JP4406594B2 - 押圧センサ及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば携帯電話等の電子機器に搭載される押圧センサに係り、特に、特性のばらつきを低減させることが可能な押圧センサに関する。
下記特許文献1(特開2000−281964号公報)には、メンブレンスイッチに関する発明が開示されている。
この文献の例えば図1に示すように前記メンブレンスイッチ1は、下側メンブレンシート2、上側メンブレンシート3、及び前記メンブレンシート2,3間に介在するスペーサシート4とを有して構成される。さらにこの文献の図3に示すように前記下側メンブレンシート2の下面には接着層を介してスイッチ支持板13が貼り付けられている。
前記スイッチ支持板13は、可撓性の前記メンブレンスイッチ1の剛性を高めるための補強板として機能する。
ところで特許文献1にも指摘されているように、前記メンブレンスイッチ1を支持板13に接着固定する際に、前記下側メンブレンシート2の可撓性により、前記下側メンブレンシート2をフラットな状態で維持して、前記下側メンブレンシート2を支持板13上に接着固定することが難しく、前記下側メンブレンシート2と前記支持板13との間に気泡が残存するといった問題があった(特許文献1の[0006]欄など)。
図に示せば図13のように表すことが出来る。図13に示すように、上側メンブレンシート3には上部電極9が、下側メンブレンシート2には下部電極7が設けられ、前記上部電極9と下部電極7とが所定の間隔(ギャップ)を有して対向している。前記下側メンブレンシート2の下面には接着層8を介して支持板13が貼り付けられているが、前記支持板13を貼り付ける際、前記接着層8と下部メンブレンシート2間には気泡10が入りやすい。そして前記気泡10は逃げ場所がないため、前記接着層8と下側メンブレンシート2との間に残存しやすい。
特開2000−281964号公報
前記気泡10が残存すると、前記上部電極9と下部電極7間のギャップ長が所定の大きさから変るなどし、作動力が接点ごとに異なりやすい。すなわち例えば指などで前記上部電極9上を下方向へ押圧して前記上部電極9と下部電極7とを接触させるときの作動力が各接点ごとに異なりやすく、特性のばらつきが大きくなりやすい。
また前記気泡10は前記接着層8と下側メンブレンシート2との間に閉じ込められているので、温度依存性が高い押圧センサとなっている。
すなわち温度変化によって前記気泡10は膨張・収縮するため、温度変化によって、ギャップ長が変化しやすく特性にばらつきが生じやすい。また最悪の場合、温度変化による前記気泡10の膨張によって前記上部電極9と下部電極7とが接触してしまい、何の作動力を与えなくてもオン信号を発信する可能性もある。
このため前記接着層8と下側メンブレンシート2間に気泡10が残存するのを抑制して、特性のばらつき及び、製品不良の改善を図ることが必要である。
上記した特許文献1は、前記気泡10の残存を抑制することを発明の目的としている。
特許文献1では、この文献の図1,図3に示すように、下側メンブレンシート2にエア抜き孔5を形成し、さらにスペーサシート4に、エア溝12を設け、これにより前記気泡をエア抜き孔5からエア溝12に逃がすことが出来るとしている。
しかし特許文献1の手法では、加工が煩雑になり、生産コストも高くなる。すなわち特許文献1では、下側メンブレンシート2にエア抜き孔5を形成するとともに、スペーサシート4にエア溝12を設けるが、非常に薄いメンブレンシートに、このような加工を施すことは非常に煩雑な作業になり、加工時間も延び、加工工程数も増える。そして生産コストも高くなってしまう。
