JP4375653B2 - 液材の混合方法および装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等のような主剤と硬化剤からなる2種以上の樹脂成分の混合により反応し硬化する樹脂を均一に混合して吐出する方法およびその装置に関するものである。
特に、粘度が大きく異なる2種以上の液材を均一に混合する、または混合比率が大きく異なる2種以上の液材を均一に混合する方法および装置である。
さらに、混合機構を長期にわたって円滑に動作させ、撹拌手段の摺動部の固着および硬化を防止する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
2種類の液材を混合する一般的な混合装置としては、例えば、特許文献1、2がある。特許文献1の図1に開示されている装置は、2液反応型の熱硬化性樹脂の混合装置であって、定量供給された主剤が主剤吐出側流入路12を通じて混合チャンバー4内に流入され、定量供給された硬化剤が硬化剤吐出側流路9を通じて混合チャンバー4内に流入され、混合装置1を貫通するシャフト3に取り付けられたミキシングロータ2の回転により前記主剤および前記硬化剤は撹拌混合され、混合チャンバー4の底部に設けられた吐出口14より吐出されるものである。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−187727号公報
【特許文献2】
特開平5−138100号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の装置においては、硬化剤導入孔の数について、前記図1に示されるように、主剤と硬化剤の流路が各一つずつしか設けられていないために、主剤と硬化剤の混合比率が大きく異なる場合には、例えば、主剤混合比率が高く硬化剤混合比率が低い場合においては、混合チャンバー内において硬化剤吐出側流路から混合チャンバーに流入する硬化剤が、硬化剤吐出流路側流路出口付近の混合チャンバー内の主剤と硬化剤との混合剤の一部に埋もれてしまい、吐出口に至るミキシングロータによる撹拌区間を経ても均一に混合することが難しく、主剤と硬化剤とを混合することで得られる液材の機能を十分に発現させることができないことがあった。
【0005】
また、主剤と硬化剤の粘度が大きく異なる場合についても、撹拌作用により流動する流動度が粘度の違いに起因して主剤と硬化剤とでは異なるため、混合性が悪く、上記混合比率が異なる場合と同様に、主剤と硬化剤とを均一に混合することが難しかった。
【0006】
さらに、このような従来の装置においては、シャフト位置に関し、前記図1に示されるように、混合チャンバー内で回転作用するミキシングロータが、混合装置に穿った貫通孔に挿入されたシャフトに取り付けられ、前記貫通孔は主剤流入路および硬化剤流入口とは別に設けられているため、混合チャンバー内で混合された液材はシャフトひいては回転駆動部と接触することとなり、回転摺動部に付着した液材の硬化に伴って摺動部が固着し、ミキシングロータの回転に円滑さが無くなり、さらに硬化が進むとミキシングロータが全く回転しなくなってしまうという、問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題を解決し、二の液材を均一に混合することができ、特に、粘度差が大きい、混合比率が大きく異なる、というような物理的性質の大きく異なる2以上の液材についても均一に混合することができる混合方法およびその装置を提供することを目的とする。また、液材の混合装置の発明にあっては、長期の使用においても撹拌摺動部の動作を円滑にし、反応性の高い混合液に撹拌摺動部が接触することない混合装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の液材の吐出方法は、第1の液材と第2の液材とを混合室で混合した後に流出口より流出する液材の混合方法において、第1の液材に対して第2の液材を分散した位置から混合室内に流入させた後に撹拌して混合することを特徴とし、加えて、混合室に連通する3以上の流路のうち、1の流路に前記第1の液材を流動させ、他の流路に前記第2の液材を流動させることを特徴とし、前記第2の液材を前記第1の液材と比して低粘度の液材とすることを特徴とし、さらに、前記第2の液材を前記第1の液材に比して混合比率の小さい液材とすることを特徴とする。
