JP4383128B2 - 抗原検出装置 - Google Patents

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本発明は、抗原を検出する装置に関する。
近年、大気中の花粉、ダニ、カビなどの浮遊微小物質は、アレルギーの原因として、人体に大きな影響を与えている。このようなアレルギーの中でも特に、杉、ヒノキ等の花粉に対してアレルギー引き起こす、いわゆる花粉症患者は年々増加しており、この花粉症の原因となる花粉粒子を計測する手段として、従来、光学的手段を用いた方法が種々提案されている(例えば、特許文献1〜5参照)。
特開平7−43299号公報(要約) 特開平10−318908号公報(要約) 特開2001−183284号公報(要約、図3) 特開2001−264234号公報(要約) 特開2002−82038公報(要約)
しかし、上記特許文献に記載された方法は、単に花粉と同程度の粒子径(50ミクロン前後)の粒子の数を計測するだけであり、アレルギーの直接の原因となるアレルゲンタンパク質(抗原)を検出していないという問題があった。
このため、花粉の抗原と特異的に反応する抗原抗体反応を利用した抗原検出方法が、提案されており、例えば特許文献6には、浮遊微小物質の捕集工程、濃縮・反応工程、検出工程を備え、反応、検出工程において浮遊微小物質と特異的に反応する蛍光抗体標識を反応させ、その後、該標識のついた浮遊微小物質に紫外光を照射しその蛍光発光を受光することによりアレルギーの原因となる大気中の浮遊微小物質を検出する技術が提案されている。
特開平11−14511公報(要約)
また、特許文献7には、抗原抗体反応をチップ内で行うことができる免疫分析マイクロチップが提案されている。図10に基づいて、特許文献7の装置の概要を説明する。1枚の基板60上に、抗原、標識抗体(金コロイド標識抗体)、バッファー液をそれぞれチップに流入するための複数の注入穴部61、抗原抗体反応を生じさせるためのマイクロチャネル反応槽部62、廃液部63、複数の注入穴部とマイクロチャネル反応部とを連結するマイクロチャネル流入部64及びマイクロチャネル反応部と廃液部を連結するマイクロチャネル分離部65が設けられている。
このマイクロチップを用いた抗原検出方法は、抗原や金コロイド標識抗体をバッファー液とともに注入穴部から注入し、マイクロチャネル反応部に移動させ、先にマイクロチャネル反応部に流入させた抗体と抗原抗体反応を生じさせた後、新たなバッファー液を注入穴から注入して、未反応物などを廃液部に流し、その後、マイクロチャネル反応部の光熱変換分析により、抗原の有無や量を調べるというものである。
特開2001−4628公報(要約)
上記特許文献6に記載の技術は、大気中に存在する複数種類のアレルギーの原因物質を補足し検出できるものの、図9に示されるように装置が複雑であるので、小型化を図りにくいという課題を有している。
他方、上記特許文献7に記載の方法は、装置の小型化が可能であるものの、予め抽出した抗原と、標識抗体をマイクロチップ内に注入し、該チップ内で静止した状態で、抗原抗体反応を生じさせるものであるため、抗原と抗体との接触が不十分となり、抗原抗体反応にバラツキが生じる。したがって、この技術は、抗原の有無の判別という定性的な判断には利用できるが、定量的な測定を行うには再現性に乏しいという課題を有している。また、この技術は、1つのマイクロチップを用いて抗原の検出を行うが、この方法では種類の異なる複数の抗原物質を含む浮遊微小物質中の抗原を簡便かつ確実に検出することができないという課題を有している。
本発明は上記課題を解決しようとするものであり、その目的は、複数の抗原物質を含む浮遊微小物質中の抗原を再現性よく検出することのできる抗原検出方法を簡便に実施することのできる抗原検出用チップを組み込んだ抗原検出装置を提供することである。
上記課題を解決するための本発明は、チップ外からチップ内にキャリア液を導入するための導入口を備える導入部と、前記導入部からキャリア液が流入可能なように前記導入部と連通された抗原を抽出する抽出部と、前記抽出部からキャリア液が流入可能なように前記抽出部と連通され、かつ抗原に特異的に反応する認識物質が流去しない状態で保持された反応部と、前記反応部の下流側に位置し、キャリア液をチップ外に導出するための導出口を備えた導出部と、が一枚の基板上に形成されてなる抗原検出用チップと、
前記キャリア液を流通させる流通配管群と、前記キャリア液を前記流通配管群内に流通させる送液手段と、前記抗原検出用チップの反応部に存在する抗原の量及び/又は種類を検出する検出手段と、を備え、前記抗原検出用チップの抽出部と反応部との間に、キャリア液中の不溶性物質を留める分離手段が設けられ、前記抗原検出用チップの導入部と導出部とに、前記流通配管群が連結され、前記送液手段により、前記キャリア液が前記抽出部から前記反応部に向かう順路方向に循環して流通する循環流路が形成される、ことを特徴とする抗原検出装置である。

ここで、“一枚の基板”には、元来一枚であるものはもちろんのこと、2以上の基板が接合されて実質的に一枚の基板となっているものも含まれる。また、“連通”とは、液体が流通できる状態で連結された関係をいい、直接接触し合った連結状態、流路等の他の要素が介在されて連結された状態の双方を含む。
上記抗原検出装置にかかる発明においては、前記抗原検出装置が更に、アレルゲンタンパク質と特異的に反応する標識物質付き認識物質を貯蔵する標識物質付き認識物質一時貯蔵部を有する構成とすることができる。
また、前記アレルゲン検出装置が更に、予め量のわかっている標識物質付きアレルゲンタンパク質を貯蔵する標識物質付き認識物質一時貯蔵部を有する構成とすることができる。
また、前記流通配管群が、前記アレルゲン検出装置の導入部および導出部にそれぞれ脱着可能に連結させることのできる連結手段を備えるものとすることができる。
本発明構成にかかる抗原検出装置は、抗原を含むキャリア液を反応部に2回以上循環して流入させる検出方法を簡便に実施できるという作用効果を奏する。この抗原検出装置は、検出用チップを必須要素とするが、測定時に測定目的物に合わせて検出用チップの種類を選択する等の簡単な操作により、様々な種類の抗原を再現性よく定性、定量することができるという顕著な作用効果を奏する。
本発明を実施するための最良の形態を、抗原としてスギ花粉に含まれるアレルゲンタンパク質を使用した例を用いて、図面を参照しながら説明する。
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1に係る抗原検出用チップ及びこれを用いた抗原検出装置を示す概念図である。図1に示すように、実施の形態1に係る抗原検出装置は、検出用チップ101と、装置本体(チップを除く部分)201とから構成されている。
抗原検出用チップ101は、基板40上に、導入部41、導出部42、抽出部43、反応部44及びそれらを連結する流路45、46、47を有し、更に抽出部43と流路46との間には分離部49が設けられている。ここで、例えば上記導入部41及び導出部42は、直径が100μm以上、深さが50μm〜1mmの穴であり、抽出部43は直径が100μm以上、深さが50μmから1mmの穴からなる。これらの穴の形状(基板の垂直方向から見た形状)は円形、正方形、長方形等何れであっても良い。
分離部49は、複数の円柱を約5〜50ミクロンの隙間を空けた構造になっており、この分離部49は、花粉粒子や割れた花粉の殻、砂などの不溶性粒子が反応部44に流入しないようにするためのものである。すなわち、キャリア液が抽出部43から流路46に流れる時、花粉の殻等は分離部49の柱によって止められる。よって、花粉の殻等の不溶成分と抗原(アレルゲンタンパク質)などの溶解成分とを分離することができる。ここで、前記分離部49の隙間は、花粉の殻、砂等の不溶物質の最大径よりも小さく構成されていることが好ましく、不溶物質の最小径よりも小さく構成されていることが更に好ましい。
反応部44は、アレルゲンタンパク質(抗原)と認識物質(抗体)とを反応させる部位であり、反応部44には直径約50ミクロンのビーズ50が複数配置されており、このビーズにはアレルゲンタンパク質と特異的に反応する認識物質が固定され保持されている。また、反応部44の下流側にある流路47は、その幅がビーズ50の直径よりも小さく形成されている。よって、反応部44に配置されたビーズ50が流路47側に流去することがない。この例では、スギ花粉の抗原と特異的に反応する抗体(例えば、抗Cry j−1モノクローム抗体)がビーズ50の表面に固定保持されており、キャリア液に抽出され、反応部44に移動したスギ花粉抗原がビーズ表面の抗体と結合し、ここに留まることになる。
このようなチップ構造は、ウェットエッチング等を用いてガラス基板等を加工することにより容易に形成することができ、チップ形成用の基板40としては、例えば、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、ガラス、プラスチック材料を用いることができる。また、チップ基板40上に形成される流路45、46、47の横断面形状としては、正方形、長方形、台形等の形成が一般的な形状として例示でき、流路の底を円の一部のように丸くしてもよい。
図1には示していないが、このチップは基板40の上に蓋板(材質は基板40と同様)で覆われている。この蓋板は、導入部41、導出部42、及び抽出部43のそれぞれに対応する位置に対応する孔が設けられている。このうち抽出部43上の孔は、外気中からアレルゲン含有粒子を取り入れるためのものである。なお、抽出部43へのアレルゲン含有粒子の取り込みが、外付けの吸引装置を介して外気中からアレルゲン含有粒子を強制的に取り込む方法であってもよく、また、粒子を取りこむ捕集部を別途設ける構成としてもよい。
