JP4402833B2 - リポペプチド抗生物質カルシウム塩、その製造方法およびその使用 - Google Patents
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Description
本発明はリポペプチド抗生物質のカルシウム塩、その製造方法およびその使用に関する。
欧州特許出願0 629 636A1号は下記式I:
【化12】
[式中R1はOHまたはNH2基であり、そしてR2は脂肪酸基(R−C(O)−)である]のリポペプチド抗生物質を開示している。
【0002】
これらのリポペプチド抗生物質はその環外アミノ酸に関して異なっている2つの群に分けられ:アンフォマイシン型のリポペプチド抗生物質は環外アミノ酸アスパラギン酸(Asp、式I中のR1はOH基である)を特徴とし(R.C. Strong等、Antimicrobial Agents and Chemotherapy 1970,42-45;M.Bodansy等、J. Am.Chem.Soc.95,2352-2357(1973))、他方アスパラギン型のリポペプチド抗生物質は環外アミノ酸アスパラギン(Asn、式I中のR1はNH2基である)を特色とする。アンフォマイシン型およびアスパラギン型のリポペプチド抗生物質は異なる脂肪酸基(式IのR2)を有する環外アミノ酸(AspまたはAsn)のα−アミノ基上の置換が相互に異なっている。
【0003】
更にまた欧州特許出願0 688 789A1号(米国特許5,629,288号)はアンフォマイシン型およびアスパラギン型のリポペプチド抗生物質の誘導体およびその薬学的に受容性の塩を開示している。式Iのリポペプチドの抗生物質の薬学的に受容性の塩として、欧州特許出願0688789A1号(米国特許5,629,288号)は塩酸、硫酸、酢酸、クエン酸、p−トルエンスルホン酸のような無機および有機の酸、NaOH、KOH、Mg(OH)2、ジエタノールアミン、エチレンジアミンのような無機および有機の塩基、または、アルギニン、リジンおよびグルタミン酸のようなアミノ酸との塩を開示している。
【0004】
アンフォマイシンのカルシウム塩も知られている(Kirk-Othmer,Encyclopedia of Chemical Technology,第4版、第3巻、Antibiotics to Batteries,John Wiley & Sons,p284)。これらは殆ど水に溶解せず、前進投与時の溶血性によるアンフォマイシンの毒性のために、局所投与用の抗生物質軟膏で使用されているのみである。
【0005】
アスパラギン型(式I中R1がNH2基である)のリポペプチド抗生物質およびその製造は欧州特許出願0 629 636A1号において最初に記載されている。しかしながらそこで提案されている製造方法、即ちActinoplanes sp.,好ましくはActinoplanes friulensisの発酵(1990年6月18日に、ブタペスト条約に基づき、寄託番号DSM7358の下でDeutschen Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmBH,DSMZ,Mascheroder Weg 1b,D-38124 Brunswickに寄託されている)は、極めて異なる性質、特に異なる生理作用、例えば抗細菌作用、溶血性による毒性、また異なる物理化学的特性、例えば溶解度や安定性を有しており、培地から分離するのは困難なアンフォマイシン型およびアスパラギン型の多数の構造的に極めて似ているリポペプチドの混合物を与えるものである。従って、多くの可能なリポペプチドの成分の好ましくは1つのみの製造を本質的に可能にするような発酵方法を得ることは極めて好ましいことである。
【0006】
本発明の目的は比較的高い安定性と良好な抗細菌活性を特色とし良好な水溶性と低毒性の結果、特に低溶血活性により、全身(非経腸)投与が可能であるアスパラギン型のリポペプチド抗生物質の塩を得ることである。
【0007】
本発明の別の目的はアスパラギン型のリポペプチド抗生物質の塩の製造方法、特にアスパラギン型のリポペプチド抗生物質が好ましく製造できる酸前駆体の発酵による製造のための改良方法を得ることである。
本発明の最後の目的は所望の好都合な特性を有するアスパラギン型のリポペプチド抗生物質の塩を含有する医薬を得ることである。
【0008】
今回我々は、アスパラギン型のリポペプチド抗生物質の場合、一部のリポペプチド(または相当する酸)の種々の塩が極めて異なる特性を有することを発見した。例えば、ナトリウム塩は原則として極めて良好な抗細菌活性を有し、水に易溶である。しかしながら、これらは特に高温では限られた時間のみしか保存できない。医薬および他の市販品の場合、安定性は例えば商品の取り扱いのために極めて重要であるため、リポペプチド抗生物質の安定な塩の形態が必要である。
【0009】