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の液材の混合装置は、混合室と、前記混合室に第1の液材が流入する第1の流入口と、前記混合室に第2の液材が流入する第2の流入口と、前記混合室内で前記第1の液材と前記第2の液材を混合する混合手段と、前記混合室から液材を流出する流出口と、を備え、前記第2の流入口は前記第1の流入口より多数とすることを特徴とする。加えて、前記第1の流入口を中心に複数の前記第2の流入口を配置すること、および、前記第1の流入口を中心とする円周上に前記複数の第2の流入口を配置することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の液材の混合装置は、流路ブロックと、前記流路ブロックと連通し流出口を有する混合室と、前記混合室内の液材を撹拌する撹拌手段と、を備え、前記流路ブロックは、第1の液材を流入する第1流入口と前記第1の液材を混合室に流出する第1の流出口と、第2の液材が流入する第2流入口と前記第2の液材を混合室に流出する第2の流出口と、を備え、前記第2の流出口は前記第1の流出口を中心に複数配置することを特徴とし、加えて、前記第2の流入口は、記流路ブロックで複数に分岐する第2の流路を介して前記複数の第2の流出口と連通することを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明の液材の混合装置は、貫通孔を有する流路ブロックと、前記流路ブロックと連接し、吐出口を有する混合室と、前記貫通孔を挿通する撹拌手段と、前記撹拌手段を駆動する撹拌手段駆動部と、を備え、前記流路ブロックは、第1の液材が流入する第1流入口と前記混合室とを連通する第1流路と、第2の液材が流入する第2流入口と前記混合室とを連通する第2流路と、を備え、前記第1流路は流路ブロック内で前記貫通孔と連通することを特徴とする。
【0012】
【作用】
第1の液材供給口および第2の液材供給口には、使用する液材に規定された混合比に応じた量が図示しない液材供給装置によりそれぞれの液材供給口に供給される。
第1の液材供給口に第1の液材が供給されると第1液材流路内部の第1液材に圧力が作用し、前記第1の液材供給口に供給された第1の液材の量だけ、中央の第1の液材流出口より混合室に流出し、同様に、第2の液材供給口に供給された第2の液材の量だけ、第1の液材流出口を取り囲むように配設された複数の第2の液材流出口より混合室に流出する。
第1の液材と第2の液材は第1の液材流出口および第2の液材流出口から混合室の流出口にまでの間に、液材は撹拌バネの回転作用により混合される。さらに、第1の液材流出口と第2の液材流出口により液材が混合室内に流出されると、新たに流出された液材は混合室内の液材に圧力作用を与え、混合液は混合室の液材流出口から流出される。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の詳細を図面にもとづき説明するが、本発明はこの実施例によって何等限定されるものではない。
【0014】
図1に示すように、流路ブロック1の下部に内部に混合室2を形成するシリンジ3が着脱自在に取り付けられており、前記流路ブロック1の上部には撹拌バネ駆動手段4が設けられている。前記撹拌バネ駆動手段4はモータとすることができる。
流路ブロックに取り付けられた撹拌バネ駆動手段によって回転されるシャフト5のシリンジ3に挿入される部分には、シャフト5と一体に回転する上下の回転子8、9が設けられており、それらの回転子の間にはコイルバネからなる撹拌バネ6を配設して撹拌手段を構成し、前記撹拌バネ駆動手段4の回転駆動により前記撹拌バネ6,前記回転子8および前記第2回転子9が回転動作する。
【0015】
流路ブロック1の内部は、図2に図示するように、第1の液材が供給される第1の液材供給口10が第1の液材流出口11を介して混合室2に連通しており、第2の液材が供給される第2の液材供給口12が第2の液材流出口13を介して混合室2と連通している。
流路ブロック1には、図2に示すように、シャフト5が遊嵌する挿通孔17と、第1液材流路14と第2液材流路15が設けられている。
