JP4409273B2 - 微生物の迅速検出装置及び方法 - Google Patents

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Description

本発明は、臨床検査、食品検査、環境検査の分野で利用される試料中に存在する微生物の迅速検出装置及び方法に関するものである。
臨床検査や食品検査において試料中の微生物の検査は、正確にかつ迅速に行われる必要がある。微生物検査で一般的に行われている培養検査法では、検査に熟練を要する上、10〜16時間の増菌培養、18〜24時間の分離培養が必要で、検体入手後検査成績が判明するまでには膨大な時間を要するものであり、これまで高感度で迅速な検査法の開発が望まれていた。
近年、これら培養検査法の問題点を解決する手段として、DNAプローブ法、PCR(Polymerase chain reaction )法等の分子遺伝学的検査法やELISA法、逆受身ラテックス凝集反応法(RPLA法)、イムノクロマト法に代表される免疫学的検査法が開発され研究が進められている。これらの方法はいずれも、特異性、迅速性、簡便性等の点で優れ、しかも直接検体から検出できる可能性を有しているので、極めて迅速に診断が可能となり得るものとして期待されており、実用化されているものもいくつかある。これらの中でも免疫学的検査法は、抗原−抗体反応を利用するため特異性の点で特に優れているとされている。
しかし、PCR法にはサーマル・サイクラーと呼ばれる温度制御装置が必要であり、DNAプローブ法、ELISA法なども蛍光検出装置や吸光光度計などが必要であった。また、逆受身ラテックス凝集反応法やイムノクロマト法は感度が低いため、大量の微生物や毒素が無ければ検出できない問題があった。さらに、これらの検出方法はいずれも特定の遺伝子や蛋白質を検出するものであり、DNAの抽出を必要としたり、遺伝子に変異が入っているものの検出感度が著しく低下したり、蛋白質の発現量が少ない場合に検出感度が低下する問題があった。反対に蛋白質の量が多く、陽性と判定されても、微生物はすでに死滅している場合もあった。
このような課題を解決する手段として、近年フローサイトメトリーを用いて微生物をカウントする装置(例えば、特許文献1参照)や、蛍光染色法によって微生物を直接蛍光染色して画像として取り込む装置(例えば、特許文献2参照)が開発されている。
特開2002−181823号公報 特開平2−170053号公報
しかしながら、上記の従来装置においては、いずれも蛍光染色を必要とし、簡単に持ち運びができないような検出装置を必要とするものであり、簡便性において問題があった。
本発明は、このような状況を鑑みてなされたものであり、臨床検査や食品検査において対象となる微生物を特異的に補捉し、捕捉された微生物を直接光学的に検出することで、迅速、簡便に検査を行うことができる微生物の迅速検査装置およびそれを用いた微生物の迅速検査方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、対象となる微生物を特異的に捕捉する物質を含む基板材と、捕捉した微生物を光学的に検出することができる装置よりなる検出装置において、迅速簡便に対象微生物の検出が行えることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は第一に、試料に存在する目的微生物を特異的に捕捉する物質を結合した基板材を備え、該基板材上に捕捉された目的微生物を、蛍光試薬により標識することなく、直接光学的に検出する、大きさが400mm×400mm×200mmより小さく、重さが20kgより軽い電池式の装置からなる持ち運び可能な微生物の簡易迅速検出装置を要旨とするものであり、好ましくは、目的微生物を特異的に捕捉する物質が、抗体であり、また好ましくは、基板材上に捕捉された目的微生物を、蛍光試薬により標識することなく、直接光学的に検出する装置が、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサまたはC−MOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサを含む装置である前記した微生物の簡易迅速検出装置である。
また、本発明の第二に、試料と、該試料に存在する目的微生物を特異的に捕捉する物質を結合した基板材とを接触して該基板材上に目的微生物を捕捉し、捕捉した目的微生物を、蛍光試薬により標識することなく、直接光学的に検出して計数することを特徴とする微生物の簡易迅速検出方法を要旨とするものである。
