以下、本発明の具体的な内容について実施例を用いて説明する。
(実施例1)
以下、本発明の実施例1について図面を用いて説明する。
図1は本発明の実施例1における情報再生装置の外観を示す斜視図である。
図1において1は情報再生装置であり、少なくとも情報が既に記録された光ディスク(以降記録媒体と呼称する)から情報を読み取る機能を有している。2は再生機構部であり記録媒体上に記録された情報を読取り、再生するためのメカニズムおよびこのメカニズムの動作を制御する回路基板などのハードウェアから構成されている。3はコンパクトフラッシュ(登録商標)カード規格機構部であり、その端部にはコンパクトフラッシュ(登録商標)カード規格に対応するコンパクトフラッシュ(登録商標)カード規格コネクタ4を有している。ユーザはコンパクトフラッシュ(登録商標)カード規格コネクタ4に対応したPDAなどに情報再生装置1を装着して、記録媒体を再生することが可能である。
図2は本発明の実施例1における再生機構部2の外観を示す斜視図である。
図2において5は再生機構部上面カバー、6は再生機構部側面カバーであり、再生機構部上面カバー5は再生機構部2の上面部を構成しており、再生機構部側面カバー6は同側壁部を構成している。再生機構部上面カバー5と再生機構部側面カバー6は同一材料でも良いが互いに異なる材料にしても良く、例えば再生機構部側面カバー6を安価な樹脂材料で構成し、再生機構部上面カバー5を金属材料で構成することが望ましい。このようにすることで再生機構部2の放熱性の向上、電子ノイズの漏洩防止等の効果を安価に得ることができる。更に再生機構部上面カバー5、再生機構部側面カバー6の材料の選択は、熱問題やノイズ問題、或いは要求される機械的強度を満たすべく適宜選択可能である。7は再生機構部2を垂直方向へ上昇させるための金属材料等によって構成された垂直方向ガイド部材である。
図3は本発明の実施例1における再生機構部2の構成を示す斜視図であり、図2における再生機構部2の再生機構部上面カバー5と再生機構部側面カバー6を除去した状態を示すものである。
なお以降の説明では図中の座標空間としてxyz座標系を用いるが、x軸は後に詳細に説明するように光学ユニットを構成するキャリッジの移動方向、即ち記録媒体の内周から外周に向かう軸を示すものであり、その矢印方向は記録媒体の外周方向を示している。またy軸はx軸と直交する軸であり、その矢印方向は後述する光学ユニットに搭載された光源からの光の出射方向を示すものである。またz軸はx軸およびy軸と直交する軸であり、記録媒体の表面に対する法線であり、その矢印方向は後述するアクチュエータに搭載された対物レンズから記録媒体に出射される光の方向を示している。またこれらの軸の矢印方向を+、その逆の方向を−と定義して説明する。
図3において20は再生機構部2のベースとなる再生機構本体部、21は記録媒体に記録された情報を読み取る光学ユニットであり、後に詳細に説明するように、記録媒体の表面に沿って移動可能に設けられ、少なくとも光源と記録媒体によって反射された光源の出射光を受光する受光手段を含むキャリッジと、少なくとも光源から出射された光を記録媒体上に結像させる対物レンズと、この対物レンズを所定の方向に変位する変位手段を含むアクチュエータを有している。本発明はこの光学ユニット21、特に光学ユニット21に含まれるアクチュエータと記録媒体との相対位置関係を精度よく調整するものである。
22は記録媒体を回転駆動するための動力源となるブラシレスモータから成るスピンドルモータ、23は光学ユニット21をx軸の+−方向、即ち記録媒体の内周、外周位置に移動させるためにねじを切られたリードスクリューシャフト、24はリードスクリューシャフト23より光学ユニット21に動力を伝達するラック板ばね、25はその軸上にスリットを設けた円形状の遮蔽板を持つリードスクリューシャフト23に固定されたリードスクリューシャフト歯車、28はリードスクリューシャフト23を回転させる動力源となるフィードモータ、29はモータ28の回転軸に取り付けられたモータ歯車、30はモータを保持するモータ固定部材、31はモータの回転数を計測するために、リードスクリューシャフト23の回転数を計測するフォトインタラプタ、33は光学ユニット21の記録媒体の内周、外周位置への動作を規制、誘導するガイドシャフト、35は再生機構本体部20の上下動を規制し、コンパクトフラッシュ(登録商標)カード規格機構部3の両側に取り付けられた金属製の側面ガイド部材、36はコンパクトフラッシュ(登録商標)カード規格機構部3に再生機構本体部20を係留する側面係留部材、37は側面係留部材36に対して所定の方向に付勢力を付与する側面係留付勢力ばね、38は記録媒体が組み込まれた記録媒体カートリッジを情報再生装置1に着脱する際に、再生機構本体部20を持ち上げる捻りばねで形成された再生機構本体部持ち上げばね、39は側面係留部材36に固定されたスライドボタンである。
図4は本発明の実施例1におけるコンパクトフラッシュ(登録商標)カード規格機構部3の構成を示す斜視図である。
以降図4を用いてコンパクトフラッシュ(登録商標)カード規格機構部3について説明する。図4において51はコンパクトフラッシュ(登録商標)カード規格機構部フレーム、52はコンパクトフラッシュ(登録商標)カード規格機構部フレーム51の上面を覆う金属製の上面カバー、53は上面カバー52に設けられた開口部、60は記録媒体である。実施例1では記録媒体60として直径約30mmの小径光ディスクを採用している。61は記録媒体60を収納する記録媒体カートリッジであり、コンパクトフラッシュ(登録商標)カード規格機構部3に対して着脱可能に構成されている。64は記録媒体60の内周面に設けられた金属リングである。
図5は本発明の実施例1における記録媒体カートリッジ61を情報再生装置1のコンパクトフラッシュ(登録商標)カード規格機構部3に装着する際の状態を示す斜視図である。以降図5に図3と図4を併用して情報再生装置に記録媒体カートリッジ61を装着する過程を詳細に説明する。
