JP4411858B2 - Control device for continuously variable transmission - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、変速比を連続的に変化させることのできる無段変速機を対象とする制御装置に関し、特に無段変速機のトルク容量を設定する挟圧力を最適化する制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ベルト式無段変速機やトラクション式無段変速機は、ベルトとプーリとの間の摩擦力や、ディスクとローラとの間のトラクションオイルのせん断力を利用してトルクを伝達している。したがってこれらの無段変速機のトルク容量は、そのトルクの伝達が生じる箇所に作用する圧力に応じて設定される。
【0003】
無段変速機における上記の圧力は挟圧力と称され、その挟圧力を高くすれば、トルク容量を増大させて滑りを回避できるが、その反面、高い圧力を生じさせるために動力を必要以上に消費したり、あるいは動力の伝達効率が低下するなどの不都合がある。そのため、一般的には、意図しない滑りが生じない範囲で、挟圧力を可及的に低く設定している。
【0004】
例えば、無段変速機を搭載した車両では、エンジンの回転数を無段変速機によって制御して燃費の向上を図ることができるので、その利点を損なわないために、無段変速機での動力伝達効率を可及的に向上させるべく、挟圧力を、滑りが生じない範囲で可及的に低く設定するように制御している。そのためには、滑りの生じ始める圧力(すなわち滑り限界圧力)を検出する必要があり、従来では、種々の方法で滑りを検出し、また滑り限界圧力を検出している。
【0005】
その滑りを検出する装置として、特許文献1には、実変速比変化率と理論変速比変化率とを比較して、実変速比変化率が理論変速比変化率より大きい場合に滑りの発生を検出し、その検出結果に基づいてライン圧(変速機を制御する油圧装置全体の元圧)を増加するように構成された装置が記載されている。
【0006】
また、特許文献2には、伝達される力、速度、伝達比またはこれらの組み合わせに関する条件が少なくともほぼ一定である場合に、圧着力を変化させてスリップ限界を決定する方法が記載されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平6−11022号公報(要約)
【特許文献2】
特開2001−12593号公報(請求項1,2,6,7)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記の特許文献1に記載されている理論変速比変化率は、その現在時点に到るまでの変速比の変化の傾向を表し、ベルト滑りが生じると、その変速比の変化の傾向が継続しなくなり、その結果、実変速比変化率と理論変速比変化率とに差が生じるため、その比較によって滑りが検出される。したがって現在時点より以前のいわゆる過去の変速比の状態に基づいて滑りを検出することになる。これと同様な滑り検出は、例えば過去の変速比に基づいて現在時点の変速比やその変化速度を推定し、その推定値と実際値とを比較することによっても可能である。
【0009】
しかしながら、無段変速機の滑りの検出は、これを搭載した車両が走行している状態でおこなうのが一般的であり、その場合、路面状態や車両の流れの状態などによって僅かなりとも加減速される。そのような加減速が生じた場合、上記の推定値などの過去のデータで得た値との比較で滑りを検出するとすれば、変速による変速比の変化を滑りの発生と誤判定する可能性がある。
【0010】
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、滑りや限界挟圧力を精度良く判定もしくは検出することのできる制御装置を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段およびその作用】
この発明は、上記の目的を達成するために、過去の変速比もしくは変速比変化速度から現在時点の変速比もしくは変速比変化速度を推定し、その推定値に基づいて滑りの判定を行う場合に、無段変速機に対するダウンシフト要求量が大きい場合には、滑りの判定をおこなわないように構成したことを特徴とするものである。より具体的には、請求項1の発明は、現在時点より以前の変速比もしくは変速比変化速度に基づいて推定される現在時点の変速比もしくは変速比変化速度の推定値と、現在時点の変速比もしくは変速比変化速度の実際値とを比較して滑りの判定をおこなう無段変速機の制御装置において、前記無段変速機の変速比を増大させるダウンシフト要求量が大きい場合に前記推定値と前記実際値との比較に基づく滑りの判定をおこなわないようにする滑り判定中止手段を備えていることを特徴とする制御装置である。
【0012】
したがって請求項1の発明では、過去の変速比や変速比変化速度に基づいて、変速比や変速比変化速度の推定値が求められ、その推定値と、現在時点の変速比や変速比変化速度(すなわちこれらの実際値)とが比較されて無段変速機の滑りが判定される。その推定値を求め、あるいは推定値と実際値との比較をおこなう過程でのダウンシフト量やダウンシフトを生じさせる要因となる駆動要求量などのダウンシフト要求量が大きい場合には、上記の推定値に基づく滑りの判定が中止される。その結果、ダウンシフトに伴う変速比や変速比変化速度の変化を滑りと誤判定することが回避され、滑りの判定精度が向上する。
【0013】
また、請求項2の発明は、現在時点より以前の変速比に基づく変速比もしくは変速比変化速度の推定値と、現在時点の変速比もしくは変速比変化速度とを比較して滑りの判定をおこなう無段変速機の制御装置において、前記無段変速機の変速比を増大させるダウンシフト要求量が大きい場合に前記推定値に基づく滑りの判定をおこなわないようにする滑り判定中止手段と、前記無段変速機のトルク容量を設定する挟圧力を低下させて前記滑りを判定する滑り判定手段と、前記滑りの判定の成立後に前記挟圧力を徐々に増大させる挟圧力増大手段と、前記滑りの判定の成立に基づいて前記無段変速機に対する入力トルクを低下させた後、その入力トルクを漸増して前記滑りの収束とほぼ同時に入力トルクの復帰を完了させる入力トルク制御手段とを更に備えていることを特徴とする制御装置である。
【0014】
したがって請求項2の発明では、過去の変速比に基づいて、変速比や変速比変化速度の推定値が求められ、その推定値と、現在時点の変速比や変速比変化速度(すなわちこれらの実際値)とが比較されて無段変速機の滑りが判定される。その推定値を求め、あるいは推定値と実際値との比較をおこなう過程でのダウンシフト量やダウンシフトを生じさせる要因となる駆動要求量などのダウンシフト要求量が大きい場合には、上記の推定値に基づく滑りの判定が中止される。その結果、ダウンシフトに伴う変速比や変速比変化速度の変化を滑りと誤判定することが回避され、滑りの判定精度が向上する。また、挟圧力を低下させることによる滑りが判定され、その滑り判定が成立した場合に、挟圧力を復帰させるとともに、入力トルクを一旦低下させた後、漸増させ、それに伴う滑りの収束とほぼ同時に、低下させた入力トルクの復帰が完了させられる。その結果、挟圧力を低下させて生じさせた滑りを収束させる際のショックが防止される。
【0015】
さらに、請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記入力トルクの復帰が完了した時点の挟圧力に基づいて入力トルクに釣り合う限界挟圧力を求める限界挟圧力検出手段とを更に備えていることを特徴とする制御装置である。
【0016】
したがって請求項3の発明では、復帰させた入力トルクに基づいて、入力トルクに釣り合う限界挟圧力が求められる。その結果、ショックを防止しつつ限界挟圧力が検出される。
【0021】
【発明の実施の形態】
つぎにこの発明を具体例に基づいて説明する。先ず、この発明で対象とする無段変速機を含む駆動系統の一例を説明すると、図3は、ベルト式無段変速機1を含む駆動機構を模式的に示しており、その無段変速機1は、前後進切換機構2およびロックアップクラッチ3付きの流体伝動機構4を介して動力源5に連結されている。
【0022】
その動力源5は、内燃機関、あるいは内燃機関と電動機、もしくは電動機などによって構成されている。なお、以下の説明では、動力源5をエンジン5と記す。また、流体伝動機構4は、例えば従来のトルクコンバータと同様の構成であって、エンジン5によって回転させられるポンプインペラとこれに対向させて配置したタービンランナーと、これらの間に配置したステータとを有し、ポンプインペラで発生させたフルードの螺旋流をタービンランナーに供給することよりタービンランナーを回転させ、トルクを伝達するように構成されている。
【0023】