ここで、分離部49の構造として、複数の円柱を並べた構造を示したが、これに限定されるものではない。例えば不溶物のサイズ以下の平均空孔サイズをもつゲル状高分子を、抽出部と反応部との境界または両者を繋ぐ流路内に設けてもよい。また、同様な箇所に目開きが不溶物のサイズ以下であるフィルタを配置してもよい。また、図6に示すように、抽出部43と反応部44を繋ぐ流路46に深さが不溶物のサイズ以下となる隘路を設けてもよい。
また、導出部等は上記したサイズに限定されるものではない。また、反応部50内のビーズが流去しないようにするために、流路47をビーズ50の径よりも小さく形成しているが、この構造に限定されるものではない。例えば、反応部44の下流側に、分離部49のような隘路を設けてもよい。またビーズ50を磁性ビーズとし、外部から磁力を作用させて反応部に固定してもよい。
また、反応部44は、その中に認識物質の固定されたビーズ50を配するのではなく、反応部44(その上部に位置する蓋の内壁を含む)壁に認識物質を直接固定し保持させてもよい。固定方法としては、吸着、共有結合などが例示できるが、共有結合の方がより堅固に固定されるので好ましい。
なお、抽出部43と反応部44との間に、液の流れを開閉する手段を設ける必要がないときには、抽出部43と反応部44との間に流路46を設けなくてもよい。
また、抗原検出用チップ101は、装置本体201から脱着可能に構成されており、アレルゲン検出に使用するまでの間、他の物質の混入を防止し、抗体活性を失活させないことが必要である。したがって、装置本体201から取り外し、チップ101単独で密閉包装し、冷蔵又は冷凍保存することが好ましい。この場合、固体状態(キャリア液を含まない状態)であってもよく、キャリア液に溶解した状態であってもよい。
次に検出用チップ101に連結される装置本体201について説明する。装置本体201は、チップ101の導入部41の導入口に連結してチップ101内にキャリア液を流入させる流通配管51aと、導出部42の導出口から流れ出るキャリア液を装置本外部側に導く流通配管51b、装置本体201内でキャリア液が流れる51c、キャリア液の流れを制御するコック48a〜d、キャリア液を送液するポンプ52(送液手段)、キャリア液を貯蔵するキャリア液タンク53(キャリア液貯蔵部)、標識物質付認識物質を含む標識物質付認識物質溶液タンク(標識物質付認識物質一時貯蔵部)54、標識を検出する検出手段55、過剰な標識物質付認識物質等を廃液する廃液タンク56を備えている。この例では、標識物質付認識物質溶液タンクには、キャリア液に溶解した標識物質付認識物質(標識抗体)が含まれるが、固体状態で存在していてもよい。
ポンプ52は、流路内にキャリア液を流通させるためのものであり、マイクロリットル/秒からミリリットル/秒の液を流すことのできるマイクロポンプやシリンジタイプなどの送液ポンプが利用できる。
流路変更手段であるコックについては、特段の制約はないので、通常のものが使用できる。流通配管群についても同様である。
装置本体201とチップ101とを液漏れさせることなく連結するために、流路を結合することのできる種々の連結具を利用することができる。例えば吸盤形状のゴム製連結具を用いることができ、配管群の末端にこのようなゴム製連結具が設けられていると、チップ101の導入口や導出口にこの連結具を押し当てることにより簡単に両者を連結でき、両者間で液を流通させることが可能になる。なお、このような連結具をチップ101側に設けてもよく、この場合にも同様な便宜が得られる。
上記検出手段55は、適用する測定方法に応じて具体的構成が変わるが、例えば蛍光標識法により検出する場合は、紫外線を発生させる光源、紫外線をチップの反応部に照射するための光学系、及び標識抗体からの蛍光を検出するディテクターから構成される。
実施の形態1に係る抗原検出装置は、上記チップ101と装置本体201とからなる。次にこの抗原検出装置を用いたアレルゲンタンパク質(抗原)の検出方法について説明する。
工程1
まず、図1に示すように、装置本体201のコック48cから導出した流通配管51aをチップ101の導入部41の導入口に連結するとともに、導出部42の導出口に流通配管51bを連結する。
工程2
コック48a、48b、48cを調整し、導入部41、流路45、抽出部43、流路46、反応部44、流路47、導出部42、流通配管51b、流通配管51c、ポンプ52、流通配管51aからなる循環流路を形成する。ポンプ52を駆動させるとともに、コック48dを開放しキャリア液タンク53内のキャリア液を循環流路に供給し、循環流路内をキャリア液で満たす。この工程は、流路内の空気を追い出す工程であり、これによりチップ内への空気の混入を防止することができる。
工程3
次に、抽出部43の上部開口からスギ花粉を取り込んだ後、ポンプ52を駆動させることにより、抽出部43にキャリアが導入され、キャリア液中に花粉表面や内部のアレルゲンタンパク質が抽出される。この抽出キャリア液を少なくとも2周り以上流路内を循環させる。所望回数だけキャリア液を循環させた後、コック48aを操作して、チップ内のキャリア液を廃液タンク内に流すようにするとともに、コック48dを開きキャリア液タンク53から新鮮なキャリア液が供給されるようにする。この状態で数分間かけてチップ内のキャリア液を廃液タンクに廃液しつつ、流路内を新しいキャリア液に入れ替える。
なお、キャリア液タンク53内には、新鮮なキャリア液が貯蔵されており、タンク内圧が循環流路よりも高くしてある。したがって、タンク53内のキャリア液が循環済みのキャリア液で汚染されることはない。
ここで、スギ花粉の取り込み方法としては、抽出部43の上部開口へスギ花粉等が自然落下するのを待ってもよく、また吸引等して捕集してもよい。また、別途で捕集したスギ花粉等を入れる方法であってもよい。上記キャリア液としては、アレルゲンタンパク質及び認識物質を変性させない溶媒であればよいが、被検出物がスギ花粉の場合には、抽出性、安定性の面から、弱アルカリ性炭酸水素アンモニウム溶液を用いるのがよい。更に、花粉粒子からアレルゲンタンパク質を効率よく抽出する方法として、抽出部43に磁性ボールを配置しておき外部より磁力を作用させてボールを揺動させるボールミル方式を採用するのもよい。
また、反応部44における反応効率を一層高める好ましい方法としては、例えばビーズ50を磁性体で構成し、外部より磁力を作用させることによりビーズ自体をランダムに揺動させ方法が挙げられる。この方法であると、抗原と抗体とが反応する機会が格段に増加し、反応効率が高まる。
工程4
次に、コック48b、48cを操作して、標識物質付認識物質タンク54に貯蔵されている標識物質付認識物質を流路内に導入し、上記と同様に操作して、標識物質付認識物質(標識抗体)を含むキャリア液を流路内に循環させる。これにより、工程1〜3で反応部に結合されたアレルゲンタンパク質と標識物質付認識物質とが反応する。ここで、標識物質付認識物質としては、例えば蛍光色素標識物質をつけたCry j−1のモノクローム抗体等を用いる。なお、Cry j−1はスギ花粉に含まれるアレルゲンタンパク質である。
工程5
標識抗体を含むキャリア液を所望回数だけ循環させた後、コック48aを操作して、チップ内のキャリア液が廃液タンクに流れるようするとともに、キャリア液タンク53から新鮮なキャリア液が供給されるようにして、反応部に残存した過剰な標識付き抗体を洗い流す。
工程6
反応部44上に設けた検出手段55より反応部44に紫外線を照射し、蛍光強度を測定する。これによりアレルゲンタンパク質の量が定量できる。
工程7
以上により1回の測定が終了する。次の測定を新しいチップで行う場合には、チップ101を入れ代える。
工程7−2
他方、同一のチップを用いて、引き続いて測定を行う場合には、抽出部43に残っている花粉殻等を除去する。なお、同一のチップを用いて複数回の測定を行う方式を採用する場合には、チップ101に残留した花粉殻を取り除く手段を設けるのが好ましい。この手段としては、例えば抽出部43に大開口をもった花粉殻除去口を付設し、かつ抽出部43と花粉殻除去口との間に開閉バルブを設けて、バルブ開放状態で洗浄用キャリア液を流すことにより、花粉殻を花粉殻除去口から洗い流す方法が例示できる。
工程7−3
花粉殻を除去後、導入部41の導入口から、反応部に結合している認識物質−アレルゲンタンパク質複合体および認識物質−標識物質付きアレルゲンタンパク質複合体からアレルゲンタンパク質(抗原)及び標識物質付きアレルゲンタンパク質(標識抗体)を分離するイオン濃度の溶液を流し、導出部42を通じて廃液タンク56に排出する。この作業の後、キャリア液を流して、抽出部、反応部、及び関連する流路を洗浄する。これにより、反応に用いた標識抗体は全て除去されるので、連続測定を行うためには、標識物質付き認識物質タンク54に再び標識物質付き標識物質を加えるか、もしくは標識物質付認識物質タンクを複数設けておく必要がある。上記工程7−2,7−3は、順序が逆であってもよい。
ところで、上記では、スギ花粉を例にして説明したが、他の抗原についても本発明が応用できることは勿論である。また、上記では、一種類の抗体を用いた場合について説明したが、大気中のアレルゲン含有粒子(浮遊微小粒子)は多様であり、また、一つのアレルゲン含有粒子に二種以上のアレルゲンが含まれる場合もあるので、大気中の粒子には多種類のアレルゲンが含まれることが多い。多種類のアレルゲンタンパク質(抗体)を同時に検出する場合は、例えば反応部に多種類の抗体を配置し、標識物質付き認識物質一時貯蔵部12に標識抗体として抗体の種類毎に蛍光色の異なる蛍光色素を付けたものを用意することで、多種類の抗原を蛍光色の違いにより同時に検出することができる。また反応部を複数個設け、それぞれに異なる抗体及び標識抗体を配置し、標識付き認識物質溶液タンク内にそれぞれに対応した標識付き認識物質を用意する方法を採用してもよい。
