JP4401648B2 - 医療画像処理装置およびそのデータサーバシステム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、医療画像処理分野での大量の3次元ボクセルデータ(VOXEL:Volume Pixel。ここで言うボクセルとは、3次元において、2次元データにおけるピクセルに対応するものをいう。)から必要な領域のデータを転送するデータ転送技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在一般に利用されている3次元医療画像は、CT、MRIなどで撮影されて得られるものであり、他の画像処理の分野と違って膨大な量のデータが扱われている。例えば、512×512×1024のような画素数を扱っている。
しかも医師法などの法令でこれらの画像の長期保存(5年)が義務づけられている。これらのデータは通常、中央ホスト(データサーバ)が管理し、これらのデータを利用したいクライアントは従来手法1又は2を用いてその都度通信線等を介して膨大な量のデータの転送を受けている。
【0003】
図17は従来手法1に係る医療画像データの全データ転送方式のシステム構成図である。
図において、91はPC端末911を備えたクライアント側システム、92はデータサーバ側システムで、PC端末921と3次元ボクセルデータ922がある。93は電話線、通信専用回線、インターネット等のデータ伝送手段である。
データサーバ側システム92のボクセルデータ922には、例えば患者の頭部の全ボクセルデータが蓄積されているとする。
【0004】
以下、この従来手法1を簡略化して具体的に説明する。
図18は図17の3次元ボクセルデータ922の簡略化した1例で、横(x軸)・高さ(y軸)・奥行き(z軸)がそれぞれ6×6×6の大きさの216個から成るボクセルの立方体であるとし、各ボクセルにそれぞれボクセル値が入っているとする。ここでは簡単のために、一番手前の面(z=0)のボクセルの左上のボクセル(x=0、y=0)のアドレスを1とし、そこから右上(x軸方向)へ順に2,3,4,5,6と各ボクセルにアドレスを付す。次に、1つ下に移り左(y=1)から右上へ順に7,8,9,10,11,12と各ボクセルにアドレスを付す。手前右下のボクセル(x=5、y=5)はアドレス36となる。
そこで、今、クライアント側91が視たいとしている患者の頭部の所定の角度のスライス画像は、図18の3次元ボクセルデータを面aで切断した断層画像であるとする。
そこで、従来手法1によれば、まず、クライアント側PC端末911からデータサーバシステムPC端末921に対し、頭部に対するボクセル216個の全データの転送を要求する。サーバは全データ(図18)をクライアント側に転送する。クライアント側は転送された全データ(図18)から面aの通るボクセルアドレスが3,9,10,16,22,28,34,35の各列(z=0〜5)だけを選び出し、画像表示を行う。
このように、従来手法1はボクセル3,9,10,16,22,28,34,35の各列だけしか必要でないにもかかわらず、ボクセル216個の全データをデータサーバから取得するので、表示するまでに多大の時間がかかるとともに、転送されたが使用されなかった無駄なデータがたくさんでてしまう。
特に、MPR(多断面再構成)画像1枚だけが必要な場合などは、転送された殆どのデータが無駄となってしまう欠点があった。
【0005】
次に、クライアント側91が、図18の3次元ボクセルデータ922を面bで切断した断層画像が視たいとすると、従来手法1ではデータの蓄積手段を持たないので、上記の方法を繰り返す。すなわち、クライアント側PC端末911はデータサーバシステムPC端末921から全データを転送してもらい、面bの通るボクセル4,10,16,22,28,34の各列を選び出し、画像表示を行うこととなる。
以上のように、従来手法1は、全データの転送を受けるために多大の時間がかかるとともに、その割にデータの無駄がたくさん出る欠点があった。
【0006】
次に、従来手法2について簡単に説明する。
従来手法2はスライス画像要求方式を採るものであり、そのシステム構成図は基本的に図17と同じであるので、システム構成についての説明は省略する。
クライアント側が患者の頭部の所定の角度のスライス画像を視たいときは、クライアント側PC端末からデータサーバに対し、スライス画像を要求し、平面の傾き、切片などの情報を指定する。
そうするとデータサーバ側PC端末921は指定された情報に基づきデータサーバ上で必要なボクセルデータに対して処理をし、処理結果である断層画像データをクライアント側に転送する。
クライアント側は画像処理を行う必要はなく転送された断層画像データを表示する。
【0007】
以下、この従来手法2を図18のボクセルを用いて具体的に説明する。
従来手法2によれば、クライアント側PC端末911からデータサーバシステムPC端末921に対し、面aの断層画像データを転送するよう要求する。サーバは全データから面aの通るボクセルを選び出し、最終的にボクセル3,9,10,16,22,28,34,35の各列(z=0〜5)だけのボクセルから断層画像を生成し、クライアント側に転送する。クライアント側は転送された断層画像データを表示すればよい。
このように、従来手法2によれば、従来手法1のように全データを転送する必要がないので、表示するまでの時間が短くなるとともに、無駄な転送を行わない。
【0008】
次に、クライアント側91が、図18の3次元ボクセルデータを面bで切断した断層画像が視たいとすると、従来手法2ではデータの蓄積手段を持たないので、上記の方法と同じくクライアント側PC端末911はデータサーバシステムPC端末921から面bの断層画像データを要求し、最終的にボクセル4,10,16,22,28,34の各列のボクセルのデータから断層画像が生成され、データサーバから転送されて、表示することとなる。
このように、データサーバ上で必要なボクセルデータに対して処理をし、処理結果に基づいて画像を転送していた。クライアント側は処理結果としての画像を表示するだけで、ボクセルデータに対する処理は行わないでよい。
従来手法2によれば、従来手法1のような全データを転送する必要がないので、表示するまでの時間が短くなるとともに、無駄な転送を行わない。
このように従来手法2はデータの一部を転送するものであり、3次元データからMPR画像を取得する場合、異なるスライス位置の画像を得る場合は毎回スライス画像を転送要求する必要があった。
従来手法2の欠点は、従来手法1と比べると大幅に転送時間が短縮されるものの、スライス画像を構成する3次元ボクセルデータに重複するものがある場合には、やはりデータ転送に無駄が多く出ることである。すなわち、実質的には同じボクセルを何度も送ってしまうことになる。
図18の例で言えば、面aの場合のボクセルデータと面bの場合のボクセルデータとを比べると、ボクセル10,16,22,28,34の各列が重複していることが解る。