このような流体を介したトルクの伝達では、ポンプインペラとタービンランナーとの間に不可避的な滑りが生じ、これが動力伝達効率の低下要因となるので、ポンプインペラなどの入力側の部材とタービンランナーなどの出力側の部材とを直接連結するロックアップクラッチ3が設けられている。このロックアップクラッチ3は、油圧によって制御するように構成され、完全係合状態および完全解放状態、ならびにこれらの中間の状態であるスリップ状態に制御され、さらにそのスリップ回転数を適宜に制御できるようになっている。
【0024】
前後進切換機構2は、エンジン5の回転方向が一方向に限られていることに伴って採用されている機構であって、入力されたトルクをそのまま出力し、また反転して出力するように構成されている。図3に示す例では、前後進切換機構2としてダブルピニオン型の遊星歯車機構が採用されている。すなわち、サンギヤ6と同心円上にリングギヤ7が配置され、これらのサンギヤ6とリングギヤ7との間に、サンギヤ6に噛合したピニオンギヤ8とそのピニオンギヤ8およびリングギヤ7に噛合した他のピニオンギヤ9とが配置され、これらのピニオンギヤ8,9がキャリヤ10によって自転かつ公転自在に保持されている。そして、二つの回転要素(具体的にはサンギヤ6とキャリヤ10と)を一体的に連結する前進用クラッチ11が設けられ、またリングギヤ7を選択的に固定することにより、出力されるトルクの方向を反転する後進用ブレーキ12が設けられている。
【0025】
無段変速機1は、従来知られているベルト式無段変速機と同じ構成であって、互いに平行に配置された駆動プーリ13と従動プーリ14とのそれぞれが、固定シーブと、油圧式のアクチュエータ15,16によって軸線方向に前後動させられる可動シーブとによって構成されている。したがって各プーリ13,14の溝幅が、可動シーブを軸線方向に移動させることにより変化し、それに伴って各プーリ13,14に巻掛けたベルト17の巻掛け半径(プーリ13,14の有効径)が連続的に変化し、変速比が無段階に変化するようになっている。そして、上記の駆動プーリ13が前後進切換機構2における出力要素であるキャリヤ10に連結されている。
【0026】
なお、従動プーリ14における油圧アクチュエータ16には、無段変速機1に入力されるトルクに応じた油圧(ライン圧もしくはその補正圧)が、図示しない油圧ポンプおよび油圧制御装置を介して供給されている。したがって、従動プーリ14における各シーブがベルト17を挟み付けることにより、ベルト17に張力が付与され、各プーリ13,14とベルト17との挟圧力(接触圧力)が確保されるようになっている。これに対して駆動プーリ13における油圧アクチュエータ15には、設定するべき変速比に応じた圧油が供給され、目標とする変速比に応じた溝幅(有効径もしくは巻掛け径)に設定するようになっている。
【0027】
上記の従動プーリ14が、ギヤ対18を介してディファレンシャル19に連結され、このディファレンシャル19から駆動輪20にトルクを出力するようになっている。したがって上記の駆動機構では、エンジン5と駆動輪20との間に、ロックアップクラッチ3と無段変速機1とが直列に配列されている。
【0028】
上記の無段変速機1およびエンジン5を搭載した車両の動作状態(走行状態)を検出するために各種のセンサーが設けられている。すなわち、無段変速機1に対する入力回転数(前記タービンランナーの回転数)を検出して信号を出力するタービン回転数センサー21、駆動プーリ13の回転数を検出して信号を出力する入力回転数センサー22、従動プーリ14の回転数を検出して信号を出力する出力回転数センサー23、ベルト挟圧力を設定するための従動プーリ14側の油圧アクチュエータ16の圧力を検出する油圧センサー24が設けられている。また、特には図示しないが、アクセルペダルの踏み込み量を検出して信号を出力するアクセル開度センサー、スロットルバルブの開度を検出して信号を出力するスロットル開度センサー、ブレーキペダルが踏み込まれた場合に信号を出力するブレーキセンサーなどが設けられている。
【0029】
上記の前進用クラッチ11および後進用ブレーキ12の係合・解放の制御、および前記ベルト17の挟圧力の制御、ならびに変速比の制御、さらにはロックアップクラッチ3の制御をおこなうために、変速機用電子制御装置(CVT−ECU)25が設けられている。この電子制御装置25は、一例としてマイクロコンピュータを主体として構成され、入力されたデータおよび予め記憶しているデータに基づいて所定のプログラムに従って演算をおこない、前進や後進あるいはニュートラルなどの各種の状態、および要求される挟圧力の設定、ならびに変速比の設定、ロックアップクラッチ3の係合・解放ならびにスリップ回転数などの制御を実行するように構成されている。
【0030】
ここで、変速機用電子制御装置25に入力されているデータ(信号)の例を示すと、無段変速機1の入力回転数(入力回転速度)Ninの信号、無段変速機1の出力回転数(出力回転速度)No の信号が、それぞれに対応するセンサから入力されている。また、エンジン5を制御するエンジン用電子制御装置(E/G−ECU)26からは、エンジン回転数Ne の信号、エンジン(E/G)負荷の信号、アクセルペダル(図示せず)の踏み込み量であるアクセル開度信号などが入力されている。
【0031】
無段変速機1によれば、入力回転数であるエンジン回転数を無段階に(言い換えれば、連続的に)制御できるので、これを搭載した車両の燃費を向上できる。例えば、アクセル開度などによって表される要求駆動量と車速とに基づいて目標駆動力が求められ、その目標駆動力を得るために必要な目標出力が目標駆動力と車速とに基づいて求められ、その目標出力を最適燃費で得るためのエンジン回転数が予め用意したマップに基づいて求められ、そして、そのエンジン回転数となるように変速比が制御される。
【0032】
そのような燃費向上の利点を損なわないために、無段変速機1における動力の伝達効率が良好な状態に制御される。具体的には、無段変速機1のトルク容量すなわちベルト挟圧力が、エンジントルクに基づいて決まる目標トルクを伝達でき、かつベルト17の滑りが生じない範囲で可及的に低いベルト挟圧力、すなわち入力トルクに釣り合う限界挟圧力に所定の圧力を加えた挟圧力に制御される。このような挟圧力のいわゆる低下制御は、外乱の可能性の低い状態、具体的には、平坦良路を特に加減速することなく走行している状態で実行され、悪路を走行している状態や大きく加速もしくは減速している状態では、挟圧力をライン圧程度の相対的に高い圧力に設定する。
【0033】
その低下制御で設定される挟圧力は、滑りを生じることなく入力トルクを伝達できる限界挟圧力に、路面の状態に応じて出力側から入力されることが予想されるいわゆる路面入力に対応する圧力などの滑りに対する安全を見込んだ所定圧を加えた圧力に設定される。その所定圧は予め設定することができるが、滑り限界圧は、経時的に変化することのある摩擦係数や潤滑油の状態などに影響され、予め一義的に設定できないので、滑りの状態に基づいて設定することが好ましい。
【0034】
図3に示す無段変速機1を対象とするこの発明に係る制御装置は、以下のようにして滑りや限界挟圧力を検出し、またその検出結果に基づいて挟圧力を設定するように構成されている。すなわち図1はその制御例を示すフローチャートであって、このフローチャートは所定の短い時間毎に繰り返し実行される。
【0035】
図1において、先ず、フラグFについて判断される(ステップS1)。このフラグFは、無段変速機1での滑りの発生が判定された場合に“1”にセットされ、また滑り発生の判定後に挟圧力を増大させている際に“2”にセットされるフラグであり、当初は“0”にセットされている。
【0036】
したがって図1のルーチンを開始した当初はステップS1で“F=0”の判断が成立し、制御の前提条件が成立しているか否かが判断される(ステップS2)。限界挟圧力を検出するためには、無段変速機1に作用するトルクが安定している必要があり、したがってステップS2での前提条件は、平坦良路のロードロード中高速巡航中であること、その時点の入力トルクに対応する挟圧力の最終補正が完了していないことなどである。なお、良路の判定は、例えば路面側からの入力の判定が無いことによっておこなうことができ、またロードロード中高速巡航中であることの判断は、例えば従動プーリ14のトルクと回転加速度とから判断できる。
【0037】
制御前提条件が成立していることによりステップS2で肯定的に判断された場合には、挟圧力を所定の勾配で徐々に低下させる挟圧力漸減指令が出力される(ステップS3)。これは、例えば前記従動プーリ14側のアクチュエータ16に対する油圧を制御するデューティソレノイドバルブのデューティ比を徐々に変化させる制御である。
【0038】
また制御前提条件の成立によって、変速比γの微分値(あるいは前回値からの変化量)が求められ、かつその移動平均処理がおこなわれて移動平均値Δγが算出される(ステップS4)。なお、移動平均値に替えて平均値を求めてもよい。ついで、現在時点から所定時間以前までの間におけるアクセルペダルの踏み込み量が所定値以下か否かが判断される(ステップS5)。アクセルペダルは、駆動力を増大させるために踏み込まれるから、ステップS5では駆動力の増大要求を判断していることになり、また駆動力を増大させるためには変速比を低下させるダウンシフトを実行するから、ステップS5ではダウンシフト量もしくはダウンシフト要求量の大小を判断していることになる。
