JP4374721B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、機関燃焼室に燃料を直接噴射するようにした内燃機関の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
機関燃焼室に燃料を直接噴射するようにした、いわゆる筒内噴射式の内燃機関にあっては、吸気ポート式の内燃機関と比較して燃料噴射弁の噴射圧を高圧に設定する必要がある。このため、こうした筒内噴射式内燃機関では、フィードポンプと燃料噴射弁との間に高圧燃料ポンプを配設し、このポンプによって高圧に加圧された燃料を燃料噴射弁に供給するようにしている。
【0003】
また、こうした高圧燃料ポンプ等、高圧燃料供給系の燃料供給圧は、例えばこれを一定の圧力に設定することもできるが、通常は、機関運転状態や、高圧燃料供給系の状態等、様々な要求に応じて変更される。
【0004】
例えば、高圧燃料供給系においては、燃料配管の接続部分等、燃料洩れの懸念される部位にOリング等のシール部材が配設されているが、同部材は極端な低温下に置かれると柔軟性が失われてそのシール性が低下する傾向がみられる。そこで、機関低温時等、シール部材の温度が極端に低いと推定されるときには、燃料洩れを防止するために、高圧燃料ポンプの燃料供給圧を一時的に低下させる制御が行われる(本出願人による特願平11−142294号参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このように燃料の供給圧、即ち燃料噴射弁の噴射圧を低下させるようにすると以下に示すような問題も無視できないものとなる。
【0006】
即ち、燃料供給圧が低下すると燃料噴射弁から単位時間当たりに噴射可能な燃料噴射量が減少する。このため、所定の空燃比となるように吸入空気量に応じて要求される燃料噴射量を確保する上では、燃料噴射時間を必然的に長く設定する必要が生じる。ところが筒内噴射式の内燃機関においては、燃料噴射可能なクランク角期間が筒内圧の低くなる期間、例えば吸気行程から圧縮行程の前半までの期間に制限されている。このため、燃料噴射時間が長くなると、このクランク角期間中に燃料噴射を完了させることができず、実際に噴射される燃料の量が要求量に対して不足するといった事態を招くようになる。特に、高負荷高回転時のように、要求燃料噴射量が多く、しかも燃料噴射可能なクランク角期間に相当する時間が短くなるような状況下においては、こうした傾向が一層顕著なものとなる。
【0007】
そして、このように燃料噴射量が不足すると、同燃料噴射量に対して吸入空気量が過剰になり、空燃比が極端にリーンな状態になるため、その着火性が低下して失火の生じるおそれがある。更に、こうした失火時に排気系に排出された未燃焼の混合気が排気系の熱によって後燃えすると、排気浄化用の触媒コンバータの過熱や、ひいてはその損傷を招くこととなる。
【0008】
本発明はこうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、高圧燃料供給系の燃料供給圧を低下させる制御が行われる場合であれ、過剰な吸入空気量のもとでの失火の発生によって未燃焼の混合気が排気系に排出されるのを好適に抑制することのできる内燃機関の制御装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明では、筒内噴射用の燃料噴射弁に所定の燃料供給圧をもって高圧燃料を供給する高圧燃料供給系を備えた内燃機関の制御装置であって、前記燃料供給圧にて前記燃料噴射弁から噴射可能な最大燃料噴射量に応じた失火発生限界量を超える量の吸入空気が前記内燃機関に供給されないように同吸入空気量を制限する制限手段を備える内燃機関の制御装置をその要旨としている。
【0010】
上記構成によれば、吸入空気量の増大に伴って要求燃料噴射量が増大し、実際の燃料噴射量が上記最大燃料噴射量に制限されることで要求燃料噴射量に対して不足する場合であっても、吸入空気量はこの最大燃料噴射量に応じた失火発生限界量を超えないように制限されているため、過剰な吸入空気量のもとでの失火の発生が抑えられ、未燃焼の混合気が排気系に排出されるのを好適に抑制することができるようになる。
【0011】
ここで、上記最大燃料噴射量は高圧燃料供給系の燃料供給圧、即ち燃料噴射圧が低いときほど少なくなるため、この最大燃料噴射量に応じた失火発生限界量についても燃料供給圧が低いときほど少なくなる傾向がある。また、こうした燃料供給圧に加え、上記最大燃料噴射量は機関回転速度に応じても変化し、同機関回転速度が高いときほど少なくなる。従って、失火発生限界量についても機関回転速度が高いときほど少なくなる傾向がある。
【0012】
このため、請求項2に記載の発明によるように、請求項1に記載される内燃機関の制御装置において、前記制限手段は前記燃料供給圧が低いときほど前記吸入空気量を少ない量に制限するものである、といった構成や、
請求項3に記載の発明によるように、請求項2に記載される内燃機関の制御装置において、前記制限手段は機関回転速度が高いときほど前記吸入空気量を少ない量に制限するものである、といった構成を採用することにより、上記失火発生限界量を正確に把握した上で吸入空気量の制限を行うことができるようになるため、失火の発生に起因する未燃焼混合気の排気系への排出を一層好適に抑制することができるとともに、吸入空気量が不必要に制限されるのを極力回避することができるようになる。
【0013】