また特許文献1はスペーサシート4に設けられたエア溝12から気泡を抜く技術であるが、前記スペーサシート4は前記下側メンブレンシート2と上側メンブレンシート3間に介在し、前記メンブレンシート2,3間を所定間隔離した状態に維持するものであるため、前記スペーサシート4の大部分は、ある所定膜厚で形成されていた方がよい。すなわち前記スペーサシート4にエア溝12が形成されると、その部分での前記スペーサシート4の膜厚は薄くなるが、前記エア溝12が形成される領域を多くすれば、それだけ逆に、本来の厚い膜厚部分が減ってしまい、その結果、スペーサシート4の本来の厚い膜厚部分と、前記下側メンブレンシート2及び上側メンブレンシート3との接触面積が減るため、エア溝12の形成により凹み部の多いスペーサシート4と可撓性の前記下側メンブレンシート2及び上側メンブレンシート3を適切に接着することが非常に難しくなる。例えばエア溝12と対向する位置での上側メンブレンシート3がへたった状態等で接合されると、結局、特性のばらつきを適切に抑制することが出来ない。
このため前記スペーサシート4に、エア溝12をあまり設けないほうがよいと考えられるが、逆に前記エア溝12の形成領域を少なくすると、気泡の抜ける部分が限られてしまい適切に気泡を抜くことが出来なくなる。
したがって特許文献1のようにスペーサシート4に設けられたエア溝12から気泡を抜く技術では、前記スペーサシート4の本来の機能を確保しながら適切に前記気泡を抜くのは困難な構造であると考えられる。
そこで本発明は上記従来の課題を解決するものであり、特に下側シートの下面側の構成を改良して、気泡が閉じ込められるのを抑制し特性のばらつきを低減させることが可能な押圧センサを提供することを目的としている。
本発明は、下面に上部電極を有する上側シートと、上面に下部電極を有する下側シートとが所定距離離れて対向し、前記下側シートの下面側に接合層を介して補強板が取り付けられた押圧センサにおいて、
前記下側シートの下面には部分的に前記補強板の方向へ向けて突出する突起部が設けられ、前記下側シートと接合層との間には前記突起部と空気層とが介在しており、前記突起部の一部は前記接合層に埋設され、埋設された前記突起部の部分は前記接合層に密着していることを特徴とするものである。
また本発明は、下面に上部電極を有する上側シートと、上面に下部電極を有する下側シートとが所定距離離れて対向し、前記下側シートの下面側に接合層を介して補強板が取り付けられた押圧センサの製造方法において、
前記下側シートの下面には部分的に前記補強板の方向へ向けて突出する突起部を設ける工程、
前記補強板上に形成された前記接合層の表面に、前記突起部を前記接合層に向けた状態で前記下側シートを対向させ、前記下側シートを前記補強板の方向へ押圧しながら前記突起部を前記接合層に密着させるとともに、前記下側シートと前記接合層間に前記突起部と空気層とを介在させる工程、
を有することを特徴とするものである。
本発明では、前記下側シートの下面に部分的に突起部を設け、前記下側シートと接合層との間には前記突起部と空気層とを介在させることで、前記接合層と下側シート間に仮に気泡が生じても、その気泡を適切に前記空気層へ逃がすことができ、よって接合層に前記気泡が閉じ込められるのを抑制でき特性のばらつきを低減させることが出来る。
また本発明では、前記空気層は、前記下側シートの側面から外方へ抜けていることが前記空気層の温度依存性を無くすことができて好ましい。
また本発明では、前記下部電極と対向する位置に設けられた突起部は、前記下部電極よりも大きい面積を有して形成されることが好ましい。これにより前記下部電極の高さ位置を所定位置に適切に揃えることができ、適切に特性のばらつきを抑制できる。
また本発明では、前記突起部は前記下側シートと別体で形成されていることが簡単に前記突起部を形成できて好ましく、かかる場合、前記突起部は熱硬化性樹脂であることがより好ましい。
また本発明では、前記上側シートの上側には、表面が操作面となる弾性体が設けられている構成であることが好ましい。
本発明では、下側シートの下面に部分的に突起部を設け、前記下側シートと接合層との間には前記突起部と空気層とを介在させることで、前記接合層と下側シート間に仮に気泡が生じても、その気泡を適切に前記空気層へ逃がすことができ、よって接合層に前記気泡が閉じ込められるのを抑制でき特性のばらつきを低減させることが出来る。