また、上記では、抗原を抗体と標識抗体で挟む、所謂サンドイッチ法と呼ばれる方法を用いた場合を例として説明したが、他の公知の方法を用いてもよい。例えば、競合反応を利用する方法(競合反応法)がある。この方法は、予め量が分かっている固定化した抗体(固定化抗体)に対して、測定する抗原(測定抗原)と、予め量が分かっており、且つ標識を付けた測定する抗原と同種の抗原(標識抗原)を競合させて反応させ、標識抗原と反応して形成された固定化抗体−標識抗原の量を測定し、その標識量から測定抗原の量を算出する方法である。この競合反応においても、測定抗原と標識抗原との両者(混合キャリア液)を同時に循環させることにより、抗原抗体反応の機会を多くすることができるので、検出の再現性や検出精度が向上する。
この場合、標識物質付き認識物質溶液タンク54の代わりに、予め量のわかっている標識物質付きアレルゲンタンパク質を含む標識物質付きアレルゲンタンパク質溶液タンク(標識物質付きアレルゲンタンパク質一時貯蔵部)57とし、工程3において循環流路を、標識物質付アレルゲンタンパク質溶液タンク57に貯蔵されている標識抗原を抽出部に導入し、抽出部で抽出された抗原と混合され、混合キャリア液となして、反応部に循環して流す構成とすればよい。競合法を用いる場合、更にチップ101の反応部に含まれる認識物質の量も予めわかっていることが必要である。この場合、標識抗体を導入する必要がないので、工程4は不要になる。
認識物質や、標識抗原量が予めわかっていることが必要であるのは、チップ101の反応部に含まれる認識物質の量が過大であり、抽出されたアレルゲンタンパク質及び標識物質付きアレルゲンタンパク質の量が過小である場合、両アレルゲンタンパク質全てが、反応部に含まれる認識物質と反応して複合体を生成し、正確なアレルゲンタンパク質量が検出できない等の不具合が生じるからである。
また、上記では、抗原抗体反応を例に説明したが、アレルゲンタンパク質を認識する反応であれば、抗原抗体反応に限られるものでなく、抗体以外のアレルゲンタンパク質を認識する認識物質、例えばペプチド、DNA、RNAやアレルゲンタンパク質と特異的に反応する反応基をもつ高分子化合物又は低分子化合物などを用いてもよい。
また、上記では蛍光色素標識を用いて検出する方法を説明したが、これ以外にも、従来提案されている酵素標識法、金コロイド法、ラジオアイソトープ標識法、水晶振動子法、化学発光物質による方法、表面プラズモン共鳴法などの検出方法を用いることができる。
例えば、酵素標識の場合、標識として例えばグルコース分解酵素を用いるときには、上記の工程5の後に、反応部44にグルコース溶液を流して、反応部44に形成された抗体−抗原−標識抗体複合体とグルコースとを反応させる。この方法を実施するには、例えば、予め装置本体201にグルコース溶液を入れたタンクを設けておき、これと送液手段を接続して、キャリア液の場合と同様にしてグルコース溶液を循環させ、抗体−抗原−標識抗体複合体と反応させる。そして、この反応によって生じた過酸化水素を反応部に設けた過酸化水素検出電極により検出し、検出した電圧又は電流を本体201に設けた検出手段で必要に応じて増幅すればよい。この工程では、循環中に電流又は電圧をモニタリングすることで、反応の完了を判定することができる。
なお、例えば水晶振動子法を用いる場合には、標識物質付き認識物質は必要でないので、標識物質付認識物質タンク54がなくてもよい。
[実施の形態2]
本発明の実施の形態2を図2に基づいて説明する。図2に示すように、実施の形態2の抗原検出装置は、少なくとも、抗原検出用チップ102と装置本体202から構成され、上記実施の形態1と同様に、抗原検出用チップ102と装置本体202とは脱着自在に構成されている。
先ず装置本体202について説明する。装置本体202は、チップに注入する液を溜めておく貯蔵手段2、チップに液を流すための送液手段3、流量調整をするバルブ23a、23b、23cを有する流量調整手段、流路を変えるコック22a、22b、22c、22dを有する流路変更手段、チップ102に設けた開閉手段(マイクロバルブ15a、15b)を作動させるためのマイクロバルブ駆動手段(図示せず)、以上の各手段の動作を制御する制御手段4、液を流通させるための流通配管群5、5a、5b、5c、5d、チップと流通配管群を連結するための連結手段6、抗原抗体反応の後、抗原の有無を検出するための検出手段7、及び使用後のキャリア液や洗浄液を捨てる廃液溜24を備えている。
上記貯蔵手段2としては、一般的なマイクロタンクがそのまま利用でき、タンク内には抗原を抽出するためのキャリア液等が溜められている。後述するが、流路内を循環中のキャリア液には抗原や標識抗体、その他の溶解性物質が含まれているので、このようなキャリア液と貯蔵タンク内の新鮮なキャリア液と分ける必要がある。このため、この貯蔵手段2(タンク2)では、循環中のキャリア液が流れる部分2aと、流路内に新鮮なキャリア液を供給する部分2bとに分けられている。
流量調整手段等の動作を制御する制御手段4については、コンピュータを備え、予め設定されたプログラムにしたがって自動的に制御できるものが好ましいが、手動で制御するものであってもよい。
また、送液手段(ポンプ)、コック、流通配管群は、上記実施の形態1と同様のものを用いることができる。また、流路を開閉するバルブは、公知のマイクロバルブを用いればよい。
また、連結手段6a〜dは、装置本体202とチップ102とを液漏れさせることなく連結するために、上記実施の形態1で示した流路を結合することのできる種々の連結具を利用することができる。
廃液溜24は、流路内のキャリア液を入れ替える場合や、流路を洗浄した後の洗浄液等を捨てるためのタンクであり、タンクの形状、材質等については特段の制約はない。なお、装置本体202から外部に廃液を捨てる必要があるが、廃液溜24は必ずしも必要ではない。
検出手段7は、チップ102の反応部11(後記)に化学的に固定された抗原(アレルゲンタンパク質)の種類及び/又は量を検出するものであり、上記実施の形態1と同様なものを用いればよい。
なお、装置本体202において重要なのは、キャリア液をチップ102に供給し循環させることであるので、これが満たされているのであれば、貯蔵タンク2(貯蔵手段2)、送液ポンプ3(送液手段3)、検出手段7、バルブ群、コック群、配管群、連結手段6、廃液溜24などの数や配置などは、図2に示されるものに限定されない。
次に、実施の形態2における検出用チップ102について説明する。
実施の形態2の検出用チップ102は、大気中から花粉を収集することのできる開口を有し、取り込まれた花粉から抗原(アレルゲンタンパク質)を抽出する抽出部10と、検出目的物である抗原に特異的に反応する抗体(認識物質)が流去しない状態で保持させられた反応部11と、抗原−抗体複合体と特異的に反応し、反応により抗原−抗体−標識抗体複合体を形成する標識抗体が保存されている標識物質付き認識物質一時貯蔵部12と、装置本体202からチップ102内にキャリア液を流入させるための導入口を備えた導入部13aと、装置本体202からチップ102内の標識物質付き認識物質貯蔵部12にキャリア液を流入させるための導入口を備えた第2の導入部13cと、チップ102からキャリア液を装置本体202側に流出させるための導出口を備えた導出部13b、13dと、チップ102内にキャリア液を流す流路14a、14b、14c、14d、14e、14fが基板40上に形成され、更にチップ内の液の流れを遮断または通過させる開閉手段としてのマイクロバルブ15a、15bが基板40上に設けられている。
この基板40は蓋板(図6の符号31を参照)で覆われており、蓋板は上記導入部および導出部の導入口、導出口部分と、抽出部11の開口部分には開口が設けられた構造になっており、基板40と蓋板は一体化された構造になっている。なお、抽出部11上の開口は花粉を取込む取込穴9であり、この取込穴9の上には必要に応じ開閉できる開閉蓋を設けてもよい。
基板40や蓋板には、上記実施の形態1と同様の材料を用いることができる。基板40に形成された導入部13a、13c、導出部13b、13dは、直径が100μm以上、深さが50μmから1mmの縦穴であり、抽出部10は、直径が100μm以上、深さが50μmから1mmの縦穴である。この抽出部10は流路14aを介して導入部13aとと連通しており、下流側に位置する流路14bとの間には、図6の符号49に示すと同様な分離部が設けられている。この分離部49は、蓋板との隙間が花粉や花粉の殻、砂等の不溶物質のサイズ以下(例えば20μm以下)となるようにした隘路であり、このような隘路を設けると、キャリア液が抽出部10から流路14bに流れるときに、花粉の殻等がせき止められるので、花粉殻等の不溶物と抗原などの溶解物とを分離することができる。
反応部11は、花粉の抗原と抗体とを反応させる空間であり、ここには被検出物である特定の抗原と特異的に反応する抗体が固定保持されている。抗体の固定保持方法については実施の形態1の場合と同様にすればよい。反応部11の形状は、抽出部と同様でよく、例えば円柱形状の縦穴、半球状の形状、直方体形状の穴とする。大きさは100μm以上で、深さは50μmから1mmが好ましい。
標識物質付き認識物質一時貯蔵部12は、標識物質を結合した標識抗体(標識物質付き認識物質)を貯蔵する部位であり、標識抗体はそのままの状態で貯蔵されていてもよく、ビーズなどの担体に保持させた状態でもよい。但し、ビーズなどの担体に保持させた場合においても、キャリア液の流れによって標識抗体が流路14f流出することを防止する必要があり、ビーズの流出を防止する構造とするのがよい。この構造は、上記実施の形態1における分離部と同じでよい。また、標識抗体が、反応部11内にとどまることを防止するため、流路14cを通って装置本体202に導出される構造であることも必要である。
