JP4374164B2 - 女性の尿失禁を治療するための膣刺激器及び装置 - Google Patents
女性の尿失禁を治療するための膣刺激器及び装置 Download PDFInfo
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Description
【０００１】
１．発明の分野
本発明は、骨盤床筋肉組織及びその周辺組織に電気刺激を加えることによる、女性の尿失禁を治療するための膣刺激器及び装置に関する。
【０００２】
２．先行技術の記載
女性の尿失禁は、経済的及び心理的に多大なる影響を与える病気である。尿失禁には、いくつかのタイプがあるが、いずれのタイプも放尿を抑制することができないという点で特徴づけられる。最も頻発する尿失禁の３つのタイプは、肉体の急な動作の際に、尿道から尿を不随意的に放出することによって特徴づけられる緊張性尿失禁、突然の強い放尿の欲求により、尿を不随意的に放出する急迫性尿失禁、及び急迫性尿失禁と緊張性尿失禁の両方から生じる混合性尿失禁である。
【０００３】
骨盤床の筋肉群の筋力と機能を改善するために、種々の方法が提案されている。1948年、アーノルド・ケーゲルは、緊張性尿失禁の治療方法の１つとして、骨盤床運動を提唱し、骨盤床を強化し、補助するための練習法を開発した。このケーゲル練習法の目的は、筋量を増加させ、腹部内圧の速い上昇の後に起こる、より強力な反射収縮を生じさせる点にある。多くの女性は、このケーゲル練習法を実行することは困難で、不快なことであると感じている。ケーゲル練習法の成果を得るための主要な障害は、女性の間に、正確にケーゲル練習法を行うことを放棄したり、忘れてしまう傾向があるということである。
【０００４】
骨盤床の電気刺激は、緊張性尿失禁と急迫性尿失禁の両方に有効な治療方法である。骨盤床の電気刺激は、膣と膀胱の筋肉を直接電気刺激することにより、ケーゲル練習法を自動的に行う。緊張性尿失禁と急迫性尿失禁の治療を目的とする骨盤床の電気刺激は、1960年代に初めて研究され、70年代から90年代にかけての臨床的研究により、電気刺激の有効性が再確認されている。
【０００５】
女性の尿失禁を治療するために用いられた最初の電気刺激方法では、女性は、膣床筋肉の電気刺激治療を受けるために、医療施設に行く必要があった。その後、家庭での治療に用いる、いくつかの電気刺激器が登場した。これらの電気刺激器は、通常、２つの部分からなる。すなわち、膣壁に接触させる電極を有する膣プラグからなる膣内部分と、パルス発生器と電力供給部、あるいはパルス発生器が膣プラグ内にある場合は、電力供給部からなる膣外部分である。これらの装置は、膣内部分と膣外部分をつなぐケーブルがあるため不便である。その上、膣プラグを膣内に挿入する前に、膣プラグが完全に洗浄されていない場合は、衛生の面で問題がある。
【０００６】
他の電気刺激器には、特別なコンドームが使用され、該コンドームは、各使用後、廃棄、交換される。
【０００７】
従来の上記電気刺激器は、使用方法が煩雑で難しいため、女性に好ましく受け入れられていない。いくつかの電気刺激器では、上記プラグの挿入と取出しが容易ではなく、ケーブル及び／又は煩わしい装備品が存在するため、面倒であり、上記プラグは洗浄が困難であるため、使用者は前もって、バッテリーを用意しておく必要があり、コンドームを使用する電気刺激器の場合は、使用者は前もって、コンドームを用意しておく必要がある。
そこで、効果があり、使用が楽で、挿入、取出しを容易に行うことができ、しかも衛生的な膣床筋肉の電気刺激装置が求められている。
【０００８】
本発明は、女性の膣内に挿入して、骨盤床筋肉組織とその周辺組織を電気的に刺激する本体を有し、電力供給部品であるバッテリーと、治療する失禁タイプと治療期間に応じて選択される周波数に関して、予めプログラムした指示を実行する手段とを含む膣刺激器である。
【０００９】
好ましくは、予めプログラムした指示を実行する上記手段は、外部の電子制御システムによって得られるパルス周波数と作動時間を選択するマイクロコントローラーを含む。本発明の好ましい一態様としては、上記刺激器が使用されていない場合、上記電子制御システムは、上記刺激器の収納部を有するケース内に納められる。
【００１０】
好ましくは、上記膣刺激器の本体は、その表面に、少なくとも２組の導体を有し、そのうちの１組は、膣床筋肉組織に電気パルスを送る電極として使用され、もう一つの組は、他方の組と協同して、操作者の指示を膣刺激器マイクロコントローラーに送ることができる。