また、請求項4に記載の発明では、請求項1乃至3のいずれかに記載の内燃機関の制御装置において、前記制限手段は機関出力調整用のスロットルバルブの開度制限を通じて前記吸入空気量の制限を行うものであるとしている。
【0014】
上記構成によれば、吸入空気量を制限するための機構を別途設けることなくその制限を行うことができるようになる。
更に、請求項5に記載の発明では、筒内噴射用の燃料噴射弁に所定の燃料供給圧をもって高圧燃料を供給する高圧燃料供給系を備えた内燃機関の制御装置であって、前記燃料供給圧にて前記燃料噴射弁から噴射可能な最大燃料噴射量に応じた失火発生限界量を超える量の吸入空気が前記内燃機関に供給されるときに前記燃料噴射弁の燃料噴射を禁止する禁止手段を備える内燃機関の制御装置をその要旨としている。
【0015】
上記構成によれば、燃料噴射量を上記最大燃料噴射量にまで増大したとしても、過剰な吸入空気量のもとでの失火の発生が避けきれない状況下にあるときには、燃料噴射弁の燃料噴射が強制的に停止されるため、過剰な吸入空気量のもとでの失火の発生によって未燃焼の混合気が排気系に排出されるのを好適に抑制することができるようになる。
【0016】
また、請求項6に記載の発明では、請求項1乃至5のいずれかに記載の内燃機関の制御装置において、前記高圧燃料供給系の燃料シール部位での燃料洩れを抑制すべく同燃料シール部位の温度が低いときほど前記燃料供給圧を低下させる供給圧制御手段を更に備えるようにしている。
【0017】
上記構成によれば、燃料シール部位に配設されるシール部材のシール性が低下する場合に、高圧燃料供給系の燃料供給圧を低下させることで同燃料シール部位における燃料洩れを防止することができる。しかもこうした燃料洩れを防止すべく高圧燃料供給系の燃料供給圧を低下させる制御が行われる場合であっても、過剰な吸入空気量のもとでの失火の発生によって未燃焼の混合気が排気系に排出されるのを好適に抑制することができる。
【0018】
尚、上記供給圧制御手段の具体的な構成としては、例えば燃料シール部位の温度を直接検出し、その検出温度が低いときほど高圧燃料供給系の燃料供給圧を低下させるようにした構成の他、機関温度(例えばこれは内燃機関の冷却水温により推定できる)が低いときほど高圧燃料供給系の燃料供給圧を低下させる構成や、吸入空気の温度(吸気温)や外気温が低いときほど高圧燃料供給系の燃料供給圧を低下させる構成、或いは燃料温度が低いときほど高圧燃料供給系の燃料供給圧を低下させる構成、更にはこれら機関温度、吸気温、外気温等々、燃料シール部位の温度と相関を有する温度情報を適宜組み合わせて同燃料シール部位の温度を推定し、その推定温度が低いときほど同燃料供給圧を低下させるようにした構成を採用することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
[第1の実施形態]
以下、この発明を車載ガソリンエンジンの制御装置に適用するようにした第1の実施形態について図1〜図4を参照して説明する。
【0020】
図1は、エンジン10及びその制御装置の構成を概略的に示している。
エンジン10には、各気筒に対応してその燃焼室(図示略)に燃料を直接噴射する燃料噴射弁11が設けられている。この燃料噴射弁11は、デリバリパイプ20及び燃料配管21を介して高圧燃料ポンプ22に接続されている。高圧燃料ポンプ22は、燃料タンク23内に設けられたフィードポンプ24に接続されている。このフィードポンプ24の吐出圧は、高圧燃料ポンプ22の燃料圧送圧よりも低く設定されている。
【0021】
これらデリバリパイプ20、燃料配管21、並びに高圧燃料ポンプ22により構成される高圧燃料供給系においては、燃料洩れの懸念される部位、例えばデリバリパイプ20と燃料配管21との接続部分、同燃料配管21と高圧燃料ポンプ22との接続部分、或いはデリバリパイプ20と燃料噴射弁11との接続部分等々に、Oリング等のシール部材(図示略)が配設されている。
【0022】
こうした高圧燃料供給系にあって、フィードポンプ24から高圧燃料ポンプ22に供給される低圧の燃料は、同高圧燃料ポンプ22によって高圧に加圧された後、燃料配管21を通じてデリバリパイプ20に圧送される。このようにして圧送された燃料は、更にデリバリパイプ20から各気筒の燃料噴射弁11に分配供給され、同デリバリパイプ20内の燃料圧力と等しい噴射圧をもって燃料噴射弁11から対応する気筒の燃焼室内に噴射される。
【0023】
このように燃焼室に噴射された燃料は、吸気通路12を通じて同燃焼室内に供給される吸入空気と混合される。更に、その混合気は点火プラグ(図示略)によって着火されて燃焼した後、燃焼室から排気通路13に排出される。吸気通路12には、吸入空気量をその開度(スロットル開度TA)に応じて調量するためのスロットルバルブ14、及びこのスロットルバルブ14を開閉駆動するスロットルモータ17がそれぞれ設けられている。一方、排気通路13には、排気を浄化するための触媒コンバータ15が設けられている。
【0024】
また、吸気通路12には、同吸気通路12内における吸入空気の圧力(吸気圧PM)を検出する吸気圧センサ32、吸入空気の温度(吸気温THA)を検出する吸気温センサ33がそれぞれ設けられている。エンジン10には、クランクシャフト(図示略)の回転速度(機関回転速度NE)及び同シャフトの回転角(クランク角CA)を検出するための回転速度センサ34、機関冷却水の温度(冷却水温THW)を検出する水温センサ35がそれぞれ設けられている。アクセルペダル16の近傍には、その踏込量(アクセル開度PA)を検出するアクセルセンサ36が設けられている。更に、デリバリパイプ20には、その内部の燃料圧力(燃料圧PF)を検出する燃料圧センサ37が設けられている。これら各センサ32〜37の検出信号は、電子制御装置30に入力される。