まず、記録媒体60を収納する記録媒体カートリッジ61をコンパクトフラッシュ(登録商標)カード規格機構部3に挿入する場合、操作者は側面係留部材36に固定されたスライドボタン39(図3参照)をy軸+方向である方向Aへ移動させる。
方向Aはコンパクトフラッシュ(登録商標)カード規格コネクタ4(図4参照)をPDA等に挿入する方向と一致しており、これにより情報再生装置1がPDA等の携帯機器に接続された状態であってもスライドボタン39の操作により、情報再生装置1がPDA等の携帯機器から脱落するのを防止することができる。
スライドボタン39が方向Aに操作されると、側面係留部材36の爪形状の部位が再生機構本体部20の両側面部に設けられたM部の凸形状部からはずれ、再生機構本体部20の左右2個、計4個取り付けられた再生機構本体部持ち上げばね38がそれぞれB方向、C方向に開き、再生機構本体部20をz軸−方向であるD方向に持ち上げる。実施例1では再生機構本体部持ち上げばね38は捻りばねとしたが圧縮ばねを用いてもよい。
このとき再生機構本体部20は、再生機構本体部20の両側面N部に設けられたボス形状が側面ガイド部材35に設けられた溝部に規制されることにより(図4参照)、再生機構本体部20の上昇位置も規制される。このとき側面ガイド部材35に設けられた溝部を移動する再生機構本体部20の側面に設けられたボス形状N部の下部を再生機構本体部持ち上げばね38の力点となるようにすることにより、再生機構本体部20を垂直方向へ効率的かつ、円滑に持ち上げることができる。側面ガイド部材35は金属材料とすることにより情報再生装置1の全体的な強度を向上させると共に、コンパクトフラッシュ(登録商標)カード規格で設定されているアース機能を持たせることができる。
このように再生機構本体部20が垂直方向に上昇することにより、コンパクトフラッシュ(登録商標)カード規格機構部3の側面にy軸+方向である方向Sに記録媒体カートリッジ61を挿入する挿入口が現れる。情報再生装置1の操作者が記録媒体カートリッジ61を挿入口に挿入すると、挿入された記録媒体カートリッジ61は図示しないカートリッジトレイにガイドされて情報再生装置1のコンパクトフラッシュ(登録商標)カード規格機構部3に収納される。
このとき記録媒体カートリッジ61の挿入に伴って記録媒体カートリッジ61に設けられた図示しないシャッタ部材が開き、記録媒体カートリッジ61に収納された記録媒体60の情報記録面が露出する。再生機構部2内に設けられた光学ユニット21は、この開口部53を介して記録媒体60へアクセスすることができる。
コンパクトフラッシュ(登録商標)カード規格機構部3への記録媒体カートリッジ61の挿入動作が完了すると、操作者によって再生機構部2の上面に加えられたz軸+方向の押圧力に応じて、再生機構部2は下降する。このときスピンドルモータ22(図3参照)の先端に取り付けられた図示しない磁石からなるフランジと記録媒体60(図4参照)に固定された金属リング64(図4参照)が吸着し、記録媒体60はスピンドルモータ22の先端に固定される。
さて金属リング64は記録媒体60の面に接着剤などで固定されているが、この接着面はスピンドルモータ22の配置側とは逆の面となっている。これによってスピンドルモータ22に取り付けられた磁石が直接的に固定された金属リング64を吸着することがないため、例えば経時変化等により記録媒体60に金属リング64を固定する接着剤が劣化しても、スピンドルモータ22に取り付けられた磁石が記録媒体60に取り付けられた金属リング64を抜去することはない。
上述した過程によって、記録媒体60はスピンドルモータ22の回転軸に固定され、光学ユニット21による記録媒体60へのアクセスが可能な状態となる。後に詳細に述べるように、実施例1ではこの状態にてコマ収差等の収差が生じないように、光学ユニット21と記録媒体60の相対位置関係を調整する。従って例えば光学ユニット21に含まれるキャリッジを支持するリードスクリューシャフト23やガイドシャフト33の平行度や、これらとスピンドルモータ22の回転軸上に支持された記録媒体60との平行度、更には光学ユニット内の歪み等に基づいて発生する光学ユニット21と記録媒体60との平行度のずれがあっても、これを確実に調整することが可能となる。
図6は本発明の実施例1における光学ユニット21の構成を示す斜視図である。以降図6に図3、図4を併用して実施例1における光学ユニット21の構成について詳細に説明する。
図6において70は加工精度上有利な例えばアルミニウム等で構成されたキャリッジであり、再生機構本体部20(図3参照)においてL1線上に配置されたリードスクリューシャフト23(図3参照)およびL2線上に配置されたガイドシャフト33(図3参照)によって支持され、後述するようにキャリッジ70には少なくとも光源71と受光センサ72が配置されている。キャリッジ70はx軸+−方向であるL1線上およびL2線上、およびこれらの延長線上をリードスクリューシャフト23(図3参照)の回転に伴ってx軸+−方向に移動し、記録媒体60(図4参照)の内周から外周にかけての所望の位置に光学ユニット21を搬送する。71は例えば波長λ=405nmの青紫色レーザダイオードよりなる光源であり、実施例1では出力=5mWの高出力タイプを採用している。高出力の青紫色レーザを用いることによって、記録密度の高い記録媒体の再生に対応することが可能となる。72は田の字型に区分けされた4つの受光面を有するいわゆる4分割センサからなる受光センサであり、記録媒体60(図4参照)から反射された光を検出し、記録媒体60に記録されたピットよりなるON/OFF情報を出力するとともに、後述する対物レンズ74と記録媒体60(図4参照)のx軸+−方向の微小変位エラー(トラッキングエラー)と同z軸+−方向の微小変位エラー(フォーカスエラー)情報を出力する。
73はキャリッジ70上に配置され、少なくとも後述の対物レンズ74と対物レンズ変位手段75を有するアクチュエータである。アクチュエータ73は後述のように磁気回路の一部を構成するため、鉄あるいはニッケルなど所定の透磁率を有する金属あるいはその合金で構成されている。74は樹脂製の対物レンズでありz軸+方向、即ちL3線上に光源71からの光を導き、かつ記録媒体60(図4参照)の表面に光源71の出射光を結像させ、更にその反射光を受光センサ72に導く。75は対物レンズ変位手段であり、内部に設けた磁気回路によって対物レンズ74をx軸+−方向およびz軸+−方向に変位する。この制御は受光センサ72の出力に基づき図示しない制御回路によって行われ、制御回路は対物レンズ変位手段75を前述のトラッキングエラーとフォーカスエラーをキャンセルする方向に変位させる。
