温となるように、温度差を設けて加熱できるようになる電子レンジが開示されている(特許文献1参照)。
この電子レンジは、主に被加熱物を収容する加熱室11、加熱室11内で被加熱物を載置する底板12、マイクロ波を発振させるマグネトロン13、マイクロ波の放射方向を調整する回転アンテナ14、マグネトロン13と加熱室11との間を結合してマイクロ波を伝送する導波管15、導波管15から加熱室11にマイクロ波を伝送する給電口16、給電口16に取り付けられる回転アンテナ14の軸受17、同じく給電口16において回転アンテナ14を回転可能に支持する支軸(アンテナ軸)18、回転アンテナ14を回転駆動するモータ19、加熱室前面に設けられるドア20とからなる。
給電口16の直上に設けられている回転アンテナ14は、金属(電気伝導体)で形成され、金属製の支軸18を介してモータ19に連結されている。この回転アンテナ14の形状を図10に示す。回転アンテナ14は、図8、図9に示すように、長方形の平面14aを有し、平面14aを中心に、その周囲を構成する4辺のうちの3辺に折り曲げ部14b、14c、14dが形成されている。この折り曲げ部14b、14c、14dは、下部加熱室11bの底面11cとの距離をマイクロ波の1/8波長より小さくし、狭くしているので、マイクロ波に対して低インピーダンス部として機能し、マイクロ波を遮蔽する。
以後、マイクロ波が放射される部位を放射口と呼ぶ。この例では平面14aの折り曲げられていない端部と下部加熱室11bの底面11cとで挟まれた隙間が放射口14eとなる。回転アンテナ14は、マイクロ波を給電口16から離れた放射口14eから放射させることによって、指向性をもたせている。
また、インピーダンス整合をとることにより、給電口15から加熱室11(下部加熱室11b)側にマイクロ波を効率よく伝送させて放射口14eからのマイクロ波の放射量を多くする必要もある。
このような制約のもとで、さらに指向性についても最適化して均一な加熱ができるようにしなければならず、インピーダンス整合と指向性との双方を同時に満足させるように回転アンテナ14の寸法、形状を定めることは困難であり、加熱室11を設計する上で十分な自由度を得ることができなかった。
また、本発明はインピーダンス整合と指向性の調整とを独立して行うことができる回転アンテナを用いた電子レンジを提供することを目的とする。
また、加熱室中央と加熱室周辺との加熱の均一性の調整を容易に行うことができる回転アンテナを用いた電子レンジを提供することを目的とする。
また、マイクロ波放射部材は長手方向を有する平板で構成され、長手方向がマイクロ波を放射させる方向に一致させてもよい。
また、マイクロ波を放射させる方向の指向性調整部材の先端から支軸までの距離が、同方向のマイクロ波放射部材の先端から支軸までの距離よりも短くなるように形成してもよい。
また、マイクロ波を放射させる方向の指向性調整部材の先端から支軸までの長さがインピーダンス整合条件と無関係に設定されるようにしてもよい。
指向性調整部材は指向性を調整するために用いられる。この指向性調整部材は、インピーダンス整合に影響を及ぼさないし、また、影響を受けることもない。したがって、まずマイクロ波放射部材でインピーダンス整合をとり、その後、指向性調整部材により指向性の調整を行うことにより、インピーダンス整合と指向性とを同時に満足する調整を簡単に行うことができる。
このように、マイクロ波放射部材でインピーダンス整合をとり、指向性調整部材で指向性を調整することにより、インピーダンス整合と指向性調整とを独立して自由に設定することができる。さらに指向性調整部材の寸法、形状を調整することにより、加熱室中央および加熱室周辺で放射されるマイクロ波の分布や割合を変化させることができ、加熱の均一性を調整することができる。
また、マイクロ波を放射させる方向の指向性調整部材の先端から支軸までの長さがインピーダンス整合条件と無関係に設定されるようにしてもよい。
図1は、本発明の一実施形態である電子レンジの構造を示す垂直断面図、図2はその水平断面図である。また、図3は図2におけるC−C*断面図、図4は図2におけるD−D*断面図である。
なお、加熱室11、底板12、マグネトロン13、導波管15、給電口16、軸受17、支軸18、モータ19、ドア20については図6〜図9の従来例で説明したものと同じであるので同符号を付すことにより説明を一部省略する。
加熱室11の隣に配設されるマグネトロン13は、2.45GHzのマイクロ波を発振し、下部のマグネトロンアンテナ13aからマイクロ波が放出される。マグネトロン13は、導波管15の一端に連結され、そのマグネトロンアンテナ13aが導波管15内に入れられている。
インピーダンス整合をとるため、図4に示すように、給電口16(支軸18)の中心からマイクロ波放射部材31の長手方向先端までの水平長さ(L1)と支軸18の垂直方向の長さ(L2)との和(L1+L2)がマイクロ波波長の1/2波長の整数倍となるように、支軸18やマイクロ波放射部材31の寸法が規定されている。
また、指向性調整部材33は、マイクロ波放射部材31の支軸(回転中心)からマイクロ波が放射される位置までの長さを調整するために取り付けられる。すなわち、マイクロ波の放射方向に対し、指向性調整部材33がマイクロ波放射部材31を覆う長さを設計時に調整することにより、マイクロ波放射部材31の支軸(回転中心)からマイクロ波が放射される位置までの長さを調整する。例えば、マイクロ波放射部材31の先端が、指向性調整部材33の先端より短くなるように指向性調整部材33の長さを調整することにより、マイクロ波の放射位置を支軸(回転中心)に近づけることができる。
