JP4402040B2 - リスニング領域内での、バスサウンドの音質を改善するためのイコライゼーションシステム - Google Patents

リスニング領域内での、バスサウンドの音質を改善するためのイコライゼーションシステム Download PDF

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Description

本発明は一般に、リスニング領域内での、一つ以上のラウドスピーカによって生成されたバスサウンドの音質を改善することを対象とする。より詳細には、本発明は、その領域内における応答が、所望される周波数範囲内で、実質的に一定およびフラットであるように、リスニング領域内で、少なくとも一つのラウドスピーカによって生成される応答をイコライズすることを対象とする。
サウンドシステムは通常、電気信号を音響信号に変換するラウドスピーカを含む。ラウドスピーカは、高周波数信号、中周波数信号、低周波数信号などの音響信号の範囲を生成する一つ以上の変換器を含み得る。ラウドスピーカの一つのタイプは、20Hzから100Hzの範囲において低周波数信号を生成する低周波数変換器を含み得るサブウーハーである。
サウンドシステムは、様々なリスニング環境において音響信号を生成し得る。リスニング環境の例は、住居のリスニングルーム、ホームシアター、映画劇場、コンサートホール、車内、レコーディングスタジオなどを含むが、それらに限定されない。通常、リスニング環境は、ラウドスピーカによって生成される音響信号を聴く、個人または複数の人のための、単一または多数のリスニング位置を含む。リスニング位置は、ホームシアター環境におけるソファなどのような、座った位置、または、コンサートホールにおいて指揮者が立ち得る場所などのような、立ち位置であり得る。
リスニング環境は、リスニング位置での、低周波数信号、中周波数信号、および/または高周波数信号を含む音響信号に影響を与え得る。部屋の種類、ならびに、部屋におけるリスナーの位置および部屋におけるラウドスピーカの位置に依存し、音の大きさは異なる周波数によって変化し得る。これは特に、低周波数に当てはまり得る。低周波数は、音楽、映画、およびオーディオ環境の他の多くの形式を楽しむことにとって重要であり得る。ホームシアターの例において、壁、カーテン(drapery)、家具、備え付け家具などを含む部屋の境界は、ラウドスピーカからリスニング位置へ移動する音響信号に影響を与え得る。
リスニング位置で受信された音響信号は計測され得る。部屋を特徴付ける一つの方法は、リスニング領域にあるマイクロフォンへのラウドスピーカのインパルス応答である。インパルス応答は、ラウドスピーカから放たれた短いサウンドバーストのために、マイクロフォンによって計測される音響信号である。インパルス応答は、単一の周波数、多数の別個の周波数、または、周波数の一つの範囲での、振幅および/または位相を含む、音響信号の様々な性質を計測させ得る。
振幅応答は、当該周波数での音の大きさの計測である。一般に、音の大きさまたは振幅は、デシベル(dB)で計測される。振幅の偏差は、指定された目的値に関連する正のデシベル値または負のデシベル値として表現され得る。リスニング位置で計測された振幅値が目的値に近ければ近いほど、その振幅応答は良い。目的からの偏差は、部屋の境界と相互作用する場合に、音響信号において生じた変化を反映する。ピーク(peak)は、目的からの正の振幅偏差を表し、一方で、窪み(dip)は、目的からの負の振幅偏差を表す。
振幅応答におけるこれらの偏差は、サブウーハー、サブウーハーの位置、およびリスナーの位置で再生された音響信号の周波数に依存し得る。リスナーは、サウンドトラックや映画のような記録媒体上に録音されたのと同じような低周波数を聴き得るのではなく、その代わり、部屋の境界によって歪められた低周波数を聞き得る。このように、部屋は、サブウーハーによって再生された音響信号を変化させ得、サウンドシステムの低周波数の実行に逆に影響を与え得る。一つの例として、図1が長方形の部屋におけるサウンドシステムの設定を示す。サウンドシステムは、四つのサブウーハーに接続された受信器を含み、それぞれの受信器が部屋の隅にある。その部屋は、四つのサブウーハーによって生成される低周波数音およびバスサウンドに影響を与え得る四つの壁によって境界を定められる。部屋内で、座席領域は、一人以上の個人に、四つのサブウーハーのそれぞれによって生成される組み合わされたバスサウンドを聴かせるように提供される。上で検討されたように多くの要因は、個人がほんの数フィート離れて座っている他の人よりも、より大きな音を聴き得るように、リスニングエリア内で音質に影響を与え得る。部屋のインパルス応答を計測する目的のために、受信器は、対数周波数掃引出力信号を、所定の時間の間、四つのサブウーハーに送信し得る。部屋のインパルス応答は、次いで、その部屋のリスニング領域内での異なる位置に設置されたマイクロフォンP1、P2、P3、およびP4によって受信される。
図2は、個々に四つのマイクロフォンの位置P1、P2、P3、およびP4において期待し得る計測されたインパルス応答に対応して、四つの周波数応答曲線F1、F2、F3、およびF4を示す。以前に検討したように、サブウーハーは通常、20Hzから100Hzの間の低周波数範囲にて動作する。図2は、およそ48Hzで、バスサウンドの大きさがリスニング領域内に個人が位置する場所に依存するように、バスサウンドの大きさは、広い範囲において変化する。例えば、曲線F2は、バスの大きさのレベルが、およそ48Hzでのおよそ0デシベルであることを示し、一方で、曲線F3は、バスの大きさのレベルが、同じ周波数位置での、およそ−18デシベルであることを示す。これは、P2の位置に座っている人が、その人のちょうど後ろに座っているP3の位置の人よりも、48Hzでの、より大きなバスサウンドを聴くことを意味する。つまり、それぞれの人が異なるバスサウンドの音質を経験するように、サウンドレベルは部屋のリスニング領域内での異なる位置では同じではない。付け加えて、図2は、当該周波数範囲内で変動することを示す。これは、リスニングされることを意図されているにもかかわらず、個人がそのバスサウンドを聴くことができないように、あるバスサウンドが欠落することを意味する。例えば、曲線F4は、およそ48Hzから55Hzの間で、およそ52Hzのバスの大きさのレベルにおいて、相当な欠落があることを示す。これは、P3の位置に座っている人が、48Hzでのバスサウンドを聴くが、52Hzでのバスサウンドにおいて唐突な欠落、および、再び55Hzでの唐突なピークに気付くことを意味する。バスサウンドレベルにおけるそのような変動は、リスニング経験を害し得る。
多くのイコライゼーション技術が、過去に、リスニング領域内での振幅偏差を低減し、または取り除くように利用されてきた。その技術の一つは、多数のリスニング位置の平均振幅応答を計算し、次いで、システムにおける全てのサブウーハーのイコライゼーションを等しく実施する、空間的平均化である。しかしながら、空間的平均化は、現実には存在しない単一の「平均リスニング位置」を是正するのみである。このように、空間的平均化の技術を利用した場合でさえ、一部のリスニング位置は他の位置よりもより良い低周波数のパフォーマンスを有するが、他の位置では、深刻に影響を与え得る。例えば、空間的平均化は、不等なパフォーマンスと比較して、一部のリスニング位置ではパフォーマンスをより悪くし得る。さらに、単一の位置のために振幅応答をイコライズしフラットにすることを企てることは、潜在的に問題を生み出す。ピークが平均リスニング位置で低減され得る一方で、窪みが生じる周波数を増幅する企ては、サブウーハーから追加的な音声出力を相当に要求し、その結果、システムの最大音声出力を低減し、部屋の他の領域における大きなピークを潜在的に生み出してしまう。