【0039】
アクセルペダルの踏み込み量が所定値以下であることにより、ダウンシフト量もしくはダウンシフト要求量が小さいことにより、ステップS5で肯定的に判断された場合には、所定時間前の前記移動平均値Δγによって、滑り判定のためのしきい値が補正される(ステップS6)。これは、滑りに伴う変速比変化速度の変化を、変速比変化速度の推定値に取り込まないようにするためであり、したがって過去の特定区間における変速比変化速度の平均値によってしきい値を補正することとしてもよい。
【0040】
このように過去の所定時間もしくは特定区間の間のデータを滑り判定に用いるので、駆動要求量の増大によるダウンシフトで変速比が変化すると、変速による変速比変化速度の変化と滑りによる変化とを区別できなくなる。このような不都合を回避するために、上記のステップS5での判断をおこなっている。
【0041】
ステップS6で判定しきい値の補正をおこなった後、マクロスリップの判定がおこなわれる(ステップS7)。無段変速機1では不可避的な微少滑り(いわゆるミクロスリップ)を伴ってトルクを伝達しているが、これを超える滑りは無段変速機1の機械的な損傷もしくは耐久性の低下の要因となる。マクロスリップとはこのような滑り状態であり、ステップS7では、現在時点より以前の変速比や変速比変化速度に基づく変速比や変速比変化速度の推定値と、現在時点におけるこれらの実際値との差が、上記の補正されたしきい値より大きいか否かが判断される。
【0042】
マクロスリップが発生していないことによりステップS7で否定的に判断された場合には、一旦、このルーチンを抜ける。これとは反対にマクロスリップが生じていることによりステップS7で肯定的に判断された場合、すなわち滑りの判定が成立した場合には、フラグFが“1”にセットされ、かつ滑り開始時点および滑り速度が特定される(ステップS8)。その滑り開始時点は、現在時点より以前の時点であって、変速比γもしくは変速比変化速度Δγの推定値と、これらいずれかの実際値との差が、上記のステップS7での判定しきい値より小さい所定値を超えた時点として特定される。また、滑り速度は、推定変速比と実変速比との差に基づいて求められる。
【0043】
また、滑り判定の成立によって挟圧力の漸増指令(ステップS9)と、入力トルクを低下させるためのエンジントルク(Te )ダウン指令(ステップS10)とが出力される。その挟圧力の漸増は、挟圧力を所定の勾配で徐々に増大させる制御である。この挟圧力の漸増制御に替えて、挟圧力をその時点の圧力に保持する制御を実行してもよい。
【0044】
また、エンジントルクダウンは、例えばエンジン5の点火時期の遅角制御によって実行され、その量は、滑り判定が成立した時点より前の実際に滑りが開始したことが特定された時点における推定変速比と実変速比との差Δγ’もしくは推定変速比変化速度と実変速比変化速度との差ΔΔγの関数によって求められる。なお、エンジントルクダウン制御には不可避的な遅れがあるから、エンジントルクダウン指令を所定時間保持してもよい。
【0045】
ついで、滑りが収束したか否かが判断される(ステップS11)。具体的には、推定変速比と実変速比との差Δγ’が判断基準として設定した所定値以下になったか否かによって判断することができる。
【0046】
このステップS11で否定的に判断された場合には、滑りが収束していないので、一旦、このルーチンを抜ける。その場合、フラグFが“1”にセットされているので、ステップS1で“F=1”の判断が成立し、その結果、直ちにステップS9に進み、挟圧力の漸増制御が継続される。
【0047】
これに対して滑りが収束したことによりステップS11で肯定的に判断された場合には、挟圧力マップが修正される(ステップS12)。すなわち、定常走行状態など車両の運転状態が安定している際に低下させる挟圧力は、入力トルクと変速比とに応じてマップとして定めてあり、ステップS12では挟圧力低下開始時の実油圧と滑り判定成立時の実油圧との差を、油圧指令値に換算した値でマップが修正される。より具体的には、滑りの開始する圧力すなわち入力トルクに釣り合う限界挟圧力に路面入力対応分(すなわち所定の安全を見込んだ圧力)を加算して必要挟圧力を求め、その必要挟圧力によってマップ値を変更する。
【0048】
滑りが収束していることより、挟圧力の復帰勾配が増大させられる(ステップS13)。またフラグFが“2”にセットされるとともに、エンジントルクダウン量をゼロにする指令が出力される(ステップS14)。滑りが収束しているので、前述した関数で求められるエンジントルクダウン量がゼロになるが、確実を期するために、ステップS14の指令が出力される。
【0049】
さらに、挟圧力が適正レベル(適正圧)になったか否かが判断される(ステップS15)。このステップS15で否定的に判断された場合には、一旦、このルーチンを抜ける。その場合、フラグFが“2”にセットされていてステップS1で“F=2”の判断が成立するので、直ちにステップS13に進み、挟圧力の復帰制御が継続される。これに対して、ステップS15で肯定的に判断された場合には、制御を終了するために、フラグFおよび一時的にストア(記憶保持)した値がクリアされる(ステップS16)。
【0050】
なお、アクセルペダルの踏み込み量が所定値を超えていることによりステップS5で否定的に判断された場合には、その時点で、挟圧力の低下に基づく限界挟圧力の検出制御が中止される。すなわちストア値がクリアされるとともに、低下させた挟圧力の復帰制御が実行され、さらに制御の進捗状態に応じてその時点の入力トルク領域に応じた挟圧力が決定され、かつマップ値が変更される。
【0051】
すなわち、ダウンシフト要求量が大きいことにより変速比の変化量が大きくなり、これが滑り検出の誤差要因となるので制御を中止するが、その時点では、挟圧力を低下しても滑りが生じていないので、その挟圧力を定常走行状態もしくは準定常走行状態での挟圧力低下制御に反映させることができる。そのため、その時点の挟圧力に基づいてマップ値を変更することとしたのである。
【0052】
上記の制御をダウンシフト中に実行した場合の挟圧力やエンジントルクあるいは変速指令値などの変化を図2のタイムチャートに示してある。なお、図2にはアップシフトの場合の変速比およびその変化速度の変化を破線で示してある。
【0053】
制御開始条件がA時点に成立すると、挟圧力を漸減させる指令が出力され、その結果、実挟圧力が所定時間後に低下し始める。その過程で変速比の微分値およびその移動平均値が求められている。そして、挟圧力を低下させている間の所定のB時点にアクセルペダルが踏み込まれてアクセル開度が増大すると、変速指令が出力されるとともに、変速比変化速度が増大する。そのアクセル開度の変化量ΔPa が所定値以下の場合に制御が継続される。
【0054】
そして、挟圧力の低下によって滑りが発生する(C時点)と、実変速比および実変速比変化率が増大するので、これらの推定値との差が次第に大きくなり、その差がしきい値を超える(D時点)と、滑りの判定が成立する。その結果、挟圧力を漸増する指令が出力されるとともに、エンジン(E/G)トルク(入力トルク)の低減指令(ダウン指令)が出力される。
【0055】
例えば、このD時点に到る前の所定時間t1 の間でアクセル開度の変化量ΔPa が所定値を超えた場合には、前述したステップS5で否定的に判断され、制御が中止される。なお、アクセル開度の変化量が所定値ΔPa を超えることに替えて、現在の変速指令値がダウンシフト側の所定値D1 以上であることや所定時間t1 の間での変速指令値変化量がダウン側に所定値ΔD1 以上であることに基づいて、制御を中止することとしてもよい。
【0056】
エンジントルクの低下制御を点火時期の遅角制御によって実行する場合、その応答性がよいので、エンジントルクが直ちに低下し、その結果、滑りが収束に向かう。すなわち、一旦増大した変速比が低下し始め、あるいは増大が止まり、また変速比変化速度が低下し始める。また、挟圧力の漸増指令の出力開始から所定時間遅れて、実挟圧力が増大し始める。これは、図2のE時点である。
【0057】
エンジントルクの低減制御が実行されていることと併せて実挟圧力が増大するので、所定時間後のF時点に滑りが収束する。前述したように、エンジントルクダウン量を、変速比や変速比変化速度の推定値と実際値との差に応じて設定しているので、滑りが収束してこれらの推定値と実際値との差がなくなると、エンジントルクダウン量がゼロとなる。また、確実を期するために、エンジントルクダウン量をゼロとする指令が出力される。その結果、挟圧力の漸増によって滑りが収束した時点とエンジントルクダウン量がゼロになった時点、すなわち挟圧力の復帰と入力トルクの復帰とが同時に成立する。また、これと同時に挟圧力の復帰の勾配が増大させられる。その結果、滑りに対する安全性が迅速に向上させられる。
【0058】