【００１１】
上記膣刺激器は、完全防水性であることが好ましい。
【００１２】
上記膣刺激器の本体の一端に、紐を通すための小孔を設けると便利である。
【００１３】
もう一つの本発明は、骨盤床筋肉組織とその周辺組織に電気的刺激を加えて、女性の尿失禁を治療する装置である。この装置は、上記した膣刺激器と運搬制御ケースを含み、これらをつなぐケーブルは含まない。
【００１４】
好ましい一態様としては、上記運搬制御ケースは、上記膣刺激器の収納部、該膣刺激器のバッテリーを充電する充電回路部を有するトランス、操作者からの指示を送るための電子制御システムを含む。
【００１５】
上記収納部には、上記膣刺激器を該収納部に納めた時、該膣刺激器の導体に接触する金属端子を設けることが好ましい。
【００１６】
さらに、上記収納部には、上記膣刺激器の小孔に入れることができ、該膣刺激器の導体が、常に上記収納部内の対応する金属端子に接触するように、該収納部内における該膣刺激器の位置を安定させるウエッジ（wedge）を該収納部に設けることが好ましい。
【００１７】
上記の指示は、操作者により、制御ノブを通じて、該膣刺激器のマイクロコントローラーに与えられる。
【００１８】
本発明のプログラム可能な膣刺激器は、非常に便利で、使いやすい。不使用の間、該膣刺激器をその収納部に納めて、運搬制御ケースのカバーを閉じると、該膣刺激器の充電式バッテリーは充電される。各使用の前に、使用者は失禁のタイプを選択し、使用時間をプログラムしさえすればよい。通常、このプログラミングは、最初使用する前に、一回だけ行う。該膣刺激器の小孔に、紐ガイドを利用して、１本の紐を通した後、使用者は膣内への挿入を容易にするために、該膣刺激器を潤滑にすることができる。その後、該膣刺激器を膣にタンポンの如く挿入して、該膣刺激器をすべて膣開口部の中に入れる。使用時間が経過した時、該装置の使用者は、膣から該膣刺激器を取り出し、上記紐を切断して廃棄し、マイルドソープ又はアルコール、あるいは他の消毒剤で該膣刺激器を洗浄して、それを拭き、元の保管場所に戻して、運搬制御ケースのカバーを閉じる。バッテリーは自動的に充電される。
【００１９】
図１は、本発明による膣刺激器の概略を示す図である。
図２は、膣刺激器の内部を示す分解概略図である。
図３は、膣刺激器を納めることを意図した、運搬制御ケースを内側から見た概略図である。
図４Ａは、内部刺激器の電子回路を説明するブロック図である。
図４Ｂは、内部運搬制御ケース電子制御システムを説明するブロック図である。
【００２０】
図１は、本発明による膣刺激器を示している。前記膣刺激器（１.１）は、筒状形状を有し、両端が丸いポリマー材料体からなっている。そのような刺激器は、例えば、次の寸法を有している：長さ８ｃｍ、径２.５ｃｍ。
【００２１】
膣刺激器（１.１）は、仕切り床（２.４）を有し、次の要素を含む。
１．外側にポリマー材料体表面を有する３つの導体［conductors］（１.２），（１.３），（１.４）。３つの導体のうちの２つは、膣刺激器が操作されるとき、膣の筋肉組織に内部膣刺激器マイクロコントローラー（図２：（２.２））からの電気パルスを伝達する＋電極（１.２）及び−電極（１.３）として使用される。３つの導体のうちの２つ（１.２），（１.４）は、内部膣刺激器充電式バッテリー（図２：（２.１））への充電に使用され、前記３つの導体（１.２），（１.３），（１.４）は、装置の使用者が膣刺激器をプログラムするとき、内部膣刺激器マイクロコントローラー（図２：（２.２））への指示伝達に使用される。
【００２２】
２．紐連結用小孔（１.５）。長さ２０ｃｍの一片の紐が膣刺激器小孔（１.５）に通され、その紐の両端には、膣刺激器の使用前に、結び目がつくられている。この一片の紐は、使用を終えたときに、膣刺激器のケース抜き取りを可能にする。
【００２３】
３．膣刺激器の小孔（１.５）に紐を容易に通すための紐ガイド（１.６）。
【００２４】
４．膣刺激器（１.１）に電力を供給する充電式バッテリー（２.１）。この充電式バッテリーは、膣刺激器（１.１）の２つの導体（１.２），（１.４）及び外部装置の２つの対応する金属端子を通して充電される。外部装置は、好ましくは、膣刺激器を収納するために取り付けられた運搬制御ケースである。
【００２５】
