JP4393050B2 - X線ct装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被写体にX線ビームを回転照射しその投影画像を処理して断層像などを撮影するX線CT装置に係り、特に被写体の一部にX線コーンビームを照射して、その部分の任意のCT断層画面及びパノラマ画像を得ることのできる歯科医療などの撮影に好適なX線CT装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
歯科医療では、歯の裏にフィルムを当ててX線撮影する一般撮影、X線管とフィルムを同時に回転させて撮影するパノラマ撮影、X線管とフィルムの距離を大きく取って撮影するセフアロ撮影などを行なっているのが現状である。歯科用X線パノラマ撮影は、歯列に沿って連続的に曲面断層を撮影し、一枚の画像で、歯列とその周辺の組織や骨の状態を示す断層像をパノラマ状に展開して表示するものである。
【0003】
歯科用X線パノラマ撮影は、歯列に沿って連続的に曲面断層撮影し、一枚の画像で、歯列とその周辺の組織や骨の状態を示す断層像をパノラマ状に展開して表示するものである。従来のパノラマ撮影装置は、被写体を挟んで対向するX線発生装置と二次元X線検出装置を搭載する旋回アームが、たとえば前後左右の移動部と回転部とで支持され、被写体の周囲を歯列弓形状に近似させた複雑な軌道を描いて移動するものであった。この公知例としては、例えば、特開平06−78919公報に記載された歯科用断層撮影装置がある。
【0004】
歯科用のX線撮影装置として、パノラマ撮影以外に歯牙の横断面画像を得るCT機能を有する装置がある。この公知例として、例えば、特開平09−122118号公報に記載された医療用X線断層撮影装置や特開平11−318886号公報に記載されたX線CT撮影をも行えるパノラマX線撮影装置がある。
【0005】
被写体の一部にのみX線コーンビームを照射して、その部分の任意の断層画面及び立体画像、あるいはパノラマ画像を得るようにしたX線CT撮影方法及びその装置に関する従来技術として、特開2000−139902号公報に記載された局所照射X線CT撮影装置がある。この装置は特に歯科への応用において、歯列弓を含む顎部全体ではなく、歯牙や顎関節の周囲などの局所に限定してX線コーンビームを旋回照射することで、被写体の被曝量を低減し、かつ高分解能のCT断層画像や三次元立体画像を提供することを特徴としている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
被検者を立位または座位で撮影する上述の従来技術の歯科用パノラマ撮影装置、あるいは歯科用CT装置の構造は、いずれも回転駆動部が被検者の頭上に存在するような構造をしている。図1は、座位型X線CT装置の基本的な構造例を示す図である。この座位型X線CT装置は、回転部2が固定架台1から吊り下げられ、椅子8に座った被検者7の頭上にあり、回転部2に保持されたX線発生装置3及びX線検出装置4が被検者7の周囲を回転軸5に沿って制御装置10によって回転させられるように構成されているものである。被検者7の頭部は頭受け9によって 椅子8に固定される。二次元X線検出装置4から採取された画像データは、画像処理装置12に送られる。画像処理装置12は、受信した画像データに演算処理を施し、二次元断層画像、CT画像または三次元立体画像を再構成し、それを画像表示装置13に表示する。
【0007】
図1のような従来の構造の場合、装置の高さは必然的に被検者7の身長よりも高くなり、いずれの場合も装置高さが2メートルを超えるものとなる。歯科用X線撮影装置では、一般の診断用X線撮影装置と比較して、装置を設置するスペース、および装置を搬入するスペースが限定されることが多いことから、装置はできるだけ小型・軽量であることが望ましい。しかし、従来構造の装置の場合、その高さを低くしようとすれば、被検者の頭部、または被検者の周囲で被検者の位置設定・確認等の作業をする操作者の頭部と、装置との高さ方向の距離も縮まり、被検者または操作者の頭部が装置と衝突する危険性が高くなり、好ましくない。