アスパラギン型のリポペプチド抗生物質は酸性領域に等電点を有する両性化合物であるため、中性の塩を種々の塩基で製造できる。考えられるカチオンは1価または多価のイオン、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属および他の金属のイオンであるが、アンモニアとの、または有機の塩基、例えば、アミンとの塩も挙げられる。後者の例はリジンおよびリジルリジンの塩であり、これらは極めて受容性が高く、十分な活性を有する。
【0010】
意外にも今回アンフォマイシン型のリポペプチド抗生物質(特にアンフォマイシン)のカルシウム塩とは異なり、アスパラギン型のリポペプチド抗生物質のカルシウム塩が活性および受容性を有するのみならず、水に易溶であり、特に、相当するナトリウム塩とは異なり、安定であることがわかった。
【0011】
従って上記した目的は、下記式II:
【化13】
[式中、R1は炭素原子8〜22個を有する直鎖または分枝鎖の、飽和または不飽和の、脂肪族アシル基であり、これは場合によりフェニルまたはシクロアルキル基1つ以上で中断されているか、または、そのような基に連結されることができ、そして、更に場合により酸素により中断されていることができる]の化合物のカルシウム塩により達成される。
【0012】
好ましくは、式IIのR1はフェニルまたはシクロアルキル基で中断されるか、このような基に連結しているアシル基、例えば、下記:
【化14】
[式中nは0〜20の整数である]の基である。
【0013】
更に好ましいものはR1がフェニルまたはシクロアルキル基により、そして、酸素により中断されているアシル基、好ましくはR1が下記:
【化15】
[式中nは0〜20の整数である]の基であるという特色を有する式IIの化合物のカルシウム塩である。
【0014】
特に好ましいものは、R1が炭素原子12〜15個を有する直鎖または分枝鎖の、飽和または不飽和の脂肪族アシル基であるという特色を有する式IIの化合物のカルシウム塩であり、ここで式IIのR1は好ましくは下記:
【化16】
で示される式の脂肪酸基である。
【0015】
式IIの化合物のカルシウム塩は2つの形態、即ち、ジカルシウム塩またはモノカルシウム塩として存在することができる。
アニオンおよび脂肪酸置換基(式IIのR1)の数に応じて、ジカルシウム塩はより詳細には、
(i) 例えば、飽和脂肪酸(式IIのR1)の場合は下記実験式:
(ia) C46+nH68+2nN14O19Ca2X2、
(ib) C46+nH69+2nN14O19Ca2X3、または
(ic) C46+nH70+2nN14O19Ca2X4
[実験式中、nは7〜21の整数であり、Xはアニオンである]により説明されるか、または、
(ii) 例えば、1不飽和脂肪酸(式IIのR1)の場合は下記実験式:
(iia) C46+nH66+2nN14O19Ca2X2、
(iib) C46+nH67+2nN14O19Ca2X3、または
(iic) C46+nH68+2nN14O19Ca2X4
[実験式中、nは7〜21の整数であり、Xはアニオンである]により記述される。
【0016】
例えば、式II(3c)および(3d)の化合物の上記した好ましいカルシウム塩はより詳細には、2カルシウム塩が存在する場合はXがアニオンである下記実験式:
(3c,3d/iia) C59H92N14O19Ca2X2、
(3c,3d/iib) C59H93N14O19Ca2X3、および
(3c,3d/iic) C59H94N14O19Ca2X4
により記述される。
好ましくは全ての上記した実験式において、アニオンXはハライドアニオン、Cl-、Br-またはI-、特に好ましくはCl-である。
【0017】
脂肪酸置換基(式IIのR1)の如何に応じて、モノカルシウム塩は更により詳細には、例えば、飽和脂肪酸(式IIのR1)の場合は下記実験式:
(iii) C46+nH68+2nN14O19Ca
により、または、1不飽和脂肪酸(式IIのR1)の場合は下記実験式:
(iv) C46+nH66+2nN14O19Ca
[両実験式中、nは7〜21の整数である]により記述される。
【0018】
例えば、式II(3c)および(3d)の化合物の上記した好ましいカルシウム塩はより詳細には、モノカルシウム塩が存在する場合は下記実験式:
(3c,3d/iv) C59H92N14O19Ca
により記述される。
【0019】
上記した式II(3c)および(3d)の化合物の好ましいカルシウム塩において、一方の相当する酸、即ち式IIの相当する化合物は、例えば、実験式C59H94N14O19を有する。
【0020】
上記した好ましいカルシウム塩(3d)(式IIの相当する化合物)に相当する以下の酸A1437−Dは下記式
【化17】
に示す構造を有する。
【0021】
表1にA1437−Dナトリウム塩により例示した場合の1Hおよび13C−NMRシグナルのアサインメントを示す。アミノ酸の表示は国際会議に従って略記し、Dab=2,3−ジアミノ酪酸、Me−Asp=β−メチルアスパラギン酸、Pip=ピペコール(pipecolic)酸、FA=脂肪酸とした。アミノ酸は好ましくは以下の配置を有する。Pip−3:D;Me−Asp−4:L−スレオ;Asp−5,−7:L;Dab−2:L−スレオ;Dab−9:D−エリスロ;Val−10:L;Pro−11:L;Asn−1:L
