JP4411005B2 - 成形性に優れた高強度熱延鋼板 - Google Patents

成形性に優れた高強度熱延鋼板 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、卓越した伸びと伸びフランジ性を発揮する成形性に優れた高強度熱延鋼板に関するものであり、様々な産業分野の鋼部材に使用できるが、特にその優れた成形性を活かして自動車部品、例えばメンバー類やアーム類などの足周り部品やシャーシなどの材料として有効に活用できる。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車や産業機械等の分野では部材軽量化の要望が強く、それに伴い高強度熱延鋼板の要望が増大している。特に、自動車用として使用される鋼板には、最終部品としての高強度が求められるとともに、複雑形状に容易に加工できる高い成形性が必要とされ、特に高レベルの伸びおよび伸びフランジ性(穴拡げ性)を発揮することが要求される。
【0003】
従来より高強度鋼板として、金属組織を複合組織とし、フェライト組織中にマルテンサイト組織を導入したDual Phase鋼板や、ベイナイト組織の導入されたフェライト−ベイナイト鋼板が一般に知られている。また近年では、その組織中に残留オーステナイトを導入することによって、伸びを高める方法も提案されている。
【0004】
伸びフランジ性向上の観点からは、組織において母相と強度の異なる第2相(ベイナイトやマルテンサイト)を存在させないことや、加工成形中に亀裂発生の起点となる介在物を極力存在させないことが好ましい。しかし、上記フェライト−ベイナイト複合組織は、低強度のポリゴナルフェライトと比較的強度の高いベイナイトといった強度の異なる2相が混在するものであり、優れた伸びフランジ性を期待できない。また、上記複合組織で高強度化を図るべくベイナイト相を硬質化すると、該ベイナイト相中に存在する介在物が亀裂発生の起点となり易く、結果として伸びフランジ性を高めることができない。
【0005】
伸びフランジ性を改善するその他の技術として、特許文献1には、成分組成を規定するとともに、組織をベイニティック・フェライト組織、またはフェライトとベイニティック・フェライト組織からなる組織とすることが提案されている。
【0006】
前記ベイニティック・フェライト組織は、ベイナイト組織が転位密度の高いラス状組織を持った下部組織を有するものであり、該組織中に介在物が存在する場合でも、前記フェライト−ベイナイト鋼(ベイニティック・フェライト組織と強度が同程度のもの)のベイナイト相中に介在物が存在する場合より亀裂が生じ難い。従って、前記フェライト−ベイナイト鋼より伸びフランジ性を幾分高めることが可能である。
【0007】
また特許文献2には、組織をアシキュラー・フェライトとし、かつ微細なTiCやNbCを析出させる方法が提案されている。
【0008】
これらの技術では、強度と伸びフランジ性の両特性について一応の改善効果が得られている。しかし伸びについては、引張強度800MPaレベルの鋼板で約18%程度までが限界であり、今後の需要者の要望を満足させるには、伸びおよび伸びフランジ性がともに良好で、一段と優れた成形性を発揮し得る高強度熱延鋼板を開発する必要がある。
【0009】
【特許文献1】
特開平6−172924号公報 (第1頁)
【特許文献2】
特開平7−11382号公報 (第1頁)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、優れた伸びおよび伸びフランジ性を発揮する成形性に優れた高強度熱延鋼板を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る成形性に優れた高強度熱延鋼板とは、質量%で(以下同じ)、
C :0.015〜0.10%、
Si:2%以下(0%を含まない)、
Mn:2%以下(0%を含まない)、
Ti:0.08〜0.2%
を満たし、組織がグラニュラー・ベイニティック・フェライトであり、かつ
円相当直径0.03μm未満の析出物が5×106個/mm2以上で、
円相当直径0.03μm以上の析出物が2×106個/mm2以下であるところに特徴を有する。本発明の高強度熱延鋼板は、更に他の元素として、