85a、85b、85cはアクチュエータ73の一部に突出部として設けられた調整用部位でありアクチュエータ73の三箇所に設けられている。後に詳細に説明するように情報再生装置の製造過程において、コンパクトフラッシュ(登録商標)カード規格機構部3(図4参照)に記録媒体60を収納した記録媒体カートリッジ61(図4参照)を挿入して再生機構部2(図3参照)を下降させた状態、即ち光学ユニット21によって記録媒体60(図4参照)へのアクセスが可能となった状態で記録媒体60と光学ユニット21の相対位置関係を調整する。
95a、95b、95cは記録媒体60と光学ユニット21を構成するアクチュエータ73の相対位置関係を調整する際に、調整用部位85a、85b、85cと係合されこれを支持するためのアクチュエータ位置調整用支持棒である。
調整過程では図3に示すごとく再生機構部2から再生機構部上面カバー52(図2参照)が取り外された状態(z軸−方向から同+方向に向かって光学ユニット21にアクセス可能な状態)で、情報再生装置1の外部からz軸+方向に治具(図示せず)に固定されたアクチュエータ位置調整用支持棒95a、95b、95cを挿入し、アクチュエータ位置調整用支持棒95a、95b、95cによってアクチュエータ73に設けられた調整用部位85a、85b、85cを支持する。その後治具にて調整用部位85a、85b、85cの位置をz軸+−方向に変位させて、光学ユニット21内におけるアクチュエータ73の位置を調整し、光学ユニット21を情報再生装置に取付ける。
図7は本発明の実施例1における光学ユニット21の光学系の詳細を示す構成図である。なお図7においてコンパクトフラッシュ(登録商標)カード規格機構部3(図4参照)に格納された記録媒体60は、z軸+方向(紙面の表方向)に配置されている。
以降図7を用いて実施例1における光学ユニット21の光学系の構成を更に詳細に説明する。
図7において76は複数のガラス部材を貼り合わせ、その界面に偏光膜を有する偏光ビームスプリッタ、77は直線偏光を円偏光に変換する1/4λ波長板である。1/4λ波長板77と偏光ビームスプリッタ76とを組み合わせることで、光源71から出射された往路光と、記録媒体60から反射された復路光を分離することができる。
78はフォトダイオード等により構成される光量モニタ、79は光源71の出射光を平行光に角度変換する樹脂にて形成されたコリメータレンズ、80はコリメータレンズ79によって平行光に角度変換された光源71からの光をz軸+方向に折り曲げて対物レンズ74に導くミラー、81は記録媒体60から反射された光を受光センサ72に結像するシリンドリカルレンズから成るサーボレンズである。
実施例1では偏光ビームスプリッタ76と受光センサ72を所定の距離だけ離間する必要性から、入射面と出射面の両面に凹形状を有するサーボレンズ81を採用している。実施例1では前述のごとく青紫色レーザを採用しているが、青紫色レーザは樹脂系の光学材料の劣化を加速させるため偏光ビームスプリッタ76、1/4λ波長板77、コリメータレンズ79、ミラー80、サーボレンズ81等の光学部材には青紫色光耐性を有する材料を用いることが望ましい。
以上のように構成された光学系について、以降光路を追って詳細に説明する。
光源71から出射された青紫色レーザ光は偏光ビームスプリッタ76を透過し、1/4λ波長板77に入射すると直線偏光から円偏光に変換される。1/4λ波長板77を透過した光はコリメータレンズ79によって平行光に角度変換された後、ミラー80によってz軸+方向に約90゜折り曲げられる。
一方光源71から出射された光の約10%は、偏光ビームスプリッタ76の貼り合わせ界面で反射され光量モニタ78に入射する。光量モニタ78は入射光量に応じた光電流を出力する。光源71を構成するレーザダイオードは環境温度等によって光出力が変化することが知られており、実施例1では図示しない制御手段によって光量モニタ78が出力する光電流値が一定となるように、光源71を駆動する駆動電流あるいは駆動電圧等の駆動条件を制御し、対物レンズ74からの光出力として0.4mWが得られるように制御している。
さて、ミラー80によって折り曲げられた平行光は対物レンズ74に入射し、対物レンズ74によって収斂された結果、対物レンズ74の光出射面から0.22mm離間した記録媒体60の表面に0.3μm(半値全幅)の光スポットが形成される。
記録媒体60上に記録された図示しないピットの有無によって記録媒体60の反射率が異なるため、ピットの有無に応じて記録媒体60から反射される光の強度が変化する。
記録媒体60から反射された光は、これまで説明してきた光路を対物レンズ74、ミラー80、コリメータレンズ79、1/4λ波長板77の順に逆に戻り、偏光ビームスプリッタ76に入射する。偏光ビームスプリッタ76の界面に到達した光は、所定の反射率で反射されるが、実施例1においては、このときの反射角をθ1=60゜とし、この角度に基づいて偏光ビームスプリッタ76の形状を六角形とすると共に、偏光ビームスプリッタ76の界面における反射膜の厚みなどの最適化を図っている。
一般に偏光ビームスプリッタ76の界面による反射角はθ1=45゜とする(即ち偏光ビームスプリッタ76は正方形または長方形)ことが多いが、この場合は受光センサ72の配置位置は偏光ビームスプリッタ76に対してx軸−方向の真横になるため、光学系を小さくすることが難しくなる。実施例1では偏光ビームスプリッタ76の外形を六角形とし偏光ビームスプリッタ76による反射角を45゜より大きい60゜とすることで、光路に対して受光センサ72と光源71の形成する角度を大きく設けて、受光センサ72を斜め配置し、光学系全体のx軸方向の幅を小さくしている。