本発明によれば、医療分野、食品分野、環境分野において問題となる微生物の検査、検出を極めて迅速・簡便に行うことが可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、検出対象となる目的微生物には、ウイルス、細菌、真菌類、藻類などが含まれる。特に臨床分野、食品分野、環境分野において人体にとって有害な微生物およびまたは有用な微生物であって、何らかの方法で検査する必要がある微生物が含まれる。具体的には、結核菌、ブドウ球菌、レンサ球菌、淋菌、梅毒菌、百日咳菌、破傷風菌、大腸菌、肺炎球菌、緑膿菌、赤痢菌、ジフテリア菌、腸チフス菌、パラチフス菌、セレウス菌、エルシニア属細菌、カンピロバクター、プロビデンシア属細菌、ウエルシュ菌、ディフィシル菌、サルモネラ菌、腸炎ビブリオ、コレラ菌、ビブリオ・バルニフィカス、ボツリヌス菌、ヘリコバクター、プレシオモナス菌、エロモナス菌、レジオネラ、クラミジア、スピロヘータ等の細菌、カンジダ、酵母、アスペルギルス、カビ等の真菌、肺炎ウィルス、肝炎ウイルス、エイズウィルス、ロタウィルス、ヘルペスウィルス、RSウィルス、ポリオウィルス、インフルエンザウィルス、麻疹ウィルス、サイトメガロウィルス、デングウィルス等のウィルス等の病原微生物の他、一般環境下に存在するバチルス菌、放線菌、光合成細菌、古細菌、硝酸菌等の病原性を有さない微生物、藻類等があげられる。
本発明において、検査対象となる試料は、臨床分野、食品分野、環境分野における試料であり、具体的には、臨床分野では血液、体液、喀痰、鼻汁、尿、糞便等をそのままあるいは蒸留水、緩衝液、生理食塩水等に懸濁した溶液が挙げられ、食品分野では、飲料、魚介類、肉類、野菜果物類等の食品類、あるいはこれらの加工食品を蒸留水、緩衝液、生理食塩水等で洗浄した溶液や、ストマッカー処理などにより懸濁した溶液が挙げられる。また、環境分野では海水、河川水、工業用水、飲料水、廃水、下水等自然環境下に存在する水系、土壌等を蒸留水、緩衝液、生理食塩水等に懸濁した溶液が挙げられる。これらの試料はそのまま用いても良いし、あらかじめ微生物が通り抜けるサイズのフィルターによってろ過し、夾雑物を除いて用いてもよい。
本発明の微生物の迅速検出装置は、微生物を特異的に捕捉する物質が結合した基板材を備えている。ここで、微生物を特異的に捕捉する物質とは、目的とする微生物を特異的に捕捉できるようなものであれば特に制限されないが、好ましい例としては、目的微生物に対して作製された抗体、ゼオライト、珪藻土、シリカゲルなどの無機多孔体、ポリスチレン多孔体などの有機多孔体、キレート樹脂、ポリリジン、ポリアクリル酸などの電荷を有するポリペプチド類、電荷を有する有機合成物質などが挙げられ、これらの中で特異性の高い抗体が特に好ましい。抗体はポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ペプチド抗体のいずれでも良く、目的微生物全体を免疫して作製したものでもよいし、外膜蛋白質、繊毛、鞭毛などに対して作製されたものでもよいが、少なくとも微生物表面と反応するものであることが必要である。
本発明に用いられる基板材の材料は、微生物を特異的に捕捉する物質を結合することができるものであれば特に制限されないが、透明なものが好ましい。かかる材料の具体例としては、ガラス板、石英板、シリコンなどの無機材料、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリカーボネート、セルロース、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル、ナイロンなどの高分子およびまたはその誘導体からなるフィルム、シート、板、チューブ、ロッドなどが好ましい。基板材のサイズは、特に限定されないが、厚みは10μm〜10mmであることが好ましく、操作しやすいように大きさは200mm×200mmより小さいものが好ましい。
微生物を特異的に捕捉する物質は、基板材の表面に結合することが好ましく、そのための方法としては、微生物を特的に捕捉する物質を基板材の表面に塗布してもよいし、化学反応によって結合させてもよい。例えば、微生物を特異的に捕捉する物質が抗体である場合には、基板材の表面をポリリジンコート、シランカップリング処理、酸無水物処理などを行い、化学的に抗体を結合することが好ましい。