Nb:0.1%以下(0%を含まない)、
Cu:0.3%以下(0%を含まない)、
Ni:0.3%以下(0%を含まない)、
Cr:1%以下(0%を含まない)、
Mo:1%以下(0%を含まない)
B :0.003%以下(0%を含まない)の1種以上を含んでいてもよく、また更に他の元素として、
Ca:0.003%以下(0%を含まない)および/または
REM:0.1%以下(0%を含まない)
を含んでいてもよい。尚、本発明の鋼板は、組織が前記グラニュラー・ベイニティック・フェライトからなるものであるが、該組織中には、不可避的に生成することのある微量の他相が含まれていてもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、前述した様な状況の下で様々な角度から検討を行った。その結果、ミクロ組織(以下、単に「組織」という)および化学成分を規定するとともに、特に析出物のサイズと個数を制御すれば、伸びフランジ性および伸びを共に高めて成形性に優れた高強度熱延鋼板が得られることを見出し、上記本発明に想到した。以下、本発明で析出物のサイズ・個数、組織および化学成分を規定した理由について詳述する。
【0013】
本発明は、鋼板の組織をグラニュラー・ベイニティック・フェライトの単相組織とすることを要件とする。上述の通り複合組織よりも単相組織とすることで、伸びおよび伸びフランジ性を飛躍的に向上できるからである。また組織をグラニュラー・ベイニティック・フェライトとしたのは、その他のベイニティック・フェライト等と比較して、母材強度も確保しつつ、優れた伸びを確保するのに大変有効だからである。
【0014】
尚、本発明のグラニュラー・ベイニティック・フェライト組織は、光学顕微鏡やSEM観察ではアシキュラー状を呈しており、明確な違いを判定するにはTEM観察による下部組織の同定が必要となる。
【0015】
グラニュラー・ベイニティック・フェライト組織は、ベイニティック・フェライト組織と比較して転位密度がやや低い下部組織を有している。またグラニュラー・ベイニティック・フェライト組織は、その内部に炭化物を有していない点で、ベイナイト組織とは明らかに異なり、転位密度がないか或いは極めて少ない下部組織を有するポリゴナルフェライト、または細かいサブグレイン等の下部組織を有する準ポリゴナルフェライト組織とも異なっている(日本鉄鋼協会 基礎研究会 発行 『鋼のベイナイト写真集−1』参照)。
【0016】
グラニュラー・ベイニティック・フェライト組織は、ベイニティック・フェライト組織に比べて転位密度がやや低いため、上述の通り伸びの向上には有効である。しかし800MPa以上の高強度を確実に達成するには、組織をグラニュラー・ベイニティック・フェライトとするだけでは十分でないことがわかった。そこで更に改良研究を進めた結果、グラニュラー・ベイニティック・フェライト組織の粒内または粒界に、析出物を特定量析出させることで、高レベルの伸びフランジ性と伸びを確保しつつ強度を飛躍的に高めることに成功した。
【0017】
即ち本発明では、上記組織の粒内または粒界に、円相当直径0.03μm未満の析出物を5×106個/mm2以上存在させると共に、円相当直径0.03μm以上の析出物を2×106個/mm2以下に抑えることを必須とする。
【0018】
前記円相当直径0.03μm未満の微細な析出物を、上記規定量存在させることによって、伸びや伸びフランジ性を低下させることなく析出硬化を十分に図ることができ、800MPa以上の高強度を達成できる。前記円相当直径0.03μm未満の析出物は、6×106個/mm2以上存在させると、良好な伸びおよび伸びフランジ性を維持したまま強度を更に向上できるので望ましい。
【0019】
尚、本発明では、後述する実施例に示す通り画像解析法で上記析出物のサイズを求めるが、該画像解析で測定された析出物の最小面積は0.0002μm2程度であるので、対象とする析出物は、円相当直径が約0.015μm以上のものとなる。
【0020】
一方、円相当直径0.03μm以上の析出物は、上記の通り2×106個/mm2以下に抑える。粗大な析出物が存在すると、伸びおよび伸びフランジ性が劣化し、加工時に該介在物を起点とする割れ等が生じるおそれがあるからである。上記単相組織とすることで得られる優れた伸びを維持するには、この円相当直径0.03μm以上の析出物を1.8×106個/mm2以下に抑えることが好ましい。