またこのようにすることで、スピンドルモータ22に対してより近くまで光学ユニット21を近接させることができるようになる。このことは記録媒体60のより内周側まで光学ユニット21がアクセス可能となることを意味し、実質的に記録媒体60の容量を増大することができる。
以上述べてきたように、偏光ビームスプリッタ76の界面による反射角を45゜より大きくすることで、光学ユニット21のサイズを小さくすることができると共に、スピンドルモータ21との関係において、記録媒体60のより内周までアクセス可能であるという顕著な効果がある。
なお偏光ビームスプリッタ76の形状については正六角形である必要はなく、光路上にない面については変形を伴っても構わないし、光路上にある面であっても光を蹴らない最小幅が確保されていればよい。偏光ビームスプリッタ76の辺を延長した点線で示すように、偏光ビームスプリッタ76の形状は平行四辺形、ないし五角形であってもよい。ただしスピンドルモータ22の配置側については、図示するごとくスピンドルモータ22の配置と干渉するため、この側はカットして面とすることが望ましい。
さて、偏光ビームスプリッタ76の貼り合わせ界面にて反射された光は、シリンドリカルレンズによって構成されたサーボレンズ81で光スポットの縦横比がおよそ1:1となるように角度変換され4分割センサから成る受光センサ72に入射する。入射された光は受光センサ72によって光電流に変換され、この変換された値に基づいて記録媒体60上に形成されたピットの有無、即ち記録媒体60に記録された記録情報を読み取ることができる。更に受光センサ72は記録媒体60と対物レンズ74の離間距離に関する情報、および記録媒体60上に形成された光スポットと記録されたピット列からの離間距離に関する情報を出力する。これらの情報は図示しない処理回路によってアナログ−ディジタル変換され、記録情報は図示しない情報処理回路へ、記録媒体60と対物レンズ74の離間距離および光スポットとピット列の離間距離を示す情報は図示しない制御回路へ送られ、制御回路はこの位置関係を示す情報に基づいて記録媒体60と対物レンズ74の位置を調整して安定した情報の読み取りが行えるようにする。
さて、これら光学ユニット21を構成する光学部材のうち、光源71、偏光ビームスプリッタ76、1/4λ波長板77、光量モニタ78、コリメータレンズ79、ミラー80、サーボレンズ81、受光センサ72の各部材はキャリッジ70(図6参照)に配置され、対物レンズ74はアクチュエータ73(図6参照)に配置されている。実施例1においてこれらの光学部材はディスクリート部品を用いシンプルな構成を採用している。
図8は本発明の実施例1における光学ユニット21の斜視図であって、光学ユニット21を記録媒体60の配置側の反対側から見たものである。
以降図8を用いて光学ユニット21に配置されたアクチュエータ73の一部に突出部として設けられた調整用部位85a、85b、85cおよびその周辺の構造について詳細に説明する。
図に示すごとく、光学ユニット21を構成するキャリッジ70には、光源71、偏光ビームスプリッタ76、1/4λ波長板77、光量モニタ78、コリメータレンズ79、ミラー80、サーボレンズ81、受光センサ72の各部材が配置されている。アクチュエータ73には対物レンズ74が配置されているが、本斜視図では直接的に目視することはできない(点線にて記載)。
一方光学ユニット21を構成するアクチュエータ73の一部に突出部として設けられた調整用部位85a、85b、85cは、記録媒体60の装着側の反対方向から目視可能にキャリッジ70の端部から露出しており、この調整用部位85a、85b、85cに対してz軸+方向に向けて挿入したアクチュエータ位置調整用支持棒95a、95b、95c(図を簡単にするため線分として記載)を用いて、記録媒体60とアクチュエータ73の相対位置関係を調整することが可能な構成となっている。この状態を記録媒体60の配置側から見ると、z軸−方向即ち記録媒体の表面の法線に対して記録媒体60、アクチュエータ73、キャリッジ70がこの順に配置されており、前述の光学ユニット21とアクチュエータ73の相対位置関係の調整は、記録媒体60の装着側の反対側から記録媒体60とアクチュエータ73との相対位置関係を調整することによって実現される。
このようにアクチュエータ73の一部に突出部として設けられた調整用部位85a、85b、85cをキャリッジ70から露出させz軸+方向に直接目視可能としたことで、z軸+方向にキャリッジ70を跨いで、アクチュエータ位置調整用支持棒95a、95b、95cをアクチュエータ73に簡単に取付けることができる。
また図8においてWで示す領域はUV硬化型の接着剤の注入領域を示している。上述のごとくキャリッジ70に対する配置位置を調整されたアクチュエータ73は、アクチュエータ位置調整用支持棒95a、95b、95cと並列に配置された接着剤供給チューブ(図示せず)によって供給されW領域に注入された接着剤によってキャリッジ70に固定される。
図9は本発明の実施例1におけるアクチュエータ73の構造を示す斜視図である。以降図9を用いてアクチュエータ73の構造および、対物レンズ74の位置を変位させる構成について詳細に説明する。
図9において84は対物レンズユニットであり対物レンズ74を直接的に支持する。更に対物レンズユニット84は4個のトラッキングコイル90、1つのフォーカスコイル91から構成されており、トラッキングコイル90およびフォーカスコイル91は、アクチュエータ73上に配置された永久磁石89によって形成される磁気回路の中に配置されている。この対物レンズユニット84はアクチュエータ73上に配置されたサスペンションホルダ87に固定された4本のサスペンションワイヤ88によって空中に支持されており、サスペンションワイヤ88を介して4個のトラッキングコイル90に電流を供給することで、対物レンズユニット84はx軸+−方向に沿ったL4方向に微小変位し、同様にフォーカスコイル91に電流を供給することで、対物レンズユニット84はz軸+−に沿ったL5方向に微小変位する。
