JP4407589B2 - 内燃機関の冷却装置 - Google Patents

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Description

本発明は、サーモスタットの作動状態の診断を行う内燃機関の冷却装置に関する。
内燃機関においては、サーモスタット内のバルブが開弁した状態で作動しなくなる現象(開弁固着)が生じることもある。この開弁固着が生じている状態(サーモスタットの異常時)では、冷却水が常にラジエータを介して循環するようになるため、サーモスタットの正常時に比べて冷却水の温度が上昇しにくくなる。
そこで、特許文献1に記載の冷却装置をはじめとした従来の冷却装置では、こうした冷却水の温度推移の違いに着目して、次の(A)及び(B)のようにサーモスタットの異常を検出するようにしている。
(A)冷却水温度と相関のあるパラメータに基づいて、サーモスタットの作動状態が正常であるときの冷却水温度に相当する基準温度を算出する。また、この基準温度の算出に際しては、冷却水温度が走行風の影響を受けることを考慮して、走行風と相関のある車速を加味する。
(B)診断条件が成立したとき、基準温度と実際の冷却水温度との比較を通じてサーモスタットの作動状態を診断する。すなわち、基準温度の上昇度合いが実際の冷却水温度の上昇度合いよりも大きいとき、サーモスタットに異常が生じていると判断する。
従来の冷却装置として、特許文献2には次のような冷却装置が提案されている。
特許文献2の冷却装置では、基準温度を車速に基づいて補正することにより、冷却水温度に対する走行風の影響を基準温度に反映させるようにしている。
特開2000−220456号公報 特開2004−316638号公報
ところで、冷却水温度に対する走行風の影響度合いは、車両の走行状態が降坂走行状態にある場合とそれ以外の走行状態にある場合とで大きく異なることが本発明者の実施した試験等を通じて確認されている。
したがって、特許文献2の冷却装置においては、基準温度を車速に基づいて補正するようにしているものの、診断条件の成立前に車両の降坂走行状態が比較長い期間にわたって継続された場合、次のようなことが問題となる。すなわち、基準温度が本来設定されるべき値から大きく乖離するため、サーモスタットの異常を誤検出することが考えられる。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、サーモスタットの異常の検出精度を向上させることのできる内燃機関の冷却装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段について記載する。
(1)請求項1に記載の発明は、ラジエータへの冷却水の供給量を調整するサーモスタットと、前記冷却水の温度を検出する冷却水温度検出手段と、前記冷却水の温度に相当する基準温度を車速に基づいて推定する基準温度推定手段と、前記冷却水温度検出手段を通じて検出された前記冷却水の温度を検出温度として、診断条件が成立したときに前記検出温度と前記基準温度との比較に基づいて前記サーモスタットの作動状態を診断する診断手段とを備える内燃機関の冷却装置において、車両の降坂走行に起因して前記基準温度が正確に推定されていない旨判定したときに前記作動状態の診断を禁止することを要旨としている。
(2)請求項2に記載の発明は、ラジエータへの冷却水の供給量を調整するサーモスタットと、前記冷却水の温度を検出する冷却水温度検出手段と、前記冷却水の温度に相当する基準温度を車速に基づいて推定する基準温度推定手段と、前記冷却水温度検出手段を通じて検出された前記冷却水の温度を検出温度として、診断条件が成立したときに前記検出温度と前記基準温度との比較に基づいて前記サーモスタットの作動状態を診断する診断手段とを備える内燃機関の冷却装置において、車両の走行状態が降坂走行状態にあるか同走行状態以外の走行状態である一般走行状態にあるかに応じて所定の演算値を更新し、この演算値と判定値との比較結果に基づいて前記作動状態の診断を禁止する必要があるか否かを判定することを要旨としている。
(3)請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の内燃機関の冷却装置において、前記演算値と前記判定値との比較結果として、前記診断条件が成立するまでに冷却水の温度に及ぼされた車両の降坂走行にともなう走行風の影響が許容範囲を超えることを示す結果が得られるとき、前記作動状態の診断を禁止することを要旨としている。
(4)請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の内燃機関の冷却装置において、車両が降坂走行状態にあるときに前記演算値をその初期値から離間する方向に更新し、車両が一般走行状態にあるときに前記演算値を前記初期値に近接する方向に更新することを要旨としている。
(5)請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の内燃機関の冷却装置において、前記診断条件が成立した時点での前記演算値が前記判定値に対して前記初期値とは反対側にあるとき、前記作動状態の診断を禁止することを要旨としている。
(6)請求項6に記載の発明は、ラジエータへの冷却水の供給量を調整するサーモスタットと、前記冷却水の温度を検出する冷却水温度検出手段と、前記冷却水の温度に相当する基準温度を車速に基づいて推定する基準温度推定手段と、前記冷却水温度検出手段を通じて検出された前記冷却水の温度を検出温度として、診断条件が成立したときに前記検出温度と前記基準温度との比較に基づいて前記サーモスタットの作動状態を診断する診断手段とを備える内燃機関の冷却装置において、車両の降坂走行がなされた時間を降坂走行時間とし、内燃機関の始動から前記診断条件が成立するまでの時間を条件成立時間として、この条件成立時間に対する前記降坂走行時間の割合が判定値以上のとき、前記作動状態の診断を禁止することを要旨としている。
(7)請求項7に記載の発明は、ラジエータへの冷却水の供給量を調整するサーモスタットと、前記冷却水の温度を検出する冷却水温度検出手段と、前記冷却水の温度に相当する基準温度を車速に基づいて推定する基準温度推定手段と、前記冷却水温度検出手段を通じて検出された前記冷却水の温度を検出温度として、診断条件が成立したときに前記検出温度と前記基準温度との比較に基づいて前記サーモスタットの作動状態を診断する診断手段とを備える内燃機関の冷却装置において、車両の降坂走行がなされた時間を降坂走行時間とし、車両の降坂走行状態以外の走行状態である一般走行がなされた時間を一般走行時間として、この一般走行時間に対する前記降坂走行時間の割合が判定値以上のとき、前記作動状態の診断を禁止することを要旨としている。
(8)請求項8に記載の発明は、ラジエータへの冷却水の供給量を調整するサーモスタットと、前記冷却水の温度を検出する冷却水温度検出手段と、前記冷却水の温度に相当する基準温度を車速に基づいて推定する基準温度推定手段と、前記冷却水温度検出手段を通じて検出された前記冷却水の温度を検出温度として、診断条件が成立したときに前記検出温度と前記基準温度との比較に基づいて前記サーモスタットの作動状態を診断する診断手段とを備える内燃機関の冷却装置において、車両の速度が基準車速以上且つ内燃機関の負荷が基準負荷未満の状態を特定状態とし、この特定状態がなされた時間を特定状態時間とし、前記内燃機関の始動から前記診断条件が成立するまでの時間を条件成立時間として、この条件成立時間に対する前記特定状態時間の割合が判定値以上のとき、前記作動状態の診断を禁止することを要旨としている。
(9)請求項9に記載の発明は、ラジエータへの冷却水の供給量を調整するサーモスタットと、前記冷却水の温度を検出する冷却水温度検出手段と、前記冷却水の温度に相当する基準温度を車速に基づいて推定する基準温度推定手段と、前記冷却水温度検出手段を通じて検出された前記冷却水の温度を検出温度として、診断条件が成立したときに前記検出温度と前記基準温度との比較に基づいて前記サーモスタットの作動状態を診断する診断手段とを備える内燃機関の冷却装置において、車両の降坂走行に起因して前記基準温度が正確に推定されていない旨判定したときに前記基準温度を補正する補正手段を備えることを要旨としている。
(10)請求項10に記載の発明は、ラジエータへの冷却水の供給量を調整するサーモスタットと、前記冷却水の温度を検出する冷却水温度検出手段と、前記冷却水の温度に相当する基準温度を車速に基づいて推定する基準温度推定手段と、前記冷却水温度検出手段を通じて検出された前記冷却水の温度を検出温度として、診断条件が成立したときに前記検出温度と前記基準温度との比較に基づいて前記サーモスタットの作動状態を診断する診断手段とを備える内燃機関の冷却装置において、車両の走行状態が降坂走行状態にあるか同走行状態以外の走行状態である一般走行状態にあるかに応じて所定の演算値を更新し、この演算値と判定値との比較結果に基づいて前記基準温度を補正する必要があるか否かを判定する補正手段を備えることを要旨としている。
(11)請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の内燃機関の冷却装置において、前記補正手段は、前記演算値と前記判定値との比較結果として、前記診断条件が成立するまでに冷却水の温度に及ぼされた車両の降坂走行にともなう走行風の影響が許容範囲を超えることを示す結果が得られるとき、前記基準温度を補正することを要旨としている。
(12)請求項12に記載の発明は、請求項10または11に記載の内燃機関の冷却装置において、前記補正手段は、車両が降坂走行状態にあるときに前記演算値をその初期値から離間する方向に更新し、車両が一般走行状態にあるときに前記演算値を前記初期値に近接する方向に更新することを要旨としている。
(13)請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の内燃機関の冷却装置において、前記補正手段は、前記診断条件が成立した時点での前記演算値が前記判定値に対して前記初期値とは反対側にあるとき、前記基準温度を補正することを要旨としている。
(14)請求項14に記載の発明は、ラジエータへの冷却水の供給量を調整するサーモスタットと、前記冷却水の温度を検出する冷却水温度検出手段と、前記冷却水の温度に相当する基準温度を車速に基づいて推定する基準温度推定手段と、前記冷却水温度検出手段を通じて検出された前記冷却水の温度を検出温度として、診断条件が成立したときに前記検出温度と前記基準温度との比較に基づいて前記サーモスタットの作動状態を診断する診断手段とを備える内燃機関の冷却装置において、車両の降坂走行がなされた時間を降坂走行時間とし、内燃機関の始動から前記診断条件が成立するまでの時間を条件成立時間として、この条件成立時間に対する前記降坂走行時間の割合が判定値以上のとき、前記基準温度を補正する補正手段を備えることを要旨としている。
(15)請求項15に記載の発明は、請求項14に記載の内燃機関の冷却装置において、前記補正手段は、前記条件成立時間に対する前記降坂走行時間の割合が増加するにつれて前記基準温度の補正度合いを大きくすることを要旨としている。
(16)請求項16に記載の発明は、ラジエータへの冷却水の供給量を調整するサーモスタットと、前記冷却水の温度を検出する冷却水温度検出手段と、前記冷却水の温度に相当する基準温度を少なくとも車速に基づいて推定する基準温度推定手段と、前記冷却水温度検出手段を通じて検出された前記冷却水の温度を検出温度として、診断条件が成立したときに前記検出温度と前記基準温度との比較に基づいて前記サーモスタットの作動状態を診断する診断手段とを備える内燃機関の冷却装置において、車両の降坂走行がなされた時間を降坂走行時間とし、車両の降坂走行状態以外の走行状態である一般走行がなされた時間を一般走行時間として、この一般走行時間に対する前記降坂走行時間の割合が判定値以上のとき、前記基準温度を補正する補正手段を備えることを要旨としている。
(17)請求項17に記載の発明は、請求項16に記載の内燃機関の冷却装置において、前記補正手段は、前記一般走行時間に対する前記降坂走行時間の割合が増加するにつれて前記基準温度の補正度合いを大きくすることを要旨としている。
(18)請求項18に記載の発明は、ラジエータへの冷却水の供給量を調整するサーモスタットと、前記冷却水の温度を検出する冷却水温度検出手段と、前記冷却水の温度に相当する基準温度を車速に基づいて推定する基準温度推定手段と、前記冷却水温度検出手段を通じて検出された前記冷却水の温度を検出温度として、診断条件が成立したときに前記検出温度と前記基準温度との比較に基づいて前記サーモスタットの作動状態を診断する診断手段とを備える内燃機関の冷却装置において、車両の速度が基準車速以上且つ内燃機関の負荷が基準負荷未満の状態を特定状態とし、この特定状態がなされた時間を特定状態時間とし、前記内燃機関の始動から前記診断条件が成立するまでの時間を条件成立時間として、この条件成立時間に対する前記特定状態時間の割合が判定値以上のとき、前記基準温度を補正する補正手段を備えることを要旨としている。