他の既知のイコライゼーション技術は、「モードキャンセル」(mode canceling)配置において、多数のサブウーハーを位置させることである。リスニングルーム内で、対称に多数のラウドスピーカを位置させることによって、定在波は、相殺的および建設的干渉を引き出すことによって低減させ得る。しかしながら、対称の「モードキャンセル」構成は、理想的な部屋(例えば、寸法上および音響上、対称な)を想定しており、様々な形の部屋や備え付け家具を含む実際の部屋の特徴を考慮しない。さらに、ラウドスピーカを対称に位置させることは、特定の部屋のセッティングの、現実的な、または所望される構成ではあり得ない。
さらに別のイコライゼーション技術は、数学的解析を利用し、振幅偏差を低減するために、オーディオシステムを構成する。そのような一つの数学的解析は、その部屋のデータに基づいた部屋における定在波を促す。例えば、部屋の長さ、幅、高さのような部屋の寸法が入力され、様々なアルゴリズムが入力されたデータに基づき、サブウーハーを位置させる場所を予測する。しかしながら、この数学的方法は、部屋の家具、備え付け家具、構成などの音響的性質を考慮しない。例えば、石造外装を有する内壁は、木製骨組みの壁とは音響上、全く異なるように作用し得る。さらに、この数学的方法は、部分的に閉じられた部屋を効果的に埋め合わせることができず、部屋が長方形でない場合も、計算的に、難儀になり得る。
部屋におけるインパルス応答をイコライズしようとする多くの他の方法があるが、イコライゼーションの正確性は、信号に与えられた遅延およびゲインなどのような、あるパラメータを決定することを含む推測による、偶然であり得ることが多い。正確なイコライゼーションを解決するために、多大な計算出力がかかる。さらに、バスレベルの大きさがそれぞれの座席位置で一貫しているだけでなく、所望される低周波数範囲全体で、実質的に一定またはフラットでもあるように、所望される低周波数範囲内での、フラットな周波数応答になるイコライゼーションを、これらの方法は提供しない。それゆえ、所定の場所における一つ以上のリスニング位置の音声パフォーマンスが改善されるように、オーディオシステムの構成を正確に決定するシステムが、長年必要とされている。
本発明は、リスニングルームにおける低周波数イコライゼーションの、既知の問題に取り組む。本発明は、好ましいリスニング領域内での、部屋の様々な位置のインパルス応答を計測するための、一つ以上のマイクロフォンを利用する、周波数イコライゼーションシステムを対象にする。次いで、この情報は、周波数応答が、妥当な周波数範囲を介し、マイクロフォン計測ポイントにて、および、所望されるリスニング領域内にて、実質的にフラットであるように、バス応答を改善するために、その部屋におけるサブウーハーへ送信された音響信号をフィルタするために利用される。
本発明は、周波数応答が、妥当な周波数範囲を介し、リスニング領域内にて実質的にフラットであるように、それぞれの対応するサブウーハーのためのフィルタをデザインする係数を計算する、部屋のインパルス応答を使用する。一般に、部屋の応答の反転(inverse)は、部屋によって追加される音色(coloration)を取り消すように決定される。その反転は、サブウーハーが扱い得る許容可能なゲインを超過し得る唐突なゲインが最小化または取り除かれるように、平滑化される。本発明はまた、サブウーハーが最適に動作する所望される周波数範囲に、イコライゼーションが与えられるように、反転上に、目的関数(target function)を与え得る。修正された反転は、次いで、その個々のサブウーハーに送信されたそれぞれの音響信号のためのフィルタ係数を決定するために使用される。デジタル信号プロセッサ(DSP)などのようなプロセッサは、フィルタ係数に基づいて、音響信号をフィルタするために利用され得る。
本発明は、さらに以下の手段を提供する。
(項目1)
リスニング領域における周波数範囲内で、周波数応答を実質的にイコライズするための、一つ以上のフィルタをデザインする方法であって、該方法は、
少なくとも一つの音響変換器によって生成されたリスニング領域における該周波数応答を計測すること(502)と、
第1のステージのイコライゼーションフィルタスペクトルを決定するために、該周波数応答を反転すること(504)と、
第2のステージの近似の(approximate)イコライゼーションフィルタスペクトルを決定するために、該第1のステージのイコライゼーションフィルタスペクトルを平滑化すること(506)と、
該第2のステージの近似のイコライゼーションフィルタを、該計測された周波数応答に適合した後に、その結果である周波数応答の組み合わせから広範囲周波数応答を決定すること(508)と、
広範囲イコライゼーションフィルタを決定するために、該広範囲周波数応答を反転すること(510)と、
最終イコライゼーションフィルタを決定するために、該広範囲イコライゼーションフィルタと該第2のステージの近似のイコライゼーションフィルタとを結合すること(1602)と
を包含する、方法。
(項目2)
上記周波数応答を計測することは、
上記リスニング領域内に位置された少なくとも一つのマイクロフォンを介して、上記少なくとも一つの音響変換器によって生成された、上記リスニング領域のインパルス応答を受信すること(602)と、
該リスニング領域における該インパルス応答から任意の共通する時間遅延を取り除くこと(604)と、
該リスニング領域における該インパルス応答を、該リスニング領域における該周波数応答に変換すること(606)と
を包含する、項目1に記載の方法。
(項目3)
所望される周波数帯域内で、ゲインを制限するために、上記最終イコライゼーションフィルタの振幅応答をクリップすること(1604)を含む、項目1または2に記載の方法。
(項目4)
上記周波数応答を計測することは、
上記リスニング領域内に位置された少なくとも一つのマイクロフォンを介して、上記少なくとも一つの音響変換器によって生成された、上記リスニング領域のインパルス応答を受信すること(702)と、
上記インパルス応答を計測するために、上記リスニング領域における上記少なくとも一つの音響変換器の数と同じ数の、部屋における少なくとも一つのマイクロフォンを使用すること(706)と
を包含する、項目1から3のうちのいずれか一項に記載の方法。
(項目5)
複素平滑化方法を介して、上記周波数応答の反転がなされる(506)、項目1から4のうちのいずれか一項に記載の方法。
(項目6)
上記複素平滑化が、二つの異なる平滑化インデックス値を有する、二つの別個の周波数帯域にてなされる(506)、項目5に記載の方法。
(項目7)
上記少なくとも一つの上記音響変換器の数が四つであり、上記少なくとも一つのマイクロフォンの数が四つである(706)、項目4に記載の方法。
(項目8)
上記周波数応答を計測することは、
上記リスニング領域内に位置された少なくとも一つのマイクロフォンを介して、上記少なくとも一つの音響変換器によって生成された、上記リスニング領域のインパルス応答を受信すること(702)を包含し、
該インパルス応答を計測するために利用される少なくとも一つのマイクロフォンの数が、少なくとも一つの音響変換器の数と等しくない場合、該周波数応答の反転が、擬似反転法を介してなされる(708)、項目1から7のうちのいずれか一項に記載の方法。