本発明の微生物の迅速検出装置は、上記した基板材を備え、該基板材上に捕捉された目的微生物を光学的に検出する装置からなるものである。ここで、捕捉された目的微生物を光学的に検出する装置は、特に限定されず、画像として捕らえ検出するものや、光の透過度によるもの、レーザー光の干渉や反射角の変化を利用して検出するものなどが含まれる。画像として捕らえ検出する装置については、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ、C−MOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ、人口網膜LSIなどの技術を利用することが好ましい。微生物は小さいため、映像は光学ズームおよびまたはデジタルズームによって10倍から10000倍に拡大して分析することが好ましく、検出結果は映像における微生物の数をカウントして出してもよいし、明暗比などで出してもよい。また、夾雑物が存在する可能性が考えられることからコンピューターにより対象とする微生物の大きさや形を識別し、それ以外の形状を持つ夾雑物を排除する処理を行うこともできる。
本発明の微生物の迅速検出装置において、CCDイメージセンサやC−MOSイメージセンサを用いる場合、本発明の効果を損なわない限り画素数は特に限定されないが、1万画素から1000万画素のものを用いることが好ましい。画素数が1万画素より少ないと、微生物を認識できない可能性があり、1000万画素より多いと本発明の装置がいたずらに高価なものになる問題がある。
本発明の装置において、検出結果の表示方法は特に限定されない。例えば検出された微生物の数をカウントして表示してもよいし、微生物が検出しようとする領域に占める面積割合で表示してもよい。また、対象とする微生物を検出したかしないかのみの表示や3段階以上での微生物の検出頻度の表示、パーセント表示を行ってもよい。いずれの検出も目視で行ってもよいが、装置に微生物をカウントまたは微生物の占める割合の計算をさせて自動的に表示することが好ましい。この時、夾雑物を除外するために、あらかじめ微生物の光学的な特徴を入力しておき、画像処理の時点で夾雑物と考えられる画像を除外することが好ましい。
装置上での表示媒体は特に限定されず、液晶表示、ランプによる表示などを用いることができる。また、装置には検出結果の数値や頻度での表示のほかに、光学的に得られた画像をそのまま表示することもできる。
本発明の微生物の迅速検出装置の大きさ、持ち運びできる大きさにすることで、より簡便に微生物の検査を行うことができる。そのため、大きさは400mm×400mm×200mmより小さく、重さは20kgより軽くすることが必要である。また、環境での検査においては高電圧の電源が得られない場合もあるため、電池で機能する装置であることが必要である。かかる電池とは、乾電池のみをさすものではなく、2次電池、燃料電池、太陽電池なども含まれる。このように消費電力が少なくポータブルな形状にするにあたっては、光学的に検出することができる装置としてC−MOSイメージセンサを使用することで可能となりうる。
以下、本発明の微生物の迅速検出装置の一例を図面に基づき説明する。
検出装置1は図1に示すような外観となっており、基板差込口2、画像の液晶表示板3、結果表示画面4、測定開始ボタン5、電源スイッチ6を含む。内部の測定機器は図2のようになっており、基板材固定用クリップ7で基板材8をしっかりと固定し、焦点の補正を可動式台座9で行える。対物レンズ10は200倍の画像が光学的に得られるものである。対物レンズ10と画像処理部11及び本体12はそれぞれ固定具13、固定具14で固定されている。光源には透過式の照明装置15を使用しており、これにはハロゲンランプを用いた。得られた画像は30万画素のC−MOSイメージセンサ16で取り込みを行い、得られた画像はさらにデジタルズームにより4倍に拡大できるようにしている。本装置は乾電池で動くものであり、電池ボックス17を含む。基板の固定部分は図3に示すように、検出領域18(200μm×200μm)にかからないように基板固定用クリップで押さえてある。得られた画像は装置の上部に設置した液晶表示板3によって映し出される。また、微生物数をカウントした結果は結果表示画面4に表示される。
次に、本発明の第二の微生物の迅速検出方法について説明する。まず、検査試料を微生物を特異的に捕捉する物質が結合された基板材に接触させて検査試料の存在する微生物を捕捉する。この時の接触時間は10秒から4時間が好ましく、30秒から2時間がより好ましい。検査試料を接触させる時間が10秒より短い場合検査試料中の微生物が十分に捕捉されない可能性があり、4時間より長い場合もはや新たな微生物の捕捉は無く、迅速性を低下させるだけである。検査試料の接触は攪拌しながら接触させても良いし、静置しても良い。