(19)請求項19に記載の発明は、請求項18に記載の内燃機関の冷却装置において、前記補正手段は、前記条件成立時間に対する前記特定状態時間の割合が増加するにつれて前記基準温度の補正度合いを大きくすることを要旨としている。
(20)請求項20に記載の発明は、請求項15〜19のいずれか一項に記載の内燃機関の冷却装置において、前記補正手段は、前記基準温度を小さくする方向へ補正することを要旨としている。
(21)請求項21に記載の発明は、請求項1〜20のいずれか一項に記載の内燃機関の冷却装置において、前記基準温度推定手段は、前記サーモスタットに異常が生じていないことを前提として前記基準温度を推定することを要旨としている。
以下、上記手段により奏せられる作用効果について記載する。
・上述のように、冷却水温度に対する走行風の影響度合いは、車両の走行状態が降坂走行状態にある場合とそれ以外の走行状態にある場合とで大きく異なる。したがって、基準温度の算出に際して、車速が考慮されている一方で車両の降坂走行状態が考慮されていない場合には、基準温度に対して走行風の影響が十分に反映されない。そして、診断条件の成立までに降坂走行状態が比較的長い期間にわたってなされた場合には、算出された基準温度と本来の基準温度との乖離が許容できないほどに大きくなる。
そして、こうしたことを考慮のうえ、上記(1)または(2)または(6)の発明では作動状態の診断を禁止するようにしているため、また上記(9)または(10)または(14)の発明では、基準温度を補正するようにしているため、サーモスタットの異常を誤って検出することが抑制されるようになる。これにより、サーモスタットの異常の検出精度を向上させることができるようになる。
・診断条件の成立前において、算出された基準温度と本来の基準温度との乖離が許容できない大きさとなるほどに降坂走行がなされたか否かについては、一般走行状態の時間に対する降坂走行状態の時間の割合に基づいて把握することもできる。すなわち、同割合が判定値以上のときには上記乖離が許容できない大きさとなる。
そして、こうしたことを考慮のうえ、上記(7)の発明では作動状態の診断を禁止するようにしているため、また上記(16)の発明では基準温度を補正するようにしているため、サーモスタットの異常を誤って検出することが抑制されるようになる。これにより、サーモスタットの異常の検出精度を向上させることができるようになる。
・診断条件の成立前において、算出された基準温度と本来の基準温度との乖離が許容できない大きさとなるほどに降坂走行がなされたか否かについては、内燃機関の始動から診断条件の成立までの時間に対する特定状態の時間の割合に基づいて把握することもできる。すなわち、同割合が判定値以上のときには上記乖離が許容できない大きさとなる。
そして、こうしたことを考慮のうえ、上記(8)の発明では作動状態の診断を禁止するようにしているため、また上記(18)の発明では基準温度を補正するようにしているため、サーモスタットの異常を誤って検出することが抑制されるようになる。これにより、サーモスタットの異常の検出精度を向上させることができるようになる。
・算出された基準温度と本来の基準温度との乖離度合いは、降坂走行時間が増加するにつれて拡大する傾向を示す。そこで、上記(15)の発明を採用することで、基準温度の補正をより適切に行うことができるようになる。
・算出された基準温度と本来の基準温度との乖離度合いは、降坂走行状態の時間の割合が増加するにつれて拡大する傾向を示す。そこで、上記(17)の発明を採用することで、基準温度の補正をより適切に行うことができるようになる。
・算出された基準温度と本来の基準温度との乖離度合いは、特定状態の時間の割合が増加するにつれて拡大する傾向を示す。そこで、上記(19)の発明を採用することで、基準温度の補正をより適切に行うことができるようになる。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について、図1〜図11を参照して説明する。
本実施形態では、燃焼室へ燃料を直接するエンジンの冷却装置に対して本発明が適用された場合を想定している。
<車両の構造>
図1に、本発明が適用された車両について、エンジン周辺の構成を示す。
車両1は、エンジン2のクランクシャフト21によるホイール11の回転を通じて走行する。
エンジン2は、車両1のエンジンルーム12内に搭載されている。また、エンジン本体3と冷却装置6とを備えて構成されている。
車両1のキャビン13には、車両1やエンジン2の状態を表示するインジケーターパネル14が備えられている。
インジケーターパネル14には、冷却装置6を構成するサーモスタット61について、その作動状態の異常を表示するウォーニングランプ15が設けられている。ウォーニングランプ15は、後述する作動状態の診断処理を通じて作動状態の異常が検出されたときに点灯される。
<エンジンの構造>
図2に、エンジン2の全体構成を示す。
エンジン本体3は、シリンダブロック4とシリンダヘッド5とを備えて構成されている。また、エンジン本体3には、シリンダブロック4及びシリンダヘッド5へ冷却水31を供給するための通路(本体冷却水通路32)が形成されている。
エンジン2においては、冷却装置6のウォーターポンプ62を通じて冷却水31の流れが形成される。
ウォーターポンプ62は、クランクシャフト21を通じて駆動される。また、冷却装置6内の冷却水31を吸引して加圧した後、本体冷却水通路32へ冷却水31を吐出する。
シリンダブロック4には、複数のシリンダ41が備えられている。
シリンダ41の周囲には、ウォータージャケット42が形成されている。ウォータージャケット42は、本体冷却水通路32の一部として形成されている。
各シリンダ41内には、ピストン43が配置されている。また、シリンダ41の内周面とピストン43の頂面とシリンダヘッド5とに囲まれて燃焼室44が形成されている。
ピストン43は、コネクティングロッド45を介してクランクシャフト21と連結されている。
シリンダヘッド5には、インテークポート51を開閉するインテークバルブ52とエキゾーストポート54を開閉するエキゾーストバルブ55とが備えられている。
インテークポート51には、外部の空気を燃焼室44へ向けて流通させるインテークパイプ53が接続されている。
エキゾーストポート54には、燃焼室44から流出したガスを外部へ向けて流通させるエキゾーストパイプ56が接続されている。
インテークパイプ53には、エアクリーナ57が設けられている。また、エアクリーナ57の下流側且つエアクリーナ57の近傍には、センサユニット58が設けられている。
センサユニット58は、吸気温度センサ91及びエアフローメータ92を備えて構成されている。すなわち、センサユニット58の筐体内に吸気温度センサ91及びエアフローメータ92が備えられている。なお、エアフローメータ92としては、熱線式のエアフローメータが採用されている。
シリンダヘッド5において、燃焼室44と面する箇所にはインジェクタ59が設けられている。インジェクタ59は、燃焼室44内へ燃料を直接噴射する。
エンジン2は、電子制御装置9を通じて統括的に制御される。
電子制御装置9は、エンジン制御にかかる演算処理を実行する中央演算処理装置、エンジン制御に必要なプログラムやマップが予め記憶されたリードオンリーメモリ、中央演算処理装置の計算結果等を一時的に記憶するランダムアクセスメモリ、エンジン停止中においても演算結果等のデータを保存するバックアップメモリ、外部の信号を入力するための入力ポート、及び外部へ信号を出力するための出力ポート等を備えて構成されている。なお、本実施形態の電子制御装置9においては、基準温度推定手段及び診断手段も備えられている。
電子制御装置9の入力ポートには、吸気温度センサ91、エアフローメータ92、冷却水温度センサ93(冷却水温度検出手段)及び車速センサ94等が接続されている。また、電子制御装置9の出力ポートには、インジェクタ59等の駆動回路が接続されている。
吸気温度センサ91は、インテークパイプ53に設けられており、インテークパイプ53内の空気の温度(吸気温度THA)に応じた電気信号を出力する。吸気温度センサ91の出力信号は、電子制御装置9へ入力された後、吸気温度計測値THAMとして各種制御に用いられる。
エアフローメータ92は、インテークパイプ53に設けられており、インテークパイプ53内の空気の流量(吸気流量GA)に応じた電気信号を出力する。エアフローメータ92の出力信号は、電子制御装置9へ入力された後、吸気流量計測値GAMとして各種制御に用いられる。なお、吸気流量GAは、燃焼室44内へ供給される空気の量(吸入空気量)に相当する。
冷却水温度センサ93は、シリンダ41の周囲に設けられており、ウォータージャケット42内の冷却水31の温度(冷却水温度THW)に応じた電気信号を出力する。冷却水温度センサ93の出力信号は、電子制御装置9へ入力された後、冷却水温度計測値THWMとして各種制御に用いられる。
車速センサ94は、車両1のホイール11の近傍に設けられており、ホイール11の回転速度(車速SPD)に応じた電気信号を出力する。車速センサ94の出力信号は、電子制御装置9へ入力された後、車速計測値SPDMとして各種制御に用いられる。
電子制御装置9は、上記各センサの検出データ等に基づいて各種エンジン制御を実行する。例えば、燃料噴射制御においては、吸気流量GAに応じてインジェクタ59の燃料噴射量を調整する処理が行われる。
<冷却装置の構成>
図3に、冷却装置6の構成を示す。
冷却装置6は、サーモスタット61、ウォーターポンプ62及びラジエータ63を備えて構成されている。
サーモスタット61は、冷却水入口61Aを介して内部へ流入した冷却水31について、その流通経路をサーモスタットバルブ61Vにより変更する。すなわち、冷却水31の出口として次の第1冷却水出口61B及び第2冷却水出口61Cが設けられている。
・第1冷却水出口61Bは、サーモスタットバルブ61Vの開閉状態に応じて開放または閉鎖される。
・第2冷却水出口61Cは、サーモスタットバルブ61Vの開閉状態にかかわらず常に開放される。
サーモスタット61においては、冷却水31の温度が開弁温度THWT以上のときにサーモスタットバルブ61Vが開弁することにより、第1冷却水出口61Bが開放される。一方で、冷却水31の温度が開弁温度THWT未満のときにサーモスタットバルブ61Vが閉弁することにより、第1冷却水出口61Bが閉鎖される。
ラジエータ63は、冷却水入口63Aを介して内部へ流入した冷却水31を外気との間で熱交換させる。ラジエータ63で熱交換された冷却水31は、冷却水出口63Bを介してエンジン本体3へ還流される。
エンジン本体3と冷却装置6の各構成要素とは、冷却水供給管7を通じて次のように接続されている。
[A]エンジン本体3の本体冷却水通路32とサーモスタット61の冷却水入口61Aとは、第1冷却水供給管71により接続されている。すなわち、本体冷却水通路32から流出した冷却水31は、第1冷却水供給管71内の通路(第1冷却水通路71R)を介してサーモスタット61内へ流入する。
[B]サーモスタット61の第1冷却水出口61Bとラジエータ63の冷却水入口63Aとは、第2冷却水供給管72により接続されている。すなわち、第1冷却水出口61Bから流出した冷却水31は、第2冷却水供給管72内の通路(第2冷却水通路72R)を介してラジエータ63に供給される。
[C]ラジエータ63の冷却水出口63Bとウォーターポンプ62の吸引口62Aとは、第3冷却水供給管73により接続されている。すなわち、冷却水出口63Bから流出した冷却水31は、第3冷却水供給管73内の通路(第3冷却水通路73R)を介してウォーターポンプ62に吸引される。
[D]サーモスタット61の第2冷却水出口61Cと第3冷却水供給管73とは、第4冷却水供給管74により接続されている。すなわち、第2冷却水出口61Cから流出した冷却水31は、第4冷却水供給管74内の通路(第4冷却水通路74R)を介してウォーターポンプ62に吸引される。
[E]ウォーターポンプ62の吐出口62Bとエンジン本体3の本体冷却水通路32とは、第5冷却水供給管75により接続されている。すなわち、ウォーターポンプ62から吐出された冷却水31は、第5冷却水供給管75内の通路(第5冷却水通路75R)を介してエンジン本体3へ供給される。
エンジン2においては、本体冷却水通路32と第1冷却水通路71R〜第5冷却水通路75Rとにより、エンジン本体3と冷却装置6との間で冷却水31を循環させるための冷却水循環回路が形成されている。
冷却水循環回路は、次の第1循環回路と第2循環回路とを含めて形成されている。
(A)第1循環回路は、本体冷却水通路32、第1冷却水通路71R、第2冷却水通路72R、第3冷却水通路73R及び第5冷却水通路75Rにより形成されている。第1循環回路においては、冷却水31がラジエータ63を介してエンジン本体3と冷却装置6との間で循環する。
