JP4378089B2 - ルーメンバイパス製剤の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生物学的活性物質、脂肪酸塩及び低融点の結合剤を含有する核製剤の表面を、コーティング剤でコーティングするルーメンバイパス製剤の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、生物学的活性物質を含有する核製剤の周囲にコーティング層を有する反芻動物用のルーメン(第1胃)バイパス製剤(以下、「コーティング型のルーメンバイパス製剤」ということがある。)が知られている。例えば、特許文献1には、油脂、ロウ等の天然物由来物質と生物学的活性物質からなる核製剤の表面を脂肪酸カルシウム塩等でコーテイングしてなるルーメンバイパス製剤及びその製造方法が開示されている。また、この文献には、このルーメンバイパス製剤は、コーティング剤の粉末と核製剤を混合し、回転式の容器中で混合物を加熱撹拌することにより製造することができる旨も開示されている。
【0003】
このようなルーメンバイパス製剤は、メチオニンなどの生物学的活性物質を高濃度(核製剤に対して50〜90重量%)で含有し、反芻動物のルーメン内における生物学的活性物質の溶出と微生物による分解を抑制して、第4胃以降の消化器官で生物学的活性物質の溶出と吸収効率を高める機能(ルーメンバイパス性)を有する。しかしながら、上記の製造方法で製造された製剤の中には、表面にべたつきがあったり、表面のつやが悪く、ルーメンバイパス性に劣るものが含まれる場合があった。従って、優れたルーメンバイパス性を発揮するコーティング型のルーメンバイパス製剤を、効率よく安定して製造できる製造方法の開発が望まれていた。
【0004】
また、特許文献2には、固体物質と軟化点の低い熱可塑性物質との混合物を熱可塑性物質の軟化温度以上に加熱撹拌し、固体物質による加熱作用によって熱可塑性物質を加熱し、軟化溶融して固体物質の表面に熱可塑性物質を固定化する方法が開示されている。しかしながら、核製剤を構成する脂肪酸などの融点は、一般的にコーティング剤の融点よりも低い場合が多いため、この技術をコーティング型のルーメンバイパス製剤の製造方法に適用することは困難である。また、コーティング型のルーメンバイパス製剤に用いるコーティング剤の融点は、一般的に核製剤の各成分と同じか高いため、コーティング剤と核製剤との混合物をコーティング剤の軟化温度以上に加熱することは不可能である。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−215789号公報
【特許文献2】
特願平4−160366号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、ルーメンバイパス性に優れるコーティング型のルーメンバイパス製剤を効率よく安定して製造する方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、コーティング型のルーメンバイパス製剤の製造方法について鋭意検討を加えた。その結果、水分含有量が1重量%以下である核製剤とコーティング剤との混合物を、撹拌装置を用いて、結合剤の融点より高く、コーティング剤の融点より低い温度で加熱撹拌することにより、高品質のルーメンバイパス製剤を効率よく製造できることを見出した。
【0008】
また、撹拌装置として、撹拌翼、撹拌容器及び加熱手段を備えるものを用い、前記撹拌翼と撹拌容器の壁面のクリアランスを、得られるルーメンバイパス製剤の粒子径の5倍以下の条件として、撹拌容器内で前記混合物を加熱撹拌するか、内部にスクレーパーが取り付けられた撹拌容器および加熱手段を備え、前記撹拌容器が回転する回転ドラム式撹拌装置を用いて、撹拌容器内の前記混合物を加熱撹拌することにより、高品質のルーメンバイパス製剤を効率よく製造することができることを見出した。
【0009】
さらに、撹拌装置として、核製剤とコーティング剤の混合物の投入口と、製造されたルーメンバイパス製剤の取出口とを有する撹拌装置を用いることにより、高品質の製剤を効率よく連続生産することができることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0010】
かくして本発明によれば、生物学的活性物質(a)、脂肪酸塩(b)、並びに脂肪族モノカルボン酸、脂肪族アルコール、脂肪族ジカルボン酸及び脂肪族トリカルボン酸から選ばれる少なくとも1種からなる結合剤(c)を含有してなり、水分含有量が1重量%以下である核製剤(A)とコーティング剤(B)との混合物を、撹拌装置を用いて、結合剤(c)の融点より高い温度、かつコーティング剤(B)の融点より低い温度で加熱撹拌することにより、前記核製剤(A)の表面をコーティング剤(B)でコーティングすることを特徴とするルーメンバイパス製剤の製造方法が提供される。