チップ102内の流れを開閉する開閉手段(マイクロバルブ15a、15b)は、微小な流れを開閉できるものであれば公知の種々な手段が利用できる。例えば熱により膨張し、冷却するともとにもどる性質を有する図7に示されるような形状の樹脂成形物(樹脂膜21)が使用できる。この樹脂膜21は、狭い流路に設けられているので、装置本体202に設けられたマイクロバルブ駆動手段(図示せず)により光照射され又はヒーターで加熱されると体積膨張して流路を塞ぐ一方、光照射又はヒーター加熱を止め樹脂膜の温度が下がると、体積が元に戻り流路が開かれる。よって、流路の開閉を制御できる。
流路14a、14b、14c、14d、14e、14fは、幅0.1μmから1mmであり、深さは深さは0.1μmから1mmの溝である。その断面形状は、例えば矩形、台形であり、流路の底は円の一部のように丸くなっていてもよい。ただし、これらのサイズ、形状に限定されるものではない。
以上に説明した実施の形態2に係る抗原検出用チップ102は、標識物質付き認識物質一時貯蔵部12(実施の形態1でいう標識物質付認識物質タンク)を装置本体202ではなくチップ102内部に設けた点で、実施の形態1のチップ101と異なる。このような実施の形態2に係る抗原検出装置を用いた抗原検出方法を、サンドイッチ法を例として図2を参照しながら以下に説明する。
なお、ここでは標識物質付き認識物質一時貯蔵部12に含まれる標識物質付き認識物質(標識抗体)が不溶性担体に固定されているとして説明する。

工程1
まず、チップ102を装置本体202に装着する。装着に際しては、チップ102の導入部・導出部13a、13b、13c、13dの導入口および導出口と、それらに対応する装置本体側の配管群5a、5b、5c、5dとを連結手段6a〜dを介して連結する。
工程2
次に、マイクロバルブ15aを開け、15bを閉じて、貯蔵手段2内のキャリア液を経路2bから配管5bに供給し、導入部13a、13cを介して抽出部10、反応部11、標識物質付き認識物質一時貯蔵部12に流入させる。この場合、キャリア液の流れが、装置本体202内の貯蔵手段から配管5bを通り、導入部13aの導入口を介してチップ102に入り、更に流路14a、抽出部10、流路14b、反応部11、流路14c、導出部13bを通って装置本体202内の配管5に流れ込み、送液手段3を経て貯蔵手段2のバイパス2aに戻るルートと、貯蔵手段2から配管5bを通り、コック22cで分流されて、コック22bを経て、5cをとおり、第2の導入部13cからチップ102に入り、流路14d、標識物質付き認識物質一時貯蔵部12、流路14f、導出部13dを通って本体202内の配管5dに入り、送液手段3を経て貯蔵手段2のバイパス2aに戻るルートとなるように、制御装置4により、装置本体202内のコック22a、22b、22c、22d及びバルブ23a、23b、23cを制御する。2つのルートに沿って流す操作は同時に行ってもよく、また一方のルートに沿って流した後、もう1つのルートに沿って流す方法としてもよい。予め、抽出部10、反応部11、標識物質付き認識物質一時貯蔵部12などの容積は分かっているので、制御手段4により必要量だけ流入して、流入を止める。
ここで第2の導入部13cから流入したキャリア液の流路系の標識物質付き認識物質一時貯蔵部12と流路14fの間には、標識抗体の固定された担体の大きさよりも幅又は厚みを小さくした流路を設ける。このような構成とすることにより、標識抗体が本体202に流れ込まないようにできる。
以上の操作により、チップ102内の各流路、及び抽出部10、反応部11、標識物質付き認識物質一時貯蔵部12をキャリア液で満たすことができる。これにより、キャリア液中に空気などの気体が混入するのを防ぐことができ、以降の工程での反応を確実に行うことができる。
工程3
次に、マイクロバルブ15bを閉じた状態で、キャリア液が、送液手段3により、貯蔵手段2、配管5b、導入部13a、流路14a、抽出部10、流路14b、反応部11、流路14cを通って装置本体202内の配管5に戻して循環するように、装置本体202内のコック22a、22b、22c、22d及びバルブ23a、23b、23cを操作する。
キャリア液を上記のルートで循環させながら、取込穴9から一定時間花粉を収集する。この時必要であれば、大気を強制的に吸引する手段を設けてもよい。花粉は、取込穴9からチップ102の抽出部10内のキャリア液に入り、花粉表面又は内部に含まれるアレルゲンタンパク質(抗原)がキャリア液中に抽出される。この時、必要であれば、抽出部に大きさが1μmから100μmの複数の磁性ビーズを配置して、別途本体に設けた磁性ビーズ攪拌手段で磁性ビーズを運動させる方法により、花粉をキャリア液中で攪拌するのもよい。このようにすると、花粉からの抗原抽出効率が向上する。
キャリア液は、上記循環ルートを循環しているので、花粉から抽出された抗原は、順次流路14bを通り、反応部11に送られる。この時、花粉の殻等はキャリア液に不溶であり、この花粉のからが反応部に混入すると正確な検出・計測が難しくなるので、花粉の殻等の不溶物質とキャリア液に溶けている抗原や他のタンパク質などの可溶物質とを分離する必要がある。この分離は、上記実施の形態1で示したものと同様でよい。また、上述の磁性ビーズによる攪拌を併用することで、花粉の殻により分離部がつまるということを防ぐことができる。
反応部11送られた抗原は、反応部に設けられた抗体と抗原抗体反応を起こし、抗原は反応部に固定される。抗原抗体反応は、抗体の抗原に対する特異的な反応性、抗原と抗体が出会う機会に左右され、1回の反応過程で、すべての抗原が抗体と反応するとは限らない。しかし、この実施の形態では、花粉収集中にキャリア液を送液手段3により、貯蔵手段2、配管5b、導入部13a、流路14a、抽出部10、流路14b、反応部11、流路14c、導出部13bを通って本体202内の配管5に戻すという循環を連続的に繰り返す構成を採用して、抗原と抗体とが反応する機会を多くしているので、未反応の抗原量を少なくでき、結果として毎回の測定の再現性を高くできる。この循環は、花粉取込穴9に蓋をして、花粉の収集を止めた後も、抽出された抗原を抗体と反応させるために、しばらく循環を続けることが好ましい。
他の方法としては、例えば花粉収集中はマイクロバルブ15a、15bを閉じて、抽出部10と反応部11とを独立させ、一定時間後、例えば花粉取込穴9に蓋をして、花粉の収集を止めた状態で、マイクロバルブ15aを開放して、装置本体202内の送液手段3により、貯蔵手段2、配管5a、導入部13a、流路14a、抽出部10、流路14b、反応部11、流路14c、導出部13bを通って本体202内の配管5に戻して循環するように、本体202内のコック23a、23b、23c、23d及びバルブ23a、23b、23cを操作して、キャリア液の循環を行う方法である。この方法においても、本発明の特徴である循環により抗原抗体反応を確実に行わせることができる。
工程3終了後、すぐに以下の工程4に移ってもよいが、系内に残留した可溶物質等を洗浄するために一度工程3で循環させたキャリア液を排出し、新しいキャリア液でチップ内の流路14a、抽出部10、流路14b、反応部11、流路14cのキャリア液を置き換えることが好ましい。この場合、装置本体202内の送液手段3により、貯蔵手段2、配管5bを通り、導入部13aからチップ内に入り、流路14a、抽出部10、流路14b、反応部11、流路14c、導出部13bを通って本体202内の配管5に戻し、コック22dを経て廃液溜め24に入るように、装置本体202内のコック22a、22b、22c、22d及びバルブ23a、23b、23cを操作する。
本操作により、花粉から抗原とともに抽出された抗原以外の溶解物を反応部から除去することができ、より効果的に、後に続く抗体−抗原複合体と標識抗体との反応性を上げることができる。
工程4
工程3の循環を停止した後、バルブ15aを閉じて、バルブ15bを開放し、本体202内のバルブ23a、23cを閉じて、バルブ23bを開放することで、キャリア液が装置本体202内の送液手段3により、貯蔵手段2から配管5a、5cを通り、第2の導入部13cからチップ102内に入り込み、流路14d、標識物質付き認識物質(標識抗体)一時貯蔵部12、流路14e、反応部11、流路14c、導出部13bから装置本体202の配管5へ戻る循環ルートを通して循環させる。反応する標識抗体の量は、抗原の量により変化するので、全ての抗体−抗原複合体と反応させるために、標識抗体は予め過剰に保存していることが好ましい。
不溶性担体に固定された標識抗体は、この循環により反応部11に送られ、反応部11で、工程3で形成された抗体−抗原複合物と反応し、抗体−抗原−標識抗体複合体を形成する。この工程でも、先に形成されたすべての抗体−抗原複合体と標識抗体とを効率よく反応させるために、上記のような循環ルートを通じて標識抗体を循環させることで、抗体−抗原複合体と反応する機会が増加し、また常に標識抗体を含むキャリア液を流している状態で反応させているので、抗原抗体反応の反応効率検出結果の再現性が高まる。
工程5
また、反応部で形成された抗体−抗原−標識抗体複合体の量を検出するためには、反応部に残っている未反応の標識抗体を取り除く必要がある。このため、装置本体202内の送液手段3により、貯蔵手段2、配管5b、5cを通り、導入部13cからチップ内に入り、流路14d、標識物質付き認識物質一時貯蔵部12、流路14e、反応部11、流路14c、導出部13bを通って本体202内の配管5に戻し、コック22dを経て廃液溜め24に入るように、装置本体202内のコック22a、22b、22c、22d及びバルブ23a、23b、23cを操作し、未反応標識抗体含有キャリア液を、本体202内に設けた廃液タンク24に流す。
工程6
次に、反応部11に形成された抗体−抗原−標識抗体複合体の検出を、装置本体202内に設けた検出手段7で行う。例えば、標識として蛍光材料を用いた場合では、検出手段7に設けた紫外線光源から紫外線を検出手段7に設けた光学系を介して反応部の抗体−抗原−標識抗体複合体に照射し、標識である蛍光材料から発光される蛍光を検出手段7に設けたディテクターにより検出することで、抗原の有無、抗原の量を測定することができる。
