JP4374444B2 - 原子デバイス - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、中性原子または中性分子を基板上にトラップして用いる原子デバイスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の情報処理技術においては、電子の流れを用いたエレクトロニクス技術、及び光子の流れを用いたフォトニクス技術が用いられている。これに対して、近年、制御された原子の流れを基板上でコヒーレント操作する「原子回路」の実現の可能性が議論されている。このような原子制御技術は、電子、光子の高度な制御技術によるエレクトロニクス、フォトニクスの発展と同様に、「アトムトロニクス」ともいうべき新たな情報処理技術として発展する可能性を秘めている。
【0003】
特に、この技術で用いられる原子あるいは分子などの粒子は、その構造の複雑さなどにより電子や光子に比べて非常に多くの内部、外部自由度を持っている。したがって、このような粒子をコヒーレント制御して利用する技術の確立は、将来の量子情報処理、量子コンピューティング、極限計測などに大きな効果をもたらすと期待される(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
【非特許文献1】
Donatella Cassettari et al., "Beam Splitter for Guided Atoms", Phys. Rev. Lett. Vol.85, pp.5483-5487 (2000).
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した技術を用いた原子基板(アトムチップ)では、中性原子の制御方法として、磁場によるゼーマン相互作用が用いられている。すなわち、導線に電流を流すことにより磁場B(r)を生成し、磁気モーメントμBをもつ原子の磁場中でのゼーマン相互作用によるポテンシャルUB(r)=−μB・B(r)を利用して原子のトラップまたは移動を行っている。
【0006】
この方法では、具体的には、基板上の電流導線による磁場と、外部からのバイアス磁場とを組み合わせることにより、所望の位置に磁場の極小点を生成する。このとき、磁場に反平行な磁気モーメントμBを持つ原子であれば、磁場の極小点においてゼーマンポテンシャルが最小となるため、この極小点をトラップ位置として原子をトラップすることができる。このような原子制御原理を用い、これまでに、基板上で通電した導線が作る磁場による原子ガイドや、Y字型の導線による原子の分岐回路、基板上でのボーズ凝縮体の生成実験などが行われている。また、これらの研究は、レーザ冷却されたアルカリ原子の電子スピンの磁場制御を利用して行われている。
【0007】
しかしながら、このような従来の原子制御技術では、原子の流れを利用した原子回路などの様々な原子デバイスを実現する上で、いくつかの問題がある。すなわち、上記技術では、基板上の導線に電流を流して原子を制御するため、オーミック損失の発生、及びそれによる発熱が不可避である。したがって、基板上への集積化には限界がある。また、磁場を用いて原子を制御する構成では、原子回路間での磁場の遮蔽が困難である。
【0008】
また、上記技術では、ゼーマンポテンシャルの式UB=−μB・Bからわかるように、磁場の1次の効果を利用して原子を制御している。このような制御方法では原子は外乱に弱く、大規模な量子コンピュータを構築するような場合にデコヒーレンスの発生が避けられないという問題があった。
【0009】
本発明は、以上の問題点を解決するためになされたものであり、原子回路の集積化が容易になるとともに、外乱の影響等を低減することが可能な原子デバイスを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明による原子デバイスは、中性原子または中性分子である中性粒子を用いる原子デバイスであって、(1)基板上の所定位置に設定されたトラップ位置に対し、トラップ位置を通る第1軸に沿ってトラップ位置を挟む基板上の位置に設けられた第1電極対と、(2)トラップ位置を通り第1軸と所定角度をなす第2軸に沿ってトラップ位置を挟む基板上の位置に設けられた第2電極対とを備え、基板の表面上に形成された第1電極対及び第2電極対を含む電極パターンに対し、第1電極対及び第2電極対によって挟まれた基板の表面上の領域がトラップ領域となり、トラップ領域の中心位置がトラップ位置となっており、(3)第1電極対を構成する一方の電極が基準電位からみて正電位、他方の電極が負電位に設定されて、電場中でのシュタルク相互作用によるポテンシャルにおいて、第2軸上でトラップ位置が中性粒子の安定点となる第1の状態と、第2電極対を構成する一方の電極が基準電位からみて正電位、他方の電極が負電位に設定されて、電場中でのシュタルク相互作用によるポテンシャルにおいて、第1軸上でトラップ位置が中性粒子の安定点となる第2の状態とを交互にスイッチングすることによりトラップ位置に中性粒子をトラップするとともに、グランド電位を基準電位に設定して、第1の状態では第2電極対を構成する2個の電極をグランド電位に設定し、第2の状態では第1電極対を構成する2個の電極をグランド電位に設定することを特徴とする。
【0011】
上記した原子デバイスにおいては、磁場によるゼーマン相互作用ではなく、電場によるシュタルク相互作用を用いて中性原子または中性分子を制御する。すなわち、分極率αをもつ中性粒子に対して電場E(r)を印加し、粒子の電場中でのシュタルク相互作用によるポテンシャルUE(r)=−α|E(r)|2/2を利用して粒子のトラップを行っている。具体的には、2組の電極対への印加電圧をスイッチングすることにより、それらの電極対に挟まれた位置に安定点を生成し、この安定点をトラップ位置として粒子をトラップしている。
【0012】
