JP4398693B2 - 温度変換により相状態が変化する二相溶液の多数プロセス反応方法及びこれを実施する装置 - Google Patents

温度変換により相状態が変化する二相溶液の多数プロセス反応方法及びこれを実施する装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4398693B2
JP4398693B2 JP2003349016A JP2003349016A JP4398693B2 JP 4398693 B2 JP4398693 B2 JP 4398693B2 JP 2003349016 A JP2003349016 A JP 2003349016A JP 2003349016 A JP2003349016 A JP 2003349016A JP 4398693 B2 JP4398693 B2 JP 4398693B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
reaction
reaction vessel
phase
solution
cooling
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003349016A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005111367A (ja
Inventor
一裕 千葉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Science and Technology Agency
National Institute of Japan Science and Technology Agency
Original Assignee
Japan Science and Technology Agency
National Institute of Japan Science and Technology Agency
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority to JP2003349016A priority Critical patent/JP4398693B2/ja
Application filed by Japan Science and Technology Agency, National Institute of Japan Science and Technology Agency filed Critical Japan Science and Technology Agency
Priority to PCT/JP2004/015096 priority patent/WO2005035111A1/ja
Priority to CNB2004800291181A priority patent/CN100423827C/zh
Priority to EP04792336A priority patent/EP1681092A4/en
Priority to US10/574,851 priority patent/US20070161713A1/en
Publication of JP2005111367A publication Critical patent/JP2005111367A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4398693B2 publication Critical patent/JP4398693B2/ja
Priority to US13/233,279 priority patent/US8865475B2/en
Priority to US14/458,620 priority patent/US20140350286A1/en
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Physical Or Chemical Processes And Apparatus (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Description