工程7
以上により1回の測定が終了する。次の測定を新しいチップで行う場合には、チップ102を入れ代える。
工程7−2
他方、同一のチップを用いて、引き続いて測定を行う場合には、抽出部10に残っている花粉殻等を除去する。なお、同一のチップを用いて複数回の測定を行う方式を採用する場合には、チップ102に残留した花粉殻を取り除く手段を設けるのが好ましい。この手段としては、例えば抽出部10に大開口をもった花粉殻除去口を付設し、かつ抽出部40と花粉殻除去口との間に開閉バルブを設けて、バルブ開放状態で洗浄用キャリア液を流すことにより、花粉殻を花粉殻除去口から洗い流す方法が例示できる。
工程7−3
花粉殻を除去後、導入部13aの導入口から、反応部に結合している認識物質−アレルゲンタンパク質複合体および認識物質−標識物質付きアレルゲンタンパク質複合体からアレルゲンタンパク質(抗原)及び標識物質付きアレルゲンタンパク質(標識抗体)を分離するイオン濃度の溶液を流し、導出部13bを通じて廃液溜24に排出する。この作業の後、キャリア液を流して、抽出部、反応部、及び関連する流路を洗浄する。上記工程7−2,7−3は、順序が逆であってもよい。
これにより、反応に用いた標識抗体は全て除去される。このため、再度同じチップを用いて検出を行うためには、図3に示すように、標識物質付き認識物質一時貯蔵部12と、それと反応部11を連結するマイクロバルブの付いた流路14eと、本体と連結できる導入・導出部13c、13dと、それと標識物質付き認識物質一時貯蔵部12を連結する流路14d、14fと、マイクロバルブ15bを含む標識物質付き認識物質一時貯蔵部セットA(図中、破線四角で囲んだ部分)を複数個設ける構成を採用するとよい。
この場合、1つのセットを使用して検出を行っている時には、他のセットが関与しないようにチップ上のマイクロバルブ又は本体のコック、バルブ類を調整し、また、該標識物質付き認識物質一時貯蔵部セットAを用いて上記工程1から工程6まで行った後、上記実施の形態1で説明した工程7−2,7−3を行い、別の標識物質付き認識物質一時貯蔵部セットA’を用いて、新たに工程1から工程6を行えばよい。
実施の形態2では、標識抗体が不溶性担体に固定化したものを例に説明を行ったが、不溶性担体に固定化させない場合には、上記の工程2を以下に示す工程2’に置き換えればよい。
工程2’
次に、マイクロバルブ15aを開け、15bを閉じて、送液手段3により、貯蔵手段2内のキャリア液を導入部13a、13cを介して抽出部、反応部、標識物質付き認識物質一時貯蔵部12に流入する。
この時、装置本体202では、キャリア液が配管5と配管5bを通る送液ルート及び配管5、5b、5c、5dのルートを流れるように、コック22a、22b、22c、22d及びバルブ23a、23b、23cを操作する。キャリア液は、装置本体202内の貯蔵手段2から配管5bを通り、導入部13aからチップ102に入る。チップ内では、流路14a、抽出部10、流路14b、反応部11に入り、その後流路14c、導出部13bを通って本体202内の配管5に流れ込み、送液手段3を経て貯蔵手段2に戻る。
他方、コック22cは、配管5cにもキャリア液が流れるように制御されているので、キャリア液は、配管5cからチップ102の第2の導入部13cから入り、流路14d、標識物質付き認識物質一時貯蔵部12、流路14f、導出部13dから装置本体202の配管5dに入る。この時、標識物質付き認識物質一時貯蔵部12内の標識抗体がチップ外に流出しないよう、バルブ23bで調整する。
これは、予め標識物質付き認識物質一時貯蔵部12及び配管の容積が分かっているので、流速から計算した時間制御でも制御できる。また、標識として、蛍光色素など光学的に検出できる標識を用いた場合は、例えば、装置本体202の導出部13d付近に光学的検出手段を設けて、配管5d内の標識抗体を検出することと、バルブ23bの操作を連動させることでも実現できる。導入部13aからキャリア液を入れる工程と第2の導入部13cから入れる操作は、同時に行っても、一方の操作を行った後、もう1つの操作を行ってもよい。
また、実施の形態2においても、上記実施の形態1と同様に、競合反応法を用いることもできる。この場合、チップ102の標識物質付き認識物質一時貯蔵部12に標識抗体の代わりに、予め量のわかった標識抗原を存在させて標識物質付きアレルゲンタンパク質一時貯蔵部17となし、反応部11に固定された抗体の量が予めわかっている点が異なるだけで、他のチップ構成、本体構成は同じでよい。検出方法は、上記実施例の工程4及び5を省いて、工程3を以下のような工程3’に置き換えることもできる。この場合、他の工程は上記実形態と同様でよく、工程1−工程2−工程3’−工程6という工程を行えばよい。必要であれば、工程6の後、上記実施の形態1で説明した工程7、工程8を行う。また、図3に示すように、標識物質付きアレルゲンタンパク質一時貯蔵部17を含む標識物質付きアレルゲンタンパク質一時貯蔵部セットAを複数設けてもよい。
次に、競合法を用いた場合の検出方法について説明する。
検出用チップの構造として、サンドイッチ法と大きな差はないが、標識物質付き認識物質一時貯蔵部12として形成されている穴に、予め量のわかった標識物質付きアレルゲンタンパク質が含まれ、この穴は標識物質付きアレルゲンタンパク質一時貯蔵部17として機能する。また、チップの反応部に存在する認識物質量も予めわかっていることが必要である。
工程1,2
上記サンドイッチ法と同様でよい。
工程3’
次に、マイクロバルブ15a、15bを開放した状態で、キャリア液が、送液手段3により、貯蔵手段2、配管5a、導入部13a、流路14a、抽出部10、14b、反応部11、流路14c、導出部13bを通って本体202内の配管5に戻すルートと、送液手段3により、貯蔵手段2、配管5a、5cを通り、導入部13c、流路14d、標識物質付きアレルゲンタンパク質一時貯蔵部17、14e、反応部11、流路14c、導出部13bを通って本体202内の配管5に戻すルートを通して、同時に循環するように、本体202内のコック22a、22b、22c、22d及びバルブ23a、23b、23cを操作する。
キャリア液を上記のルートで循環させながら、一定時間花粉を装置に設けた取込穴9から収集する。この時必要であれば、大気を強制的に吸入する手段を設けてもよい。花粉は、取込穴9から入って抽出部10内のキャリア液に入り、花粉表面又は内部のアレルゲンタンパク質(抗原)がキャリア液中に抽出される。この時、必要であれば、抽出部に大きさが1μmから100μmの複数の磁性ビーズを設けて、別途本体に設けた磁性ビーズ攪拌手段により磁性ビーズを攪拌することで花粉をキャリア液中で攪拌してもよい。この撹拌により、花粉からの抗原抽出効率を上げることができる。
キャリア液は、上記循環ルートを循環しているので、花粉から抽出された抗原は、順次流路14bを通り、反応部11に送られる。この時、花粉の殻はキャリア液に不溶であり、その殻とキャリア液に溶けている抗原や他のタンパク質などの可溶物質とを分離する必要がある。この分離は、上記実施の形態1で説明したものと同様でよい。
反応部に設けられた抗体に対して、反応部11に送られた抗原は、標識物質付きアレルゲンタンパク質(標識抗原)一時貯蔵部17から送られた標識抗原と混合され(混合キャリア液)、競合して抗原抗体反応を起こし、一定の分率に従って、抗原及び標識抗原は反応部に固定される。しかし、競合反応は、抗体の抗原及び標識抗原に対する特異的な反応性、抗原及び標識抗原と抗体が出会う機会に左右され、1回の反応では、すべての抗原及び標識抗原が抗体と十分に競合反応し、両方の数量及び反応性に応じた分率で再現性よく反応部に固定されるとは限らないが、両者を同時に(混合キャリア液)循環することを連続に繰り返すことにより、抗原抗体反応が確実に起こり、測定の再現性を高くできる。この循環は、例えば花粉取込穴9に蓋をして、花粉の収集を止めた後も、抽出された抗原及び標識抗原を抗体と反応させるために、しばらく循環を続けることが好ましい。
工程5
工程4は行わずに、未反応の標識抗体を取り除く必要があるため、装置本体202内の送液手段3により、貯蔵手段2、配管5b、5cを通り、導入部13cからチップ内に入り、流路14d、標識物質付きアレルゲンタンパク質一時貯蔵部17、流路14e、反応部11、流路14c、導出部13bを通って本体202内の配管5に戻し、コック22dを経て廃液溜め24に入るように、装置本体202内のコック22a、22b、22c、22d及びバルブ23a、23b、23cを操作し、未反応標識抗体含有のキャリア液を、本体202内に設けた廃液タンク24に流す。
工程5
サンドイッチ法と同様に工程6,7を行う。
[実施の形態3]
以下に、実施の形態3を図4を参照して詳細に説明する。図4に示すように、実施の形態2の抗原検出装置は、少なくとも、抗原検出用チップ103と装置本体203から構成され、上記実施の形態1と同様に、抗原検出用チップ103と装置本体203とは脱着自在に構成されている。
先ず装置本体203について説明する。装置本体203は、チップに注入する液を溜めておく貯蔵手段2、チップに液を流すための送液手段3、流量調整をするバルブ23a、23b、23c、23dを有する流量調整手段、流路を変えるコック22a、22b、22c、22dを有する流路変更手段、チップ103に設けた開閉手段(マイクロバルブ15a、15b)を作動させるためのマイクロバルブ駆動手段(図示せず)、以上の各手段の動作を制御する制御手段4、液を流通させるための流通配管群5、5a、5b、5c、5d、5f、チップと流通配管群を連結するための連結手段6、抗原抗体反応の後、抗原の有無を検出するための検出手段7、及び使用後のキャリア液や洗浄液を捨てる廃液溜24を備えている。