上述した制御を実行するように構成されたこの発明の制御装置によれば、変速比もしくは変速比変化速度の推定値を求めている過程で、アクセルペダルが踏み込まれるなどのことによってダウンシフト要求量が大きくなった場合には、そのダウンシフトによる変速比の変化が滑り判定に対する外乱となって誤判定の要因となるので、滑り判定制御が中止される。換言すれば、誤判定要因のない状態で滑りが判定されるので、滑りの判定精度が良好になる。また、その中止時点の挟圧力に基づいて、挟圧力のマップ値などの制御量を修正することにより、挟圧力のいわゆる低下制御の精度を向上させることができる。
【0059】
さらに、滑りの判定が成立して挟圧力の漸増指令を出力すると同時に、入力トルクの低減制御を実行するので、滑り判定成立後の滑りを効果的に抑制もしくは防止でき、かつ挟圧力が増大して滑りが収束した時点の慣性力に起因するショックを抑制もしくは防止することができる。そして、挟圧力の復帰すなわち挟圧力の増大に伴う滑りの収束と入力トルクの復帰との時点を一致させることにより、その時点の入力トルクとそれに釣り合う限界挟圧力を求めることができる。すなわち、エンジントルクダウン量がゼロであるから、エンジン負荷などに基づいてエンジン出力トルクを求めることができ、また滑りが収束した時点の実挟圧力をセンサの出力値で知ることができるので、両者の対応関係から限界挟圧力を、滑りの収束側で推定することもできる。
【0060】
ここで、上記の具体例とこの発明との関係を簡単に説明すると、上述したステップS5の機能的手段がこの発明の滑り判定中止手段に相当し、またステップS7の機能的手段がこの発明の滑り判定手段に相当し、ステップS9の機能的手段がこの発明の挟圧力増大手段に相当し、さらにステップS10の機能的手段がこの発明の入力トルク制御手段に相当し、そしてステップS12の機能的手段がこの発明の限界挟圧力検出手段に相当する。
【0061】
なお、この発明は上記の具体例に限定されないのであって、この発明における無段変速機は、ベルト式無段変速機以外に、トロイダル型(トラクション式)無段変速機であってもよい。また、挟圧力を低下させて生じる滑りに限らず、無段変速機の通常の運転中での滑りを検出する場合にもこの発明を適用することができる。さらに、この発明におけるダウンシフト要求量は、動力源の負荷増大側の変化量であってもよく、また車速を設定値に維持する制御装置からの要求量であってもよく、さらには変速指令値のダウンシフト側の変化量などであってもよい。そして、この発明における滑りの判定とは、滑りの状況の判定であり、したがって滑りが開始したことの判定に限らず、滑りが開始する直前の状態あるいは滑りの前兆の判定も含む。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、現在時点以前の変速比もしくは変速比変化速度から現在時点の変速比や変速比変化速度の推定値を求め、あるいはその推定値と実際値との比較をおこなう過程でのダウンシフト量やダウンシフトを生じさせる要因となる駆動要求量などのダウンシフト要求量が大きい場合には、上記の推定値に基づく滑りの判定が中止されるので、ダウンシフトに伴う変速比や変速比変化速度の変化を滑りと誤判定することを回避して滑りの判定精度を向上させることができる。
【0063】
また、請求項2の発明によれば、変速比や変速比変化速度の推定値を求め、あるいは推定値と実際値との比較をおこなう過程でのダウンシフト量やダウンシフトを生じさせる要因となる駆動要求量などのダウンシフト要求量が大きい場合には、上記の推定値に基づく滑りの判定が中止されるので、ダウンシフトに伴う変速比や変速比変化速度の変化を滑りと誤判定することを回避して滑りの判定精度を向上させることができ、しかも滑りの収束とほぼ同時に入力トルクの復帰を完了させるので、挟圧力を低下させて生じさせた滑りを収束させる際のショックを防止することができる。
【0066】
そして、請求項5の発明によれば、滑りを生じさせるように低下させられた挟圧力が、滑りの収束後に、相対的に大きい勾配で増大させられるため、滑りが再度発生することを防止できるとともに、滑りを収束させるために入力トルクを低下させていた場合には、その入力トルクの復帰を迅速におこなうことができ、ひいては無段変速機の出力トルクの復帰の遅れを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の制御装置による制御の一例を説明するためのフローチャートである。
【図2】 図1の制御を実行した場合のタイムチャートを示す図である。
【図3】 この発明で対象とする無段変速機を含む駆動機構の一例を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1…無段変速機、 5…エンジン(動力源)、 13…駆動プーリ、 14…従動プーリ、 17…ベルト、 20…駆動輪、 25…変速機用電子制御装置(CVT−ECU)、 26…エンジン用電子制御装置(E/G−ECU)。
[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a control device for a continuously variable transmission capable of continuously changing a gear ratio, and more particularly to a control device for optimizing a clamping pressure for setting a torque capacity of a continuously variable transmission. .
[0002]
[Prior art]
The belt-type continuously variable transmission and the traction-type continuously variable transmission transmit torque using the frictional force between the belt and the pulley and the shearing force of the traction oil between the disk and the roller. Therefore, the torque capacity of these continuously variable transmissions is set according to the pressure acting on the location where the torque is transmitted.
[0003]
The above-mentioned pressure in a continuously variable transmission is referred to as pinching pressure. Increasing the pinching pressure can increase the torque capacity and avoid slipping, but on the other hand, more power than necessary to generate high pressure. There are inconveniences such as consumption or reduction in power transmission efficiency. Therefore, in general, the clamping pressure is set as low as possible within a range in which unintended slip does not occur.
[0004]
For example, in a vehicle equipped with a continuously variable transmission, the engine speed can be controlled by the continuously variable transmission to improve fuel efficiency. In order to improve the transmission efficiency as much as possible, the clamping pressure is controlled to be set as low as possible within a range where no slip occurs. For that purpose, it is necessary to detect the pressure at which slip starts (that is, the slip limit pressure), and conventionally, slip is detected by various methods, and the slip limit pressure is detected.