本発明は、操作性と再現性が飛躍的に優れる温度変換により相状態が変化する二相溶液の多数プロセス反応方法及びこれを実施する装置に関するものである。
化学プロセスにおいて、一連の混合および分離操作を簡便に行うことができれば、一連の作業効率を飛躍的に向上することができる。これまでにパーフルオロアルキル基を有する溶媒と一般的な有機溶媒との組合せにより構成される溶媒混合物は、温度の変化により相溶・相分離を起こすことが知られている(I. T. Horvath, J. Rabai, Science, 1994, 266, 72 J.A.Gladysz, Science, 1994, 266, 55)。
特開平15−62448号公報には、相溶・相分離を起こす溶媒混合物として、シクロアルカンおよび極性溶媒の組合せが例示されている。このような溶液相溶分離現象は、僅かな温度変化で相溶、相分離を繰り返すことができるため、ミクロ、マクロスケールからプラントレベルにいたる広範な化学プロセスへの応用が可能である。最近はコンビナトリアルケミストリー、あるいはハイスループットプロセス法を卓上装置で行う多数プロセス同時進行法が多くの試験研究機関で広く用いられている。
溶媒混合物が相溶・相分離を起こす原理の概略図を図4に示す。図4(A)は、単一有機溶媒又は混合有機溶媒に分離している状態を示す。例えば一の溶媒として反応原料を溶解するものを用い、他の溶媒として触媒、反応補助剤を溶解するものを用いる。(B)は、温度条件を均一相溶混合溶媒系の状態にして反応を進行させる工程である。(C)は、前記温度条件から、可逆的に溶媒システムを構成する溶媒を主成分とする各溶媒相に分離し、生成物を溶解する相と触媒、反応補助剤を溶解させた相に分離した分離溶媒系の状態を示す。そして、生成物を溶解する相(生成物溶液)を分離して取り出し、所望の用途に供すると共に、反応補助剤を溶解させた相(触媒反応補助剤溶液)を再利用に供する((D))。
このような溶媒システムが相溶・相分離を起こす原理を利用した自動合成方法の一例を、図3を参照して説明する。すなわち、試薬などの原料を分注器12を用いて反応容器11内に注入し、二相溶液を得る(I)。次いで、反応容器11を加温し二相溶液を均一溶液にして反応を開始する(II)。所定の反応時間経過後、冷却を開始する(III)。反応容器11中の溶液は所定の温度以下となると自然に分離する(IV)。次いで、反応容器11中の生成物相を抽出器17で抽出し(V)、該生成物溶液16を活性検定である動物実験に供したり、分析に供したりする(VI)。多数プロセス同時進行法は、例えば図3に示すような一つの反応系を数十から百以上、同一装置、同一反応条件下で行うものである。
I. T. Horvath, J. Rabai, Science, 1994, 266, 72 J.A.Gladysz, Science, 1994, 266, 55 特開平15−62448号公報(請求項1)
しかしながら、卓上装置において数十から百以上の容器の温度を個別に管理することは構造上非常に煩雑になる。このため、通常数十から百以上の容器を全て同時に加温等ができるブロックヒーター内蔵の装置が用いられている。この場合、分注操作を各試料について順次自動的に行った後、すべての容器の温度を同時に加温していた。また、均一溶液とし反応を終了した後は、すべての容器の温度を同時に冷却していた。このような方法では、分注操作開始から加温までの所要時間は容器毎に異なる。分注後、反応開始までは二相状態であり、原理的には反応は起こらないものの、実際には二相状態であっても、界面部分の接触がある以上、僅かながら反応は起こっている。このように従来の方法では容器毎にプロセス条件がすべて異なり、同一条件で行うことは不可能であった。これは、化学プロセスにおける再現性の点で多くの問題となっていた。
従って、本発明の目的は、1つのプロセス装置で多数の試料について、同一条件で化学プロセスを実施でき、操作性と再現性が飛躍的に優れる温度変換により相状態が変化する二相溶液の多数プロセス反応方法及びこれを実施する装置を提供することにある。
かかる実情において、本発明者らは鋭意検討を行った結果、温度により相溶化、相分離を可逆的に繰り返す溶媒混合物において、相分離は温度を下げることにより自然に起こる一方で、相溶化は一定の物理的刺激を与えない限り温度を上げても起こらないこと、従って反応させるため一旦加温した容器を冷却することなく、容器内の均一溶液を冷却し二相溶液を得た後、該加温状態にある容器内に存在させても、二相溶液を維持したままであること、このような溶媒特性を利用した多数プロセス同時進行法において、多数の反応容器を同時に加温状態とした後、分注、攪拌、反応及び分離の各工程は、各試料毎の操作開始時期に時間差はあったとしても各試料間においてそれぞれ同一時間とすれば、各試料は全て同一条件とすることができ、飛躍的な操作性と再現性を達成できること等を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、多数の試料を同一反応条件で反応させる方法であって、当該試料は一定の温度を境に二相溶液状態及び均一溶液状態の相状態を可逆的に変化させる溶液を反応溶媒とするものであり、(A)多数の反応容器を同時に加温し、該反応容器を所定温度に維持する容器常時加温工程、(B)加温反応容器中に試料を分注し、二相溶液を所定温度にする試料加温工程、(C)所定温度に加温された試料を攪拌し、均一溶液を得て所定時間保持する反応工程、(D)所定時間経過後、反応容器を冷却することなく均一溶液を冷却し、該反応容器内に二相溶液を得る冷却工程、の各工程で順次処理されると共に、分注開始から攪拌開始までの時間(t)、攪拌開始から冷却開始までの時間(t)が、各試料間において同一となるように連続操作されることを特徴とする温度変換により相状態が変化する二相溶液の多数プロセス方法を提供するものである。