【0009】
さらに、従来手法3は、データ転送単位として、(1)2軸に平行な平面単位(XY平面、YZ平面、ZX平面)や、(2)直方体ブロックを用いるものもあるが、これも転送されたデータをクライアント側で蓄積していないので、従来手法2で言えたことがここにも当てはまる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、従来手法1および2の欠点を解決するもので、データ転送に時間がかかるのを改善し、通信線等を使っても所望の医療画像が速く表示できるようにするデータ転送技術を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1記載の医療画像処理装置の発明は、データ処理手段と、ボクセルデータの転送をデータサーバ側に要求するボクセルデータ転送要求手段と、データサーバ側からのボクセルデータを受信するボクセルデータ受信手段と、該データ処理手段の処理結果を表示する画像表示手段とを備えて成る医療画像処理装置において、前記ボクセルデータ受信手段が受信したボクセルデータをボクセル毎に蓄積するボクセルデータ蓄積手段と、前記ボクセルデータ蓄積手段のボクセルにデータが蓄積されているか未蓄積かを記憶する蓄積履歴多次元マスクデータ蓄積手段と、前記データ処理手段が、所望の画像表示に必要な各ボクセルを特定し、特定された各ボクセルに画像データが蓄積されているかどうかを前記蓄積履歴多次元マスクデータ蓄積手段に照会し、該蓄積履歴多次元マスクデータ蓄積手段の照会結果である未記憶のボクセル特定情報を前記ボクセルデータ転送要求手段に送り、 該ボクセルデータ転送要求手段が、前記データ処理手段から送られた照会結果である未蓄積ボクセル特定情報をデータサーバ側に送信することを特徴とする。
【0012】
このように、クライアント側は受信したデータを蓄積しておき、再度のデータ転送においては蓄積されていない必要最小限のデータのみを転送要求すればよいので、膨大な無駄なデータを受信する時間が省けることとなり、通信線等を使っても所望の医療画像を速く表示できるようになる。
【0013】
請求項2記載のデータサーバシステムの発明は、データ処理手段と、クライアント側から送信された未蓄積ボクセル特定情報を受信する未蓄積ボクセル特定情報受信手段と、クライアント側へボクセルデータを転送するボクセルデータ転送手段と、を備えて成るデータサーバシステムにおいて、前記データ処理手段が、前記未蓄積ボクセル特定情報受信手段の受信した未蓄積ボクセル特定情報に基づいてボクセルデータを前記ボクセルデータ転送手段に送り、該ボクセルデータ転送手段が、前記データ処理手段から送られたボクセルデータをクライアント側に送信することを特徴とする。
【0014】
このように、データサーバ側は未蓄積ボクセル特定情報受信手段の受信した未蓄積ボクセル特定情報に基づいたボクセルデータのみを送信すればよいので、クライアント側の所望の医療画像を速く表示させることができるようになる。
【0015】
請求項3記載の医療画像処理装置の発明は、データ処理手段と、ボクセルデータの転送をデータサーバ側に要求するボクセルデータ転送要求手段と、データサーバ側からのボクセルデータを受信するボクセルデータ受信手段と、該データ処理手段の処理結果を表示する画像表示手段とを備えて成る医療画像処理装置において、前記ボクセルデータ受信手段が受信したボクセルデータをボクセル毎に蓄積するボクセルデータ蓄積手段と、前記ボクセルデータ蓄積手段のボクセルにデータが蓄積されているか未蓄積かを記憶する蓄積履歴多次元マスクデータ蓄積手段と、前記データ処理手段が、所望の画像表示に必要な幾何学情報を算出し、該幾何学情報算出手段の算出した該幾何学情報を前記ボクセルデータ転送要求手段に送り、該ボクセルデータ転送要求手段が、前記データ処理手段から送られた幾何学情報をデータサーバ側に送信することを特徴とする。
【0016】
このように、クライアント側は所望の画像表示に必要な幾何学情報だけを指定するだけで、データサーバ側がクライアント側のボクセルデータ受信手段のデータと重複のないデータのみを転送してくるので、無駄なデータを受信する時間が省けることとなり、通信線等を使っても所望の医療画像を速く表示できるようになる。
【0017】
請求項4記載のデータサーバシステムの発明は、データ処理手段と、クライアント側から送信された幾何学情報を受信する幾何学情報受信手段と、クライアント側へボクセルデータを転送するボクセルデータ転送手段と、を備えて成るデータサーバシステムにおいて、前記ボクセルデータ転送手段がボクセルデータの転送済みであるか未転送であるかを各ボクセル毎に記憶する送信履歴多次元マスクデータ蓄積手段を備え、前記データ処理手段が、前記幾何学情報受信手段の受信した幾何学情報に基づいて表示に必要なボクセルを特定し、特定されたボクセルのボクセルデータが転送済みであるか未転送であるかを前記ボクセルデータ転送履歴記憶手段へ照会し、該ボクセルデータ転送履歴記憶手段の照会結果である未転送ボクセルのボクセルデータを前記ボクセルデータ転送手段に送り、該ボクセルデータ転送手段が、前記データ処理手段から送られたボクセルデータをクライアント側に送信することを特徴とする。
【0018】
このように、データサーバ側はクライアント側から幾何学情報だけでクライアント側のボクセルデータ受信手段のデータと重複のないデータのみを転送するので、無駄なデータを送信する時間が省ける。
【0019】
請求項5記載の発明は、請求項1または3記載の医療画像処理装置において、前記蓄積履歴多次元マスクデータ蓄積手段の代わりに、前記ボクセルデータ蓄積手段のボクセルをボクセルデータ値の有効範囲外の数値で初期化する有効範囲外数値初期化蓄積手段を有し、前記データ処理手段が、各ボクセルに画像データが蓄積されているかどうかを前記有効範囲外数値初期化蓄積手段で初期化された数値を基に照会することを特徴とする。
【0020】
請求項6記載のプログラムの発明は、所望の画像表示の入力があったとき該所望の画像表示に必要な各ボクセルを特定する各ボクセル特定ステップと、特定された各ボクセルに画像データが蓄積されているかどうかを照会する照会ステップと、該照会ステップの結果の未記憶ボクセル特定情報をデータサーバ側に送信する送信ステップと、前記データサーバから受信したボクセルデータをボクセル毎に蓄積するステップと、該ボクセルデータ蓄積手段のボクセルにデータが蓄積されたことを記憶する蓄積履歴ステップとを実行させることを特徴とする。
【0021】
請求項7記載のプログラムの発明は、幾何学情報の受信があったとき該幾何学情報に基づいて表示に必要な各ボクセルを特定する特定ステップと、特定されたボクセルのボクセルデータがクライアント側へ転送済みであるかを照会する照会ステップと、該照会ステップの結果未転送ボクセルのボクセルデータをクライアント側に送信する送信ステップと、送信された各ボクセルを記憶する送信履歴ステップとを実行させることを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態に係る医療画像データの転送方式のシステム構成図である。