【0008】
また、立位型の装置の場合はこの衝突を避けるために、装置の回転部が高さ方向に待避できる構造になっているのに対して、座位型の場合、被検者が装置の椅子に乗降する際の立ち上がり動作中に、頭部と装置が衝突する危険性も高くなる。また、患者の身長に合わせて装置の測定部または被検者の高さを変える必要があるが、装置または患者の高さを調整する際にも、たとえば誤操作によって被検者の頭部と装置が衝突するおそれがある。さらに、装置回転部の下は自由空間であり、一見すると回転部がなく安全に思われるが、被検者または操作者、あるいは装置の保守作業者などが回転部の下に入り込むことが可能であるため、この状態で不用意に顔を上げたりすると、頭部と装置が衝突するおそれもある。このように装置が静止状態にあっても、自由空間であるためにかえって被検者または操作者、あるいはその他の作業者がこの空間に入り込む可能性があり、装置と衝突するという危険性が常に存在することになり、好ましくない。
【0009】
特に歯科用CT装置の場合、顎関節部等の手術中に撮影を行うことがある。このような撮影を術中撮影(IVR:Interventional Radiology)と呼ぶ。この術中撮影の場合、術者が被検者の患部に容易にアプローチできることが重要であり、被検者及び術者双方の安全が十分確保されたものでなければならないことは言うまでもない。また、被検者への心理的な影響として、従来構造の場合、被検者の頭部近傍の上下、前後または左右が閉鎖空間となるため、被検者は装置により圧迫感や閉塞感を受けることになる。
【0010】
一方、装置の設置スペースの点から見た場合、回転部を被検者の頭上に設置するためには、天井部に装置を固定する場合を除いて、一般に装置を設置する床面に対して、回転部を支持する支柱(図1の固定架台1のようなもの)を設置する必要がある。したがって、装置の設置スペースには、回転部が占める面積以外に、支柱部分を設置する面積が必要になるという設置面からの問題もある。
【0011】
本発明の目的は、上述の点に鑑みてなされたものであり、安全性が向上し、しかも装置高さや設置スペースを極力低減することのできるX線CT装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
X線を発生するX線発生手段と、前記X線発生手段に対向して配置され、被検体を透過した前記X線量を二次元的に検出するX線検出手段と、前記X線発生手段と前記X線検出手段との間に前記被検体が位置するように、前記X線発生手段及び前記X線検出手段を保持する保持手段と、前記被検体よりも下側に設置され、前記X線発生手段及び前記X線検出手段を前記被検体の周囲に沿って回転させて、前記被検体の一部に前記X線を照射して断層像を撮影できるように前記保持手段を回転駆動する回転駆動手段と、前記X線検出手段で検出された前記X線量に基づき前記被検体に関する断層像を作成する画像処理手段とを備え、前記X線発生手段は、実効焦点で発生したX線の主線を円錐状又は多角錐状に絞る絞り手段と、前記絞り手段及び前記焦点からの距離と前記絞り手段の開口寸法によって定められる開口寸法を有し、前記絞り手段で制限された照射野を妨げることなく、前記絞り手段の開口から拡散した散乱X線を除去するとともに前記散乱X線を所望の照射範囲内に制限する散乱線用絞り手段とを備える。散乱線を散乱線用絞り手段で遮っているので、X線発生手段から発生する散乱線自体を低減することができ、その周囲における散乱線の量をも制限することができる。
【0013】