また、本発明は、多数の反応容器を同時に加温し、反応容器温度を所定温度に維持する加温手段と、反応容器に試料を分注する分注手段と、反応容器内の試料を攪拌する攪拌手段と、反応容器を冷却することなく該反応容器内の均一溶液を冷却し、該反応容器内に二相溶液を得る冷却手段と、当該分注手段による分注操作、当該攪拌手段による攪拌操作及び当該冷却手段による冷却操作におけるそれぞれの操作開始時期と操作停止時期を制御する制御手段と、を備える温度変換により相状態が変化する二相溶液の多数プロセス反応装置を提供するものである。
1つのプロセス装置で多数の試料について、同一条件で化学プロセスを実施できる。装置構成及び作業工程が簡便であり、自動運転による生産性、再現性に優れる。
本発明は、例えば数十から百数十のような多数の試料を同一反応条件で反応させる多数プロセス同時進行法に係る方法である。このような多数プロセス同時進行法としては、例えばコンビナトリアルケミストリー、あるいはハイスループットプロセス法を卓上装置で行う方法が挙げられる。
当該試料は一定の温度を境に二相溶液状態及び均一溶液状態の相状態を可逆的に変化させる溶液(以下、「溶媒混合物」とも言う。)を反応溶媒とするものである。当該溶媒混合物としては、特に制限されないが、例えば低極性有機溶媒と高極性有機溶媒の溶媒混合物が挙げられる。低極性有機溶媒としては、例えばアルカン、シクロアルカン、アルケン、アルキン、芳香族化合物などが挙げられる。このうち、シクロアルカン化合物が好ましく、特にシクロヘキサンは、融点が6.5℃と比較的高く、反応後の生成物等を固化して分離できる点で好ましい。
高極性有機溶媒としては、例えばニトロアルカン、ニトリル、アルコール、ハロゲン化アルキル、エーテル、ウレア、アミド化合物及びスルフォキサイドが挙げられ、これらは一種単独又は二種以上を組み合わせて用いることができる。前記試料は、当該溶媒混合物の他、溶質、触媒、基質及び反応補助剤等、種々の反応に関与する物質を含有する。
次に、本発明の反応方法を図1を参照して説明する。図1は一つの試料における各反応工程を説明するためのものであって、装置部分や他の多数の反応容器などは省略されている。反応容器11は全試料において同一形状であり、分注量、加温条件及び冷却条件も同一である。図1に示すように、各試料は、(A)多数(N個)の反応容器11を同時に加温し、該反応容器11を所定温度に維持する容器常時加温工程(不図示)、(B)加温反応容器中に試料を分注し、二相溶液を所定温度にする試料加温工程(図1(a))、(C)所定温度に加温された試料を攪拌し、均一溶液を得て所定時間保持する反応工程(図1(b)、(c))、(D)反応工程終了後、反応容器を冷却することなく均一溶液を冷却し、該反応容器内に二相溶液を得る冷却工程(図1(d)〜(f))、の各工程で順次処理される。
(A)の容器常時加温工程は、例えばブロックヒーターを内蔵すると共に、反応容器の一部又は全部を埋没できる容器収納部を多数(N個)備えた卓上装置において、容器収納部に設置された反応容器を所定温度(t)に維持する工程である。所定温度(t)としては、特に制限されず、室温から反応温度に至るいずれの温度であってもよいが、反応温度にしておけば、それ以後の反応工程全てを当該温度に維持すればよく、温度設定及び温度制御操作が容易となる。(A)工程後、N個の反応容器全てが所定の温度(t)に保たれる。
(B)の試料加温工程は、加温反応容器中に試料を分注し、二相溶液のまま所定温度(t)にする工程である。加温反応容器中に試料を分注する方法としては、公知の分注器12を用いて分注する方法を用いることができる。所定温度(t)は、二相溶液の反応温度である。従って、(A)工程の所定温度(t)が反応温度であれば、所定温度(t)と所定温度(t)は同一温度である。
(C)の工程において、所定温度(t)に加温された試料を攪拌する方法としては、特に制限されず、例えば先端部分に攪拌羽根を備えた攪拌棒の攪拌による機械的攪拌方法、試料中に窒素ガスを吹き込み気泡を導入するバブリング方法、試料容器又は試料に振動を与える振動攪拌方法などが挙げられる。このうち、図1(b)に示すような攪拌棒13の攪拌による機械的攪拌方法が、簡易な装置でしかも攪拌効率が高い点で好ましい。本発明で用いる溶媒混合物は、所定温度(t)に加温されただけでは均一溶液とはならず、一定の物理的刺激を与えることで相溶化がおきる。従って、(C)工程における攪拌条件は、均一溶液が得られる条件で適宜選択される。また、均一溶液を保持する所定時間は、反応時間であり使用する溶媒や反応の種類、反応の目的などにより適宜決定される。本発明で用いる溶媒混合物において、相分離は温度を下げることにより自然に起こるため、当該均一溶液は、当該所定時間中、当該相分離が生じる温度以上に保持される。
(D)の冷却工程において、反応容器を冷却することなく均一溶液を冷却する方法としては、特に制限されないが、冷却装置を備えた注射器で該反応容器内の均一溶液を吸引し、該注射器内で冷却する方法、該反応容器の温度よりも低温の固体を該反応容器内の均一溶液に挿入する方法、又は低沸点化合物を直接、該反応容器内の均一溶液に混合する方法が挙げられる。「反応容器を冷却することなく」とは、反応容器を冷却することで、反応容器内の試料を冷却することを除外する意味であり、反応容器内の試料を冷却することに伴って反応容器が冷却されることは許容される。