図において、11はクライアント側システムで、PC端末111とボクセルデータ蓄積手段112と蓄積履歴3次元マスクデータ蓄積手段113とを備えている。
12はデータサーバ側システムで、PC端末121とボクセルデータ122がある。13は電話線、通信専用回線、インターネット等のデータ伝送手段である。
データサーバ側システム12の各要素は図17のそれと同じであるので、説明は省略する。
【0023】
ボクセルデータ蓄積手段112および蓄積履歴3次元マスクデータ蓄積手段113は初期の段階ではデータが空であり、ボクセルデータ蓄積手段112のあるボクセルに画像データが入るとそのボクセルに画像データが入った旨のデータ(例えば1)が蓄積履歴3次元マスクデータ蓄積手段113の対応ボクセルに記憶される。
このようにしてボクセルデータ蓄積手段112のあるボクセルに画像データが入る毎にそのボクセルに画像データが入った旨の履歴データが蓄積履歴3次元マスクデータ蓄積手段113の対応ボクセルにも記憶されてゆく。
そして、例えば、ボクセルデータ蓄積手段112の全てのボクセルに画像データが入ると、蓄積履歴3次元マスクデータ蓄積手段113の全てのボクセルにも1が記憶されていることとなる。蓄積履歴3次元マスクデータ蓄積手段113のあるボクセルが0ということは、ボクセルデータ蓄積手段112の対応ボクセルに画像データが未だ記憶されていないことを意味する。
【0024】
次に、本発明の第1の実施の形態に係る医療画像データの転送システムの動作について説明する。
図1のシステムの使用開始時(すなわち、初期状態)は、データサーバ側システム12のボクセルデータ122には図18で示すボクセルデータ922と同じく、患者の頭部の全ボクセルデータがすでに蓄積されている。
一方、クライアント側システム11は、図2で示すようにボクセルデータ蓄積手段112はまだ空(ボクセルデータが空(未蓄積)の状態をここではボクセルにアドレス番号が付してない状態で表すこととする。)であり、したがってまた蓄積履歴3次元マスクデータ蓄積手段113も空(ここでは「0」表示のボクセルはボクセルデータ蓄積手段112の対応するボクセルにデータが未蓄積の状態を表し、「1」表示のボクセルは蓄積状態を表すものとする。)である。
【0025】
そこで、クライアント側が患者の頭部の所定角の面a(図18)のスライス画像を視たいときは、クライアントPC端末は面aのスライス画像を視るのに必要なボクセルを特定する。図18の3次元ボクセルデータ922を例にとれば、面aのスライス画像を視るのに必要なボクセルは、ボクセルのアドレス番号で言えば、3,9,10,16,22,28,34,35の8個、およびこれらを各列の先頭とする後続列の各ボクセルであることが特定される。次に、ボクセルデータ蓄積手段112のこれらの特定された各ボクセルにボクセルデータが記憶されているかを図2の蓄積履歴3次元マスクデータ蓄積手段113で調べ、未蓄積ボクセルのボクセル情報をサーバ側に送信する。サーバ側は受信したボクセル情報を用いて要求されたボクセルについてのボクセルデータをクライアント側に転送する。クライアント側は転送されたデータを使って、面aで切断した断層画像を作成し、表示する。これと同時に、転送されたボクセルデータをボクセルデータ蓄積手段112に蓄積し、かつボクセルデータ蓄積手段のボクセルにデータが蓄積されたことを蓄積履歴3次元マスクデータ蓄積手段113に記憶する。
図3は、図2の状態から、ボクセルデータ蓄積手段112に蓄積され(アドレス番号の付してあるボクセルが蓄積済み。)、蓄積履歴3次元マスクデータ蓄積手段113に記憶された状態(番号1の付してあるボクセル。)を示している。
【0026】
次に、クライアント側11が、図18の3次元ボクセルデータを面bで切断した断層画像が視たいとすると、前回の面aのときと同じように、まずクライアントPC端末は面bの通るボクセルを特定し、これらの特定された各ボクセルにボクセルデータが記憶されているかを図2の蓄積履歴3次元マスクデータ蓄積手段113で調べ、未蓄積ボクセルのボクセル情報をサーバ側に送信する。
先の例で続ければ、面bの通るボクセルは全ボクセルの内、4,10,16,22,28,34の各列であると特定し、次に図3の蓄積履歴3次元マスクデータ蓄積手段113からこれら4,10,16,22,28,34の各列の内、未蓄積のボクセルがあるか調べ、その結果、アドレス4のボクセル列(4、40、76、112、148、184)だけであることが解り、クライアント側111はデータサーバ側へ未記憶のボクセル特定情報(アドレス4の列の各ボクセル)を知らせる。
【0027】
サーバはアドレス4の列の各ボクセルのボクセルデータをクライアント側に転送する。クライアント側は転送されたデータとボクセルデータ蓄積手段112(図3)内のデータを使って面bで切断した断層画像を作成し、表示する。これと同時に、アドレス4の列の各ボクセルのデータをボクセルデータ蓄積手段112の対応ボクセルにボクセルデータを蓄積し、同時に蓄積履歴3次元マスクデータ蓄積手段113の対応ボクセルにも1を記憶する。
図4は、図3の状態から、ボクセルデータ蓄積手段112のアドレス4のボクセル列(4、40、76、112、148、184)にデータが蓄積され、同時にこの旨を知らせるべく蓄積履歴3次元マスクデータ蓄積手段113に新しく1が記憶された状態を示している。
【0028】
なお、上記説明では、ボクセルデータ蓄積手段112と蓄積履歴3次元マスクデータ蓄積手段113とを別体の記憶手段として説明してきたが、別体の記憶手段でなければならないものではなく、記憶手段としては1個のものを用いて、記憶エリアを別にすれば記憶手段は1個であっても何ら差し支えない。
【0029】
同じように、データ処理手段とボクセルデータ転送要求手段とボクセルデータ受信手段とは別体の手段として説明してきたが、実際はPC端末111が兼ねている。
【0030】
このように、第1の実施の形態に係る手法によれば、従来手法1のような全ボクセルデータの転送や、従来手法2のような表示面の該当する全ボクセルのデータの転送を要求しなくてすむので、表示するまでの時間が短くなるとともに、無駄な転送を行わなくなる。
【0031】
上記の特定されたボクセルを表すためのボクセル特定情報の表示の仕方には、2通りあり、どちらを用いても良い。1つはボクセルのXYZ座標を用いる方法、もう1つはアドレスを用いる方法である。
1)XYZ座標法:
{a,b,c}(a,b,cは正の整数)というようにカッコの中にX軸、Y軸、Z軸の順に座標点の数字を付す方法である。
【0032】
例えば、図18で面aのスライス画像の場合のボクセル特定情報をXYZ座標法で示すと、表1のようになる。
【表1】
【0033】