(項目9)
上記リスニング領域における上記少なくとも一つの音響変換器のそれぞれが動作する周波数範囲を制限するために、目的関数を上記周波数応答に適合すること(1106)を包含する、項目1から8のうちのいずれか一項に記載の方法。
(項目10)
上記少なくとも一つの音響変換器がサブウーハーである、項目9または10に記載の方法。
(項目11)
部屋内でのリスニング領域における周波数範囲内の周波数応答を実質的にイコライズするための、一つ以上のフィルタをデザインするシステムであって、
出力信号を生成するための、少なくとも一つの音響変換器(502)と、
該リスニング領域における周波数応答を計測するための、少なくとも一つのマイクロフォン(502)と、
該音響変換器および該マイクロフォンに接続されるプロセッサであって、該音響変換器に、該出力信号を生成させ、該マイクロフォンを介して部屋の音響応答を計測させるために、テスト信号を送信することができ、ならびに、該音響変換器への該フィルタされた出力信号が、部屋の該リスニング領域における周波数範囲内の、実質的にフラットな周波数応答を生成するように、該計測された音声応答に基づき、フィルタ係数を計算することができる、プロセッサと、
を備える、システム。
(項目12)
上記部屋における上記少なくとも一つの音響変換器の数が、該部屋における上記少なくとも一つのマイクロフォンの数と等しい(706)、項目11に記載のシステム。
(項目13)
上記部屋における上記少なくとも一つの音響変換器の数が四つであり、該部屋における上記少なくとも一つのマイクロフォンが四つである(706)、項目11または12に記載のシステム。
(項目14)
上記プロセッサがデジタル信号プロセッサである、項目11から13のうちのいずれか一項に記載のシステム。
(項目15)
上記プロセッサが上記フィルタ係数を計算するために命令を実行することができ、該命令が、
リスニング領域における、少なくとも一つの音響変換器によって生成された周波数応答を計測するための命令(502)と、
第1のステージのイコライゼーションフィルタスペクトルを決定するために、上記周波数応答を反転するための命令(504)と、
第2のステージの近似のイコライゼーションフィルタスペクトルを決定するために、該第1のステージのイコライゼーションフィルタスペクトルを平滑化するための命令(506)と
該第2のステージの近似のイコライゼーションフィルタを該計測された周波数応答に適合した後に、その結果としての周波数応答の組み合わせから、広範囲周波数応答を決定するための命令(508)と、
広範囲イコライゼーションフィルタを決定するために、該広範囲周波数応答を反転するための命令(510)と、
最終イコライゼーションフィルタを決定するために、該広範囲イコライゼーションフィルタと、該第2のステージの近似のイコライゼーションフィルタとを結合するための命令(1602)と
を含む、項目11から14のうちのいずれか一項に記載のシステム。
(摘要)
周波数イコライゼーションシステムは、リスニング領域における周波数応答が、所望される周波数範囲内にて、実質的に一定でフラットであるように、リスニング領域内で、少なくとも一つのラウドスピーカによって生成された部屋の周波数応答を実質的にイコライズする。周波数イコライゼーションシステムは、部屋のインパルス応答を計測するために多数のマイクロフォンを使用し、および、妥当な周波数範囲を介して、フラットである改善されたバス応答を達成するために、一つ以上のサブウーハーの音響信号を処理するフィルタをデザインするインパルス応答を使用する。システムは、閉形式で、非反復の、数学的解であるアルゴリズムを用い、非常に短い計算時間を特徴とする。
本発明の他のシステム、方法、特徴、および利点は、以下の図面および詳細な記載の検討によって、当業者にとっては明らかであり、または、明らかになる。全ての追加的なシステム、方法、特徴、および利点は、この記載内に含まれ、本発明の範囲内であり、および、請求項によって保護されることが意図される。
本発明は、以下の図面および記載を参照し、より良く理解され得る。図における構成要素は、必然的に寸法を合わせてはおらず、その代わり、本発明の原理を示すことに強調が置かれる。さらに、図において、類似する参照番号は、異なる図を通して、同様の対応する部分を示す。
図3は、本発明に従うイコライゼーションシステム300を図示するブロック図を示し、部屋の所望されるリスニング領域内での所定の低周波数範囲にわたってフラットである、部屋内の一つ以上のサブウーハーからの改善されたバス応答を達成するようにデザインされている。イコライゼーションシステム300は、それぞれの部屋がそれ自体独自の特徴を有する様々な部屋の周波数応答をイコライズするために利用され得る。例えば、一つの部屋が、以下の特徴の一つ以上を有し得る。(1)部屋の一つ以上の壁が開かれ得る(2)部屋の天上または壁が弧状を有し得る(3)カーテン(drape)が一つ以上の部屋の壁を覆い得る(4)部屋の床に段差があり得る(5)部屋に一つ以上のサブウーハーがあり得る(6)サブウーハーのそれぞれの位置が部屋の任意の場所に位置され得る、など。以下で詳述されるように、イコライゼーションシステム300は、任意の部屋の周波数応答をイコライズするために利用され得る。
これを検討するために、イコライゼーションシステム300(EQシステム300)は、図1において示される部屋の応答をイコライズするために利用される。部屋は一般的に、長方形構成を形成する四つの壁によって遮られる。部屋内において、位置P1、P2、P3、およびP4によって定義される、一人以上の個人を座らせる座席領域がある。これらの座席領域は一般に、部屋のリスニング領域を定義する。受信器308は部屋内に位置され、サブウーハーに音響信号を送り、イコライゼーションシステム300を組み込む。
EQシステム300は、テスト信号を生成し、部屋におけるラウドスピーカに対応するそれぞれのフィルタの係数をデザインすることができる信号ブロック302を含む。この例において、信号ブロック302は、部屋のそれぞれの隅に位置された四つのサブウーハーSub1、Sub2、Sub3、およびSub4とリンクされる。信号ブロック302は、部屋に置かれたP1からP4のマイクロフォンそれぞれへのサブウーハーのインパルス応答を計測するために、出力信号を、一度に四つのサブウーハーのそれぞれに送信し得る。信号ブロック302は、それぞれのサブウーハーへ、順次的に、所定の時間量の、対数周波数掃引を出力し得る。対数周波数掃引は、信号ブロック302に、サブウーハーを介して、当該の広い周波数スペクトルをカバーする出力信号を送信し得る。一例として、出力信号は、およそ4秒間、送信され得る。
時間が経過するとともに、サブウーハーのそれぞれが出力信号を送信し、インパルス応答は、図1におけるP1からP4によって表される位置などのような部屋の異なる領域(「リスニング位置」)に位置されたマイクロフォンによって、独立的または同時に、計測され得る。例えば、信号ブロック302は、マイクロフォンがリスニング領域の左上の隅において生成された信号から、部屋のインパルス信号を計測し得るように、Sub1を介して出力信号を送信し得る。次いで、信号ブロック302は、マイクロフォンがリスニング領域の右上の隅において生成された出力信号ソースによる、部屋のインパルス信号を計測し得るように、Sub2を介して他の出力信号を送信し得る。同様に、出力信号は、マイクロフォンが、個々に、リスニング領域の右下および左下の隅から送信された、続く個別の信号による、インパルス応答を計測し得るように、Sub3、または他のSub4を介して送信され得る。この例において、長方形の部屋の四つの隅に置かれたサブウーハー、および、所望されるリスニング領域内に置かれた四つのマイクロフォンが、部屋のインパルス応答を計測するために使用される。マイクロフォンP1からP4は、音響信号を電気信号に変換する。電気信号が信号ブロック302に提供される前に、電気信号が、A/D変換器を使用して、所定のレートでデジタル化され得る。