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】
【表3】
【0025】
例えばA−1437−Dナトリウム塩からカルシウム塩(3d)への変化において、抗生物質の物理的性質が基本的に変化することが観察できる。即ち、ナトリウムD線の波長における20℃のナトリウム塩の比旋光度[α]は、例えばCaCl2のような可溶性カルシウム塩を水溶液に添加した場合は+6から52°を超えるまで上昇する。この非合理的な挙動から、分子のコンホーメーションに大きな変化があったと推定することは合理的であると考えられる。このコンホーメーションの変化はまたイオン性化合物で予測されるより遥かに低値であるA−1437−Dカルシウム塩(3D/iv)の低い導電性によっても裏付けられる。
【0026】
式IIの化合物のカルシウム塩の製造のためにはいくつかの方法がある。1つは一部の溶液中でのカルシウム塩の溶解度に限度があることを利用する。Na+またはNH4 +塩は水またはメタノール中に極めて易溶であり、高級アルコールおよび他の極性有機溶媒中に易溶であるが、非水性溶媒中の相当するカルシウム塩の溶解度は顕著に低下する。
【0027】
従って、上記した式IIの化合物のカルシウム塩の製造方法の特色は、式IIの化合物のナトリウムまたはアンモニウム塩を適当な有機溶媒に溶解し、この溶液にエタノール中に溶解したカルシウム塩を添加し、そして、式IIの化合物のカルシウム塩を沈殿として単離することである。好ましくは、適当な有機溶媒はエタノールである。エタノール中に溶解した添加すべきカルシウム塩とは、好ましくはハロゲン化カルシウム、CaCl2、CaBr2、CaI2または相当する水和物である。この方法において、式IIの化合物のジカルシウム塩が生じるのが好ましい。
【0028】
例えば、(3d/iia)実験式C59H92N14O19Ca2X2を有する、(3d/iib) 実験式C59H93N14O19Ca2X3を有する、または、(3d/iic) 実験式C59H94N14O19Ca2X4を有するカルシウム塩の製造のためには、A1437D((3d)に相当する酸)のナトリウムまたはアンモニウム塩を適当な有機溶媒、例えばエタノールに溶解し、この溶液にエタノール中に溶解したカルシウム塩を添加するという方法を使用できる。有機溶媒に難溶性であるA1437Dカルシウム塩はここで沈殿の形態で析出する。エタノール中に易溶であり析出に適するカルシウム塩は、例えばCaCl2、CaBr2、CaI2およびこれらの水和物である。この製造方法により、カルシウムカチオン以外に例えばハライドCl-、Br-およびI-の析出塩のアニオンを更に含有することのできる塩が得られる。析出するカルシウム塩の実験式は析出条件に応じて、例えば、C59H92N14O19Ca2ハライド2、例えば、C59H92N14O19Ca2Cl2またはC59H92N14O19Ca2I2、または、C59H93N14O19Ca2ハライド3、例えばC59H93N14O19Ca2Br3または、C59H93N14O19Ca2Cl3と記載することができるが、他の混合塩も形成でき、とりわけC59H94N14O19Ca2ハライド4の組成物もあり得る。これらの混合塩(A1437カルシウム混合塩)は水溶性であり、従って細菌感染症の治療のため、または、防腐のため、あるいは、動物育種における生育促進のために適しているが、他の塩の製造のための中間体としても使用できる。
【0029】
結晶化は式IIの化合物のカルシウム塩を生成、または、精製するための更に別の方法である。ここでは純水、ジメチルスルホキシド、純メタノール、および他の極性溶媒中に溶解する抗生物質カルシウム塩の性質を利用する。
従って、式IIの化合物のカルシウム塩、好ましくはモノカルシウム塩の製造方法の特色は、例えば上記した方法で得られる式IIの化合物のジカルシウム塩を極性溶媒に溶解し、得られた溶液をより極性の低い溶媒、または、より極性の低い溶媒の混合物で処理し、カルシウム塩、好ましくはモノカルシウム塩を沈殿として単離することである。
【0030】
式IIの化合物のカルシウム塩、好ましくはモノカルシウム塩の製造のための更に別の方法の特色は、式IIの化合物のナトリウムまたはアンモニウム塩を極性溶媒に溶解し、この溶液に同じ極性溶媒に溶解したカルシウム塩を添加し、次に得られた溶液をより極性の低い溶媒、または、より極性の低い溶媒の混合物で処理し、そして、カルシウム塩、好ましくはモノカルシウム塩を沈殿として単離することである。
【0031】
好ましくは、2つの代替法において、式IIの化合物のナトリウムまたはアンモニウム塩またはジカルシウム塩を水、ジメチルスルホキシド、およびメタノールよりなる群から選択される極性溶媒に溶解する。
好ましくは、得られた溶液を処理するより極性の低い溶媒はアルコール、アセトンおよびアセトニトリルよりなる群から選択される。
【0032】