また、図18で面bのスライス画像の場合のボクセル特定情報をXYZ座標法で示すと、表2のようになる。
【表2】
【0034】
従来手法2によると、面aのスライス画像の場合、ボクセルは48個、面bのスライス画像の場合、ボクセルは36個、を転送要求することになるが、第1の実施の形態によると、面aのスライス画像の場合、ボクセルは48個、面bのスライス画像の場合、面aのスライス画像との重なるボクセルを除去すると、未蓄積ボクセルはたったの6個({3,0,0}、{3,0,1}、{3,0,2}、{3,0,3}、{3,0,4}、{3,0,5})となることが解る。
【0035】
2)アドレス指定法:
ボクセルのアドレスを用いて指定する方法である。
例えば、図18で面aのスライス画像の場合のボクセル特定情報をアドレス指定法で示すと、表3のようになる。
【表3】
【0036】
また、図18で面bのスライス画像の場合のボクセル特定情報をアドレス指定法で示すと、表4のようになる。
【表4】
【0037】
従来手法2によると、面aのスライス画像の場合、ボクセルは48個、面bのスライス画像の場合、ボクセルは36個、を転送要求することになるが、第1の実施の形態によると、面aのスライス画像の場合、ボクセルは48個、面bのスライス画像の場合、面aのスライス画像との重なるボクセルを除去すると、未蓄積ボクセルはアドレス4の列のたった6個(4,40,76,112,148,184)となることが解る。
【0038】
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態によれば、クライアント側でデータ転送の履歴をボクセルごとに保存しておき、既に転送済みのボクセルデータは再度転送要求しないで、必要なボクセルデータだけを転送要求するようになるので、データ転送に無駄がなくなる。
また、本発明の第1の実施の形態によれば、データサーバ側からクライアント側にボクセルデータを転送する場合、座標情報を付加しなくても良いので便利である。なぜなら、受信するクライアント側では、送られてきたボクセルデータがどのボクセルのものなのかその順序が既知であるからである。
また、データ転送単位はボクセル単位で行われ、データ転送に無駄がなくなる。
【0039】
ここで第1の実施の形態に係る手法のデータ転送量と従来例2のデータ転送量とがどれくらいになるのかについて、(1)まず、面aの表示の場合、(2)次に、面bの表示の場合、(3)続いて、面bの拡大表示の場合についてそれぞれ検討してみる。
従来例2では
(1)の場合、実質8ボクセル列であり、
(2)の場合、実質6ボクセル列であり、
(3)の場合、実質6ボクセルであったのが、
第1の実施の形態に係る手法によれば、
(1)の場合は8ボクセル列で従来例2とデータ転送量は変わらないが、
(2)の場合は6ボクセル列中5ボクセル列は蓄積済であるので、1ボクセル列だけでよい。
更に(3)の場合は、6ボクセル列は蓄積済であるので、0ボクセルとなる。
このように、第1の実施の形態によれば、従来例1はもちろんのこと、従来例2と比べてもデータ転送量が使い込むごとに少なくなっていく傾向にある。なお、上で実質とあるのは、従来例2では実際に転送しているのは処理後のスライス画像であるためである。
【0040】
図5及び図6は、以上説明した本発明の第1の実施の形態に係るシステムのフローを含む画像表示全体のフローチャートである。
図5及び図6において紙面の左欄がクライアント側、紙面の右欄がサーバ側のフローである。
まず、このフローがスタートすると、クライアント側は、脳、心臓、肺、胃などの表示したい3次元ボクセルデータ(元データ)を選択して(S11)、サーバ側へ知らせる。サーバ側はそれに基づいて元データのロード又は参照カウンタの増加をする(S31)。元データをロードすることで、データ転送の準備をする。
また、参照カウンタの増加は複数クライアントが同じ元データを選択している場合に対応できる。
クライアント側は、元データに対応する蓄積用データとマスクデータを生成し、初期化する(メモリの確保)(S12)。
次に、 クライアント側は、画像表示ループを開始し(S13)、まず表示画像の決定を行ない(S14)、その表示に必要なボクセルを算出(特定)する(S15)。
特定されたボクセルの中で未蓄積データのボクセルをマスクデータ(蓄積履歴3次元マスクデータ蓄積手段)から、算出(特定)する(S16)。
未蓄積データのボクセルがあるかどうか調べ(S17)、なければ画像表示の処理を行い(S20)、未蓄積データのボクセルがあれば、その未蓄積データのボクセルのデータを要求すべく、データサーバ側へ未蓄積データボクセルのアドレスや座標(ボクセル特定情報)を知らせる(S18)。
データサーバは要求のあったボクセル特定情報に対応するボクセルのデータを元データから抽出し、クライアントへ転送する(S32)。
クライアントは転送されたデータを蓄積用データ(ボクセルデータ蓄積手段)に蓄積し、蓄積されたボクセルをマスクデータに記録して、マスクデータを更新する(S19)。
転送されたデータと既存のデータとを用いて画像表示する(S20)。
選択している元データの表示が必要でなくなった場合、この画像表示ループを終了する(S21)。
蓄積用データとマスクデータを消去し(メモリから開放)、サーバ側に知らせる(S22)。
サーバ側はそれに基づいて元データのアンロード又は参照カウンタの減少をする。参照カウンタの減少で、カウンタが0になった場合、元データをアンロードし(S33)、終了する。
【0041】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る医療画像データの転送システムの動作について説明する。
図7は本発明の第2の実施の形態に係る医療画像データの転送方式のシステム構成図である。
図において、61はクライアント側システムで、図1と同じくPC端末611とボクセルデータ蓄積手段612と蓄積履歴3次元マスクデータ蓄積手段613とを備えている。62はデータサーバ側システムで、PC端末621とボクセルデータ622と送信履歴3次元マスクデータ蓄積手段623とがある。63は電話線、通信専用回線、インターネット等のデータ伝送手段である。
第2の実施の形態が第1の実施の形態と異なるのは、データサーバ側システム62に送信履歴3次元マスクデータ蓄積手段623が設けられた点である。
【0042】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る医療画像データの転送システムの動作について説明する。
図7のシステムの使用開始時、すなわち初期状態は、データサーバ側システム62のボクセルデータ622には、図8のボクセルデータ622のように患者の頭部の全ボクセルデータが蓄積されており、送信履歴3次元マスクデータ623は空(すべて0)であるとする。また、クライアント側61のボクセルデータ蓄積手段612とマスクデータ蓄積手段613も共に空であるとする。
【0043】