【0021】
尚、本発明は上記析出物の種類について特に限定するものでなく、例えばTiC、(Ti,Nb)C、Ti(C,N)、Al23、TiS、BN等の炭化物、窒化物、炭・窒化物、酸化物、硫化物、ほう化物等の析出物を対象に、そのサイズ・個数を制御すればよい。
【0022】
次に本発明で成分組成を規定した理由について説明する。
【0023】
C:0.015〜0.10%
Cは、強度向上に必須の元素であり、またグラニュラー・ベイニティック・フェライト組織の形成にも必要な元素である。これらの効果を発揮させるには、Cを0.015%以上含有させるのがよく、好ましくは0.03%以上である。一方、C量が過剰になると、マルテンサイト組織が生成して延性が低下しやすくなるので、0.10%以下、好ましくは0.09%以下に抑える。
【0024】
Si:2%以下(0%を含まない)
Siは、伸びフランジ性を劣化させることなく強度を向上させるのに有効な元素であり、0.5%以上含有させることが好ましい。しかし過剰に含有させると、ポリゴナルフェライトが生成しやすくなり、意図するレベルの強度を確保できなくなる。また、表面性状を劣化させる原因ともなるので、Si量は2%以下、好ましくは1%以下に抑える。
【0025】
Mn:2%以下(0%を含まない)
Mnは、固溶強化元素として作用し、またグラニュラー・ベイニティック・フェライトへの変態を促進させるのに有効な元素である。この様な観点から、Mnは1%以上含有させるのが好ましいが、過剰になると、必要以上に焼入れ性が高くなり、変態生成物が多量に生じて伸びフランジ性が劣化する。従って、Mnは2%以下に抑える必要があり、好ましくは1.8%以下に抑える。
【0026】
Ti:0.08〜0.2%
Tiは、熱延終了後の冷却時にポリゴナルフェライトが生成するのを抑制し、グラニュラー・ベイニティック・フェライトの生成を促進する有効な元素である。また、炭化物や窒化物等の析出物を形成して析出硬化による強度向上にも寄与する。この様な効果を発揮させるには0.08%以上(好ましくは0.12%以上)のTiを含有させる必要がある。一方、Ti量が過剰になると、熱間加工組織が残り易くなり、また、析出物が過剰に析出して伸びフランジ性の劣化を招くおそれもあるので0.2%以下に抑える。好ましくは0.16%以下である。
【0027】
本発明で規定する元素は、上記の通りであり、残部成分は実質的にFeであるが、微量の不可避不純物の含有が許容されるのは勿論のこと、前記本発明の作用に悪影響を与えない範囲で、更に下記の元素を積極的に含有させることも可能である。
【0028】
Nb:0.1%以下(0%を含まない)
Nbは、熱延終了後の急冷時におけるポリゴナル・フェライトの形成を抑え、かつ微細組織を形成するのに有効な元素である。この様な効果を発現させるには、Nbを0.02%以上含有させることが好ましい。しかし過剰に含有させると、析出物が過剰に析出して伸びフランジ性が劣化するので、0.1%以下に抑えるのがよい。より好ましくは0.08%以下である。
【0029】
Cu:0.3%以下(0%を含まない)
Cuは、固溶強化作用を有するとともに、疲労特性の向上にも寄与する元素である。この様な効果を発揮させるには、Cu含有量を0.1%以上とするのがよい。しかしCu量が多過ぎると、へげ疵等の表面欠陥を生ずる原因となるので、0.3%以下に抑えるのがよい。より好ましくは0.25%以下である。
【0030】
Ni:0.3%以下(0%を含まない)
Niは、上記Cu含有によるへげ疵等の表面欠陥の発生を抑制するのに有効な元素である。この様な効果を発現させるには、Cu含有量にもよるが0.1%以上(より好ましくは0.15%以上)のNiを含有させればよい。しかしNiが過剰になると、コストが高くつくといった問題が生ずるため、0.3%以下に抑えるのが好ましい。より好ましくは0.2%以下である。
【0031】
Cr:1%以下(0%を含まない)