前記X線の主線を絞る絞り手段の構成、位置、寸法に応じて、前記散乱X線を除去するための散乱線用絞り手段の寸法と設置位置を一義的に決定した。これは、X線の主線を絞る絞り手段の構成、位置、寸法などの幾何学的な関係によってX線発生装置から散乱する散乱X線の量などがだいたい決定するので、散乱線用絞り手段の寸法と設置位置を一義的にそれに合わせることによって効率的に散乱線を遮るようにしたものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って本発明に係るX線CT装置の好ましい実施の形態について説明する。図1は、本発明に係るX線CT装置の全体構成を示す図である。装置の固定部は、床面に固定された固定部1aと、軸状の支持構造部1bと、その上部に置かれた、被検者7と制御装置10とを設置するスペース1cとから構成される。
【0017】
被検者7の撮影部位の高さをX線CT装置の撮像領域と一致させるために、被検者7の設置スペース1cには、被検者7を座らせた状態で被検者の高さを矢印方向8aに調整することのできる椅子8が設置される。また、被検者7の前方には、被検者の脚部や身体の一部が装置の回転部2と接触することを防止するためのガード13が設けられている。このX線CT装置の全荷重は、軸状支持構造部1bによって支持される。X線CT装置は、固定部1aを介して床に固定される。
【0018】
軸状支持構造部1bは中空をしており、この中空部を通して電源ケーブルが外部電源(図示せず)に接続され、信号ケーブルを通して画像処理装置11と制御装置10とが接続され、電源供給または信号の授受が行われる。
【0019】
この軸状支持構造部1bの周囲には、U字形状をした回転部2が設けられている。この回転部の両側は支柱2a,2bとなっており、被検者7を挟むように対向してX線発生装置3及びX線検出装置4が支柱2a,2bに保持されている。回転部2は、これらのX線発生装置3及びX線検出装置4を搭載して被検体7の周囲を回転するように軸受け(図示せず)を介して軸状支持構造部1bに回転可能な状態で設置されている。
【0020】
X線発生装置3は、X線を発生するものであり、回転部2の支柱2aの上端部に設けられる。X線発生装置3は、内部のX線発生源3aから照射されたX線3bをコーンビーム状に絞る絞り装置を備えている。二次元X線検出装置4は、X線発生装置3に対向して配置され、被検体を透過したX線量を2次元的に検出するものであり、回転部2の支柱2bの上端部に設けられている。すなわち、X線発生装置3と二次元X線検出装置4は、回転部2の支柱2a,2bの上端部に対向するように配置されている。
【0021】
回転部2には、モータ14が設置され、タイミングベルトプーリ15aを介して、固定側にある軸状支持構造部1bに取り付けられたタイミングプーリ15bに対して、タイミングベルト16を介して連結されている。従って、モータ14が回転駆動されることによって、回転部2の全体が軸状支持構造部1bの周囲を回転移動するようになっている。回転部2は、軸状支持構造部1bを回転中心として約405゜回転駆動されるようになっている。撮影する範囲は、360゜であるが、回転速度が一定になったところから撮影を開始するため、45°だけ回転範囲を広く取ってある。撮影開始後は、画像取りこみと同期してX線発生装置3がX線をパルス照射してX線による被曝を軽減させている。このタイミングは、モータ14に内蔵された位置検出用エンコーダ(図示せず)により制御される。回転部2と被検体7の背面が接触しないように、被検体7の背面のスペースには制御装置10が設けられており、その上端部に被検者7の背もたれが設けられている。二次元X線検出装置4から採取された画像データは、画像処理装置12に送られる。画像処理装置12は、X線CT装置の設置された撮影室よりも離れた操作室内に設置される。画像処理装置12は、受信した画像データに演算処理を施し、二次元断層画像、CT画像または三次元立体画像を再構成し、それを画像表示装置13に表示する。
【0022】
被検者7の頭部は、従来の装置と同様に顎受け装置6、あるいは図1で示したような頭受け装置9で固定される。被検者7の被写体に対してX線コーンビーム3bを照射して、その部分の任意のCT断層画面及びパノラマ画像を取得する。装置の回転部2と操作者の衝突を防止する手段としては、従来装置と同様に、回転部周囲の床上にマットスイッチ(図示せず)などの安全装置を設置することで回避することができる。