そこで、クライアント側61が、図18の3次元ボクセルデータを面aで切断した断層画像が視たいとき、クライアント側PC端末からデータサーバに対し、そのスライス画像の面の傾き、切片などの情報(以後、幾何学情報と言う。)を指定する。
例えば、図18の3次元ボクセルデータの切断面は一般式(1)で表わされる。 ax+by+cz+d=0 ・・・(1)
切断面aの式に該当するa,b,c,dが幾何学情報であり、クライアント側はこの数値だけをデータサーバに示せばよい。
【0044】
データサーバは指定された幾何学情報から、平面を求め、これに該当するボクセルを特定し、特定されたボクセルのデータが送信履歴3次元マスクデータ623の中にないかを調べる。
今の場合、すべて未送信であるから、面aのスライス画像に必要なボクセルは48個(アドレス指定で表現すれば、3,9,10,16,22,28,34,35、39,45,46,52,58,64,70,71、75,81,82,88,94,100,106,107、111,117,118,124,130,136,142,143、147,153,154,160,166,172,178,179、183,189,190,196,202,208,214,215)である。
データサーバはこれら48個の各ボクセルのデータをクライアント側に転送すると共に、転送したデータの属するボクセルに対応して送信履歴3次元マスクデータ623の対応ボクセルに1を記憶する。
【0045】
一方、クライアント側は転送されたデータを使って画像表示すると共に、転送されたデータをボクセルデータ蓄積手段612の対応ボクセルに画像データを蓄積し、蓄積履歴3次元マスクデータ蓄積手段613の対応ボクセルに1を記憶する(図3の蓄積履歴3次元マスクデータ113を参照)。
【0046】
第1の実施の形態では、クライアント側がスライス画像の面の傾きを考慮した画像生成の計算処理を行って、必要なボクセルを特定し、未記憶のボクセル特定情報をデータサーバ側に送っていたが、この第2の実施の形態ではこのようにクライアント側は単に幾何学情報をデータサーバ側に送り、データサーバ側がスライス画像の面の傾きを考慮した画像生成の計算処理を行って、必要なボクセルを特定する点で異なる。
【0047】
次に、クライアント側61が、図18の3次元ボクセルデータを面bで切断した断層画像が視たいとすると、クライアント側はまずボクセルデータ蓄積手段612に面bの画像に必要なデータがそろっているかどうかを蓄積履歴3次元マスクデータ蓄積手段613に照会し、必要なデータが欠けていればデータサーバに対しそのスライス画像の面bの幾何学情報a,b,c,dを指定する。
データサーバは指定された幾何学情報に該当するボクセルを特定し、特定されたボクセルのデータが送信履歴3次元マスクデータ623の中にないかを調べる。
今の場合、送信履歴3次元マスクデータ623には、面aのスライス画像に必要だったボクセルのデータを転送しているので(図9の送信履歴3次元マスクデータ623を参照)ので、面bのスライス画像の場合、面aのスライス画像との重なるボクセルを除去して、未蓄積ボクセルはアドレス4の列のたった6個(4,40,76,112,148,184)となることが解る。
そこでこれらの未転送のデータのみクライアント側に転送すると共に、転送したデータの属するボクセルに対応して送信履歴3次元マスクデータ623の対応ボクセルに1を記憶する(図10の送信履歴3次元マスクデータ623を参照)。
【0048】
一方、クライアント側は転送されたデータと手元の蓄積データを使って画像表示すると共に、転送されたデータをボクセルデータ蓄積手段112の対応ボクセルに画像データを蓄積し、蓄積履歴3次元マスクデータ蓄積手段113の対応ボクセルに1を記憶する(図4の蓄積履歴3次元マスクデータ113を参照)。
【0049】
なお、幾何学情報の指定の仕方は、面の一般式の他に、次のような一般式が考えられる。これらは用途に応じて使い分ければよい。
(a)平面(MPR画像):傾き、切片
ax+by+cz+d=0のパラメータ(a,b,c,d)
(b)球:半径、中心座標
(x−x1)2+(y−y1)2+(z−z1)2=d2の(x1,y1,z1),d
(c)直方体
(d)楕円体、円錐、角錐、楕円錐(内部含む、又は含まない)等。
(d)折れ線平面(CPR画像)
【0050】
従来手法2によると、面aのスライス画像の場合、ボクセルは48個、面bのスライス画像の場合、ボクセルは36個、を転送要求していたが、第2の実施の形態によると、面aのスライス画像の場合、ボクセルは48個、面bのスライス画像の場合、面aのスライス画像との重なるボクセルを除去すると、未蓄積ボクセルはアドレス4の列のたった6個(4,40,76,112,148,184)となることが解る。
【0051】
以上説明したように、本発明の第2の実施の形態によれば、データサーバ側にデータ送信履歴をボクセルごとに保存しておき、既に送信済みのボクセルデータはデータサーバ側は再度送信しないので、必要なボクセルデータだけを送信するようになり、データ転送に無駄がなくなる。
【0052】
図11及び図12は、以上説明した本発明の第2の実施の形態に係るシステムのフローを含む画像表示全体のフローチャートである。
図11及び図12において、紙面の左欄がクライアント側、紙面の右欄がサーバ側のフローである。
まず、このフローがスタートすると、クライアント側は、脳、心臓、肺、胃などの表示したい3次元ボクセルデータ(元データ)を選択して、サーバ側へ知らせる(S11)。
サーバ側はそれに基づいて元データのロード又は参照カウンタの増加をする。元データをロードすることで、データ転送の準備をする(S31)。
また、参照カウンタの増加は複数クライアントが同じ元データを選択している場合に対応できる。
サーバ側は、送信履歴データを生成し、初期化する。クライアントが複数の場合は、クライアント毎に送信履歴データを生成する(S32)。
クライアント側は、元データに対応する蓄積用データとマスクデータを生成し、初期化する(S12)。
次に、 クライアント側は、画像表示ループを開始し(S13)、まず表示画像の決定を行ない(S14)、その表示に必要なボクセルを算出(特定)する(S15)。
特定されたボクセルの中で未蓄積データのボクセルをマスクデータ(蓄積履歴3次元マスクデータ蓄積手段)から、算出(特定)する(S16)。
未蓄積データのボクセルがあるかどうか調べ(S17)、なければ画像表示の処理を行い(S20)、未蓄積データのボクセルがあれば、その未蓄積データのボクセルのデータを要求すべく、データサーバ側へ幾何学情報を知らせる(S18)。
データサーバは要求のあった幾何学情報に対応するボクセルを算出(特定)し(S33)、特定されたボクセルの中で未蓄積データのボクセルを送信履歴データから算出する(S34)。算出されたボクセルに対応するボクセルのデータを元データから抽出し、クライアントへ転送し、送信履歴データを更新する(S35)。