装置本体203の構成要素である、貯蔵手段、送液手段、流量調整バルブ、コック制御手段、連結、検出手段、マイクロバルブ駆動手段、制御手段4には、上記実施の形態2記載のものと同じ構成要素を用いることができる。
次に、実施の形態3における検出用チップ103について説明する。
実施の形態3の検出用チップ103は、大気中から花粉を収集することのできる開口を有し、取り込まれた花粉から抗原(アレルゲンタンパク質)を抽出する抽出部10と、検出目的物である抗原に特異的に反応する抗体(認識物質)が流去しない状態で保持させられた反応部11と、抗原−抗体複合体と特異的に反応し、反応により抗原−抗体−標識抗体複合体を形成する標識抗体が保存されている標識物質付き認識物質一時貯蔵部12と、装置本体203からチップ103内にキャリア液を流入させるための導入口を備えた導入部13a、13cと、装置本体203からチップ103内の標識物質付き認識物質貯蔵部12にキャリア液を流入させるための導入口を備えた第2の導入部13eと、チップ103からキャリア液を装置本体203側に流出させるための導出口を備えた導出部13b、13dと、チップ103内にキャリア液を流す流路14a、14b、14c、14d、14e、14f、14g、14hと、抽出部10から導入されるアレルゲンタンパク質を含むキャリア液を、流路14hを通って導入されるキャリア液で希釈する希釈部18が基板40上に形成され、更にチップ内の液の流れを遮断または通過させる開閉手段としてのマイクロバルブ15a、15b、15cが基板40上に設けられている。
チップの構成要素のうち、希釈部18を除いた要素は、実施の形態2記載のものと同じでよい。希釈部18は、従来提案されている液を均一混合する構成が使用でき、例えば図8(a)に示すような、長い流路を折りたたんだもの、又は図8(b)に示すような直径100μm以上であり、深さは深さは50μmから1mmの穴が設けられ、その底に磁性ビーズを設けた構成が例示できる。図8(a)に示した構成では、長い流路を流れていくうちに2つの液が、均一に混合することを利用したものであり、図8(b)では、装置本体203に設けた磁石(図示せず)により磁性粒子8をランダムに動かすことにより2つの液を攪拌して混合させるものである。ただし、上記構成に限定されるものではない。
実施の形態3の抗原検出装置を用いた抗原検出方法を図4を用いて、詳細に説明する。
但し、以下では、標識物質付き認識物質一時貯蔵部12の標識抗体が不溶性担体に固定されているとして説明を行う。不溶性担体に固定されていない場合は、下記工程2を、上記実施の形態2の工程2’と同様にすればよい。
工程1
花粉の抗原を検出する場合、まずチップ103が装置本体(本体)203に装着される。装着時に、チップ103に設けられた導入・導出部13a、13b、13c、13d、13eとそれらと対応した本体203の連結手段6により、本体に設けられた配管5と連結する。
工程2
次に、マイクロバルブ15a、15cを開け、15bを閉じて、送液手段3により、貯蔵手段2内のキャリア液を導入・導出部13a、13e、13cを介して抽出部、反応部、標識物質付き認識物質一時貯蔵部12に流入する。
この時、本体203では、キャリア液が本体203内の貯蔵手段2から配管5b、5fを通って導入部13aからチップ103に入り、流路14a、抽出部10、流路14g、希釈部18、流路14b、反応部11、流路14cを通って、導出部13bを通り、本体203内の配管5に流れ込む流れと、貯蔵手段2から配管5b、5eを通って導入部13eからチップ103に入り、流路14h、希釈部18、流路14b、反応部11、流路14cを通って、導出部13bを通り、本体203内の配管5に流れ込む流れが生じるように本体203内の流量調整バルブ23a、23b、23c、23d、コック22a、22b、22c、22dを操作する。また、コック22cは、配管5cにもキャリア液が流れるように制御されているので、キャリア液は、配管5cからチップ103の第2の導入部13cから入り、流路14d、標識物質付き認識物質一時貯蔵部12、流路14f、導出部13dから本体203の配管5dに入る。導入部13a、13eからキャリア液を入れる工程と第2の導入部13cから入れる操作は、同時に行っても、一方の操作を行った後、もう1つの操作を行ってもよい。予め、抽出部10、反応部11、標識物質付き認識物質一時貯蔵部12などの容積は分かっているので、制御手段4により必要量だけ流入して、流入を止める。
以上の操作により、チップ内の各流路、抽出部10、反応部11、標識物質付き認識物質一時貯蔵部12をキャリア液で満たすことができ、以降の工程で、キャリア液中に空気などの気体が混入を防ぐことができ、反応を確実に行わせる事ができる。
ここで、上記実施の形態2と同様に、工程3〜6を行うこともできるが、希釈部18を用いて、アレルゲンタンパク質を含むキャリア液を希釈する構成について以下に説明する。
工程3−1
本体203のマイクロバルブ駆動手段によりマイクロバルブ15aを開放し、マイクロバルブ15c、15bを閉じる。その状態で送液手段3により、キャリア液が、装置本体203内の貯蔵手段2から配管5a、5eを通って、導入部13eから入り、流路14hを通って、希釈部18、流路14b、反応部11、流路14cを通って、導出部13bを通り、本体203内の配管5に流れ込み循環を行い、この時、導入部13aからは、キャリア液が入らないよう、本体203内の流量調整バルブ23a、23b、23c、23d、コック22a、22b、22c、22dを操作する。上記ルートでキャリア液を循環させながら、一定時間花粉をチップに設けた取込穴9から収集する。一定時間後、取り込み穴に蓋(図示せず)をして花粉が入らないようにする。
工程3−2
次に、マイクロバルブ15cを開放し、キャリア液が、本体203内の貯蔵手段2から配管5a、5fを通って、導入部13aから入り、流路14a、抽出部10、希釈部18、流路14gを通って希釈部18に入るように、装置本体203内の流量調整バルブ23a、23b、23c、23d、コック22a、22b、22c、22dを操作する。希釈部18では、導入部13eからのキャリア液と、抗原を含んだ抽出部10からのキャリア液とが混合され、反応部11に流入するキャリア液のアレルゲンタンパク質濃度が薄められる。この後、流路14b、反応部11、流路14cを通って、導出部13bを通り、本体203内の配管5に流れ込み、循環される。花粉の殻等の不溶物質と、抗原などキャリア液に溶解している溶解物質との分離は、実施の形態1に記載の方法で行うことができる。
反応部11送られた抗原は、反応部に設けられた抗体と抗原抗体反応を起こし、抗原は反応部に固定される。本実施の形態では、上記のように、導入部13aから入り、流路14a、抽出部10、流路14gを通って希釈部18に入るキャリア液と、導入部13eから入り、流路14hを通って、希釈部18に入る液とを希釈部18で均一に混合し、この混合液を流路14b、反応部11、流路14cを通って、導出部13bを通り、本体203内の配管5に流れ込むという循環を行うため、未反応の抗原は、複数回抗体と反応する機会が生じるので、未反応の抗原を少なくでき、結果として毎回の測定の再現性を高くできる。
また、抗原抗体反応の反応性は、抗原と抗体の接触する回数に関係するが、その回数は、抗原の濃度にも関係する。抽出部10から流れ込む抗原が高濃度の場合、そのまま反応部11に流しても、反応部で拡散が生じにくく、反応効率が低くなる場合が考えられるが、本実施の形態では、希釈部18において、抽出部10からの抗原含有キャリア液を希釈する構成を採用しているので、反応部11に流れ込んだ後、短時間で拡散し反応性を向上できる。
工程3−3
一定時間この循環を行った後、工程3−1に戻る。
上記工程3−1から工程3−3までの工程を数回繰り返す。
実施の形態3では、希釈部と抽出部の間に、それらを分断及び連結するような手段を設け、一定時間分断することで、花粉の収集及び抗原抽出工程と、本体203内の貯蔵手段2から配管5a、5eを通って、導入部13eから入り、流路14hを通って、希釈部18、流路14b、反応部11、流路14cを通って、導出部13bを通り、本体203内の配管5に入る循環による抗原抗体反応とを独立にできるという構成が特徴である。
実施の形態3の構成によれば、花粉数の比較的少ない状態で抗原抗体反応を行うことができ、また、花粉収集中も抗原抗体反応を何回も行うことができるので、抗原抗体反応をより確実に行うことができる。
また、花粉収集中に抗原抗体反応を行えるので、花粉収集から抗原抗体反応完了までの時間を短縮できる。
工程4
工程3−1から3−3の繰返しを終了した後、マイクロバルブ15aを閉じて、マイクロバルブ15bを開放し、本体203内の送液手段3により、キャリア液が、貯蔵手段2から配管5a、5cを通り、第2の導入部13cからチップ103内に入り込み、流路14d、標識物質付き認識物質一時貯蔵部12、流路14e、反応部11、流路14c、導出部13bから装置本体203の配管5へ戻る循環ルートを通して循環させるように装置本体203内の流量調整バルブ23a、23b、23c、23d、コック22a、22b、22c、22dを操作する。
不溶性担体に固定された標識抗体は、この循環により反応部11に送られ、反応部11で、抗体と反応した抗原と反応し、抗体−抗原−標識抗体複合体を形成する。この工程でも、先に形成されたすべての抗体−抗原複合体と標識抗体とを確実に反応させるため、上記循環ルートを通じて標識抗体を循環させることで、抗体−抗原複合体と反応する機会を増やしている。
工程5及び工程6については、実施の形態1に記載の方法と同様に行えばよい。また、必要であれば、上記実施の形態1で示した、工程7を行えばよい。また、上記実施の形態2と同様にして競合法を用いることができる。また、複数の標識物質付き認識物質一時貯蔵部セットAを設けてもよい。こららの場合の検出方法は、上記実施の形態2で示した方法を採用すればよい。