【0023】
以上のように被検者7の位置が固定された状態で、X線発生装置3からX線コーンビーム3bを照射しながら回転部2を回転させてCT撮影を行う。回転部2の回転に応じて、X線発生装置3と対向する二次元X線検出装置4は、回転部2の回転角度ごとに検査部位の周囲360°における透視画像データを採取する。採取された画像データは、画像処理装置12で演算処理され、二次元断層画像または三次元立体画像として再構成され、画像表示装置13に表示される。
【0024】
上述の実施の形態によれば、装置の重量は軸状支持構造部の周囲の回転部に集中することから、装置全体の重心は床に近い低い位置にある。したがって地震に対しても転倒しにくく、堅牢な構造にすることができる。また、被検者または操作者、あるいはその他の作業者の頭上に、衝突の対象となる装置の構造部が存在せず、また回転部の下に被検者または操作者、あるいはその他の作業者が入り込める自由空間が存在しないことから、被検者または操作者、あるいはその他の作業者の頭部が装置と衝突することがない安全なものとすることができる。また、被検者に与える圧迫感・閉塞感を軽減でき、操作者は被検者へのアプローチが容易になる。特に頭部領域に容易にアプローチできることから、この領域での術中撮影(IVR)を実施するのに好適である。さらに、従来の固定架台に相当する構造部がなくなるため、装置の構造を簡略化して軽量かつ安価なものとすることができ、しかも装置高さを低減し、設置スペースを削減できる。
【0025】
また、上述の実施の形態によれば、被検者または操作者、あるいはその他の作業者の頭上に、衝突の対象となる装置の構造部が存在しないことから、装置の重心位置を従来構造よりも低くして堅牢な構造とすることができるとともに、被検者または操作者、あるいはその他の作業者の頭部が装置と衝突することがない安全なものとすることができる。また、従来の支柱に相当する構造部がなくなるため、装置の構造を簡略化して軽量かつ安価なものとすることができ、しかも装置高さを低減し、設置スペースを削減できる。さらに、被検者に与える圧迫感・閉塞感を軽減でき、操作者は被検者へのアプローチが容易になる。
【0026】
図2のような、透視撮影装置であるX線CT装置は、X線発生装置3で発生し、被検体を透過したX線の量をイメージ・インテンシファイアやFPD(Flat Panel Detector)などのX線検出装置4で検出する際に、X線検出装置4の入射面上における照射野を一定の範囲内に制限するため、実効焦点で発生したX線(主線)を実効焦点を頂点とする円錐または多角錐状に絞る絞り装置がX線発生装置3の射出口に設置されている。
【0027】
通常、この絞り装置は、X線管近傍に設置された第1の絞りと、この第1の絞りから距離を置いた位置に設置された第2の絞りとを組み合わせた多段の絞りで構成されている。第1の絞りは主線の方向と最大照射野寸法を規定し、第2の絞りは照射野の最終形状を規定するものである。第2の絞りは照射野形状を可変とするために複数個で構成される場合やあるいは可動絞りになっている場合がある。
【0028】
透視撮影装置であるX線CT装置の外周における散乱線の量は、被検者の被曝線量を低減するためにも極力低く抑える必要がある。そのためには、X線発生装置3から発生する散乱線自体を低減することによって、被検者の被曝線量を低減すべきであり、被検者の被曝線量を低減した結果としてX線検出装置の外周における散乱線の量を制限することが望ましい。そこで、この実施の形態では、X線発生装置3から発生する散乱線自体を低減するようにした。
【0029】