また本発明では、前記空気層は、前記下側シートの側面から外方へ抜けていることが前記空気層の温度依存性を無くすことができて好ましい。
図1は本発明の実施に形態として押圧センサを備えた電子機器を示す平面図、図2は本発明の押圧センサを構成するメンブレンシートの構成を示す平面図、図3は図2の裏面図、図4は本発明における押圧センサの部分断面図(図1に示すIV−IV線から切断し矢印方向から見た前記押圧センサの部分断面図)、図5は図4と構造が一部異なる本発明における押圧センサの部分断面図、図6は、図4に示す押圧センサの一部を拡大した部分拡大断面図、図7は、図3に示す下側シートの裏面の一部を拡大した部分拡大裏面図、図8ないし図11は、前記下側シートの裏面に形成される突起部の形状パターンの具体例、図12は、メンブレンシートの配線部分の部分断面図、である。
図1に示す電子機器は例えばリモコン送信機Rであり、機器表面R1上の図示Y1方向の上端に設けられた表示部34と、図示Y2方向の下端に設けられた押圧センサ部20とを有しており、前記表示部34と押圧センサ部20との間には複数の操作ボタンRsが設けられている。
前記操作ボタンRsは、図1に示すように例えば規則正しく配列された複数の操作スイッチからなり、表面の操作キーのみが機器表面R1上に露出されている。いずれかの操作キーを押圧すると、例えば各操作モードの設定や文字入力などが可能となっており、それらの情報は表示部34に表示され、あるいは前記送信部を介して外部に送出されるようになっている。
図1に示すように押圧センサ部20はリング状をしている。前記押圧センサ部20の中央には例えば、決定キーSeとなる操作スイッチが設けられている。
前記押圧センサ部20を操作することで、例えばチャンネルの切り替えや、ボリュームの調整などを行なうことが可能とされる。
図1に示す押圧センサ部20は、図2に示すメンブレンシート21を有して構成される。前記メンブレンシート21は、上側シート22、下側シート23、前記上側シート22と下側シート23とを連結する連結部29、及び前記下側シート23の前記連結部29が形成された位置と反対側で前記下側シート23に連結する配線部25とを有して構成される。
前記メンブレンシート21は、PET樹脂やポリイミド樹脂など可撓性を有する素材で形成される。
図2に示すように前記上側シート22及び下側シート23は略リング形状で形成され、それぞれ中央に貫通孔22b,23bが設けられている。この貫通孔22b,23bの位置に、前記決定キーSeとなる操作スイッチが設けられる。
図2に示すように、前記上側シート22上には、前記上側シート22の幅方向のほぼ中央に沿って、複数の上部電極24が所定の間隔を有して配列されている。同じく前記下側シート23上にも、前記下側シート23の幅方向のほぼ中央に沿って、複数の下部電極26が所定の間隔を有して配列されている。また図2に示すように前記配線部25上には、前記電極24,26と電気的に接続された配線パターン27が形成されている。前記電極24,26や配線パターン27は金属箔、例えば銅箔などで形成されている。また図2に示す斜線で示された配線部25上にはレジスト層28が塗布されており、前記配線パターン27は前記配線部35の先端部25aからのみ外部へ露出した状態になっている。前記先端部25aから露出した配線パターン27の部分がコネクタ(図示しない)の端子と電気的に接続される。
図3は図2の裏面図であるが、前記下側シート23の裏面には、多数の突起部30が形成されている。前記突起部30は前記下部電極26と対向する位置に設けられ面積が前記下部電極26の面積よりも大きい第1の突起部30aと、前記第1の突起部30aの周囲に形成され、面積が前記第1の突起部30aよりも小さい第2の突起部30bとで構成されている。
図3に示すように前記配線部25の先端部25aの裏面にはコネクタとの接続を容易にするため接着層を介して補強板31が貼り付けられている。