クライアントは転送されたデータを蓄積用データ(ボクセルデータ蓄積手段)に蓄積し、蓄積されたボクセルをマスクデータに記録して、マスクデータを更新する(S19)。
転送されたデータと既存のデータとを用いて画像表示する(S20)。
選択している元データの表示が必要でなくなった場合、この画像表示ループを終了する(S21)。
蓄積用データとマスクデータを消去し(メモリから開放)、サーバ側に知らせる(S22)。
サーバ側はそれに基づいて送信履歴データを消去し(S36)、元データのアンロード又は参照カウンタの減少をする。参照カウンタの減少で、カウンタが0になった場合、元データをアンロードし(S37)、終了する。
【0053】
前述のように、第1の実施の形態では、クライアント側が必要なボクセルを特定し、未記憶のボクセル特定情報をデータサーバ側に送っていたのに対して、第2の実施の形態ではクライアント側は単に幾何学情報をデータサーバ側に送り、データサーバ側が必要なボクセルを特定していた。
したがって、第1の実施の形態の長所は、(1)少数のボクセルでも簡単に指定できること。(2)確認回数が少なくて済むこと。(3)要求したデータがどのボクセルのものなのかわかっているので、データ送信にエラーがあった場合にその回だけ破棄すればよく、次回から転送が続行できるため、エラーに強いことである。
また、第2の実施の形態の長所は、(1)データ個数が膨大になっても、指定が簡単に行えることである。
【0054】
以上は、すべて3次元データについて説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、3次元データ(XYZ軸の空間軸)に時間軸を加えた4次元データ(XYZT軸、空間−時間軸)に適用することも可能である。
図13は3次元画像データを時間方向に並べたもので、心臓解析の例を示している。心臓解析の場合、心臓が解析できれば周囲のボクセルデータは必要ない。4次元データの場合、データ容量が3次元の場合と比べて非常に大きいため、無駄なデータ転送を省くことができれば、データ送受信にかかる時間を大幅に短縮することができる。
【0055】
図13(a)は元データから心臓周辺のデータを直方体で指定し、取得したものである。図は例えば拍動する心臓を画像表示するもので、(1)は収縮時(t=t0 )、(2)は経過時(t=t1 )、(3)は拡張時(t=t2 )をそれぞれ表している。このように直方体で心臓を指定すると、図から解るように、ハート状の心臓を直方体で囲うため、画像表示に寄与しない無駄な部分が多く出る。
【0056】
心臓解析をするには、全ての時系列における心臓を観察することができれば良いので、例えば全ての時系列における心臓部分の中で拡張時の最大の心臓を包むように楕円体を設定することができれば、直方体と比べてさらに無駄を減らすことができる。図13(b)のハッチングはこのようにして最大拡張時の心臓を包むように指定した楕円体を示している。
そうすれば、図13(c)のように、時間の経過と共に心臓が拍動しても、(1)の収縮時(t=t0 )、(2)の経過時(t=t1 )、(3)の拡張時(t=t2 )のすべてを直方体と比べて無駄なく蓄積することができる。
このように画像表示する対象の形状を考慮してそれに近い形状体を選択すれば、データサーバ側からデータを無駄を少なくして得ることができ、しかも本発明に従って4次元ボクセルデータ蓄積手段に蓄積し、かつその旨を蓄積履歴4次元マスクデータ蓄積手段に記憶させることにより、データ転送に時間がかからなくでき、通信線等を使っても所望の医療画像が速く表示できるようになる。
【0057】
以上の各実施の形態では、クライアント側のボクセルデータ蓄積手段とマスクデータ蓄積手段とが別体であるように説明してきたが、上述のように本発明はこれに限定されるものではなく、1つのボクセルデータ蓄積手段の中に、メモリ領域を異ならせてマスクデータ蓄積手段の記憶内容を蓄積してもよい旨の説明をしてきた。
ところがさらに、第3の実施の形態として、クライアント側のボクセルデータ蓄積手段にマスクデータ蓄積手段の機能を追加することで、1つのデータオブジェクトとしてまとめることも可能である。
例えば、CTから得られるボクセルデータの値の有効範囲は
CT値が「−1024」〜「+3071」(10進数)である。
現状のボクセルデータは、1ボクセルが16bit(−32768〜+32767)のデータ容量を持っている(ただし、4bit冗長)。
そこで、ボクセル値の有効範囲外の値、例えば、
「+32767」でボクセルデータ蓄積手段を初期化しておくとする。本来は数値「0」が分かり易いが、「0」はCT値の有効範囲内なので初期値としては不適格であり、ここでは使用しない。そして、その後、転送を受けたボクセルのボクセル値を蓄積していく。
例えば、あるボクセルに転送されたCT値が「+111」であれば、この値「+111」がそのボクセルに蓄積される。また、あるボクセルに転送されたCT値が「+233」であれば、この値「+233」がそのボクセルに蓄積される。このように転送を受けたボクセルにその転送されたCT値が蓄積されていくと、蓄積していないボクセルのボクセル値は、依然として初期値「+32767の」ままである。したがって、ボクセルデータ蓄積手段をスキャンし、ボクセル値が「+32767」のボクセルは有効範囲(「−1024」〜「+3071」)外の値であるので、そのボクセルは未蓄積であると判断することができる。
【0058】
図14〜図16は第3の実施の形態を示すものである。
図14において111はクライアント側PC端末、112’は第3の実施の形態に係るボクセルデータ蓄積手段を示している。図14はボクセルデータ蓄積手段112’が初期化された状態を表しており、ここでは全てのボクセルがボクセル値の有効範囲外の値(例えば「+32767」)が蓄積されている。
そこで、第1の実施の形態のときと同じ例で、クライアント側が患者の頭部の所定角の面a(図18)のスライス画像を視たいときは、クライアントPC端末は面aのスライス画像を視るのに必要なボクセルを特定し、特定された各ボクセルに「+32767」)が蓄積されているかを図14のボクセルデータ蓄積手段112’で調べる。
今の場合、初期化後であるから、特定された各ボクセルすべて「+32767」であり、未蓄積ボクセルのボクセル情報をサーバ側に送信する。サーバ側は受信したボクセル情報を用いて要求されたボクセルについてのボクセルデータをクライアント側に転送する。クライアント側は転送されたデータを使って、面aで切断した断層画像を作成し、表示する。これと同時に、転送されたボクセルデータをボクセルデータ蓄積手段112’に蓄積する。図15はこの段階終了時のボクセルデータ蓄積手段の蓄積状態を示している。転送されたデータが蓄積されたボクセルには、有効範囲(「−1024」〜「+3071」)内の任意のボクセル値をここでは記載してある。図3のボクセルデータ蓄積手段112に蓄積されたボクセルのアドレス番号で言えば、3,9,10,16,22,28,34,35の8個各ボクセルにボクセルデータ値(上記アドレス順に、+111、+233、+290、+511、+610、+691、+890、+1020)がそれぞれ蓄積されているのが解る。