【0025】
電子制御装置30は、エンジン10の各種制御を統括して実行するものであり、入出力回路(図示略)や演算処理を実行するCPU(図示略)の他、その演算結果や各種制御に際して参照されるデータを記憶するメモリ31を備えている。
【0026】
例えば、この電子制御装置30は、アクセル開度PA及び機関回転速度NE等、機関運転状態に基づいてエンジン10の燃焼形態を切り替えるための制御を実行する。
【0027】
この燃焼形態の切替制御では、機関運転状態が高負荷高回転領域に移行すると、エンジン10の燃焼形態が均質燃焼に設定される。この場合、燃料噴射時期は例えば吸気行程中或いは同吸気行程から圧縮行程の前半までの期間に設定され、燃料は燃焼室内において吸入空気と略均等に混合された状態で燃焼されるようになる。更に、この均質燃焼時には、吸気圧PM及び機関回転速度NEに応じて変化する吸入空気量GAと要求燃料噴射量Qとの比、即ち空燃比が理論空燃比となるように、これら吸気圧PM及び機関回転速度NEに基づいて同要求燃料噴射量Qが算出される。また、吸入空気量GAは、スロットル開度TAに応じて調量されることから、この均質燃焼時におけるエンジン10の出力はスロットルバルブ14により調節されるようになる。
【0028】
一方、機関運転状態が低負荷低回転領域に移行すると、エンジン10の燃焼形態が成層燃焼に設定される。この場合、燃料噴射時期は圧縮行程後期に設定され、燃料はその大部分が燃焼室内の点火プラグ近傍に偏在した状態で燃焼されるようになる。また、この成層燃焼時には、空燃比が理論空燃比よりもリーンとなるように、要求燃料噴射量Qがアクセル開度PA及び機関回転速度NEに基づいて算出される。
【0029】
一方、こうした燃焼形態の切替制御に加え、電子制御装置30は、高圧燃料供給系から燃料噴射弁11に供給される燃料の供給圧、即ち燃料噴射圧を調整するための制御を実行する。
【0030】
この燃料圧制御に際しては、まず機関運転状態に基づいて、燃料噴射圧の目標値、即ち上記燃料圧PFについての目標圧PFTが設定される。そして、燃料圧PFとこの目標圧PFTとの偏差に基づき高圧燃料ポンプ22の燃料吐出量がフィードバック制御される。こうしたフィードバック制御が行われることにより、実際の燃料圧PFは目標圧PFTと一致するようになり、燃料噴射圧が機関運転状態に応じた適切な圧力に制御されるようになる。
【0031】
またここで、極低温での機関始動時等、高圧燃料供給系においてシール部材が配設されている部位の温度(シール部位温度THK)が極端な低温になり、同シール部材のシール性が低下するようなときには、燃料圧PFを一時的に低下させる制御が行われる。この制御では、上記シール部位温度THKが推定され、このシール部位温度THKに基づいて目標圧PFTが設定される。
【0032】
ここで、シール部位温度THKは、水温センサ35により検出される冷却水温THWと相関を有して変化し、同冷却水温THWが低いほど低くなる傾向がある。このため、この実施形態では、冷却水温THWに基づいてシール部位温度THKを推定するようにし、同冷却水温THWに応じて目標圧PFTを設定するようにしている。
【0033】
図3(b)は、冷却水温THWと目標圧PFTとの関係の一例を示しており、こうした関係は電子制御装置30のメモリ31に演算用マップとして予め記憶されている。同図に示されるように、目標圧PFTは、冷却水温THWが所定温度THW1(例えば、「0℃」)以下の範囲にあるときには、冷却水温THWが低くなるほど低い圧力に設定される。
【0034】
このように冷却水温THWが低いとき、従ってシール部位温度THKが低温であると推定されるときに、目標圧PFTを低く設定して高圧燃料供給系の燃料供給圧(燃料圧PF)を低下させることにより、各シール部位の燃料洩れが確実に防止されるようになる。
【0035】
一方、冷却水温THWが所定温度THW1を超える範囲にあるときには、上記のような燃料洩れの防止を目的とした目標圧PFTの設定は行われず、同目標圧PFTは機関運転状態に基づいて設定される。従って、機関運転状態に即した適切な燃料噴射圧に基づいて燃料噴射が行われるようになる。
【0036】
また、電子制御装置30は、こうした燃料圧制御の他にも、燃料噴射にかかる制御を実行する。
この燃料噴射制御に際しては、まず次の演算式(1)に基づいて燃料噴射時間τが算出される。
【0037】
τ=Q・KPR・A ・・・(1)
Q :燃料噴射量
KPR:燃圧補正係数
A :燃料噴射弁の噴射特性に応じて設定される定数
この演算式(1)において、燃圧補正係数KPRは、「1.0」を基準として燃料圧PFの大きさに応じて設定される係数であり、同燃料圧PFが低くなるほど大きい値に設定される。従って、要求燃料噴射量Qが同じであっても、燃料圧PFが低い場合には、燃料噴射時間τが相対的に長い時間に設定されることになる。
【0038】
そして、例えば均質燃焼時においては、図2(a)に示されるように、クランク角CAが吸気上死点TDCaに一致する時期から燃料噴射が開始されるとともに、上記燃料噴射時間τが経過した時点で燃料噴射が終了される。その結果、要求燃料噴射量Qと等しい量の燃料が燃料噴射弁11から燃焼室内に噴射されるようになる。
【0039】