上記のように検査試料を接触させ、微生物を捕捉した基板材は、検査試料中の夾雑物を除くために、洗浄することが好ましい。洗浄に使用する洗浄液は本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、例えば蒸留水、滅菌水、脱イオン水、ろ過滅菌水などの水、およびこれらの水に、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(ICI社商標名Tween20)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(ICI社商標名Tween80)、ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル(Triton X−100)などの界面活性剤を加えた洗浄水、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、トリズマ塩基、ピロリン酸ナトリウム、食塩などの塩類を加えた緩衝液を用いることができる。洗浄方法は捕捉した微生物を脱離させない方法であれば特に限定されないが、上記の洗浄液10ml〜2000mlを優しくかけ流し洗浄するか、または上記の洗浄液中に浸漬することが好ましい。洗浄は1回でも良いが、2回〜10回行うことが好ましい。
洗浄した基板材は特に乾燥させることなく、捕捉した微生物を光学的に検出することができる装置にて検出することができる。このとき、水滴による干渉や水層の厚みの違いによる干渉を避けるために、基板材を水または緩衝液の入った容器に入れた状態で検出することもできるし、フィルムやカバーガラスなどで覆うこともできる。
また、本発明においては、検出装置にて検出する操作の前に、捕捉した微生物を固定化しても構わない。固定化作業は工程が増えるために迅速性を要するときには省略することができる。固定化試薬としては特に限定されず、例えば0.5%〜10%のパラホルムアルデヒド水溶液、メタノールのほか、種々の市販の固定化試薬を用いることができる。固定化は、試料中の微生物を基板材に捕捉し洗浄した後、所定の固定化試薬に1分〜1時間浸漬し、洗浄液で余剰の固定化試薬を洗い流す方法などを用いることができる。
以下実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例で用いた微生物を以下に示す。
(1)腸管出血性大腸菌(EHEC)血清型O157(RIMD0509939)
(2)毒素原性大腸菌(ETEC)(RIMD0509266)
(3)サルモネラ・エンテリティディス(RIMD1933006)
(4)赤痢菌(Shigella flexneri)(RIMD3102002)
(5)腸炎ビブリオ(神奈川現象陽性株)(RIMD2210633)
(6)枯草菌(RIMD0225012)
(7)黄色ブドウ球菌(RIMD3109007)
(8)腸球菌(RIMD3116001)
(9)DH−5α(大腸菌K12株であり病原性はない)
なお、これらの微生物はすべて大阪大学微生物病研究所にて保存されており、RIMDは同研究所エマージング感染症研究センター微生物株保存室の菌株保存番号を示す。
また、(1)〜(5)、(7)、(8)の微生物は「健康又は環境に対し害を及ぼし、又は及ぼす恐れのある性質を有する微生物」に該当するため、工業技術院微生物工業研究所に寄託することができないものである。
参考例1〔抗体の作製〕
抗体の作製は以下のように行った。上記(1)〜(9)の微生物をそれぞれLuria-Bertani(LB)寒天培地に植菌して37℃、15時間培養した。出現したコロニーを滅菌白金耳で回収し、15mlの滅菌チューブに入れ、0.5質量%ホルマリン5mlに懸濁して4℃で2日間静置した。2日後に懸濁液0.2mlを抜き取り、LB培地に植菌して37℃、15時間培養し、コロニーが出現しないことを確認した。コロニーが出現しないことを確認後、懸濁液は8000rpmで15分間遠心し、上清を除去した。その後菌体に3mlの生理食塩水を加えて再懸濁し、再び8000rpmで15分間遠心した。この洗浄操作はさらに2回繰り返し、死菌の生理食塩水懸濁液を得た。該懸濁液は吸光光度計によりOD600=0.8になるように希釈し、0.1mlをあらかじめ1週間予備飼育しておいたウサギ(New Zealand White種、メス、2.0〜2.5kg)に耳静脈注射した。ウサギはそのまま飼育し、1週間後にさらに前回の倍量の懸濁液を接種した。その後同様に毎週前週の倍量を接種し、5回目の接種を行った1週間後に全採血した。
