JP4390425B2 - 超高温熱間鍛造方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車や建設機械の足廻りに使用される部品の中で、高強度・高靭性を必要とする熱間鍛造品において、従来の熱間鍛造より複雑な形状の部品を製造したり、製造時の材料歩留りを向上させることを可能とする超高温熱間鍛造の製造方法に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車部品、建設機械部品の中で、高強度、高靭性を必要とする熱間鍛造部品は、熱間鍛造後に調質、即ち、焼入れ焼戻しして製造されている。しかし、製造コストの低減の観点から、熱間鍛造時における材料歩留りの向上が要望されている。また、自動車の軽量化の観点から部品の小型化が指向されているが、小型化のために、部品の強度、剛性の確保を前提に部品形状の最適化を進めると、部品形状は従来の熱間鍛造部品より複雑形状となり、既存の鍛造機で成形できないような荷重増大を招くことになる。
【0003】
これらを解決するには、熱間鍛造時の鋼材変形抵抗を低減することが必要であり、これに対して、特開平5−15935号公報では、従来の熱間鍛造温度より高い温度に鋼材を加熱して熱間鍛造する超高温熱間鍛造方法が開示されている。熱間鍛造が1150〜1250℃とされるのに対し、特開平5−15935号公報記載の超高温熱間鍛造では、加熱温度の下限を固相線温度の45℃下とし、上限を液相線温度の20℃以下としている。
【0004】
しかし、固相線温度以上の温度域まで加熱すると結晶粒界などの一部が溶融し、鍛造後は、その溶融部が空孔となって残留する。そのため、鍛造後に焼入れ焼戻しを行っても空孔が破壊起点となって、所定の強度、靭性が確保できないことがある。
【0005】
また、固相線温度以下の温度域での加熱、鍛造では、熱間鍛造に比べて素材の変形抵抗が低く、材料流動も良いため、単に、通常温度での熱間鍛造に用いられている金型を超高温熱間鍛造に用いるだけではバリの量が多くなり、材料歩留りが、熱間鍛造の場合より低くなるという問題点を有している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の熱間鍛造より複雑な形状の部品を製造することができる超高温熱間鍛造おいて、製造時の材料歩留りを向上させる、または、鍛造品の強度、靭性の低下などの課題を解決するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の要旨は以下のとおりである。
【0008】
(1)質量%で(以下、同じ)0.1%以上0.54%以下の炭素を含有する鋼材を、下限温度を固相線温度×0.94または1255℃の何れか高い方とし、上限温度を固相線温度以下とする範囲に加熱し、該範囲の温度域で、素材表面の85%以上が金型に接触するように超高温熱間鍛造加工した後、さらに、900〜1250℃の温度域で、対数ひずみで0.3〜3の鍛造を加え、その後、焼入れ焼戻しすることを特徴とする機械部品の超高温熱間鍛造方法。
【0010】
(2)前記超高温熱間鍛造加工を行った後、鍛造機の下死点において、少なくとも材料表面温度が900〜1200℃となるまで、鍛造時の最大荷重の10〜27%の荷重で保持することを特徴とする前記(1)記載の機械部品の超高温熱間鍛造方法。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の根幹をなす技術思想は、以下のとおりである。
【0012】
熱間鍛造は、通常一回の加工だけでなく、何工程かの鍛造加工を受けて所定の形状に成形される。そこで、前記(1)の発明では、半密閉、または、密閉金型を用いて粗成形を超高温熱間鍛造で行い、続けて行われる仕上げ成形を900℃〜1250℃の温度域で行うことに特徴がある。即ち、被加工材を、従来の熱間鍛造の場合より複雑な形状に成形するため、超高温熱間鍛造の粗成形でほぼ製品形状に成形するとともに、バリの発生を抑制して材料歩留りを向上させるために、半密閉、または密閉金型を用いる。