Crは、固溶強化元素として有効に作用し、またグラニュラー・ベイニティック・フェライトへの変態を促進させる元素でもある。この様な効果を発揮させるには、Crを0.1%以上含有させてもよいが、過剰になると、マルテンサイト組織等の低温変態生成物が多量に生成し、伸びを劣化させるので、1%以下に抑えるのがよい。より好ましくはCrを0.5%以下に抑える。
【0032】
Mo:1%以下(0%を含まない)
Moは、焼入れ性を向上させるのに有効な元素であり、0.2%以上含有させてもよいが、過剰になると、伸びが劣化するので1%以下に抑えるのがよい。より好ましくは0.8%以下に抑える。
【0033】
B:0.003%以下(0%を含まない)
Bは、焼入れ性を向上させてグラニュラー・ベイニティック・フェライト組織を確保するのに有効な元素である。この様な効果を発揮させるには、Bを0.001%以上含有させるのがよい。しかし、Bを過剰に含有させてもその効果は飽和するので、0.003%を超える添加は無駄である。
【0034】
Ca:0.003%以下(0%を含まない)、および/または
REM:0.1%以下(0%を含まない)
CaやREM(希土類元素)は、硫化物を球状化させて伸びフランジ性を向上させるのに有効な元素である。この様な効果を発揮させるには、Caを0.001%以上、REMを0.01%以上含有させるのが好ましい。しかし、これらの元素を過剰に含有させても効果は飽和するので、Ca量の上限を0.003%、REM量の上限を0.1%と定めた。
【0035】
本発明の高張力熱延鋼板は、この様に析出物のサイズ・個数、成分組成および組織を規定したところに特徴を有するものであり、その製造方法については特に限定されない。従って本発明の鋼板は、通常行われている方法で鋼を溶製し、例えば以下の条件で熱間圧延等を行って得ることができる。
【0036】
<熱間圧延時の条件>
最終パス圧延率:12%以上
最終パス終了温度:900℃以上
開始温度と終了温度との差:100℃以下
<圧延後の冷却条件(2段冷却を行う場合)>
圧延終了時から1次冷却開始までの所要時間:2秒以内
一次冷却速度:50℃/秒以上
一次冷却停止温度:610〜680℃
中間空冷時間:4〜13秒
中間空冷温度:610〜680℃
二次冷却速度:50℃/秒以上
巻き取り温度:320〜520℃
尚、本発明で規定する析出物のサイズ・個数となるよう制御するには、最終パス圧延率、熱間圧延の開始温度と終了温度との差、一次冷却速度、中間空冷速度、巻き取り温度等を制御することが推奨され、例えば上記製造条件において、最終パス圧延率を12%以上、開始温度と終了温度との差を100℃以下、一次冷却速度を50℃/秒以上、中間空冷温度を610〜680℃、巻き取り温度を320〜520℃等とするのがよい。
【0037】
また、本発明で規定するグラニュラー・ベイニティック・フェライト組織がほぼ全量を占める組織とするには、最終パス圧延率、圧延終了時から1次冷却開始までの所要時間、一次冷却速度、巻き取り温度等を制御することが推奨され、例えば上記製造条件において、最終パス圧延率を12%以上、圧延終了時から1次冷却開始までの所要時間を2秒以内、一次冷却速度を50℃/秒以上、巻き取り温度を320〜520℃等とすることが推奨される。
【0038】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0039】
表1に示す化学成分の鋼スラブを使用し、各鋼スラブを、表2に示す条件で熱間圧延を行って熱延鋼板を得た。析出物のサイズ・個数は、最終パス圧延率、一次冷却速度、中間空冷速度、巻き取り温度を変えることによって変化させた。また組織は、最終パス圧延率、一次冷却速度、巻き取り温度を変えることによって変化させた。
【0040】
得られた熱延鋼板について、JIS5号に準じて圧延方向の引張試験を行い引張強度および伸びを測定した。また下記の穴拡げ試験を行って伸びフランジ性を評価した。更に、TEMにて倍率15000倍で4視野分の写真を撮影し、該写真で組織を判断した。組織中に存在する析出物のサイズと個数については、抽出レプリカ法で処理したサンプルをTEMで観察し、画像解析法でそのサイズと個数を求めた。抽出レプリカ法は、下記▲1▼〜▲6▼の手順に添って行った。
【0041】
▲1▼鋼板の板厚×(1/4)の部位から採取したサンプル(観察面のサイズ:20mm×20mm)に電解研磨処理を施し、鏡面に仕上げる。