92はフレキシブルプリント基板(FPC)であり、図示しない制御回路に接続されトラッキングコイル90およびフォーカスコイル91に駆動電流を供給する。既に図7を用いて説明した4分割センサから成る受光センサ72(図7参照)の出力に基づいて、図示しない制御回路によってトラッキングコイル90が駆動され、これによって対物レンズ74をx軸+−方向(L4方向)に変位させ、既に述べたトラッキングエラーに対し対物レンズ74の位置をリアルタイムに追随させる(トラッキングサーボ)。更に同様に、受光センサ72(図7参照)の出力に基づいて、図示しない制御回路によってフォーカスコイル91が駆動され、これによって対物レンズ74をz軸+−方向(L5方向)に変位させ、既に述べたフォーカスエラーに対して対物レンズ74の位置をリアルタイムに追随させる(フォーカスサーボ)。
またフォーカスコイル91に供給する電流値に所定のオフセットを設けることで、記録媒体60と対物レンズ74との離間距離を定常的に変位させることができる。このように対物レンズ74の焦点を積極的に制御することで、複数の記録層を有する記録媒体60の各層に記録された情報を読み取ることが可能である。
さて、図9に示すようにアクチュエータ73の一部に突出部として設けられた調整用部位85a、85b、85cのうち、少なくともその1つである85bに撓み部Uを設けてバネ性を持たせている。この付勢力によって調整用部位85a、85b、85cは図示しないアクチュエータ位置調整用支持棒にガタなく支持されると共に、アクチュエータ73にアクチュエータ位置調整用支持棒95a、95b、95cを取付ける際に多少無理な応力が加わっても、アクチュエータ73やアクチュエータ位置調整用支持棒95a、95b、95cの破損を防止することができる。
図10は本発明の実施例1において記録媒体60と光学ユニット21の相対位置関係を調整する際の態様を示す説明図である。
実施例1においては、コンパクトフラッシュ(登録商標)カード規格機構部3(図4参照)に記録媒体60を格納した記録媒体カートリッジ61(図4参照)を装着し、かつ再生機構部2(図3参照)をコンパクトフラッシュ(登録商標)カード規格機構部3に係合させ、更に記録媒体60を実際の読み取りのときと同じ条件で回転駆動させ、即ち光学ユニット21によって記録媒体60に記録された情報を読み取れる状態にて、記録媒体60と光学ユニット21の相対位置関係を調整するが、図10では説明を簡単にするために、記録媒体60と対物レンズ74の位置関係に直接的に関与しない部材の図示を省略している。
図10において95a、95b、95cは、光学ユニット21を構成するアクチュエータ73の一部に突出部として設けられた調整用部位85a、85b、85cに、一対一に対応したアクチュエータ位置調整用支持棒である。アクチュエータ位置調整用支持棒95a、95b、95cは図示しない治具によってz軸−方向からz軸+方向に挿入され、アクチュエータ位置調整用支持棒95a、95b、95cは治具によって独立してz軸+−の両方向に変位する。この調整用指示棒95a、95b、95cの独立した操作によってアクチュエータ73の設置面、即ち対物レンズ74から出射される光の方向L3が調整され、記録媒体60に対する対物レンズ74の煽りが調整される。更に調整用指示棒95a、95b、95cを一括してL6線上に変位させることで、記録媒体60と対物レンズ74の離間距離、即ちフォーカス位置が調整される。この調整工程およびアクチュエータ73をキャリッジ70に固定する工程については後に詳細に説明する。
図11は本発明の実施例1におけるアクチュエータ73をz軸+方向、即ち対物レンズ74の光出射側から見た正面図である。以降図11を用いて調整用部位85a、85b、85cの配置位置について詳細に説明する。なお図11においてPはアクチュエータ73の重心を示している。
実施例1ではアクチュエータ位置調整用支持棒95a、95b、95cの軸中心によって、即ちアクチュエータ73に設けられた突出部としての調整用部位85a、85b、85cによって形成される三角形の内部にアクチュエータ73の重心Pが存在するように調整用部位85a、85b、85cの位置を決定している。この関係を満たすことで調整用部位85a、85b、85cにアクチュエータ位置調整用支持棒95a、95b、95cを取付けた際の回転力を小さくすることができ、安定した調整を行うことができる。
更に実施例1では上記三角形の各内角α、β、γは、いずれも90゜より小さくなるように調整用部位85a、85b、85cの位置を決定している。例えばQに調整用部位を設定した場合はα>90゜となるが、このとき重心Pは調整用部位85a、85b、85cによって形成される三角形の内部に入らなくなり、重心の周りに回転力が生じてしまう。
以降図11に図10を併用して説明を続ける。
更に実施例1では図10からも明らかなように、受光センサ72が配置されている側に1つの調整用部位85cが露出するようにした。光学ユニット21を構成するアクチュエータ73は、前述のように記録媒体60の配置された側とは反対から位置を調整するため、受光センサ72が配置されている側に調整用部位を露出させると、調整用部位へのアクセスが困難となる。従ってキャリッジの移動方向、即ちx軸+−方向で、かつ受光センサ72が配置されている側には、調整用部位を1つのみ設けることが望ましい。
図12は本発明の実施例1における4分割センサからなる受光センサの構造および出力信号例を示す説明図である。以降図12と図10を用いて記録媒体60と光学ユニット21の相対的位置関係と受光センサ72の出力信号との関係について説明する。
図12に示すように受光センサ72はA、B、C、Dの4つの受光領域を有している。
図12において(I)は、光学ユニット21に配置された対物レンズ74から出射された光が記録媒体60上に理想的に結像した状態における受光センサ72上に結像された光スポット形状を示すものである。このとき記録媒体60から反射された光は受光センサ72の中央部にほぼ円形に結像され、このとき受光センサ72の各受光領域A、B、C、Dが生起する光電流は同一となる。従って受光領域Aの出力+同Cの出力=同Bの出力+同Dの出力となる。
