JP4381555B2 - 合併処理浄化槽 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、合併処理浄化槽に関する。
【0002】
【従来の技術】
屎尿の浄化処理は、単独処理浄化槽を用いて行っている。
【0003】
図8は、分離接触曝気方式の従来の単独処理浄化槽を示す縦断側面図である。この単独処理浄化槽1は、屎尿を流入口2から沈殿分離室3へ流入させて固液分離および嫌気処理を行い、接触曝気室4へ移流する。接触曝気室4は、移流した汚水を散気管7から散気した空気の泡によって撹拌して接触材8に接触させ、栄養基質を酸化させて徐々に除去する。接触材8は、撹拌を継続すると生物膜が厚く堆積して閉塞するので、定期的に逆洗管9から空気泡を吐出することにより接触材8から生物膜を剥離させる。接触曝気室4を通過した汚水は、沈殿室5にて固形分の沈殿分離を行い、上澄み液を消毒槽6へ移流させて滅菌処理して流出口10から放流する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この単独処理浄化槽は、処理すべき汚水の種類が屎尿に限定され、台所排水,洗濯排水,洗面排水および浴槽排水などの生活排水を処理することができないという問題がある。
【0005】
この問題は、既設の単独処理浄化槽を撤去して新たな合併処理浄化槽を設置することにより解決することができるが、施工費用が高額となるばかりでなく、多くの単独処理浄化槽がFRP製であることから、不要になった単独処理浄化槽の処分に関しても新たな問題が発生する。
【0006】
また、単独処理浄化槽を掘り起こすことなく埋め殺すようにすれば廃棄物処分の問題は生じないものの土地の有効活用ができなくなる問題がある。
【0007】
本発明の目的は、既設の単独処理浄化槽を有効活用して実現することができる合併処理浄化槽およびそのための合併処理化装置を提案することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の合併処理浄化槽は、沈殿分離室と接触曝気室と沈殿室と消毒室を備えた屎尿処理用の既設単独処理浄化槽を、前記沈殿分離室に嫌気濾材を充填して第1嫌気処理部に変更し、前記接触曝気室を空気供給停止にして前記接触曝気室を前記第1嫌気処理部からの排水を再度の固液分離および嫌気処理を行う第2嫌気処理部に変更してなる単独処理浄化槽と、生物濾過槽及び消毒槽を備えた合併処理化装置と、前記単独処理浄化槽の流出口と前記合併処理化装置の流入口を接続する接続配管とを備え、前記単独処理浄化槽の流入口に屎尿,台所排水および洗濯排水などを流入させるための配管を接続し、前記合併処理化装置は、底部に散気管を配した生物反応部を上に、底部に散気管を配した濾過部を下にしてこれらを上下に重ねて構成された生物濾過槽と、該生物濾過槽の底部において連通し、前記生物反応部と濾過部を合わせた部分の深さに相当する処理水貯留槽を設け、この処理水貯留槽の上部に消毒槽を設け、前記合併処理化装置の生物濾過槽の底部と前記処理水貯留槽の底部の境界部分から洗浄排水を引き抜いて前記第1嫌気処理部に返送するための洗浄排水移送管を設け、前記合併処理化装置における生物濾過槽の底部と処理水貯留槽の底部の位置を、前記既設単独処理浄化槽の第1嫌気処理部と第2嫌気処理部の位置よりも下方に設け、前記既設単独処理浄化槽の第1嫌気処理部と第2嫌気処理部における処理水の水面位置よりも前記合併処理化装置の生物濾過槽と処理水貯留槽における処理水の水面位置を下方にしたことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明における単独処理浄化槽は、第1嫌気処理部および第2嫌気処理部を備え、既設または既存の単独処理浄化槽における沈殿分離室と空気供給を停止した接触曝気室を利用して構成する。具体的には、従来の技術で説明したように、流入口および流出口を備え、内部に上流側から沈殿分離室,接触曝気室,沈殿室,消毒室を備えた単独処理浄化槽を好適に利用することができる。
【0010】