メンブレンシート21を図2の状態から前記連結部29の部分で折り曲げ、上側シート22を前記下側シート23上に重ねる。これにより前記上側シート22に設けられた上部電極24と下側シート23に設けられた下部電極26とが図4に示すように向き合うように対向させられる。図4に示すように前記上側シート22と下側シート23との間にはスペーサ40が介在している。前記スペーサ40には、前記電極24,26が対向する位置に前記電極24,26の幅寸法よりも大きい幅寸法を有する穴部40a〜40eが設けられている。前記スペーサ40は例えば接着材からなる。
前記上側シート22の下面22aに形成された上部電極24、および下側シート23の上面23aに形成された下部電極26とで各接点S1〜S5が構成される。
図4に示すように、押圧センサ20は、前記上側シート22の上側に前記上側シート22と同形状のリング状で形成された弾性部材(弾性体)41を有して構成される。
前記押圧センサ20は、機器表面R1から弾性部材41の表面の操作面42が露出するように配置される。
前記弾性部材41は弾性変形可能な軟質な素材で形成され、操作面42には、低摩擦抵抗の樹脂層43が前記弾性部材41の表面に重ねて形成され、さらに、前記各接点S1〜S5と高さ方向にて対向する前記樹脂層43上に高摩擦抵抗の樹脂層44が形成されている。
なお図5のように、前記低摩擦抵抗の樹脂層43が、前記各接点S1〜S5と高さ方向(図示Z1−Z2方向)にて対向する位置以外の領域に形成され、前記前記各接点S1〜S5と高さ方向にて対向する位置に、前記弾性部材41の表面が露出する構成であってもよい。
上記した構成にすることで、接点が存在する位置と前記接点が存在しない位置とでは手触りが異なり、人が指で操作面42上を操作したときに即座に接点の位置を認識することが出来る。
前記弾性部材41は、シリコーンゴムで形成されていることが好ましい。ただしシリコーンゴムは柔らか過ぎて撚れたりするなど、操作性が損なわれるという問題があるため、シリコーンゴムで形成された弾性部材41の裏面にフィルム状の補強部材45を固定することが好ましい。前記補強部材45は、PET樹脂やポリプロピレン樹脂などで形成することができ、補強部材45を弾性部材41の裏面に貼り付けることで、弾性部材41のZ1−Z2方向への撓み変形を損なわずに前記撚れを防止することができる。
図4及び図5に示すように、前記補強部材45のZ2側の面には、前記接点S1〜S5と高さ方向(図示Z1−Z2方向)にて対向する位置に突起46が設けられている。前記突起46は、レジストなどの熱硬化性樹脂で印刷によって形成されている。ただし、突起46は必ずしも熱硬化性樹脂である必要はない。
図4,図5に示すように前記下側シート23の下面側には接着剤等からなる接合層47を介してPET樹脂等の補強板48が貼り付けられている。前記補強板48は、上側シート22、下側シート23及びスペーサ40を有して構成される接点基板が可撓性であるため、前記接点基板の剛性を強めるために用いられるものである。
図5に示す押圧センサ20は、例えば指で操作面42上を押圧することで前記弾性部材41が下方向へ撓み、撓んだ弾性部材41の下面に設けられた突起46が下方向へ移動し、前記突起46下にある接点基板を押圧する。前記接点基板の上側シート22が下方向へ撓み上部電極24と下部電極26とが電気的に接続されることでオン信号が出力され所定の処理が施される。
本発明の特徴的部分は、前記下側シート23の下面に部分的に突起部30を形成した点にある。
図6は、図4,図5に示す下側シート23,突起部30,接合層47,及び補強板48の一部を拡大した部分拡大断面図である。
図6に示すように、前記下側シート23の下面23cには部分的に複数の突起部30が設けられている。図6,図7(図7は下側シート23の下面23c側を上向きにして示した前記下側シート23の部分拡大裏面図)に示すように、前記下側シート23の上面23aに形成された下部電極26と高さ方向にて対向して形成された第1の突起部30aは、前記下部電極26との対向面積よりも大きい対向面積を有しており、前記下部電極26の下側には、必ず前記下側シート23を介して前記第1の突起部30aが存在するようになっている。