図3は、X線発生装置における散乱線発生メカニズムを説明するための図である。一般にX線CT装置で使用されるX線発生装置3には、固定陽極型または回転陽極型のX線管が用いられている。図3は回転陽極型X線管における絞り装置の構成を示す。いずれの型のX線管も、フィラメント(陰極)31から発生した熱電子32を、X線射出口に対して一定角度で傾斜した金属ターゲット(陽極)33に衝突させてX線38を発生させる。このとき、陽極33は、陽極回転軸33aを介して陽極回転モータ33bに結合され、所定速度で回転している。この金属ターゲット33の傾斜角度は、主線の実効焦点34の寸法を決定する要因であるが、同時に傾斜面全体で散乱線が発生する原因でもある。金属ターゲット33は、固定陽極型の場合は平面状、回転陽極型の場合は円錐面状の広がりを持っており、実効焦点34近傍の面全体が散乱線39を発生する。散乱線39は図3では点線で示されている。
【0030】
特に回転陽極型X線管の場合は、金属ターゲット33の回転により散乱線の発生面も移動する。さらに主線の焦点34、すなわちフィラメント31から発生した熱電子32が直接衝突する点も移動するため、主線の発生位置も移動し、焦点から離れた位置で強力なX線が時遅れによって発生し、これが散乱線39として外部に照射されることになる。図示のように、この散乱線39は、前述の第1の絞り36、第2の絞り37を通って照射される。第1の絞り36、第2の絞り37の双方を通して絞り装置の外側から見込むことができるX線管の陽極面35は、すべて絞り装置の外部に照射される散乱線の発生源となる。すなわちこの散乱面35がすべて散乱線39の焦点となり、この散乱面35を焦点として、第1の絞り36、第2の絞り37で照射可能な方向すべてに対して散乱線が照射される。
【0031】
金属ターゲット33上で発生した散乱線39は、第1の絞り36の開口を通って主線38の中に混入し、主線38の中で拡散する。したがって主線38を第2の絞り37で最終的に絞ったとき、同時に散乱線39もその位置で主線38から外に出て拡散する。散乱線39の照射範囲41は、主線38の照射範囲40よりも広くなるため、主線38を所望の照射野に絞る第1の絞り36、第2の絞り37だけでは、同時に散乱線39を所望の範囲内に制御することはできない。
【0032】
一方、第1の絞り36の位置をX線管の焦点34側に近づければ、主線38に混入する散乱線39の量を低減することができる。しかし、まずX線管自体の物理的大きさ、すなわち金属ターゲット33やその周囲のガラス容器(図示せず)の大きさなどによる制限がある。また、第1の絞り36の位置をX線管の焦点34に近づけると、X線管の周囲に充填されたX線管冷却用絶縁油の循環が、絞り36によって妨げられて冷却能力が低下する可能性がある。あるいは絞り36とその近傍にある高電圧部品(図示せず)との間で放電が発生するなどの理由から、第1の絞り36の位置を現状よりもX線管に近づけることは事実上困難である。また、第1の絞り36の開口寸法を縮小することによっても、主線38に混入する散乱線39の量を低減することができるが、逆に必要な大きさの照射野40を確保することができなくなるというジレンマがあり、これも実現が困難である。
【0033】
そこで、このような問題を解決するために、絞り装置の構成に応じて、散乱線を除去するための絞りのサイズと設置位置を一義的に決定する方法を提示し、X線発生装置から発生する散乱線自体を低減することによって被検者の被曝線量を低減することのできるX線撮影装置の絞り装置を提案する。
【0034】
この絞り装置は、透視撮影を行うX線撮影装置において、実効焦点で発生したX線(主線)を円錐または多角錐状に絞る絞り以外に、X線管の陽極面から発生する散乱X線を除去するための絞りを新たに備えたものである。
【0035】
図4は、X線発生装置における新しく提案された絞り装置の散乱線発生メカニズムを説明するための立体図である。X線管と、主線を絞る絞り装置の構成および符号は、図3と同様である。すなわちX線管は、フィラメント(陰極)31から発生した熱電子32を、X線射出目に対して一定角度で傾斜した金属ターゲット(陽極)33に衝突させてX線38を発生させる。X線管から発生した主線38は、照射野40を形成するように第1の絞り36、第2の絞り37を通って絞られる。なお、図示していないが第2の絞り37は、照射野40の寸法を可変とするために、複数個設置する。