単独処理浄化槽の第1嫌気処理部は、沈殿分離室のように濾過材などが充填されていないときには嫌気濾材を充填して構成することが好ましい。更に、好ましくは、嫌気濾材は、不規則充填が良い。これは、空気で強制的に撹拌しない嫌気処理では、不規則に充填した濾過材の方が処理水が拡散し易く室内をより広く有効に使用することができるからである。
【0011】
また、単独処理浄化槽の第2嫌気処理部は、接触曝気室に設置してあった散気管は取り外しても良く、接触材(好気濾材)は、取り外しても良いが、好ましくは、そのまま嫌気濾材として利用するようにする。更に好ましくは、新しい不規則充填の嫌気濾材と入れ替える。これは、多くの場合、好気濾材は規則充填されており、空気で強制的に撹拌しない嫌気処理では不規則充填の方が処理水が拡散し易く室内をより広く有効に使用することができるからである。
【0012】
本発明における合併処理化装置は、少なくとも、好気処理を行うための生物濾過槽と滅菌を行う消毒槽を備えたものであれば、それ以外には限定されることはない。生物濾過槽は、底部に散気管を配置した生物反応部と底部に散気管を配置した濾過部を備えたものであることが好ましい。
【0013】
生物反応部は、その底部に配置した散気管より空気泡を吐出させ、好気処理を行う部分であり、担体を用いたものを好適に使用することができる。ここで、担体とは、微生物を多く保持可能にすることから、網様円筒状,骨格様球状,へちま状,小円筒状,波板状,チューブ状,繊維絡み状などの合成樹脂製の成形体,独立気泡体または連通気泡体を有する合成樹脂製の成形体,アンスラサイト(無煙炭),珪砂,セラミックなどの無機体を好適に用いることかできる。また、この担体は、浮上性と沈降性の何れの性質のものでも用いることができる。
【0014】
濾過部は、生物反応部を通過した処理水の濾過を行う部分であり、生物反応部と同様に担体を使用したものを好適に使用することができる。使用する担体としては、生物反応部で使用したものと同じ形態でも異なる形態でも良い。濾過部の底部に配置する散気管は、通常状態では空気泡の吐出を行うことなく、担体が静止状態を保って濾過が行い易い環境を維持させるが、継続して濾過を行うことによって担体に厚く堆積した生物膜を剥離するために、定期的に空気泡を吐出させて該担体の撹拌を行って担体から生物膜を剥離する。剥離した生物膜は、洗浄排水移送管によって、単独処理浄化槽の嫌気処理室または沈殿分離室へ移送するようにすることが好ましい。
【0015】
単独処理浄化槽と合併処理化装置の間の接続配管は、単独処理浄化槽の流出口と合併処理化装置の流入口との間を接続する。単独処理浄化槽の流出口の上流側に消毒槽が設置されている場合には、消毒に用いる薬剤を取り除くようにする。
【0016】
浴槽排水は、他の生活雑排水と比較して汚れが少なく、量が多いために、単独処理浄化槽および合併処理化装置を通過させることなく、系外へ直接放流しても良い。更に好ましくは、浴槽排水用の浴槽排水配管を別に設け、浴槽排水のみは合併処理化装置に流入させて処理するか、または合併処理化装置の消毒槽を通過させて滅菌してから系外へ放流するようにすると良い。
【0017】
浴槽排水管には、流量調整弁を設けることが好ましく、この流量調整弁は、浴槽排水あるいは洗濯排水を合併処理化装置に流入させるときに流入量変動を少なくして生物反応部の好気処理を効率良く行わせたり、合併処理化装置の消毒槽に流入した処理水の滅菌を効率良く行うようにするために使用する。
【0018】
また、合併処理化装置には、その合併処理化装置と一体化させた流量調整槽または合併処理化装置と接続配管される別体の流量調整槽を設けることが好ましい。この流量調整槽は、生物処理を行う槽への処理水の流入量変動を少なくし、好気処理を効率良く行うようにするために使用する。
【0019】
ところで、洗濯排水は、浴槽排水よりも汚れの量が多いものの台所排水に比べて少ない。そこで、洗濯排水も浴槽排水用の浴槽排水配管に流入させて、浴槽排水と同様に既設の単独処理浄化槽を通さずに、合併処理化装置に流入させて処理するようにし、または、消毒滅菌して放流する。但し、洗濯排水を浴槽排水配管に流入させる場合には、前記流量調整弁は、洗濯排水が浴槽排水配管に流入する位置よりも上流側に設置し、洗濯排水が流量調整弁を通過しないようにすることが好ましい。これは、洗濯排水は、流量調整を必要とするほどの水量の変動がなく、素早い排水を行い、洗濯,すすぎ,脱水などの複数工程を有する洗濯の時間を少しでも短くするためである。