前記注射器内で冷却する方法としては、図1(d)に示すように冷却装置14を備えた注射器15で反応容器11内の均一溶液を吸引する方法が挙げられる。冷却装置14としては、例えば注射器15のシリンダー周りに形成されたジャケット(不図示)に水を通水する装置を用いることができる。また、反応容器内の均一溶液に混合する低沸点化合物としては、例えば沸点が25℃のn−ヘプタンが挙げられる。低沸点化合物は反応容器内の均一溶液と直接接触して、該溶液から気化熱を奪い冷却する。上記方法により冷却された均一溶液は、所定の温度以下になると自然に二相に分離する(図1(e))。
(D)の冷却工程においては、冷却後、該反応容器内に二相溶液を得る。冷却方法が、低温の固体を使用する方法又は低沸点化合物を使用する方法の場合、反応容器内において相分離するため、特段の操作を採ることなくそのままでよい。一方、注射器内で冷却する方法の場合、注射器15内で得られた二相溶液は該反応容器11内に戻される。(D)の冷却工程における冷却方法としては、冷却装置を備えた注射器で該反応容器内の均一溶液を吸引し、該注射器内で冷却する方法が好ましい。すなわち、低温の固体や低沸点化合物を用いるような反応容器内での冷却の場合、加温状態にある反応容器も冷却することになり、冷却効率が悪くなる。更に、反応容器が冷却されるため、生成物溶液を抽出した後、残部の溶媒を再使用する際、再度の加温が必要となり、反応コストが嵩む。これに対して、注射器内で冷却する方法では、反応溶液のみを冷却すればよいため、冷却効率が高い。しかも、加温状態にある反応容器内に戻された、該二相分離溶液は例え加温されたとしても物理的刺激は与えられないため、二相に分離した状態を維持できる。このため、生成物溶液を抽出した後、残部の溶媒を再使用する際、反応容器を再度加温する必要がなくなり、反応コストを抑制することができる。反応容器が百数十もの多数ある装置においては、反応容器の温度を冷却することなく、そのままの温度を保持し、再使用することによるエネルギー消費抑制効果は多大なものがある。
本発明において、分注開始から攪拌開始までの時間(t)、攪拌開始から冷却開始までの時間(t)が、各試料間において同一となるように連続操作される。当該連続操作としては、特に制限されず、例えば1〜N個の試料について、前記(B)工程を行い、次いで1〜N個の試料について、前記(C)工程を行い、最後に1〜N個の試料について、前記(D)工程を行う工程毎連続操作方法方法、及び多数(N個)の試料中、一の試料について、前記(B)〜(D)の工程を行い、次いで二の試料について、前記(B)〜(D)の工程を行い、これを順次繰り返し、最後にN番目の試料について、前記(B)〜(D)の工程を行う試料毎連続操作方法などが挙げられる。また、多数(N個)の試料を分割し、分割された区画毎に上記連続操作を実施してもよい。分割された区画毎に連続操作を実施する場合においても、所要時間t、及びtが、各試料間において同一となるようにする。
次に、工程毎連続操作方法を図2(A)を参照して説明する。図2(A)は1番目の試料(N=1)と最後の試料(N=n)の時間経過と反応工程の関係を示したものである。また、図2(B)は従来法における1番目の試料(N=1)と最後の試料(N=n)の時間経過と反応工程の関係を示したものである。なお、図2は反応容器の記載は省略し、横長の四角形内に反応容器内の試料状態の変化を濃淡で示した。
図2(A)において、多数の反応容器は容器常時加温工程により、常時反応温度に加温された状態にある。先ず分注器12を用いて1番目の試料(N=1)を1番目の反応容器に分注する(図2中、符号s)。各試料について順次同様の操作を行った後、分注器12を用いて最後の試料(N=n)を最後の反応容器に分注する(図2中、符号f)。次いで分注後、t101時間経過し、反応温度に達している1番目の試料を攪拌して(矢印101)均一溶液を得、静置して反応工程に入る。各試料について順次同様の操作を行った後、分注後、t201時間経過し、反応温度に達している最後の試料を攪拌して(矢印201)均一溶液を得、静置して反応工程に入る。次いで、t102時間経過した1番目の試料を冷却装置を備える注射器13で吸引し、注射器13内で冷却する。次いでt103時間で冷却を完了して、二相分離した溶液を元の反応容器内に戻す。各試料について順次同様の操作を行った後、t202時間経過した最後の試料を冷却装置を備える注射器13で吸引し、注射器13内で冷却する。次いでt203時間で冷却を完了して、二相分離した溶液を元の反応容器内に戻す。図2(A)に示す操作は、分注開始から攪拌開始までの時間、攪拌開始から冷却開始までの時間、及び冷却時間は各試料間で同一となるように行われる。すなわち、各試料間でs〜t101=・・・=f〜t201であり、t101〜t102=・・・=t201〜t202であり、t102〜t103=・・・=t202〜t203である。図2(A)の方法によれば、最終生成物である反応生成物溶液を含む2相分離溶液を元の加温された反応容器内に得ることができるため、1つのプロセス装置で多数の試料について、同一条件で化学プロセスを実施できる。