【0036】
図4の絞り装置では、図3の構成に対して、第2の絞り37から距離をおいた位置に、散乱線用絞り42が追加されている。この散乱線用絞り42は、第2の絞り37の開口で制限された照射野40を妨げることなく、第2の絞り37の開口から拡散した散乱線39を遮蔽するとともに、同時に散乱線用絞り42の開口から拡散する散乱線39aを所望の照射範囲内41aに制限するものである。散乱線用絞り42で制限される散乱線の照射範囲41aの大きさは、第1の絞り36、第2の絞り37及び散乱線用42の各開口寸法と設置位置との幾何学的な関係から一義的に決定される。この関係について、図5を用いて説明する。
【0037】
図5は、X線管と絞り装置の構成と照射野の関係を示す平面図であり、その符号等は図4の場合とまったく同じである。ここで第1の絞り36の開口寸法をd1、第2の絞り37の開口寸法をd2、焦点34から第1の絞り36までの距離をL1、焦点34から第2の絞り37までの距離をL2、焦点34からX線検出装置4の入射面までの距離をL0、主線38の最大照射野寸法D0は既知であるとする。また、散乱線39の最大照射野寸法は、所望の値に設定可能である(ただしD≧D0)。これらの寸法値から、散乱線遮蔽用絞り42の開口寸法dと、焦点34から散乱線用絞り42までの距離Lを求める。
【0038】
まず、散乱線39aの拡散角度は、散乱線39の最大照射野寸法Dと、第1の絞り36の開口寸法d1との位置関係から幾何学的に決定されるので、次式が成立する。
D/2+d1/2=(d/2+d1/2)・(L0−L1)/(L−L1)………(1)
一方、散乱線用絞り42の設置位置において、その開口寸法は第2の絞り37の開口で制限された照射野40を妨げてはならないから、距離Lの位置において、次式が成立する。
d≧(L/L0)・D0………(2)
上式(2)を上式(1)に代入して整理すると、Lは次式で求められる。
L≧L0・d1/(D+d1−D0・(L0−L1)/L0)………(3)
上式(2)と上式(3)からdは次式で求められる。
d≧dl・D0/(D+d1−D0・(L0−L1)/L0)………(4)
次に散乱線用絞り42の外形寸法は、第2の絞り37から拡散した散乱線を遮蔽するものでなければならない。すなわち図5において、散乱線用絞り42上に投影された散乱線39が形成する照射野寸法d3よりも大となる寸法でなければならない。
【0039】
上式(1)と同様の幾何学的関係から、d3は次式のように求められる。
Figure 0004393050
上式(3)よりLが既知となるため、上式(5)の右辺の項はすべて既知である。したがって散乱線用絞り42の外形寸法は、このd3の寸法を超えた十分遮蔽可能なものとすればよい。
【0040】
なお、上述の実施の形態において、第1の絞り36、第2の絞り37、散乱線用絞り42は、いずれも円形の開口を有する円盤状の絞りとして図示したが、開口の形状は、矩形またはその他の任意形状でもよく、絞り装置の構成としてはまったく同様である。また、実際の散乱線の照射範囲は、金属ターゲット33の形状、寸法、あるいは第1及び第2の絞り装置の構成によっても変化し、その形状は必ずしも円形にはならず、たとえば楕円形になる。その際も、散乱線が照射される範囲が最も大となる方向について考慮すればよい。さらに、本実施例では、主線の照射野40を決定する第2の絞り37は、照射野サイズを可変とするために複数個あることを想定し、これらとは独立して散乱線用絞り42を設けている。しかし、照射野が固定され、第2の絞り37が1個しか存在しない場合は、例えば第2の絞り37と散乱線用絞り42を一体化して共用できることは言うまでもない。また第2の絞り37が複数個存在する場合、被検者の被曝線量を極力低減するという目的に対しては、複数個の絞り37のそれぞれに対応した散乱線用絞り42を複数個設置した方が良いことは言うまでもない。しかし、本来規制の対象としているのが透視時の最大受像面であること、また小照射野の場合は散乱線の拡散角度が小さくなって散乱線照射範囲が縮小されることから、散乱線遮蔽用絞り42は、最大照射野用に設定された1個のみを設置すれば十分である。したがって散乱線遮蔽用絞り42は、固定絞りとすることができ、絞り装置を簡略化することができる。