【0014】
さらに、前記(2)の発明では、超高温熱間鍛造ままでは、通常の熱間鍛造に比べて熱ひずみが大きく、その後の鍛造、焼入れ焼戻しを行っても形状精度が確保できないことに鑑み、超高温熱間鍛造後に、所定の温度域まで荷重を付与して形状精度を確保することに特徴がある。
【0015】
以下に、本発明を詳細に説明する。なお、%は質量%を意味する。
【0016】
炭素は鋼材の強度確保のために必要であるが、0.1%未満では冷間での鋼材の変形抵抗が低いために、鋼材を加熱して変形抵抗を低減する効果がなく、一方、1%超では靭性が低くなり、自動車等の重要な部分に適用できなくなるため、炭素量を0.1以上1%未満とした。なお、炭素量の上限値は、本発明の実施例に基づいて、0.54%以下とした。
【0017】
次に、まず、前記(1)の製造方法について説明する。
【0018】
加熱温度は変形抵抗を低減させるために、固相線温度×0.94または1250℃の何れか高い方を下限とした。これより低い温度では、充分に変形抵抗が低くならず、材料流動が十分に行われない。なお、本発明の加熱温度の下限は、実施例に基づいて、固相線温度×0.94または1255℃の何れか高い方とする。上限温度を固相線温度とするのは、固相線を越える温度では、結晶粒界などの溶融する割合が増加し、85%以上の金型との接触率では空孔が十分に減少しない可能性があるからである。
【0019】
なお、固相線温度、および、後述する液相線温度は、鉄と鋼73巻4号(1987年)S196頁に記載される析出物の凝固過程を観察するのに用いられる一方向凝固実験によって推定することができる。即ち、高周波加熱とカーボンサセプターを用いて炉内に温度勾配を持たせ、その炉内で棒材を加熱し、その後急冷する。急冷した棒材の内部組織観察から、棒材各位置での温度と組織を対応させて、素材の固相線温度を推定した。
【0020】
超高温熱間鍛造は、加熱と同じ温度域で行う。固相線温度×0.94または1250℃の何れか高い方より低い温度では変形抵抗が高く、金型寿命が低下するし、また、材料流動が悪いため、複雑形状部品へ成形できない。なお、本発明における超高温熱間鍛造温度の下限は、実施例に基づいて、固相線温度×0.94または1255℃の何れか高い方とする。
【0021】
超高温熱間鍛造で粗成形した後にさらに熱間鍛造を行うが、これは所定の製品形状にするためであり、1250℃を越える温度域では、鍛造後の形状精度が悪化する。なお、下限の温度は規定しないが、900℃より低い温度では変形抵抗が急増するため金型寿命の低下を招くため、温度範囲を900〜1250℃とする。
【0022】
本発明の目的の一つとして、材料歩留りの向上がある。超高温熱間鍛造での材料流動向上によっても材料歩留りは向上できるが、その際、密閉金型、または、半密閉金型を用い、素材と金型との接触率を高めることで製品形状に近い形まで成形でき、材料歩留りは格段に向上する。
【0023】
半密閉金型とは、パンチとダイスで構成される金型において、素材の金型への未充満部がバリ部のみの金型であり、密閉金型とはそのバリ部が無い金型と定義する。
【0024】
従来の熱間鍛造では変形抵抗が高く、密閉度が高い金型を用いても金型内へ材料が充満しない。しかし、超高温熱間鍛造では変形抵抗が低く材料流動もよいことから、密閉度が高い金型を用いても金型内への材料充満がよくなる。しかし、素材表面の85%以上が金型に接触するように超高温熱間鍛造しないと、材料歩留り向上効果が小さい。
【0025】
なお、高い密閉度の金型で超高温熱間鍛造成形する方が材料歩留りは向上するが、同時に鍛造荷重が急増するので、98%以下が望ましい。さらに、密閉度の高い金型を使うのでなく、既存金型を用いて鍛造機のラムの下死点を下げて、使用する素材のサイズを小さくすることでも、接触率は向上し材料歩留りは向上できる。
【0035】