５．膣刺激器（１.１）を作動させるのに必要な電気パルスを発生させ、操作者によって与えられた様々な指示を実行するための、マイクロプロセッサー、ランダムアクセスメモリー及び入出力系を有するマイクロコントローラー（２.２）。
【００２６】
６．膣刺激器に防水性を持たせ、中性洗剤、アルコールあるいはその他の殺菌剤による洗浄を容易とする内周シール（２.３）
【００２７】
内部刺激器電子回路のブロック図が、図４Ａに与えられている。上記したように、マイクロコントローラー（２.２）は、バッテリー（２.１）によって供給され、充電及び指示制御系（４.１）に接続され、パルス変調系（４.２）及び安全制御系（４.３）を経て、電極（１.２），（１.３）及び第３の導体（１.４）に伝達される電気パルスを発生する。前記電極及び導体は、同時に、バッテリー（２.１）を充電するのに使用される。
【００２８】
好ましい実施例において、前記膣刺激器は、運搬制御ケースを有している。
【００２９】
運搬制御ケースは、矩形に平行配管された形状を有し、カバーで覆われた本体からなり、互いに蝶番で結合されている。前記ケースは、例えば、次の寸法を有している：長さ１０ｃｍ、幅１０ｃｍ、高さ５ｃｍ。それは、２部材に分割される：長さ１０ｃｍ、幅１０ｃｍ、高さ４ｃｍの本体（３）及び、例えば、次の寸法：長さ１０ｃｍ、幅１０ｃｍ、高さ１ｃｍを有するカバー（図示していない）。
【００３０】
本体は、図３に示した下記の要素を有する。
１．１１０又は２２０ボルトの入力電流を同様に受け取り、内部膣刺激器充電式バッテリーに、例えば、４乃至６時間充電するのに十分な出力電流に変換し、本体の区画（３.１）に位置する充電回路部を有するトランス。
【００３１】
２．供給領域にトランスを連結する電力コード（３.２）。この電力コードは、区画（３.３）に位置し、トランスに直結されている。電力コードは、主供給源と接続するためにその位置（３.３）から容易に引き出すことができる。一旦、電力コードがその位置から引き出され、電力コード位置カバー（３.５）が閉じられると、電力コードは、通路（３.４）に保持され、運搬制御ケースのカバーを閉じることができる。
【００３２】
３．装置使用者による、２つの制御ノブ（３.６）,（３.７）及び運搬制御ケースカバーを介して、膣刺激器マイクロコントローラーへ指示を伝達し、あるいは内部膣刺激器充電式バッテリーへの充電を可能とする、電子制御システム（図示していない）。
【００３３】
４．制御ノブ（３.６）は、装置の使用者に、尿失禁タイプの選択を許す：急迫性失禁（３.８）あるいは緊張性失禁（３.９）。急迫性失禁位置（３.８）は、１２.５Ｈｚパルス周波数に相当し、緊張性失禁位置（３.９）は、内部膣刺激器マイクロコントローラーからの５０Ｈｚパルス周波数に相当する。この制御ノブ（３.６）を介して装置使用者によって与えられた指示は、運搬制御ケースの電子制御システムに送られる。
【００３４】
５．制御ノブ（３.７）は、装置の使用者に、膣刺激器の使用時間の選択を許す：１５分（３.１０）、３０分（３.１１）、４５分（３.１２）または６０分（３.１３）。制御ノブ（３.７）により装置の使用者によって与えられた指示は、運搬制御ケースの電子制御システムに送られる。
【００３５】
６．内部膣刺激器充電式バッテリーが十分に充電され、膣刺激器が使用可能であることを、装置の使用者に知らせる緑色制御灯（３.１４）。この緑色制御灯（３.１４）が点いているときは、赤色制御灯（３.１５）が消えている。
【００３６】
７．内部膣刺激器充電式バッテリーが常に充電状態にあり、膣刺激器が未だ使用できないことを、装置の使用者に知らせる赤色制御灯（３.１５）。この赤色制御灯（３.１５）が点いているときは、緑色制御灯（３.１４）が消えている。
【００３７】
８．膣刺激器（１.１）を使途に応じて置きかえることができる収納部（３.１６）。前記収納部は、膣刺激器と同じような形状を有するが、膣刺激器を収納部に容易に納めることができるように、多少大きめのサイズを有している。収納部（３.１６）の底は、３つの膣刺激器導体（図１：（１.２），（１.３），（１.４））への伝達を意図した３つ（図１：（１.２），（１.３），（１.４））への伝達を意図した３つの金属端子（３.１７），（３.１８），（３.１９）からなり、指示は、電子制御システムから伝えられ、制御ノブ（３.６），（３.７）を介して、又は運搬制御カバーを介して装置の使用者によって与えられる。ウエッジ（３.２０）は、収納部（３.１６）の一端に設けられ、膣刺激器が収納部（３.１６）内に納められるとき、膣刺激器の小孔（１.５）に嵌められる。ウエッジ（３.２０）は、膣刺激器が収納部内にあるとき、その位置に膣刺激器を保持し、収納部（３.１６）の３つの金属端子（３.１７），（３.１８），（３.１９）と３つの膣刺激器導体（１.２），（１.３），（１.４）との接続を確実にすることを意図している。