【0020】
第1の実施の形態
図1は、本発明の第1の実施の形態を示す合併処理浄化槽であり、(a)は平面および配管を示す図、(b)は縦断側面および配管を示す図である。
【0021】
単独処理浄化槽1は、上流側から、第1流入口2,第1嫌気処理室11,第2嫌気処理室12,沈殿室5,消毒槽6,第1流出口10を備える。
【0022】
この単独処理浄化槽1は、既設の浄化槽を活用したものであり、第1嫌気処理室11は沈殿分離室が相当し、第2嫌気処理室12は接触曝気室における散気部材からの空気供給を停止するように変更して構成し、消毒槽6からは消毒剤を取り除いて使用する。
【0023】
合併処理化装置20は、上流側から、第2流入口21,生物濾過槽22,処理水貯留槽23,消毒槽24および第2流出口25を備える。
【0024】
生物濾過槽22は、その内部に、生物反応部26と濾過部27を備えた、生物反応部26と濾過部27の各下部には散気部材28,29を設置する。生物反応部26の下部に配置した散気部材28は好気処理を行うために使用するものであり、常に空気泡の吐出を行うようにするが、濾過部27の下部に設けた散気部材29は生物膜の剥離を行うために使用するものであるので、1日1回の空気吐出を1〜30分程度行うようにする。この生物濾過槽22および/または処理水貯留槽23の底部に洗浄排水引き抜き管30の下端を開口するように設置し、剥離して沈降する生物膜を移送ポンプ31によって引き抜いて洗浄排水移送管32を介して第1嫌気処理室11に返送するようにする。
【0025】
消毒槽24には消毒剤容器33を設置する。
【0026】
単独処理浄化槽1の第1流出口10と合併処理化装置20の第2流入口21は、接続配管である移流管34により接続する。
【0027】
ここで、汚水(処理水)の流れについて説明する。家庭から排出される屎尿,台所排水,洗面排水(以下、纏めて排水aという)および洗濯排水は、第1流入口2から第1嫌気処理室11へ流入させて固液分離および嫌気処理を行い、空気供給を停止させて構成した第2嫌気処理12において再度の固液分離および嫌気処理を行う。そして、第2嫌気処理12を通過した排水aおよび洗濯排水の処理水は、沈殿室5内で固形分の沈殿分離を行い、消毒槽6で消毒滅菌してから第1流出口10を通って移流管34へ流出する。
【0028】
排水aおよび洗濯排水の処理水は、移流管34を通って第2流入口21から合併処理化装置20へ移流する。合併処理化装置20へ流入した排水aおよび洗濯排水の処理水は、生物反応部26にて散気部材28からの吐出空気泡によって好気処理し、その後、濾過部27にて固形物質の除去を行い、処理水貯留槽23へ移流する。その後、処理水貯留槽23から消毒槽24へ流入させて消毒滅菌処理した後に第2流出口25から放流する。
【0029】
濾過部27は、継続して濾過を行うと、担体に生物膜が厚く堆積して閉塞するので、定期的に散気部材29から空気泡を吐出させて担体の撹拌を行い、担体から生物膜を剥離させる。剥離した生物膜は、移送ポンプ31を稼働させることにより洗浄排水引き抜き管30によって引き抜いて洗浄排水移送管32を介して第1嫌気処理室11へ返送する。
【0030】
このような合併処理浄化槽によれば、嫌気処理槽の容量が大きくなるので、屎尿,台所排水,洗面排水および洗濯排水を合併して浄化処理することができる。
【0031】
第2の実施の形態
図2は、本発明の第2の実施の形態における合併処理浄化槽の平面および配管を示す図である。この実施の形態は、図1に示した第1の実施の形態における合併処理浄化槽の第1流出口10と第2流入口21を接続する移流管34の途中に浴槽排水配管41を接続した構成である。その他の構成は、第1の実施の形態と同様であるので、同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0032】