ここで、燃料噴射弁11の燃料噴射は、クランク角CAが圧縮上死点TDCb前の所定クランク角CAMAX(以下、「最大燃料噴射角」という)に達すると、それ以降は実行できなくなる。これは、クランク角CAがこの最大燃料噴射角CAMAXよりも進んだ圧縮行程の後期にあっては、燃焼室内の圧力(筒内圧)が上昇するため、燃料噴射が正常に行われなくなり、また燃焼室内の空気が燃料噴射弁11の内部に逆流する等の現象が発生するためである。
【0040】
このため、クランク角CAが上記最大燃料噴射角CAMAXに達した時点で燃料噴射弁11は閉弁駆動され、燃料噴射は強制的に停止される。従って、クランク角CAが最大燃料噴射角CAMAXに達した時点で燃料噴射時間τに基づく燃料噴射が未だ完了していない場合であっても(図2(b))、その時点で燃料噴射は終了するようになる(図2(c))。
【0041】
また、このように燃料噴射期間が制限されると、燃料噴射弁11から噴射することの可能な最大の燃料噴射量QMAX(以下、「最大燃料噴射量」という)についても制限されるようになる。従って、要求燃料噴射量Qがこの最大燃料噴射量QMAXを超える量に設定されている場合には、実際の燃料噴射量が要求燃料噴射量Qに対して(要求燃料噴射量Qー最大燃料噴射量QMAX)分だけ不足するようになる。
【0042】
以下、この最大燃料噴射量QMAXについて説明する。
吸気上死点TDCaから最大燃料噴射角CAMAXに至るまでのクランク角期間θ(以下、「噴射可能クランク角期間」という)は、以下の演算式(2)に基づいて時間τmax(以下、「最大燃料噴射時間」という)に換算することができる。
【0043】
τmax=K1・θ/NE ・・・(2)
K1 :換算係数
一方、最大燃料噴射量QMAXは、上記各演算式(1),(2)から導かれる以下の演算式(3)に基づいて算出することができる。
【0044】
QMAX=K1・θ/NE・KPR・A ・・・(3)
ここで、上記演算式(3)から明らかなように、最大燃料噴射量QMAXは、燃圧補正係数KPRの大きさに応じて変化し、この燃圧補正係数KPRが大きいときほど少ない量になる。換言すれば、最大燃料噴射量QMAXは、燃料圧PFが低いときほど少ない量になる。また、こうした燃圧補正係数KPRに加えて、最大燃料噴射量QMAXは、機関回転速度NEに応じても変化し、同機関回転速度NEが高いときほど少ない量になる。
【0045】
従って、実際に噴射される燃料の量が要求燃料噴射量Qに対して不足するといった状況は、燃料圧PFが低いときほど、また機関回転速度NEが高いときほど発生し易いといえる。
【0046】
そして、このように実際に噴射される燃料の量が最大燃料噴射量QMAXに制限され、要求燃料噴射量Qに対して不足した状況下で均質燃焼が行われると、同要求燃料噴射量Qが吸入空気量GAに応じて設定されたものであるため、同吸入空気量GAが実際の燃料噴射量に対しては過剰になり、失火の発生や、それに起因する触媒コンバータ15の過熱等を招くおそれがある。
【0047】
そこで、本実施形態では、最大燃料噴射量QMAXに対する吸入空気量GAとして失火が発生しない最大の量(以下、「失火発生限界量GAMAX」という)を超える量の吸入空気がエンジン10に供給されないように、吸入空気量を制限するようにしている。以下、このように吸入空気量を制限する際の処理について図3及び図4を参照して説明する。
【0048】
図4は、吸入空気量を制限する際の処理手順を示すフローチャートであり、このフローチャートに示される一連の処理は電子制御装置30により所定の制御周期毎に繰り返し実行される。尚、成層燃焼時にあっては、上述したような過剰な吸入空気量のもとでの失火が発生せず、従って吸入空気量を制限する必要もない。このため、上記一連の処理は、エンジン10の燃焼形態が均質燃焼に設定されていることを条件に行われる。
【0049】
この一連の処理では、まずアクセル開度PA等に基づいてスロットル開度TAについての目標値(目標開度TARB)が算出される(ステップ110)。
次に、冷却水温THW及び機関回転速度NEに基づいてスロットル開度TAについての上限値(上限開度TAMAX)が算出される(ステップ120)。ここで、この上限開度TAMAXは、スロットル開度TAを制限して吸入空気量を失火発生限界量GAMAX以下に制限するためのものである。
【0050】
図3(a)は、この上限開度TAMAXと冷却水温THW及び機関回転速度NEとの関係の一例を示しており、こうした関係は電子制御装置30のメモリ31に演算用マップとして予め記憶されている。
【0051】
同図(a)に示されるように、冷却水温THWが前記所定温度THW1を超える範囲にあるときには、上限開度TAMAXは全開に相当する開度に設定される。即ちこの場合には、スロットル開度TAの開度制限は行われず、従って吸入空気量GAの制限も行われない。
【0052】
一方、冷却水温THWが所定温度THW1以下の範囲にあるときには、上限開度TAMAXは冷却水温THWが低くなるほど小さい開度に設定される。これは、冷却水温THWが低くなるほど目標圧PFTが低く設定され、この目標圧PFT(ひいては燃料圧PF)に応じて最大燃料噴射量QMAXが少なくなる結果、この最大燃料噴射量QMAXに応じて失火発生限界量GAMAXも少なくなるからである。
【0053】
更に、同じく冷却水温THWが所定温度THW1以下の範囲にあるときには、上限開度TAMAXは機関回転速度NEが高くなるほど小さい開度に設定される。これは、機関回転速度NEが高くなるほど最大燃料噴射量QMAXが少なくなり、この最大燃料噴射量QMAXに応じて失火発生限界量GAMAXも少なくなるからである。