本発明の製造方法においては、核製剤(A)として、水分含有量が0.5重量%以下の核製剤(A)を用いるのが好ましい。
【0011】
本発明の製造方法においては、前記撹拌装置として、
(i)撹拌翼、撹拌容器および加熱手段を備え、前記撹拌翼が回転することにより、前記撹拌容器内の前記混合物を混合・撹拌する撹拌式撹拌装置を用い、前記撹拌翼と前記撹拌容器の壁面のクリアランスが、製造されるルーメンバイパス製剤の粒子径の5倍以下の条件で前記混合物を加熱撹拌するか、又は、
(ii)内部にスクレーパーが取り付けられた撹拌容器および加熱手段を備え、前記撹拌容器が回転する回転ドラム式撹拌装置を用いることにより、前記混合物を加熱撹拌するのが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のルーメンバイパス製剤の製造方法を詳細に説明する。
本発明の製造方法は、生物学的活性物質(a)、脂肪酸塩(b)、並びに脂肪族モノカルボン酸、脂肪族アルコール、脂肪族ジカルボン酸及び脂肪族トリカルボン酸から選ばれる少なくとも1種からなる結合剤(c)を含有してなり、水分含有量が1重量%以下である核製剤(A)と、コーティング剤(B)との混合物を撹拌装置を用いて加熱撹拌する工程を有するルーメンバイパス製剤の製造方法である。
【0013】
1)核製剤(A)
本発明に用いる核製剤(A)は、生物学的活性物質(a)、脂肪酸塩(b)、並びに脂肪族モノカルボン酸、脂肪族アルコール、脂肪族ジカルボン酸及び脂肪族トリカルボン酸から選ばれる少なくとも1種からなる結合剤(c)を含有してなる。
【0014】
生物学的活性物質(a)
核製剤(A)に用いる生物学的活性物質(a)は、反芻動物に投与することにより生物学的な活性を示す物質であれば特に制限されない。例えば、メチオニン、リジン塩酸塩等のアミノ酸;2−ヒドロキシ−4−メチルメルカプト酪酸およびその塩等のアミノ酸類縁体;ニコチン酸、ニコチン酸アミド、コリン、ビタミンA、ビタミンE等のビタミン類;ぶどう糖、果糖等の糖類;抗生物質、駆虫薬等の各種獣医薬等;が挙げられる。これらの生物学的活性物質は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのなかでも、本発明においては、アミノ酸又はアミノ酸類縁体が好ましく、アミノ酸がより好ましく、メチオニン、リジン塩酸塩がさらに好ましく、メチオニンが特に好ましい。メチオニンは反芻動物に必須のアミノ酸であるが、経口投与ではルーメンで分解されて有効に消化吸収されにくいものであるため、メチオニンを含有するルーメンバイパス製剤は特に有用である。
【0015】
核製剤(A)中の生物学的活性物質(a)の含有量は、核製剤(A)に対して、通常、50〜90重量%(80〜120℃で乾燥して吸着水分を除いた重量に基づく乾燥重量%。以下同じ。)であり、好ましくは60〜85重量%である。生物学的活性物質(a)の含有量が50重量%よりも少ないと経済的に不利であり、90重量%より多くなるとルーメンバイパス製剤のルーメンバイパス性が低下し、また、核製剤(A)の成形性が低下する。
【0016】
脂肪酸塩(b)
脂肪酸塩(b)は、ルーメンで分解されず第四胃以降で消化される性質を有する。核製剤(A)に用いる脂肪酸塩(b)としては、直鎖又は分岐の、飽和若しくは不飽和の脂肪族モノカルボン酸の塩が好ましい。また、脂肪族モノカルボン酸の炭素数は特に制限されないが、12〜24であるのが好ましい。炭素数が12より少ないとルーメンバイパス製剤のルーメンバイパス性が低下し、炭素数が24より多いと第四胃以降の消化性が低下するため好ましくない。
【0017】
脂肪族モノカルボン酸の具体例としては、ラウリル酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸などが挙げられる。脂肪酸は、これらの脂肪酸の1種を用いても2種以上を用いてもよい。なかでも、パーム脂肪酸や牛脂脂肪酸等の動植物由来の脂肪酸の使用が、入手が容易であることから好ましい。
【0018】
脂肪酸塩(b)としては、上記脂肪族モノカルボン酸のカルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属の塩、アルミニウム塩、亜鉛塩等が挙げられ、これらのなかでもカルシウム塩が好ましい。
【0019】
また、脂肪酸塩(b)は高純度であることが好ましい。特に固形分中の脂肪酸塩の純度(以下「純度」と記す。)が、90%以上であることが好ましい。不純物がルーメンバイパス製剤のルーメンバイパス性や硬度を低下させるからである。なお、ここでいう「純度」は、油脂分析法の常法であるエーテル類、ケトン類等の溶剤で脂肪酸塩を抽出処理した時の不溶解残分を意味し、吸着水分を除外して算出した重量%である。ただし、この抽出処理に用いる溶剤は脂肪酸塩を溶解せず混入する油脂分を溶解するものを選定する。