図6,図7に示すように、前記第1の突起部30aの周囲には、第2の突起部30bが多数散らばって形成される。前記第2の突起部30bの高さ方向に対して対向する面積(上面あるいは下面の面積、以下「面積」とは同じ意味)は前記第1の突起部30aの面積に比べて小さい。ただし前記第1の突起部30aおよび第2の突起部30bは図6に示すように同じ高さ寸法で形成されている。前記第1の突起部30aおよび第2の突起部30bはともにレジストなどの熱硬化性樹脂をスクリーン印刷して形成されたものである。
図7では、図面上、前記第2の突起部30bが一部の領域しか形成されていないが、実際には図3にも示すように、前記第2の突起部30bは前記第1の突起部30aが形成されている領域以外の前記下側シート23の下面23cに満遍なく所定の間隔を有して多数設けられている。
図6に示すように、前記第1の突起部30aの下面30a1および第2の突起部30bの下面30b1と前記接合層47の上面47aとが接合される。このため、前記下側シート23と前記接合層47との間には突起部30a,30bと、前記突起部30間に設けられた空気層50とが介在している。前記接合層47は前記突起部30間に若干入り込むが前記突起部30間が前記接合層47で完全に埋められることはなく、よって前記下側シート23と前記接合層47との間には前記空気層50が介在する。
前記空気層50は、前記突起部30間に設けられた隙間の部分に該当する。図7に示すように、前記突起部30は、下部電極26の下側に設けられた前記第1の突起部30aと、前記第1の突起部30aの周囲に多数散りばめられた第2の突起部30bとで構成され、前記第1の突起部30aと第2の突起部30b間の隙間、及び前記第2の突起部30b間の隙間に形成された空気層50は全て繋がっており、しかも前記空気層50は図7に示すように、前記下側シート23の側面23dから外方へ抜けている。
本発明のように前記下側シート23と接合層47との間に空気層50を介在させることで次のような効果を期待できる。
前記下側シート23は可撓性の樹脂シートであるから、前記下側シート23を前記接合層47上に当接させたときに、例えば前記下側シート23がフラットな状態で前記接合層47上に当接しなかったり、あるいは前記接合層47の上面47aに凹凸などがあると、前記下側シート23の下面23cに部分的に設けられた突起部30と前記接合層47との間に気泡51が入り込みやすい。前記下側シート23を前記接合層47上に当接させた後、前記下側シート23を所定の圧力で押圧するとともに、例えば熱を加えるなどして例えば熱硬化性の接着剤からなる前記接合層47の硬化を促進させて、前記第1の突起部30aの下面30a1および第2の突起部30bの下面30b1と前記接合層47の上面47a間を接合させるが、このとき、前記突起部30と前記接合層47との間に入った気泡51は、前記下側シート23を下方へ押圧したときに前記空気層50のほうへ逃げることができるため、前記突起部30a,30bと前記接合層47との間に前記気泡51が閉じ込められることを回避できる。
本発明では、製造工程数が前記下側シート23の下面23cに突起部30をスクリーン印刷等で形成する工程分増えるが、特許文献1に比べれば、その工程数の増加は少なく、しかも前記スクリーン印刷工程は、図4に示す突起46を設ける工程でも行なうため、同じ製造装置を用いることができ、簡単に前記下側シート23の下面23cに突起部30を設けることが出来るから、生産コストが大幅に上昇するということも無い。
しかも本発明では、前記下側シート23の下面23cの全領域に満遍なく前記突起部30を設けることが出来るから、前記下側シート23と接合層47間に全体的に満遍なく空気層50を設けることができ、前記気泡51を前記空気層50へ逃がしやすい構造となっている。
図7に示すように前記空気層50が前記下側シート23の側面23dの外方へ抜けている構造であると前記空気層50は常に大気と同じ気圧を維持する。このため前記空気層50を前記下側シート23と接合層47間に遮蔽してしまう構成の場合よりも、気温変化によって前記空気層50が膨張・収縮するといったことが生じない。すなわち本発明では前記空気層50の温度依存性を無くすことが出来る。