【0054】
このようにして上限開度TAMAXが算出されると、次にこの上限開度TAMAXと目標開度TARBとが比較される(ステップ130)。そして、目標開度TARBが上限開度TAMAXを上回っている場合には(ステップ130:YES)、目標開度TARBが上限開度TAMAXと等しく設定される(ステップ140)。即ち目標開度TARBが上限開度TAMAXに制限される。そして、こうしたスロットル開度TAの開度制限を通じて吸入空気量GAも失火発生限界量GAMAX以下に制限されるようになる。
【0055】
このように目標開度TARBが制限された後、或いは目標開度TARBが上限開度TAMAX以下である場合には(ステップ130:NO)、この一連の処理は一旦終了される。
【0056】
以上説明した制御態様をもって吸入空気量を制限するようにした本実施形態によれば、次のような作用効果を得ることができる。
(1)均質燃焼時に、実際に噴射される燃料の量が最大燃料噴射量QMAXに制限され、要求燃料噴射量Qに対して不足するようになっても、スロットル開度TAの最大開度が上限開度TAMAXに制限され、吸入空気量が最大燃料噴射量QMAXに応じた失火発生限界量GAMAXを超えないように制限されるため、過剰な吸入空気量のもとでの失火発生を抑えて未燃焼の混合気が排気通路13に排出されるのを好適に抑制することができるようになる。その結果、排気性状の悪化はもとより、触媒コンバータ15の過熱や、その熱による損傷を回避することができるようになる。更に、こうした失火の発生に起因した機関出力の変動により車両の走行性が低下するのも併せて抑制することができるようになる。
【0057】
(2)また、冷却水温THWが低いときほど、換言すれば高圧燃料供給系の燃料供給圧(燃料圧PF)が低いときほど、上限開度TAMAXを小さい開度に設定するようにしたため、失火発生限界量GAMAXを正確に把握した上で吸入空気量の制限を行うことができるようになる。その結果、失火の発生に起因する未燃焼混合気の排出を一層好適に抑制することができる。更に、吸入空気量が不必要に制限されるのを極力回避することができ、機関出力の低下も併せて抑制することができるようになる。
【0058】
(3)更に、上記燃料供給圧の他、機関回転速度NEが高いときほど上限開度TAMAXを小さい開度に設定するようにしている。従って、失火発生限界量GAMAXを更に正確に把握した上で吸入空気量の制限を行うことができ、未燃焼混合気の排出並びに吸入空気量の不必要な制限を一層好適に抑制することができるようになる。
【0059】
(4)エンジン10の出力調整を行う上で必須の機構であるスロットルバルブ14の開度制限を通じて吸入空気量を制限するようにしたため、同吸入空気量を制限するための機構を別途設けることなくその制限を行うことができるようになる。
【0060】
(5)高圧燃料供給系の燃料シール部位における温度(シール部位温度THK)を冷却水温THWにより推定し、同冷却水温THWが低いときほど、シール部位温度THKが低いときほど目標圧PFTを低く設定して高圧燃料供給系の燃料供給圧を低下させるようにしたため、各シール部位の燃料洩れを確実に防止することができるようになる。
【0061】
[第2の実施形態]
次に、この発明の第2の実施形態について説明する。
本実施形態の制御装置が適用されるエンジンシステムには、図1に破線で示されるように、エンジン10の本体に加熱装置50が設けられている。この加熱装置50は、極低温下での機関始動性を向上させるためのものであり、機関停止中に外部電源(図示略)から電力が供給され、その電力によって機関冷却水を所定温度以上に加熱するものである。
【0062】
こうした加熱装置50が設けられたエンジンシステムでは、機関冷却水の加熱により機関停止中に冷却水温THWが所定温度以上に維持され、その状態で機関始動が行われるようになる。従って、例えば外気温が低く、高圧燃料供給系の燃料シール部位が極端に温度低下した状態で機関始動が行われるような場合等には、冷却水温THWと上記シール部位温度THKとの相関が低くなる。このため、シール部位温度THKが常に冷却水温THWに等しいものとしてこれを推定した場合には、その推定結果に誤差が生ずるようになる。
【0063】
そこで、本実施形態では、第1の実施形態とは異なる方法を用いてシール部位温度THKを推定するようにしている。以下、このシール部位温度THKの推定方法について図5及び図6を参照して説明する。
【0064】
図6は、シール部位温度THKを推定する際の手順を示すフローチャートであり、このフローチャートに示される一連の処理は電子制御装置30により所定の制御周期毎に繰り返し実行される。
【0065】
この一連の処理では、機関始動時の吸気温THAと、機関始動時からの経過時間、即ち機関運転時間Tとが読み込まれ、更に次の演算式(4)に基づいて推定冷却水温THWEが算出される(ステップ210)。この推定冷却水温THWEは、加熱装置50による機関冷却水の加熱が行われていないと仮定した場合における同機関冷却水の温度である。
【0066】
THWE=THA+K2・T ・・・(4)
K2 :補正係数
図5は、機関運転時間Tの経過に対する、冷却水温THW、推定冷却水温THWE、並びに吸気温THAの推移をそれぞれ示している。同図に一点鎖線で示されるように、推定冷却水温THWEは、吸気温THAを初期温度とし、機関運転時間Tの経過とともに徐々に上昇する。また、推定冷却水温THWEは、機関始動後から所定時間t1が経過するまでは、加熱装置50の加熱による影響によって実際の冷却水温THWが高くなるため、同冷却水温THWよりも低くなる。