【0020】
結合剤(c)
核製剤(A)に用いる結合剤(c)は、核製剤に含まれる他の物質の融点より低い融点を有する物質である。結合剤(c)は、脂肪酸塩(b)の結晶性を低下させるとともに、生物学的活性物質(a)と脂肪酸塩(b)との親和性を改善し、さらに、後述するように核製剤(A)にコーティング剤のコーティングを円滑化する役目を有する。
【0021】
本発明においては、結合剤(c)として、脂肪族モノカルボン酸、脂肪族アルコール、脂肪族ジカルボン酸及び脂肪族トリカルボン酸から選ばれる少なくとも1種からなるものを用いる。
【0022】
脂肪族モノカルボン酸としては、例えば、直鎖又は分岐の、飽和若しくは不飽和の脂肪族モノカルボン酸が挙げられる。脂肪族モノカルボン酸の炭素数は特に制限されないが、好ましくは8〜24、より好ましくは12〜18である。炭素数が8より少ないとルーメンバイパス製剤が軟化してルーメンバイパス性が低下し、炭素数が24より多いと第四胃以降の消化性が低下するため好ましくない。
【0023】
脂肪族モノカルボン酸の具体例としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ベヘニン酸、水素添加したひまし油脂肪酸等の脂肪族モノカルボン酸、およびこれら混合物が挙げられる。
【0024】
脂肪族アルコールとしては、例えば、直鎖又は分岐の、飽和若しくは不飽和の一価の脂肪族アルコールが挙げられる。脂肪族アルコールの炭素数は特に制約されないが、好ましくは8〜24、より好ましくは12〜18である。炭素数が8より少ないとルーメンバイパス製剤が軟化してルーメンバイパス性が低下し、炭素数が24より多いと第四胃以降の消化性が低下するため好ましくない。
【0025】
脂肪族アルコールの具体例としては、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、エイコサノール、ドコサノール、ドデセノール、フィセテリルアルコール、ゾーマリルアルコール、オレイルアルコール、ガドレイルアルコール及びこれらの異性体等が挙げられる。
【0026】
脂肪族ジカルボン酸又は脂肪族トリカルボン酸としては、例えば、直鎖又は分岐の、飽和若しくは不飽和の脂肪族ジカルボン酸又は脂肪族トリカルボン酸が挙げられる。脂肪族モノカルボン酸又は脂肪族トリカルボン酸の炭素数は特に制限されないが、それぞれ2〜8であるのが好ましく、2〜6であるのがより好ましい。炭素数が2より少ない場合、炭素数が8より多い場合は、ルーメンバイパス製剤のルーメンバイパス性が低下するため好ましくない。
【0027】
脂肪族ジカルボン酸の具体例としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、リンゴ酸等が、また脂肪族トリカルボン酸の具体例としては、クエン酸等が挙げられる。
【0028】
核製剤(A)中の結合剤(c)の含有量は、結合剤(c)が脂肪酸塩(b)に相溶する範囲の量であれば特に制約されないが、脂肪酸塩(b):結合剤(c)の重量比で、70:30〜90:10の範囲が好ましい。このような重量比で結合剤(c)を含有する核製剤(A)を用いることで、良好なルーメンバイパス性を発揮するルーメンバイパス製剤を得ることができる。また、前記脂肪酸塩(b)と結合剤(c)とを合計した含有量は、核製剤(A)に対して10〜50重量%とするのが好ましい。
【0029】
水分含有量
本発明に用いる核製剤(A)の水分含有量は1重量%以下、好ましくは0.5重量%以下である。核製剤(A)の水分含有量がこの範囲にない場合は、ルーメンバイパス製剤を製造する場合に、品温(撹拌装置中の混合物の温度)の上昇とともに水の蒸発が起こり、表面がつやのない荒れた、ルーメンバイパス性に劣るルーメンバイパス製剤が得られるため好ましくない。
【0030】
水分含有量が1重量%以下の核製剤(A)を得る方法としては、例えば、(a)水分含有量が1重量%以下の原料(生物学的活性物質(a)、脂肪酸塩(b)及び結合剤(c))を用いて製造する方法;(b)核製剤を製造した後、コーティング剤をコーティングする前に、核製剤を乾燥することにより水分含有量1重量%以下の核製剤を得る方法;等が挙げられる。核製剤を乾燥する場合には、融点の低い結合剤(c)の溶融を避けるため、結合剤(c)の融点以下の温度で真空乾燥するか、あるいは乾燥後すばやく冷却するのが好ましい。
【0031】
核製剤(A)の水分含有量は、公知の水分量測定方法により測定することができる。例えば、製造した核製剤(A)を一部取り出し、ドライボックス中ですり潰して均一な粉末とし、カールフィッシャー水分測定法によって、核製剤(A)の水分含有量を測定することができる。
【0032】