本発明では前記下側シート23と接合層47との間に空気層50を介在させることで前記突起部30と接合層47間に気泡が閉じ込められるのを適切に抑制できる。このため、各接点S1〜S5における作動力をより均一化でき、この結果、特性のばらつきを従来よりも低減することが出来る。
また図6,図7に示したように、前記下部電極26の下側に設けられる第1の突起部30aの面積を前記下部電極26の面積よりも大きく形成しておくことで、前記下部電極26を所定の高さ位置に配置させておくことが出来る。例えば図11のように、前記下部電極26の下側に、前記下部電極26よりも小さい面積を有する複数の突起部30cを介在させてもよいが、係る場合、前記下部電極26の下にある突起部30c1(図11にて斜線で示した突起部)が打鍵寿命試験等により押圧されることで、他の位置に形成された突起部30c(図11にて斜線を引いていない突起部)間の空気層50よりも、前記下部電極26下の前記突起部30c1間の空気層50に接合層47が多く入り込みやすく前記下部電極26が所定の高さ位置よりも下方へ下がってしまう可能性がある。この結果、差動力が接点ごとにばらつきやくなるので、前記下部電極26の下側には前記下部電極26よりも大きい面積を有する第1の突起部30aを設けておくことが好ましい。
図8ないし図9では、いずれも前記下部電極26の下側に前記下部電極26よりも大きい面積を有する第1の突起部30aと、その周囲に設けられ前記第1の突起部30aよりも小さい面積を有する第2の突起部30bとで構成された突起部30の配置例である。
図8では、前記第1の突起部30aと最も近い位置に形成された第2の突起部30bの前記第1の突起部30a側の側面30b2が前記第1の突起部30aの側面形状に沿って形成されている。図9では、前記第1の突起部30aと最も近い位置に形成された第2の突起部30bが前記第1の突起部30aの周囲を四角く取り囲んでいる。図10では、前記第1の突起部30aと最も近い位置に形成された一部の第2の突起部30b3が前記第1の突起部30aの側面と接合されている。
前記第1の突起部30aは円形状で、第2の突起部30bは四角形状で形成されているが前記突起部30a,30bの形状は特に限定されない。また前記突起部30は、前記下側シート23の下面23cの全体に満遍なく形成されていることが気泡の発生をより抑制できて最も好ましいが、前記下部シート23の下面23cの限られた領域のみに前記突起部30が形成される構成であってもよい。係る場合、少なくとも気泡の発生が最も問題となる下部電極26の下側に前記突起部30が形成されている構成であることが良い。
また本発明では前記突起部30は前記下側シート23と別体で形成されているが前記突起部30が前記下側シート23と一体で形成されていてもよい。ただし本発明のように前記突起部30を前記下側シート23と別体で形成する方が簡単に前記突起部30を前記下側シート23の下面23cに設けることができて好ましい。
図12は、配線部25に形成された配線パターン27の部分にも前記突起部30を設け、前記突起部30下に接合層47を介して補強板48を貼り付ける実施例である。図12に示すように前記配線パターン27の下にはレジスト層60が設けられ、その下側にレジストなどの熱硬化性樹脂で形成された突起部30が設けられている。そして前記突起部30下に接合層47を介して補強板48が設けられている。前記突起部30の形成は前記レジスト層60を硬化させた後に行なう。前記突起部30の形成は下側シート23の下面23cに形成される突起部30の形成と同じ工程時に行い、また前記下側シート23の下面23c側に貼り付ける前記補強板48を前記配線部25まで覆う補強板とし、下側シート23の下面23cへ補強板48を貼り付けるのと同時に、配線部25の下面に補強板48を貼り付ける工程を行なうことが簡単に前記突起部30の形成及び補強板48の貼り付けを行なうことができて好ましい。