このような構成及び原子制御方法によれば、基板上の電極に電圧を印加して粒子を制御するため、電場のスイッチングに伴う電力損失のみが発生し、オーミック損失の発生、及びそれによる発熱が回避される。したがって、基板上への原子回路の集積化が容易となる。また、電場を用いて原子を制御する構成では、原子回路間での電場の干渉は基板上にグランド面を設けることで容易に回避できる。これらの効果により、本原子デバイスでは原子回路の高集積化が可能となる。
【0013】
また、上記構成では、シュタルクポテンシャルの式UE=−α|E|2/2からわかるように、電場の2次の効果を利用して粒子を制御しているため、制御される粒子の環境、外乱との結合が抑制される。したがって、デコヒーレンスに強い原子デバイスが実現される。
【0014】
ここで、第1の状態と第2の状態とのスイッチングにおいては、第1の状態では第2電極対を構成する2個の電極を基準電位に設定し、第2の状態では第1電極対を構成する2個の電極を基準電位に設定することが好ましい。これにより、2組の電極対に挟まれた位置に良好に安定点を生成することができる。
【0015】
また、基板上にトラップされて用いられる中性粒子は、スピンを持たない中性原子または中性分子であることが好ましい。このような粒子では、その量子状態に対して長いコヒーレンス時間が期待できる。これは、原子回路の拡張性などの点で有利である。
【0016】
また、原子デバイスは、第1電極対及び第2電極対からなる電極群での電極間隔が10μm以下であることを特徴とする。このように、基板上に設けられる電極構造をマイクロストラクチャ化することにより、原子デバイスを小型化することができる。また、電極間隔が狭いことにより、中性粒子をトラップする電場を生成するために必要な各電極への印加電圧を低くすることができる。
【0017】
また、原子デバイスを形成する基板としては、電子デバイスまたは光デバイスが形成された半導体基板を用いることが好ましい。電子デバイスが形成された基板を用いれば、電子、原子デバイスを結合させて用いることにより、エレクトロニクス技術と、中性粒子を用いた情報処理技術とのインターフェースを実現することができる。また、光デバイスが形成された基板を用いれば、光、原子デバイスを結合させて用いることにより、フォトニクス技術と、中性粒子を用いた情報処理技術とのインターフェースを実現することができる。
【0018】
あるいは、基板としては、所定波長の光を透過する透明基板を用いることが好ましい。透明基板を用いれば、基板を介して原子デバイスと他の光デバイスとを結合させて用いることにより、フォトニクス技術と、中性粒子を用いた情報処理技術とのインターフェースを実現することができる。
【0019】
また、原子デバイスは、基板上に複数のトラップ位置を設定し、第1電極対及び第2電極対からなる電極群を複数のトラップ位置のそれぞれに対して設けるとともに、複数の電極群に含まれる電極のそれぞれの電位をスイッチングすることにより、トラップ位置への中性粒子のトラップと、隣接するトラップ位置間での中性粒子の移動とを行うことを特徴とする。
【0020】
このように、2組の電極対による上記した原子デバイスの基本構成を拡張することにより、中性粒子のコヒーレントな輸送を実現して、様々な原子回路を構成することが可能となる。
【0021】
具体的な原子デバイスの構成としては、例えば、情報が付与された中性粒子を用いるとともに、複数の電極群を、中性粒子を隣接するトラップ位置間で順次移動していくことによって情報を転送する原子シフトレジスタとする構成がある。あるいは、それぞれ情報が付与された2個の中性粒子を少なくとも用いるとともに、複数の電極群を、2個の中性粒子に量子相関を付与することが可能なように設置する構成がある。また、これら以外にも様々な構成が可能である。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面とともに本発明による原子デバイスの好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0023】
図1は、本発明による原子デバイスの一実施形態の構成を示す斜視図である。本原子デバイスは、基板上にトラップされた中性粒子を用いる原子基板(アトムチップ)であり、基板1と、電極パターン2とを備えて構成されている。なお、以下においては、主に中性原子を用いる場合について説明するが、一般には中性粒子として、中性原子または中性分子を用いることができる。
【0024】
また、図1に示す原子デバイスに対し、説明の便宜のため、x、y、z軸からなる座標軸を以下のように定義して用いる。すなわち、基板1に対して垂直な軸をz軸、z軸に直交し基板1の一方の対角方向の軸をx軸(第1軸)、z軸及びx軸に直交し基板1の他方の対角方向の軸をy軸(第2軸)とする。また、x軸及びy軸の交点であって基板1上の略中心にある所定位置は、本原子デバイスにおける中性原子のトラップ位置30として設定されている。
【0025】
基板1は、所定の材料からなる略正方形状の基板である。基板1の表面10上には、銀などの金属材料による電極パターン2が形成されている。本実施形態においては、電極パターン2は、第1電極対21及び第2電極対26の2組の電極対を有している。なお、少なくとも基板1の表面10上の領域は、中性原子のトラップなどのため超高真空に保たれる。
【0026】
第1電極対21は、1組の電極22、23を有する。これらの電極22、23はそれぞれ基板1の外形に沿った矩形状に形成され、トラップ位置30を通るx軸に沿ってトラップ位置30を挟む基板1上の位置にそれぞれ設けられている。図1においては、基板1の右上側に電極22が、左下側に電極23が配置されている。
【0027】
第2電極対26は、1組の電極27、28を有する。これらの電極27、28はそれぞれ基板1の外形に沿った矩形状に形成され、トラップ位置30を通るy軸に沿ってトラップ位置30を挟む基板1上の位置にそれぞれ設けられている。図1においては、基板1の右下側に電極27が、左上側に電極28が配置されている。また、これらの電極22、23、27、28は、所定の電極間隔d、及び厚さwで形成されている。