核製剤(A)を製造する方法は特に制約されず、公知の各種造粒法を採用することができる。なかでも、乾燥条件下での押出造粒法が好ましく、空隙率が小さく、水分含有量の少ない製剤を得る上では、真空脱気を行いながら混練し、押出造粒直後に、造粒物を乾燥した冷風などにより急冷する方法がより好ましい。
【0033】
核製剤(A)の形状は特に制限されないが、球形、回転楕円形、砲弾形、円筒形等の角のない形状が好ましい。製剤の大きさは、飼料成分として適正な大きさであれば良い。好ましい粒径は0.5mm〜10mmの範囲である。
【0034】
また、核製剤(A)には、成形性、機械的強度、その他の改質のために改質剤が添加されていてもよい。用いる改質剤としては、例えば、ライスワックス等のワックス類;カルナウバロウ、密ロウ等のロウ類;エチルセルロース、プロピルセルロース、ポリエチレン、キトサンおよびその誘導体、pH感知性のポリマー等の各種ポリマー類;有機物、無機物の粉末;安定剤、香料等の各種添加剤;等が挙げられる。これらの改質剤についても水分含有量が1重量%以下のものを用いるのが好ましい。
【0035】
2)コーティング剤(B)
本発明に用いるコーティング剤(B)は、核製剤(A)の表面をコーティングする物質である。コーティング剤(B)は、長時間の第一胃浸漬時のルーメンバイパス性を向上させる役割を果たす。
【0036】
用いるコーティング剤としては、例えば、脂肪族モノカルボン酸の塩;中性領域で溶解せず酸性領域で溶解する、ポリマーやツェイン;等が挙げられる。
脂肪族モノカルボン酸の塩としては、前記脂肪酸塩(b)の具体例として列記したものと同様なものが挙げられる。
【0037】
中性領域で溶解せず酸性領域で溶解するポリマー、ツェインの例としては、ベンジルアミノメチルセルロース、ピペリジルエチルヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテートジエチルアミノアセテート、ジブチルアミノヒドロキシプロピルエーテル等のセルロース誘導体;ビニルジエチルアミン−ビニルアセテートコポリマー、ポリビニルジエチルアミノアセトアセタール、ビニルピペリジルアセトアセタール−ビニルアセテートコポリマー、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート、ポリジエチルアミノメチルスチレン、ポリビニルエチルピリジン、ビニルエチルピリジン−スチレンコポリマー、ビニルエチルピリジン−アクリロニトリルコポリマー、メチルビニルピリジン−スチレンコポリマー等のポリビニル誘導体;キトサン;アルギン酸カルシウム等の多糖類の金属塩;炭酸カルシウム、第2リン酸カルシウム、第3リン酸マグネシウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸鉛等の塩酸より弱酸性で、生体に受容可能な酸の水不溶性金属塩等;が挙げられる。本発明においては、これらのコーティング剤を1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、本発明においては、コーティング剤(B)として、前記脂肪族モノカルボン酸塩;中性領域で溶解せず酸性領域で溶解するポリマーやツェイン;等に加えて、前記核製剤(A)の改質剤として列記したものと同様なものを添加したものを用いることもできる。
【0038】
これらの中でも、入手容易性及び優れたルーメンバイパス性を有するルーメンバイパス製剤が得られる観点から、脂肪族モノカルボン酸塩の使用が特に好ましい。用いる脂肪族モノカルボン酸塩としては、前記脂肪酸塩(b)と同一のものが好ましいが、必ずしも同一であることを要しない。
【0039】
コーティング剤(B)は、通常粉末で用いられる。用いる粉末の粒度は、核製剤(A)が効率よくコーティングされるためには、100メッシュパス以下が好ましく、平均粒子径で10〜30μm以下であるのがより好ましい。
【0040】
コーティング剤(B)の使用量は、核製剤(A)100重量部に対して、通常2〜20重量部、好ましくは3〜15重量部である。核製剤(A)には、コーティング剤(B)は一定量を越えて付着しないが、付着しないコーティング剤が残存していても特に問題にはならない。
【0041】
3)ルーメンバイパス製剤の製造方法
本発明のルーメンバイパス製剤(以下、単に「製剤」ということがある。)は、核製剤(A)とコーティング剤(B)の混合物を、撹拌装置を用いて、所定温度に加熱しながら攪拌することにより、核製剤(A)の中から融点の低い成分(通常は結合剤(c))を溶出させ、核製剤(A)の表面に染み出た低融点成分にコーティング剤(B)の粉末を付着させ、核製剤(A)の表面をコーティングすることにより製造することができる。
【0042】
本発明の製造方法は、撹拌手段と加熱手段とを備える公知の加熱撹拌装置を用いて実施することができる。