図12のように前記配線パターン27の先端27aの上面には接合層61を介して補強板62が貼り付けられているが、前記先端27aの下面は前記配線パターン27が露出し、前記配線パターン27が露出する先端27aの下面がコネクタとの接続端子となる。
なお接合層47は接着剤であってもよいし、接着剤以外のものであってもよい。前記接合層47は前記突起部30と補強板48間を接合させる機能を担うものであればよい。
また図1に示す前記操作ボタンR2の部分を本発明の押圧センサ20で構成してもよい。
図1の実施形態では、電子機器としてリモコン送信機Rを用いたが、電子機器は何であってもよく、例えば携帯電話、パーソナルコンピュータ等を例に挙げることが出来る。
本発明の実施に形態として押圧センサを備えた電子機器を示す平面図、 本発明の押圧センサを構成するメンブレンシートの構成を示す平面図、 図2の裏面図、 本発明における押圧センサの部分断面図(図1に示すIV−IV線から切断し矢印方向から見た前記押圧センサの部分断面図)、 図4と構造が一部異なる本発明における押圧センサの部分断面図、 図4に示す押圧センサの一部を拡大した部分拡大断面図、 図3に示す下側シートの裏面の一部を拡大した部分拡大裏面図、 下側シートの裏面に形成される突起部の形状パターンの具体例、 下側シートの裏面に形成される突起部の形状パターンの具体例、 下側シートの裏面に形成される突起部の形状パターンの具体例、 下側シートの裏面に形成される突起部の形状パターンの具体例、 メンブレンシートの配線部分の部分断面図、 従来のメンブレンシートの部分断面図、
符号の説明
20 押圧センサ
21 メンブレンシート
22 上側シート
23 下側シート
24 上部電極
25 配線部
26 下部電極
29 連結部
30 突起部
30a 第1の突起部
30b 第2の突起部
41 弾性部材
42 操作面
47 接合層
48 補強板
50 空気層
51 気泡

Claims (7)

  1. 下面に上部電極を有する上側シートと、上面に下部電極を有する下側シートとが所定距離離れて対向し、前記下側シートの下面側に接合層を介して補強板が取り付けられた押圧センサにおいて、
    前記下側シートの下面には部分的に前記補強板の方向へ向けて突出する突起部が設けられ、前記下側シートと接合層との間には前記突起部と空気層とが介在しており、前記突起部の一部は前記接合層に埋設され、埋設された前記突起部の部分は前記接合層に密着していることを特徴とする押圧センサ。
  2. 前記空気層は、前記下側シートの側面から外方へ抜けている請求項1記載の押圧センサ。
  3. 前記下部電極と対向する位置に設けられた突起部は、前記下部電極よりも大きい面積を有して形成される請求項1または2に記載の押圧センサ。
  4. 前記突起部は前記下側シートと別体で形成されている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の押圧センサ。
  5. 前記突起部は熱硬化性樹脂である請求項4記載の押圧センサ。
  6. 前記上側シートの上側には、表面が操作面となる弾性体が設けられている請求項1ないし5のいずれか1項に記載の押圧センサ。
  7. 下面に上部電極を有する上側シートと、上面に下部電極を有する下側シートとが所定距離離れて対向し、前記下側シートの下面側に接合層を介して補強板が取り付けられた押圧センサの製造方法において、
    前記下側シートの下面には部分的に前記補強板の方向へ向けて突出する突起部を設ける工程、
    前記補強板上に形成された前記接合層の表面に、前記突起部を前記接合層に向けた状態で前記下側シートを対向させ、前記下側シートを前記補強板の方向へ押圧しながら前記突起部を前記接合層に密着させるとともに、前記下側シートと前記接合層間に前記突起部と空気層とを介在させる工程、
    を有することを特徴とする押圧センサの製造方法。
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