【００３８】
９．紐スプール（３.２３）の保持を意図したカバー（３.２２）を有する紐スプールニッチ(string spool niche)。切断システム（３.２４）は、膣刺激器の使用前あるいは使用後に、紐を切断するための紐スプールニッチを備えている。
【００３９】
１０．運搬制御ケースの本体にカバーを連結する蝶番に、電子制御システムに指示を与えるスイッチがある。膣刺激器がその収納部内にあるとき、カバーを開放すると、自動的に内部膣刺激器充電式バッテリーへの充電を停止し、膣刺激器を作動させる。膣刺激器がその収納部内にあるとき、カバーを閉じると、自動的に膣刺激器の働きを停止し、内部膣刺激器充電式バッテリーへの充電を開始する。
【００４０】
運搬制御ケース内の電子制御システムのブロック図が、図４Ｂに与えられている。充電回路部（４.４）は、収納部の金属端子に指示制御部（４.５）を経て伝達される１１０又は２２０ボルトの入力電流を受け取る。
【００４１】
本発明の装置は、膣刺激器に運搬制御ケースを連結しているケーブルを切り離してから、使用するのが好ましい。
【００４２】
最初の使用に先だって、装置の使用者は、失禁のタイプを選択しなければならない。使用者は、また、内部膣刺激器充電式バッテリー（６時間）の最初の充電を行わなければならない。膣刺激器を使用するためには、運搬制御ケースを開け、収納部から膣刺激器を取り出し、小孔に２０ｃｍの一片の紐を通し、紐の両端に結び目を作り、膣刺激器に潤滑剤を差して膣内に挿入する必要がある。膣刺激器は作動状態となる。使用を終えると、膣から膣刺激器を取り出し、紐を切断して捨て、膣刺激器を清掃し、運搬制御ケースの元の位置に戻してカバーを閉じる。バッテリーは、自動的に充電を始める。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明による膣刺激器の概略を示す図である。
【図２】 膣刺激器の内部を示す分解概略図である。
【図３】 膣刺激器を納めることを意図した、運搬制御ケースを内側から見た概略図である。
【図４】 図４Ａは、内部刺激器の電子回路を説明するブロック図であり、図４Ｂは、内部運搬制御ケース電子制御システムを説明するブロック図である。
【符号の説明】
１．１ 膣刺激器
１．２, １．３, １．４ 導体
１．５ 小孔
１．６ 紐ガイド
２．１ 内部膣刺激器充電式バッテリー
２．２ 内部膣刺激器マイクロコントローラー
２．３ 内周シール
２．４ 仕切り床
３ 本体
３．１ 本体の区画
３．１０，３．１１，３．１２，３．１３ 膣刺激器の使用時間
３．１４ 緑色制御灯
３．１５ 赤色制御灯
３．１６ 収納部
３．１７，３．１８，３．１９ 金属端子
３．２ 電力コード
３．２０ ウエッジ
３．２２ カバー
３．２３ 紐スプール
３．２４ 切断システム
３．３ 区画
３．４ 通路
３．５ 電力コード位置カバー
３．６，３．７ 制御ノブ
３．８ 急迫性失禁
３．９ 緊張性失禁
４．１ 充電及び指示制御系
４．２ パルス変調系
４．３ 安全制御系
４．４ 充電回路部
４．５ 指示制御部
１．発明の分野
本発明は、骨盤床筋肉組織及びその周辺組織に電気刺激を加えることによる、女性の尿失禁を治療するための膣刺激器及び装置に関する。
【０００２】
２．先行技術の記載
女性の尿失禁は、経済的及び心理的に多大なる影響を与える病気である。尿失禁には、いくつかのタイプがあるが、いずれのタイプも放尿を抑制することができないという点で特徴づけられる。最も頻発する尿失禁の３つのタイプは、肉体の急な動作の際に、尿道から尿を不随意的に放出することによって特徴づけられる緊張性尿失禁、突然の強い放尿の欲求により、尿を不随意的に放出する急迫性尿失禁、及び急迫性尿失禁と緊張性尿失禁の両方から生じる混合性尿失禁である。
【０００３】