本発明に用いる撹拌装置の撹拌手段としては、例えば、(i)撹拌装置に取り付けた撹拌翼により撹拌するもの、(ii)撹拌容器を回転させ(回転ドラム式)撹拌するもの等が挙げられる。
【0043】
(i)の撹拌翼を取り付けた撹拌装置を用いる場合には、クリアランス(撹拌翼と撹拌容器の内部壁との間隔)は、製剤の直径の5倍以下とするのが好ましい。クリアランスが5倍より大きくなると撹拌効率が悪くなり、良好な製剤を得ることができない。
【0044】
また、(ii)の回転ドラム式撹拌装置を用いる場合には、スクレーパー(掻き取り板又は掻き取り翼)を装置内部に備えるのが好ましい。回転ドラム式撹拌装置を用いる場合、撹拌作業中に撹拌装置内部壁に、混合物が層状に付着してしまう場合がある。この層状物は伝熱を著しく妨げ昇温温度を遅くし、加熱効率を低下させる。スクレーパーは、該層状物が生成するのを防止し、かつ付着した層状物を除去する役割を果たす。
【0045】
本発明に用いる撹拌装置の加熱手段としては、撹拌容器内を所定温度に加熱することができるものであれば特に制約されない。加熱手段としては、例えば、撹拌容器の周囲に加熱ヒーターを配置したものや、撹拌容器の周囲(又は底部)に温水を循環させて加熱するジャケットを配置したもの等が挙げられる。本発明においては、原料である結合剤(c)の融点が低いため(100℃未満)、加熱が容易で熱効率がよくコストのかからないジャケット式加熱装置を用いるのが好ましい。このジャケット式加熱撹拌装置は、本体ケーシングにジャケットを取り付け、該ジャケットの中に温水を通すことにより、装置内部を所定温度に加熱する装置である。
【0046】
混合物の加熱温度は、結合剤(c)の融点より高い温度、かつコーティング剤(B)の融点より低い温度である。結合剤の融点と、コーティング剤の融点の差が30℃より大きい場合には、結合剤(c)の融点より約35℃、より好ましくは約25℃高い温度であるのが好ましい。このように温度設定することにより、核製剤(A)中の結合剤(c)のみが溶融して、核製剤(A)の表面に染み出す。そして、核製剤の表面でコーティング剤の粉末と適度に付着し、核製剤(A)にコーティング剤(B)を効率よくコーティングすることができる。
【0047】
混合物の加熱温度が低い場合は、結合剤(c)が十分に溶融せず、核製剤(A)の表面に染み出してこないため、コーティング剤の粉末を核製剤(A)の表面に効率よく付着させることができない。また、混合物の加熱温度が高すぎる場合は、結合剤(c)の溶融が過度に進行し、各製剤(A)の表面にコーティングされたコーティング剤(B)の表面に染み出し、製剤同士が付着した連球が増加する。また、さらに加熱・混合処理を続けると、製造された製剤と容器の付着が生じ、全体が粟おこし状になるため、製剤の製造が不可能となる。いずれの場合においても良好な製剤を得ることができない。したがって、コーティング剤(B)がコーティングされた後は、得られた製剤を直ちにジャケットに水を循環させるか、冷風等により急冷し、製剤の形状、質を安定させるのが望ましい。
【0048】
核製剤(A)とコーティング剤(B)との混合物を、撹拌装置の撹拌容器内に滞留させる時間は、製造された製剤がさらに加熱されてコーティング剤が過剰に付着しないような範囲とするのが好ましい。核製剤(A)の表面にコーティング剤の粉末が均一に付着すると、表面のつやが増してくる。この状態を目視観察にて確認することにより、コーティングの終了とする。この時点で製剤を取り出すのが好ましい。前記混合物を撹拌容器内にあまりに長く滞留させる場合には、核製剤(A)に付着したコーティング剤(B)の内部からさらに結合剤(c)が染み出し、コーティング剤(B)の粉末が核製剤(A)に過剰に付着し、有効成分である生物学的活性物質の含有量の割合が低下してしまうため好ましくない。
【0049】
本発明においては、前記撹拌装置として、バッチ式の撹拌装置を用いることができるが、投入口と取出口とを有する撹拌装置を用いることもできる。後者のようなタイプの撹拌装置を用いることにより、該投入口から前記混合物を連続的に供給し、該取出口から製造された製剤を連続的に取り出すことにより、効率よく製剤を連続生産することが可能となる。
【0050】
撹拌翼、撹拌容器、加熱手段、投入口及び取出口を備え、前記撹拌翼が回転することにより、前記撹拌容器内の前記混合物を混合・撹拌する、連続生産用ジャケット付加熱撹拌装置の一例を図1に示す。図1(a)は、連続生産用ジャケット付加熱撹拌装置を側面から見た断面図、図1(b)は正面から見た断面図である。
【0051】