マイクロフォンを介して、信号ブロック302は、サブウーハーおよびマイクロフォンのそれぞれの組み合わせのために、秒毎の所定のインパルス応答サンプル数を取り込み得る。取り込まれたインパルス応答は、計測されたそれぞれのインパルス応答のNサンプルを生み出すためにダウンサンプル(down−sample)され得る。四つのサブウーハーおよび四つのマイクロフォンを有し、これは、それぞれのセットがN数のサンプルを有する16通りのインパルス応答という結果になる。例えば、信号ブロック302は、秒毎750サンプルのサンプルレートにて、N=2048のサンプルを取り込み得る。
信号ブロック302は、マイクロフォンP1〜P4から、計測されたインパルス応答を受信する。信号ブロック302は、以下で述べるように、部屋のインパルス応答に基づいて、フィルタ係数を計算する。信号ブロック302は、プロセッサブロック304にリンクされ、プロセッサブロック304は、四つのサブウーハーによって生成されるサウンドによる室内周波数応答を実質的にイコライズするために、対応するサブウーハーへ送信される音響信号のそれぞれを修正するように、本発明に従って計算されるように意図されたフィルタを実施する。この例において、プロセッサブロック304は、図3において示されるように、FIR1、FIR2、FIR3、およびFIR4によって表される四つの音響信号をフィルタし得、個々にサブウーハーSub1、Sub2、Sub3、およびSub4のそれぞれに対応する。TV、DVDプレーヤ、音声受信器などのような様々なソース308によって提供される音響信号入力306は、その個々のサブウーハーへ送信される出力信号が、部屋の周波数応答をイコライズするためのフィルタ係数に従ってフィルタされるように、対応するフィルタFIR1からFIR4を介して、プロセッサブロック304によって処理される。プロセッサブロック304は、デジタル信号プロセッサ(DSP)などのような様々なプロセッサであり得、フィルタはFinite Impulse Response(FIR)フィルタであり得る。一つのプロセッサに、信号ブロック302およびプロセッサブロック304によってなされる機能を実行させることは、本発明の範囲内であることに注意したい。
図4は、サブウーハーへの出力信号が本発明に従った応答をイコライズするようにフィルタした後、図1において示された部屋の周波数応答を示す。図4は、その結果としての振幅応答がそれぞれ関連する低周波数範囲において実質的に一貫していることを示す。これは、リスニング領域内のそれぞれの個人がそれぞれの周波数のポイントで、実質的に同様の大きさのレベルを提供されていることを意味する。付け加えて、振幅レベルは、サウンドレベルの欠落が実質的に最小であるように、40Hzから100Hzの間の所望される低周波数レベルにわたって、実質的に一定またはフラットである。図4と図2とを比較し、部屋の振幅応答は実質的に改善されている。以下で、本発明に従ったサブウーハーのそれぞれのために、フィルタがどのようにデザインされるのかを詳細に検討する。
以下の検討は、図1において示されるように、部屋内で、四つのサブウーハーおよび四つのマイクロフォン、例えばnsub=4、および、nmic=4、の特定の場合である。しかしながら、本発明は、部屋におけるサブウーハーおよびマイクロフォンの任意の組み合わせのために使用され得る。一つ以上のサブウーハーへ送信される音響信号は、以下の記述に従ってフィルタされ得る。
図5は、部屋の周波数応答をイコライズするための、フィルタデザインの手順の概観を有するフローチャートである。ブロック502において、入力信号は、部屋の周波数応答を実質的にイコライズするように用意され得る。一般に、データを用意することは、部屋のインパルス応答を計測し、それらを周波数領域に変換することを含む。ブロック504において、周波数応答のそれぞれの反転(inverse)が決定され得る。反転のそれぞれは、部屋の壁によって追加された音色(coloration)を事実上取り消す。つまり、その個々の反転を有する音響信号をフィルタすること、および、それら個々のサブウーハーへフィルタされた信号を送信することは、理想的な周波数応答を生成する。しかしながら、反転は、局地的で唐突なピークおよび窪みを有し得、そのような唐突なゲインは、サブウーハーが扱い得る許容可能なゲインを上回り得る。ブロック506において、反転における局地的なピークおよび窪みは、以下でさらに記載される複素平滑化(complex smoothing)法を用いて、平滑化され得る。これは、部屋の周波数応答の近似の反転を提供する。
ブロック508において、低周波数帯域端または高周波数帯域端での変遷を記載する目的関数が接近され得るように、近似の反転フィルタの後の結果に、広範囲イコライゼーションが適合される。広範囲イコライゼーションはまた、以下に記載されるように、ピークおよび窪みをアドレスする平滑化方法を使用する。サブウーハーは一般に100Hz以下で動作するが、ブロック510において、20Hz以下および/または100Hz以上などのように、サブウーハーを保護する所望される低周波数範囲の外でサブウーハーに適合され得るゲインに、制限が置かれ得る。ブロック512において、広範囲イコライゼーションの反転は、次いで、部屋の周波数応答を実質的にイコライズするために、それぞれのサブウーハーに送信される音響信号のそれぞれを処理するためのフィルタを決定するように使用される。
図6は、図5におけるブロック502において表された部屋の入力データを用意する、さらなる詳細を示したフローチャート600である。入力データを用意することは、上で検討されたように、部屋のインパルス応答を計測するブロック602を含む。ブロック602において、一度、インパルス応答が計測されると、ブロック604において、インパルス応答からの任意の共通の時間遅延が取り除かれ得る。これは、以下で検討される複素平滑化の数学的問題の解答を与えるためになされる。例えば、図1において示されるように、部屋の左上の隅に配置されたSub1によって送信された出力信号に関して、マイクロフォンP1は、Sub1に最も近い。それゆえ、マイクロフォンP1は、他のマイクロフォンの前に、Sub1からの出力信号を受信する。Sub1からの出力信号がマイクロフォンP1に到達するのにかかる時間は、他のマイクロフォンP2からP4と共通している。この時間は、Sub1によって送信される出力信号が四つのマイクロフォンP1からP4によって計測されるインパルス応答に関して、共通の時間遅延として定義され得る。同様に、対応する共通の時間遅延は、他のSub2からSub4のそれぞれによって送信される出力信号のために計測され得る。例えば、Sub3によって送信された出力信号のための共通の時間遅延は、Sub3からの出力信号がその最も近いマイクロフォンP4に到達するのにかかる時間である。全ての計測されたインパルス応答の最小の遅延が共通の時間遅延である。共通の時間遅延は、四つのマイクロフォンによって計測された全てのインパルス応答からオフセットされ得、または、差し引かれ得る。