(B)第2循環回路は、本体冷却水通路32、第1冷却水通路71R、第4冷却水通路74R、第3冷却水通路73R及び第5冷却水通路75Rにより形成されている。第2循環回路においては、冷却水31がラジエータ63を介することなくエンジン本体3と冷却装置6との間で循環する。
<冷却水の循環態様>
図4及び図5を参照して、冷却水31の循環態様について説明する。なお、図4及び図5において、実線の冷却水通路は冷却水の流れが形成される通路を、破線の冷却水通路は冷却水の流れが形成されない通路をそれぞれ示す。
〔1〕「冷却水の循環態様1」
図4に、冷却水31の第1循環態様を示す。
エンジン2においては、冷却水31の温度が開弁温度THWT以上のときにサーモスタットバルブ61Vが開弁するため、冷却水循環回路の第1循環回路及び第2循環回路が開放された状態となる。これにより、冷却水31が第1循環回路及び第2循環回路を通じて循環するようになる。
〔2〕「冷却水の循環態様2」
図5に、冷却水31の第2循環態様を示す。
エンジン2においては、冷却水31の温度が開弁温度THWT未満のときにサーモスタットバルブ61Vが閉弁するため、冷却水循環回路の第1循環回路が閉鎖される一方で第2循環回路が開放された状態となる。これにより、冷却水31が第2循環回路のみを通じて循環するようになる。
<サーモスタットの故障>
サーモスタット61においては、サーモスタットバルブ61Vが開弁した状態で作動しなくなる現象(開弁固着)が生じることもある。この開弁固着が生じている状態では、冷却水31の温度にかかわらず第1循環回路が開放された状態で保持されるため、冷却水31が常にラジエータ63を介して循環するようになる。したがって、サーモスタット61の開弁固着が生じている場合には、サーモスタット61の異常が生じていないときに比べて冷却水31の温度が上昇しにくくなる。これにより、例えば冷却水31の温度が過度に低くなることに起因してエミッションの悪化等をまねくようになる。
そこで、本実施形態の冷却装置6では、エンジン2の運転中においてサーモスタット61の作動状態の診断を行うとともに、この診断を通じてサーモスタット61の異常(開弁固着)が検出されたときには、ウォーニングランプ15の点灯を通じてサーモスタット61の異常を運転者に認識させるようにしている。なお、本実施形態においては、サーモスタット61に開弁固着が生じている状態をサーモスタット61の異常時とするとともに、サーモスタット61に開弁固着が生じていない状態をサーモスタット61の正常時としている。
<サーモスタットの異常診断方法>
図6に、サーモスタット61の正常時及び異常時における冷却水31の温度の推移を示す。なお、図6における各時刻tは、それぞれ次のタイミングを示す。
・時刻t61:エンジン2の運転が開始されたとき。
・時刻t62:サーモスタット61の正常時において冷却水31の温度が開弁温度THWTに到達したとき。
サーモスタット61の異常時には、上述のように冷却水31が常にラジエータ63を介して循環するため、サーモスタット61の正常時において冷却水31の温度が開弁温度THWTに達するタイミングとなっても、冷却水31の温度が開弁温度THWTよりも低い温度を示すようになる。
本実施形態の冷却装置6では、こうした冷却水31の温度推移の違いに着目して、次のようにサーモスタット61の異常を検出するようにしている。
(A)サーモスタット61の作動状態が正常であるとの前提のもとで、冷却水31の温度に影響をおよぼすパラメータに基づいて冷却水31の温度変化を模擬する。なお、本実施形態においては、こうして模擬された冷却水31の温度を冷却水温度模擬値THWEとしている。
(B)診断条件が成立したとき、冷却水温度模擬値THWEと実際の冷却水31の温度(冷却水温度センサ93を通じて検出された冷却水温度THW)との比較を通じてサーモスタット61の作動状態を診断する。すなわち、冷却水温度模擬値THWEの温度上昇度合いが冷却水温度計測値THWMの温度上昇度合いよりも大きいとき、サーモスタット61に異常が生じていると判断する。
<冷却水温度模擬値の算出方法>
本実施形態では、エンジン2の運転中において、次のように冷却水温度模擬値THWEの更新を行うようにしている。
[1]所定の演算周期毎に冷却水温度模擬値THWEの変化量(模擬水温変化量△THWE)、すなわちサーモスタット61の正常時における冷却水31の温度変化量に相当する値を算出する。
[2]上記模擬水温変化量△THWEを冷却水温度模擬値THWEに反映させることにより、冷却水温度模擬値THWEをそのときの運転状態等に適合した値へ更新する。
<模擬水温変化量の算出方法>
本実施形態では、冷却水31の温度変化に影響をおよぼすパラメータとして以下の(A)〜(C)の各パラメータを採用している。そして、各パラメータと模擬水温変化量△THWEとの関係を予め適合することにより、車両1の走行状態及びエンジン2の運転状態に応じて適切な模擬水温変化量△THWEを算出することができるようにしている。
(A)「エンジンの負荷」:エンジン2においては、その負荷(エンジン負荷LE)が大きくなるにつれて燃料の燃焼にともなう発熱量が多くなるため、冷却水31の温度が高くなる傾向を示す。そこで、本実施形態では、エンジン負荷LEと模擬水温変化量△THWEと関係を予め適合し、この関係に基づいて模擬水温変化量△THWEの算出を行うようにしている。なお、本実施形態においては、吸入空気率GAPすなわち吸気流量計測値GAMと最大吸気流量GAmax(そのときの運転状態において得られる最大の吸気流量GA)との比率をエンジン負荷LEとして採用している。
(B)「車両の走行速度」:エンジン2においては、車速SPDが大きくなるにつれてラジエータ63での冷却水31の熱交換が促進されるため、冷却水31の温度が上昇しにくくなる傾向を示す。そこで、本実施形態では、車速SPDと模擬水温変化量△THWEと関係を予め適合し、この関係に基づいて模擬水温変化量△THWEの算出を行うようにしている。
(C)「対外気温度差」:エンジン2においては、冷却水31と外気との温度差(対外気温度差DfTHWA)が大きくなるにつれて冷却水31の放熱が促進されるため、冷却水31の温度が上昇しにくくなる傾向を示す。そこで、本実施形態では、対外気温度差DfTHWAと模擬水温変化量△THWEと関係を予め適合し、この関係に基づいて模擬水温変化量△THWEの算出を行うようにしている。
エンジン2においては、実際の外気温度を直接的に検出することができないため、吸気温度計測値THAMを通じて外気温度を把握するようにしている。また、基本的には、吸気温度計測値THAMのうちで最小吸気温度計測値THAMmin(エンジン2の始動から現在までに得られた吸気温度計測値THAMのうちで最も小さい値)が外気温度と最も近い値を示すため、最小吸気温度計測値THAMminを外気温度の相当値として採用している。すなわち、本実施形態においては、冷却水温度模擬値THWEから最小吸気温度計測値THAMminを減算した値(対吸気温度差DfTHWB)を対外気温度差DfTHWAとして採用するようにしている。
<作動状態診断処理>
本実施形態のエンジン2においては、サーモスタット61の作動状態を診断するための処理として「作動状態診断処理」を実行するようにしている。「作動状態診断処理」は、電子制御装置9を通じて所定の演算周期毎に繰り返し実行される。
図7〜図11を参照して、「作動状態診断処理」の詳細な処理手順について説明する。
[ステップS100]冷却水温度模擬値THWEの更新を行うための「模擬水温更新処理(図8)」を開始する。「模擬水温更新処理」の終了後、ステップS200の処理へ移行する。
[ステップS200]冷却水温度計測値THWM及び冷却水温度模擬値THWEに基づいてサーモスタット61の異常の検出を行うための「異常状態検出処理(図11)」を開始する。「異常状態検出処理」の終了後、ステップS300の処理へ移行する。
[ステップS300]「異常状態検出処理」を通じて、サーモスタット61の作動状態の診断が実行されたか否かを判定する。すなわち、サーモスタット61の作動状態が異常であることを示すフラグ(異常診断フラグFA)及びサーモスタット61の作動状態が正常であることを示すフラグ(正常診断フラグFB)のいずれかがオンにされているか否かを判定する。
・いずれかのフラグがオンにされているとき、ステップS310の処理へ移行する。
・いずれのフラグもオンにされていないとき、ステップS320の処理へ移行する。
[ステップS310]異常診断フラグFAがオンにされているか否かを判定する。
・異常診断フラグFAがオンにされているとき、ステップS312の処理へ移行する。
・正常診断フラグFBがオンにされているとき、ステップS314の処理へ移行する。
[ステップS312]ウォーニングランプ15を点灯する。
[ステップS314]「作動状態診断処理」の終了を設定する。これにより、ステップS314の処理の終了ととも「作動状態診断処理」が終了される。
[ステップS320]「異常状態検出処理」を通じて、サーモスタット61の作動状態の診断が保留されているか否かを判定する。すなわち、サーモスタット61の作動状態の診断について、その実行を保留する判断がなされたことを示すフラグ(診断保留フラグFC)がオンにされているか否かを判定する。
・診断保留フラグFCがオンにされているとき、ステップS314の処理へ移行する。
・診断保留フラグFCがオフにされているとき、本処理を一旦終了する。
<模擬水温更新処理>
図8〜図10を参照して、「模擬水温更新処理」の処理手順について説明する。
[ステップS110]今回の演算周期がエンジン2の始動後における最初の演算周期か否かを判定する。
・最初の演算周期のとき、ステップS112の処理へ移行する。
・最初の演算周期でないとき、ステップS114の処理へ移行する。
[ステップS112]冷却水温度計測値THWMの初期値(初期冷却水温度計測値THWMini)を冷却水温度模擬値THWEの初期値(初期冷却水温度模擬値THWEini)として設定する。
[ステップS114]エンジン負荷LE、車速SPD及び対外気温度差DfTHWAに基づいて、模擬水温変化量△THWEを算出する。具体的には、次の[ステップS114−1]及び[ステップS114−2]の処理を通じて模擬水温変化量△THWEの算出を行う。
[ステップS114−1]模擬水温変化量△THWEの算出に用いる各パラメータをそれぞれ以下に示す態様をもって設定する。
(a)今回の演算周期の吸気流量計測値GAM及び最大吸気流量GAmaxから算出した吸入空気率GAPをエンジン負荷LEとして設定する。
(b)今回の演算周期の車速計測値SPDMを車速SPDとして設定する。
(c)今回の演算周期の冷却水温度模擬値THWE及び最小吸気温度計測値THAMminから算出した対吸気温度差DfTHWBを対外気温度差DfTHWAとして設定する。
[ステップS114−2]エンジン負荷LE、車速SPD及び対外気温度差DfTHWAと模擬水温変化量△THWEとの関係が設定されたマップ(模擬水温変化量算出マップ(図9))に上記[ステップS114−1]の各パラメータを適用することにより、模擬水温変化量△THWEを算出する。なお、本実施形態においては、模擬水温変化量算出マップの設定形式として次のような形式を採用している。すなわち、エンジン負荷LE及び対外気温度差DfTHWAと模擬水温変化量△THWEとの関係を設定した2次元マップについて、このマップを所定の車速SPD毎に用意している。
模擬水温変化量算出マップ(図9)は、試験等を通じてエンジン負荷LE、対外気温度差DfTHWA及び車速SPDと模擬水温変化量△THWEとの関係を予め把握してマップ化することにより構成されている。同マップにおいて、各パラメータと模擬水温変化量△THWEとの関係は次のように設定されている。
(a)冷却水温度THWは、基本的にはエンジン負荷LEが高負荷側へ変化するにつれて上昇する。上記マップにおいては、こうした冷却水温度THWの変化傾向に即してエンジン負荷LEと模擬水温変化量△THWEとの関係が設定されている。
(b)冷却水温度THWは、基本的には対外気温度差DfTHWAが大きくなるにつれて低下する。上記マップにおいては、こうした冷却水温度THWの変化傾向に即して対外気温度差DfTHWAと模擬水温変化量△THWEとの関係が設定されている。
(c)冷却水温度THWは、基本的には車速SPDが高速側へ変化するにつれて低下する。上記マップにおいては、こうした冷却水温度THWの変化傾向に即して車速SPDと模擬水温変化量△THWEとの関係が設定されている。
[ステップS116]現在の冷却水温度模擬値THWE(前回の演算周期において算出された冷却水温度模擬値THWE)に模擬水温変化量△THWEを反映させることにより冷却水温度模擬値THWEを更新する。すなわち、下記[式11]を通じて、冷却水温度模擬値THWEの算出を行う。