好ましくは、式IIの化合物のナトリウムまたはアンモニウム塩またはジカルシウム塩を水に溶解し、より極性の低い溶媒はメタノールである。
好都合には、メタノールとブタノールの混合物をより極性の低い溶媒混合物として両方の方法において添加する。
【0033】
あるいは、式IIの化合物のカルシウム塩、好ましくはモノカルシウム塩は、メタノール中に式IIの化合物のナトリウムまたはアンモニウム塩を溶解し、この溶液に同じ溶媒中に溶解したカルシウム塩を添加し、次に得られた溶液を水または水とブタノールの混合物で処理し、そして、沈殿としてカルシウム塩、好ましくはモノカルシウム塩を単離することにより製造できる。
【0034】
好ましくは、上記した全ての方法において、好ましく添加される溶解したカルシウム塩はCaCl2、CaBr2、CaI2およびこれらの水和物よりなる群から選択されるハロゲン化カルシウムである。
【0035】
例えばA1437−Dジカルシウム塩を高溶解性の溶媒中に濃縮された形態で溶解し、次に混和性ではあるが抗生物質塩の溶解性は低い試薬で処理する。後者の例はより極性の低い有機溶媒、例えばアルコール、アセトン、アセトニトリル等である。水とメタノールの混合物は特殊な例である。これらの純粋な溶媒はA1437−D Ca塩を容易に溶解するが、両溶媒の混合物は顕著に乏しい溶媒特性を示す。即ち、A1437−Dモノカルシウム塩(3d/iv)はメタノール(水)を加えながら水から(メタノールから)晶出することができる。この方法により、カルシウム塩を製造または精製することができる。A1437−Dモノカルシウム塩(3d/iv)は水メタノール混合物中で容易にゲル化する。
【0036】
このゲル生成は、結晶化速度がこれにより大きく遅延することから、結晶化のためには望ましくない。従って結晶化のためには、ゲル形成を抑制する手段を講じる必要がある。即ち、1つの方法は例えばブタノールのような適当な物質を少量添加することである。
【0037】
式IIの化合物のカルシウム塩、好ましくはそのモノカルシウム塩、例えばA1437−Dモノカルシウム塩(3d/iv)を製造するための別の方法は、支持体、例えば、吸着樹脂、逆相支持体、モレキュラーシーブおよびイオン交換剤の使用であり、これらに、ハロゲン化カルシウムで予め処理しておいた式IIの化合物のナトリウムまたはアンモニウム塩(例えば化合物A1437−Dのナトリウムまたはアンモニウム塩)の水溶液、または、式IIの化合物のジカルシウム塩(例えばジカルシウム塩(3d/iia)、(3d/iib)または(3d/iic))の水溶液を負荷し、その後、支持体を場合により適当な溶媒で洗浄し、最後に式IIの化合物のカルシウム塩、好ましくはモノカルシウム塩、例えば、A1437−Dモノカルシウム塩(3D/iv)を適当な溶媒で溶離する。
【0038】
吸着樹脂として使用するためには、例えば、Amberlite XAD7(Rohm & Haas)、DIAION(R) HP20SS(Mitsubushi Chem. Corp.),Poros(R)20R2またはポリアミド6(Riedel-deHaen)が適当であり、逆相支持体を使用する場合は、LiChrosorb(R) RP−セレクトB(E.Merck)が適している。しかしながら例えば蛋白の精製のためには、疎水相互作用クロマトグラフィー(HIC)において通常使用される支持体を使用することもできる。このような支持体は例えば、Phenyl Sepharose(R)またはTSKgel Phenyl Toyopearl(R)が挙げられる。更にまた、「サイズエクスクルージョンクロマトグラフィー」またはゲル濾過クロマトグラフィーに使用されているようなモレキュラーシーブも適している。この方法は、式IIの化合物(例えばA1437−D)のカルシウムイオンに結合する傾向に基礎をおくものである。上記した支持体を使用する場合、式IIの化合物のアンモニウムまたはナトリウム塩のカルシウム塩との混合物を水中に調製し、この混合物をそれ自体知られた方法で支持体上で分離する。あるいは、適切なジカルシウム塩の水溶液を適用することも可能である。例えば、A1437−Dのナトリウム塩および塩化カルシウムの水溶液を例えばDIAION(R) HP20SSのような吸着樹脂に適用し、適用された樹脂を水で洗浄して過剰な塩を除去し、次にリポペプチドのカルシウム塩を含水または無水の溶媒を用いて、好ましくはメタノールを用いて支持体から溶離させる。このようにして得られた生成物は例えばC59H92N14O19Caの元素組成(式IIの化合物のモノカルシウム塩(3d/iv))を有する。
【0039】
式IIの化合物のカルシウム塩を得るためにはイオン交換剤、好ましくはアニオン交換剤を使用することも可能である。この方法においては、例えば、式IIの化合物の何れかの所望の低イオン性の水溶液をpH5〜pH9のアニオン交換剤に結合させ、結合した支持体を水洗した後、水溶性のカルシウム塩の漸増濃度を用いて式IIの化合物のモノカルシウム塩を溶離する。モノカルシウム塩を含有するカラム溶出液を、例えば逆浸透により脱塩して乾燥する。あるいは、モノカルシウム塩は他の方法、例えば結晶化により単離できる。