上記第1液材流路14は、第1の液材流入口10と混合室2に開口する第1の液材流出口11とを連通させる、第1の液材流入口10に続く横方向流路部14aと、シャフト挿通孔17と同心でシャフト挿通孔17より大径の貫通孔の内周面とシャフト5の外周面との間隙によって形成され、第1の液材流出口11に続く縦方向流路部14bとで構成されており、また、上記第2液材流路15は、第2の液材流入口12と混合室2に開口する第2の液材流出口13とを連通させる、第2の液材流入口12に続く横方向流路部と15aと、シャフト挿通孔17と同心の横方向環状流路部15bと、前記環状流路部15bに沿って等間隔に設けられ、第2の液材の流出口13に続く複数の縦方向流路15cとで構成されている。
図示の実施例では、第2の液材供給口12から第2の液材流出口13に至る流路は流路ブロック1の内部で複数に分岐しており、図3に図示するように、第2の液材流出口13は、第1の液材流出口11を中心に8箇所設けられている。
なお、3以上の液材の混合に用いる場合は、他の液材のための液材流路と干渉しないように、第2液材流路と同様に形成する。
【0016】
また、図2に図示するように、撹拌バネ駆動手段4は、シャフト5と連接しており、第1液材流路14を介して混合室2に延出しており、混合室2と相対する位置においてシール部材16でシールしており、シャフト5とシャフト挿通孔17との間から第1の液材が漏洩することを防止している。シャフト5の摺動部が液材が混合する混合室2から距離をおいて設けられているため、混合液付着・硬化による摺動部の動作低下を防止することができる。
【0017】
次に、上記構成の液材混合装置の作動を説明する。
前記第1の液材供給口10から前記第1の液材流出口11に至る流路ブロック1内の第1液材流路14は第1の液材で満たされており、前記第2の液材供給口11から前記第2の液材流出口12に至る流路ブロック1内の第2液材流路は第2の液材で満たされている。
前記第1の液材供給口10および前記第2の液材供給口12には、使用する液材に規定された混合比に応じた量が図示しない液材供給装置によりそれぞれの液材供給口に供給される。第1の液材と第2の液材の規定混合比が、100:1であれば、前記第1の液材供給口10に供給される第1の液材の1/100に相当する量の第2の液材が前記第2液材供給口に供給される。
前記第1の液材供給口10に第1の液材が供給されると第1液材流路14内部の第1液材に圧力が作用され、前記第1の液材供給口10に供給された第1の液材の量だけ第1の液材流出口11より混合室2に流出する。同様に、第2の液材供給口12に供給された第2の液材の量だけ第2の液材流出口13より混合室2に流出する。
ここで、前述のとおり第2液材流路15は流路ブロック1内で8分岐されているので、各第2の液材流出口13から流出する第2の液材の量は、平均すると第2の液材供給口12に供給された量の1/8である。
このように、第1の液材が混合室2の中央位置に流出され、第2の液材が第1の液材を囲むように8箇所から流出される。
第1の液材流出口11と第2の液材流出口13により液材が流出されると混合室2内の液材に圧力作用を与え、シリンジ3の流出口7より第1の液材と第2の液材の混合液が流出する。
第1の液材流出口11および第2の液材流出口13から流出口7にまで混合室2内を流動する間に、液材は撹拌バネ6の回転作用により混合される。
【0018】
本実施例においては、混合室2内の第1の液材流出口11および第2の液材流出口12と第1回転子8との間で、第1の回転子8の回転作用により液材が回転方向の撹拌作用を受け、第1の回転子8とシリンジ3の内壁面の間隙を液材が通過する際に狭隙を通過する作用および第1回転子8の回転作用により強力な撹拌作用を受け、その後撹拌バネの回転による撹拌作用を受け、第2回転子9とシリンジ3内壁面の間隙を液材が通過する際に狭隙を通過する作用を再び受け、さらに第2回転子9の回転作用による回転方向の撹拌作用を受けてシリンジ3の流出口7より混合された液材は流出される。
なお、シリンジ3の流出口7の先端にはノズルを装着して吐出することもできる。
【0019】
【発明の効果】
上記構成の本発明は、第1の液材に対し第2の液材を分散した位置から混合室内、特に、粘度差が大きい、混合比が大きく異なる、というような物理的性質の大きく異なる2以上の液材についても均一に混合することができる。