[式11]

THWE ← THWE + △THWE

なお、本実施形態においては、時間に対して冷却水温度模擬値THWEの推移をトレースした曲線(模擬水温曲線LCC)が、サーモスタット61の正常時における実際の冷却水温度THWの推移をトレースした曲線(正常水温曲線LCA)とサーモスタット61の異常時における実際の冷却水温度THWの推移をトレースした曲線(異常水温曲線LCB)との間に位置するように模擬水温変化量△THWEが適合されている。すなわち、模擬水温曲線LCCと正常水温曲線LCAと異常水温曲線LCBとの関係が、図6に示される関係となるように冷却水温度模擬値THWEの更新が行われる。このため、上記[式11]を通じて算出された冷却水温度模擬値THWEは、サーモスタット61の正常時における実際の冷却水温度THWとは異なった値を示す。
[ステップS120]車両1の走行状態が降坂走行状態か否かを判定する。ここでは、降坂走行条件(以下の(a)及び(b)の条件)が成立しているとき、走行状態が降坂走行状態であると判断する。一方で、降坂走行条件が成立していないとき、走行状態が降坂走行状態以外の走行状態(一般走行状態)であると判断する。
(a)エンジン負荷LEが判定値XLE未満(エンジン2が低負荷運転状態)。
(b)車速計測値SPDMが判定値XSPD以上(車速SPDが比較的大きい)。
ステップS120の判定処理を通じて、次のように以降の処理が行われる。
・走行状態が降坂走行状態のとき、ステップS122の処理へ移行する。
・走行状態が一般走行状態のとき、ステップS124の処理へ移行する。
[ステップS122]降坂走行カウンタ値Tcntを前回の演算周期からの経過時間に応じた値だけ増加させる。すなわち、下記[式12]を通じて降坂走行カウンタ値Tcntの更新を行う。