【0041】
上述の実施の形態によれば、X線発生装置から発生する散乱線自体を低減することによって、被検者の被曝線量を低減し、さらにX線検出装置の外周における散乱線の量を制限することができる。また、絞り装置の構成に応じて、散乱線を除去するための絞りの寸法と設置位置を一義的に決定することができる。さらに、散乱線の量を低減することにより、X線検出装置の周囲に設置する遮蔽体の量を削減するここができ、装置を小型軽量化することができる。
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、安全性が向上し、しかも装置高さや設置スペースを極力低減することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来のX線CT装置の全体構成を示す図である。
【図2】 本発明に係るX線CT装置の全体構成を示す図である。
【図3】 X線発生装置における散乱線発生メカニズムを説明するための立体図である。
【図4】 X線発生装置における新しく提案された絞り装置の散乱線発生メカニズムを説明するための立体図である。
【図5】 X線管と絞り装置の構成と照射野の関係を示す平面図である。
【符号の説明】
1…固定架台
1a…装置固定部
1b…軸状構造部
1c…被検者設置スペース
2…回転部
2a…X線発生装置の支柱
2b…X線検出装置の支柱
3…X線発生装置
3a…X線発生源
3b…X線コーンビーム
4…X線検出装置
5…回転軸
6…顎受け装置
7…被検者
8…椅子
9…頭受け装置
10…制御装置
11…画像処理装置
12…画像表示装置
13…ガード
14…モータ
15a,15b…タイミングプーリー
16…タイミングベルト
31…フィラメント(陰極)
32…熱電子
33…金属ターゲット(陽極)
33a…陽極回転軸
33b…陽極回転モータ
34…焦点
35…散乱面
36…第1の絞り
37…第2の絞り
38…主線
39…散乱線
40…主線の照射野
41,41a…散乱線の照射範囲
42…散乱線用絞り

Claims (2)

  1. X線を発生するX線発生手段と、
    前記X線発生手段に対向して配置され、被検体を透過した前記X線量を二次元的に検出するX線検出手段と、
    前記X線発生手段と前記X線検出手段との間に前記被検体が位置するように、前記X線発生手段及び前記X線検出手段を保持する保持手段と、
    前記被検体よりも下側に設置され、前記X線発生手段及び前記X線検出手段を前記被検体の周囲に沿って回転させて、前記被検体の一部に前記X線を照射して断層像を撮影できるように前記保持手段を回転駆動する回転駆動手段と、
    前記X線検出手段で検出された前記X線量に基づき前記被検体に関する断層像を作成する画像処理手段とを備え、
    前記X線発生手段は、実効焦点で発生したX線の主線を円錐状又は多角錐状に絞る絞り手段と、前記絞り手段及び前記焦点からの距離と前記絞り手段の開口寸法によって定められる開口寸法を有し、前記絞り手段で制限された照射野を妨げることなく、前記絞り手段の開口から拡散した散乱X線を除去するとともに前記散乱X線を所望の照射範囲内に制限する散乱線用絞り手段とを備えることを特徴とするX線CT装置。
  2. 請求項1において、前記X線の主線を絞る絞り手段の構成、位置、開口寸法に応じて、前記散乱X線を除去するための散乱線用絞り手段の開口寸法及び外形寸法と設置位置を一義的に決定したことを特徴とするX線CT装置。
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