骨盤床の筋肉群の筋力と機能を改善するために、種々の方法が提案されている。1948年、アーノルド・ケーゲルは、緊張性尿失禁の治療方法の１つとして、骨盤床運動を提唱し、骨盤床を強化し、補助するための練習法を開発した。このケーゲル練習法の目的は、筋量を増加させ、腹部内圧の速い上昇の後に起こる、より強力な反射収縮を生じさせる点にある。多くの女性は、このケーゲル練習法を実行することは困難で、不快なことであると感じている。ケーゲル練習法の成果を得るための主要な障害は、女性の間に、正確にケーゲル練習法を行うことを放棄したり、忘れてしまう傾向があるということである。
【０００４】
骨盤床の電気刺激は、緊張性尿失禁と急迫性尿失禁の両方に有効な治療方法である。骨盤床の電気刺激は、膣と膀胱の筋肉を直接電気刺激することにより、ケーゲル練習法を自動的に行う。緊張性尿失禁と急迫性尿失禁の治療を目的とする骨盤床の電気刺激は、1960年代に初めて研究され、70年代から90年代にかけての臨床的研究により、電気刺激の有効性が再確認されている。
【０００５】
女性の尿失禁を治療するために用いられた最初の電気刺激方法では、女性は、膣床筋肉の電気刺激治療を受けるために、医療施設に行く必要があった。その後、家庭での治療に用いる、いくつかの電気刺激器が登場した。これらの電気刺激器は、通常、２つの部分からなる。すなわち、膣壁に接触させる電極を有する膣プラグからなる膣内部分と、パルス発生器と電力供給部、あるいはパルス発生器が膣プラグ内にある場合は、電力供給部からなる膣外部分である。これらの装置は、膣内部分と膣外部分をつなぐケーブルがあるため不便である。その上、膣プラグを膣内に挿入する前に、膣プラグが完全に洗浄されていない場合は、衛生の面で問題がある。
【０００６】
他の電気刺激器には、特別なコンドームが使用され、該コンドームは、各使用後、廃棄、交換される。
【０００７】
従来の上記電気刺激器は、使用方法が煩雑で難しいため、女性に好ましく受け入れられていない。いくつかの電気刺激器では、上記プラグの挿入と取出しが容易ではなく、ケーブル及び／又は煩わしい装備品が存在するため、面倒であり、上記プラグは洗浄が困難であるため、使用者は前もって、バッテリーを用意しておく必要があり、コンドームを使用する電気刺激器の場合は、使用者は前もって、コンドームを用意しておく必要がある。
そこで、効果があり、使用が楽で、挿入、取出しを容易に行うことができ、しかも衛生的な膣床筋肉の電気刺激装置が求められている。
【０００８】
本発明は、女性の膣内に挿入して、骨盤床筋肉組織とその周辺組織を電気的に刺激する本体を有し、電力供給部品であるバッテリーと、治療する失禁タイプと治療期間に応じて選択される周波数に関して、予めプログラムした指示を実行する手段とを含む膣刺激器である。
【０００９】
好ましくは、予めプログラムした指示を実行する上記手段は、外部の電子制御システムによって得られるパルス周波数と作動時間を選択するマイクロコントローラーを含む。本発明の好ましい一態様としては、上記刺激器が使用されていない場合、上記電子制御システムは、上記刺激器の収納部を有するケース内に納められる。
【００１０】
好ましくは、上記膣刺激器の本体は、その表面に、少なくとも２組の導体を有し、そのうちの１組は、膣床筋肉組織に電気パルスを送る電極として使用され、もう一つの組は、他方の組と協同して、操作者の指示を膣刺激器マイクロコントローラーに送ることができる。
【００１１】
上記膣刺激器は、完全防水性であることが好ましい。
【００１２】
上記膣刺激器の本体の一端に、紐を通すための小孔を設けると便利である。
【００１３】
もう一つの本発明は、骨盤床筋肉組織とその周辺組織に電気的刺激を加えて、女性の尿失禁を治療する装置である。この装置は、上記した膣刺激器と運搬制御ケースを含み、これらをつなぐケーブルは含まない。
【００１４】
好ましい一態様としては、上記運搬制御ケースは、上記膣刺激器の収納部、該膣刺激器のバッテリーを充電する充電回路部を有するトランス、操作者からの指示を送るための電子制御システムを含む。
【００１５】
上記収納部には、上記膣刺激器を該収納部に納めた時、該膣刺激器の導体に接触する金属端子を設けることが好ましい。
【００１６】
さらに、上記収納部には、上記膣刺激器の小孔に入れることができ、該膣刺激器の導体が、常に上記収納部内の対応する金属端子に接触するように、該収納部内における該膣刺激器の位置を安定させるウエッジ（wedge）を該収納部に設けることが好ましい。
【００１７】
上記の指示は、操作者により、制御ノブを通じて、該膣刺激器のマイクロコントローラーに与えられる。
【００１８】