[式12]

Tcnt ← Tcnt + △T

上記[式12]において、右辺の「Tcnt」は、前回の演算周期において算出された降坂走行カウンタ値Tcntを示す。また、「△T」は、前回の演算周期と今回の演算周期との時間間隔を示す。なお、降坂走行カウンタ値Tcntの初期値は「0」に設定されている。
[ステップS124]降坂走行カウンタ値Tcntを前回の演算周期からの経過時間に応じた値だけ減少させる。すなわち、下記[式13]を通じて降坂走行カウンタ値Tcntの更新を行う。

[式13]

Tcnt ← Tcnt − △T

上記[式13]において、右辺の「Tcnt」は、前回の演算周期において算出された降坂走行カウンタ値Tcntを示す。また、「△T」は、前回の演算周期と今回の演算周期との時間間隔を示す。なお、降坂走行カウンタ値Tcntが減算により「0」未満となる場合は、「0」に設定される。
降坂走行カウンタ値Tcntは、降坂走行状態のときに加算される一方で一般走行状態のときに減算されることにより、エンジン2始動からの経過時間(全走行時間Tall)に対する降坂走行状態の時間の割合に相当する値として算出される。すなわち、降坂走行カウンタ値Tcntが大きいときほど、エンジン2始動後における降坂走行状態の割合が大きいことを示す。反対に、降坂走行カウンタ値Tcntが小さいときほど、エンジン2始動後における一般走行状態の割合が大きいことを示す。
図10を参照して、降坂走行カウンタ値Tcntの更新態様の一例について説明する。図10の各時刻tは、それぞれ次のタイミングを示す。
・時刻t101:エンジン2の運転が開始されたとき。
・時刻t102:車両1の走行状態が一般走行状態から降坂走行状態へ変化したとき。
・時刻t103:車両1の走行状態が降坂走行状態から一般走行状態へ変化したとき。
・時刻t104:作動状態の診断を行うタイミングに達したとき。
車両1の走行状態が上述のように変化した場合、降坂走行カウンタ値Tcntは次のように更新される。
(A)時刻t101から時刻t102までの期間においては、走行状態が一般走行状態であるため、降坂走行カウンタ値Tcntが初期値の「0」に保持される。
(B)時刻t102から時刻t103までの期間においては、走行状態が降坂走行状態であるため、降坂走行カウンタ値Tcntが加算される。すなわち、降坂走行カウンタ値Tcntが初期値の「0」からカウンタ値Tcnt1まで増加する。
(C)時刻t103から時刻t104までの期間においては、走行状態が一般走行状態であるため、降坂走行カウンタ値Tcntが減算される。すなわち、降坂走行カウンタ値Tcntがカウンタ値Tcnt1からカウンタ値Tcnt2まで減少する。
<異常状態検出処理>
図11を参照して、「異常状態検出処理」の処理手順について説明する。
[ステップS210]サーモスタット61の作動状態の診断を行うタイミングに達したか否か(診断条件が成立したか否か)を判定する。すなわち、冷却水温度計測値THWM及び冷却水温度模擬値THWEのいずれかが診断温度THWDに達したか否かを判定する。なお、以降では、作動状態の診断タイミングにおける冷却水温度模擬値THWEを判定冷却水温度模擬値THWEfinとする。
診断温度THWDは、試験等を通じて予め設定されている。本実施形態では、サーモスタット61の標準的な開弁温度THWT(一般には82℃)を基準値として、この基準値に冷却水温度センサ93の検出誤差等を加味して診断温度THWDを設定するようにしている。具体的には、開弁温度THWTの基準値よりも若干低い温度(ここでは75℃)が診断温度THWDとして設定されている。これにより、正常なサーモスタットが開弁するタイミングのうち、想定される最も早いタイミングにおいて作動状態の診断が行われるようになる。
ステップS210の判定処理を通じて、次のように以降の処理が行われる。
・冷却水温度計測値THWM及び冷却水温度模擬値THWEのいずれかが診断温度THWDに達しているとき、ステップS220の処理へ移行する。
・冷却水温度計測値THWM及び冷却水温度模擬値THWEのいずれかもが診断温度THWDに達していないとき、本処理を一旦終了する。
[ステップS220]降坂走行カウンタ値Tcntが上限時間XT以上か否かを判定する。なお、上限時間XTは、サーモスタット61の作動状態の診断を冷却水温度模擬値THWEに基づいて正確に行うことができるか否かを判定するための値として、試験等を通じて予め設定されている。
電子制御装置9は、ステップS220の判定処理を通じて、作動状態の診断について次のように判断する。
(a)降坂走行カウンタ値Tcntが上限時間XT以上のとき、全走行時間Tallに対する降坂走行状態の時間の割合が上限値以上の状態に相当するため、作動状態の診断を正確に行うことができないと判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS222の処理へ移行する。
(b)降坂走行カウンタ値Tcntが上限時間XT未満のとき、全走行時間Tallに対する降坂走行状態の時間の割合が上限値未満の状態に相当するため、作動状態の診断を正確に行うことができると判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS230の処理へ移行する。
冷却水温度THWに対する走行風の影響度合いは、車両1の走行状態が降坂走行状態にある場合とそれ以外の走行状態にある場合とで大きく異なることが本発明者の実施した試験等を通じて確認されている。一方、本実施形態においては、冷却水温度THW(冷却水温度模擬値THWE)に走行風の影響を反映させるため、走行風との相関を有する車速SPDと冷却水温度THWとの関係を予めマップ化している。
しかし、車両1の降坂走行状態を考慮していない状態のもとで、車速SPDと冷却水温度THWとの関係が一義的に設定されているため、診断タイミング前に車両1の降坂走行状態が比較的長い期間にわたって継続された場合、次のようなことが問題となる。すなわち、冷却水温度模擬値THWEの更新について、実際の走行風の影響が適切に反映されていない模擬水温変化量△THWEに基づいて更新される度合いが高くなるため、判定冷却水温度模擬値THWEfinが本来設定されるべき値から大きく乖離するようになる。したがって、サーモスタット61の異常を誤検出することが懸念される。
そこで、本実施形態においては、降坂走行カウンタ値Tcntと上限時間XTとの比較を通じて、現在の判定冷却水温度模擬値THWEfinと本来の判定冷却水温度模擬値THWEfinとの乖離度合いが許容できる範囲か否かを判定するようにしている。そして、降坂走行カウンタ値Tcntが上限時間XT以上のときには、現在の判定冷却水温度模擬値THWEfinの信頼性が低いと判断して、診断の保留を設定するようにしている。
[ステップS222]診断保留フラグFCをオンにする。
[ステップS230]冷却水温度模擬値THWEが冷却水温度計測値THWMよりも先に診断温度THWDへ到達したか否かを判定する。
・冷却水温度模擬値THWEが先に診断温度THWDへ到達しているとき、ステップS232の処理へ移行する。
・冷却水温度計測値THWMが先に診断温度THWDへ到達しているとき、ステップS234の処理へ移行する。
[ステップS232]異常診断フラグFAをオンにする。
[ステップS234]正常診断フラグFBをオンにする。なお、ステップS222、ステップS232またはステップS234の処理を通じてオンにされたフラグは、ステップS314による「作動状態診断処理」の終了から次回の「作動状態診断処理」の開始まで間に初期化される(フラグがオフにされる)。
<実施形態の効果>
以上詳述したように、この実施形態にかかる内燃機関の冷却装置によれば、以下に示すような効果が得られるようになる。
(1)本実施形態の冷却装置では、降坂走行カウンタ値Tcntが上限時間XT以上のとき、作動状態の診断を保留するようにしている。これにより、サーモスタット61の異常を誤って検出することが抑制されるようになるため、サーモスタット61の異常の検出精度を向上させることができるようになる。
<実施形態のその他の構成>
なお、上記第1実施形態は、例えば以下に示すように変更して実施することもできる。
・上記第1実施形態では、診断タイミングにおいて降坂走行カウンタ値Tcntが上限時間XT以上のとき、作動状態の診断を保留するようにしたが、例えば次の[変更例1]または[変更例2]のように変更することもできる。なお、以下の変更例において、電子制御装置9は補正手段を含めて構成される。
[変更例1]:診断タイミングにおいて降坂走行カウンタ値Tcntが上限時間XT以上のとき、冷却水温度模擬値THWE(判定冷却水温度模擬値THWEfin)を小さくする方向への補正を行う。そして、補正後の冷却水温度模擬値THWEと冷却水温度計測値THWMとの比較を通じて作動状態の診断を実行する。
[変更例2]:診断タイミング前において、降坂走行カウンタ値Tcntが上限時間XT以上となる毎に冷却水温度模擬値THWE(判定冷却水温度模擬値THWEfin)を小さくする方向への補正を行う。なお、補正後は降坂走行カウンタ値Tcntが初期値の「0」に設定される。
・上記[変更例1]及び[変更例2]において、降坂走行カウンタ値Tcntの大きさに応じて冷却水温度模擬値THWEに対する補正度合いを変更することもできる。この場合、降坂走行カウンタ値Tcntが大きくなるにつれて冷却水温度模擬値THWEの補正値が大きく設定される。すなわち、降坂走行カウンタ値Tcntの増加にともなって冷却水温度模擬値THWEがより小さい値に補正される。
・上記第1実施形態では、診断タイミングにおいて降坂走行カウンタ値Tcntが上限時間XT以上のとき、作動状態の診断を保留するようにしたが、例えば次のように変更することもできる。すなわち、診断タイミングにおいて降坂走行カウンタ値Tcntが上限時間XT以上のとき、冷却水温度模擬値THWEを一定値だけ減算して冷却水温度模擬値THWEの更新を継続することもできる。この場合、再度、診断の実行または保留を選択する機会が得られるため、冷却水温度模擬値THWEを減算した後における車両1の走行状態の更新態様によっては作動状態の診断を実行することが可能となる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について、図8、図11及び図12を参照して説明する。
前記第1実施形態では、降坂走行カウンタ値Tcntに基づいて作動状態の診断の実行または保留を選択するようにしている。これに対して、本実施形態では、エンジン2の始動から診断タイミングまでの降坂走行状態の積算時間(降坂走行積算時間TA)に基づいて作動状態の診断の実行または保留を選択するようにしている。
<作動状態診断処理>
本実施形態の「作動状態診断処理」について、前記第1実施形態から変更された処理を以下に示す。
「模擬水温更新処理(図8)」においては、次の変更が適用される。
[ステップS120]車両1の走行状態が降坂走行状態か否かを判定する。
・走行状態が降坂走行状態のとき、ステップS122の処理へ移行する。
・走行状態が一般走行状態のとき、「模擬水温更新処理」を一旦終了する。すなわち、ステップS124の処理は省略される。
[ステップS122]降坂走行積算時間TAを前回の演算周期からの経過時間に応じた値だけ増加させる。すなわち、下記[式21]を通じて降坂走行積算時間TAの更新を行う。