[0005]
As a device for detecting the slip, Patent Document 1 compares the actual speed ratio change rate with the theoretical speed ratio change rate, and if the actual speed ratio change rate is larger than the theoretical speed ratio change rate, the slip is generated. An apparatus is described which is configured to detect and increase the line pressure (the original pressure of the entire hydraulic apparatus that controls the transmission) based on the detection result.
[0006]
Patent Document 2 describes a method for determining a slip limit by changing a pressure-bonding force when conditions regarding a transmitted force, a speed, a transmission ratio, or a combination thereof are at least substantially constant.
[0007]
[Patent Document 1]
Japanese Patent Laid-Open No. 6-11022 (Abstract)
[Patent Document 2]
JP 2001-12593 A (Claims 1, 2, 6, 7)
[0008]
[Problems to be solved by the invention]
The theoretical gear ratio change rate described in the above-mentioned Patent Document 1 represents the tendency of change in the gear ratio up to the current time point. When belt slip occurs, the tendency of change in the gear ratio continues. As a result, there is a difference between the actual gear ratio change rate and the theoretical gear ratio change rate, and slip is detected by the comparison. Therefore, the slip is detected based on the state of the so-called past gear ratio before the current time. The same slip detection can be performed by estimating the current gear ratio and its changing speed based on the past gear ratio, and comparing the estimated value with the actual value.
[0009]
However, it is common to detect the slippage of a continuously variable transmission while the vehicle on which the continuously variable transmission is running is running. In this case, acceleration / deceleration is slightly caused by the road surface condition or the vehicle flow condition. Is done. If such acceleration / deceleration occurs, if slip is detected by comparison with values obtained from past data such as the above estimated values, a change in the gear ratio due to shift may be erroneously determined as slippage. There is.
[0010]
The present invention has been made paying attention to the above technical problem, and an object of the present invention is to provide a control device capable of accurately determining or detecting slipping and limit clamping pressure.
[0011]
[Means for Solving the Problem and Action]
  In order to achieve the above object, the present inventionIf the current gear ratio or gear ratio change speed is estimated from the previous gear ratio or gear ratio change speed, and slip is judged based on the estimated value, there is noWhen the required amount of downshift for the step transmission is large, the slip determination is not performed. More specifically, the invention of claim 1 is a gear shift prior to the current time point.Ratio or speed ratio change speed estimated based on the current speed changeEstimated value of speed ratio or gear ratio change speed and current gear ratio or speed change speedThe actual value of degree andIn the control device for a continuously variable transmission that determines slip by comparing the above, the estimation is performed when the required downshift amount for increasing the transmission ratio of the continuously variable transmission is large.For comparison between the actual value and the valueIt is a control device characterized by comprising slip determination stopping means for preventing the determination of slip based on.
[0012]
  Therefore, in the invention of claim 1, the past speed change is performed.Ratio and gear ratio change speedOn the basis of this, an estimated value of the gear ratio and the gear ratio changing speed is obtained, and the estimated value is compared with the current gear ratio and the gear ratio changing speed (that is, their actual values) to determine the slip of the continuously variable transmission. Is determined. If the downshift amount in the process of obtaining the estimated value or comparing the estimated value and the actual value or the downshift required amount that causes the downshift is large, the above estimation is performed. Slip determination based on the value is stopped. As a result, it is possible to avoid erroneously determining the change in the gear ratio and the gear ratio change speed accompanying the downshift as slipping, and the slip judgment accuracy is improved.
[0013]
  The invention of claim 2In a continuously variable transmission control device for determining slip by comparing an estimated value of a gear ratio or a gear ratio change speed based on a gear ratio before the current time point with a gear ratio or a gear ratio change speed at the current time point A slip determination stopping means for preventing the determination of slip based on the estimated value when a required downshift amount for increasing the transmission ratio of the continuously variable transmission is large;A slip determination means for determining the slip by reducing a clamping pressure for setting a torque capacity of the continuously variable transmission, a clamping pressure increasing means for gradually increasing the clamping pressure after the determination of the slip, and the slip Input torque control means for gradually reducing the input torque to the continuously variable transmission based on the establishment of the determination and then gradually increasing the input torque to complete the return of the input torque almost simultaneously with the convergence of the slip. It is the control apparatus characterized by the above.
[0014]
  Therefore, in the invention of claim 2,Based on the past gear ratio, an estimated value of the gear ratio and the gear ratio change speed is obtained, and the estimated value is compared with the current gear ratio and the gear ratio change speed (that is, their actual values). The slip of the continuously variable transmission is determined. If the downshift amount in the process of obtaining the estimated value or comparing the estimated value and the actual value or the downshift required amount that causes the downshift is large, the above estimation is performed. Slip determination based on the value is stopped. As a result, it is possible to avoid erroneously determining the change in the gear ratio and the gear ratio change speed accompanying the downshift as slipping, and the slip judgment accuracy is improved. Also pinchedWhen slippage due to a decrease in pressure is determined and the slip determination is satisfied, the clamping pressure is restored, the input torque is decreased once, and then gradually increased, and at the same time as the convergence of the slip is decreased. Return of the input torque is completed. As a result, a shock at the time of converging the slip generated by reducing the clamping pressure is prevented.
[0015]
Further, the invention of claim 3 is the invention of claim 2, further comprising limit clamping pressure detecting means for obtaining a limit clamping pressure that balances the input torque based on the clamping pressure at the time when the restoration of the input torque is completed. It is the control apparatus characterized by having.
[0016]
Therefore, in the invention of claim 3, the limit clamping pressure that matches the input torque is obtained based on the restored input torque. As a result, the limit clamping pressure is detected while preventing a shock.
[0021]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Next, the present invention will be described based on specific examples. First, an example of a drive system including a continuously variable transmission targeted by the present invention will be described. FIG. 3 schematically shows a drive mechanism including a belt type continuously variable transmission 1, and the continuously variable transmission. 1 is connected to a power source 5 via a forward / reverse switching mechanism 2 and a fluid transmission mechanism 4 with a lock-up clutch 3.
[0022]
The power source 5 is composed of an internal combustion engine, or an internal combustion engine and an electric motor, or an electric motor. In the following description, the power source 5 is referred to as the engine 5. The fluid transmission mechanism 4 has, for example, a configuration similar to that of a conventional torque converter, and includes a pump impeller rotated by the engine 5, a turbine runner disposed so as to face the pump impeller, and a stator disposed therebetween. The turbine runner is rotated by supplying a spiral flow of fluid generated by the pump impeller to the turbine runner, and the torque is transmitted.
[0023]
In such torque transmission through the fluid, inevitable slip occurs between the pump impeller and the turbine runner, and this causes a reduction in power transmission efficiency. Therefore, the input member such as the pump impeller and the turbine runner A lock-up clutch 3 that directly connects an output side member such as the above is provided. The lock-up clutch 3 is configured to be controlled by hydraulic pressure, and is controlled to a fully engaged state, a fully released state, and a slip state that is an intermediate state between them, and the slip rotation speed can be appropriately controlled. It has become.
[0024]
The forward / reverse switching mechanism 2 is a mechanism that is employed when the rotational direction of the engine 5 is limited to one direction, and outputs the input torque as it is or reversely outputs it. It is configured. In the example shown in FIG. 3, a double pinion type planetary gear mechanism is employed as the forward / reverse switching mechanism 2. That is, a ring gear 7 is arranged concentrically with the sun gear 6, and a pinion gear 8 meshed with the sun gear 6 and the pinion gear 8 and another pinion gear 9 meshed with the ring gear 7 are arranged between the sun gear 6 and the ring gear 7. The pinion gears 8 and 9 are held by the carrier 10 so as to rotate and revolve freely. A forward clutch 11 that integrally connects two rotating elements (specifically, the sun gear 6 and the carrier 10) is provided, and the direction of the torque that is output by selectively fixing the ring gear 7 There is provided a reverse brake 12 that reverses.