また、撹拌のための摺動部を反応性の高い混合室より離れた箇所に設けることによって、反応性の高い混合液に撹拌摺動部が接触することを無くすことにより、摺動部の固着硬化を防止し、円滑な撹拌動作を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 液材の混合装置の概略図である。
【図2】 液材の混合装置の要部の断面図である。
【図3】 液材供給装置の流路ブロックの底面断面図である。
【符号の説明】
1 流路ブロック
2 混合室
3 シリンジ
4 撹拌バネ駆動手段
5 シャフト
6 撹拌バネ
7 流出口
8 第1の回転子
9 第2の回転子
10 第1の液材供給口
11 第1の液材流出口
12 第2の液材供給口
13 第2の液材流出口
14 第1の液材流路
15 第2の液材流路
16 シール部材
17 シャフト挿通孔
Claims (10)
- 混合比率が大きい第1の液材と混合比率が小さい第2の液材とを混合室内で撹拌手段により混合した後に流出口より流出する液材の混合方法において、
前記撹拌手段と接続された回転シャフトが挿通される貫通孔、第1の液材を混合室に流入する大径の第1流路、および第2の液材を混合室に流入する小径の第2流路を有する流路ブロックを設け、
前記第1流路を前記貫通孔と連通し、前記貫通孔から前記混合室に第1の液材を供給し、
前記第2流路を前記流路ブロック内で複数の流路に分岐し、前記第2流路の複数の出口を前記貫通孔を中心に配置し、
前記第1流路と前記貫通孔が連通する部分を前記第2流路の分岐の上方に配置し、その部分の上方にシール部材を設けたことを特徴とする液材の混合方法。 - 前記第1流路を、第1流路の入口を有し前記貫通孔の側方に連通される横方向流路部(14a)を含んで構成し、
前記第2流路を、第1流路の横方向流路部(14a)の下方に位置する横方向流路部(15a)と、出口を有する縦方向流路部(15c)と、横方向流路部(15a)と縦方向流路部(15c)とを連通する環状流路部(15b)と、を含んで構成したことを特徴とする請求項1記載の液材の混合方法。 - 前記第2の液材が前記第1の液材と比して低粘度の液材であることを特徴とする請求項1または2記載の液材の混合方法。
- 前記第1の液材が主剤であり、前記第2の液材が硬化剤であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の液材の混合方法。
- 前記第2流路の出口を前記貫通孔を中心に周上に等間隔に配置することにより第1の液材に対して第2の液材を分散した位置から混合室内に流入させた後に撹拌して混合することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の液材の混合方法。
- 第1の液材を流入する大径の第1流路、第2の液材を流入する小径の第2流路、および貫通孔を有する流路ブロックと、
前記流路ブロックの第1流路、第2流路および貫通孔と連通し流出口を有する混合室と、
前記貫通孔に挿通された回転シャフトを有し前記混合室内の液材を撹拌する撹拌手段と、を備えた液材の混合装置であって、
前記第2流路を前記流路ブロック内で複数の流路に分岐し、前記第2流路の複数の出口を前記貫通孔を中心に配置し、
前記第1流路と前記貫通孔が連通する部分を前記第2流路の分岐の上方に配置し、その部分の上方にシール部材を設けたことを特徴とする液材の混合装置。 - 前記第1流路を、第1流路の入口を有し前記貫通孔の側方に連通される横方向流路部(14a)を含んで構成し、
前記第2流路を、第1流路の横方向流路部(14a)の下方に位置する横方向流路部(15a)と、出口を有する縦方向流路部(15c)と、横方向流路部(15a)と縦方向流路部(15c)とを連通する環状流路部(15b)と、を含んで構成したことを特徴とする請求項6記載の液材の混合装置。 - 前記撹拌手段は、前記回転シャフトに接続され、前記貫通孔および前記第2流路の出口の下方近傍に位置し、前記混合室の内壁面と狭隙を形成する略円錐台状の回転子を含んで構成されることを特徴とする請求項6または7記載の液材の混合装置。
- 前記流路ブロックと前記混合室とを着脱自在に構成したことを特徴とする請求項6ないし8のいずれかに記載の液材の混合装置。
- 前記第2流路の出口を、前記貫通孔を中心に周上に等間隔に配置したことを特徴とする請求項6ないし9のいずれかに記載の液材の混合装置。
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