[式21]

TA ← TA + △T

上記[式21]において、右辺の「TA」は、前回の演算周期において算出された降坂走行積算時間TAを示す。また、「△T」は、前回の演算周期と今回の演算周期との時間間隔を示す。なお、降坂走行積算時間TAの初期値は「0」に設定されている。
「異常状態検出処理(図11)」においては、次の変更が適用される。
[ステップS210]サーモスタット61の作動状態の診断を行うタイミングに達したか否か(診断条件が成立したか否か)を判定する。
・冷却水温度計測値THWM及び冷却水温度模擬値THWEのいずれかが診断温度THWDに達しているとき、ステップS212の処理へ移行する。
・冷却水温度計測値THWM及び冷却水温度模擬値THWEのいずれかもが診断温度THWDに達していないとき、「異常状態検出処理」を一旦終了する。
[ステップS212]エンジン2の始動から診断タイミングまでの経過時間(全走行時間Tall)に対する降坂走行積算時間TAの割合(降坂走行割合TP)を算出する。すなわち、下記[式22]を通じて降坂走行割合TPの算出を行う。

[式22]

TP ← TA/Tall

なお、降坂走行割合TPの算出後はステップS220の処理へ移行する。
[ステップS220]降坂走行割合TPが上限割合XTP以上か否かを判定する。なお、上限割合XTPは、サーモスタット61の作動状態の診断を冷却水温度模擬値THWEに基づいて正確に行うことができるか否かを判定するための値として、試験等を通じて予め設定されている。
電子制御装置9は、ステップS220の判定処理を通じて、作動状態の診断について次のように判断する。
(a)降坂走行割合TPが上限割合XTP以上のとき、作動状態の診断を正確に行うことができないと判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS222の処理へ移行する。
(b)降坂走行割合TPが上限割合XTP未満のとき、作動状態の診断を正確に行うことができると判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS230の処理へ移行する。
<積算時間の更新態様>
図12を参照して、降坂走行積算時間TAの更新態様の一例について説明する。図12の各時刻tは、それぞれ次のタイミングを示す。
・時刻t121:エンジン2の運転が開始されたとき。
・時刻t122:車両1の走行状態が一般走行状態から降坂走行状態へ変化したとき。
・時刻t123:車両1の走行状態が降坂走行状態から一般走行状態へ変化したとき。
・時刻t124:作動状態の診断を行うタイミングに達したとき。
車両1の走行状態が上述のように変化した場合、降坂走行積算時間TAは次のように更新される。
(A)時刻t121から時刻t122までの期間においては、走行状態が一般走行状態であるため、降坂走行積算時間TAが初期値の「0」に保持される。
(B)時刻t122から時刻t123までの期間においては、走行状態が降坂走行状態であるため、降坂走行積算時間TAが加算される。すなわち、降坂走行積算時間TAが初期値の「0」から積算時間TA1まで増加する。
(C)時刻t123から時刻t124までの期間においては、走行状態が一般走行状態であるため、降坂走行積算時間TAが保持される。すなわち、降坂走行積算時間TAが積算時間TA1に保持される。
<実施形態の効果>
以上詳述したように、この第2実施形態にかかる内燃機関の冷却装置によれば、先の第1実施形態による前記(1)の効果と同様の効果が得られるようになる。
<実施形態のその他の構成>
なお、上記第2実施形態は、例えば以下に示すように変更して実施することもできる。
・上記第2実施形態では、診断タイミングにおいて降坂走行割合TPが上限割合XTP以上のとき、作動状態の診断を保留するようにしたが、例えば次の[変更例]のように変更することもできる。なお、以下の変更例において、電子制御装置9は補正手段を含めて構成される。
[変更例]:診断タイミングにおいて降坂走行割合TPが上限割合XTP以上のとき、冷却水温度模擬値THWE(判定冷却水温度模擬値THWEfin)を小さくする方向への補正を行う。そして、補正後の冷却水温度模擬値THWEと冷却水温度計測値THWMとの比較を通じて作動状態の診断を実行する。
・上記[変更例]において、降坂走行割合TPの大きさに応じて冷却水温度模擬値THWEに対する補正度合いを変更することもできる。この場合、降坂走行割合TPが大きくなるにつれて冷却水温度模擬値THWEの補正値が大きく設定される。すなわち、降坂走行割合TPの増加にともなって冷却水温度模擬値THWEがより小さい値に補正される。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について、図8、図11及び図13を参照して説明する。
前記第1実施形態では、降坂走行カウンタ値Tcntに基づいて作動状態の診断の実行または保留を選択するようにしている。これに対して、本実施形態では、エンジン2の始動から診断タイミングまでの降坂走行状態の積算時間(降坂走行積算時間TA)と一般走行状態の積算時間(一般走行積算時間TB)とに基づいて、作動状態の診断の実行または保留を選択するようにしている。
<作動状態診断処理>
本実施形態の「作動状態診断処理」について、前記第1実施形態から変更及び追加された処理を以下に示す。
「模擬水温更新処理(図8)」においては、次の変更が適用される。
[ステップS122]降坂走行積算時間TAを前回の演算周期からの経過時間に応じた値だけ増加させる。すなわち、下記[式31]を通じて降坂走行積算時間TAの更新を行う。

[式31]

TA ← TA + △T

上記[式31]において、右辺の「TA」は、今回の演算周期以前において算出された最新の降坂走行積算時間TAを示す。また、「△T」は、前回の演算周期と今回の演算周期との時間間隔を示す。なお、降坂走行積算時間TAの初期値は、「0」に設定されている。
[ステップS124]一般走行積算時間TBを前回の演算周期からの経過時間に応じた値だけ増加させる。すなわち、下記[式32]を通じて一般走行積算時間TBの更新を行う。

[式32]

TB ← TB + △T

上記[式32]において、右辺の「TB」は、今回の演算周期以前において算出された最新の一般走行積算時間TBを示す。また、「△T」は、前回の演算周期と今回の演算周期との時間間隔を示す。なお、一般走行積算時間TBの初期値は、「0」に設定されている。
「異常状態検出処理(図11)」においては、次の変更が適用される。
[ステップS210]サーモスタット61の作動状態の診断を行うタイミングに達したか否か(診断条件が成立したか否か)を判定する。
・冷却水温度計測値THWM及び冷却水温度模擬値THWEのいずれかが診断温度THWDに達しているとき、ステップS212の処理へ移行する。
・冷却水温度計測値THWM及び冷却水温度模擬値THWEのいずれかもが診断温度THWDに達していないとき、「異常状態検出処理」を一旦終了する。
[ステップS212]一般走行積算時間TBに対する降坂走行積算時間TAの割合(降坂走行比率TR)を算出する。すなわち、下記[式33]を通じて降坂走行比率TRの算出を行う。

[式33]