得られた血液は37℃で1時間静置した後、4℃で16時間静置した。その後、4℃で4000rpm、20分間遠心し、上清に抗血清を得た。得られた抗血清は50%硫酸アンモニウムを加えて沈殿を生じさせる操作を2回繰り返し、得られた沈殿を10mMリン酸緩衝液(pH7.0)に溶解し、同緩衝液で透析して得られた免疫グロブリンをポリクローナル抗体として用いた。
参考例2〔抗体固定化基板材(A)の作製〕
基板材料にはポリスチレン製の20mm×50mm×厚み1mmの透明板を用いた。これを洗浄後、ろ過滅菌済みの100μg/mlのポリリジン水溶液に5分間浸漬し、滅菌水により2回洗浄した。次に、137mM塩化ナトリウム、2.7mM塩化カリウム、10mMリン酸水素2ナトリウム、2mMリン酸2水素カリウムからなるpH7.4の緩衝液(以下PBSと略す)に50μg/mlの濃度で抗体を溶解した液に室温で1時間浸漬し、抗体を固定化した。次にPBSにポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(ICI社商標名Tween20)を0.02質量%添加した洗浄液によって1回洗浄し、さらにPBSによって1回洗浄した。続いて、PBSに1質量%牛血清アルブミン(BSA)を加えたブロッキング液に1時間浸漬した。この基板は使用前に洗浄液2により1回洗浄して抗体固定化基板(A)とした。
参考例3〔抗体固定化基板材(B)の作製〕
以下に示すように、Norio Koike et.al., Microbiol. Immunol.,43(11), 1057-1060の方法に準じて作製した。
基板材料にはナイロン製の20mm×50mm×厚み1mmの透明板を用いた。これを洗浄後、30℃で2.5規定の塩酸に30分浸漬した。滅菌水中に15分間浸漬する洗浄操作を3回繰り返した後、1.25質量%ポリエチレンイミン、1.25質量%ジシクロヘキシルカルボジイミドを含む水溶液に室温で2.5時間浸漬した。滅菌水で再び15分間3回の洗浄操作を行い、次に2質量%のスチレン−無水マレイン酸共重合体の無水アセトン溶液に室温下2.5時間浸漬した。これを無水アセトンで15分間、3回洗浄した。この基板をPBSに抗体を2μg/mlの濃度で溶解した溶液に25℃で16時間浸漬した。次に、非特異反応を防止するため2質量%牛血清アルブミンのPBS溶液に浸漬してブロッキングを行った。この基板は使用前にPBSにより1回洗浄して抗体固定化基板(B)とした。
参考例4〔抗体固定化基板材(C)の作製〕
抗体を固定化する材料として1m×2m×厚み75μmのナイロンフィルムを用いる以外は参考例3と同様に抗体の固定化を行った。このように抗体を固定化したナイロンフィルムは10mm×10mmに裁断し、20000枚の抗体固定化フィルム片を作製した。このフィルム片は1枚ずつ20mm×50mm×厚み1mmの透明ガラスにエポキシ樹脂系接着剤を用いて貼り付け、抗体固定化基板(C)とした。抗体固定化基板(C)は20000枚と簡単に大量生産できた。
参考例5〔抗体固定化基板材(D)の作製〕
抗体を固定化する材料としてアクリル樹脂板を用いた以外は参考例3と同様に抗体の固定化を行い、得られた基板を抗体固定化基板(D)とした。
実施例1
上述の図1〜図3で説明した装置を用いて微生物の検出を行った。なお、実施例で使用した細菌の大きさは概ね1μm〜3μmであり、捕捉された微生物は図4のように輪郭が黒く中心部は光が透過するような画像が得られるため、このような画像の数をカウントする機能を付与した。検出結果の表示は検出領域内の微生物数をカウントし、結果表示画面4に微生物数を表示させた。なお本装置の検出領域は200μm×200μmであった。
上記の9種類の微生物をそれぞれ2mlのLB培地に植菌し、37℃で16時間振とう培養した。これをPBSにより104倍希釈したものを試料として用いた。これらの試料に、それぞれの目的微生物に対する抗体を固定化した抗体固定化基板材(A)、(B)、(C)、(D)および抗体を固定化していない基板材を10分間浸漬し、これを200mlのPBSが入ったビーカー中に1分間浸漬する洗浄操作を3回行い、上記の検出装置に導入し、表示された微生物数を読み取った。結果を表1に示す。いずれの基板材を用いても好適に検出できた。また、検出に要した時間は14分であった。