また、これらのボクセルを各列の先頭とする後続列の各ボクセルにもボクセルデータ値(例えば、アドレス番号3のボクセルを先頭とする後続列の各ボクセルにはボクセルデータ値、+178、+212、+269、+315、+361)がそれぞれ蓄積されているのが解る。
【0059】
次に、クライアント側11が、図18の3次元ボクセルデータを面bで切断した断層画像が視たいとすると、前回の面aのときと同じように、まずクライアントPC端末は面bの通るボクセルを特定し、これらの特定された各ボクセルにボクセルデータが記憶されているかを図15のボクセルデータ蓄積手段112’で調べる。先の例で続ければ、面bの通るボクセルは全ボクセルの内、アドレス番号4,10,16,22,28,34の各ボクセルおよびその後続列であると特定し、次に、図15のボクセルデータ蓄積手段112’の中のこれらの特定された各ボクセルについて「+32767」であるものだけを選び出し、その結果、アドレス4の各ボクセル列(アドレス番号4、40、76、112、148、184の各ボクセル)だけであることが解り、クライアント側11はデータサーバ側へ未記憶のボクセル特定情報を知らせる。
【0060】
サーバはアドレス4の列の各ボクセルのボクセルデータをクライアント側に転送する。クライアント側は転送されたデータとボクセルデータ蓄積手段112’内のデータを使って面bで切断した断層画像を作成し、表示する。これと同時に、アドレス4の列の各ボクセルのデータをボクセルデータ蓄積手段112’の対応ボクセルにボクセルデータを蓄積する。図16はこの段階終了時のボクセルデータ蓄積手段の蓄積状態を示している。今回、転送されたデータが蓄積されたボクセルには、有効範囲(「−1024」〜「+3071」)内の任意のボクセル値が新たに記載してある。(例えば、アドレス番号4のボクセルを先頭とする後続列の各ボクセルにはボクセルデータ値、+190、+235、+271、+350、+371)がそれぞれ蓄積されているのが解る。
【0061】
このように、第3の実施の形態に係る手法によれば、従来手法1のような全ボクセルデータの転送や、従来手法2のような表示面の該当する全ボクセルのデータの転送を要求しなくてすみ、また第1及び第2の実施の形態のようなマスクデータ蓄積のためのメモリ領域を確保しなくても、各ボクセルについてボクセル値が転送されたか否かを認識することができるので、メモリ資源の節約となる。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態によれば、データ処理手段と、ボクセルデータの転送をデータサーバ側に要求するボクセルデータ転送要求手段と、データサーバ側からのボクセルデータを受信するボクセルデータ受信手段と、該データ処理手段の処理結果を表示する画像表示手段とを備えて成る医療画像処理装置において、前記ボクセルデータ受信手段が受信したボクセルデータをボクセル毎に蓄積するボクセルデータ蓄積手段と、前記ボクセルデータ蓄積手段のボクセルにデータが蓄積されているか未蓄積かを記憶する蓄積履歴3次元マスクデータ蓄積手段と、前記データ処理手段が、所望の画像表示に必要な各ボクセルを特定し、特定された各ボクセルに画像データが蓄積されているかどうかを前記蓄積履歴3次元マスクデータ蓄積手段に照会し、該蓄積履歴3次元マスクデータ蓄積手段の照会結果である未記憶のボクセル特定情報を前記ボクセルデータ転送要求手段に送り、該ボクセルデータ転送要求手段が、前記データ処理手段から送られた照会結果である未蓄積ボクセル特定情報をデータサーバ側に送信するので、クライアント側は受信したデータを蓄積しておき、再度のデータ転送においては蓄積されていない必要最小限のデータのみを転送要求すればよくなり、したがって膨大な無駄なデータを受信する時間が省けることとなり、通信線等を使っても所望の医療画像を速く表示できるようになる。
【0063】
また、本発明の第2の実施の形態によれば、データ処理手段と、クライアント側から送信された幾何学情報を受信する幾何学情報受信手段と、クライアント側へボクセルデータを転送するボクセルデータ転送手段と、を備えて成るデータサーバシステムにおいて、前記ボクセルデータ転送手段がボクセルデータの転送済みであるか未転送であるかを各ボクセル毎に記憶する送信履歴3次元マスクデータ蓄積手段を備え、前記データ処理手段が、前記幾何学情報受信手段の受信した幾何学情報に基づいて表示に必要なボクセルを特定し、特定されたボクセルのボクセルデータが転送済みであるか未転送であるかを前記ボクセルデータ転送履歴記憶手段へ照会し、該ボクセルデータ転送履歴記憶手段の照会結果である未転送ボクセルのボクセルデータを前記ボクセルデータ転送手段に送り、該ボクセルデータ転送手段が、前記データ処理手段から送られたボクセルデータをクライアント側に送信するので、データサーバ側はクライアント側からの幾何学情報だけでクライアント側のボクセルデータ受信手段のデータと重複のないデータのみを転送するため、無駄なデータを受信する時間が省けることとなり、通信線等を使っても所望の医療画像を速く表示できるようになる。
【0064】
また、第3の実施の形態によれば、第1および第2の実施の形態における蓄積履歴多次元マスクデータ蓄積手段の代わりに、ボクセルデータ蓄積手段のボクセルをボクセルデータ値の有効範囲外の数値で初期化する有効範囲外数値初期化蓄積手段を有し、データ処理手段が、各ボクセルに画像データが蓄積されているかどうかをこの有効範囲外数値初期化蓄積手段で初期化された数値を基に照会するようにすることで、従来手法1のような全ボクセルデータの転送や、従来手法2のような表示面の該当する全ボクセルのデータの転送を要求しなくてすむことはもちろん、さらに第1及び第2の実施の形態のようなマスクデータ蓄積のためのメモリ領域を確保しなくても、各ボクセルについてボクセル値が転送されたか否かを認識することができるので、メモリ資源の節約ともなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る医療画像データの転送方式のシステム構成図である。
【図2】初期状態のクライアント側システムのボクセルデータ蓄積手段と蓄積履歴3次元マスクデータ蓄積手段の未蓄積の状態を示している。
【図3】図2の状態から、ボクセルデータ蓄積手段にデータが蓄積され、蓄積履歴3次元マスクデータ蓄積手段にその旨記憶された状態を示している。
【図4】図3の状態から、ボクセルデータ蓄積手段にさらにデータが蓄積され、蓄積履歴3次元マスクデータ蓄積手段にその旨記憶された状態を示している。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係るシステムのフローを含む画像表示全体のフローチャートの前半である。