図1に示す撹拌装置は、核製剤(A)とコーティング剤(B)との混合物を収容して撹拌が行われる円筒形状の撹拌容器1と、混合物の撹拌を行う、中央のシャフト5に取り付けられた撹拌翼2と、温水を蓄え、混合物の加熱を行うジャケット4とを備える。この撹拌装置の撹拌容器1内の中心部には、2本のシャフト5が水平方向に取り付けられ、さらにシャフト5の先端部分には、図1(a)中、左側から右方向に所定の間隔をおいて複数の撹拌翼2が取り付けられている。撹拌翼の枚数や形状等は特に制限されず、撹拌装置の大きさ等に応じて適宜設定・選択することができる。図1(b)に示すように、2本のシャフト5が図中矢印の方向に回転することにより撹拌翼2が回転して、撹拌容器内の混合物の撹拌が行われる。また、撹拌容器1内には、突起部12が取り付けられ、これによって、混合物が2本の撹拌翼2によって十分に撹拌されるようになっている。
【0052】
また、ジャケット4内に所定温度の温水が流れており、この温水により撹拌容器1内を所定温度に加熱することができる。図1に示す撹拌装置では、ジャケット4と連結されている配管(図示を省略)がさらに配置されている。ジャケット4、配管及び温水ヒーターの間を温水が循環することにより、ジャケット4内には、常に一定の温度の温水が流れているようになっている。
【0053】
本発明は、図1に示す撹拌装置を用いて次のように実施することができる。先ず、図1(a)中、撹拌容器1の左側部に設けられた投入口(図示を省略)から、核製剤(A)とコーティング剤(B)との混合物を撹拌容器1内に投入する。投入した混合物は撹拌翼2により撹拌容器1内で撹拌されながら、図1(a)中、撹拌容器1のわずかにつけられた傾斜によって、左側から右側へ送り出される。混合物を左側から右側へ送り出す手段としては、シャフト5に所定の角度をもたせた推進羽根7を取り付け、シャフト5が回転すると、図1(a)中、左側から右側へ混合物が撹拌されながら送られる構造にする方法とすることもできる。
【0054】
図1(a)中、左側から右側に送られる間に、混合物は撹拌されながら所定温度に加熱され、低融点の結合剤(c)が溶融して、核製剤(A)の表面にしみ出す。そこへ、核製剤(A)の表面にコーティング剤(B)が均一に付着することによりルーメンバイパス製剤が得られる。得られた製剤は、図1(a)中、右側に取り付けられた取出口(図示を省略)から順次取り出すことができる。
【0055】
また、図1に示す撹拌装置においては、クリアランス3は、製剤6の粒子径の5倍以下に設定するのが好ましい。クリアランス3が、得られるルーメンバイパス製剤の直径の5倍より大きくなると、撹拌効率が悪くなり良好な製剤を得ることができない。しかしながら、適度なクリアランスであっても機壁と撹拌翼との間に製剤の層が出来て、伝熱が著しく妨げられる場合がある。その解決策として、掻取り板6を取り付けるとよい。
【0056】
図2に、内部にスクレーパーが取り付けられた撹拌容器と加熱手段としてのジャケット4’を備えた回転ドラム式撹拌装置の構造断面図を示す。図2(a)は該撹拌装置を側面から見た断面図であり、図2(b)は正面から見た断面図である。この撹拌装置は、核製剤(A)とコーティング剤(B)との混合物を収容し、該混合物の撹拌を行う円筒形状の撹拌容器1’と、撹拌容器1’内の中心部に取り付けられた固定軸5’と、固定軸5’に取り付けられたスクレーパー6’と、温水を蓄え、撹拌容器1’内部を加熱するジャケット4’とを備える。
【0057】
図2に示す撹拌装置は、ローター8’によって回転ドラム式撹拌容器1’が回転して、攪拌容器1’内に収容されている混合物を撹拌するものである。
スクレーパー6’は、撹拌容器1’が回転して混合物を撹拌する際に、撹拌容器1’の内壁面にこびりついた混合物を掻き取る役割を果たす。スクレーパー6’を取り付けることにより、撹拌容器1’の内壁面に混合物の層が形成されて加熱が不十分となり、所望のルーメンバイパス製剤を得ることが出来なくなる不都合を防止することができる。なお、取り付けるスクレーパーの数は、装置の規模等に合わせて適宜選択すればよい。
【0058】
また、図2に示す撹拌装置は、図1に示す撹拌装置と同様に循環温水を収容するジャケット4’を有し、このジャケット4’内に蓄えられた温水により撹拌容器1’内部を加熱することができる。
【0059】
本発明は、図2に示す撹拌装置を用いて次のように実施することができる。先ず、図2(a)中、撹拌容器1’の左側部に設けられた投入口9から、核製剤(A)とコーティング剤(B)との混合物を撹拌容器1’内に投入する。投入した混合物は撹拌容器1’が回転することにより撹拌容器1’内で撹拌されながら左側から右側へ送られる。図2に示す撹拌装置においては、円筒型の撹拌容器1’に若干の勾配を設けて、混合物を左側から右側へ送り込むことができるようにしている。
【0060】
図2(a)中、左側から右側に送られる間に、混合物は撹拌されながら所定温度に加熱され、低融点の結合剤(c)が溶融して、核製剤(A)の表面にしみ出す。そこへ、核製剤(A)の表面にコーティング剤(B)が均一に付着することによりルーメンバイパス製剤が得られる。得られた製剤は、図2(a)中、右側に取り付けられた取出口10から連続的に取り出すことができる。