【0067】
このようにして推定冷却水温THWEを算出した後、次に水温センサ35により検出される冷却水温THWとこの推定冷却水温THWEとが比較される(ステップ220)。ここで、推定冷却水温THWEが冷却水温THWよりも低い場合には(ステップ220:YES)、シール部位温度THKは推定冷却水温THWEと等しく設定される(ステップ230)。即ちこの場合には、加熱装置50により機関冷却水が加熱され、冷却水温THWが温度上昇しているため、その影響により同冷却水温THWからシール部位温度THKを正確に推定することができないものとして、推定冷却水温THWEに基づいてシール部位温度THKが推定される(図5においてタイミングt1までの期間)。
【0068】
一方、推定冷却水温THWEが冷却水温THW以上である場合には(ステップ220:NO)、シール部位温度THKは冷却水温THWと等しく設定される(ステップ240)。即ちこの場合には、加熱装置50の加熱による影響が殆どないものとして、シール部位温度THKが実際の冷却水温THWに基づいて推定される(図5においてタイミングt1以降の期間)。
【0069】
このようにしてシール部位温度THKを設定した後(ステップ230,ステップ240)、この一連の処理は一旦終了される。
そして、先の図3(b)に示した冷却水温THWと目標圧PFTとの関係と同様の傾向、即ちシール部位温度THKが所定温度以下であるときに、同シール部位温度THKが低くなるほど目標圧PFTが低くなる傾向をもった演算用マップが参照され、同目標圧PFTがシール部位温度THKに基づいて設定される。
【0070】
更に、図4に示すステップ120の処理においても、先の図3(a)に示した上限開度TAMAXと冷却水温THW及び機関回転速度NEとの関係と同様の傾向、即ちシール部位温度THKが所定温度以下であるときに、同シール部位温度THKが低くなるほど、また機関回転速度NEが高くなるほど、上限開度TAMAXが小さくなる傾向をもった演算用マップが参照され、同上限開度TAMAXがシール部位温度THK及び機関回転速度NEに基づいて算出される。尚、こうした上限開度TAMAXとシール部位温度THK及び機関回転速度NEとの関係を定義した演算用マップや、先の目標圧PFTとシール部位温度THKとの関係を定義した演算用マップはいずれも、電子制御装置30のメモリ31に記憶されている。
【0071】
このように本実施形態では、加熱装置50を備えたエンジンシステムにあって、機関始動時の吸気温THA及び機関運転時間Tに基づいて機関冷却水の温度(推定冷却水温THWE)を推定するとともに、この推定温度と実際の機関冷却水の温度(冷却水温THW)とを比較しつつ、これら各温度温度からシール部位温度THKを更に推定するようにしている。
【0072】
従って、本実施形態によれば、
(6)加熱装置50が備えたエンジンシステムであっても、シール部位温度THKを正確に推定することができ、高圧燃料供給系の各シール部位における燃料洩れをより確実に防止することができるようになる。
【0073】
[第3の実施形態]
次に、この発明の第3の実施形態について説明する。
上記第1及び第2の実施形態では、吸入空気量GAが失火発生限界量GAMAXを超えることがないように同吸入空気量GAを制限することにより、失火の発生を抑え、それに起因する未燃焼混合気の排気通路13への排出を抑制するようにしたが、本実施形態では、吸入空気量GAが失火発生限界量GAMAXを超える場合に、燃料噴射弁11による燃料噴射を強制的に停止させるようにしている。
【0074】
以下、このように燃料噴射を強制的に停止させる際の処理手順について図7に示すフローチャートを参照して説明する。このフローチャートに示される一連の処理は電子制御装置30により所定の制御周期毎に繰り返し実行される。
【0075】
この一連の処理では、まず上記演算式(3)に基づいて最大燃料噴射量QMAXが算出される(ステップ310)。次に、この最大燃料噴射量QMAXに基づいて失火発生限界量GAMAXが算出される(ステップ320)。この最大燃料噴射量QMAXと失火発生限界量GAMAXとの関係は予め実験等によって求められており、基本的に、最大燃料噴射量QMAXが多いときほど失火発生限界量GAMAXは多い量に設定される。また、こうした最大燃料噴射量QMAXと失火発生限界量GAMAXとの関係は、電子制御装置30のメモリ31に演算用マップとして記憶されており、失火発生限界量GAMAXの算出に際してはこの演算用マップが参照される。
【0076】
次に、吸気圧PM及び機関回転速度NEに基づいて吸入空気量GAが算出される(ステップ330)。電子制御装置30のメモリ31には、この吸入空気量GAと吸気圧PM及び機関回転速度NEとの関係を定義した演算用マップが記憶されており、この演算用マップを参照して吸入空気量GAが算出される。
【0077】
そして次に、この吸入空気量GAと失火発生限界量GAMAXとが比較される(ステップ340)。ここで、吸入空気量GAが失火発生限界量GAMAXを上回っていると判断された場合には(ステップ340:YES)、燃料噴射が禁止される(ステップ350)。即ち、燃料噴射弁11が閉弁駆動されてその燃料噴射が強制的に停止される。そして、一連の処理が一旦終了される。
【0078】