一方図12における(II)と(III)は、光学ユニット21に配置された対物レンズ74から出射された光が記録媒体60上にデフォーカス状態で結像した状態における受光センサ72上に結像された光スポット形状を示すものである。このとき記録媒体60から反射された光は受光センサ72上に楕円形状に結像されるため、受光センサ72の各受光領域A、B、C、Dが生起する光電流は偏りを生じ、受光領域Aの出力+同Cの出力>同Bの出力+同Dの出力、あるいは同Aの出力+同Cの出力<同Bの出力+同Dの出力となる。
ここで受光領域Aの出力+同Cの出力を第1相出力、同Bの出力+同Dの出力を第2相出力と定義すると、記録媒体60と光学ユニット21のフォーカス方向(図10におけるz軸+−方向)の調整では第1相出力=第2層出力を得られるようにアクチュエータ73位置を調整すればよい。
さて記録媒体60の表面の法線に対して対物レンズ74からの出射光軸(図10のL3)が一致しない場合、即ちいわゆる対物レンズ74に煽りが存在する場合、記録媒体60に結像される光スポットは正常に結像された場合と比較して楕円形状となるため、記録媒体60に記録されたピットを正確に読み取ることができなくなる。更にこのときは既に説明したトラッキングコイルを駆動してピット列に追随させる、いわゆるトラッキングサーボが正常に機能しなくなる。
対物レンズ74に煽りがある場合には、受光センサ72の出力は上述の第1相出力と第2相出力の間に時間的な位相差が発生することが知られている。従って対物レンズ74の煽り調整では第1相出力と第2層出力の時間的位相差がなくなるようにアクチュエータ73位置を調整すればよい。
図13は本発明の実施例1における光学ユニット21をz軸−方向から見た背面図である。以降図13を用いて実施例1における光学ユニット21の調整部位および調整完了後の接着剤による固定箇所について説明する。
図13において96は受光センサ位置調整用支持体である。受光センサ位置調整用支持体96はz軸−方向に設置された図示しない治具から、光学ユニット21上に配置され直接的に目視される受光センサ72の両側部を把持し、受光センサ72のxy平面上の位置を調整するものである。97はサーボレンズ位置調整用支持体である。サーボレンズ位置調整用支持体97はz軸−方向に設置された図示しない治具から、光学ユニット21上に配置され直接的に目視されるサーボレンズ81の両側部を把持しサーボレンズ81のz軸上の位置を調整するものである。
さてアクチュエータ位置調整用支持棒95a、95b、95cはSUS等の金属材料によって構成される直径約1.5mmの棒状部材であり、その先端から所定距離離れた位置には溝部が構成されている(図10参照。図13では破線で示す内円部が該当)、この溝部が調整用部位85a、85b、85cの凹部に係合し、アクチュエータ位置調整用支持棒95a、95b、95cは調整用部位85a、85b、85cを支持する。実施例1ではアクチュエータ位置調整用支持棒95a、95b、95cの先端部は平面としたが、アクチュエータ位置調整用支持棒95a、95b、95cと調整用部位85a、85b、85cの係合時の衝撃を和らげるためにアクチュエータ位置調整用支持棒95a、95b、95cの先端部は丸みを帯びた形状としてもよい。このようにアクチュエータ位置調整用支持棒95a、95b、95cの先端部を丸みを帯びた形状とした場合は、前述したようにアクチュエータ位置調整用支持棒95a、95b、95cは、z軸+−方向にそれぞれ独立して位置調整が可能であるから、まずアクチュエータ位置調整用支持棒95a、95bをz軸+方向に移動させて調整用部位85a、85bの近傍に配置し、その後にアクチュエータ位置調整用支持棒95cを調整用部位85cに挿入して全体の係合を図るような工程とすることも可能である。
また上述したアクチュエータ位置調整用支持棒95a、95b、95cは金属部材であり導電性を有するが、この溝部ないしは溝部を含む所定の範囲を絶縁材料で被覆し、アクチュエータ位置調整用支持棒95a、95b、95cに所定の電圧を印加し、この電圧を図示しない治具で計測する構成としてもよい。これによってアクチュエータ位置調整用支持棒95a、95b、95cが調整用部位85a、85b、85cの凹部に係合したことを、目視に頼らず正確に検出することができる。
98b、98cはアクチュエータ用接着剤供給チューブであり、図示しない治具に収納されたUV硬化型の接着剤がアクチュエータ用接着剤供給チューブ98b、98cを介して光学ユニット21に供給される。アクチュエータ用接着剤供給チューブ98b、98cを介して供給されたUV硬化型接着剤はアクチュエータ用接着剤供給チューブ98b、98cのほぼ直下に滴下され、アクチュエータ73とキャリッジ70の隙間に沿って2つのW領域に塗布される。
99は受光センサ系用接着剤供給チューブであり、図示しない治具に収納されたUV硬化型の接着剤が受光センサ系用接着剤供給チューブ99を介して光学ユニット21に供給される。上述した受光センサ位置調整用支持体96によってそのxy位置を調整された受光センサ72およびサーボレンズ位置調整用支持体97によってそのz軸位置を調整されたサーボレンズ81に対し、受光センサ系用接着剤供給チューブ99から接着剤を滴下すると、接着剤は受光センサ72とサーボレンズ81を支持するキャリッジに到達しこれらの部材周辺に塗布される。
上述した接着剤の塗布が完了すると、図示しない治具に設けられたランプ手段により紫外線が照射されて接着剤が硬化する。これによってアクチュエータ73、受光センサ72、サーボレンズ81はキャリッジ70に固定される。
なお実施例1では接着剤の供給および塗布する方向を、アクチュエータ位置調整用支持棒95a、95b、95c、受光センサ位置調整用支持体96、サーボレンズ位置調整用支持体97による調整と同じ方向、即ち記録媒体60の装着側の反対側から行うようにしたが、調整が完了し接着を行う時点では記録媒体60を抜去することが可能であるため、例えば記録媒体60をクラムシェル型の開閉機構に基づき交換可能としたような情報再生装置にあっては、開閉機構を開状態として記録媒体60の装着側から接着剤を供給してもよい。即ち本発明の意図するところは、記録媒体60と光学ユニット21を情報再生装置1に装着した状態で、記録媒体60の装着側の反対側から記録媒体60と光学ユニット21との相対位置関係を調整するものであって、この後の調整された相対位置関係を固定する過程では、接着を記録媒体60の装着側から行っても記録媒体60の装着側の反対側から行っても構わない。