【0061】
図1及び図2に示す撹拌装置を用いることにより、長時間の連続運転においても良好なルーメンバイパス製剤を製造することができる。長時間の連続生産を行う場合には、図2に示す撹拌装置を用いるのが特に好ましい。
【0062】
【実施例】
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例及び比較例に限定されるものではない。なお、これらの例中の部は、特に断りのない限り重量基準である。
(1)硬度
核製剤に加重をかけ、破壊が開始する加重を錠剤硬度計を用いて測定し硬度とした。
(2)水分含有量
核製剤を乾燥空気雰囲気下ですりつぶして均一な粉末とし、この粉末の水分含有量をカールフィッシャー水分測定法により測定した。
【0063】
実施例1
生物学的活性物質(a)としてメチオニン(融点280℃)を、脂肪酸塩(b)としてパーム油脂肪酸カルシウム塩(純度94.0%)を、結合剤(c)としてラウリン酸(融点45℃)を用いて、特開平10−215789号公報記載の方法に準じて核製剤を製造した。この核製剤を、遠心脱水後、水分含有量が0.9重量%になるまで室温で真空脱気乾燥した。このようにして得られた核製剤を(A1)とする。核製剤(A1)の硬度は350であった。また、核製剤(A1)の組成比(重量比)は、パーム油脂肪酸カルシウム塩:ラウリン酸:メチオニン=21:6:73であった。
【0064】
100リットルのジャケット付マルチフィンプロセッサー(奈良機械製作所製)に、上記核製剤(A1)45kgと、コーティング剤(B)として脂肪酸カルシウムの粉末4.5kgを入れ、混合しながら外部ジャケットに70℃の水を通して加熱した。核製剤表面に脂肪酸カルシウムの粉末が付着し終わったところ(品温約60℃)で加熱を終了した。ジャケットに冷水を通して品温が30℃になるまで撹拌しながら冷却して、ルーメンバイパス製剤(C1)を得た。
【0065】
実施例2
実施例1と同様に製造した核製剤を、遠心脱水処理後、水分含有量が0.3重量%になるまで室温で真空脱気乾燥した。得られた核製剤を核製剤(A2)とする。核製剤(A2)の硬度は360であった。核製剤(A2)を用いた以外は実施例1と同様にしてルーメンバイパス製剤(C2)を製造した。
【0066】
実施例3
投入口と取出口を設けた、70リットルのジャケット付パドルミキサー(奈良機械製作所製)に、実施例2で用いた水分含有量0.3重量%の核製剤(A2)30kgを入れ、外部ジャケットに70℃の温水を通して加熱した。品温が40℃になったところで、核製剤(A2)100部と脂肪酸カルシウム10部の割合で混合した混合物を、投入口から1分間隔で0.5kgずつ供給し、他端の取出口から、コーティングの完了した製剤をオーバーフローさせて連続的に取り出した。取り出した製剤はすぐに冷風で冷却した。得られたルーメンバイパス製剤(C3)は、実施例1及び2と同様につやのある、べたつきのないものであった。
【0067】
実施例4
投入口と取出口を有し、直径400mm、長さ500mmの回転式ドラムを備え、内部壁の上部に、スクレーパーを取り付けた連続生産用の温水加熱撹拌装置(梅田工業製)を用意した。該装置の外部に80℃の温水を通し、ドラムを12rpmで回転した。そこへ、核製剤(A2)8kgと脂肪酸カルシウム0.8kgとを予め混合し、この原料混合物を投入口から連続的に供給した。取出口から製剤がオーバーフローして排出され、品温が55℃になった頃から製剤のつやが良くなり、コーティングの完了した製剤が連続的に取り出した。取り出した製剤は直ちに冷風で冷却した。得られた製剤(C4)は、実施例1及び2と同様につやがありべたつきのないものであった。
【0068】
また、投入口から混合物を、1分毎に0.5kgずつ投入し、取出口からルーメンバイパス製剤を連続的に取り出す作業を行った。1時間経過後においても、外部温度を上昇させることなく品温は一定に保たれ、得られる製剤も初期に得られた製剤と同様につやがありべたつきのないものだった。
【0069】
比較例1
生物学的活性物質(a)としてメチオニン(融点280℃)を、脂肪酸塩(b)としてパーム油脂肪酸カルシウム塩(純度94.0%)を、結合剤(c)としてラウリン酸(融点45℃)をを用いて、特開平10−215789号公報記載の方法に準じて核製剤(A3)を製造した。核製剤(A3)の組成比(重量比)は、パーム油脂肪酸カルシウム塩:ラウリン酸:メチオニン=25:5:70であり、水分含有量1.6重量%であった。また、核製剤(A3)の硬度は280であった。
次いで、実施例1と同様にしてルーメンバイパス製剤(C5)を得た。
【0070】