実施の形態3では、図4に示す装置及びチップを参照して説明したが、本発明は上記装置及びチップ構成、方法に限定されるものではない。
[実施の形態4]
以下に、実施の形態4を図5を参照して詳細に説明する。
まず、抗原を固定化した抗体及び標識抗体で挟み込む、所謂サンドイッチ法で、抗原を捕獲し、検出する方法を用いた場合については、図2において、抽出部10と反応部11の間に希釈部を設けたこと以外は同じ構成であるので、実施の形態1に記載した方法と同様にして抗原の検出ができる。
実施の形態4では、競合反応を用いる場合について説明する。
チップ104の構成は、図5に示すように、標識物質付きアレルゲンタンパク質(標識抗原)一時貯蔵部17をマイクロバルブ15bを設けた流路14eを介して混合部16に連結していること、導入部13e、流路14hを設けていないこと、及び標識物質付きアレルゲンタンパク質一時貯蔵部17に予め量がわかっている標識抗原を設け、且つ固定化抗体の量が予めわかっていることを除けば、上記実施の形態3で述べた構成と同様である。
上記混合部は、上記実施の形態3の希釈部の構成をそのまま採用することができる。
装置本体204の構成は、図5に示すように、上記実施の形態3のチップ103の構成の変更に対応して、配管5e、バルブ23c及びチップ104の導入部13eとの連結手段を設けていないことを除けば、実施の形態3に記載した構成と同様でよい。
実施の形態4のアレルゲン検出装置を用いた抗原検出方法を図5を用いて、詳細に説明する。
但し、以下では、標識物質付きアレルゲンタンパク質一時貯蔵部17の標識抗原が不溶性担体に固定されているとして説明を行う。不溶性担体に固定されていない場合は、上記実施の形態2の工程2’と同様にすればよい。
実施の形態4の抗原検出装置では、実施の形態2及び3記載の発明と同様、抗原検出用チップ104と装置本体204は、脱着できるようになっている。また、花粉検出を行わない時は、抗原・抗体が失活しないように、抗原・抗体がキャリア液に溶解した状態、又は固体状態でチップを冷蔵又は冷凍保存することが好ましい。
工程1
13eと連結を行わないことを除けば、上記実施の形態3と同様に行う。
工程2
次に、マイクロバルブ15a、15cを開け、15bを閉じて、送液手段3により、貯蔵手段2内のキャリア液を導入部13a、13cを介して抽出部10、反応部11、標識物質アレルゲンタンパク質一時貯蔵部17に流入する。
この時、装置本体204では、キャリア液が、本体204内の貯蔵手段2から配管5b、5fを通って導入部13aからチップ104に入り、流路14a、抽出部10、流路14g、混合部16、流路14b、反応部11、流路14cを通って、導出部13bを通り、本体204内の配管5に流れ込む流れが生じるように本体204内の流量調整バルブ23a、23b、23d、コック22a、22b、22c、22dを操作する。また、コック22cは、配管5cにもキャリア液が流れるように制御されているので、キャリア液は、配管5cからチップ104の第2の導入部13cから入り、流路14d、標識物質付きアレルゲンタンパク質一時貯蔵部17、流路14f、導出部13dから本体204の配管5dに入る。導入部13aからキャリア液を入れる工程と第2の導入部13cから入れる操作は、同時に行っても、一方の操作を行った後、もう1つの操作を行ってもよい。予め、抽出部10、反応部11、標識物質付き認識物質一時貯蔵部12などの容積は分かっているので、制御手段4により必要量だけ流入して、流入を止める。
第2の導入部13cから入れる操作では、チップ構成として、標識物質付きアレルゲンタンパク質12と流路14fの間に、標識抗体が固定された担体の大きさよりも小さいサイズの幅又は厚みの分離部を設けることで標識抗体を装置本体204に流れ込まないようせきとめることができる。
以上の操作により、チップ内の各流路、抽出部、反応部、標識物質付きアレルゲンタンパク質一時貯蔵部17をキャリア液で満たすことができ、以降の工程で、キャリア液中に空気などの気体が混入を防ぐことができ、反応を確実に行わせる事ができる。
工程3
次に本体のマイクロバルブ駆動手段によりマイクロバルブ15c及び装置本体204内のバルブ23aを閉じて、抽出部10を孤立させ、一定時間、花粉の収集及び花粉からの抗原の抽出を行う。この時、抽出部10内に磁性粒子を設けて、別途装置本体204に設けた磁石などにより磁性粒子を攪拌させてもよい。こうすることで、抽出効率を高めることができる効果がある。一定時間後、装置本体204に設けた蓋を閉めて、花粉の収集を終了する。
工程4
次に、マイクロバルブ15b、15cを開ける。その状態で送液手段3により、キャリア液が、装置本体204内の貯蔵手段2から配管5a、5fを通って導入部13aからチップ104に入り、流路14a、抽出部10、流路14g、混合部16、流路14b、反応部11、流路14cを通って、導出部13bを通り、本体204内の配管5に流れ込むルートと、貯蔵手段2から配管5a、5cを通り、導入部13cからチップ104内に入り込み、流路14d、標識物質付きアレルゲンタンパク質一時貯蔵部17、流路14e、混合部16、流路14b、反応部11、流路14c、導出部13bから装置本体204の配管5へ戻るルートを流れるように、装置本体204内の流量調整バルブ23a、23b、23d、コック22a、22b、22c、22dを操作する。
上記2つのルートでキャリア液を同時に循環させることで、抽出部10から混合部16に流れ込む、抗原を含んだキャリア液と、標識物質付きアレルゲンタンパク質一時貯蔵部17から混合部16に流れ込む標識抗原を含んだキャリア液が、混合部16で混合されキャリア液中で抗原と標識抗原が均一に混ざり合った状態(混合キャリア液)で、反応部11に流れ込む。抗原と標識抗原は、反応部11に設けた抗体に対して競合して反応し、キャリア液中の抗原と標識抗原との比に応じて固定化抗体に固定される。
競合反応においても、1回の反応ですべての抗原及び標識抗原と抗体が反応しないという問題があるが、両抗原を含む混合キャリア液循環を連続して一定時間行うことで、何回も反応を行わせて競合反応を確実に行わせる事ができ、反応の再現性、効率が向上する。
実施の形態4の構成の特徴は、抗原と標識抗体がほぼ同じ割合で均一に混ざり合った状態で反応部11に送られること、抽出部10から混合部16に流れ込む量と標識物質付きアレルゲンタンパク質一時貯蔵部17から混合部16に流れ込む量を調整することで反応部11に送られるキャリア液中の抗原と標識抗体の割合を変えられることであり、この特徴から、反応部12での競合反応の条件を一定にできるとともに最適化できるので、反応の再現性及び効率をより向上できる。
工程5
系内から未反応の抗原・標識抗原を取り除くため、キャリア液が装置本体204内のコック22dを経て廃液溜め24に入るように、装置本体204内のコック22a、22b、22d及びバルブ23a、23b、23cを操作し、未反応標識抗原含有キャリア液を、本体204内に設けた廃液タンク24に流すことで実現できる。
工程6
上記実施の形態1に記載の方法と同様に行えばよい。
同一チップで複数回測定を行う場合は、実施の形態2で示したチップ102で反応部11の回りに標識物質付き認識物質一時貯蔵部セットAを複数設けている構成に代えて、混合部16の回りに標識物質付きアレルゲンタンパク質一時貯蔵部セットAを複数設けている構成を用いればよい。
実施の形態4では、図5の装置及びチップを参照して説明したが、本発明は、反応部を含んだ循環工程により抗原抗体反応を何回も行うことで、当該反応を確実に行わせ、反応の再現性を得るという効果を生じさせるものであり、また、循環工程により同様の効果が得ることができれば、実施の形態4に述べた装置及びチップ構成、方法に限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1にかかる抗原検出装置を製作しその性能を確かめた。実施例1の基本構成は上記実施の形態1と同様であるので、実施の形態1で説明した内容は省略し、より具体的内容のみについて以下に説明する。
チップ101を次のようにして作製した。52mm角のガラス基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄した。このガラス基板上に、フォトリソグラフィー法によりレジストパターンを形成した後、フッ化水素及びフッ化アンモニウム水溶液によるウェットエッチングにより、導入部41、導出部42、抽出部43、反応部44、それらを連結する流路45、46、47、複数の円柱からなる分離部49を作製した。導入部41および導出部42は直径3mm、深さ0.1mmの円形穴であり、抽出部43および反応部44は直径5mm、深さ0.1mmの円形穴であった。また、流路45・46は幅0.6mm、深さ0.1mm、長さ5mmの溝であり、流路47は幅0.04mm、深さ0.1mm、長さ5mmの溝であった。
また、抽出部43と流路46の間には、直径約100ミクロンの円柱49が約20ミクロンの隙間で4本形成されてなる分離部49をフォトリソグラフィー法とウェットエッチング法により形成した。更に、反応部44には、その表面にブロッキング処理を施した認識物質(抗Cry j−1モノクローム抗体:固定抗体)を固定した直径約0.05mm(50μm)のプラスチックビーズ50を5000個配置した。この後、導入部・導出部および抽出部43に対応する箇所に孔を空けたプラスチック板で蓋をして、測定用チップとした。
なお、上記プラスチックビーズの直径が流路47の幅(0.04mm)よりも大きいので、ビーズが流路47側に流去することはない。また、ビーズ直径が流路47の深さ方向長(0.1mm)よりも小さいので、流路47を塞いでしまうこともない。