TR ← TA/TB

なお、降坂走行比率TRの算出後はステップS220の処理へ移行する。
[ステップS220]降坂走行比率TRが上限比率XTR以上か否かを判定する。なお、上限比率XTRは、サーモスタット61の作動状態の診断を冷却水温度模擬値THWEに基づいて正確に行うことができるか否かを判定するための値として、試験等を通じて予め設定されている。
電子制御装置9は、ステップS220の判定処理を通じて、作動状態の診断について次のように判断する。
(a)降坂走行比率TRが上限比率XTR以上のとき、作動状態の診断を正確に行うことができないと判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS222の処理へ移行する。
(b)降坂走行比率TRが上限比率XTR未満のとき、作動状態の診断を正確に行うことができると判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS230の処理へ移行する。
<積算時間の更新態様>
図13を参照して、降坂走行積算時間TA及び一般走行積算時間TBの更新態様の一例について説明する。図13の各時刻tは、それぞれ次のタイミングを示す。
・時刻t131:エンジン2の運転が開始されたとき。
・時刻t132:車両1の走行状態が一般走行状態から降坂走行状態へ変化したとき。
・時刻t133:車両1の走行状態が降坂走行状態から一般走行状態へ変化したとき。
・時刻t134:作動状態の診断を行うタイミングに達したとき。
車両1の走行状態が上述のように変化した場合、降坂走行積算時間TA及び一般走行積算時間TBはそれぞれ次のように更新される。
(A)時刻t131から時刻t132までの期間においては、走行状態が一般走行状態であるため、一般走行積算時間TBが初期値の「0」から積算時間TB1まで増加する。一方で、降坂走行積算時間TAが初期値の「0」に保持される。
(B)時刻t132から時刻t133までの期間においては、走行状態が降坂走行状態であるため、降坂走行積算時間TAが初期値の「0」から積算時間TA1まで増加する。一方で、一般走行積算時間TBが積算時間TB1に保持される。
(C)時刻t133から時刻t134までの期間においては、走行状態が一般走行状態であるため、一般走行積算時間TBが積算時間TB1から積算時間TB2まで増加する。一方で、降坂走行積算時間TAが積算時間TA1に保持される。
<実施形態の効果>
以上詳述したように、この第3実施形態にかかる内燃機関の冷却装置によれば、先の第3実施形態による前記(1)の効果と同様の効果が得られるようになる。
<実施形態のその他の構成>
なお、上記第3実施形態は、例えば以下に示すように変更して実施することもできる。
・上記第3実施形態では、診断タイミングにおいて降坂走行比率TRが上限比率XTR以上のとき、作動状態の診断を保留するようにしたが、例えば次の[変更例]のように変更することもできる。なお、以下の変更例において、電子制御装置9は補正手段を含めて構成される。
[変更例]:診断タイミングにおいて降坂走行比率TRが上限比率XTR以上のとき、冷却水温度模擬値THWE(判定冷却水温度模擬値THWEfin)を小さくする方向への補正を行う。そして、補正後の冷却水温度模擬値THWEと冷却水温度計測値THWMとの比較を通じて作動状態の診断を実行する。
・上記[変更例]において、降坂走行比率TRの大きさに応じて冷却水温度模擬値THWEに対する補正度合いを変更することもできる。この場合、降坂走行比率TRが大きくなるにつれて冷却水温度模擬値THWEの補正値が大きく設定される。すなわち、降坂走行比率TRの増加にともなって冷却水温度模擬値THWEがより小さい値に補正される。
(その他の実施形態)
その他、上記各実施形態に共通して変更することができる要素を以下に示す。
・上記各実施形態では、降坂走行条件としてステップS120の(a)及び(b)の条件を採用したが、降坂走行条件は例示した条件に限られず適宜変更することができる。また、センサを通じて降坂走行状態を検出することもできる。
・上記各実施形態では、診断温度THWDを開弁温度THWTの基準値に基づいて設定するようにしたが、こうして態様を通じて設定した値に限られず適宜の値を診断温度THWDとして採用することができる。
・上記各実施形態では、冷却水温度THWに関連するパラメータ(冷却水温度計測値THWM及び冷却水温度模擬値THWE)に基づいて、作動状態の診断タイミングを設定するようにしたが、診断タイミングは上記パラメータに限られず適宜のパラメータ(例えば車両1の走行時間)に基づいて設定することができる。
・上記各実施形態では、燃焼室へ燃料を直接噴射するエンジンの冷却装置に対して本発明を適用したが、インテークポートへ燃料を噴射するエンジンをはじめとして冷却装置を備えたいずれのエンジンに対しても本発明を適用することができる。こうした場合にも、上記各実施形態に準じた態様をもって本発明を適用することにより、同実施形態の作用効果に準じた作用効果が奏せられるようになる。
本発明にかかる内燃機関の冷却装置を具体化した第1実施形態について、同冷却装置を搭載した車両の全体構成を示す構成図。 同実施形態の内燃機関について、その全体構成を示す構成図。 同実施形態の冷却装置について、その全体構成を示す構成図。 同実施形態の冷却装置について、冷却水の循環態様の一例を示す構成図。 同実施形態の冷却装置について、冷却水の循環態様の一例を示す構成図。 同実施形態の冷却装置について、冷却水の温度変化の一例を示すグラフ。 同実施形態において実行される「作動状態診断処理」について、その処理手順を示すフローチャート。 同実施形態において実行される「模擬水温更新処理」について、その処理手順を示すフローチャート。 同実施形態において実行される「模擬水温更新処理」について、同処理にて用いられる模擬水温変化量算出マップ。 同実施形態において実行される「模擬水温更新処理」について、同処理における走行時間カウンタ値の算出態様の一例を示すタイミングチャート。 同実施形態において実行される「異常状態検出処理」について、その処理手順を示すフローチャート。 本発明にかかる内燃機関の冷却装置を具体化した第2実施形態について、同実施形態の「模擬水温更新処理」における降坂走行積算時間の算出態様の一例を示すタイミングチャート。 本発明にかかる内燃機関の冷却装置を具体化した第3実施形態について、同実施形態の「模擬水温更新処理」における降坂走行積算時間及び一般走行積算時間の算出態様の一例を示すタイミングチャート。
符号の説明
1…車両、11…ホイール、12…エンジンルーム、13…キャビン、14…インジケーターパネル、15…ウォーニングランプ。
2…エンジン、21…クランクシャフト。
3…エンジン本体、31…冷却水、32…本体冷却水通路。
4…シリンダブロック、41…シリンダ、42…ウォータージャケット、43…ピストン、44…燃焼室、45…コネクティングロッド。
5…シリンダヘッド、51…インテークポート、52…インテークバルブ、53…インテークパイプ、54…エキゾーストポート、55…エキゾーストバルブ、56…エキゾーストパイプ、57…エアクリーナ、58…センサユニット、59…インジェクタ。
6…冷却装置、61…サーモスタット、61A…冷却水入口、61B…第1冷却水出口、61C…第2冷却水出口、61V…サーモスタットバルブ、62…ウォーターポンプ、62A…吸引口、62B…吐出口、63…ラジエータ、63A…冷却水入口、63B…冷却水出口。
7…冷却水供給管、71…第1冷却水供給管、71R…第1冷却水通路、72…第2冷却水供給管、72R…第2冷却水通路、73…第3冷却水供給管、73R…第3冷却水通路、74…第4冷却水供給管、74R…第4冷却水通路、75…第5冷却水供給管、75R…第5冷却水通路。
9…電子制御装置、91…吸気温度センサ、92…エアフローメータ、93…冷却水温度センサ、94…車速センサ。

Claims (21)

