JP4409723B2 - 高圧用熱交換器 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
この発明は、アルミニウム製プレートフィン型熱交換器の改良に関し、低温、高圧の化学プラントに最適の高圧用熱交換器に関する。
【０００２】
【従来の技術】
プレートフィン型熱交換器は、通路壁となるチューブプレート間にフィンを介在させて周囲にスペーサーバーを配置して流体通路を形成し、この通路を積層配置した構成からなる。例えば、隣接する流体通路の交互に熱媒体と被熱交換流体をそれぞれ流下させることにより、優れた熱交換効率が得られる。
【０００３】
プレートフィン型熱交換器の材質としては、作動流体に応じて、アルミニウムやステンレス鋼等の種々の金属材料が採用されている。また、化学プラントの用途において、例えば低温でかつ高圧の流体の熱交換を行う熱交換器にプレートフィン型熱交換器が利用される。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
プレートフィン型熱交換器で熱交換する流体種によっては、熱交換器の上流側あるいは下流側に接続される所要の処理装置と同材質で熱交換器を構成することが要求されることがある。
【０００５】
しかし、熱交換相手の流体や熱交換効率の要請から相互に異材質の熱交換器と他処理装置が接続配置されることがある。例えばアルミニウム製のプレートフィン型熱交換器の本体に、ステンレス鋼製のヘッダータンクを接続する構成が想定される。
【０００６】
この場合、アルミニウムと溶接性のよい合金材料、この合金並びにステンレス鋼と溶接性のよい他の合金材料等を2層あるいは3層材を継手材料として、本体とヘッダータンクの接合周面に介在させて、順次溶接接合する方法が採用される。
【０００７】
複数の合金材料を順次溶接接合する継手材料を用いる場合、例えば前記の低温でかつ高圧の流体の熱交換を行うと、溶接回数が多いことや合金材料の問題から、溶接部の耐圧性が劣り、クラックが発生してリークする懸念がある。
【０００８】
この発明は、アルミニウム製のプレートフィン型熱交換器の本体に、ステンレス鋼製のヘッダータンクを接続する場合に、接合強度に優れた継手材料を用い、接合が簡単でかつ確実に実施できる構成からなる高圧用熱交換器の提供を目的としている。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
発明者は、接合強度に優れた継手材料を目的に種々検討した結果、アルミニウム板とステンレス鋼板を爆発圧着にて一体化した板材より、例えば所要寸法、形状の矩形の枠体を打ち抜き成形などの加工を施し、これをヘッダータンクの継手としてアルミニウム材並びにステンレス鋼同士を溶接することにより、優れた接合強度が得られることを知見し、この発明を完成した。
【００１０】
すなわち、この発明は、アルミニウム製プレートフィン型熱交換器の本体にステンレス鋼製ヘッダータンクを接続する構成からなり、アルミニウム板とステンレス鋼板を爆発圧着にて一体化した所要厚みの板材で、かつ接合周面と相似形で周方向に継ぎ目のない一体型の継手材を、本体とヘッダータンクとの接合周面に介在させ、接合周面側の材質と同材質同士を溶接にて接合したことを特徴とする高圧用熱交換器である。
【００１１】
【発明の実施の形態】
図1Aに示すアルミニウム製プレートフィン型熱交換器の本体1にステンレス鋼製ヘッダータンク2を接続する構成を説明すると、図1Bに示すごとく本体1とヘッダータンク2との接合予定箇所に、図1Cに示すように接合周面と相似形の矩形枠状で、かつ周方向に継ぎ目のない一体型の継手材3を配置する。
【００１２】
継手材3は、所要厚みの板材からなるアルミニウム板3aとステンレス鋼板3bを爆発圧着にて一体化した構成からなり、接合強度が極めて高いことが特徴である。図1Bに示すごとく、アルミニウム製の本体1側の接合面と継手材3のアルミニウム板3aをアルミニウム溶接にて接合し、また、ステンレス鋼製のヘッダータンク2の接合面と継手材3のステンレス鋼板3bとをステンレス鋼溶接にて接合することにより、強固に接合される。
【００１３】
この発明において、図1Cに示す継手材3の製造方法は、所要厚みのアルミニウム板とステンレス鋼板を、公知の爆発圧着方法にて均一かつ強固に一体化した所要寸法の板材より、要求される接合周面形状、例えばリング状、枠体状に加工することにより、容易に製造できる。爆発圧着方法は、アルミニウム板とステンレス鋼板の材質、面積、厚み等の条件に応じて、圧着条件、温度などを適宜選定する。
【００１４】
この発明において、熱交換器の用途は特に限定されないが、例えば、アルミニウム材を用いる場合、作動温度が450K以下、圧力が12MPa以下の流体を扱う化学プラント用などの高圧用熱交換器の用途に最適である。
【００１５】
上記の高圧用熱交換器の用途として用いる場合、アルミニウム材としては5083、5052、6061、3003等、ステンレス鋼には304、304L、316、316L等を適宜選定できる。
【００１６】
【実施例】
極低温用のプレートフィン型熱交換器の3003アルミニウム材からなる本体と、SUS304材のヘッダータンクを接合するため、板厚み42mmの3003アルミニウム板と、板厚み38mmのSUS304L板材の2枚を継手材素材として、両者を爆発圧着にて一体化して、一枚の板材を作成した。
【００１７】
この圧着板材より、所要寸法の矩形枠状に加工して継手材とした。継手材のアルミニウム材側を熱交換器本体側に当接させてこれを溶接し、さらに継手材のSUS304材とヘッダータンクを溶接して、接合を完了した。
【００１８】
完成したプレートフィン型熱交換器を用いて、耐圧試験を行ったところ、18MPaの圧力に耐え、接合部にはクラックなどの異常は全く発生しなかった。
【００１９】
【発明の効果】
この発明によると、アルミニウム板とステンレス鋼板を爆発圧着にて一体化した接合周面と相似形で周方向に継ぎ目のない一体型の継手材を用いることにより、アルミニウム材の熱交換器本体に異材質であるステンレス鋼のヘッダータンクを簡単にかつ優れた接合強度にて溶接接合することが可能となる。よって、化学プラントの用途において、例えば低温でかつ高圧の流体の熱交換を行う装置にアルミニウム製プレートフィン型熱交換器を利用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 Aはプレートフィン型熱交換器の斜視説明図、Bは正面説明図、Cは継手材の説明図である。
【符号の説明】
1 熱交換器本体
2 ヘッダータンク
3 継手材
3a アルミニウム板
3b ステンレス鋼板

Claims (2)

1. アルミニウム製熱交換器の本体にステンレス鋼製ヘッダータンクを接続する構成からなり、アルミニウム板とステンレス鋼板を爆発圧着にて一体化した所要厚みの板材で、かつ接合周面と相似形で周方向に継ぎ目のない一体型の継手材を、本体とヘッダータンクとの接合周面に介在させ、接合周面側の材質と同材質同士を溶接にて接合した高圧用熱交換器。
2. 作動温度が450K以下、圧力が12MPa以下の流体を扱う化学プラント用である請求項1に記載の高圧用熱交換器。

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