上記チップ101を4枚作製し、その各々を装置本体204に組み込み、キャリア液を循環させることによる測定の再現性を確かめる試験を行った。試験条件は次の通りである。
〈被検出用抗原〉
Cry j−1をキャリア液に1.5マイクロモル濃度で溶解した抗原溶液を用意し、この溶液2μlを抽出部43に入れた。
〈固定抗体〉
上記したプラスチックビーズに固定保持された抗Cry j−1モノクローム抗体を用いた。なお、反応部44に配置した抗体数が、上記被検出用の抗原数よりも十分に多くなるようにした。
〈キャリア液〉
リン酸濃度0.01モル、pH7.4のリン酸緩衝液を用いた。
〈標識抗体〉
キャリア液に3モル濃度で溶解した蛍光色素をつけた抗Cry j−1モノクローム抗体を用いた。
〈循環条件等〉
キャリア液の循環速度を2μl/秒とし、10分間循環(約4回循環)させた。抽出反応工程が終了後に新鮮なキャリア液による3〜5分間の洗浄運転を行った(実施の形態1の工程3参照)。その後、標識物質付認識物質タンク54に入っている蛍光色素をつけた抗Cry j−1モノクローム抗体溶液を導入部41からチップ内に導入し、2μl/秒で10分間循環(約4回循環)させ、その後上記と同様にして新鮮なキャリア液による3〜5分間の洗浄運転を行った(実施の形態1の工程4,5参照)。この後、検出手段55から反応部44に紫外線光を照射して蛍光強度を測定した(実施の形態1の工程6参照)。なお、ここに記載していない事項については実施の形態1と同様である。
4枚のチップをそれぞれ用いて行ったアレルゲン検出試験の結果、各チップ間の測定値は理論値(抽出部に入れたアレルゲンタンパク質量)に対して92〜102%の範囲であり、最小値と最大値の誤差は10%以内であることが確認された。
(比較例)
上記実施例1と同じ装置を用い、抽出反応工程(実施の形態1の工程3)において反応部43に抗原と固定化抗体とを存在させた状態で、キャリア液が流出しないようにバルブ48cを調整し、抽出部43にキャリア液を静止させた状態で10分間の反応を行った。また、標識物質付認識物質との反応工程(実施の形態1における工程4)において標識抗体を導入して、抗Cry j−1モノクローム抗体溶液が流出しないようにバルブ48cを調整し、液の流れを止め抗Cry j−1モノクローム抗体とアレルゲンタンパク質複合体とを10分間反応させた。これら以外については上記実施例1と同様にして、アレルゲンタンパク質の検出試験を4回行った。
その結果、各チップ間の測定値は理論値(抽出部に入れたアレルゲンタンパク質量)に対して79〜91%の範囲であり、最小値と最大値の誤差は15%であり、実施例1に比較し検出精度および再現性が悪かった。
なお、上記実施例1では、反応部に固定した抗体、および反応部で生成した抗原−抗体複合体に反応させる標識抗体ともにモノクローナル抗体を用いたが、どちらか一方をモノクローナル抗体とし、他方をポリクローナル抗体としてもよいことは勿論である。なお、固定化させる抗体は、他の物質と反応しないようにブロッキング処理を施すことが好ましい。
上述したように、本発明によると、抗原の量及び/又は種類を再現性よく測定できる抗原の検出方法を簡便に実現できるチップを用いた装置を安価に提供することができる。よって、その産業上の意義は大きい。
実施の形態1に係る抗原検出装置の概念図。 実施の形態2に係る抗原検出装置の概念図。 複数の標識部物質貯蔵部セットを含むチップの概念図。 実施の形態3に係る抗原検出装置の概念図。 実施の形態4に係る抗原検出装置の概念図。 本発明に係る抽出部の概略部分断面図。 マイクロバルブの概略部分断面図。 希釈部・混合部の概略部分図。 特許文献6に係るアレルゲン検出装置の概念図。 特許文献7に係るアレルゲン検出用チップの概念図。
符号の説明
101、102、103、104 抗原検出用チップ
2 貯蔵手段
3 送液手段
4 制御手段
5、5a、5b、5c、5d、5f 配管
6a、6b、6c、6d、6e 連結手段
7、55 検出手段
8 磁性粒子
9 取込穴
10、43 抽出部
11、44 反応部
12 標識物質付き認識物質一時貯蔵部
13a、13c、13e、41 導入部(第2の導入部)
13b、13d、13f、42 導出部
14a、14b、14c、14d、14e、14f、14g、
14h、45、46、47 流路
15a、15b、15c マイクロバルブ
16 混合部
17 標識物質付きアレルゲンタンパク質一時貯蔵部(標識物質付抗原一時貯蔵部)
18 希釈部
201、202、203、204 装置本体
22a、22b、22c、22d、48 コック
23a、23b、23c、23d バルブ
24 廃液溜
31 蓋
40 基板
49 分離部
51 流通配管
52 ポンプ
53 キャリア液タンク
54 標識物質付認識物質溶液タンク
56 廃液タンク
57 標識物質付アレルゲンタンパク質溶液タンク(標識物質付抗原溶液タンク)

Claims (17)

  1. チップ外からチップ内にキャリア液を導入するための導入口を備える導入部と、前記導入部からキャリア液が流入可能なように前記導入部と連通された抗原を抽出する抽出部と、前記抽出部からキャリア液が流入可能なように前記抽出部と連通され、かつ抗原に特異的に反応する認識物質が流去しない状態で保持された反応部と、前記反応部の下流側に位置し、キャリア液をチップ外に導出するための導出口を備えた導出部と、が一枚の基板上に形成されてなる抗原検出用チップと、
    前記キャリア液を流通させる流通配管群と、
    前記キャリア液を前記流通配管群内に流通させる送液手段と、
    前記抗原検出用チップの反応部に存在する抗原の量及び/又は種類を検出する検出手段と、を備え、
    前記抗原検出用チップの抽出部と反応部との間に、キャリア液中の不溶性物質を留める分離手段が設けられ、
    前記抗原検出用チップの導入部と導出部とに、前記流通配管群が連結され、
    前記送液手段により、前記キャリア液が前記抽出部から前記反応部に向かう順路方向に循環して流通する循環流路が形成される、
    ことを特徴とする抗原検出装置。
  2. 前記抽出部は、前記導入部に連通する入口とは別に、抗原を含有する粒子を取り込むための開口を備える、
    ことを特徴とする請求項1に記載の抗原検出装置。
  3. 前記流通配管群は、前記抗原検出装置の導入部および導出部にそれぞれ脱着可能に連結させることのできる連結手段を備える、
    請求項1または2に記載の抗原検出装置。
  4. 前記抗原検出装置は更に、抗原と特異的に反応する標識物質付き認識物質を貯蔵する標識物質付き認識物質一時貯蔵部を前記抗原検出用チップ外に有する、
    請求項1乃至3の何れかに記載の抗原検出装置。
  5. 前記抗原検出装置は更に、第2の導入部と、標識物質付き認識物質を一時的に貯蔵する標識物質一時貯蔵部と、を前記抗原検出用チップ内に有し、前記標識物質一時貯蔵部は、チップ外よりチップ内にキャリア液を導入する第2の導入部に連通され、且つ前記第2の導入部より導入されたキャリア液が前記反応部に流入可能なように前記反応部とも連通されている、
    請求項1乃至3の何れかに記載の抗原検出装置。
  6. 前記抗原検出装置は更に、予め量のわかっている標識物質付き抗原を貯蔵する標識物質付き認識物質一時貯蔵部を有する、
    請求項1乃至3の何れかに記載の抗原検出装置。
  7. 前記抗原検出用チップは更に、第2の導入部と、予め量のわかっている標識物質付き抗原を一時的に貯蔵する標識物質付き抗原一時貯蔵部とを有し、前記標識物質付き抗原一時貯蔵部は、チップ外よりチップ内にキャリア液を導入する第2の導入部に連通され、且つ前記第2の導入部より導入されたキャリア液が前記反応部に流入可能なように前記反応部とも連通されており、
    前記反応部に存在する認識物質の量が予めわかっている、
    請求項1乃至3の何れかに記載の抗原検出装置。
  8. 前記抗原検出用チップは更に、前記抽出部から流出した抗原を含むキャリア液と、前記標識物質付き抗原一時貯蔵部から流出した抗原とを混合する混合部を、前記抽出部と前記反応部との間で、且つ前記標識物質付き抗原一時貯蔵部と前記反応部との間に有する、
    請求項7に記載の抗原検出装置。
  9. 前記抗原がアレルゲンタンパク質である、
    請求項1乃至8の何れかに記載の抗原検出装置。
  10. 前記抗原検出装置は更に、キャリア液を貯蔵するキャリア液貯蔵部を有する、
    請求項1乃至9の何れかに記載の抗原検出装置。
  11. 前記抗原検出用チップは更に、前記抽出部から流出したキャリア液と、前記抽出部以外から導入されたキャリア液で希釈する希釈部を、前記抽出部と前記反応部との間に有する、
    請求項1乃至10の何れかに記載の抗原検出装置。
  12. 前記抗原検出用チップは更に、前記希釈部と前記反応部との間に、キャリア液の流れを遮断または通過させる開閉手段を有する、
    請求項11に記載の抗原検出装置。
  13. 前記抗原検出用チップは更に、前記混合部と前記反応部との間に、キャリア液の流れを遮断または通過させる開閉手段を有する、
    請求項8に記載の抗原検出装置。
  14. 前記分離手段は、抽出部と反応部との間に存在する流路の最小径が、キャリア液中に存在する不溶物質の最大径よりも小さく構成された流路である、
    請求項1乃至13の何れかに記載の抗原検出装置。
  15. 前記抗原検出装置は更に、流量調整をする流量調整手段を備える、
    請求項1乃至14の何れかに記載の抗原検出装置。
  16. 前記抗原検出装置は更に、流路を変える流路変更手段を備える、
    請求項15に記載の抗原検出装置。
  17. 前記抗原検出装置は更に、前記送液手段、前記流量調整手段、前記流路変更手段の動作を制御する制御手段を備える、
    請求項16に記載の抗原検出装置。
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