本発明のプログラム可能な膣刺激器は、非常に便利で、使いやすい。不使用の間、該膣刺激器をその収納部に納めて、運搬制御ケースのカバーを閉じると、該膣刺激器の充電式バッテリーは充電される。各使用の前に、使用者は失禁のタイプを選択し、使用時間をプログラムしさえすればよい。通常、このプログラミングは、最初使用する前に、一回だけ行う。該膣刺激器の小孔に、紐ガイドを利用して、１本の紐を通した後、使用者は膣内への挿入を容易にするために、該膣刺激器を潤滑にすることができる。その後、該膣刺激器を膣にタンポンの如く挿入して、該膣刺激器をすべて膣開口部の中に入れる。使用時間が経過した時、該装置の使用者は、膣から該膣刺激器を取り出し、上記紐を切断して廃棄し、マイルドソープ又はアルコール、あるいは他の消毒剤で該膣刺激器を洗浄して、それを拭き、元の保管場所に戻して、運搬制御ケースのカバーを閉じる。バッテリーは自動的に充電される。
【００１９】
図１は、本発明による膣刺激器の概略を示す図である。
図２は、膣刺激器の内部を示す分解概略図である。
図３は、膣刺激器を納めることを意図した、運搬制御ケースを内側から見た概略図である。
図４Ａは、内部刺激器の電子回路を説明するブロック図である。
図４Ｂは、内部運搬制御ケース電子制御システムを説明するブロック図である。
【００２０】
図１は、本発明による膣刺激器を示している。前記膣刺激器（１.１）は、筒状形状を有し、両端が丸いポリマー材料体からなっている。そのような刺激器は、例えば、次の寸法を有している：長さ８ｃｍ、径２.５ｃｍ。
【００２１】
膣刺激器（１.１）は、仕切り床（２.４）を有し、次の要素を含む。
１．外側にポリマー材料体表面を有する３つの導体［conductors］（１.２），（１.３），（１.４）。３つの導体のうちの２つは、膣刺激器が操作されるとき、膣の筋肉組織に内部膣刺激器マイクロコントローラー（図２：（２.２））からの電気パルスを伝達する＋電極（１.２）及び−電極（１.３）として使用される。３つの導体のうちの２つ（１.２），（１.４）は、内部膣刺激器充電式バッテリー（図２：（２.１））への充電に使用され、前記３つの導体（１.２），（１.３），（１.４）は、装置の使用者が膣刺激器をプログラムするとき、内部膣刺激器マイクロコントローラー（図２：（２.２））への指示伝達に使用される。
【００２２】
２．紐連結用小孔（１.５）。長さ２０ｃｍの一片の紐が膣刺激器小孔（１.５）に通され、その紐の両端には、膣刺激器の使用前に、結び目がつくられている。この一片の紐は、使用を終えたときに、膣刺激器のケース抜き取りを可能にする。
【００２３】
３．膣刺激器の小孔（１.５）に紐を容易に通すための紐ガイド（１.６）。
【００２４】
４．膣刺激器（１.１）に電力を供給する充電式バッテリー（２.１）。この充電式バッテリーは、膣刺激器（１.１）の２つの導体（１.２），（１.４）及び外部装置の２つの対応する金属端子を通して充電される。外部装置は、好ましくは、膣刺激器を収納するために取り付けられた運搬制御ケースである。
【００２５】
５．膣刺激器（１.１）を作動させるのに必要な電気パルスを発生させ、操作者によって与えられた様々な指示を実行するための、マイクロプロセッサー、ランダムアクセスメモリー及び入出力系を有するマイクロコントローラー（２.２）。
【００２６】
６．膣刺激器に防水性を持たせ、中性洗剤、アルコールあるいはその他の殺菌剤による洗浄を容易とする内周シール（２.３）
【００２７】
内部刺激器電子回路のブロック図が、図４Ａに与えられている。上記したように、マイクロコントローラー（２.２）は、バッテリー（２.１）によって供給され、充電及び指示制御系（４.１）に接続され、パルス変調系（４.２）及び安全制御系（４.３）を経て、電極（１.２），（１.３）及び第３の導体（１.４）に伝達される電気パルスを発生する。前記電極及び導体は、同時に、バッテリー（２.１）を充電するのに使用される。
【００２８】
好ましい実施例において、前記膣刺激器は、運搬制御ケースを有している。
【００２９】
運搬制御ケースは、矩形に平行配管された形状を有し、カバーで覆われた本体からなり、互いに蝶番で結合されている。前記ケースは、例えば、次の寸法を有している：長さ１０ｃｍ、幅１０ｃｍ、高さ５ｃｍ。それは、２部材に分割される：長さ１０ｃｍ、幅１０ｃｍ、高さ４ｃｍの本体（３）及び、例えば、次の寸法：長さ１０ｃｍ、幅１０ｃｍ、高さ１ｃｍを有するカバー（図示していない）。
【００３０】
本体は、図３に示した下記の要素を有する。