一方、従来法である図2(B)において、反応容器は冷却下にある。先ず分注器12を用いて1番目の試料(N=1)を反応容器に分注し(図2(B)中、符号s)、各試料について順次同様の操作を行った後、最後の試料(N=n)を反応容器に分注して(図2(B)中、符号f)、全試料の分注操作を完了した後、反応容器を同時に加温する。そして、1番目の試料を攪拌(矢印301)し、各試料について順次同様の操作を行った後、最後の試料を攪拌(矢印401)し、所定の時間経過後、各反応容器を同時に冷却して、各反応容器に二相分離した溶液をそれぞれ得る。このような方法では、容器毎にプロセス条件がすべて異なり、同一反応条件で行うことはできない。
また、本発明の温度変換により相状態が変化する二相溶液の多数プロセス反応装置は、多数の反応容器を同時に加温し、反応容器温度を所定温度に維持する加温手段と、反応容器に試料を分注する分注手段と、反応容器内の試料を攪拌する攪拌手段と、反応容器を冷却することなく該反応容器内の均一溶液を冷却し、該反応容器内に二相溶液を得る冷却手段と、当該分注手段による分注操作、当該攪拌手段による攪拌操作及び当該冷却手段による冷却操作におけるそれぞれの操作開始時期と操作停止時期を制御する制御手段と、を備える。
多数の反応容器を同時に加温し、反応容器温度を所定温度に維持する加温手段は、例えばブロックヒーターを内蔵すると共に、反応容器の一部又は全部を埋没できる容器収納部を多数(N個)備え、反応容器の温度を制御する温度制御機構を備える卓上装置を用いることができる。
反応容器内の試料を攪拌する攪拌手段としては、例えば先端部分に攪拌羽根を備えた攪拌棒、試料中に気泡を導入する気泡導入管と気泡発生器を備えるバブリング装置、試料容器又は試料に振動を与える振動器などが挙げられる。
前記反応容器を冷却することなく該反応容器内の均一溶液を冷却し、該反応容器内に二相溶液を得る冷却手段としては、冷却装置を備えた注射器、該反応容器の温度よりも低温の固体を該反応容器内の均一溶液に挿入する挿入機器、又は低沸点化合物を直接、該反応容器内の均一溶液に混合する混合機器が挙げられる。
前記分注手段による分注操作、当該攪拌手段による攪拌操作及び当該冷却手段による冷却操作におけるそれぞれの操作開始時期と操作停止時期を制御する制御手段としては、例えば各操作プログラムに準拠した公知のコンピューター制御が挙げられる。
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
直径20mm、高さ60mmの円筒系ガラス瓶を反応容器として100個収納するブロックヒーター内蔵の卓上装置を用い、図2(A)に示す方法及び下記反応条件に準拠して、コンピューターによる多数プロセス自動化学反応を行った。
(試料及び反応容器温度)
シクロヘキサン2mlとジメチルホルムアミド(DMF)2mlからなる溶媒混合物にオクタデシルアミン及びベンゾイルクロライドの配合割合などを種々変化させたもの100種類の試料を調製した。また、ブロックヒーターをONにし、予め反応容器の温度を60℃に加温した。なお、下記の工程中、反応容器温度が常時60℃になるように温度調節した。
(試料加温工程)
60℃に加温された100個の反応容器中、調製された100種の試料を1番目から100番目まで順次分注した。分注後、反応容器中の二相溶液が、50℃となった時点で次工程に移った。
(反応工程)
50℃に加温された100個の二相溶液を攪拌棒により順次攪拌して、それぞれ均一溶液を得、所定時間保持して反応させた。二相溶液は攪拌後、直ちに均一溶液となった。分注開始から攪拌棒により物理的攪拌開始までの時間(t)は120分であった。
(冷却工程)
次に冷却装置を備えた注射器を用い、1番目の反応容器から均一溶液3.8mlを吸い上げ、注射器内で静置したところ、溶液温度が約40℃に低下すると二相に分離した。さらに2分間放置した後、同注射器から漸次、60℃に加温してある1番目の反応容器に溶液を戻した。この溶液は放置すると再び48℃以上になるが、物理的な攪拌を伴っていないため、二相状態を保った。このような操作を2番目以降の試料についても行った。全試料において、物理的攪拌開始から冷却開始までの時間(t)は、120分であった。
上記実施例によれば、1つの多数プロセス自動化学反応装置で多数の試料について、同一条件で自動運転による化学プロセスを実施できる。また、当該装置及び付属装置類も簡易な装置であるため、操作性と再現性に優れる。また冷却工程において、加温された反応容器に得られた二相溶液は、生成物溶液は注射器などで抽出され、化学分析されるが、残部の加温状態にある溶媒はそのまま再使用できる。このため、最加温は不要であり、反応コストを低減できる。
本発明の温度変換により相状態が変化する二相溶液の多数プロセス反応方法及びそれを実施する反応装置は、ハイスループットリキッドハンドラー、液相マルチプロセス装置及び液相コンビナトリアル合成装置などに活用できる。従って、コンビナトリアル合成装置メーカー、製薬業界、分析・合成装置メーカー、診断装置メーカー、試験研究用試薬メーカーなどで使用される。
本発明の多数プロセス反応方法の一つの試料における各反応工程を説明するための図である。 (A)は本発明の多数プロセス反応方法における1番目の試料(N=1)と最後の試料(N=n)の時間経過と反応工程の関係を示した図であり、(B)は従来法における1番目の試料(N=1)と最後の試料(N=n)の時間経過と反応工程の関係を示した図である。 従来の多数プロセス反応方法の一つの試料における各反応工程を説明するための図である。 溶媒混合物が相溶・相分離を起こす原理を説明する概略図である。
符号の説明
11 反応容器
12 分注器
13 攪拌棒
14 冷却装置
15 注射器
16 生成物溶液
17 抽出器
101、201、301、401 攪拌操作開始