移流管34は、その途中に浴槽排水配管41を接続し、単独処理浄化槽1からの処理水を合併処理化装置20へ移流させると共に、浴槽排水配管41から流入する浴槽排水を合併処理化装置20へ流入させるように機能する。
【0033】
そして、合併処理化装置20は、単独処理浄化槽1から流出する処理水と浴槽排水を浄化処理して放流する。しかも、汚れの少ない浴槽排水は嫌気処理室11,12を通過することがないので、汚れの多い屎尿,台所排水,洗面排水および洗濯排水の嫌気処理機能を低下させることがない。
【0034】
このような合併処理浄化槽によれば、浴槽排水も合併して浄化処理することができる。
【0035】
第3の実施の形態
図3は、本発明の第3の実施の形態における合併処理浄化槽の平面および配管を示す図である。この実施の形態は、図2に示した第2の実施の形態の合併処理浄化槽における浴槽排水配管41の途中に洗濯排水配管42を接続した構成である。その他の構成は、第2の実施の形態と同様であるので、同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0036】
洗濯排水配管42は、排水aとして流入させていた汚れの少ない洗濯排水を排水aとは別に流し込んで処理することができるように構成したものであり、洗濯排水は浴槽排水配管41の途中に流入させる構成である。
【0037】
このような合併処理浄化槽によれば、汚れの少ない洗濯排水は嫌気処理室11,12を通過することがないので、汚れの多い屎尿,台所排水,洗面排水の嫌気処理機能を更に高めることができる。
【0038】
第4の実施の形態
図4は、本発明の第4の実施の形態における合併処理浄化槽の平面および配管を示す図である。この実施の形態は、図1に示した第1の実施の形態における合併処理浄化槽の浴槽排水配管41の途中に流量調整弁43を接続した構成である。その他の構成は、第1の実施の形態と同様であるので、同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0039】
浴槽排水は、数分間に約200〜300リットルという大量の排水量になる。そのために、合併処理化装置20の生物濾過槽22の容量を十分に大きく確保することができない場合には、処理が不十分な処理水を放流してしまうことになりかねない。そこで、浴槽排水配管41の途中に設置した流量調整弁43は、浴槽排水配管41を流れる浴槽排水の量を制限して生物濾過槽22へ流入する水量が該生物濾過槽22の処理の安定性を維持することができる範囲内となるように調整することができる。
【0040】
第5の実施の形態
図5は、本発明の第5の実施の形態における合併処理浄化槽の平面および配管を示す図である。この実施の形態は、図3に示した第3の実施の形態の合併処理浄化槽における浴槽排水配管41の途中に流量調整弁44を接続した構成である。その他の構成は、第3の実施の形態と同様であるので、同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0041】
流量調整弁44は、浴槽排水配管41における洗濯排水配管42の接続位置よりも上流側に設け、洗濯排水は流量調整弁44を通過しないようにすることが好ましい。
【0042】
このような合併処理浄化槽によれば、浴槽排水配管41の途中に設置した流量調整弁44は、排水量が少ない洗濯排水を制限することなく、浴槽排水配管41を流れる浴槽排水の量を制限して生物濾過槽22へ流入する水量が該生物濾過槽22の処理の安定性を維持することができる範囲内となるように調整することができる。
【0043】
第6の実施の形態
図6は、本発明の第6の実施の形態における合併処理浄化槽の縦断側面および配管を示す図である。この実施の形態は、図1に示した第1の実施の形態の合併処理浄化槽における合併処理化装置20に流量調整槽45を一体的に設け、この流量調整槽45内の処理水をポンプ46により生物濾過槽22に移流するようにした構成である。その他の構成は、第1の実施の形態と同様であるので、同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0044】