図14は本発明の実施例1における記録媒体60と光学ユニット21の相対位置関係の調整工程を示すフローチャートである。以降図14に適した図面を適宜併用して説明を行う。
まず図4を併用して説明する。
図14において工程PR1はコンパクトフラッシュ(登録商標)カード規格機構部3に記録媒体60を装着しない状態で行う工程であり、工程PR2は記録媒体カートリッジ61の内部に表面をミラーコートした記録媒体60のダミー部材を装填し、この記録媒体カートリッジ61をコンパクトフラッシュ(登録商標)カード規格機構部3に装着して行なう工程である。工程PR2では記録媒体60のダミー部材は回転させることなく静止状態で調整を行う。工程PR3は記録媒体カートリッジ61の内部に正規の記録媒体60が装填された記録媒体カートリッジ61を、コンパクトフラッシュ(登録商標)カード規格機構部3に装着して行なう工程である。工程PR3では記録媒体60を実際に回転駆動して調整を行う。
以降調整工程のステップを順を追って詳細に説明する。
以降図2、図3、図5、図6、図7、図9を併用して説明を続ける。
ステップ1は初期配置工程である。ステップ1では、まず図7を用いて説明した全ての光学部材を搭載したキャリッジ70(図6参照)および、アクチュエータ73(図9参照)から構成される光学ユニット21を、再生機構部2(図3参照)に組み付ける。次に再生機構部2をz軸−方向にリフトアップした状態とし(図5参照。ただしこのとき再生機構部上面カバー(図2参照)は除去され、図3に示すごとくメカニズムが露出している)、図示しない治具によって再生機構部2の再生機構本体部20(図5参照)を固定支持する。
以降図13を併用して説明を続ける。
この状態で図示しない治具によってz軸−方向から同+方向にアクチュエータ位置調整用支持棒95a、95b、95cを挿入し調整用部位85a、85b、85cと係合させ、同様に受光センサ位置調整用支持体96にて受光センサ72を把持し、サーボレンズ位置調整用支持体97にてサーボレンズ81を把持する。
以降図5を併用して説明を続ける。
ステップ2はアクチュエータ73のxy平面位置を調整する工程である。ステップ2では、まずリフトアップされた再生機構部2とコンパクトフラッシュ(登録商標)カード規格機構部3に形成された隙間(図5参照)に、再生機構本体部20に対して機械的に位置決めされた板状の調整用部材(図示せず)を挿入する。この板状の調整用部材にはピンホールおよび対物レンズ74とは反対面のピンホール位置にフォトダイオードが設けられている。この板状の調整用部材(図示せず)を挿入した状態でアクチュエータ位置調整用支持棒95a、95b、95cをxy平面に沿って移動させ、ピンホールを通して対物レンズ74(図10参照)から出射される光が検出されるように、アクチュエータ73のxy平面位置を調整する。
以降図4および図5を併用して説明を続ける。
ステップ3は記録媒体60とアクチュエータ73が搭載された光学ユニット21のz軸方向の距離を調整する工程である。ステップ3では表面にミラーコートを施した記録媒体60のダミー部材(図示せず)を装填した記録媒体カートリッジ61をコンパクトフラッシュ(登録商標)カード規格機構部3(図4参照)に装着し、再生機構部2を図5に示すz軸+方向に降下させ、光学ユニット21をダミーの記録媒体60と対向させて調整を行う。ステップ3では記録媒体60のダミー部材(図示せず)は回転駆動せずに静止させておく。
以降図9、図12、図13を併用して説明を続ける。
この状態で図9を用いて説明したFPC92を介してフォーカスコイル91に所定の振幅の正弦波を印加して対物レンズ74と記録媒体60のダミー部材(図示せず)との離間距離を揺動させ、受光センサ72から出力される第1相出力と第2相出力の差分(フォーカス信号)を計測する(図12参照)。そしてアクチュエータ位置調整用支持棒95a、95b、95cを一括してz軸+−方向に移動させ、フォーカス信号の±変位量が等しくなるようにアクチュエータ73のz軸方向の位置を調整する(図13参照)。
ステップ4はキャリッジ70に搭載された受光センサ72のxy平面位置を調整する工程である。この工程もステップ3と同様に記録媒体60のダミー部材(図示せず)を回転駆動せずに静止させ、フォーカスコイル91に所定の振幅の正弦波を印加して対物レンズ74とダミーの記録媒体60との離間距離を揺動させ(図9参照)、受光センサ72から出力される第1相出力と第2相出力の差分(フォーカス信号)を計測する(図12参照)。そして図示しない治具を用いて受光センサ位置調整用支持体96をxy平面方向に移動させ、これに把持された受光センサ72をxy平面方向に変位させ(図13参照)、フォーカス信号の±変位量(振幅)が最大となる位置に受光センサ72を配置する。
以降図3、図4、図5、図13を併用して説明を続ける。
ステップ5はキャリッジ70に搭載されたサーボレンズ81のz軸方向の位置を調整する工程である。ステップ5では、まずステップ3およびステップ4で用いた記録媒体60のダミー部材(図示せず)が装填された記録媒体カートリッジ61をコンパクトフラッシュ(登録商標)メモリ規格機構部3から一旦抜去し(図4および図5参照)、正規の情報が記録された記録媒体60が装填された記録媒体カートリッジ61をコンパクトフラッシュ(登録商標)メモリ規格機構部3に再度装着する。次に再生機構部2を図5に示すz軸+方向に降下させてコンパクトフラッシュ(登録商標)メモリ規格機構部3を係合させ、光学ユニット21が記録媒体カートリッジ61に装填された記録媒体60に対してアクセス可能な状態とする。更にステップ5では記録媒体60をスピンドルモータ22(図3参照)によって回転駆動させる。