Claims (7)

  1. 多数(N個)の試料を同一反応条件で反応させる方法であって、当該試料は一定の温度を境に二相溶液状態及び均一溶液状態の相状態を可逆的に変化させる溶液を反応溶媒とするものであり、(A)多数の反応容器を同時に加温し、該反応容器を所定温度に維持する容器常時加温工程、(B)加温反応容器中に試料を分注し、二相溶液を所定温度にする試料加温工程、(C)所定温度に加温された試料を攪拌し、均一溶液を得て所定時間保持する反応工程、(D)所定時間経過後、反応容器を冷却することなく均一溶液を冷却し、該反応容器内に二相溶液を得る冷却工程、の各工程で順次処理されると共に、分注開始から攪拌開始までの時間(t)、攪拌開始から冷却開始までの時間(t)が、各試料間において同一となるように連続操作されることを特徴とする温度変換により相状態が変化する二相溶液の多数プロセス反応方法。
  2. 前記反応溶媒の二相溶液状態は、一相がシクロアルカン化合物であり、他相がニトロアルカン、ニトリル、アルコール、ハロゲン化アルキル、エーテル、ウレア、アミド化合物及びスルフォキサイドから選ばれる一種又は二種以上であることを特徴とする請求項1記載の温度変換により相状態が変化する二相溶液の多数プロセス反応方法。
  3. 前記(D)工程における反応容器を冷却することなく均一溶液を冷却する方法が、冷却装置を備えた注射器で該反応容器内の均一溶液を吸引し、該注射器内で冷却する方法、該反応容器の温度よりも低温の固体を該反応容器内の均一溶液に挿入する方法、又は低沸点化合物を直接、該反応容器内の均一溶液に混合する方法であることを特徴とする請求項1又は2記載の温度変換により相状態が変化する二相溶液の多数プロセス反応方法。
  4. 前記(A)工程後、1〜N個の試料について、前記(B)工程を行い、次いで1〜N個の試料について、前記(C)工程を行い、最後に1〜N個の試料について、前記(D)工程を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の温度変換により相状態が変化する二相溶液の多数プロセス反応方法。
  5. 多数の反応容器を同時に加温し、反応容器温度を所定温度に維持する加温手段と、反応容器に試料を分注する分注手段と、
    反応容器内の試料を攪拌する攪拌手段と、
    反応容器を冷却することなく該反応容器内の均一溶液を冷却し、該反応容器内に二相溶液を得る冷却手段と、
    当該分注手段による分注操作、当該攪拌手段による攪拌操作及び当該冷却手段による冷却操作におけるそれぞれの操作開始時期と操作停止時期を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする温度変換により相状態が変化する二相溶液の多数プロセス反応装置。
  6. 前記二相溶液は、一相がシクロアルカン化合物であり、他相がニトロアルカン、ニトリル、アルコール、ハロゲン化アルキル、エーテル、ウレア、アミド化合物及びスルフォキサイドから選ばれる一種又は二種以上であることを特徴とする請求項5記載の温度変換により相状態が変化する二相溶液の多数プロセス反応装置。
  7. 前記冷却手段が、冷却装置を備えた注射器、該反応容器の温度よりも低温の固体を該反応容器内の均一溶液に挿入する挿入手段、又は低沸点化合物を直接、該反応容器内の均一溶液に混合する混合手段であることを特徴とする請求項5又は6記載の温度変換により相状態が変化する二相溶液の多数プロセス反応装置。
JP2003349016A 2003-10-08 2003-10-08 温度変換により相状態が変化する二相溶液の多数プロセス反応方法及びこれを実施する装置 Expired - Fee Related JP4398693B2 (ja)