ブロック606において、部屋の時間領域インパルス応答の入力データは、高速フーリエ変換(FFT)を使用し、周波数領域へと変換され得る。例えば図1において、16通りのインパルス応答(それぞれのセットがN数のサンプルを有する)が計測され得るように、四つのマイクロフォンおよび四つのラウドスピーカがある。この例において、それぞれの計測されたインパルス応答のN複素値を生み出すNポイントFFTが用いられる。それゆえ、{nmicxnsub}×N複素FFTポイントの結果は、N数のnmic×nsubマトリクスAとして表される。ここで、i=1・・・Nである。それぞれのiまたは周波数ポイントにて、FFTは、振幅および位相を提供する。
図7は、図5におけるブロック504によって表された周波数応答の反転を決定する方法をさらに詳述するフローチャート700である。ブロック702において、インパルス応答を計測するために使用されるマイクロフォンnmicの数、および、部屋におけるサブウーハーnsubの数が決定される。決定ブロック704において、nmic=nsubである場合、次いで、ブロック706において、正確なマトリクス反転(matrix inversion)方法が、インパルス応答の正確な反転を見出すために使用され得る。他方で、nmic>nsubである場合、次いで、ブロック708において、擬似反転(pseudo−inverse)方法が、インパルス応答の反転を見出すために使用され得る。図1において、正確なマトリクス反転方法がその反転を計算するために使用されるように、四つのマイクロフォンおよび四つのサブウーハーがインパルス応答を計測するよう、使用される。ブロック604において周波数領域へ変換されるインパルス応答を有し、反転マトリクスは、周波数ポイントでの理想的なイコライゼーションを決定するために、その周波数ポイントのそれぞれにおいて計算され得る。これの関連で、N数の反転マトリクスBが決定され得る。ここで、i=1・・・Nである。これは、N複素値のマトリクスBという結果となり、A=1となる。
mic>nsubの場合において、擬似反転方法はBを計算するために使用され得る。擬似反転の既知の方法は、所望される結果と実際の結果との間の平均平方誤差を最小化する。数学的に表現すると、Bは、(1−Ax(1−A)が最小化されるように計算される(は複素共役演算を示す)。
ブロック710において、一度、反転マトリクスが決定されると、目的関数は、マイクロフォンの位置P1からP4のそれぞれの周波数位置のそれぞれのために選択され得る。目的関数は、それぞれのリスニング位置での所望される周波数応答である。目的関数は、nmic要素T(i=1・・・N)を含む複素値ベクトルであり得る。四つのマイクロフォンのこの例において、Tは、周波数ポイント毎の四つの複素値要素を含む。特定の周波数ポイントi(i=1・・・N)でのnsubフィルタを記載するベクトルFは、次いで、マトリクス乗算F=Bとして計算される。ベクトルFは、正確な反転(理想的なイコライゼーション)を実行する、特定の周波数ポイントi(i=1・・・N)でのフィルタを記載する。A=A=Tを乗算することが理想的なイコライゼーションという結果になるように、ベクトルFは、部屋の壁によって追加された音色を事実上取り消す。
図8は、マトリクス反転の後に得られたフィルタF(k)(k=1・・nsub=4)の対数振幅を示すグラフである。この例において利用される目的関数は、単一のベクトルT=[1111]であり、i=1・・Nである。周波数軸fはf=(1・・・N/2)/Nfaであり、NはFFTの長さであり、fa=750Hzはサンプル周波数である。図8は、例えば、マークA、B、C、およびDによって示されたような、唐突なピークおよび窪みがあることを示す。部屋内で周波数応答をイコライズするために、Sub1からSub4へ送信された出力信号にフィルタF(k)を直接的に適合させることは、サブウーハーに損傷を与え得る。というのも、ある周波数でのピークは、扱うサブウーハーにとって高すぎ得るそれらの周波数での相当なゲインを適合させることを要求するからである。つまり、ベクトルF(k)は、サブウーハーが扱い得る最大ゲインを上回り得る周波数でのゲインを押し付け得る。
周波数範囲全体にわたる平滑化は、時間領域におけるその結果のフィルタの長さを限定するためになされ得、それは、平滑化の後、より迅速にゼロに集結することが知られている。以下は、図5におけるブロック506によって表されたマトリクスの反転を平滑化することについてのさらなる検討である。周波数応答ベクトルF(k)における唐突なピークおよび窪みとともに、理想的なイコライゼーションは、サブウーハーに送信される出力信号へ直接に適合され得ない。しかしながら、ベクトルF(k)におけるピークおよび窪みは、周波数を介した複素値ベクトルF(k)を平滑化することによって最小化され得る。これは、2000年4月、J.Audio Eng.Soc., Vol.48, No.4, pp259−280にて出版された、Panagiotis D. HatziantoniouおよびJohn N. Mourjopoulosによる、「Generalized Fractional−Octave Smoothing of Audio and Acoustic Responses」と題された論文において記載された方法を介して達成され得る。特に、複素値ベクトルF(k)の平滑化は、周波数依存のスライドウィンドウに沿って、実際の部分と架空の部分の平均値を別個に計算することによって実行され得、その結果Fs(k)を得る。例えば、1.0と2.0との間の平滑化インデックスqが使用され得、i(q−1/q)は、周波数依存のスライドウィンドウの幅を指す。HanningウィンドウまたはWelchウィンドウなどのようなスライドウィンドウが使用され得る。それぞれの周波数帯域に異なる値を使用することによって、二つ以上の別個の周波数帯域における平滑化を実行することは有益であり得る。より高い周波数では、部屋における空間および周波数を介した変動は、通常、より大きいため、より高いインデックスqが利用され得る。サブウーハーは主に80Hz以下で動作するゆえ、その周波数より上の反転フィルタの高い正確性は必要ではあり得ず、所望され得ない。なぜならば、迅速な変動のために、それは一貫して全体のリスニング領域に適合し得ないからである。
図9は、Sub2へ送信された出力信号に適合され得るフィルタF(2)の非平滑(unsmoothed)スペクトルの振幅、および、上で検討された方法でのフィルタF(2)の平滑化されたバージョンを表す曲線Fs(2)の振幅を示す。曲線Fs(2)において、局地的なピークおよび窪みは曲線F(2)におけるよりも、より平滑化されており、曲線F(2)に存在する唐突なピークおよび窪みの多くは、曲線Fs(2)において、より段階的である。それゆえ、イコライゼーションが局地的な超過ゲインなしでSub2への出力信号に適合され得るために、曲線Fs(2)は、複素値フィルタF(2)の近似値である。同様に、図10は、例えば、Fs(1)、Fs(2)、Fs(3)、およびFs(4)などのような平滑化後の、四つ全てのフィルタの振幅応答の曲線を表す。