[0025]
The continuously variable transmission 1 has the same configuration as a conventionally known belt-type continuously variable transmission, and each of a driving pulley 13 and a driven pulley 14 arranged in parallel to each other includes a fixed sheave, a hydraulic type The movable sheave is moved back and forth in the axial direction by the actuators 15 and 16. Therefore, the groove width of each pulley 13 and 14 is changed by moving the movable sheave in the axial direction, and accordingly, the winding radius of the belt 17 wound around each pulley 13 and 14 (the effective diameter of the pulleys 13 and 14). ) Changes continuously, and the gear ratio changes steplessly. The drive pulley 13 is connected to a carrier 10 that is an output element in the forward / reverse switching mechanism 2.
[0026]
The hydraulic actuator 16 in the driven pulley 14 is supplied with hydraulic pressure (line pressure or its correction pressure) according to the torque input to the continuously variable transmission 1 via a hydraulic pump and a hydraulic control device (not shown). Yes. Therefore, each sheave in the driven pulley 14 holds the belt 17 so that tension is applied to the belt 17, and a holding pressure (contact pressure) between the pulleys 13, 14 and the belt 17 is ensured. . On the other hand, the hydraulic actuator 15 in the drive pulley 13 is supplied with pressure oil corresponding to the speed ratio to be set, and is set to a groove width (effective diameter or winding diameter) corresponding to the target speed ratio. It has become.
[0027]
The driven pulley 14 is connected to a differential 19 through a gear pair 18, and torque is output from the differential 19 to driving wheels 20. Therefore, in the above drive mechanism, the lockup clutch 3 and the continuously variable transmission 1 are arranged in series between the engine 5 and the drive wheels 20.
[0028]
Various sensors are provided in order to detect the operation state (running state) of the vehicle on which the continuously variable transmission 1 and the engine 5 are mounted. That is, a turbine rotation speed sensor 21 that detects an input rotation speed (rotation speed of the turbine runner) to the continuously variable transmission 1 and outputs a signal, and an input rotation speed that detects the rotation speed of the drive pulley 13 and outputs a signal. A sensor 22, an output rotation speed sensor 23 that detects the rotation speed of the driven pulley 14 and outputs a signal, and a hydraulic pressure sensor 24 that detects the pressure of the hydraulic actuator 16 on the driven pulley 14 side for setting the belt clamping pressure are provided. ing. Although not specifically shown, an accelerator opening sensor that detects a depression amount of the accelerator pedal and outputs a signal, a throttle opening sensor that detects a throttle valve opening and outputs a signal, and a brake pedal are depressed. A brake sensor or the like that outputs a signal in case is provided.
[0029]
A transmission is used to control the engagement / release of the forward clutch 11 and the reverse brake 12, the control of the clamping force of the belt 17, the control of the transmission ratio, and the control of the lockup clutch 3. An electronic control device (CVT-ECU) 25 is provided. The electronic control unit 25 is configured mainly by a microcomputer as an example, performs calculations according to a predetermined program based on input data and data stored in advance, and various states such as forward, reverse, or neutral, Further, it is configured to execute control such as setting of a required clamping pressure, setting of a gear ratio, engagement / release of the lock-up clutch 3, and slip rotation speed.
[0030]
Here, an example of data (signal) input to the transmission electronic control unit 25 is as follows: a signal of the input rotation speed (input rotation speed) Nin of the continuously variable transmission 1 and an output of the continuously variable transmission 1. A signal of the rotational speed (output rotational speed) No is input from the corresponding sensor. An engine electronic control unit (E / G-ECU) 26 that controls the engine 5 receives an engine speed Ne signal, an engine (E / G) load signal, and an accelerator pedal (not shown) depression amount. An accelerator opening signal is input.
[0031]
According to the continuously variable transmission 1, the engine speed, which is the input speed, can be controlled steplessly (in other words, continuously), so that the fuel efficiency of a vehicle equipped with the engine speed can be improved. For example, the target driving force is obtained based on the required driving amount represented by the accelerator opening and the vehicle speed, and the target output necessary to obtain the target driving force is obtained based on the target driving force and the vehicle speed. The engine speed for obtaining the target output with the optimum fuel consumption is obtained based on a map prepared in advance, and the gear ratio is controlled so as to be the engine speed.
[0032]
In order not to impair such an improvement in fuel consumption, the power transmission efficiency in the continuously variable transmission 1 is controlled to a good state. Specifically, the belt clamping pressure as low as possible within a range in which the torque capacity of the continuously variable transmission 1, that is, the belt clamping pressure, can transmit the target torque determined based on the engine torque and the belt 17 does not slip, That is, the clamping pressure is controlled by adding a predetermined pressure to the limit clamping pressure that matches the input torque. Such so-called reduction control of the clamping pressure is executed in a state where the possibility of disturbance is low, specifically, in a state where the vehicle is traveling on a flat good road without particularly accelerating or decelerating, and is traveling on a bad road. In a state where the vehicle is greatly accelerated or decelerated, the clamping pressure is set to a relatively high pressure such as a line pressure.
[0033]
The clamping pressure set by the lowering control is the pressure corresponding to the so-called road surface input that is expected to be input from the output side according to the road surface condition to the limit clamping pressure that can transmit the input torque without causing the slip. The pressure is set to a predetermined pressure that allows for safety against slipping. The predetermined pressure can be set in advance, but the slip limit pressure is influenced by the coefficient of friction and the condition of the lubricating oil, which can change over time, and cannot be uniquely set in advance. Is preferably set.
[0034]
The control device according to the present invention for the continuously variable transmission 1 shown in FIG. 3 is configured to detect slipping and a limit clamping pressure as follows, and to set the clamping pressure based on the detection result. Has been. That is, FIG. 1 is a flowchart showing an example of the control, and this flowchart is repeatedly executed every predetermined short time.
[0035]
In FIG. 1, first, the flag F is determined (step S1). This flag F is set to “1” when the occurrence of slippage in the continuously variable transmission 1 is determined, and is set to “2” when the pinching pressure is increased after the occurrence of slippage is determined. It is a flag and is initially set to “0”.
[0036]
Therefore, at the beginning of the routine of FIG. 1, the determination of “F = 0” is established in step S1, and it is determined whether or not the control precondition is satisfied (step S2). In order to detect the limit clamping pressure, the torque acting on the continuously variable transmission 1 needs to be stable. Therefore, the precondition in step S2 is that the high-speed cruise is being performed while loading on a flat good road. The final correction of the clamping pressure corresponding to the input torque at that time is not completed. The determination of a good road can be made, for example, by the absence of an input determination from the road surface side, and the determination of being in high-speed cruising during road loading is based on, for example, the torque of the driven pulley 14 and the rotational acceleration. I can judge.
[0037]
If a positive determination is made in step S2 because the control precondition is satisfied, a clamping pressure gradual decrease command for gradually decreasing the clamping pressure with a predetermined gradient is output (step S3). This is, for example, control for gradually changing the duty ratio of a duty solenoid valve that controls the hydraulic pressure with respect to the actuator 16 on the driven pulley 14 side.
[0038]
Further, when the control precondition is satisfied, a differential value (or an amount of change from the previous value) of the speed ratio γ is obtained, and the moving average process is performed to calculate the moving average value Δγ (step S4). The average value may be obtained instead of the moving average value. Next, it is determined whether the amount of depression of the accelerator pedal from the current time point to a time before the predetermined time is equal to or less than a predetermined value (step S5). Since the accelerator pedal is depressed to increase the driving force, it is determined in step S5 that a request for increasing the driving force has been made, and in order to increase the driving force, a downshift that lowers the gear ratio is executed. Therefore, in step S5, it is determined whether the downshift amount or the downshift request amount is large or small.