一方、吸入空気量GAが失火発生限界量GAMAX以下である場合には(ステップ340:NO)、燃料噴射が禁止されることなく一連の処理が一旦終了される。
【0079】
このように、本実施形態では、最大燃料噴射量QMAXに応じた失火発生限界量GAMAXを超える量の吸入空気が供給されるときには、燃料噴射弁11の燃料噴射を禁止するようにしている。
【0080】
従って、
(7)最大燃料噴射量QMAXと等しい量の燃料が噴射されたとしても失火の発生が避けきれない状況下にあるときには、燃料噴射が強制的に停止されるため、過剰な吸入空気量のもとでの失火の発生によって未燃焼の混合気が排気通路13に排出されるのを確実に抑制することができるようになる。その結果、排気性状の悪化はもとより、触媒コンバータ15の過熱や、その熱による損傷を回避することができるようになる。更に、こうした失火の発生に起因した機関出力の変動により車両の走行性が低下するのも併せて抑制することができるようになる。
【0081】
以上本発明の各実施形態について説明したが、これら各実施形態は以下に示すようにその構成を変更して実施することもできる。
・上記各実施形態では、均質燃焼時における燃料噴射開始時期が吸気上死点TDCaに設定される場合を例にして説明したが、この燃料噴射開始時期は機関運転状態に応じて適宜変更されるものであってもよい。このように燃料噴射開始時期を可変設定するようにすると、同燃料噴射開始時期に応じて噴射可能クランク角期間θが変化し、その変化に伴って最大燃料噴射量QMAX、更には失火発生限界量GAMAXが変化するようになる。従って、この場合には、燃料噴射開始時期が遅角側の時期に設定されるときほど、上限開度TAMAXを小さく設定するようにしたり、最大燃料噴射量QMAXの算出に際して用いられる噴射可能クランク角期間θを小さく設定したりするのが望ましい。このようにすれば、燃料噴射開始時期の変更に応じてこれら上限開度TAMAXや最大燃料噴射量QMAXをより正確に求めることができるようになる。
【0082】
・上記各実施形態では、均質燃焼時においてクランク角CAが固定値である最大燃料噴射角CAMAXに達した時点で燃料噴射を強制的に停止させるようにしたが、燃料噴射を正常に実行できるか否かは主に燃料噴射圧と筒内圧との差圧によって決まることから、この最大燃料噴射角CAMAXを燃料圧PFに基づいて可変設定するようにしてもよい。更にこの場合、上述した燃料噴射開始時期を可変設定する場合と同様に、最大燃料噴射角CAMAXが進角側の時期に設定されるときほど、上限開度TAMAXを小さく設定するようにしたり、最大燃料噴射量QMAXの算出に際して用いられる噴射可能クランク角期間θを小さく設定したりすることで、燃料噴射開始時期の変更に応じてこれら上限開度TAMAXや最大燃料噴射量QMAXをより正確に求めることができるようになる。
【0083】
・上記各実施形態では、吸入空気量GAを機関回転速度NE及び吸気圧センサ32により検出される吸気圧PMに基づいて求めるようにしたが、この吸気圧センサ32に換えて吸入空気量を直接検出する吸気量センサを吸気通路12に設け、同センサの検出信号に基づいて吸入空気量を求めるようにしてもよい。
【0084】
・上記各実施形態では、冷却水温THWや推定冷却水温THWEが所定温度以下であるときに、目標圧PFTをこれら冷却水温THWや推定冷却水温THWEのみに基づいて設定するようにしたが、例えばこれら各温度情報THW,THWEに基づいて設定される目標圧と機関運転状態に基づいて設定される目標圧とを比較し、それらのうちで低圧であるほうを実際の目標圧として設定するようにしてもよい。
【0085】
・上記第1及び第2の実施形態では、機関回転速度NEの他、冷却水温THWや推定冷却水温THWEに基づいて上限開度TAMAXを算出するようにしたが、機関回転速度NEと燃料圧PF(或いは目標圧PFT)とに基づいてこれを算出するようにしてもよい。また、燃料圧PF(或いは目標圧PFT)のみ基づいて上限開度TAMAXを算出することもできる。この場合には、機関回転速度NEをエンジン10において想定される最も高い回転速度とした条件のもとで、図3(a)に示されるような、上限開度TAMAXと冷却水温THWとの関係を設定しておくことが失火の発生を確実に回避する上では望ましい。
【0086】
・第3の実施形態では、燃料圧PFに基づいて最大燃料噴射量QMAXを算出するようにしたが、例えば同最大燃料噴射量QMAXを目標圧PFTに基づいて算出するようにしてもよい。
【0087】
・第2の実施形態では、推定冷却水温THWEを推定するに際して、その初期温度を機関始動時の吸気温THAにより、またその後の温度上昇分を機関運転時間Tによりそれぞれ推定するようにしたが、例えば初期温度についてはこれを外気温センサにより検出される外気温度により、また温度上昇分についてはこれを機関始動時からのエンジン10の総回転数や総燃料噴射量に基づいて推定することもできる。或いは燃料の温度を検出する燃料温度センサを設け、同センサの検出温度に基づいてシール部位温度THKを検出するようにしてもよい。また、これら機関温度(冷却水温THWや推定冷却水温THWE)、吸気温、外気温、燃料温度等々、燃料シール部位の温度と相関を有する温度情報を適宜組み合わせて同燃料シール部位の温度を推定することもできる。或いは、高圧燃料供給系における代表的なシール部位に温度センサを取り付け、このシール部位についてはシール部位温度THKを直接検出し、それ以外のシール部位についてはこの温度センサの検出温度に基づいて推定するようにしてもよい。
【0088】