【0040】
式IIの化合物、本発明のカルシウム塩の前駆体は、好都合には、EP 0 629 636A1号に記載の通り、Actinoplanes sp.好ましくはActinoplanes friulensis(DSM7358)の発酵により調製するか、または、EP 0 688 789A1(US5,629,288)に記載の通り、天然には存在しない酸基による式IIの酸基R1の置き換えにより誘導できる。このようにして得られた式IIの化合物を上記した通り反応させることによりそのカルシウム塩が得られる。
【0041】
式IIの化合物を好ましくは微生物により生産する、式IIの化合物、即ち本発明のカルシウム塩の酸前駆体の発酵による製造のための改良された方法を与えるという上記した目的は、Actinoplanes sp.好ましくはActinoplanes friulensis DSM7358の発酵において、発酵溶液に錯体形成剤、好ましくはキレート形成剤1種以上、および、アミノ酸アスパラギンを添加する場合に達成される。
【0042】
好ましくは、使用する錯体形成剤はクエン酸またはエチレンジアミン4酢酸塩(EDTA)である。
好都合には、EDTAおよびクエン酸を発酵溶液に添加することも可能である。
【0043】
R1が例えば式(3a)または好ましくは(3b)の脂肪酸基である式IIの化合物の収量を上昇させるためには、発酵溶液に更にアミノ酸L−ロイシンを添加することができる。R1が例えば式(3c)または好ましくは(3d)の脂肪酸基である式IIの化合物の収量を上昇させるためには、発酵溶液に更にアミノ酸L−バリンを添加することができる。
【0044】
従って、本発明はまた式IIの化合物のカルシウム塩の調製のための方法に関し、その特色は、第1の工程において、上記した式IIの化合物をActinoplanes sp.好ましくはActinoplanes friulensis(DSM7358)の発酵により製造し、その際発酵溶液に複合体形成剤、好ましくはキレート形成剤1種以上およびアミノ酸アスパラギンを添加し、その後の工程において、上記したとおり式IIの化合物のカルシウム塩を沈殿、結晶化または支持体上の処理により得ることである。
本発明はまた、医薬として使用するための式IIの化合物のカルシウム塩に関する。
【0045】
式IIの化合物のカルシウム塩は好ましくは細菌感染症に対抗する医薬の製造に特に適しており、上記したカルシウム塩(3c)、特に(3d)またはジカルシウム塩(3c/iia)、(3c/iib)および(3c/iic)、特にジカルシウム塩(3d/iia)、(3d/iib)または(3d/iic)が特に適しており、ジカルシウム塩(3d/iia)が特に好ましい。式IIの化合物のモノカルシウム塩は細菌感染症に対する医薬の製造に特に適しており、実験式(3c.3d/iv)C59H92N14O19Caを有するモノカルシウム塩(3c)および、特に、(3d)が好ましい。式IIの化合物の上記したカルシウム塩は好ましくはグラム陽性細菌、好ましくは、グリコペプチド耐性細菌による細菌感染症に対抗する医薬の製造に適している。
【0046】
式IIの化合物のカルシウム塩少なくとも1つを含有する医薬は更に、慣用的な製薬用補助剤を含有することができる。
例えば式IIの化合物のジカルシウム塩、好ましくは塩化物3d/iiaを等しい重量部のマンニトールを含有する水に溶解し、次に凍結乾燥して医薬を製造する。
【0047】
式IIの化合物のカルシウム塩は、その溶解度および特性学的特徴の点において注射用溶液の形態で非経腸投与するために特に適している。従って、本発明はまた式IIの化合物のカルシウム塩1種以上、好ましくは(3d/iv)実験式C59H92N14O19Caを有するカルシウム塩、または、特に好ましくは、実験式C59H92N14O19Ca2Cl2を有するカルシウム塩3d/iiaを含有する注射用溶液に関する。
注射用溶液の製造のためには、等しい重量部のマンニトールおよびカルシウム塩を含有する凍結乾燥物を適当に調製された水に溶解する。
【0048】
【実施例】
以下の実施例において、式Iの化合物の酸型をA1437と称する。次の式は実施例において製造または使用したリポペプチドの一覧である。A1437−A、−Bおよび−Gと称した式Iの化合物はアンフォマイシン型(式IにおいてR1=OH)のリポペプチドに属し、A1437−C、−Dおよび−Hと称した化合物はアスパルギン型(式IにおいてR1=NH2)のリポペプチドに属するか、式IIの化合物である。
【0049】
【表4】
【0050】
EP 0 629 636号に記載の通り、Actinoplanes sp.特にActinoplanes Friulensis DMS7358はアンフォマイシン型およびアスパラギン型の少なくとも8種の抗生物質活性を有する式Iの化合物を発酵により生成する。リポペプチドA1437−CおよびA1437−D(共に式IIの化合物)により例示されるとおり、これは、どの方法によりアスパラギン型のリポペプチドの収率を大幅に向上させることができるかを示すことを意図している。