【0028】
本原子デバイスでは、上記した2組の電極対21、26により、中性原子のトラップに用いられる電極群が構成されている。このような電極構造において、電極対21、26によって挟まれた基板表面10上の領域がトラップ領域3となっており、その中心位置が中性原子のトラップ位置30となる。そして、電極対21、26を構成する電極22、23、27、28それぞれの電位を第1の状態、及び第2の状態の2つの状態間で交互にスイッチングすることにより、このトラップ位置30に中性原子がトラップされる。
【0029】
すなわち、トラップ領域3内には、電極パターン2の各電極の電位に応じた電場Eが生成される。このとき、トラップしようとする分極率αの中性原子では、シュタルク相互作用によるポテンシャルUE=−α|E|2/2が生じる。図1に示した原子デバイスは、この電場によるシュタルクポテンシャルを利用して中性原子のトラップを実現する。
【0030】
具体的には、まず、原子デバイスでの電位に関してグランド電位を基準電位に設定するとともに、各電極の電位について2つの状態を設定する。そして、第1の状態では、第1電極対21を構成する一方の電極22にグランド電位からみて正電位となる電圧+V0を印加し、他方の電極23に負電位となる電圧−V0を印加する。また、第2電極対26を構成する2個の電極27、28をグランド電位Gとする。一方、第2の状態では、第2電極対26を構成する一方の電極27に電圧+V0を印加し、他方の電極28に電圧−V0を印加する。また、第1電極対21を構成する2個の電極22、23をグランド電位Gとする。本原子デバイスでは、これらの状態のスイッチングによって原子をトラップ位置30にトラップする。
【0031】
図2は、図1に示した原子デバイスにおける中性原子のトラップ方法について説明するための図である。図2(a)は、x、y、z軸からなる座標軸、及び各電極の電圧を示す模式図である。また、図2(b)は、図2(a)に示した状態で生成される電場によるシュタルクポテンシャルUEの2次元分布を示すグラフである。なお、図2(b)のグラフにおいては、x=y=0の点がトラップ位置30に相当する。
【0032】
図2(a)に示すように、第1の状態では、電極27、28をグランド電位Gとするとともに、電極22を正電位+V0、電極23を負電位−V0とする。このとき生成されるポテンシャルUEでは、図2(b)に示すように、x=0のy軸上でみると、トラップ位置30に対応するy=0の中心位置でポテンシャルが最小となり、この点が中性原子の安定点となる。一方、x軸上でみると、x=0の中心位置から電極22、23側に向かってポテンシャルが小さくなる。
【0033】
次に、この第1の状態から第2の状態へと印加電圧をスイッチングする。第2の状態では、電極22、23をグランド電位Gとするとともに、電極27を正電位+V0、電極28を負電位−V0とする。このとき生成されるポテンシャルUEでは、第1の状態とは逆に、x軸上でみると、トラップ位置30に対応するx=0の中心位置でポテンシャルが最小となり、この点が中性原子の安定点となる。一方、y軸上でみると、y=0の中心位置から電極27、28側に向かってポテンシャルが小さくなる。
【0034】
以上より、第1の状態では、中性原子はy軸方向については中心位置を安定点とし、x軸方向については電極22、23に近付く方向に移動しようとする。第2の状態では、中性原子はx軸方向については中心位置を安定点とし、y軸方向については電極27、28に近付く方向に移動しようとする。したがって、中性原子が電極へと移動するよりも速い周波数で2つの状態をスイッチングすれば、中性原子はトラップ位置30の近傍で微小に運動しつつトラップされる。
【0035】
本実施形態による原子デバイスによる効果について説明する。
【0036】
図1に示した原子デバイスにおいては、電場によるシュタルク相互作用を利用して中性原子を制御している。このような構成及び原子制御方法によれば、基板1上の電極22、23、27、28に電圧を印加して原子を制御するため、電場のスイッチングに伴う電力損失のみが発生する。したがって、オーミック損失の発生、及びそれによる発熱が回避されるので、基板1上への原子回路の集積化が容易となる。
【0037】
また、このような構成では、原子回路間での電場の干渉が問題となる場合、基板上にグランド面を設けることで容易に問題を回避でき、原子回路の高集積化が可能となる。また、電場の2次の効果を利用して原子を制御しているため、制御される中性原子の環境、外乱との結合が抑制される。したがって、デコヒーレンスに強い原子デバイスが実現される。
【0038】
ここで、原子の基底状態及び準安定状態の分極率はα>0であるため、中性原子を基板1上でトラップするには電場強度の極大点を作る必要がある。しかしながら、マクスウェル方程式より、自由空間中ではこのような極大点を作ることはできない。このため、電場を用いた原子の制御方法では、静的制御では原子をトラップすることができず、動的制御による原子の安定化が必要となる。これに対して、上記した原子デバイスでは、2組の電極対21、26を設置し、それらへの印加電圧をスイッチングする動的制御を行っている。これにより、安定なトラップ位置30を生成して中性原子をトラップすることが可能となる。
【0039】
なお、第1の状態での第2電極対26の電極27、28、及び第2の状態での第1電極対21の電極22、23に設定される電位については、上記の例では、トラップ位置30となる安定点を良好に生成するため基準電位であるグランド電位としたが、中性原子の安定化が可能であれば異なる電位としても良い。
【0040】
また、基板1上にトラップされて用いられる中性粒子としては、上記のように中性原子または中性分子を用いることができるが、特に、スピンを持たない中性原子または中性分子を用いることが好ましい。中性粒子がスピンを持つ場合、粒子のスピンと環境とのカップリングによるデコヒーレンスの発生が問題となる場合がある。これに対して、スピンを持たない中性粒子では、その量子状態に対して長いコヒーレンス時間が期待できる。このことは、原子回路の拡張性などの点で有利である。このような中性粒子としては、例えば、最外殻に2個の電子を持つストロンチウム(Sr)原子などのアルカリ土類原子がある。
【0041】
図1に示した原子デバイスにおいて基板1上に中性原子をトラップするための中性原子の冷却方法について説明する。図3は、中性原子の冷却方法を示す模式図である。なお、ここでは簡単のため、原子デバイスの基板1のみを示し、基板1上の電極パターン2については図示を省略している。また、中性原子の冷却、及び基板1上へのトラップ等は、いずれも超高真空中において行われる。
【0042】
中性原子の冷却は、磁気光学トラップ(MOT:Magneto-Optical Trap)の手法を用いて行われる。運動している原子に対して対向する2方向から、原子の共鳴周波数から負方向にずらした周波数のレーザ光を照射すると、原子はドップラーシフトによって共鳴周波数に近付いた進行方向からのレーザ光を吸収し、反対方向への反跳を受ける。レーザ冷却では、このような過程を繰り返すことにより、中性原子をμK程度の極低温まで冷却することができる。図3においては、基板1上でトラップ位置30よりもやや上方の位置を冷却位置に設定し、この冷却位置にある中性原子Aに対してレーザ冷却用のレーザ光46〜49を4方向から照射する構成を示している。
【0043】
また、MOTでは、レーザ光46〜49の照射に加えて、中性原子を挟む位置に反ヘルムホルツコイル41、42を設置し、これらのコイル41、42による磁場等を用いて冷却された中性原子をトラップする。さらに、この冷却された中性原子を磁場の制御等によってトラップ位置30まで移動することにより、基板1上に形成された電極対21、26によるシュタルク・トラップへと移行する。
【0044】
次に、図1に示した原子デバイスにおける電極群の具体的な構成、及び各電極への印加電圧のスイッチング条件等について説明する。一般に、シュタルク相互作用を用いた中性原子のトラップでは、レーザ冷却された極低温原子を用いた場合でも比較的大きい電場が必要である。これに対して、上記構成の原子デバイスをマイクロストラクチャ化することにより、例えばTTLレベルの電圧など、比較的低い電圧で中性原子の制御を実現することができる。また、このような原子制御方法では、電極構造のマイクロストラクチャ化に加えて、電極への印加電圧をスイッチングする駆動周波数などの条件を適切に設定する必要がある。
【0045】
図4は、電極間隔d(μm、横軸)と閉じ込め周波数(rad/s、縦軸)との相関を示すグラフである。ここでは、電極対21、26で挟まれたトラップ位置30の近傍に発生するシュタルクポテンシャルのうち、中性原子の閉じ込めに寄与する方向でのポテンシャルを考える(図2(b)参照)。そして、このポテンシャルの静的な形状から求められる振動周波数が、中性原子の閉じ込め周波数である。また、ここでは、電極への印加電圧をV0=50Vとしている。
【0046】
このグラフによれば、電極間隔d=10μmにおいて、約60krad/sの周波数で中性原子がトラップされる。また、電圧V0を一定とする条件では、電極間隔dが狭くなるにしたがって閉じ込め周波数が大きくなっている。ここで、この閉じ込め周波数は電極への印加電圧V0に比例するが、電極間隔d=3μmでの周波数はd=10μmのときの約10倍となっている。したがって、閉じ込め周波数を一定とすると、電極間隔d=3μmでは、電圧V0はd=10μmの場合の約1/10の5V程度で良いこととなる。
【0047】
このように、上記構成の原子デバイスでは、電極構造のマクロストラクチャ化により、中性原子の閉じ込めに必要な電圧V0を低くすることができる。この電極構造については、電極間隔dを10μm以下とすることが好ましい。これにより、上記したように数10V程度の電圧で中性原子をトラップできる。さらに、電極間隔dを3μm以下とすれば、集積ロジック回路で広く扱われている数V程度の電圧で中性原子をトラップできる。電極構造のマイクロストラクチャ化は、原子デバイスを小型化、集積化する上でも有利である。
【0048】
図5は、電極への印加電圧の周波数である駆動周波数(kHz、横軸)及び初期位置(μm、左軸)を変えたときの中性原子の安定性の一例を示すグラフである。ここで、初期位置は、初期状態における中性原子のトラップ位置からの距離を示している。また、ここでは、電極間隔をd=10μm、印加電圧をV0=50V、中性原子の初期速度を1mm/s、閉じ込め周波数を60krad/sとしている。
【0049】
グラフG1は、中性原子が安定にトラップされる初期位置の条件を示し、グラフよりも初期位置が小さい領域(図中にハッチングを付して示した領域)が安定領域である。ここでは、駆動周波数が15.2〜18.4kHz程度の範囲で安定領域が得られている。また、駆動周波数が約17kHzのとき、許容される初期位置の条件が広くなり、最も安定となっている。また、図5では、駆動周波数と中性原子の運動の永年周波数(kHz、右軸)との相関をグラフG2によって示している。永年周波数は、駆動周波数が大きくなるにしたがって小さくなっている。
【0050】
図6は、初期速度(mm/s、横軸)及び初期位置(μm、左軸)を変えたときの中性原子の安定性の一例を示すグラフである。ここでは、電極間隔をd=10μm、印加電圧をV0=50V、閉じ込め周波数を60krad/s、駆動周波数を17kHzとしている。また、図6では、初期速度及び初期位置にそれぞれ対応する温度(μK、上軸)及び原子密度(cm-3、右軸)についても合わせて示している。
【0051】
グラフG3は、中性原子が安定にトラップされる初期速度及び初期位置の条件を示し、各初期速度に対してグラフよりも初期位置が小さい領域(図中にハッチングを付して示した領域)が安定領域である。このグラフに示すように、中性原子を充分な極低温まで冷却して初期速度を小さくすることにより、許容される初期位置の条件が広くなり、中性原子をトラップしやすくなる。
【0052】
次に、上記した原子デバイスのエレクトロニクスまたはフォトニクスとのインターフェース、及び様々な原子回路への応用について説明する。
【0053】
図1に示した原子デバイスにおいて基板1上にトラップされて用いられる中性原子は、中性原子への光の照射、あるいは中性原子から出射された光の検出などによって光学的に制御することが可能である。また、このような原子制御技術を用いれば、中性原子を用いたアトムトロニクスと、光子を用いたフォトニクスとのインターフェースを実現することができる。
【0054】
図7は、図1に示した原子デバイスにおける中性原子の光学的な制御について示す側面図である。ここでは、原子デバイス等については、トラップ位置30を通る断面によって図示している。この原子デバイスは、所定波長の光を透過する透明基板である石英基板1Aを基板1として用いており、石英基板1A上に図1に示した銀の電極パターン2を設けた構成となっている。
【0055】
原子デバイスは、内部が超高真空に保たれた真空容器50内に配置され、そのトラップ位置30には中性原子Aがトラップされている。また、原子デバイスの石英基板1Aは、電極パターン2が設けられた表面側を内側として真空容器50の外壁の一部を構成している。これにより、石英基板1Aは、所定波長の光を透過する光学窓となっている。また、石英基板1Aの裏面に対して近接する位置に対物レンズ52が設置され、さらにこの対物レンズ52に光学装置53が接続されている。
【0056】
このような構成によれば、原子デバイスに用いられている石英基板1Aの厚さを1mmとすると、作動距離1mm程度の対物レンズ52による中性原子Aの光学的な制御が可能となる。このとき、400nm程度の光学的な解像度が期待できるので、これを利用して、原子と光のインターフェース技術を確立することができる。例えば、光学装置53としてレーザ光源を適用すれば、原子Aにレーザ光を照射することによる内部状態の制御が可能となる。また、光学装置53として光検出装置を適用すれば、原子Aから出射された光を検出することによる内部状態の検出が可能となる。
【0057】
なお、石英基板1A及び銀の電極パターン2から構成された上記の原子デバイスは、例えば、市販されている銀ミラーに集束イオンビーム(FIB:Focused Ion Beam)加工を施すことで作製できる。このような加工方法では、電極間隔dが最小で100nm程度までの電極構造が作製可能である。また、厚さwについては、例えば10nmや200nmなど、電極間隔d等に応じて適宜設定すれば良い。また、図7に示す構成では、トラップ位置30を含むトラップ領域に対して、石英基板1Aに深さ10μm程度の凹部が設けられている。これは、トラップされた原子Aの基板1Aへの衝突を防ぐためである。
【0058】
図8は、原子デバイスにおいて基板上にトラップされた中性原子の移動方法について示す平面図である。図1においては、原子Aをトラップするための2組の電極対21、26からなる電極群を基板1上に設けた構成を示した。これに対して、図8に示すように、基板上に複数のトラップ位置を設定し、原子Aをトラップする電極群を各トラップ位置に対して設けることにより、トラップ位置への原子Aのトラップと合わせて、隣接するトラップ位置間での原子Aの移動を行うことが可能となる。
【0059】
図8においては、基板1の表面10上に中性原子Aの移動ラインLが、仮想的に設定されている。そして、この移動ラインLを挟んで、電極28a、28b、…、22a、22b、…からなる電極列と、電極23a、23b、…、27a、27b、…からなる電極列との2列の電極列が設けられている。このように、2組の電極対による原子デバイスの基本構成を移動ラインLに沿って拡張した構成によれば、中性原子Aのコヒーレントな輸送を実現して、様々な原子回路を実現することができる。このような電極構造は、例えば、図7に関して上述したように、FIB加工を用いて作製することができる。
【0060】
図8に示す電極パターン2を用いた原子制御方法では、図中にハッチングを付して示すように、電極22a、23aの組を第1電極対とし、電極27a、28aの組を第2電極対として、第1の電極群を構成する。そして、これらの各電極について上記した印加電圧のスイッチングを行うことにより、対応するトラップ位置31に中性原子Aがトラップされる。
【0061】
次に、第1電極対のうちで左側の電極23aを23bに切り換えて、電極22a、23bの組を第1電極対とし、第2電極対のうちで左側の電極28aを28bに切り換えて、電極27a、28bの組を第2電極対として、第1の電極群から右側にずれた第2の電極群を構成する。そして、切り換えた電極23a、28aをグランド電位とするとともに、第2の電極群の各電極について印加電圧のスイッチングを行うことにより、対応するトラップ位置32へと移動ラインLに沿って中性原子Aが移動してトラップされる。
【0062】
続いて、電極22b、23bの組を第1電極対とし、電極27b、28bの組を第2電極対として、さらに右側にずれた第3の電極群を構成する。そして、切り換えた電極22a、27aをグランド電位とするとともに、第3の電極群の各電極について印加電圧のスイッチングを行うことにより、対応するトラップ位置33へと移動ラインLに沿って中性原子Aが移動してトラップされる。
【0063】
なお、図8に示した電極構造では、隣接するトラップ位置間(例えばトラップ位置31、32間)の距離が、移動前後での中性原子Aの波動関数が充分に重なる距離となるように、各電極の幅や間隔等を設定することが好ましい。これにより、トラップ位置間での原子Aの移動を好適に実現することができる。
【0064】
このような電極構造は、基板1上にトラップした中性原子Aをマクロスコピックに移動させる原子ガイドとして利用することができる。また、中性原子Aとして情報が付与された原子を用いれば、原子Aを隣接するトラップ位置間で順次移動していくことによって情報を転送する原子シフトレジスタとして利用することができる。さらに、それぞれ情報が付与された2個の中性原子を基板1上のトラップして用い、それらの原子間で「制御された衝突」を実現して量子相関を付与することが可能なように電極構造を構成すれば、量子情報処理、量子コンピューティングなどの様々な分野への原子デバイスの応用が可能となる。
【0065】
例えば、量子コンピューティングでは、古典的な「ビット」を拡張した「量子ビット(キュービット)」が用いられる。量子ビットには、「0」の状態、「1」の状態、及びその重ね合わせの状態を取り得るという特徴がある。また、複数の量子ビットには、「量子もつれ(Quantum Entanglement)」と呼ばれる量子相関を付与することができる。2個の量子ビットが量子もつれの状態にあれば、それらは独立した量子状態を取ることができない。上記した原子デバイスでは、このような量子ビットに相当する中性原子Aの状態制御、あるいは、2個の量子ビットの量子もつれに相当する2個の中性原子Aの量子相関制御を実現することが可能である。以下、そのような原子デバイスの構成例について説明する。
【0066】
図9は、原子デバイスの他の実施形態の構成を示す平面図である。本原子デバイスは、基板1として所定波長の光を透過する透明基板である石英基板1Bを用いており、石英基板1B上に電極パターン2を設けた構成となっている。
【0067】
本実施形態においては、基板1B上でトラップまたは移動される中性原子Aに対して、図中の横方向に伸びる第1移動ラインL1が設定されている。また、第1移動ラインL1の略中心に移動ラインが分岐する分岐点Pが設けられており、この分岐点Pから第1移動ラインL1に直交する方向に伸びる第2移動ラインL2が設定されている。電極パターン2は、これらの移動ラインL1、L2に沿って中性原子Aを順次移動させることが可能なように構成されている。
【0068】
具体的には、第1移動ラインL1のうちで分岐点Pの左側の部分に対し、原子ガイド部61となる電極パターンが形成されている。また、第1移動ラインL1のうちで分岐点Pの右側の部分に対し、原子シフトレジスタ部62となる電極パターンが形成されている。
【0069】
一方、第2移動ラインL2のうちで分岐点Pとは反対側の部分に対し、FIFOメモリ部63となる電極パターンが形成されている。また、第2移動ラインL2のうちで分岐点P側の部分に対し、原子衝突部64となる電極パターンが形成されている。なお、これらの各部61〜64での電極パターンの基本構造、及びその電極構造を用いた中性原子Aのトラップ方法、移動方法については、図8に示したものと同様である。
【0070】
このような構成の原子デバイスを用いた中性原子Aの制御方法の一例について説明する。まず、原子源(図示していない)から原子ガイド部61へと極低温に冷却された中性原子Aが供給され、原子ガイド部61の左端部に位置する2組の電極対からなる電極群に対応するトラップ位置に原子Aがトラップされる。そして、第1移動ラインL1に沿って配列された複数の電極群を順次動作させることで、原子Aが分岐点Pに向けて移動する。
【0071】
また、分岐点Pに対し、図7に示したように、石英基板1Bを介して対物レンズ及び光学装置を設置しておく。これにより、原子ガイド部61から分岐点Pに到達した原子Aに対して、400nm程度の解像度で内部状態の制御、または内部状態の検出を行うことができる。これは、量子ビットの書き込み、または読み出しに対応する。また、このような量子ビット制御が行われた原子Aを順次移動させることにより、情報を転送する原子シフトレジスタ(原子メモリ)62が構成される。
【0072】
一方、FIFOメモリ部63には、他の中性原子Bを適宜蓄積しておくことができる。また、FIFOメモリ部63と分岐点Pとに挟まれた原子衝突部64では、他の各部61〜63に比べて電極の幅及び間隔が小さく設定されている。このような構成において、分岐点Pで量子ビット制御が行われた原子Aと、FIFOメモリ部63に蓄積されていた原子Bとをそれぞれ原子衝突部64内へと移動し、それらを原子衝突領域15において100nm程度の距離まで近接させる。
【0073】
これにより、2個の原子A、Bの制御された衝突を実現して、それらに量子相関(量子もつれ)を付与することができる。すなわち、このようなFIFOメモリ部63への分岐構造により、原子列中の任意の原子間での量子相関形成、及びそれを利用した量子コンピューティングが可能なシュタルク・アトムチップが実現される。このように、本発明による原子デバイスは、その広い拡張性を大きい特徴としており、基本単位である2組の電極対からなる電極群による単一原子操作を組み合わせることにより、様々な原子回路を作製することが可能である。また、その電極構造のマイクロストラクチャ化などにより、極低温原子源と合わせても数センチ程度のサイズの情報処理系を構築できる。
【0074】
このようなアトムチップは、図7に示したように、超高真空を保持する真空容器50内に収容することが必要である。真空容器50としては、真空ポンプが接続された真空チャンバを用いることができる。あるいは、半導体デバイスの場合と類似のパッケージに数センチ角程度の原子源や小型イオンポンプを付加したものを用いても良い。
【0075】
また、アトムチップに対して真空容器に設ける光アクセス用の光学窓については、図7に関して上述したように、透明基板自体を原子Aに下方からアクセス可能な光学窓として用いることができる。また、透明基板の下方に別に光学窓を設けても良い。あるいは、図7に示すように、基板の上方から原子Aにアクセス可能な光学窓55を設ける構成としても良い。上方の光学窓を用いる場合には、光を透過しない基板を用いても良い。また、電極パターン2の各電極の制御は、例えば、同一チップ上に形成したCMOSロジックゲート回路や、並設された他のチップ上のゲート回路などを用いて行うことができる。
【0076】
中性原子Aに対する量子ビットの書き込み、読み込み、及び量子もつれの付与について、アルカリ土類原子であるストロンチウム(Sr)原子を例として具体的に説明する。図10は、Srのエネルギー準位図である。Srは、最外殻の2個の電子が5s2の状態にある10状態が基底状態であり、また、その励起状態として、図10に示すように、エネルギーが低い方から順に303132の3つの励起状態、及び33の励起状態を持つ。ここでは、これらの励起状態のうち、30状態を量子ビット0の状態|0>とし、32の状態を量子ビット1の状態|1>とする。また、32状態と33状態とは、波長λ=2923nmの光によって遷移可能である。
【0077】
このようなエネルギー準位を持つSr原子を用い、2個のSr原子に量子相関(量子もつれ)を形成することを考える。図11(a)及び(b)は、2個のSr原子への量子相関の付与について示す図である。また、ここでは、原子デバイスの基板上に設定された原子衝突領域内で近接させた2個のSr原子に対し、所定のシフト量δだけシフトさせた波長λ=(2923+δ)nmの光を照射するものとする。
【0078】
図11(a)は、2個のSr原子のうち一方が|0>状態、他方が|1>状態にある場合について示す準位図である。このとき、|1>状態にある1個のSr原子は波長2923nmの光で33状態へと遷移可能であるため、上記波長の光を照射してもこのような状態遷移は起こらない。したがって、2個のSr原子の間には量子相関は付与されない。
【0079】
一方、図11(b)は、2個のSr原子がいずれも|1>状態にある場合について示す準位図である。このとき、|1>状態にある2個のSr原子間での共鳴双極子相互作用により、33状態のエネルギー準位が低くなる。これにより、|1>|1>状態にある2個のSr原子は、波長(2923+δ)nmの光によって33状態へと遷移し、これらのSr原子の間に量子相関が付与される。以上により、Sr原子を用いたCPHASEゲートを実現することができる。
【0080】
なお、このように中性原子AとしてSr原子を用いた場合、極低温への原子のレーザ冷却においては、11状態への許容遷移(λ=461nm)による冷却と、31状態への禁制遷移(λ=689nm)による冷却とを用いた2段階のレーザ冷却方法が用いられる。
【0081】
図12は、原子デバイスの他の実施形態の構成を示す平面図である。本原子デバイスは、基板1として半導体基板であるシリコン(Si)基板1Cを用いており、Si基板1C上に電極パターン2を設けた構成となっている。なお、原子ガイド部61、原子シフトレジスタ部62、FIFOメモリ部63、及び原子衝突部64を有する電極パターン2の構成については、図9に示した構成と同様である。
【0082】
本実施形態の原子デバイスは、原子デバイス、光デバイス、及び電子デバイスをSi基板1C上に一体化して形成した原子・光・電子集積回路(AOEIC:Atom-Opto-Electronic IC)として構成されている。
【0083】
すなわち、図12に示した原子デバイスでは、移動ラインL1、L2の分岐点Pに近接するSi基板1C内の部位にレーザダイオード12が形成されている。また、分岐点Pの右側で第1移動ラインL1上のSi基板1C内の部位にフォトダイオード13、及びレーザダイオード14がさらに形成されている。これらの光デバイスは、基板1C上にトラップされている中性原子Aへの量子ビットの書き込み及び読み出しに用いられる。このように光デバイスが形成された基板1Cを用いれば、光、原子デバイスを結合させて用いることにより、フォトニクス技術と、中性原子Aを用いた情報処理技術とのインターフェースが実現される。
【0084】
また、Si基板1C内の所定部位には、電極パターン2を構成している各電極への電圧印加を制御するCMOSロジックゲート回路などの電子デバイスが形成されている。図12においては、FIFOメモリ部63の左右両側に設けられた電子デバイス部11を模式的に示してある。このように電子デバイスが形成された基板1Cを用いれば、電子、原子デバイスを結合させて用いることにより、エレクトロニクス技術と、中性原子Aを用いた情報処理技術とのインターフェースが実現される。
【0085】
本発明による原子デバイスは、上記した実施形態に限られるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、基板上にトラップされて用いられる中性粒子としてはSr原子を例として挙げたが、これ以外にも様々な中性原子、あるいは中性分子を用いることができる。
【0086】
【発明の効果】
本発明による原子デバイスは、以上詳細に説明したように、次のような効果を得る。すなわち、中性粒子のトラップ位置を基板上に設定し、トラップ位置を挟む2組の電極対を設けるとともに、各電極への印加電圧を2つの状態間で交互にスイッチングする動的制御により中性粒子がトラップされる安定点を生成する構成によれば、オーミック損失の発生、及びそれによる発熱が回避されるので、基板上への原子回路の集積化が容易となる。また、電場を用いて原子を制御する構成では、原子回路間での電場の干渉は基板上にグランド面を設けることで容易に回避できる。これらの効果により、本原子デバイスでは原子回路の高集積化が可能となる。
【0087】
また、上記構成では、シュタルクポテンシャルの式UE=−α|E|2/2からわかるように、電場の2次の効果を利用して粒子を制御しているため、制御される粒子の環境、外乱との結合が抑制される。したがって、デコヒーレンスに強い原子デバイスが実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】原子デバイスの一実施形態の構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示した原子デバイスにおける中性原子のトラップ方法について説明するための図である。
【図3】図1に示した原子デバイスにおいて中性原子をトラップするための中性原子の冷却方法を示す模式図である。
【図4】電極間隔と閉じ込め周波数との相関を示すグラフである。
【図5】駆動周波数及び初期位置を変えたときの中性原子の安定性について示すグラフである。
【図6】初期速度及び初期位置を変えたときの中性原子の安定性について示すグラフである。
【図7】図1に示した原子デバイスにおける中性原子の光学的な制御について示す側面図である。
【図8】原子デバイスにおける中性原子の移動方法について示す平面図である。
【図9】原子デバイスの他の実施形態の構成を示す平面図である。
【図10】ストロンチウム原子のエネルギー準位図である。
【図11】2個のストロンチウム原子への量子相関の付与について示す図である。
【図12】原子デバイスの他の実施形態の構成を示す平面図である。
【符号の説明】
1…基板、1A、1B…透明基板、1C…半導体基板、10…表面、11…電子デバイス部、12、14…レーザダイオード、13…フォトダイオード、15…原子衝突領域、2…電極パターン、21…第1電極対、22、23…電極、26…第2電極対、27、28…電極、3…中性粒子トラップ領域、30…トラップ位置、50…真空容器、51、55…光学窓、52…対物レンズ、53…光学装置、61…原子ガイド部、62…原子シフトレジスタ部、63…FIFOメモリ部、64…原子衝突部。

Claims (8)

  1. 中性原子または中性分子である中性粒子を用いる原子デバイスであって、
    基板上の所定位置に設定されたトラップ位置に対し、前記トラップ位置を通る第1軸に沿って前記トラップ位置を挟む前記基板上の位置に設けられた第1電極対と、
    前記トラップ位置を通り前記第1軸と所定角度をなす第2軸に沿って前記トラップ位置を挟む前記基板上の位置に設けられた第2電極対とを備え、
    前記基板の表面上に形成された前記第1電極対及び前記第2電極対を含む電極パターンに対し、前記第1電極対及び前記第2電極対によって挟まれた前記基板の表面上の領域がトラップ領域となり、前記トラップ領域の中心位置が前記トラップ位置となっており、
    前記第1電極対を構成する一方の電極が基準電位からみて正電位、他方の電極が負電位に設定されて、電場中でのシュタルク相互作用によるポテンシャルにおいて、前記第2軸上で前記トラップ位置が前記中性粒子の安定点となる第1の状態と、
    前記第2電極対を構成する一方の電極が前記基準電位からみて正電位、他方の電極が負電位に設定されて、電場中でのシュタルク相互作用によるポテンシャルにおいて、前記第1軸上で前記トラップ位置が前記中性粒子の安定点となる第2の状態とを交互にスイッチングすることにより前記トラップ位置に中性粒子をトラップするとともに、
    グランド電位を前記基準電位に設定して、前記第1の状態では前記第2電極対を構成する2個の電極をグランド電位に設定し、前記第2の状態では前記第1電極対を構成する2個の電極をグランド電位に設定することを特徴とする原子デバイス。
  2. 前記中性粒子は、スピンを持たない中性原子または中性分子であることを特徴とする請求項1記載の原子デバイス。
  3. 前記第1電極対及び前記第2電極対からなる電極群での電極間隔が10μm以下であることを特徴とする請求項1または2記載の原子デバイス。
  4. 前記基板は、電子デバイスまたは光デバイスが形成された半導体基板であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項記載の原子デバイス。
  5. 前記基板は、所定波長の光を透過する透明基板であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項記載の原子デバイス。
  6. 前記基板上に複数の前記トラップ位置を設定し、前記第1電極対及び前記第2電極対からなる電極群を複数の前記トラップ位置のそれぞれに対して設けるとともに、複数の前記電極群に含まれる電極のそれぞれの電位をスイッチングすることにより、前記トラップ位置への前記中性粒子のトラップと、隣接する前記トラップ位置間での前記中性粒子の移動とを行うことを特徴とする請求項1〜のいずれか一項記載の原子デバイス。
  7. 情報が付与された前記中性粒子を用いるとともに、複数の前記電極群は、前記中性粒子を隣接する前記トラップ位置間で順次移動していくことによって前記情報を転送する原子シフトレジスタとして構成されていることを特徴とする請求項記載の原子デバイス。
  8. それぞれ情報が付与された2個の前記中性粒子として第1の中性粒子及び第2の中性粒子を少なくとも用いるとともに、前記基板上でトラップまたは移動される中性粒子に対して、所定の方向に伸びる第1移動ラインと、前記第1移動ライン上にある分岐点と、前記分岐点から前記第1移動ラインに直交する方向に伸びる第2移動ラインとが設定され、
    複数の前記電極群は、前記基板上において、
    前記第1移動ラインのうちで前記分岐点の一方側の部分に設けられ、前記第1の中性粒子の供給及び移動に用いられる原子ガイド部と、
    前記第1移動ラインのうちで前記分岐点の他方側の部分に設けられ、前記第1の中性粒子の移動による情報の転送に用いられる原子シフトレジスタ部と、
    前記第2移動ラインのうちで前記分岐点とは反対側の部分に設けられ、前記第2の中性粒子が蓄積されるメモリ部と、
    前記第2移動ラインのうちで前記分岐点と前記メモリ部とに挟まれた部分に設けられた原子衝突部とを有する電極パターンによって形成され、
    前記原子衝突部において前記第1の中性粒子及び前記第2の中性粒子の衝突を実現することで、2個の前記中性粒子に量子相関を付与することが可能なように構成されていることを特徴とする請求項記載の原子デバイス。
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