超高温熱間鍛造で粗成形した後に1250℃以下の温度域での熱間鍛造を行う。この鍛造は、製品形状を所定の形状にするとともに、空孔をさらに潰すことで、焼入れ焼戻し後の靭性確保のためにも行われる。そして、対数ひずみで0.3以上の加工を行わないと空孔率低減による靭性確保の効果が小さい。また、対数ひずみで3を越える加工を行っても、空孔率低減効果より金型への負荷が急増するために、その加工の上限を対数ひずみで3とした。
【0036】
但し、超高温熱間鍛造でほぼ製品形状に成形することから、この熱間鍛造での加工率は、対数ひずみで0.5〜2.0位が望ましい。さらに、1250℃を越える温度域では鍛造後の形状精度が悪化する。また、900℃より低い温度では変形抵抗が急増して、金型寿命の低下を招くので、温度範囲を900〜1250℃とする。
【0037】
なお、鍛造時の対数ひずみは、当然、部位により均一でない値となるが、本発明による効果を得るためには、ある程度大きな加工をすることが必須であるとともに、権利範囲を明確にするために、歪の算出方法を次のように定義した。
【0038】
すなわち、加工前後素材形状から算出し、据込み部分であれば、対数ひずみはln(加工前の素材高さ/加工後の素材高さ)により求め、押出し部分であれば、対数ひずみはln(加工前の素材断面積/加工後の素材断面積)で求めることとした。従って、この歪は、歪の大きさの概算値を示すものであり、実際の加工での正確な歪とは、必ずしも一致するものではない。
【0039】
最後に、前記(2)の製造方法について述べる。
【0040】
本発明では、超高温熱間鍛造した後に素材温度が次の鍛造温度である900〜1250℃に下がるまで形状を凍結しておくことで、製品精度が向上される。
【0041】
具体的には、超高温熱間鍛造後に鍛造機の下死点で素材の表面温度が900〜1200℃となるまで荷重保持する。表面温度が1200℃以下となるまで荷重保持するのは熱ひずみを小さくするためである。なお、好ましくは1000℃以下となるまで荷重保持することが望ましい。
【0042】
下限の温度を900℃とするのは、900℃より低くなると、その後に行なわれる熱間鍛造で鍛造荷重が急増し、金型寿命が低下するからである。
【0043】
また、保持荷重を鍛造時の最大荷重の10%以上とするのは、これ未満では、熱ひずみの抑制が不十分であるからである。なお、保持荷重が大きくなると金型寿命へ影響するため、その上限は最大荷重の80%以下とする。なお、本発明における保持荷重の上限は、実施例に基づいて、27%以下とする。また、鍛造機の下死点で荷重保持することに代えて、水などで表層冷却することも可能である。
【0044】
本発明において、C以外の元素については特に限定することなく本発明の効果を得ることができるが、好ましくは、以下の元素を含有することができる。以下の元素のうち、Si、Mn、P、Sは必須となる基本元素であり、他の元素は、必要に応じて1種以上添加できる元素である。
【0045】
Siは、脱酸材として働き、固溶強化元素として使われる。0.2%未満では脱酸材としての作用が不足し、過多に添加すると必要以上に強度を上げて靭性を低下させるため添加量の上限を2.0%とすることが好ましい。
【0046】
Mnは、強度の調整と脱酸作用をする。0.5%未満では強度が不足し、2.0%を越えると靭性が低下するとともに、熱間圧延時に割れが生じて製造が困難となるので0.5〜2.0%とすることが好ましい。
【0047】
Pが多量にあると素材中心部で偏析が多くなり、固相線以上に加熱すると偏析部での溶融が激しく、密閉金型を用いた超高温熱間鍛造においても大きな空孔が残留するため、その上限を0.02%とすることが好ましい。
【0048】
Sは、被削性の向上、及び粒内変態を活用して靭性を確保するためにも不可欠な元素であり、それらの効果は0.02%より多いSで期待される。しかし、0.10%を越えると靭性を低下させるので0.02〜0.10%とすることが好ましい。
【0049】
Crは、Mnと同様に強度を補うための元素であり、その効果を得るには0.1%以上添加することが好ましい。強度を補うために1.0%まで添加させることができるが、1.0%を越えると靭性を劣化させる。
【0050】