[0039]
If the amount of depression of the accelerator pedal is equal to or less than a predetermined value, the downshift amount or the downshift request amount is small, and if the determination in step S5 is affirmative, the moving average value Δγ before the predetermined time is used. The threshold value for slip determination is corrected (step S6). This is to prevent changes in the gear ratio change speed due to slipping from being taken into the estimated value of the gear ratio change speed, and thus the threshold value is corrected by the average value of the speed ratio change speed in the past specific section. It is good to do.
[0040]
As described above, since data for a predetermined time period or a specific section in the past is used for slip determination, if the gear ratio changes due to a downshift due to an increase in the requested amount of drive, the change in the gear ratio change speed due to the shift and the change due to the slip are It becomes impossible to distinguish. In order to avoid such inconvenience, the determination in step S5 is performed.
[0041]
After the determination threshold value is corrected in step S6, macro slip determination is performed (step S7). In the continuously variable transmission 1, torque is transmitted with inevitable minute slip (so-called micro slip), but slip exceeding this is a cause of mechanical damage of the continuously variable transmission 1 or a decrease in durability. Become. The macro slip is such a slip state. In step S7, the estimated value of the gear ratio and the gear ratio changing speed based on the gear ratio and the gear ratio changing speed before the current time point, and the actual values at the current time point and It is determined whether or not the difference is larger than the corrected threshold value.
[0042]
If a negative determination is made in step S7 because no macro slip has occurred, this routine is temporarily exited. On the contrary, if a positive determination is made in step S7 due to the occurrence of macro slip, that is, if the determination of slip is established, the flag F is set to “1”, and the slip start time and A slip speed is specified (step S8). The slip start time is a time point before the current time point, and the difference between the estimated value of the gear ratio γ or the gear ratio change speed Δγ and one of these actual values is determined in step S7. It is specified as the time when a predetermined value smaller than the value is exceeded. The slip speed is obtained based on the difference between the estimated gear ratio and the actual gear ratio.
[0043]
In addition, when the slip determination is established, a gradual increase command for the clamping pressure (step S9) and an engine torque (Te) down command (step S10) for reducing the input torque are output. The gradual increase of the clamping pressure is control for gradually increasing the clamping pressure with a predetermined gradient. Instead of this gradual increase control of the clamping pressure, control for holding the clamping pressure at the pressure at that time may be executed.
[0044]
Further, the engine torque reduction is executed by, for example, retarding control of the ignition timing of the engine 5, and the amount thereof is an estimated speed change ratio at the time when it is specified that the actual slip has started before the time when the slip determination is established. And a function of a difference Δγ ′ between the estimated speed ratio change speed and the actual speed ratio change speed. Since there is an unavoidable delay in engine torque down control, the engine torque down command may be held for a predetermined time.
[0045]
Next, it is determined whether or not the slip has converged (step S11). Specifically, the determination can be made based on whether or not the difference Δγ ′ between the estimated gear ratio and the actual gear ratio has become equal to or less than a predetermined value set as a criterion.
[0046]
If a negative determination is made in step S11, the slip has not converged, so the routine is temporarily exited. In this case, since the flag F is set to “1”, the determination of “F = 1” is established in step S1, and as a result, the process immediately proceeds to step S9, and the gradually increasing control of the clamping pressure is continued.
[0047]
On the other hand, if the determination is affirmative in step S11 because the slip has converged, the pinching pressure map is corrected (step S12). That is, the clamping pressure to be reduced when the vehicle driving state such as the steady running state is stable is determined as a map according to the input torque and the gear ratio. In step S12, the actual hydraulic pressure at the start of the clamping pressure reduction is determined. The map is corrected with a value obtained by converting the difference from the actual hydraulic pressure when the slip determination is established into a hydraulic pressure command value. More specifically, the necessary clamping pressure is obtained by adding the road surface input-corresponding portion (that is, the pressure that anticipates the predetermined safety) to the limit clamping pressure that is balanced with the pressure at which the slip starts, that is, the input torque, and is mapped according to the necessary clamping pressure Change the value.
[0048]
Since the slip has converged, the return gradient of the clamping pressure is increased (step S13). Further, the flag F is set to “2”, and a command for reducing the engine torque reduction amount to zero is output (step S14). Since the slip has converged, the engine torque down amount obtained by the above-described function becomes zero, but in order to ensure, the command in step S14 is output.
[0049]
  Further, it is determined whether or not the clamping pressure has reached an appropriate level (appropriate pressure) (step S15). If a negative determination is made in step S15, the routine is temporarily exited. In that case, flag F is set to "2"ItSince the determination of “F = 2” is established in step S1, the process immediately proceeds to step S13, and the clamping pressure return control is continued. On the other hand, when a positive determination is made in step S15, the flag F and the temporarily stored (stored) value are cleared to end the control (step S16).
[0050]
If a negative determination is made in step S5 because the amount of depression of the accelerator pedal exceeds a predetermined value, the limit pinching pressure detection control based on the drop of the pinching pressure is stopped at that point. In other words, the stored value is cleared, the return control of the reduced clamping pressure is executed, the clamping pressure corresponding to the input torque region at that time is determined according to the control progress state, and the map value is changed. The
[0051]
That is, the amount of change in the gear ratio increases due to the large amount of downshift required, and this causes an error in slip detection, so control is stopped, but at that time, no slip occurs even if the clamping pressure is reduced. Therefore, the clamping pressure can be reflected in the clamping pressure reduction control in the steady running state or the quasi-steady running state. Therefore, the map value is changed based on the pinching pressure at that time.
[0052]
Changes in the clamping pressure, engine torque, shift command value, etc. when the above control is executed during downshifting are shown in the time chart of FIG. In FIG. 2, the change in the gear ratio and the change speed in the case of upshifting are indicated by broken lines.
[0053]
When the control start condition is satisfied at time A, a command for gradually decreasing the clamping pressure is output, and as a result, the actual clamping pressure starts to decrease after a predetermined time. In the process, a differential value of the gear ratio and a moving average value are obtained. When the accelerator pedal is depressed at a predetermined time B while the pinching pressure is reduced and the accelerator opening is increased, a gear change command is output and the gear ratio changing speed is increased. Control is continued when the change amount ΔPa of the accelerator opening is equal to or less than a predetermined value.
[0054]
When slippage occurs due to a decrease in the clamping pressure (at time C), the actual gear ratio and the actual gear ratio change rate increase, so the difference from these estimated values gradually increases, and the difference exceeds the threshold value. If it exceeds (D point), the determination of slip is established. As a result, a command for gradually increasing the clamping pressure is output, and a command for reducing engine (E / G) torque (input torque) (down command) is output.
[0055]
For example, if the change amount ΔPa of the accelerator opening exceeds a predetermined value during a predetermined time t1 before reaching the time point D, a negative determination is made in step S5 described above, and the control is stopped. Instead of the change amount of the accelerator opening exceeding the predetermined value ΔPa, the current shift command value is greater than or equal to the predetermined value D1 on the downshift side, and the shift command value change amount during the predetermined time t1 is Control may be stopped based on the fact that the value is equal to or greater than the predetermined value ΔD1 on the down side.
[0056]
When engine torque reduction control is executed by ignition timing retardation control, the response is good, so the engine torque immediately decreases, and as a result, the slip tends to converge. That is, the once-increasing gear ratio starts to decrease or stops increasing, and the gear ratio changing speed starts to decrease. Further, the actual clamping pressure starts to increase after a predetermined time from the start of outputting the clamping pressure gradual increase command. This is time E in FIG.
[0057]
Since the actual clamping pressure increases in conjunction with the engine torque reduction control being executed, the slip converges at time F after a predetermined time. As described above, the engine torque reduction amount is set according to the difference between the actual value and the estimated value of the gear ratio or the gear ratio changing speed. When the difference disappears, the engine torque reduction amount becomes zero. In addition, in order to ensure certainty, a command for reducing the engine torque reduction amount to zero is output. As a result, the time when the slip is converged by the gradual increase of the clamping pressure and the time when the engine torque reduction amount becomes zero, that is, the restoration of the clamping pressure and the restoration of the input torque are simultaneously established. At the same time, the gradient of return of the clamping pressure is increased. As a result, the safety against slipping can be quickly improved.