Figure 0004409273
比較例1
実施例1において、微生物の存在しないPBSに浸漬した以外は実施例1と同様の操作を行って検出装置に導入した。結果を表1に示すが、いずれの基板においてもほとんど微生物数はカウントされなかった。
実施例2
実施例1において、試料に基板材を浸漬する時間を1分とし、洗浄の浸漬時間を10秒とした以外は実施例1と同様に微生物の検出を行った。結果を表2に示す。いずれの基板材を用いても好適に検出できた。また、検出に要した時間は2分と非常に短いものであった。
Figure 0004409273
比較例2
実施例2において微生物の存在しないPBSに浸漬した以外は実施例2と同様の操作を行って検出装置に導入した。結果を表2に示すが、いずれの基板材においてもほとんど微生物数はカウントされなかった。
実施例3
微生物(1)EHECを2mlのLB培地で37℃16時間振とう培養し、これにPBSを導入し、2Lにしたものを6セット作製した。これら2Lの菌液はそれぞれナイロン袋に入れ、その中にレタス、ブロッコリー、牛肉(ローススライス)、鶏肉(胸肉かたまり)、スズキ切り身および車海老剥き身をそれぞれ100g入れて軽くかき混ぜた後、静置した。これらの食材は1時間後に取り出し、2Lの水道水に5秒浸漬することにより軽く洗浄して食品擬似サンプルとした。各食品擬似サンプルは900mlのPBSを加えてストマッカーで破砕処理を行い、25gを採取し10μmの目開きのフィルターによってろ過を行った。ろ液にEHECに対する抗体を固定化した抗体固定化基板材を10分間浸漬し、PBSで3回洗浄して検出装置に導入した。得られた結果を表3に示す。いずれの食品においてもEHECによる汚染が確認できた。
Figure 0004409273
比較例3
実施例3において、それぞれの食材を微生物が入っていないナイロン袋に入れた以外は実施例3と同様の操作を行って検出装置に導入した。結果を表3に示すが、いずれの食材からも微生物はほとんど確認されなかった。
実施例4
下痢症患者から研究に用いる旨を説明し、同意を得た上で採取し、保存された患者便検体3人分(それぞれEHEC、腸炎ビブリオ、黄色ブドウ球菌感染の患者便であった)および、健常人便検体2人分、各0.1gをそれぞれ20mlのPBSに懸濁し、上記の9種類の微生物に対して作製した抗体固定化基板材の検出領域内にそれぞれ100μl滴下した。10分間静置した後、PBSで3回洗浄して検出装置に導入した。結果を表4に示す。いずれの患者便においても感染源の特定が可能であった。
Figure 0004409273
本発明の迅速検出装置の外観を示す正面図である。 本発明の迅速検出装置の内部構造を示す図である。 本発明の迅速検出装置の基板材を固定する部分の平面図である。 本発明の迅速検出装置の液晶表示部に映し出される微生物の一例を示す図である。
符号の説明
1 迅速検出装置
2 基板材差込口
3 画像の液晶表示部
4 結果表示画面
8 基板材
11 画像処理部

Claims (4)

  1. 試料に存在する目的微生物を特異的に捕捉する物質を結合した基板材を備え、該基板材上に捕捉された目的微生物を、蛍光試薬により標識することなく、直接光学的に検出する、大きさが400mm×400mm×200mmより小さく、重さが20kgより軽い電池式の装置からなる持ち運び可能な微生物の簡易迅速検出装置。
  2. 目的微生物を特異的に捕捉する物質が、抗体である請求項1記載の微生物の簡易迅速検出装置。
  3. 基板材上に捕捉された目的微生物を、蛍光試薬により標識することなく、直接光学的に検出する装置が、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサまたはC−MOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサを含む装置である請求項1又は2記載の微生物の簡易迅速検出装置。
  4. 試料と、該試料に存在する目的微生物を特異的に捕捉する物質を結合した基板材とを接触して該基板材上に目的微生物を捕捉し、捕捉した目的微生物を、蛍光試薬により標識することなく、直接光学的に検出して計数することを特徴とする微生物の簡易迅速検出方法。
JP2003414949A 2003-12-12 2003-12-12 微生物の迅速検出装置及び方法 Expired - Fee Related JP4409273B2 (ja)

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