  1. ラジエータへの冷却水の供給量を調整するサーモスタットと、
    前記冷却水の温度を検出する冷却水温度検出手段と、
    前記冷却水の温度に相当する基準温度を車速に基づいて推定する基準温度推定手段と、
    前記冷却水温度検出手段を通じて検出された前記冷却水の温度を検出温度として、診断条件が成立したときに前記検出温度と前記基準温度との比較に基づいて前記サーモスタットの作動状態を診断する診断手段とを備える内燃機関の冷却装置において、
    車両の降坂走行に起因して前記基準温度が正確に推定されていない旨判定したときに前記作動状態の診断を禁止する
    ことを特徴とする内燃機関の冷却装置。
  2. ラジエータへの冷却水の供給量を調整するサーモスタットと、
    前記冷却水の温度を検出する冷却水温度検出手段と、
    前記冷却水の温度に相当する基準温度を車速に基づいて推定する基準温度推定手段と、
    前記冷却水温度検出手段を通じて検出された前記冷却水の温度を検出温度として、診断条件が成立したときに前記検出温度と前記基準温度との比較に基づいて前記サーモスタットの作動状態を診断する診断手段とを備える内燃機関の冷却装置において、
    車両の走行状態が降坂走行状態にあるか同走行状態以外の走行状態である一般走行状態にあるかに応じて所定の演算値を更新し、この演算値と判定値との比較結果に基づいて前記作動状態の診断を禁止する必要があるか否かを判定する
    ことを特徴とする内燃機関の冷却装置。
  3. 請求項2に記載の内燃機関の冷却装置において、
    前記演算値と前記判定値との比較結果として、前記診断条件が成立するまでに冷却水の温度に及ぼされた車両の降坂走行にともなう走行風の影響が許容範囲を超えることを示す結果が得られるとき、前記作動状態の診断を禁止する
    ことを特徴とする内燃機関の冷却装置。
  4. 請求項2または3に記載の内燃機関の冷却装置において、
    車両が降坂走行状態にあるときに前記演算値をその初期値から離間する方向に更新し、車両が一般走行状態にあるときに前記演算値を前記初期値に近接する方向に更新する
    ことを特徴とする内燃機関の冷却装置。
  5. 請求項4に記載の内燃機関の冷却装置において、
    前記診断条件が成立した時点での前記演算値が前記判定値に対して前記初期値とは反対側にあるとき、前記作動状態の診断を禁止する
    ことを特徴とする内燃機関の冷却装置。
  6. ラジエータへの冷却水の供給量を調整するサーモスタットと、
    前記冷却水の温度を検出する冷却水温度検出手段と、
    前記冷却水の温度に相当する基準温度を車速に基づいて推定する基準温度推定手段と、
    前記冷却水温度検出手段を通じて検出された前記冷却水の温度を検出温度として、診断条件が成立したときに前記検出温度と前記基準温度との比較に基づいて前記サーモスタットの作動状態を診断する診断手段とを備える内燃機関の冷却装置において、
    車両の降坂走行がなされた時間を降坂走行時間とし、内燃機関の始動から前記診断条件が成立するまでの時間を条件成立時間として、この条件成立時間に対する前記降坂走行時間の割合が判定値以上のとき、前記作動状態の診断を禁止する
    ことを特徴とする内燃機関の冷却装置。
  7. ラジエータへの冷却水の供給量を調整するサーモスタットと、
    前記冷却水の温度を検出する冷却水温度検出手段と、
    前記冷却水の温度に相当する基準温度を車速に基づいて推定する基準温度推定手段と、
    前記冷却水温度検出手段を通じて検出された前記冷却水の温度を検出温度として、診断条件が成立したときに前記検出温度と前記基準温度との比較に基づいて前記サーモスタットの作動状態を診断する診断手段とを備える内燃機関の冷却装置において、
    車両の降坂走行がなされた時間を降坂走行時間とし、車両の降坂走行状態以外の走行状態である一般走行がなされた時間を一般走行時間として、この一般走行時間に対する前記降坂走行時間の割合が判定値以上のとき、前記作動状態の診断を禁止する
    ことを特徴とする内燃機関の冷却装置。
  8. ラジエータへの冷却水の供給量を調整するサーモスタットと、
    前記冷却水の温度を検出する冷却水温度検出手段と、
    前記冷却水の温度に相当する基準温度を車速に基づいて推定する基準温度推定手段と、
    前記冷却水温度検出手段を通じて検出された前記冷却水の温度を検出温度として、診断条件が成立したときに前記検出温度と前記基準温度との比較に基づいて前記サーモスタットの作動状態を診断する診断手段とを備える内燃機関の冷却装置において、
    車両の速度が基準車速以上且つ内燃機関の負荷が基準負荷未満の状態を特定状態とし、この特定状態がなされた時間を特定状態時間とし、前記内燃機関の始動から前記診断条件が成立するまでの時間を条件成立時間として、この条件成立時間に対する前記特定状態時間の割合が判定値以上のとき、前記作動状態の診断を禁止する
    ことを特徴とする内燃機関の冷却装置。
  9. ラジエータへの冷却水の供給量を調整するサーモスタットと、
    前記冷却水の温度を検出する冷却水温度検出手段と、
    前記冷却水の温度に相当する基準温度を車速に基づいて推定する基準温度推定手段と、
    前記冷却水温度検出手段を通じて検出された前記冷却水の温度を検出温度として、診断条件が成立したときに前記検出温度と前記基準温度との比較に基づいて前記サーモスタットの作動状態を診断する診断手段とを備える内燃機関の冷却装置において、
    車両の降坂走行に起因して前記基準温度が正確に推定されていない旨判定したときに前記基準温度を補正する補正手段を備える
    ことを特徴とする内燃機関の冷却装置。
  10. ラジエータへの冷却水の供給量を調整するサーモスタットと、
    前記冷却水の温度を検出する冷却水温度検出手段と、
    前記冷却水の温度に相当する基準温度を車速に基づいて推定する基準温度推定手段と、
    前記冷却水温度検出手段を通じて検出された前記冷却水の温度を検出温度として、診断条件が成立したときに前記検出温度と前記基準温度との比較に基づいて前記サーモスタットの作動状態を診断する診断手段とを備える内燃機関の冷却装置において、
    車両の走行状態が降坂走行状態にあるか同走行状態以外の走行状態である一般走行状態にあるかに応じて所定の演算値を更新し、この演算値と判定値との比較結果に基づいて前記基準温度を補正する必要があるか否かを判定する補正手段を備える
    ことを特徴とする内燃機関の冷却装置。
  11. 請求項10に記載の内燃機関の冷却装置において、
    前記補正手段は、前記演算値と前記判定値との比較結果として、前記診断条件が成立するまでに冷却水の温度に及ぼされた車両の降坂走行にともなう走行風の影響が許容範囲を超えることを示す結果が得られるとき、前記基準温度を補正する
    ことを特徴とする内燃機関の冷却装置。
  12. 請求項10または11に記載の内燃機関の冷却装置において、
    前記補正手段は、車両が降坂走行状態にあるときに前記演算値をその初期値から離間する方向に更新し、車両が一般走行状態にあるときに前記演算値を前記初期値に近接する方向に更新する
    ことを特徴とする内燃機関の冷却装置。
  13. 請求項12に記載の内燃機関の冷却装置において、
    前記補正手段は、前記診断条件が成立した時点での前記演算値が前記判定値に対して前記初期値とは反対側にあるとき、前記基準温度を補正する
    ことを特徴とする内燃機関の冷却装置。
  14. ラジエータへの冷却水の供給量を調整するサーモスタットと、
    前記冷却水の温度を検出する冷却水温度検出手段と、
    前記冷却水の温度に相当する基準温度を車速に基づいて推定する基準温度推定手段と、
    前記冷却水温度検出手段を通じて検出された前記冷却水の温度を検出温度として、診断条件が成立したときに前記検出温度と前記基準温度との比較に基づいて前記サーモスタットの作動状態を診断する診断手段とを備える内燃機関の冷却装置において、
    車両の降坂走行がなされた時間を降坂走行時間とし、内燃機関の始動から前記診断条件が成立するまでの時間を条件成立時間として、この条件成立時間に対する前記降坂走行時間の割合が判定値以上のとき、前記基準温度を補正する補正手段を備える
    ことを特徴とする内燃機関の冷却装置。
  15. 請求項14に記載の内燃機関の冷却装置において、
    前記補正手段は、前記条件成立時間に対する前記降坂走行時間の割合が増加するにつれて前記基準温度の補正度合いを大きくする
    ことを特徴とする内燃機関の冷却装置。
  16. ラジエータへの冷却水の供給量を調整するサーモスタットと、
    前記冷却水の温度を検出する冷却水温度検出手段と、
    前記冷却水の温度に相当する基準温度を少なくとも車速に基づいて推定する基準温度推定手段と、
    前記冷却水温度検出手段を通じて検出された前記冷却水の温度を検出温度として、診断条件が成立したときに前記検出温度と前記基準温度との比較に基づいて前記サーモスタットの作動状態を診断する診断手段とを備える内燃機関の冷却装置において、
    車両の降坂走行がなされた時間を降坂走行時間とし、車両の降坂走行状態以外の走行状態である一般走行がなされた時間を一般走行時間として、この一般走行時間に対する前記降坂走行時間の割合が判定値以上のとき、前記基準温度を補正する補正手段を備える
    ことを特徴とする内燃機関の冷却装置。
  17. 請求項16に記載の内燃機関の冷却装置において、
    前記補正手段は、前記一般走行時間に対する前記降坂走行時間の割合が増加するにつれて前記基準温度の補正度合いを大きくする
    ことを特徴とする内燃機関の冷却装置。
  18. ラジエータへの冷却水の供給量を調整するサーモスタットと、
    前記冷却水の温度を検出する冷却水温度検出手段と、
    前記冷却水の温度に相当する基準温度を車速に基づいて推定する基準温度推定手段と、
    前記冷却水温度検出手段を通じて検出された前記冷却水の温度を検出温度として、診断条件が成立したときに前記検出温度と前記基準温度との比較に基づいて前記サーモスタットの作動状態を診断する診断手段とを備える内燃機関の冷却装置において、
    車両の速度が基準車速以上且つ内燃機関の負荷が基準負荷未満の状態を特定状態とし、この特定状態がなされた時間を特定状態時間とし、前記内燃機関の始動から前記診断条件が成立するまでの時間を条件成立時間として、この条件成立時間に対する前記特定状態時間の割合が判定値以上のとき、前記基準温度を補正する補正手段を備える
    ことを特徴とする内燃機関の冷却装置。
  19. 請求項18に記載の内燃機関の冷却装置において、
    前記補正手段は、前記条件成立時間に対する前記特定状態時間の割合が増加するにつれて前記基準温度の補正度合いを大きくする
    ことを特徴とする内燃機関の冷却装置。
  20. 請求項15〜19のいずれか一項に記載の内燃機関の冷却装置において、
    前記補正手段は、前記基準温度を小さくする方向へ補正する
    ことを特徴とする内燃機関の冷却装置。
  21. 請求項1〜20のいずれか一項に記載の内燃機関の冷却装置において、
    前記基準温度推定手段は、前記サーモスタットに異常が生じていないことを前提として前記基準温度を推定する
    ことを特徴とする内燃機関の冷却装置。
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