１．１１０又は２２０ボルトの入力電流を同様に受け取り、内部膣刺激器充電式バッテリーに、例えば、４乃至６時間充電するのに十分な出力電流に変換し、本体の区画（３.１）に位置する充電回路部を有するトランス。
【００３１】
２．供給領域にトランスを連結する電力コード（３.２）。この電力コードは、区画（３.３）に位置し、トランスに直結されている。電力コードは、主供給源と接続するためにその位置（３.３）から容易に引き出すことができる。一旦、電力コードがその位置から引き出され、電力コード位置カバー（３.５）が閉じられると、電力コードは、通路（３.４）に保持され、運搬制御ケースのカバーを閉じることができる。
【００３２】
３．装置使用者による、２つの制御ノブ（３.６）,（３.７）及び運搬制御ケースカバーを介して、膣刺激器マイクロコントローラーへ指示を伝達し、あるいは内部膣刺激器充電式バッテリーへの充電を可能とする、電子制御システム（図示していない）。
【００３３】
４．制御ノブ（３.６）は、装置の使用者に、尿失禁タイプの選択を許す：急迫性失禁（３.８）あるいは緊張性失禁（３.９）。急迫性失禁位置（３.８）は、１２.５Ｈｚパルス周波数に相当し、緊張性失禁位置（３.９）は、内部膣刺激器マイクロコントローラーからの５０Ｈｚパルス周波数に相当する。この制御ノブ（３.６）を介して装置使用者によって与えられた指示は、運搬制御ケースの電子制御システムに送られる。
【００３４】
５．制御ノブ（３.７）は、装置の使用者に、膣刺激器の使用時間の選択を許す：１５分（３.１０）、３０分（３.１１）、４５分（３.１２）または６０分（３.１３）。制御ノブ（３.７）により装置の使用者によって与えられた指示は、運搬制御ケースの電子制御システムに送られる。
【００３５】
６．内部膣刺激器充電式バッテリーが十分に充電され、膣刺激器が使用可能であることを、装置の使用者に知らせる緑色制御灯（３.１４）。この緑色制御灯（３.１４）が点いているときは、赤色制御灯（３.１５）が消えている。
【００３６】
７．内部膣刺激器充電式バッテリーが常に充電状態にあり、膣刺激器が未だ使用できないことを、装置の使用者に知らせる赤色制御灯（３.１５）。この赤色制御灯（３.１５）が点いているときは、緑色制御灯（３.１４）が消えている。
【００３７】
８．膣刺激器（１.１）を使途に応じて置きかえることができる収納部（３.１６）。前記収納部は、膣刺激器と同じような形状を有するが、膣刺激器を収納部に容易に納めることができるように、多少大きめのサイズを有している。収納部（３.１６）の底は、３つの膣刺激器導体（図１：（１.２），（１.３），（１.４））への伝達を意図した３つ（図１：（１.２），（１.３），（１.４））への伝達を意図した３つの金属端子（３.１７），（３.１８），（３.１９）からなり、指示は、電子制御システムから伝えられ、制御ノブ（３.６），（３.７）を介して、又は運搬制御カバーを介して装置の使用者によって与えられる。ウエッジ（３.２０）は、収納部（３.１６）の一端に設けられ、膣刺激器が収納部（３.１６）内に納められるとき、膣刺激器の小孔（１.５）に嵌められる。ウエッジ（３.２０）は、膣刺激器が収納部内にあるとき、その位置に膣刺激器を保持し、収納部（３.１６）の３つの金属端子（３.１７），（３.１８），（３.１９）と３つの膣刺激器導体（１.２），（１.３），（１.４）との接続を確実にすることを意図している。
【００３８】
９．紐スプール（３.２３）の保持を意図したカバー（３.２２）を有する紐スプールニッチ(string spool niche)。切断システム（３.２４）は、膣刺激器の使用前あるいは使用後に、紐を切断するための紐スプールニッチを備えている。
【００３９】
１０．運搬制御ケースの本体にカバーを連結する蝶番に、電子制御システムに指示を与えるスイッチがある。膣刺激器がその収納部内にあるとき、カバーを開放すると、自動的に内部膣刺激器充電式バッテリーへの充電を停止し、膣刺激器を作動させる。膣刺激器がその収納部内にあるとき、カバーを閉じると、自動的に膣刺激器の働きを停止し、内部膣刺激器充電式バッテリーへの充電を開始する。
【００４０】
運搬制御ケース内の電子制御システムのブロック図が、図４Ｂに与えられている。充電回路部（４.４）は、収納部の金属端子に指示制御部（４.５）を経て伝達される１１０又は２２０ボルトの入力電流を受け取る。
【００４１】