さてこの状態で既に述べたフォーカスサーボを実行し、受光センサ72から出力される第1相出力と第2相出力の時間的位相差(トラッキングエラー信号)を計測する。そして図示しない治具を用いてサーボレンズ位置調整用支持体97をz軸+−方向に移動させ、これに把持されたサーボレンズ81をz軸方向に変位させ、トラッキングエラー信号の±変位量(振幅)が最大となる位置にサーボレンズ81を配置する(図13参照)。
以降図3、図4、図5、図10、図13を併用して説明を続ける。
ステップ6はアクチュエータ73の煽りを調整する工程である。この工程もステップ5に引き続き正規の情報が記録された記録媒体60が装填された記録媒体カートリッジ61をコンパクトフラッシュ(登録商標)メモリ規格機構部3に装着し、光学ユニット21が記録媒体カートリッジ61に装填された記録媒体60に対してアクセス可能な状態とし(図4および図5参照)、更に記録媒体60をスピンドルモータ22(図3参照)によって回転駆動させた状態で行う。
この状態でステップ5と同様にフォーカスサーボを実行し、トラッキングエラー信号を計測する。そして図示しない治具を用いてアクチュエータ位置調整用支持棒95a、95b、95cをそれぞれ独立して操作し、対物レンズ74からの出射光軸L3(図10参照)を変化させ、トラッキングエラー信号の±変位量(振幅)が最大となるようにアクチュエータ73の配置角度を調整する。なおこの調整においてはステップ3で調整した対物レンズ74と記録媒体60までの距離が変化しないよう、アクチュエータ位置調整用支持棒95a、95b、95cの操作方向と操作量が決定される(図13参照)。
以降図3、図4、図5、図12、図13を併用して説明を続ける。
ステップ7はキャリッジ70に搭載されたサーボレンズ81のz軸方向の位置を微調整する工程である。この工程もステップ6に引き続き正規の情報が記録された記録媒体60が装填された記録媒体カートリッジ61をコンパクトフラッシュ(登録商標)メモリ規格機構部3に装着し、光学ユニット21が記録媒体カートリッジ61に装填された記録媒体60に対してアクセス可能な状態とし(図4および図5参照)、更に記録媒体60をスピンドルモータ22(図3参照)によって回転駆動させた状態で行う。
この状態でステップ5までで実行していたフォーカスサーボに加えてトラッキングサーボを実行し、受光センサ72のA、B、C、Dの全領域の出力を合計した出力(記録媒体60上に形成されたピットのON/OFF読取り信号。以降ピット読取り信号と呼称する)を計測する(図12参照)。そして図示しない治具を用いてサーボレンズ位置調整用支持体97をz軸+−方向に移動させ、これに把持されたサーボレンズ81をz軸方向に変位させ、ピット読取り信号に含まれるジッタ成分が最小となるようにサーボレンズ81のz軸方向位置を微調整する(図13参照)。
以降図3、図4、図5、図10を併用して説明を続ける。
ステップ8はアクチュエータ73の煽りを微調整する工程である。この工程もステップ7に引き続き正規の情報が記録された記録媒体60が装填された記録媒体カートリッジ61をコンパクトフラッシュ(登録商標)メモリ規格機構部3に装着し、光学ユニット21が記録媒体カートリッジ61に装填された記録媒体60に対してアクセス可能な状態とし(図4および図5参照)、更に記録媒体60をスピンドルモータ22(図3参照)によって回転駆動させた状態で行う。またステップ7と同様にフォーカスサーボとトラッキングサーボの両方を実行しながら、ピット読み取り信号を計測する。そして図示しない治具を用いてアクチュエータ位置調整用支持棒95a、95b、95cをそれぞれ独立して操作し、対物レンズ74からの出射光軸L3(図10参照)を変化させ、ピット読取り信号に含まれるジッタ成分が最小となるようにアクチュエータ73の配置角度を調整する。なおこの調整においてはステップ3で調整した対物レンズ74と記録媒体60までの距離が変化しないよう、アクチュエータ位置調整用支持棒95a、95b、95cの操作方向と操作量が決定される(図13参照)。
ステップ9は調整の完了可否を判断する工程である。実施例1においてこの完了可否の判断には、ステップ7とステップ8で説明したピット読取り信号に含まれるジッタ成分の計測結果を用いている。判断の工程を的確にかつ効率よく行うためにはジッタメータ等の出力数値を直接的に用いるとよい。具体的にはピット読取り信号に含まれるジッタ成分が予め定めた目標値よりも大きい場合は調整不足と判断されステップ7に戻り、ジッタ成分が所定値より小さい場合は調整完了と判断される。
ステップ10は位置調整が完了したアクチュエータ73、受光センサ72、サーボレンズ81をキャリッジに接着する工程である。本工程は既に図13を用いて詳細に説明したのでここでの説明は省略する。
以上述べてきた工程によって記録媒体60に対する光学ユニット21の相対位置関係が調整された上で固定され、情報再生装置1への取付けが完了する。
以上記録媒体60と光学ユニット21の相対位置関係を調整し固定する過程について、光学ユニット21上に配置されたアクチュエータ73の位置を調整し固定する場合を例にして詳細に説明したが、高精度な部品を用いてキャリッジ70内部でのアクチュエータ73の位置を予め正確に固定できるような場合には、例えば図3におけるリードスクリューシャフト23またはガイドシャフト33を図示しない支持機構で支持する構成とし、これらの配置角度を調整したり、スピンドルモータ22を図示しないマウント台に搭載する構成とし、このマウント台等の角度調整によって記録媒体60の装着側の反対側からキャリッジ70に搭載された部材の位置調整を行い、位置調整の後にリードスクリューシャフト23の支持機構やスピンドルモータ22のマウント台を再生機構部本体部20に接着固定することで、記録媒体60と光学ユニット21の相対位置関係を調整し固定することができる。
また実施例1においては、コンパクトフラッシュ(登録商標)カード規格に従って構成され、PDA等の携帯機器に装着可能な情報再生装置を例に説明したが、本発明は少なくとも光ディスクの再生機能を有するあらゆる情報再生装置に適用できることはいうまでもない。このような他の態様としては、例えば情報再生装置を携帯電話に内蔵した場合や、情報再生装置をコンピュータ周辺機器、例えばマウスに内蔵するようなアプリケーションが考えられる。