Vは、固溶強化、析出強化により靭性を向上させる。この効果を得るには0.03%以上添加することが好ましい。しかし、過多に添加しても効果の向上が小さく、むしろ靭性を低下させるのでその上限を0.30%とすることが好ましい。
【0051】
Alは、鋼の脱酸および結晶粒の微細化のために有効な元素であるが、0.002%未満ではその効果がない。一方、過多に添加すると靭性を低下させるために添加量の上限を0.06%とすることが好ましい。
【0052】
Nは、V炭窒化物を生成し析出強化のために必要な元素であるが、0.003%未満では充分な効果が得られない。一方、過多に添加すると固溶したNによって靭性が劣化するため、添加量の上限を0.02%とすることが好ましい。
【0053】
Tiは,窒化物・炭化物を生成する。窒化物は高温まで固溶せずに残るため、加熱時のオーステナイト粗大化を防止するのに有効である。また炭化物は微細に分散して析出強化に有効である。0.003%未満ではこれらの効果は現れず、0.05%を越えると靱性が劣化するため、その添加量の下限を0.003%、上限を0.05%とすることが好ましい。
【0054】
MgおよびZrはともに酸化物や硫化物、あるいはこれらの複合物を形成し、加熱時のオーステナイトの粗大化を抑制する効果を持つ元素である。また、これらの酸化物はMnSの析出核になるため被削性も向上する。いずれも、0.0002%未満ではその効果はなく、0.005%を越えると、靱性が劣化するため、添加量の上限を0.005%とすることが好ましい。
【0055】
次に実施例において本発明の効果を詳細に説明する。
【0056】
【実施例】
(実施例)
表1のK〜Nに示す化学成分を有する鋼種の鋼材を用いて実験を行った。固相線温度(Ts)と液相線温度(TL)を併記するが、固相線温度および液相線温度は、φ15×250mmの棒状素材を一方向凝固試験から推定した温度である。
【0057】
表2には、表1に示した鋼種の鋼材を用いて前記(1)の発明に対応した超高温熱間鍛造−仕上げ鍛造を行い、図1に示すような形状に鍛造したときの鍛造条件、鍛造後トリミングした後の材料歩留り、および、焼入れ焼戻し後に鍛造品のアーム部から衝撃試験片を採取して測定した室温における衝撃試験結果を示す。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
まず、各サイズの素材を所定の温度に高周波で加熱した。加熱時の周波数は、3〜5KHzであり、室温から1250℃までを5℃/秒の速度で加熱し、その後は、1℃/秒で所定の温度まで加熱した。所定の温度になってからは、約30秒間保持し、その後、鍛造に供した。
【0061】
高周波加熱後に鍛造機まで試料を移動するため素材温度が低下する。そこで、加熱温度をTk(℃)、鍛造直前温度をTt(℃)として、表2に示した。鍛造直前温度Ttは、素材表面を放射温度計で測温した結果である。
【0062】
鍛造は油圧サーボ機構を有する圧縮試験機を2台用いて行い、一方の圧縮試験機で超高温熱間鍛造を、隣接したもう一台の圧縮試験機で仕上げ鍛造を行った。超高温熱間鍛造、および、仕上げ鍛造とも、ラム速度200mm/秒で行った。
【0063】
焼入れ焼戻しは、800〜900℃に加熱後1時間保持して水冷し、その後、550〜650℃で焼戻して行った。
【0064】
表2では、靭性としてアーム部から衝撃試験片を採取していることから、仕上げ鍛造条件としてアーム部での対数ひずみを示している。アーム部は、超高温熱間鍛造でφ52〜φ53の素材を高さ33mmまで加工し、その後、仕上げ鍛造で18〜22mmへ加工している。従って、仕上げ鍛造でのアーム部の対数ひずみはln(加工前の素材高さ/加工後の素材高さ)で算出し、例えば、高さ18mmまで加工した場合は、対数ひずみ0.6(=ln(33/18))となる。
【0065】
本発明例1〜4では、素材と金型との接触率が85〜98%で、材料歩留りは72%以上となった。一方、比較例1は、加熱温度が1200℃の一般的な熱間鍛造である。素材サイズもφ53×177と大きく、接触率も93%であるが、材料流動が悪いために歩留りは63%と低い。