この実施の形態では、排水aおよび洗濯排水あるいは浴槽排水の処理水は、一旦、流量調整槽45に流入させて貯留し、この流量調整槽45からポンプ46を使用して適量の水量で生物濾過槽22へ移流させる。
【0045】
このような合併処理浄化槽によれば、流量調整弁によって排水を制限することなく安定した浄化処理を行うことができる。
【0046】
第7の実施の形態
図7は、本発明の第7の実施の形態における合併処理浄化槽の縦断側面および配管を示す図である。この実施の形態は、図6に示した第6の実施の形態の合併処理浄化槽における合併処理化装置に設けた流量調整槽を別体に構成した構成である。その他の構成は、第6の実施の形態と同様であるので、同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0047】
この実施の形態では、流量調整槽47は、合併処理化装置20とは別体に形成して地中に埋設するように構成し、第3流入口48に移流管34を接続して処理水を流入させる。そして、この流量調整槽47内に貯留する処理水をポンプ46により移送管49を介して合併処理化装置20の第2流入口21に移流するように配管接続する。
【0048】
このような合併処理浄化槽によれば、合併処理化装置20は地上に設置することが可能となって施工費用を低減することができる。
【0049】
その他の実施の形態
このような合併処理浄化槽は、浄化槽を新設するときには、新しい単独処理浄化槽を単独で新設し、またはこの新しい既存の単独処理浄化槽と合併処理化装置を組み合わせて使用することにより合併処理浄化槽を構成して新設することができるので、単独処理浄化槽と合併処理浄化槽の生産効率を高めることができる。
【0050】
【発明の効果】
本発明は、既設の単独処理浄化槽を利用して合併処理浄化槽を構成することができるので、既設の単独処理浄化槽を処分して新たな合併処理浄化槽を設置するよりも安価に実現することができ、単独処理浄化槽を廃棄する必要もなくなる。
【0051】
そして、屎尿専用であった単独処理浄化槽の好気処理槽を嫌気処理槽に改造することにより、第1嫌気処理部と第2嫌気処理部とを有するようにすることで、第1嫌気処理部にて固液分離、嫌気処理をした上に、第2嫌気処理部にて再度固液分離、嫌気処理ができるので、汚泥貯留能力が向上し、屎尿以外の台所排水、洗濯排水などの流入水が増えても、汚泥引き抜き頻度の増加を軽減することができる。また、単独処理浄化槽に接続した合併処理化装置の生物濾過槽から洗浄排水を引き抜いて第1嫌気処理部に洗浄排水移送管により返送できるようにすることで、生物濾過槽にて剥離して沈殿する生物膜を第1嫌気処理部に戻すことができ、生物濾過槽での閉塞を防止できる。
更に、沈殿分離室と接触曝気室と沈殿室と消毒室を備えた屎尿専用であった既設単独浄化槽を、前記沈殿分離室に嫌気濾材を充填して第1嫌気処理部に変更し、前記接触曝気室を空気供給停止にして前記第1嫌気処理部からの排水を再度の固液分離および嫌気処理を行う第2嫌気処理部に変更することができ、既設単独浄化槽を有効に利用して、それに合併処理化装置を接続することで第1嫌気処理部と第2嫌気処理部にて個々に固液分離、嫌気処理ができる合併処理浄化槽を提供できる。
【0052】
また、浴槽排水配管を別配管にすることにより、他の生活排水に比較して量が多いために浄化処理を不安定にしていた浴槽排水を直接または合併処理化装置による処理のみまたは消毒滅菌処理のみを行って系外に放流することができ、浄化処理を安定に行うことができる。
【0053】
更に、浴槽排水が既設の単独処理浄化槽を通過せずに合併処理化装置に直接流入あるいは直接放出あるいは消毒滅菌処理のみを行って系外に放出するように構成すれば、既設の単独処理浄化槽の容量を大きくしなくても汚泥の流出を防止することができると共に生物濾過処理を効率的に行うことができるので、生物濾過槽の容量をコンパクトにすることができ、システム全体を小型化することが可能となる。
【0054】
また、浴槽排水配管に流量調整弁を設ければ、合併処理化装置の生物濾過槽あるいは消毒槽を大きくする必要がなく、排水を効率良く生物濾過処理あるいは消毒滅菌することができる。