このとき、指向性調整部材33の長さは、マイクロ波特性によって制約されず、インピーダンス整合条件とは無関係な長さにすることができる。それゆえ、設計時に主な用途として考慮されている食品の加熱室底板に載置される位置に応じて、マイクロ波の放射位置を自由に選択できる。これにより、設計の自由度が確保できることになる。
折り曲げ部33b、33c、33dにより、指向性調整部材33は略長方形のマイクロ波放射部材31の側方(4方向)のうち3方向を囲うようにしてある。
そして折り曲げ部33b、33c、33dを下部加熱室11bの底面11cに近接させることにより低インピーダンス化させ、折り曲げ部33b、33c、33dがマイクロ波を遮蔽する機能を発揮するようにしてある。
ここでは加熱室11内を均一に加熱するためモータ19により回転アンテナ30を回転させながら加熱するものとする。使用者がマイクロ波加熱を開始するために、図示しないスタートスイッチを操作すると、マグネトロン13からマイクロ波が発振され、導波管15内を伝送し、給電口16に至り、ここから加熱室11(下部加熱室11b)に伝送される。
これを換言すれば、辺33eの下にあるマイクロ波放射部材31の長手方向先端に放射口31aがあり、放射口31aからマイクロ波が放射されていることになる。
したがって、加熱室11の中央付近にある給電口16から伝送されるマイクロ波は、回転アンテナ30により、放射口31aの方向に指向性をもたせてマイクロ波の放射が行われることになる。
回転アンテナ30を回転させながら加熱しても十分に均一な加熱ができないときは、指向性調整部材33の寸法や形状を変更することにより、均一性を改善することができる。
すなわち、マイクロ波放射部材31は、その寸法、形状を変化させないようにして、そのままインピーダンス整合がとれた状態にしておく。その一方で、指向性調整部材33の寸法や形状を変化させ、加熱の均一性の改善を図るようにする。
逆に加熱室中央の加熱が弱いときは、加熱室中央での指向性調整部材33が占める面積を小さくして放射口31aから放射されるマイクロ波が回りこみやすいようにする。
図11に示すように、底板12上に9個のビーカーを3行3列となるように配置し(ビーカー中心間の距離80mm)、それぞれのビーカーに水負荷100ccを入れ、マイクロ波出力1000Wで1分30秒加熱した後の温度上昇値を測定した。
表1は、放射口31aを後面側(ドア20と反対側)、表2は左側面側、表3はドア側、表4は右側面側に向けた状態で回転アンテナ30を停止したときの測定結果である。各表の行および列は、図11のビーカーが並ぶ各行1,2,3、各列A,B,Cと対応している。
また、上記実施例では、指向性調整部材33の平面33aの形状を長方形にしたが、長方形に限られず、五角形など多角形にしてもよいし、円形、扇形にしてもよい。平面33aの形状を変化させることにより、加熱室11の中央部分のマイクロ波分布を変化させることができるので、加熱室11の中央部分の温度分布を調整することができる。
また、上記実施例では、回転アンテナ30は加熱室の底面側に設けたが、加熱室側面、加熱室上面に設けることもできる。
11 加熱室
12 底板
13 マグネトロン
15 導波管
16 給電口
17 軸受
18 支軸
19 モータ
30 回転アンテナ
31 マイクロ波放射部材
31a 放射口
32 絶縁物
33 指向性調整部材
33a 平面
33b、33c、33d 折り曲げ部(低インピーダンス部)
Claims (5)
- 非加熱物が収容される加熱室と、マイクロ波を発振するマグネトロンと、加熱室とマグネトロンとの間を結合しマイクロ波を伝送する導波管と、導波管と加熱室とを連結する給電口において支軸により支持される回転アンテナとを備え、
前記回転アンテナは、インピーダンス整合条件を満たすように取り付けられ、加熱室内にマイクロ波を放射させるマイクロ波放射部材と、マイクロ波放射部材に対して電気的に絶縁された状態で取り付けられ、マイクロ波放射部材から放射されるマイクロ波に指向性を与える指向性調整部材とからなり、
マイクロ波放射部材は給電口に対向配置される平板で構成され、指向性調整部材はマイクロ波放射部材の給電口に面する平面とは反対側の平面の周囲を覆うとともにマイクロ波を放射させる方向を除くマイクロ波放射部材の側方の周囲を覆う多面体形状となるように形成されてなることを特徴とする電子レンジ。 - 指向性調整部材はマイクロ波放射部材に対して樹脂またはセラミックからなる絶縁物を介して固着されることを特徴とする請求項1に記載の電子レンジ。
- マイクロ波放射部材は長手方向を有する平板で構成され、長手方向がマイクロ波を放射させる方向に一致させてなることを特徴とする請求項1記載の電子レンジ。
- マイクロ波を放射させる方向の指向性調整部材の先端から支軸までの距離が、同方向のマイクロ波放射部材の先端から支軸までの距離よりも短くなるように形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の電子レンジ。
- マイクロ波を放射させる方向の指向性調整部材の先端から支軸までの長さがインピーダンス整合条件と無関係に設定されることを特徴とする請求項1に記載の電子レンジ。
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