Priority Applications (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003349016A JP4398693B2 (ja) 2003-10-08 2003-10-08 温度変換により相状態が変化する二相溶液の多数プロセス反応方法及びこれを実施する装置
CNB2004800291181A CN100423827C (zh) 2003-10-08 2004-10-06 通过温度变换使相状态变化的两相溶液反应方法及实施该方法的装置
EP04792336A EP1681092A4 (en) 2003-10-08 2004-10-06 METHOD FOR REACTING A STATE CHANGING SOLUTION WITH TEMPERATURE CHANGES AND APPARATUS FOR CARRYING OUT SAID METHOD
US10/574,851 US20070161713A1 (en) 2003-10-08 2004-10-06 Method of reacting two-phase solution changing in phase state with temperature change and apparatus for practicing the same
PCT/JP2004/015096 WO2005035111A1 (ja) 2003-10-08 2004-10-06 温度変換により相状態が変化する二相溶液の反応方法及びこれを実施する装置
US13/233,279 US8865475B2 (en) 2003-10-08 2011-09-15 Method of reacting two-phase solution changing in phase state with temperature change and apparatus for practicing the same
US14/458,620 US20140350286A1 (en) 2003-10-08 2014-08-13 Method for Making Two-Phase Solution of which Phase State Changes as a Result of Temperature Conversion React, and Apparatus for Implementing This