▲2▼化学エッチングを行ってミクロ組織を浮上させる。
▲3▼カーボンを蒸着させる。
▲4▼サンプル平面上に2〜3mm角の碁盤目状の切れ目を入れる。
▲5▼上記▲2▼と同様のエッチング液で再度腐食させてカーボンを浮上させる。
▲6▼アルコール中に保存して観察に用いる。
【0042】
この様に処理したサンプルを用いてTEMにて、倍率30000倍で10視野分の写真(13cm×11cm)を撮影し、画像解析で析出物の面積と個数を測定し、該面積を円相当直径に換算して1mm2あたりの個数を求めた。
【0043】
前記穴拡げ試験は、直径10mmの打ち抜き穴を60°円錐ポンチで押し拡げ、割れが鋼板板厚を貫通した時点での穴径dを測定し、次式により穴拡げ率λを求めた。これらの結果を表3に示す。
【0044】
λ=〔(d−d0)/10〕×100(%)(d0=10mm)
【0045】
【表1】
Figure 0004411005
【0046】
【表2】
Figure 0004411005
【0047】
【表3】
Figure 0004411005
【0048】
表1〜3から次のように考察することができる。尚、以下のNo.は表1〜3における実験No.を示す。
【0049】
No.1〜5,8,9および11〜13は、本発明の要件を満たすものであることから、いずれも高強度であるとともに、伸びおよび伸びフランジ性に優れていることがわかる。これに対し、No.6,7,10,14〜20は、本発明で規定するいずれかの要件を外れており、強度が十分でないか、伸びフランジ性および/または伸びに劣っている。
【0050】
即ち、No.6はC量が過剰であり、組織が(フェライト+マルテンサイト)の2相組織であるので、λ値が低く伸びフランジ性に劣っている。
【0051】
No.7は、Ti量が少なく微細な析出物の量が不足しており、また組織が(フェライト+ベイナイト)であるため、強度、伸びおよび伸びフランジ性のいずれも低くなっている。
【0052】
No.10、18〜20は、化学成分および組織は本発明の要件を満たしているが、析出物が本発明の規定要件を外れており、円相当直径0.03μm未満の析出物が少なく、円相当直径0.03μm以上の析出物が多いため、伸びおよび伸びフランジ性が劣っている。
【0053】
No.14は、転位密度の非常に高いベイニティック・フェライトとグラニュラー・ベイニティック・フェライトが混在する組織となっているため、伸びがやや低めとなった。No.15、16は組織が(フェライト+ベイナイト)であるため、強度が低く、伸びおよび伸びフランジ性も劣る結果となった。
【0054】
No.17は、組織がポリゴナルフェライト単相組織であり、かつ粗大な析出物が多いので、伸びおよび伸びフランジ性に劣る結果となった。
【0055】
【発明の効果】
本発明は上記のように構成されており、高強度で且つ卓越した伸びおよび伸びフランジ性を示し、例えば自動車の複雑な形状の各種部品の製造に最適な鋼板を提供し得ることになった。

Claims (3)

  1. 質量%で(以下同じ)、
    C :0.015〜0.10%、
    Si:2%以下(0%を含まない)、
    Mn:2%以下(0%を含まない)、
    Ti:0.08〜0.2%
    を満たし、残部がFeおよび不可避的不純物であるとともに、組織がグラニュラー・ベイニティック・フェライトであり、かつ
    円相当直径0.03μm未満の析出物が5×10個/mm以上で、
    円相当直径0.03μm以上の析出物が2×10個/mm以下
    であることを特徴とする成形性に優れた高強度熱延鋼板。
  2. 更に他の元素として、
    Nb:0.1%以下(0%を含まない)、
    Cu:0.3%以下(0%を含まない)、
    Ni:0.3%以下(0%を含まない)、
    B :0.003%以下(0%を含まない)の1種以上を含む請求項1に記載の高強度熱延鋼板。
  3. 引張強度800MPa以上、伸び18%以上を満足するものである請求項1または2に記載の高強度熱延鋼板。
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