【図6】図5のフローチャートの後半である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る医療画像データの転送方式のシステム構成図である。
【図8】初期状態のデータサーバ側のボクセルデータと送信履歴3次元マスクデータ蓄積手段の未蓄積の状態を示している。
【図9】図8の状態から、送信がなされたボクセルが送信履歴3次元マスクデータ蓄積手段に記憶された状態を示している。
【図10】図9の状態から、ボクセルデータがさらに送信され、送信履歴3次元マスクデータ蓄積手段にその旨記憶された状態を示している。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係るシステムのフローを含む画像表示全体のフローチャートの前半である。
【図12】図11のフローチャートの後半である。
【図13】時間方向に蓄積したイメージ(T軸)のもので、心臓解析の例を示している。
【図14】第3の実施の形態を示すもので、初期状態のクライアント側ボクセルデータ蓄積手段を示している。
【図15】図14の状態から、ボクセルデータ蓄積手段にデータが蓄積された状態を示している。
【図16】図15の状態から、ボクセルデータ蓄積手段にさらにデータが蓄積された状態を示している。
【図17】従来手法1に係る医療画像データの全データ転送方式のシステム構成図である。
【図18】図17の3次元ボクセルデータ922の簡略化した1例としての6×6×6のボクセルの立方体を示している。
【符号の説明】
11 クライアント側システム
111 クライアント側PC端末
112、112’ ボクセルデータ蓄積手段
113 蓄積履歴3次元マスクデータ蓄積手段
12 データサーバ側システム
121 データサーバ側PC端末
122 ボクセルデータ
123 送信履歴3次元マスクデータ蓄積手段
13 データ伝送手段
61 クライアント側システム
62 データサーバ側システム
63 データ伝送手段
Claims (6)
- データ処理手段と、ボクセルデータの転送をデータサーバ側に要求するボクセルデータ転送要求手段と、データサーバ側からのボクセルデータを受信するボクセルデータ受信手段と、該データ処理手段の処理結果を表示する画像表示手段とを備えて成る医療画像処理装置において、
前記ボクセルデータ受信手段が受信したボクセルデータをボクセル毎に蓄積するボクセルデータ蓄積手段と、
前記ボクセルデータ蓄積手段のボクセルにデータが蓄積されているか未蓄積かを、前記ボクセルデータ蓄積手段の各ボクセルと1対1に対応する対応ボクセルに記憶する蓄積履歴多次元マスクデータ蓄積手段と、
前記データ処理手段が、所望の画像表示に必要な各ボクセルを特定し、特定された各ボクセルに画像データが蓄積されているかどうかを前記蓄積履歴多次元マスクデータ蓄積手段に照会し、該蓄積履歴多次元マスクデータ蓄積手段の照会結果である未記憶のボクセル特定情報を前記ボクセルデータ転送要求手段に送り、該ボクセルデータ転送要求手段が、前記データ処理手段から送られた照会結果である未蓄積ボクセル特定情報をデータサーバ側に送信することを特徴とする医療画像処理装置。 - データ処理手段と、ボクセルデータの転送をデータサーバ側に要求するボクセルデータ転送要求手段と、データサーバ側からのボクセルデータを受信するボクセルデータ受信手段と、該データ処理手段の処理結果を表示する画像表示手段とを備えて成る医療画像処理装置において、
前記ボクセルデータ受信手段が受信したボクセルデータをボクセル毎に蓄積するボクセルデータ蓄積手段と、
前記ボクセルデータ蓄積手段のボクセルにデータが蓄積されているか未蓄積かを、前記ボクセルデータ蓄積手段の各ボクセルと1対1に対応する対応ボクセルに記憶する蓄積履歴多次元マスクデータ蓄積手段と、
前記データ処理手段が、所望の画像表示に必要な幾何学情報を算出し、該幾何学情報算出手段の算出した該幾何学情報を前記ボクセルデータ転送要求手段に送り、
該ボクセルデータ転送要求手段が、前記データ処理手段から送られた幾何学情報をデータサーバ側に送信することを特徴とする医療画像処理装置。 - データ処理手段と、クライアント側から送信された幾何学情報を受信する幾何学情報受信手段と、クライアント側へボクセルデータを転送するボクセルデータ転送手段と、を備えて成るデータサーバシステムにおいて、
前記ボクセルデータ転送手段がボクセルデータの転送済みであるか未転送であるかを各ボクセル毎に、前記ボクセルデータ蓄積手段の各ボクセルと1対1に対応する対応ボクセルに記憶する送信履歴多次元マスクデータ蓄積手段を備え、
前記データ処理手段が、前記幾何学情報受信手段の受信した幾何学情報に基づいて表示に必要なボクセルを特定し、特定されたボクセルのボクセルデータが転送済みであるか未転送であるかを前記ボクセルデータ転送履歴記憶手段へ照会し、該ボクセルデータ転送履歴記憶手段の照会結果である未転送ボクセルのボクセルデータを前記ボクセルデータ転送手段に送り、
該ボクセルデータ転送手段が、前記データ処理手段から送られたボクセルデータをクライアント側に送信することを特徴とするデータサーバシステム。 - 前記蓄積履歴多次元マスクデータ蓄積手段の代わりに、前記ボクセルデータ蓄積手段のボクセルをボクセルデータ値の有効範囲外の数値で初期化する有効範囲外数値初期化蓄積手段を有し、
前記データ処理手段が、各ボクセルに画像データが蓄積されているかどうかを前記有効範囲外数値初期化蓄積手段で初期化された数値を基に照会することを特徴とする請求項1または2記載の医療画像処理装置。 - 所望の画像表示の入力があったとき該所望の画像表示に必要な各ボクセルを特定する各ボクセル特定ステップと、特定された各ボクセルに画像データが蓄積されているかどうかを照会する照会ステップと、該照会ステップの結果の未記憶ボクセル特定情報をデータサーバ側に送信する送信ステップと、前記データサーバから、前記未記憶ボクセル特定情報に基づき転送されたボクセルデータをボクセル毎に蓄積するステップと、該ボクセルデータ蓄積手段のボクセルにデータが蓄積されたことを、前記ボクセルデータ蓄積手段の各ボクセルと1対1に対応する対応ボクセルに記憶する蓄積履歴ステップとを実行させることを特徴とするプログラム。
- 幾何学情報の受信があったとき該幾何学情報に基づいて表示に必要な各ボクセルを特定する特定ステップと、特定されたボクセルのボクセルデータがクライアント側へ転送済みであるかを照会する照会ステップと、該照会ステップの結果、未転送ボクセルのボクセルデータをクライアント側に転送する転送ステップと、転送された各ボクセルと1対1に対応する対応ボクセルに、前記未転送のボクセルの前記ボクセルデータをクライアント側に転送された旨を示す情報を記憶する送信履歴ステップとを実行させることを特徴とするプログラム。
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