以下、上記各実施形態から把握できる技術思想について記載する。
(イ)低圧燃料ポンプから供給される燃料を加圧して筒内噴射用の燃料噴射弁に所定の燃料供給圧をもって供給する高圧燃料ポンプを備えた内燃機関の制御装置であって、前記燃料供給圧にて前記燃料噴射弁から噴射可能な最大燃料噴射量に応じた失火発生限界量を超える量の吸入空気が前記内燃機関に供給されないように同吸入空気量を制限する制限手段を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
【0089】
(ロ)前記制限手段は前記燃料供給圧が低いときほど前記吸入空気量を少ない量に制限するものである上記(イ)に記載の内燃機関の制御装置。
(ハ)前記制限手段は機関回転速度が高いときほど前記吸入空気量を少ない量に制限するものである上記(ハ)に記載の内燃機関の制御装置。
【0090】
(ニ)前記制限手段は機関出力調整用のスロットルバルブの開度制限を通じて前記吸入空気量の制限を行うものである上記(イ)〜(ニ)のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
【0091】
(ホ)低圧燃料ポンプから供給される燃料を加圧して筒内噴射用の燃料噴射弁に所定の燃料供給圧をもって供給する高圧燃料ポンプを備えた内燃機関の制御装置であって、前記燃料供給圧にて前記燃料噴射弁から噴射可能な最大燃料噴射量に応じた失火発生限界量を超える量の吸入空気が前記内燃機関に供給されるときに前記燃料噴射弁の燃料噴射を禁止する禁止手段を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
【0092】
(ヘ)上記(イ)〜(ホ)のいずれかに記載の内燃機関の制御装置において、前記高圧燃料ポンプから前記燃料噴射弁に至る燃料供給経路の燃料シール部位での燃料洩れを抑制すべく同燃料シール部位の温度が低いときほど前記燃料供給圧を低下させる供給圧制御手段を更に備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態にかかるエンジンシステム及びその制御装置の概略構成図。
【図2】クランク角と噴射時期との関係を示すタイミングチャート。
【図3】冷却水温THWとスロットルバルブの上限開度及び燃料供給圧にかかる目標値との関係を定義した演算用マップを示すグラフ。
【図4】吸入空気量を制限する際の処理手順を示すフローチャート。
【図5】機関運転時間の経過に対する、冷却水温、推定冷却水温、並びに吸気温の推移を示すグラフ。
【図6】高圧燃料供給系におけるシール部位の温度を推定する際の処理手順を示すフローチャート。
【図7】吸入空気量と失火発生限界量との比較結果に基づき燃料噴射を禁止する際の処理手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
10…エンジン、11…燃料噴射弁、12…吸気通路、13…排気通路、14…スロットルバルブ、15…触媒コンバータ、16…アクセルペダル、17…スロットルモータ、20…デリバリパイプ、21…燃料配管、22…高圧燃料ポンプ、23…燃料タンク、24…フィードポンプ、30…電子制御装置、31…メモリ、32…吸気圧センサ、33…吸気温センサ、34…回転速度センサ、35…水温センサ、36…アクセルセンサ、37…燃料圧センサ。

Claims (6)

  1. 筒内噴射用の燃料噴射弁に所定の燃料供給圧をもって高圧燃料を供給する高圧燃料供給系を備えた内燃機関の制御装置であって、
    前記燃料供給圧にて前記燃料噴射弁から噴射可能な最大燃料噴射量に応じた失火発生限界量を超える量の吸入空気が前記内燃機関に供給されないように同吸入空気量を制限する制限手段を備える
    ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記制限手段は前記燃料供給圧が低いときほど前記吸入空気量を少ない量に制限するものである
    請求項1記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記制限手段は機関回転速度が高いときほど前記吸入空気量を少ない量に制限するものである
    請求項2記載の内燃機関の制御装置。
  4. 前記制限手段は機関出力調整用のスロットルバルブの開度制限を通じて前記吸入空気量の制限を行うものである
    請求項1乃至3のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
  5. 筒内噴射用の燃料噴射弁に所定の燃料供給圧をもって高圧燃料を供給する高圧燃料供給系を備えた内燃機関の制御装置であって、
    前記燃料供給圧にて前記燃料噴射弁から噴射可能な最大燃料噴射量に応じた失火発生限界量を超える量の吸入空気が前記内燃機関に供給されるときに前記燃料噴射弁の燃料噴射を禁止する禁止手段を備える
    ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の内燃機関の制御装置において、
    前記高圧燃料供給系の燃料シール部位での燃料洩れを抑制すべく同燃料シール部位の温度が低いときほど前記燃料供給圧を低下させる供給圧制御手段を更に備える
    ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
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