図11は、図5におけるブロック508によって表される広範囲イコライゼーションを決定する方法をさらに詳述するフローチャート1100を示す。F(1)からF(4)の複素値フィルタのそれぞれの複素平滑化は、ピークおよび窪みのローカルな変動を取り除くが、極端なゲインはまだ存在し得る。例えば、サブウーハーは、一般に、およそ15dbからおよそ20dbの最大ゲインを扱うようにデザインされる。図9は、20Hz以下のおよそ30dbのゲイン、および、100Hz以上のおよそ60dbのゲインを示す。そのような極端なゲインは、サブウーハーでは扱い得ない。
ゲインを管理するために、広範囲イコライゼーション(EQ)が実行され得る。広範囲EQを計算する一つの方法は、図11に記載された方法を介すことである。ブロック1102において、マイクロフォンの位置または座席Fy(j)(j=1・・・nseat)のそれぞれでの実際の応答が、Fsを伴う元のマトリクスAを乗算することによって計算され得る(上記の平滑化方法において計算される)。つまり、Fy=AFsである。図12は、図10の(中間の)フィルタが適合された後、四つのマイクロフォンの位置(リスナー席)での応答を示す。ブロック1104において、上部の曲線Fymaxは、それぞれの周波数ポイントの最大振幅Max{Fy(1・・・nseat)}を取ることによって決定され得る。それゆえ、座席での全ての応答は、曲線Fymaxより下である。図12は、Fymax曲線をより良く示すために、10dBによって生じた曲線Fymaxを示す。これは、任意の周波数ポイントに沿って、曲線Fymaxより大きい応答がないことを意味する。
曲線Fymaxは、0Hzからサンプルレートの半分の周波数範囲全体内でのdBの最大振幅を示す。しかしながら、サブウーハーは、上記の周波数範囲より、より限定された範囲において最適に動作するような設定である。それゆえ、ブロック1106において、上部の曲線Fymaxは、サブウーハーに最適な周波数範囲で動作させる所定の周波数範囲内に限定され得る。この関連において、広範囲EQフィルタFrは、目的関数TをFymaxで割る、または、Fr=T/Fymaxによって、所定の周波数範囲において動作するように計算され得る。目的関数Tは、個々の変換器(サブウーハ−)が最適に動作する周波数範囲を特徴付ける高域通過(high pass)フィルタおよび低域通過(low pass)フィルタの振幅周波数応答を有する実数値である。通常のフィルタは、n=2・・4(コーナー周波数20・・40Hz)の順のButterworth高域通過、および、n=2・・4(コーナー周波数80・・150Hz)の順のButterworth低域通過である。
図13は、広範囲EQフィルタFrのログ振幅応答を示す。図13は、その応答が音質を干渉し得るピークを有することを示す。この関連において、ブロック1108において、曲線Frにおけるピークは、以下の方法を介して取り除かれ得る。上に記載された平滑化の方法は、Frの平滑化バージョンである中間応答Frsを決定するために使用され得る。Frにおけるピークは実質的に、FrsとFrとの間の差異を計算し、その差異を修正することによって、「削り取り(shaved off)」得る。図14は、FrsとFrとの間の差異(10db分生じた)を表す上の曲線、および、修正された差異(10db分下げられた)を表す、下の曲線を示す。次いで、図15に示されるように、広範囲EQフィルタFrsfの最終周波数応答は、修正された差異から、図13において示された非平滑フィルタである元のフィルタFrを差し引くことによって得られ得る。図15において示される最終Frsfは、窪みと、数が減少したピークを示す。無用のピークは、窪みが元の応答において生じる周波数を増幅することを企て、サブウーハーからの相当な追加的音声出力を要求し、その結果、システムの最大音響信号を低減し、部屋の他の領域における大きなピークを潜在的に生み出してしまう。
図16は、図5におけるブロック510によって表されるように、広範囲EQ曲線上での最大ゲインを制限する方法をさらに詳述するフローチャート1600を示す。ブロック1602において、最終EQスペクトルFeqは、上に記載されたように、個々に広範囲、実数値振幅スペクトルFrsfを用いて、個々のEQフィルタの複素スペクトルFsを乗算することによって計算される。図17は、複素平滑化および広範囲EQの後に得られたEQフィルタを示す。図17は、実質的に、200Hzより上のゲインおよびおよそ20Hzより下のゲインが存在することを示す。これは、所望されるような最終のゲインを制限するのに十分ではない選択された目的関数のためであり得る。それゆえ、ブロック1604において、制限は、所定の低周波数および所定の高周波数を下回るゲインに与えられ得る。例えば、最大ゲイン上の制限は、複素値Feqを置き換えることによって適合され得るため、最大振幅は、その位相を変化させることなしに、「Maxgain」にクリップされる。Maxgainは、特定のサブウーハーの能力に依存する、ユーザによって定められた値である。好ましくは、Maxgainの異なる値は、異なる周波数帯域において適合され得る。その結果としてのフィルタは、最大ゲインが0dBを超過しないように、縮小され得る。図18は、上記で示されたように、Maxgainおよび0dBへの正常化を適合した後の、フィルタEQスペクトルを示す。EQスペクトルは、平均ゲインを最大化するために0dBへと正常化される。
ブロック1606において、最終EQフィルタ周波数応答は、反転FFTを利用することによって、時間領域へと変換され得、その結果、Finite Impulse Response(FIR)フィルタの係数となる。時間窓は、フィルタの長さを制限するためにその係数に適合され得る。図19は、得られたFIRフィルタ(フィルタFIR1)の一つのインパルス応答を示す。図20は、その結果としてのフィルタFIR1からFIR4の振幅応答を示す。上で検討されたように、図4は、得られたEQフィルタを適合した後に、四つの座席P1からP4での、その結果としての応答を示す。およそ40Hzと80Hzとの間のような目的周波数範内において、応答は、その周波数範囲内での実質的なイコライゼーションを提供するゆえに一貫し、フラットであることに注意したい。これは、P1からP4の位置の任意の一つに着席した個人が、実質的に、バスサウンドの類似した大きさのレベルを聴くことを意味する。つまり、サウンドレベルは、それぞれの個人が同じバスサウンドの音質を経験するように、部屋のリスニング領域内での異なる位置においても実質的には同じである。付け加えて、図4は、曲線が当該周波数範囲内で、実質的にフラットであることを示す。これは、所望される周波数範囲内のバスサウンドが、最小であるか、可能である場合、なくしてしまうために、バスサウンドがその所望される周波数範囲内で、実質的に一貫していることを意味する。
上で記載されたイコライゼーションシステムは、少なくとも一つのサブウーハ−を有し、異なる構成を有する様々な部屋に利用され得る。部屋は、ラウドスピーカが置かれる任意の空間のタイプを含み得る。その空間は、ドアが閉められた部屋または車内などのような十分に閉じられた境界、または、連結された廊下を有する部屋、開けっ放しの戸口または、開いた壁などのような部分的に閉じられた境界、あるいは、サンルーフの開いた車両、などを有し得る。付け加えて、部屋は、野外や、天上が閉じられている、または開いているスタジアムなどのような開かれた領域であり得る。空間における低周波数のパフォーマンスは、明細書および添付された請求項における部屋に関連して記載されるが、しかしながら、車内、レコーディングスタジオ、住居のリビング空間、コンサートホール、映画劇場、部分的に閉じられた空間などもまた含まれることは理解されよう。部屋の壁などの境界は、部分的にか十分に部屋を囲い込む間仕切りを含む。部屋の境界は、石膏、木材、コンクリート、ガラス、皮、繊維、プラスチックなどのような任意の素材から作られ得る。住居においては、部屋の境界は、しばしば、石膏、石造、または繊維から作られ得る。境界は、壁、カーテン、家具、備え付け家具などを含み得る。部屋の境界は、音を反射、拡散、および吸収する様々な性能を有する。部屋の境界の音声特徴は、音響信号に影響を与え得る。