本発明の装置は、膣刺激器に運搬制御ケースを連結しているケーブルを切り離してから、使用するのが好ましい。
【００４２】
最初の使用に先だって、装置の使用者は、失禁のタイプを選択しなければならない。使用者は、また、内部膣刺激器充電式バッテリー（６時間）の最初の充電を行わなければならない。膣刺激器を使用するためには、運搬制御ケースを開け、収納部から膣刺激器を取り出し、小孔に２０ｃｍの一片の紐を通し、紐の両端に結び目を作り、膣刺激器に潤滑剤を差して膣内に挿入する必要がある。膣刺激器は作動状態となる。使用を終えると、膣から膣刺激器を取り出し、紐を切断して捨て、膣刺激器を清掃し、運搬制御ケースの元の位置に戻してカバーを閉じる。バッテリーは、自動的に充電を始める。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明による膣刺激器の概略を示す図である。
【図２】 膣刺激器の内部を示す分解概略図である。
【図３】 膣刺激器を納めることを意図した、運搬制御ケースを内側から見た概略図である。
【図４】 図４Ａは、内部刺激器の電子回路を説明するブロック図であり、図４Ｂは、内部運搬制御ケース電子制御システムを説明するブロック図である。
【符号の説明】
１．１ 膣刺激器
１．２, １．３, １．４ 導体
１．５ 小孔
１．６ 紐ガイド
２．１ 内部膣刺激器充電式バッテリー
２．２ 内部膣刺激器マイクロコントローラー
２．３ 内周シール
２．４ 仕切り床
３ 本体
３．１ 本体の区画
３．１０，３．１１，３．１２，３．１３ 膣刺激器の使用時間
３．１４ 緑色制御灯
３．１５ 赤色制御灯
３．１６ 収納部
３．１７，３．１８，３．１９ 金属端子
３．２ 電力コード
３．２０ ウエッジ
３．２２ カバー
３．２３ 紐スプール
３．２４ 切断システム
３．３ 区画
３．４ 通路
３．５ 電力コード位置カバー
３．６，３．７ 制御ノブ
３．８ 急迫性失禁
３．９ 緊張性失禁
４．１ 充電及び指示制御系
４．２ パルス変調系
４．３ 安全制御系
４．４ 充電回路部
４．５ 指示制御部
Claims (7)
- 女性の膣内に挿入して、骨盤床筋肉組織とその周辺組織を電気的に刺激する本体を有する膣刺激器装置であって、
上記膣刺激器装置は、膣床筋肉組織に電気パルスを送る１組の導体と、操作者の指示を該導体と協同して膣刺激器マイクロコントローラーに送る別の１組の導体とを、共に表面に有する膣刺激器本体を含み、該膣刺激器は、該膣刺激器本体の内部に配置される電力供給部品であるバッテリーと、治療する失禁タイプと治療期間に応じて選択される周波数に関して予めプログラムした指示を実行する手段とを含み、
さらに、上記膣刺激器装置は、上記刺激器本体を使用しないときに、該刺激器本体を収納する運搬制御ケースを含み、上記膣刺激器と運搬制御ケースをつなぐケーブルは含まず、
上記運搬制御ケースは、上記膣刺激器のバッテリーを充電する充電回路部を有するトランスと、
上記膣刺激器本体の上記両方の組の導体を通じて充電式バッテリーを充電する２つの金属端子を備えた、操作者からの指示を送る電子制御システムと、
該運搬制御ケースの底に配置された別の１組の３つの金属端子とを含んでおり、これらの金属端子は上記膣刺激器本体の表面にある３つの特定の導体と接続し、この接続を通じて操作者からの指示を上記膣刺激器コントローラーに送る膣刺激器装置。 - 予めプログラムした指示を実行する上記手段が、外部の電子制御システムによって得られるパルス周波数と作動時間を選択するマイクロコントローラーを含む請求項１記載の膣刺激器装置。
- 完全防水性である請求項１又は２記載の膣刺激器装置。
- 上記膣刺激器本体が、その一端に、紐を通す小孔を有する請求項１〜３のいずれかに記載の膣刺激器装置。
- 上記膣刺激器を上記運搬制御ケースに収納した時、該膣刺激器の導体に接触する金属端子を、該膣刺激器の収納部に設けた請求項１〜４のいずれかに記載の膣刺激器装置。
- 上記膣刺激器の小孔に入れることができ、また、該膣刺激器の導体が、常に上記収納部内の対応する金属端子に接触するように、該収納部内における該膣刺激器の位置を安定させるウエッジを該収納部に設けた請求項１〜５のいずれかに記載の膣刺激器装置。
- 上記の指示は、操作者により、制御ノブを通じて、上記膣刺激器のマイクロコントローラーに与えられる請求項１〜６のいずれかに記載の膣刺激器装置。
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