【0051】
A1437−CおよびA1437−Dは環外アスパラギンを有する環状デカペプチドであり、Cペプチドの場合はC13−脂肪酸で、D−ペプチドの場合はC14−脂肪酸でアシル化される(上記式)。対応する脂肪酸の合成のスターターとなるアミノ酸バリンおよびロイシンを混合することにより、発酵をC−またはD−ペプチドの形成の方向に制御することができる。しかしながら、C−ペプチドと同時にいわゆるA−ペプチド(A1437−A)が、そして、D−ペプチドと同時に環外部位(アスパラギンではなくアスパラギン酸)のみがC−またはD−ペプチドと異なるB−ペプチド(A1437−B)が形成する。原則として、これらのペプチドの力価はC−およびD−ペプチドの力価よりむしろ高値であり、最も好ましい場合においては、比は約1:1である。典型的には、浸透培養機内の収率はD−ペプチドが40〜150mg/L、B−ペプチドが50〜250mg/Lの範囲であった(実施例1)。30Lと200Lの鉄鋼製発酵器中では、典型的にはB−ペプチド800〜1100mg/L、D−ペプチド20〜40mg/Lを得ることができた(実施例2)。
【0052】
発酵器中のA1437−Dの収率の低下の原因は一方では発酵器の研磨により培養液中に侵入する金属イオンの悪影響、および、アスパラギンの相対的欠乏をもたらすバイオマス生成の増大の可能性がある。これらの可能性をより詳細に調べるために、培養液にEDTA(0.5mL)およびクエン酸(10mM)をイオン捕獲剤として、そして、アスパラギン(0.5g/L)を添加した。ここで、鉄鋼製の発酵器では、振とう器の培養収率を達成できたのみならず、意外にも、これを大きく上回り、D−ペプチド(A1437−D)が主要成分となったことがわかった。例えば最大収率はA1437−Dが1.2g/l、A1437−Bが280mg/Lであった(実施例2)。振とう培養においてはA1437−Dに優先的な選択性の変化と収率増大が観察された。振とう培養のA1437−Dの収率も、A1437−Bの平均収率は同じままで、同様に1g/Lまで上昇させることが可能であった(実施例1)。
【0053】
実施例1
EDTAおよびアスパラギンの添加による振とう培養のActinoplanes Friulensis DMS7358によるA1437−Dの収率向上
下記組成:
【表5】
の栄養溶液(NL1)100mLの入った300mL容の三角フラスコに液体窒素中−190℃で保存した菌糸体のアンプル(3mL充填容)を接種し、240rpm、28℃で5日間振とうする。
【0054】
下記の栄養溶液(NL2)500mLの入った2L容の三角フラスコに上記フラスコから25mLを接種する。
【表6】
培養終了時の培養液のpHは7.0〜7.8となる。収率は典型的にはA1437−Dが20〜155mg/L、A1437−Bが60〜250mg/Lである。
【0055】
夫々の結果
【表7】
0.5mMエチレンジアミン4酢酸(EDTA)および0.5g/Lのアスパラギンを添加することにより、A1437−Bの平均収率は同様のままで、A1437−Dの収率を約1g/Lに高めることができた。
【0056】
夫々の結果
【表8】
【0057】
実施例2
EDTAおよびアスパラギンの添加による200L容発酵器中のActinoplanes Friulensis DMS7358の発酵によるA1437−Dの収率向上
栄養溶液1が100mL入った300mL容の三角フラスコに−190℃で保存したアンプルの内容物を接種し、240rpm、28℃で5日間振とうする。
このフラスコから20mLを同じ栄養溶液500mLの入った2L容の三角フラスコに植え継ぎ、これを同様に28℃120rpmで5日間培養する。
これらのフラスコ8本の内容物を栄養溶液2が30L入った40L容の発酵器に植え継ぎ、0.8m/secの攪拌速度で運転する。
培養終了時の培養液のpHは7.0〜7.8となる。
収率は典型的にはA1437−Dが20〜40mg/L、A1437−Bが800〜1000mg/Lである。
【0058】
夫々の結果
【表9】
0.5mM EDTAおよび0.5g/Lのアスパラギンを添加することにより、A1437−Bの濃度はかなり低下させながら、A1437−Dの収率を1.2g/Lまで高めることができた。
【0059】
夫々の結果
【表10】
【0060】
実施例3
振とう培養におけるActinoplanes Friulensis DMS7358の発酵によるA1437−Dの収率
栄養溶液1が100mL入った300mL容の三角フラスコに−190℃で保存したアンプルの内容物を接種し、240rpm、28℃で5日間振とうする。
このフラスコから25mLを以下の栄養溶液(3L)500mLの入った2L容の三角フラスコに接種する。
【0061】
【表11】
培養終了時の培養液のpHは7.0〜7.8となる。収率は典型的には以下の通りである。
【0062】
【表12】
【0063】
実施例4
表2は40℃で保存した後のA1437Dナトリウム塩とカルシウム混合塩C59H92N14O19Ca2I2の安定性を比較したものである。