ラウドスピーカは、様々な形およびサイズであり得る。例えば、ラウドスピーカは、変換器を覆う箱型の構成において同梱され得る。ラウドスピーカはまた、筐体の全てまたは部分として、壁または車両の一部を利用し得る。ラウドスピーカは、低周波から高周波までの音声周波数の全ての範囲を提供し得る。多くのラウドスピーカは、筐体の中の多数の変換器を有する。多数の変換器がラウドスピーカ筐体において利用される場合、個々の変換器が異なる周波数帯域において、さらに効果的に動作することは一般的である。ラウドスピーカまたはラウドスピーカの一部は、低周波数などのような、音声周波数の特定の範囲を提供するために最適化され得る。ラウドスピーカは、専用アンプ、ゲイン制御、イコライザーなどを含み得る。ラウドスピーカは、いくつかの、または追加的な構成要素を含む他の構成要素を有し得る。
低周波数を生成するように最適化される変換器を含むラウドスピーカ、またはラウドスピーカの一部は、通常、サブウーハーと呼ばれる。サブウーハーは、低周波数を生成することができる任意の変換器を含み得る。低周波数を生成することができるラウドスピーカは、明細書および添付された請求項においてサブウーハーという言葉によって参照され得るが、低周波数を生成することができ、通常の電気信号に応答することができる任意のラウドスピーカまたは任意のラウドスピーカの一部が含まれる。
マイクロフォンなどのような計測デバイスは、部屋の様々な部分における音響信号を計測するために、信号ブロック302などのような他の電気信号と通信し得る。異なるリスニング位置のための異なるラウドスピーカの位置からの、計測された音響信号出力は、外部ディスク上などにおいて格納され得る。外部ディスクは、コンピュータデバイスへ入力され得る。コンピュータデバイスは、他のコンピュータ環境であり得、計測デバイスに関連し、上で記載された要素の多くまたは全てを含み得る。コンピュータデバイスは、部屋だけでなく、異なる位置におけるインパルス応答を処理するために、部屋内に位置された、または、遠隔に位置された、音声/映像受信器に組み込まれ得る。
本発明の様々な実施形態が記載されている一方で、さらに多くの実施形態および実施は、本発明の範囲内において可能であることは、当業者にとって明らかである。従って、本発明は、添付された請求項およびそれらの均等物による以外に、限定されるものではない。
サブウーハーが部屋のそれぞれの隅にある長方形の部屋、および、P1からP4によって遮られるリスニング領域における、通常のサウンドシステムの設定を示す。 個々に、四つのマイクロフォンの位置P1、P2、P3、およびP4での期待し得る、計測されたインパルス応答に対応する、四つのスペクトルF1、F2、F3、およびF4を示す。 本発明に従ったイコライゼーションシステムを図示するブロック図を示す。 対応するサブウーハーへの入力信号が周波数応答をイコライズするようにフィルタされた後の部屋の、本発明にしたがった周波数応答を示す。 部屋の周波数応答をイコライズするためのフィルタデザイン手順の概観を有するフローチャートである。 図5における入力データステップを用意する、さらなる詳細を示すフローチャートである。 図5における周波数応答の反転を決定する、さらなる詳細を示すフローチャートである。 周波数応答の反転を表す曲線を示す。 F(2)の平滑化バージョンを表す、本発明に従った曲線Fs(2)を示す。 個々に、図8における曲線F(1)、F(2)、F(3)、およびF(4)の平滑化バージョンを表す四つの曲線Fs(1)、Fs(2)、Fs(3)、およびFs(4)を示す。 図5における広範囲イコライゼーションステップを決定する、さらなる詳細を示すフローチャートである。 図10において示された、個々に、曲線Fs(1)、Fs(2)、Fs(3)、およびFs(4)に従ったフィルタが適合された後、四つのマイクロフォン位置P1、P2、P3、およびP4での周波数応答を示す。 反転された広範囲イコライゼーションフィルタを示す。 図13において、10dBによって生じた、平滑化または非平滑された周波数応答との間の差異を表す、上の曲線、および、修正された差異(10dBによって下げられた)を表す、下の曲線を示す。 広範囲イコライゼーションフィルタの最終周波数応答を示す。 図5において示されたように、広範囲イコライゼーションフィルタにおける最大ゲインを制限するステップをさらに詳述するフローチャートを示す。 図10において示される曲線Fs(1)、Fs(2)、Fs(3)、およびFs(4)の複素平滑化、ならびに、図15において示される広範囲イコライゼーションフィルタを平滑化された曲線Fs(1)、Fs(2)、Fs(3)、およびFs(4)に適合した後の、サブウーハーのそれぞれのイコライゼーションフィルタを示す。 上で示されたように、Maxgainおよび0dBへの正常化を適合した後の、フィルタEQスペクトルを示す。 フィルタFIR1のために得られた、対応するイコライズされたインパルス応答を示す。 フィルタFIR1、FIR2、FIR3、およびFIR4のための振幅応答を示す。
符号の説明
300 イコライゼーションシステム(EQシステム)
302 信号ブロック
304 プロセッサブロック
306 音声入力信号
308 受信器

Claims (14)

  1. リスニング領域における周波数範囲内周波数応答を実質的にイコライズするように一つ以上のフィルタをデザインする方法であって、該方法は、
    少なくとも一つのマイクロフォンによってリスニング領域における周波数応答を計測すること(502)であって、該周波数応答は、少なくとも一つのサブウーハーに含まれる少なくとも一つの音響変換器によって生成される、ことと、
    該周波数応答を反転することにより、第1のステージのイコライゼーションフィルタスペクトルを決定すること(504)と、
    該第1のステージのイコライゼーションフィルタスペクトルを平滑化することにより、第2のステージの近似のイコライゼーションフィルタスペクトルを決定すること(506)と、
    該少なくとも一つのマイクロフォンの最大の実際の応答を計算すること(1102、1104)であって、該計算することは、該第2のステージの近似のイコライゼーションフィルタを該計測された周波数応答に適用することを含む、ことと、
    該第2のステージの近似のイコライゼーションフィルタスペクトルにおける極端なゲインを平滑化する広範囲イコライゼーションフィルタを決定すること(1106)であって、該広範囲イコライゼーションフィルタを決定することは、該計算された最大の実際の応答を反転することを含む、ことと、
    該広範囲イコライゼーションフィルタスペクトルにおけるピークの数を低減するために、該広範囲イコライゼーションフィルタと該第2のステージの近似のイコライゼーションフィルタとを結合することにより、最終イコライゼーションフィルタを決定すること(1602)と
    を含む、方法。
  2. 前記周波数応答を計測することは、