実施例1及び2で得られた製剤(C1及びC2)を、比較例1で得られた製剤(C5)と比較した。目視観察したところ、実施例1及び2で得られた製剤(C1、C2)は比較例1の製剤(C5)に比して明らかにつやがあった。また、触感は、比較例1の製剤に比して、べたつきがなくさらさらしていた。
【0071】
実施例1〜4で得られた各製剤(C1〜C4)及び比較例1で得られた製剤(C5)について、コーティング層量(製剤の重量に対する付着したコーティング剤の重量(%))、メチオニン濃度(製剤の重量に対する核製剤中に含まれるメチオニンの重量(%))を算出した。結果を第1表に示す。
【0072】
【表1】
Figure 0004378089
【0073】
第1表から、比較例に比して、実施例では生物学的活性物質であるメチオニンの濃度の高い製剤が得られたことがわかった。
【0074】
ナイロンバック試験
乳量40kg/日の第1胃フィステラル装着した搾乳牛2頭のルーメン中に、200メッシュのナイロン袋に詰めた製剤(比較例1及び実施例1〜4で得られた製剤)を浸漬し、一定時間(8Hr、16Hr、24Hr)後に取り出した時のメチオニン残存率(製剤中の、浸漬前のメチオニンに対する浸漬後のメチオニンの重量(%))を算出した。結果(2頭に行った試験の平均)を第2表に示す。
【0075】
【表2】
Figure 0004378089
【0076】
第2表から、実施例で得られた各製剤(C1〜C4)は、比較例で得られた製剤(C5)に比較して、ルーメンにおけるメチオニン残存率が高いことが分かった。特に24時間後の残存率が高く、長時間のルーメンバイパス性がより優れている。また、比較例1、実施例1及び実施例2を比較したとき、水分含有量が少ない程ルーメンバイパス性が良好となる傾向があることが分かった。
また、実施例で得られた製剤は、つややべたつき等の見かけだけではなく、ルーメンバイパス性も優れた製剤であることが分かった。
【0077】
【発明の効果】
本発明によれば、表面につやがあり、べたつきがなく、かつ、ルーメンバイパス性に優れるルーメンバイパス製剤を効率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の製造方法に用いる連続生産用加熱撹拌装置の一例を示す図である。(a)は側面から見た断面図、(b)は正面から見た断面図である。
【図2】図2は、本発明の製造方法に用いる連続生産用加熱撹拌装置の他の例を示す図である。(a)は側面から見た断面図、(b)は正面から見た断面図である。
【符号の説明】
1…撹拌容器、1’…回転ドラム、2…撹拌翼、3…クリアランス、4,4’…ジャケット、5…シャフト、5’…固定軸、6…掻取り板、6’…スクレーパー、7…推進羽根、8…ローター、9…投入口、10…取出口、11…突起部

Claims (5)

  1. 生物学的活性物質(a)、脂肪酸塩(b)、並びに脂肪族モノカルボン酸、脂肪族アルコール、脂肪族ジカルボン酸及び脂肪族トリカルボン酸から選ばれる少なくとも1種からなる結合剤(c)を含有してなり、水分含有量が0.9重量%以下である核製剤(A)の表面がコーティング剤(B)でコーティングされたルーメンバイパス製剤の製造方法であって、前記核製剤(A)とコーティング剤(B)との混合物を、撹拌装置を用いて結合剤(c)の融点より高い温度、かつコーティング剤(B)の融点より低い温度で加熱撹拌することにより、核製剤(A)の表面をコーティング剤(B)でコーティングすることを特徴とするルーメンバイパス製剤の製造方法。
  2. 前記核製剤(A)として、水分含有量が0.3重量%以下の核製剤(A)を用いることを特徴とする請求項1に記載のルーメンバイパス製剤の製造方法。
  3. 前記撹拌装置として、撹拌翼、撹拌容器および加熱手段を備え、前記撹拌翼が回転することにより、前記撹拌容器内の前記混合物を混合・撹拌する撹拌式撹拌装置を用い、前記撹拌翼と前記撹拌容器の壁面のクリアランスが、製造されるルーメンバイパス製剤の粒子径の5倍以下の条件で、前記混合物を加熱撹拌することを特徴とする請求項1又は2に記載のルーメンバイパス製剤の製造方法。
  4. 前記撹拌装置として、内部にスクレーパーが取り付けられた撹拌容器および加熱手段を備え、前記撹拌容器が回転する回転ドラム式撹拌装置を用いることにより、前記混合物を加熱撹拌することを特徴とする請求項1又は2に記載のルーメンバイパス製剤の製造方法。
  5. 前記撹拌装置として、投入口と取出口とを有する撹拌装置を用い、該投入口から前記混合物を連続的に供給し、該取出口から製造されたルーメンバイパス製剤を連続的に取り出すことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のルーメンバイパス製剤の製造方法。
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