【表13】
【0064】
実施例5
A1437DCa塩の抗細菌活性を表3に示す。化合物の数値は耐性および多剤耐性の病原体に対する活性に基づいたものであり、作用スペクトルは以下に記載する良好な受容性と組み合わさって抗生物質の薬学的価値を高めるものである。
【0065】
【表14】
【0066】
実施例6
A1437−Dジカルシウムヨウ化物塩(C59H92N14O19Ca2I2)の製造
エタノール3mL中に溶解した0.8gのCaI2×4H2Oを無水エタノール27mL中のA1437Dナトリウム塩1.35gの溶液にゆっくり添加する。白色の綿毛状の沈殿がここで徐々に付着し、これを30分後に遠心分離により回収し、冷エタノール各々10mLで3回洗浄し、次に真空下に乾燥する。A1437Dジカルシウムのヨウ化物塩1.4gが得られる。HPLCで測定したA1437D 79%に加えて分析結果は5%Ca、15.4%ヨウ素、および<0.2%ナトリウムを示し、C59H92N14O19Ca2I2の組成と合致する。
【0067】
実施例7
A1437Dカルシウム臭化物塩の製造
A1437Dナトリウム塩18gを無水エタノール360mL中に溶解し、無水エタノールに溶解したCaBr2 7gで室温で処理する。白色の綿毛状の沈殿がここで徐々に付着し、これを15分間80000gで遠心分離して回収する。無水エタノール各々180mLで2回洗浄し、次に真空下に乾燥し、得られるA1437Dカルシウムの臭化物塩18.8gは分析の結果、80%A1437D(HPCL、遊離の酸)、6%カルシウム、15%臭素、および、<0.1%ナトリウムである。
【0068】
実施例8
固相抽出法によるA1437D−モノカルシウム塩の製造
実施例7に従って製造したA1437Dカルシウムの臭化物塩1.1gを水に溶解し、MCIゲルCHP20P、75〜150μを充填した16mL容の製造済みキャピラリーカラムに適用する。溶離は水中10%メタノール(溶液A)から90%メタノール+10%ブタ(溶液B)の勾配溶離により、可能な限り急速に行う。まず不純物をカラムから洗い出し、次にA1437Dのモノカルシウム塩を純粋な溶液Bで溶離する。真空下に濃縮し、得られる0.8gのA1437Dモノカルシウム塩の組成は96%A1437D(HPCL)および3%カルシウムでありC59H92N14O19Caの組成と合致する。
【0069】
実施例9
A1437Dカルシウムの臭化物塩の再沈殿
実施例7に従って製造したA1437Dカルシウムの臭化物塩1gを水100mLに溶解し、メタノール−ブタノール(9:1)の混合物36mLで処理する。最初は透明であった溶液が徐々に白濁するが、これを12時間放置して完了させる。得られた沈殿を遠心分離により回収し、40%の冷メタノール水溶液50mLで洗浄し、真空下に乾燥する。モノカルシウム塩C59H92N14O19Ca 720mgが得られ、組成は3.1%カルシウム、<1%臭素、および95%A1437Dモノカルシウム塩である。
【0070】
実施例10
メタノール沈殿によるA1437Dモノカルシウム塩C59H92N14O19Caの製造
A1437Dナトリウム塩1gを水30mLに溶解し、水10mL中のCaCl2 200mgの溶液で処理する。90%メタノールと10%ブタノールの混合物14mlを透明な水溶液に添加し、1時間後、混合物を4℃で遠心分離する。沈殿を水性メタノール(40%)各々30mLで2回洗浄して得られるA1437Dモノカルシウム塩810mgの組成は、遊離の酸として計算すると、3.2%カルシウム、<1%塩化物、および、94.5%A1437Dモノカルシウム塩である。
【0071】
実施例11
in vitroの溶血の測定
溶血作用を測定するために、新しく採取したヒト、アカゲザルおよびビーグルの静脈血を用いる。血液はヘパリン処理した試験管に採取し、200μlづつ12本のポリエチレン試験管に分注する。1本を水200μlで処理し、100%標準物質とし、もう1本を生理食塩水(0.9%NaCl)200μlと混合する。生理食塩水中160、800、400、200、100、50、25、12.5、6.25および3.125mg/lに希釈した溶液各々200μlを別の試験管に分注する。全ての試験管を慎重に揺らし、次に3時間37℃でインキュベートする。次に100%標準物質を蒸留水5mLで製造し、他の試験管は各々5mLの生理食塩水で製造し、700gで5分間遠心分離する。
【0072】
溶血は波長540nmにおいて分光光度計で上澄みの吸光度を測定することにより求める。完全な溶血を示す標準物質の吸光度を100%とする。被験調製希釈液の吸光度および0%標準物質値を測定し、最大誘発溶血のパーセントとして表示する。表4はサル血液を用いて行ったA1437−B、A1437−GをA1437−DCa塩と比較した溶血実験の結果を示す。
表4は抗生物質の濃度の関数としてのサル血液のin vitro溶血を例示する。
【0073】
【表15】
【0074】
実施例12
ナトリウム塩からのA1437Dジカルシウム2塩化物塩の製造