    前記リスニング領域内に位置された前記少なくとも一つのマイクロフォンを介して、前記少なくとも一つのサブウーハーに含まれる前記少なくとも一つの音響変換器によって生成された、前記リスニング領域のインパルス応答を受信すること(602)と、
    該リスニング領域における該インパルス応答から任意の共通する時間遅延を取り除くこと(604)と、
    該リスニング領域該インパルス応答該リスニング領域における該周波数応答に変換すること(606)と
    含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記最終イコライゼーションフィルタの振幅応答をクリップすることにより、所望される周波数帯域内にゲインを制限すること(1604)を含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記周波数応答を計測することは、
    前記リスニング領域内に位置された前記少なくとも一つのマイクロフォンを介して、前記少なくとも一つのサブウーハーに含まれる前記少なくとも一つの音響変換器によって生成された、前記リスニング領域のインパルス応答を受信すること(702)と、
    前記リスニング領域における前記少なくとも一つの音響変換器の数と同じ数の、部屋における少なくとも一つのマイクロフォンを使用することにより、前記インパルス応答を計測すること(706)と
    含む、請求項1から3のうちのいずれか一項に記載の方法。
  5. 複素平滑化方法を介して、前記周波数応答の反転がなされる(506)、請求項1から4のうちのいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記複素平滑化は、二つの異なる平滑化インデックス値を有する二つの別個の周波数帯域にてなされる(506)、請求項5に記載の方法。
  7. 前記少なくとも一つの前記音響変換器の数四つであり、前記少なくとも一つのマイクロフォンの数四つである(706)、請求項4に記載の方法。
  8. 前記周波数応答を計測することは、
    前記リスニング領域内に位置された前記少なくとも一つのマイクロフォンを介して、前記少なくとも一つのサブウーハーに含まれる前記少なくとも一つの音響変換器によって生成された、前記リスニング領域のインパルス応答を受信すること(702)
    含み、
    該インパルス応答を計測するために利用される少なくとも一つのマイクロフォンの数が、少なくとも一つの音響変換器の数と等しくない場合、該周波数応答の反転が、擬似反転法を介してなされる(708)、請求項1から7のうちのいずれか一項に記載の方法。
  9. 目的関数を前記周波数応答に適用することにより、前記リスニング領域における前記少なくとも一つの音響変換器のそれぞれが動作する周波数範囲を制限すること(1106)を含む、請求項1から8のうちのいずれか一項に記載の方法。
  10. 部屋内リスニング領域における周波数範囲内周波数応答を実質的にイコライズするように一つ以上のフィルタをデザインするシステムであって、
    該システムは、
    出力信号を生成する(502)少なくとも一つの音響変換器を含む少なくとも一つのサブウーハーと、
    該リスニング領域における周波数応答を計測する(502)少なくとも一つのマイクロフォンと、
    該音響変換器該マイクロフォンとに結合されたプロセッサ(302)と
    を含み、
    該プロセッサは、テスト信号を送信することにより、該音響変換器が、該出力信号を生成することと、該マイクロフォンを介して該部屋の音響応答を計測することとを可能にすることが可能であり、該プロセッサは、該音響変換器への該フィルタされた出力信号が、該部屋の該リスニング領域における周波数範囲内の実質的にフラットな周波数応答を生成するように、該計測された音響応答に基づいて、フィルタ係数を計算することが可能であり、
    該プロセッサは、
    該計測された音響応答を反転することにより、第1のステージのイコライゼーションフィルタスペクトルを決定すること(504)と、
    該第1のステージのイコライゼーションフィルタスペクトルを平滑化することにより、第2のステージの近似のイコライゼーションフィルタスペクトルを決定すること(506)と、
    該少なくとも一つのマイクロフォンの最大の実際の応答を計算すること(1102、1104)であって、該計算することは、該第2のステージの近似のイコライゼーションフィルタを該計測された周波数応答に適用することを含む、ことと、
    該第2のステージの近似のイコライゼーションフィルタスペクトルにおける極端なゲインを平滑化する広範囲イコライゼーションフィルタを決定すること(1106)であって、該広範囲イコライゼーションフィルタを決定することは、該計算された最大の実際の応答を反転することを含む、ことと、
    広範囲イコライゼーションフィルタスペクトルにおけるピークの数を低減するために、該広範囲イコライゼーションフィルタと該第2のステージの近似のイコライゼーションフィルタとを結合することにより、最終イコライゼーションフィルタを決定すること(1602)と
    を実行することによって、該フィルタ係数を計算する、システム。
  11. 前記部屋における前記少なくとも一つの音響変換器の数は、該部屋における前記少なくとも一つのマイクロフォンの数と等しい(706)、請求項10に記載のシステム。
  12. 前記部屋における前記少なくとも一つの音響変換器の数四つであり、該部屋における前記少なくとも一つのマイクロフォン四つである(706)、請求項10または11に記載のシステム。
  13. 前記プロセッサデジタル信号プロセッサである、請求項10から12のうちのいずれか一項に記載のシステム。
  14. 前記プロセッサは、前記フィルタ係数を計算するために命令を実行することが可能であり、
    該命令は、
    少なくとも一つのマイクロフォンによってリスニング領域における周波数応答を計測する(502)ための命令であって、該周波数応答は、少なくとも一つのサブウーハーに含まれる少なくとも一つの音響変換器によって生成される、命令と、
    前記周波数応答を反転することにより、第1のステージのイコライゼーションフィルタスペクトルを決定する(504)ための命令と、
    該第1のステージのイコライゼーションフィルタスペクトルを平滑化することにより、第2のステージの近似のイコライゼーションフィルタスペクトルを決定する(506)ための命令と、
    該少なくとも一つのマイクロフォンの最大の実際の応答を計算する(1102、1104)ための命令であって、該計算することは、該第2のステージの近似のイコライゼーションフィルタを該計測された周波数応答に適用することを含む、命令と、
    該第2のステージの近似のイコライゼーションフィルタスペクトルにおける極端なゲインを平滑化する広範囲イコライゼーションフィルタを決定する(1106)ための命令であって、該広範囲イコライゼーションフィルタを決定することは、該計算された最大の実際の応答を反転することを含む、命令と、
    広範囲イコライゼーションフィルタスペクトルにおけるピークの数を低減するために、該広範囲イコライゼーションフィルタと該第2のステージの近似のイコライゼーションフィルタとを結合することにより、最終イコライゼーションフィルタを決定する(1602)ための命令と
    を含む、請求項10から13のうちのいずれか一項に記載のシステム。
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