[0058]
According to the control device of the present invention configured to execute the above-described control, the amount of downshift required by the accelerator pedal being depressed in the process of obtaining the estimated value of the gear ratio or the gear ratio change speed. Since the change in the gear ratio due to the downshift becomes a disturbance to the slip determination and causes an erroneous determination, the slip determination control is stopped. In other words, since slip is determined without any erroneous determination factor, slip determination accuracy is improved. Further, by correcting the control amount such as the map value of the clamping pressure based on the clamping pressure at the time of the cancellation, it is possible to improve the accuracy of the so-called reduction control of the clamping pressure.
[0059]
Furthermore, since the slip determination is established and the gradual increase command for the clamping pressure is output, the input torque reduction control is executed at the same time, so that the slip after the slip determination is established can be effectively suppressed or prevented, and the nip pressure is increased. Thus, it is possible to suppress or prevent a shock caused by the inertial force at the time when the slip is converged. Then, by matching the time points of the recovery of the pinching pressure, that is, the convergence of the slip accompanying the increase of the pinching pressure and the return of the input torque, the input torque at that time point and the limit pinching pressure commensurate with it can be obtained. That is, since the engine torque down amount is zero, the engine output torque can be obtained based on the engine load and the like, and the actual clamping pressure at the time when the slip has converged can be known from the output value of the sensor. From the corresponding relationship, the limit clamping pressure can be estimated on the convergence side of the slip.
[0060]
  Here, the relationship between the above specific example and the present invention will be briefly described. The functional means of step S5 described above corresponds to the slip determination stopping means of the present invention, and the functional means of step S7 is the function of the present invention. The functional means in step S9 corresponds to the slip determining means, the clamping pressure increasing means in the present invention, the functional means in step S10 corresponds to the input torque control means in the present invention, and the functional in step S12. The means corresponds to the limit clamping pressure detecting means of the present invention.The
[0061]
Note that the present invention is not limited to the above specific example, and the continuously variable transmission in the present invention may be a toroidal (traction type) continuously variable transmission in addition to the belt-type continuously variable transmission. Further, the present invention can be applied not only to the slip generated by reducing the clamping pressure but also to detecting the slip during the normal operation of the continuously variable transmission. Further, the requested downshift amount in the present invention may be a change amount on the load increase side of the power source, may be a requested amount from a control device that maintains the vehicle speed at a set value, and further, a shift command. It may be the amount of change on the downshift side of the value. The determination of slip in the present invention is a determination of the state of slip, and thus includes not only determination of the start of slip but also determination of a state immediately before the start of slip or a sign of slip.
[0062]
【The invention's effect】
  As explained above, according to the invention of claim 1Change from the gear ratio before the current time point or the speed change speed to the current time point.Obtain an estimate of the speed ratio or speed change ratio, orIs the guessWhen the downshift amount in the process of comparing the constant value with the actual value and the downshift request amount such as the drive request amount that causes the downshift are large, the judgment of slip based on the above estimated value is canceled. Therefore, it is possible to avoid erroneously determining a change in the gear ratio and the gear ratio changing speed associated with the downshift as slipping, thereby improving the slip determination accuracy.
[0063]
  According to the invention of claim 2,The downshift required amount such as the downshift amount in the process of obtaining the estimated value of the gear ratio and the changing speed of the gear ratio, or comparing the estimated value with the actual value, and the requested amount of drive that causes the downshift If it is large, the slip judgment based on the above estimated value is canceled, so that it is possible to avoid erroneously judging the change of the gear ratio and the speed change speed associated with the downshift as slip and improve the slip judgment accuracy. Can also be made smoothSince the return of the input torque is completed almost simultaneously with the convergence of the slip, it is possible to prevent a shock when the slip caused by reducing the clamping pressure is converged.
[0066]
According to the fifth aspect of the present invention, since the clamping pressure reduced to cause the slip is increased with a relatively large gradient after the convergence of the slip, the slip can be prevented from occurring again. At the same time, when the input torque is reduced in order to converge the slip, the input torque can be quickly restored, and as a result, a delay in returning the output torque of the continuously variable transmission can be prevented.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a flowchart for explaining an example of control by a control device of the present invention.
FIG. 2 is a time chart when the control of FIG. 1 is executed.
FIG. 3 is a diagram schematically showing an example of a drive mechanism including a continuously variable transmission targeted by the present invention.
[Explanation of symbols]
DESCRIPTION OF SYMBOLS 1 ... Continuously variable transmission, 5 ... Engine (power source), 13 ... Drive pulley, 14 ... Driven pulley, 17 ... Belt, 20 ... Drive wheel, 25 ... Electronic control unit for transmission (CVT-ECU), 26 ... Electronic control unit for engine (E / G-ECU).

Claims (3)

現在時点より以前の変速比もしくは変速比変化速度に基づいて推定される現在時点の変速比もしくは変速比変化速度の推定値と、現在時点の変速比もしくは変速比変化速度の実際値とを比較して滑りの判定をおこなう無段変速機の制御装置において、
前記無段変速機の変速比を増大させるダウンシフト要求量が大きい場合に前記推定値と前記実際値との比較に基づく滑りの判定をおこなわないようにする滑り判定中止手段を備えていることを特徴とする無段変速機の制御装置。
The estimated value of the variable speed ratio or gear ratio rate of change of the current time estimated based on the previous gear ratio or speed ratio change rate than the current time point, the actual value of the gear ratio or speed ratio variation speed of the current point in time In a control device for a continuously variable transmission that determines slippage by comparison,
A slip determination stopping means for preventing a slip determination based on a comparison between the estimated value and the actual value when a required downshift amount for increasing the transmission ratio of the continuously variable transmission is large. A control device for a continuously variable transmission.
現在時点より以前の変速比に基づく変速比もしくは変速比変化速度の推定値と、現在時点の変速比もしくは変速比変化速度とを比較して滑りの判定をおこなう無段変速機の制御装置において、
前記無段変速機の変速比を増大させるダウンシフト要求量が大きい場合に前記推定値に基づく滑りの判定をおこなわないようにする滑り判定中止手段と、
記無段変速機のトルク容量を設定する挟圧力を低下させて前記滑りを判定する滑り判定手段と、
前記滑りの判定の成立後に前記挟圧力を徐々に増大させる挟圧力増大手段と、
前記滑りの判定の成立に基づいて前記無段変速機に対する入力トルクを低下させた後、その入力トルクを漸増して前記滑りの収束とほぼ同時に入力トルクの復帰を完了させる入力トルク制御手段と
を更に備えていることを特徴とする無段変速機の制御装置。
In a control device for a continuously variable transmission that determines slip by comparing an estimated value of a gear ratio or a gear ratio change speed based on a gear ratio before the current time point with a gear ratio or a gear ratio change speed at the current time point,
Slip determination stopping means for preventing the determination of slip based on the estimated value when a required downshift amount for increasing the transmission ratio of the continuously variable transmission is large;
A slippage determination means that determines the slip lowering the clamping pressure to set the torque capacity before Symbol CVT,
Clamping pressure increasing means for gradually increasing the clamping pressure after establishment of the slip determination;
Input torque control means for gradually reducing the input torque for the continuously variable transmission based on the determination of the slip and then gradually increasing the input torque to complete the return of the input torque almost simultaneously with the convergence of the slip. further comprising that has control of the continuously variable transmission you characterized.
前記入力トルクの復帰が完了した時点の挟圧力に基づいて入力トルクに釣り合う限界挟圧力を求める限界挟圧力検出手段を更に備えていることを特徴とする請求項2に記載の無段変速機の制御装置。The continuously variable transmission according to claim 2 , further comprising limit clamping pressure detecting means for obtaining a limit clamping pressure that is balanced with the input torque based on the clamping pressure at the time when the restoration of the input torque is completed. Control device.
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