A1437Dナトリウム塩15gを無水エタノール400mLに完全に溶解し、無水エタノール100mLに溶解したCaCl2(乾燥)2.52( )で30分間処理し、その間、ゆっくり攪拌し、次に2時間0℃で放置する。沈殿を遠心分離により除去し、エタノール200mLで洗浄し、遠心分離により再度除去し、高真空下に乾燥する。収率は16.5%である。最終生成物は遊離の酸として計算して、A1437Dリポペプチド80.5%、水4.5%、カルシウム5.1%、塩化物7.5%、および、ナトリウム2.1%を含有し、実験式C59H92N14O19Ca2Cl2と合致し、不純物は約4.6%のNaClである。
【0075】
実施例13
ナトリウム塩からのA1437Dジカルシウム二塩化物の結晶化
純度91.9%のA1437Dナトリウム塩2.5gを水100mLに溶解し、CaCl2(例えばAldrich Cat.No.38,314-8)10gで処理する。この間白濁が起これば濾過または遠心分離により除去する。次に2時間掛けてエタノール35mLを添加することにより結晶化を徐々に誘発し、結晶の形成は有機溶媒含有量15%の時点で徐々に開始する。結晶化を加速するためには、溶媒含有量20%の時点でバッチに結晶種を添加する。溶媒の添加が完了した後、結晶懸濁液を室温で24時間放置し、時々攪拌して結晶の形成を加速する。結晶化を完了するためにバッチを+1℃に一夜冷却し、次に吸引濾過する。針状結晶の緻密な羽毛状物よりなる結晶物を水中25%エタノールの冷却混合物5mlで洗浄し、その後乾燥する。81%の収率に相当するA1437Dジカルシウム二塩化物塩22gが97.9%純度で得られる。母液(有機固形分5g、純度約63%)を冷却しながら放置し、数日間で更にA1437Dのジカルシウム二塩化物塩が晶出する。
【0076】
実施例14
A1437Dジカルシウム二塩化物の注射用溶液の製造
A1437Dジカルシウム二塩化物100mgおよび非発熱性マンニトール100mgを滅菌水2mLに溶解し、凍結乾燥する。粉末状の凍結乾燥物全てを注射用水2mLに溶解し、滅菌アンプルに充填し、アンプルをセプタムで密封する。
Claims (8)
- R1が、
1)フェニルまたはシクロアルキル基により中断されているか、または、フェニルまたはシクロアルキル基に連結されているアシル基;
2)下記:
3)フェニルまたはシクロアルキル基により、そして、酸素により中断されているアシル基;
4)下記:
5)炭素原子12〜15個を有する直鎖または分枝鎖の、飽和または不飽和の脂肪族アシル基;
6)下記:
7)下記:
8)下記:
9)下記:
10)下記:
11)下記:
12)下記:
13)下記:
である請求項1記載のカルシウム塩。 - カルシウム塩が、
1)実験式C46+nH68+2nN14O19Ca2X2(式中nは7〜21の整数であり、Xはアニオンである)、
2)実験式C46+nH69+2nN14O19Ca2X3(式中nは7〜21の整数であり、Xはアニオンである)、
3)実験式C46+nH70+2nN14O19Ca2X4(式中nは7〜21の整数であり、Xはアニオンである)、
4)実験式C46+nH66+2nN14O19Ca2X2(式中nは7〜21の整数であり、Xはアニオンである)、
5)実験式C46+nH67+2nN14O19Ca2X3(式中nは7〜21の整数であり、Xはアニオンである)、
6)実験式C46+nH68+2nN14O19Ca2X4(式中nは7〜21の整数であり、Xはアニオンである)、
7)実験式C59H92N14O19Ca2X2(式中、Xはアニオンである)、
8)実験式C59H93N14O19Ca2X3(式中、Xはアニオンである)、
9)実験式C59H94N14O19Ca2X4(式中、Xはアニオンである)、
10)実験式C46+nH68+2nN14O19Ca(式中nは7〜21の整数である)、
11)実験式C46+nH66+2nN14O19Ca(式中nは7〜21の整数である)、または
12)実験式C59H92N14O19Ca
を有する請求項1または2に記載のカルシウム塩。 - Xがハライドアニオンである請求項3に記載のカルシウム塩。
- 極性溶媒中に請求項1〜4のいずれかに記載の式IIの化合物のナトリウムまたはアンモニウム塩を溶解すること、この溶液に同じ溶媒中に溶解したカルシウム塩を添加すること、次に得られた溶液をより極性の低い溶媒またはより極性の低い溶媒の混合物で処理すること、および沈殿として請求項1〜4のいずれかに記載のカルシウム塩を単離することを包含する請求項1〜4のいずれか1項に記載のカルシウム塩の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の少なくとも1種のカルシウム塩を含有する細菌感染に対する医薬。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の1種またはそれ以上のカルシウム塩および製薬用補助剤を含有する医薬。
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