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003349016A JP4398693B2 (ja) 2003-10-08 2003-10-08 温度変換により相状態が変化する二相溶液の多数プロセス反応方法及びこれを実施する装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005111367A JP2005111367A (ja) 2005-04-28
JP4398693B2 true JP4398693B2 (ja) 2010-01-13

Family

ID=34540996

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003349016A Expired - Fee Related JP4398693B2 (ja) 2003-10-08 2003-10-08 温度変換により相状態が変化する二相溶液の多数プロセス反応方法及びこれを実施する装置

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP4398693B2 (ja)
CN (1) CN100423827C (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4518777B2 (ja) * 2003-11-04 2010-08-04 独立行政法人科学技術振興機構 温度変換により相状態が変化する二相溶液の反応方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE3901001A1 (de) * 1989-01-14 1990-07-19 Hoechst Ag Verfahren zur kontinuierlichen oligomerisation von hexafluorpropenoxid
JP2000218155A (ja) * 1999-01-28 2000-08-08 Shimadzu Corp 自動合成装置
JP3538672B2 (ja) * 2001-08-24 2004-06-14 独立行政法人 科学技術振興機構 相溶性−多相有機溶媒システム

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005111367A (ja) 2005-04-28
CN100423827C (zh) 2008-10-08
CN1863590A (zh) 2006-11-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20150238920A1 (en) Composite liquid cell (clc) mediated nucleic acid library preparation device, and methods for using the same
Nieuwland et al. Fast scale-up using microreactors: pyrrole synthesis from micro to production scale
Baumann Integrating continuous flow synthesis with in-line analysis and data generation
TW419394B (en) Apparatus and method used in multiple, simultaneous synthesis of general compounds
US11731101B2 (en) Modular continuous flow device
Chen et al. Spinning micropipette liquid emulsion generator for single cell whole genome amplification
US20150056663A1 (en) System and method for automated nucleic acid amplification
US20170120250A1 (en) Benchtop nucleic acid library preparation device and methods for using the same
US20220251025A1 (en) Automated ultra-compact microdroplet radiosynthesizer
EP1181560B1 (en) Investigating different physical and/or chemical forms of materials
JP2016099258A (ja) 動作指令生成装置、動作指令生成方法、コンピュータプログラム、及び処理システム。
JP4398693B2 (ja) 温度変換により相状態が変化する二相溶液の多数プロセス反応方法及びこれを実施する装置
JP2004526138A (ja) 生物学的、化学的または生化学的プロトコルを連続フローで実行するための方法及びシステム
WO2005035111A1 (ja) 温度変換により相状態が変化する二相溶液の反応方法及びこれを実施する装置
Hoogenboom et al. The introduction of high-throughput experimentation methods for Suzuki–Miyaura coupling reactions in university education
Simoes et al. Fractionation of lipid mixtures by subcritical R134a in a packed column
JP4518777B2 (ja) 温度変換により相状態が変化する二相溶液の反応方法
CN113308364A (zh) 核酸提取基板、核酸提取设备和核酸提取方法
JP2000083650A (ja) 酵素反応試験用の自動試験装置
JP2000218155A (ja) 自動合成装置
Orita et al. Automated synthesis: development of a new apparatus friendly to synthetic chemists (MEDLEY)
EP1282878B1 (en) Method for performing multiple chemical reactions and a kit and system therefor
Lebl Centrifugation based automated synthesis technologies
JP2002171975A (ja) ハイブリダイゼーション反応装置及びハイブリダイゼーション方法
Gooding et al. Case Studies in Process Screening and Optimization Utilizing a New Automated Reactor− Analysis System

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060928

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20091019

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20091023

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121030

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131030

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees