JP4374231B2 - 噴流冷却式x線管透過窓 - Google Patents

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Description

本発明は一般的には、電子ビーム発生装置内の熱エネルギ管理系に関し、さらに具体的には、X線管透過窓を冷却するアセンブリに関する。
X線イメージング・システムの走査能力を高める試みは絶えず為されている。特に、計算機式断層写真法(CT)イメージング・システムでこのことが言える。顧客は高電力レベルでさらに長時間の走査を実行する能力を求めている。高電力レベルでの走査時間を長時間化すると、医師は従来のCTイメージング・システムで数分間掛かっていたCT画像の収集及び構成を数秒間程度で行なうことができるようになる。撮像速度を高めると撮像能力は向上するが、CTイメージング・システムの機能に対する新たな制約及び要件も生ずる。
CTイメージング・システムは、360°画像を作成するために様々な速度で回転するガントリを含んでいる。ガントリはX線管を含んでおり、X線管は回転式ガントリの質量の大部分を占めている。CT管はカソードとアノードとの間の真空空間を横断してX線を発生する。X線を発生させるために真空空間を横断して大電圧ポテンシャルを生成し、電子を電子ビームの形態でカソードからアノード内のターゲットまで放出することを可能にしている。電子の放出時に、カソード内に収容されているフィラメントに電流が流れることによりフィラメントは加熱されて白熱する。電子は高電圧ポテンシャルによって加速されて、ターゲットに衝突し、これにより急激に減速されてX線を放出する。高電圧ポテンシャルはX線管内、特にアノード内で大量の熱を発生する。
典型的には、電子ビームのエネルギのうち一部がX線に変換され、残りの電子ビーム・エネルギはアノード内で熱エネルギに変換される。熱エネルギはX線管の真空容器内のその他の構成要素へ放出されて、真空容器の外面を循環する冷却用流体を介して真空容器から取り除かれる。加えて、電子ビームの電子はアノードから後方散乱して真空容器内のその他の構成要素に衝突し、X線管のさらなる加熱を齎す。結果として、X線管の構成要素は高い熱応力を受けて、構成要素の寿命が短くなり、またX線管の信頼性が低下する。
真空容器は典型的には、循環する冷却用流体、例えば絶縁油で充填されたケーシングに封入されている。ケーシングはX線管を支持すると共に保護し、また計算機式断層写真法(CT)システムのガントリ又は他の構造への取り付けを可能にしている。ケーシングはまた、鉛で内張を施されており、迷走放射線の遮蔽を提供する。冷却用流体はしばしば次の二つの作用を果たす。すなわち、真空容器を冷却すること、及び二極構成のアノード及びカソードの接続の間の高電圧絶縁を行なうことである。真空容器とケーシングに設けられている透過窓との間の界面では高温になっているので、冷却用流体が沸騰し、冷却用流体の性能が劣化する虞がある。また、流体内部に泡が形成して、流体を横断して高電圧電弧が発生することにより、流体の絶縁能力が低下する。さらに、泡によって画像アーティファクトが生ずる場合があり、結果として画像の品質が低下する。
米国特許第6,215,852号
従来技術の冷却方法は主に、真空容器に収容されている構造内で循環する冷却材(クーラント)流体を利用することにより熱エネルギを速やかに散逸させることに頼っている。真空容器の外面の周囲を循環する冷却用流体とは対照的に、クーラント流体は多くの場合には真空容器の内部で用いられる特殊な流体である。後方散乱した電子がX線透過窓に衝突しないようにこれらの電子を電磁的に偏向させる他の方法も提案されている。しかしながら、これらのアプローチは、エネルギの蓄積及び散逸をかなりの水準で可能にするという訳ではない。X線発生効率は本質的に低く、且つX線束を増大させたいという要求のため、散逸させなければならない熱負荷は増大する。X線管の電力が増大し続けるのに伴って、クーラントへの熱伝達速度がクーラントの熱束吸収能力を超える場合がある。
熱エネルギ蓄積装置又は電子収集器(collector)をX線透過窓に結合して用いて、カソードとアノードとの間の後方散乱した電子を収集している。この装置を用いる場合には、収集器及び透過窓は、透過窓、及び透過窓と収集器との間の接合部を損傷し得る高温及び熱応力を防ぐように適切に冷却されている必要がある。透過窓及び収集器が高温になるとクーラントの沸騰を引き起こす場合がある。沸騰したクーラントからの泡が透過窓を遮って、これにより画質を損なう。さらに、クーラントが沸騰するとクーラントが化学分解して、透過窓にスラッジを形成し、これもまた画質を劣化させる。
電子収集器には、冷却用チャネルを含んだ熱交換チェンバが結合されており、電子収集器の四方の壁面の各々を横断するチャネルにクーラントが流れるようになっている。熱交換チェンバは電子収集器の冷却の助けとなるが、複雑で、また各々適切に密封する必要のある多数の接ぎ目があるため効率的な製造が難しい。また、熱交換チェンバは、冷却という点、及び付着物がX線管透過窓に形成するのを防ぐ点では実効性が最低限である。電子収集器又は熱交換チェンバのさらに詳細な説明については、特許文献1を参照されたい。
従って、X線管透過窓、従ってX線管を冷却する装置及び方法であって、走査速度の向上及び電力の上昇を可能にし、製造が比較的容易で、再構成画像のボケ及びアーティファクトを最小にする装置及び方法を提供することが望ましい。
本発明は、X線管透過窓を冷却するアセンブリを提供する。X線管用のX線管透過窓冷却アセンブリを提供する。冷却アセンブリは、X線管透過窓に結合されており第一のクーラント回路を有する電子収集器本体を含んでいる。クーラント回路はクーラント入口とクーラント出口とを含んでいる。クーラント出口はクーラントをX線管透過窓表面に向けてX線管透過窓に衝突させてX線管透過窓を冷却する。クーラントは、反射面から反射してX線管透過窓に衝突してX線管透過窓を冷却する。このX線管を動作させる方法も提供する。
本発明は既存のX線管冷却系を凌ぐ幾つかの利点を有している。本発明の幾つかの利点の一つは、クーラントをX線管透過窓に向ける装置を提供していることである。クーラントをX線管透過窓に向けることにより、透過窓が効率的に冷却され、透過窓での付着物の形成が最小になり、また形成するや否や付着物は洗い流され、これにより再構成画像のボケ及びアーティファクトが最小になる。
本発明のもう一つの利点は、クーラントから熱エネルギを効率的に除去する冷却機構又はフィン・ポケットを設けていることである。フィン・ポケットは電子収集器本体のクーラント側側面に位置しており、本発明の製造を比較的容易にしている。
さらに、本発明は、補助冷却回路を介してX線管透過窓を追加的に冷却し、X線管透過窓を実効的に冷却することを可能にしながらさらに走査速度を向上し動作電力を高めることを可能にしている。
本発明自体及び付随する利点は、添付図面と共に以下の詳細な説明を参照することにより最も十分に理解されよう。
本発明をさらに完全に理解するために、添付図面に詳細に図示されており本発明の実例として以下に記載されている実施形態を今から説明する。
計算機式断層写真法(CT)イメージング・システム内のX線管透過窓を冷却するアセンブリに関して本発明を説明するが、以下の装置及び方法は、様々な目的に合わせて構成することが可能であり、以下の応用に限らない。すなわち、MRIシステム、CTシステム、放射線治療システム、フルオロスコピー・システム、X線イメージング・システム、超音波システム、血管撮影システム、核医学イメージング・システム、磁気共鳴スペクトロスコピー・システム、及び当技術分野で公知のその他の応用等である。
以下の説明では、構成された一実施形態について様々な動作パラメータ及び構成要素を説明する。これら特定のパラメータ及び構成要素は実例として掲げられており、限定を意味するものではない。
また、以下の記載で「衝突する」という用語は、他の物体に直接突き当たる物体を指す。例えば、当技術分野で公知のように、電子ビームはX線管内のアノードのターゲットに衝突する。電子ビームをターゲットに向けるとビーム内の電子がターゲットに突き当たる。同様に、クーラントは表面と突き当たるように表面に向けることができる。表面に向けられているクーラントは他の表面から反射したものであってもよい。「衝突する」という用語は、例えば物体の表面上を流れるクーラント等のように他の物体と単純に接触する物体を指すのではない。
ここで図1について説明する。本発明の実施形態によるX線管透過窓冷却アセンブリ11を用いたマルチ・スライスCTイメージング・システム10のブロック模式図が示されている。イメージング・システム10は、X線管アセンブリ14と検出器アレイ16とを有するガントリ12を含んでいる。X線管アセンブリ14はX線発生装置又はX線管18を有している。管18は、X線ビーム20を検出器アレイ16に向かって投射する。管18及び検出器アレイ16は、動作として並進可能なテーブル22の周囲を回転する。テーブル22はアセンブリ14と検出器アレイ16との間でz軸に沿って並進して、ヘリカル・スキャンを実行する。患者ボア26内の患者24を透過した後のビーム20は、検出器アレイ16で検出されて投影データを生成し、この投影データを用いてCT画像を作成する。
管18及び検出器アレイ16は中心軸28の周りを回転する。ビーム20は多数の検出器素子30によって受光される。各々の検出器素子30が、入射したX線ビームの強度に対応する電気信号を発生する。ビーム20は患者24を透過するにつれて減弱する。ガントリ12の回転及び管18の動作は制御機構32によって制御される。制御機構32は、管18へ電力信号及びタイミング信号を供給するX線コントローラ34と、ガントリ12の回転速度及び位置を制御するガントリ・モータ・コントローラ36とを含んでいる。データ取得システム(DAS)38が検出器素子30からのアナログ・データをサンプリングして、後続の処理のためにアナログ・データをディジタル信号へ変換する。画像再構成器40が、サンプリングされてディジタル化されたX線データをDAS38から受け取って、高速画像再構成を実行する。メイン・コントローラ又はコンピュータ42がCT画像を大容量記憶装置44に記憶させる。
コンピュータ42はまた、操作者から操作コンソール46を介して命令及び走査パラメータを受け取る。表示器48は、操作者が再構成画像及びコンピュータ42からのその他のデータを観測することを可能にする。操作者が供給した命令及びパラメータはDAS38、X線コントローラ34及びガントリ・モータ・コントローラ36の動作時にコンピュータ42によって用いられる。加えて、コンピュータ42はテーブル・モータ・コントローラ50を動作させ、テーブル・モータ・コントローラ50はガントリ12内で患者24を配置するようにテーブル22を並進させる。
X線コントローラ34、ガントリ・モータ・コントローラ36、画像再構成器40、コンピュータ42及びテーブル・モータ・コントローラ50は好ましくは、マイクロプロセッサを基本要素とするものであり、例えば中央処理ユニット、メモリ(RAM及び/又はROM)、並びに付設の入力バス及び出力バスを有するコンピュータ等を基本要素とする。X線コントローラ34、ガントリ・モータ・コントローラ36、画像再構成器40、コンピュータ42及びテーブル・モータ・コントローラ50は、中央制御ユニットの一部であってもよいし、図示のように各々がスタンド・アロン型の構成要素であってもよい。
図2について説明する。本発明の実施形態による冷却アセンブリ11を組み入れたX線管アセンブリ14の遠近図が図示されている。管アセンブリ14はハウジング・ユニット52を含んでおり、ハウジング・ユニット52は、クーラント・ポンプ54、アノード側端部56、カソード側端部58、及びアノード側端部56とカソード側端部58との間に配置されておりX線管18を収容している中心部60を有している。X線管18は、鉛で内張を施したケーシング64の流体チェンバ62内に封入されている。チェンバ62は典型的には、絶縁油等の流体で充填されているが、水又は空気を含めた他の流体を用いてもよい。流体はハウジング52の全体を循環してX線管18を冷却し、またX線管18内部の高電荷からケーシング64を絶縁することもできる。中心部60の一方の側に冷却用流体66用の放熱器68が配置されており、放熱器68は、放熱器68に動作に関して結合されており放熱器68の上方に冷却用空気流を供給するファン70及び72を有していてよい。ポンプ54は、ハウジング52、放熱器68及び冷却アセンブリ11を通して流体66を循環させるために設けられている。X線管18と連絡する電気的接続はアノード・ソケット74及びカソード・ソケット76を通じて提供される。ケーシング64からのX線放出のためにケーシング透過窓78が設けられている。
図3及び図4について説明する。本発明の実施形態による冷却アセンブリ11を組み入れたX線管18の断面遠近図が示されている。X線管18はターゲット82を有する回転式アノード80とカソード・アセンブリ84とを含んでおり、いずれも容器86内の真空内に配設されている。冷却アセンブリ11はアノード80とカソード84との間に介設されている。
動作について説明する。電子ビーム90が、中央空洞部92を通ってアノード80に向かって加速される。電子ビーム90はターゲット82上の焦点スポット94に衝突して、高周波電磁波又はX線96と残留エネルギとを発生する。残留エネルギはX線管18内の各構成要素によって吸収される。X線96は真空を通って冷却アセンブリ11内のアパーチャ100に向かう。アパーチャ100はX線96をコリメートし、これにより患者24が受ける放射線投与線量を減少させる。
残留エネルギは、アノード80からの放射熱エネルギと、アノード80から逸れて後方散乱した電子98の運動エネルギとを含んでいる。運動エネルギは容器86内の構成要素との衝突時に熱エネルギへ変換される。運動エネルギの一部は冷却アセンブリ11によって吸収されて、アセンブリ11を循環するクーラントに伝達される。
アパーチャ100の内部には、X線96の通過を効率的に可能にする材料で形成されているX線管透過窓102が配設されている。透過窓102は、真空鑞接又は真空溶接等によって接合部104において冷却アセンブリ11にハーメチック・シールとして接合されている。シール104は容器86内に真空を保持するのに役立つ。また、アノード80と透過窓102との間に、アパーチャ100内部に装着されたフィルタ106が配設されている。透過窓102と同様に、フィルタ106は診断X線96の通過を可能にする。このように、X線管18は、残留エネルギと、フィルタ106及び透過窓102を通ってX線管18の外部に向かうX線96とを発生する。
図4、図5及び図6について説明する。図5及び図6には、本発明の実施形態による冷却アセンブリ11の前面図及び側面図が示されている。冷却アセンブリ11は、第一のクーラント回路112を備えた電子収集器本体110を含んでいる。第一のクーラント回路112は、クーラント入口114と、第一のチャネル116と、フィン・ポケット118と、第二のチャネル120と、クーラント出口122とを含んでいる。クーラントは入口114を通って流入し、第一のチャネル116を通り、フィン・ポケット118内部の多数の冷却用フィン124によって冷却され、第二のチャネル120を通った後に、出口122によって透過窓104に向けられる。
収集器110はクーラント側126と真空側128とを有している。クーラント側126は入口114及び出口122を含んでいる。本発明の一実施形態では、図3及び図4に示すように、矢印130によって表わされているクーラントは、収集器110の収集器外面136に設けられている開口134の上に結合されている第一の外部管132を介して第一のチャネル116に流入する。図3及び図4の実施形態では、容器外面138は収集器表面136と同一平面内にある。本発明のもう一つの実施形態で、図5及び図6に示すように、収集器110が容器86から突出している場合には、第二の外部管140を収集器110の下側側面142に取り付けてもよい。
フィン・ポケット118は、透過窓104の上方の収集器110の単一の壁144の内部に配置されている。フィン・ポケット118をクーラント側126のみに設けることにより、従来技術の熱エネルギ蓄積装置のようにフィン124が真空側128に位置する収集器の側面に鑞接されることがなくなるので、真空漏れの虞が最小になる。フィンは収集器の一面に鑞接されて接ぎ目が形成されるため、経時的に漏れを生ずる可能性がある。本発明は、収集器110の単一の壁144にフィンを組み入れることにより、真空側128では収集器110内部の接ぎ目をなくした結果として、真空漏れの可能性が小さくなっている。フィン・ポケット118を収集器110の多数の側面に設けてもよいし多数の位置に設けてもよいが、フィン・ポケットを上述のように配置することにより、本発明は効率的な熱伝達を保ちながら製造を単純化することができる。多数の冷却用フィン124はオフセット(lanced offset)型冷却用フィンとして図示されているが、当技術分野で公知のその他の形式の冷却用フィン、又は高効率の拡張型冷却表面を用いてよい。
出口122はクーラントをX線管18上の反射面146に向ける。反射面146は、図示のようにケーシング64の透過装置148の一部であってもよいし、ケーシング内壁面150であってもよいし、又は当技術分野で公知のその他の偏向面であってもよい。反射面146は、空間153を間に介在させてX線管透過窓表面152に対向して配置されている。フィン・ポケット118を通過したクーラント130は、透過窓104に衝突して透過窓104を冷却するように出口122から反射面146で反射する方向に向けられる。空間153は様々な幅を有していてよく、またクーラント130が透過窓104に適当に衝突するように調節してよい。
出口122は、クーラント流の方向に垂直に、上述のフィン・ポケット118の断面積よりも小さい断面積を有する開口154を有しており、クーラント130が出口122を通ってフィン・ポケット118から流出するにつれてクーラント130の速度が増大するようにしている。クーラント速度を増大させることにより、出口122はフィン・ポケット118と組み合わさってクーラント噴射口として作用し、透過窓104の冷却をさらに助ける。また、出口122の開口幅156は透過窓104の透過窓幅158と近似的に等しくし、クーラント130が透過窓104の全幅にわたって衝突して透過窓104の一様な冷却を可能にするようにしている。
クーラント130の方向決定を助けるガイド160を組み入れてもよい。ガイド160もまた、開口幅156や幅158と類似の幅162を有する。ガイド160は様々な形状、寸法及び形式であってよい。ガイド160は、図示のように収集器110から突出していてもよいし、又は収集器外面164と相対的に同一平面内になるように収集器110内に組み入れられていてもよい。
透過装置148はX線96がケーシング64を通過することを可能にする透過窓の形態にある。透過装置148はアルミニウム又は当技術分野で公知のその他の材料で形成されていてよい。
冷却アセンブリ11内に、追加クーラント170を透過窓表面152を横断して流れる方向に向ける補助クーラント噴射口168を含む第二のクーラント回路166を組み入れてもよい。このことは図5に最も分かり易く示されている。補助噴射口168は好ましくは、流れを制限するのではなく増大させるようにクーラント170を出口122からの流れ130と同じ方向に向けて、これにより、透過窓104の冷却を増大させる。補助噴射口168は様々な位置に位置してよく、また様々な配向を有していてよい。
冷却回路112及び166は、ポンプ54からクーラント130を受け入れてもよいし、別個のポンプを介して受け入れてもよいし、又は当技術分野で公知の他の何らかのクーラント供給源から受け入れてもよい。
ここで図7について説明する。本発明の実施形態に従ってX線管18を動作させる方法を示す論理的流れ図が示されている。
ステップ180では、前述のようにして電子ビーム90を発生させる。
ステップ182では、X線96を発生させるように電子ビーム90をターゲット82に向けて衝突させる。
ステップ184では、透過窓104を通過する方向にX線96を向けるが、これにより、透過窓104の温度が上昇する。電子ビーム90からの後方散乱した電子98もまた透過窓104に衝突して透過窓104の温度をさらに高める。
ステップ186では、フィン・ポケット118にクーラント130を通過させて、反射面146に向けて、透過窓104に衝突させて、透過窓104を冷却する。
ステップ188では、第二の冷却回路166を介して追加のクーラント170を透過窓104に向けて横断させる。
以上の各ステップは例示的説明のためのものであり、各ステップを同期的に実行してもよいし、又は応用に応じて異なる順序で実行してもよい。
本発明は、冷却を改善すると共に製造が比較的単純なX線発生装置用透過窓冷却系を提供する。クーラントはX線管透過窓に向けられて透過窓を横断し、透過窓での付着物の形成を防ぐと共に油分の滞留時間を短縮し、これにより、油分スラッジの蓄積を防ぐ。透過窓は効率的に冷却され、存在する付着物は透過窓から分離されて洗い流され、これにより、再構成画像のボケ及びアーティファクトを最小にする。熱エネルギ蓄積装置の真空側に冷却用ポケットを設けないようにしたので、漏れ及び粒子汚染の機会が減少する。
以上に説明した装置及び方法は、当業者であれば当技術分野で公知の様々な応用及びシステムに合わせて構成することが可能である。また、以上に述べた発明は本発明の真意の範囲から逸脱せずに変形することも可能である。
本発明の実施形態によるX線管透過窓冷却アセンブリを用いたマルチ・スライスCTイメージング・システムのブロック模式図である。 本発明の実施形態によるX線管透過窓冷却アセンブリを組み入れたX線管アセンブリの遠近図である。 本発明の実施形態によるX線管透過窓冷却アセンブリを組み入れたX線管の断面遠近図である。 本発明の実施形態によるX線管透過窓冷却アセンブリを組み入れたX線管の断面拡大遠近図である。 本発明の実施形態によるX線管透過窓冷却アセンブリの上面図である。 本発明の実施形態によるX線管透過窓冷却アセンブリの前面図である。 本発明の実施形態に従ってX線発生装置を動作させる方法を示す論理的流れ図である。
符号の説明
10 マルチ・スライスCTイメージング・システム
11 X線管透過窓冷却アセンブリ
12 ガントリ
14 X線管アセンブリ
16 検出器アレイ
18 X線管
20 X線ビーム
22 テーブル
24 患者
26 患者ボア
28 中心軸
30 検出器素子
32 制御機構
48 表示器
52 ハウジング・ユニット
54 クーラント・ポンプ
56 アノード側端部
58 カソード側端部
60 中央部
62 流体チェンバ
64 ケーシング
66 冷却用流体
68 放熱器
70、72 ファン
74 アノード・ソケット
76 カソード・ソケット
78 ケーシング透過窓
80 アノード
82 ターゲット
84 カソード・アセンブリ
86 真空容器
90 X線ビーム
92 中央空洞部
94 焦点スポット
96 X線
98 後方散乱した電子
100 アパーチャ
102 X線管透過窓
104 接合部
106 フィルタ
110 電子収集器本体
112 第一のクーラント回路
114 クーラント入口
116 第一のチャネル
118 フィン・ポケット
120 第二のチャネル
122 クーラント出口
124 冷却用フィン
126 クーラント側
128 真空側
130 クーラント
132 第一の外部管
134 開口
136 収集器外面
138 容器外面
140 第二の外部管
142 収集器下側側面
144 収集器の単一の壁
146 反射面
148 透過装置
150 ケーシング内壁面
152 X線管透過窓表面
153 空間
154 開口
156 開口幅
158 透過窓幅
160 ガイド
162 ガイド幅
164 収集器外面
166 第二のクーラント回路
168 補助クーラント噴射口
170 追加クーラント

Claims (9)

  1. X線管(18)用のX線管透過窓冷却アセンブリ(11)であって、該アセンブリ(11)は、
    X線管透過窓(102)に結合されており第一のクーラント回路(112)を有する電子収集器本体(110)を備えており、
    前記第一のクーラント回路(112)はクーラント入口(114)と、クーラント出口(122)とを備えており、
    前記クーラント出口(122)は、クーラントをX線管透過窓表面(152)に向けて噴射し、クーラントを前記X線管透過窓表面(152)に衝突させて前記X線管透過窓(102)を冷却するクーラント出口(122)とを備えている、X線管透過窓冷却アセンブリ(11)。
  2. 前記クーラント出口(122)は、クーラントを前記X線管透過窓表面(152)に向けて噴射する際に、前記クーラントを前記X線管透過窓表面(152)に対向して位置する前記X線管(18)上の反射面(146)反射させて、前記クーラントを前記X線管透過窓表面(152)に衝突させる、請求項1に記載のアセンブリ。
  3. 前記反射面(146)はX線管ケーシングの内側側面である、請求項2に記載のアセンブリ。
  4. 前記電子収集器本体(110)は、複数の冷却用フィン(124)を備え、クーラントが通るフィン・ポケット(118)をさらに含んでおり、クーラントは前記フィン・ポケット(118)を通過する際に冷却される、請求項1に記載のアセンブリ。
  5. クーラント流を前記X線管透過窓表面(152)に向けて横断させる補助クーラント噴射口(168)を備えた第二のクーラント回路(166)をさらに含んでいる請求項1に記載のアセンブリ。
  6. 前記電子収集器本体(110)はオイル側と真空側とを含んでおり、前記オイル側は前記クーラント入口(114)及び前記クーラント出口(122)を含んでいる、請求項1に記載のアセンブリ。
  7. 前記電子収集器本体(110)に結合されており、前記X線管透過窓(102)に衝突して該X線管透過窓(102)を冷却するように前記反射面(146)にクーラントを向けるガイド(160)をさらに含んでいる請求項1に記載のアセンブリ。
  8. ハウジング・ユニット(52)と、
    該ハウジング・ユニット(52)内に結合されており電子ビーム(90)を発生するカソード(84)と、
    前記ハウジング・ユニット(52)内に結合されており、前記電子ビーム(90)を受光して、X線管透過窓(102)を通過する方向に向けられたX線を発生するアノード(80)と、
    請求項1乃至6のいずれかに記載のX線管透過窓冷却アセンブリ(11)とを備えたX線管(18)
  9. 前記X線管透過窓冷却アセンブリ(11)は前記カソード(84)と前記アノード(80)との間に介設されている、請求項8に記載のX線管(18)。

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