【0066】
比較例2は接触率が80%と低い場合であるが、仕上げ鍛造後には未接触部があり、トリミング後も未成形部が残った。比較例3は加熱温度が請求項1の上限より高く、請求項2の範囲内の実施例であるが、金型接触率が86%と請求項2の条件を満足していないため、加熱時に発生した空孔がその後の鍛造で充分に低減することができず、焼入れ焼戻し後の靭性が、同鋼種を用いた本発明例4の半分もない。
【0067】
なお、このような半溶融域まで加熱しても、超高温熱間鍛造時の素材と金型との接触率を高めることにより靭性が確保できることが、次に示す表3における本発明例7、8から分かる。
【0072】
表3は前記(2)の発明に対応した実施例である。
【0073】
表3は前記(1)の発明に対応した超高温熱間鍛造後に、所定の荷重で荷重保持し、その後仕上げ鍛造を行った結果を示す。まずφ60×45mmの素材を所定の温度に高周波で加熱した。超高温熱間鍛造はφ60×45mmの試料を横置きし、44mm(幅)×60mm(長さ)×18mm(高さ)の工具で、素材高さが約30mmとなるまで上下から半密閉加工した。また、ラムの変位量を変えることにより、素材と金型との接触率を種々変化させた。
【0074】
超高温熱間鍛造後にさらに仕上げ鍛造を行うが、仕上げ鍛造は超高温熱間鍛造に用いた圧縮機に隣接した圧縮試験機を用い、平滑圧盤を用いた圧縮加工を行った。加熱方法、鍛造方法は前述するとおりで、ラム速度は200mm/秒の速度で鍛造した。
【0075】
なお、仕上げ鍛造は、超高温熱間鍛造で素材高さ30mmまで加工された試料を、高さ16〜18mmへ加工した。従って、仕上げ鍛造時の対数ひずみは、高さ18mmへ加工した場合は対数ひずみ0.5となる。
【0076】
表3には、熱間鍛造時の鍛造荷重を示すが、荷重保持はその4〜27%で行った。荷重保持終了時の素材温度は放射温度計で測温した素材表面温度である。いずれの場合も所定の条件で10個の試料を鍛造して仕上げ鍛造後の鍛造品の高さを測定した。10個中の最大値の高さと最小高さとの差をHbで同表に示している。
【0077】
表3より、本発明例5〜7でのHbは0.35〜0.41mmであった。一方、参考例1は保持荷重が小さい場合であり、Hbは0.91mmと鍛造品精度が低い。参考例2は、荷重保持終了時の素材温度が高い場合であり、この場合もHbは0.93mmと本発明例の倍近くもある。参考例3は、荷重保持を所定の温度以下となるまで行った場合であるが、Hbは本発明例と殆ど変わりないが、仕上げ鍛造荷重は本発明例の60%増しとなり、金型寿命低下を招くことになる。
【0081】
【表3】
【0083】
【発明の効果】
本発明により鋼材の成形性が著しく高まることにより、従来成し得なかった複雑形状部品の加工や、高い材料歩留りで加工できる。このことは、部品の軽量化を実現するとともに、従来よりも高い生産性,安いコストでの製造を実現できることになり、機械部品の製造において多大の効果をもたらすものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】鍛造実験における鍛造品形状と概略寸法を示す図である。
Claims (2)
- 質量%で0.1%以上0.54%以下の炭素を含有する鋼材を、下限温度を固相線温度×0.94または1255℃の何れか高い方とし、上限温度を固相線温度以下とする範囲に加熱し、該範囲の温度域で、素材表面の85%以上が金型に接触するように超高温熱間鍛造加工した後、さらに、900〜1250℃の温度域で、対数ひずみで0.3〜3の鍛造を加え、その後、焼入れ焼戻しすることを特徴とする機械部品の超高温熱間鍛造方法。
- 前記超高温熱間鍛造加工を行った後、鍛造機の下死点において、少なくとも材料表面温度が900〜1200℃となるまで、鍛造時の最大荷重の10〜27%の荷重で保持することを特徴とする請求項1記載の機械部品の超高温熱間鍛造方法。
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