【0055】
更に、合併処理化装置に流量調整槽を設けた場合には、安定した浄化処理を行うことができ、特に合併処理化装置と流量調整槽を別体にして配管接続するようにすれば、合併処理化装置を地上設置することにより施工費用を低減することができる。
【0056】
また、本発明は、新しい単独処理浄化槽と合併処理化装置を使用して合併処理浄化槽を新設することもできるので、単独処理浄化槽と合併処理浄化槽の生産効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す合併処理浄化槽であり、(a)は平面および配管を示す図、(b)は縦断側面および配管を示す図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態における合併処理浄化槽の平面および配管を示す図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態における合併処理浄化槽の平面および配管を示す図である。
【図4】本発明の第4の実施の形態における合併処理浄化槽の平面および配管を示す図である。
【図5】本発明の第5の実施の形態における合併処理浄化槽の平面および配管を示す図である。
【図6】本発明の第6の実施の形態における合併処理浄化槽の縦断側面および配管を示す図である。
【図7】本発明の第7の実施の形態における合併処理浄化槽の縦断側面および配管を示す図である。
【図8】分離接触曝気方式の単独処理浄化槽の縦断側面図である。
【符号の説明】
1…単独処理浄化槽、5…沈殿室、6…消毒槽、11…第1嫌気処理室、12…第2嫌気処理室、20…合併処理化装置、22…生物濾過槽、23…処理水貯留槽、24…消毒槽。
Claims (5)
- 沈殿分離室と接触曝気室と沈殿室と消毒室を備えた屎尿処理用の既設単独処理浄化槽を、前記沈殿分離室に嫌気濾材を充填して第1嫌気処理部に変更し、前記接触曝気室を空気供給停止にして前記接触曝気室を前記第1嫌気処理部からの排水を再度の固液分離および嫌気処理を行う第2嫌気処理部に変更してなる単独処理浄化槽と、生物濾過槽及び消毒槽を備えた合併処理化装置と、前記単独処理浄化槽の流出口と前記合併処理化装置の流入口を接続する接続配管とを備え、
前記単独処理浄化槽の流入口に屎尿,台所排水および洗濯排水などを流入させるための配管を接続し、
前記合併処理化装置は、底部に散気管を配した生物反応部を上に、底部に散気管を配した濾過部を下にしてこれらを上下に重ねて生物濾過槽として設け、該生物濾過槽の底部において連通し、前記生物反応部と濾過部を合わせた部分の深さに相当する処理水貯留槽を設け、この処理水貯留槽の上部に消毒槽を設け、
前記合併処理化装置の生物濾過槽の底部と前記処理水貯留槽の底部の境界部分から洗浄排水を引き抜いて前記第1嫌気処理部に返送するための洗浄排水移送管を設け、
前記合併処理化装置における生物濾過槽の底部と処理水貯留槽の底部の位置を、前記既設単独処理浄化槽の第1嫌気処理部と第2嫌気処理部の位置よりも下方に設け、
前記既設単独処理浄化槽の第1嫌気処理部と第2嫌気処理部における処理水の水面位置よりも前記合併処理化装置の生物濾過槽と処理水貯留槽における処理水の水面位置を下方にしたことを特徴とする合併処理浄化槽。 - 請求項1において既設単独処理浄化槽の第1流出口と前記合併処理化装置の第2流入口を水平にほぼ同じ高さとして移流管により接続し、これら第1流出口と第2流入口の位置よりも前記合併処理化装置内の処理水の水面位置を低くしたことを特徴とする合併処理浄化槽。
- 請求項1または2において、浴槽排水のみを排水する浴槽排水管を、前記単独処理浄化槽の流出口と合併処理化装置の流入口とを接続する前記接続配管に接続し、または消毒槽に直接接続するようにしたことを特徴とする合併処理浄化槽。
- 請求項3において、浴槽排水管は流量調整弁を備えたことを特徴とする合併処理浄化槽。
- 請求項1〜4の1項において、前記合併処理化装置は、流量調整槽を備えたことを特徴とする合併処理浄化槽。
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