JP4370312B2 - 不導体製品における表面電位の制御装置及び方法 - Google Patents

不導体製品における表面電位の制御装置及び方法 Download PDF

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Description

本発明は、成形加工される不導体製品の表面電位を制御する技術に係り、特に、所定の成形加工具を用いて不導体製品を成形加工する際に、かかる成形加工具との間で生ずる帯電現象により静電気が発生せしめられる不導体製品の表面電位を制御し得る装置と方法、並びにそのような表面電位の制御機能を備えた不導体製品の成形加工装置とに関するものである。
一般に、樹脂材料やゴム材料、或いはセラミックス材料等の不導体(絶縁体)材料からなる、所謂不導体製品(以下からは、これら不導体材料からなる製品を不導体製品という)を、射出成形や、押出成形、シート成形、プレス成形、真空成形等により成形したり、或いは各種の組付加工や機械加工等により加工したりする場合には、様々な成形具や加工具(以下からは、総称して、成形加工具と言う)を備えた成形装置や加工装置(以下からは、総称して、成形加工装置と言う)が用いられる。そして、よく知られているように、そのような成形加工装置を使用して、目的とする不導体製品の成形加工を行う際には、不導体製品と、それが接触する成形加工具の接触部分との間で、接触帯電や摩擦帯電、剥離帯電、転がり帯電、衝突帯電等の各種の帯電現象が惹起されて、不導体製品に静電気が不可避的に発生する。
例えば、不導体製品のうち、樹脂製品を射出成形する際には、通常、成形加工具としての射出成形型を備えた射出成形機が用いられ、この射出成形機の射出装置から射出された溶融樹脂材料が、射出成形型内部に設けられる成形キャビティ内に充填され、そこで冷却固化されることで、目的とする樹脂製品が成形されるようになるが、この射出成形による樹脂製品の成形時には、冷却固化された樹脂製品との間で接触帯電が生じ、また、かかる樹脂製品を離型するときには、剥離帯電が惹起される。その結果、例えば、射出成形型や溶融樹脂材料が、何れも汎用的な材料からなる場合には、成形された樹脂製品において、製品の表面積、加工時間等により様々な電位が生じ、製品によっては−20kV以上もの高電圧の静電気が発生せしめられるようになるのである。
そして、このような射出成形、或いは射出成形以外の各種の成形加工時に、成形加工具と樹脂製品との間で生ずる帯電現象により樹脂製品において発生する静電気は、樹脂製品の表面に埃等の異物を引き寄せるため、例えば塗装等の表面処理の実施時における不具合の発生原因となっており、また、それ以外にも、樹脂製品の金型からの離型ミスやパーツフィーダの詰まり、或いは検査機や測定器の誤作動を惹起させる等、様々な不良品や工程トラブルの発生の要因ともなっている。
そこで、従来では、そのような樹脂製品を含む不導体製品の成形加工後に、かかる不導体製品の静電気を除去乃至は低減させて、不導体製品の表面電位が可及的にゼロとなるように、換言すれば、不導体製品の表面の帯電が防止されるように、不導体製品の表面電位を制御するための余分な工程を行わなければならず、それが、目的とする不導体製品の製作性の低下を招いていた。しかも、そのような除電による不導体製品の表面電位の制御作業は、一般に、イオナイザー(静電気除去装置)を用いて、イオンエアーを不導体製品の表面に照射することによって実施される(例えば、下記特許文献1参照)ところから、不導体製品の表面に存在する電荷だけでなく、内部から表面に浮上する電荷を除去するために、長時間の作業が必要となり、また、不導体製品の形状や作業環境によっては、不導体製品に対するイオンエアーの照射ムラが生じ、それによって、均一な除電が困難となる場合さえもあった。そして、何よりも、このイオナイザーを用いた除電は、成形加工により静電気が発生した不導体製品に対する後処理によって実施されるものであるため、そのような静電気による様々な不具合の発生を未然に防止することが不可能であったのである。
なお、公知の加湿処理や帯電防止剤処理等を実施することにより、成形加工時における不導体製品での静電気の発生を防止して、かかる不導体製品の表面電位を制御する(表面の帯電を防止する)ことも考えられる。しかしながら、前者の処理では、不導体製品の成形加工が、射出成形等の高温下で行われるものである場合、十分な効果を得ることが期待出来ず、また、後者の処理は、通常、界面活性剤を使用するために、成形加工された不導体製品の後工程で、かかる界面活性剤によって不具合が生ずる懸念があった。
他方、目的とする不導体製品を複数段階に分けて成形加工する際には、途中で得られる中間成形加工品と最終的に得られる不導体製品の何れにおいても、それぞれ静電気が発生せしめられるようになるところから、最終的に得られる不導体製品表面の静電気による帯電を防止する上で、中間成形加工品の表面を正又は負に帯電させることが有効な場合もある。即ち、例えば、目的とする不導体製品を二段階に分けて成形加工するに際して、一次成形加工された中間成形加工品の表面を、二次成形加工の際に生ずる静電気とは逆極性に帯電させておくことで、場合によっては、最終的に得られる不導体製品の表面電位をゼロ乃至はそれに近似した値に容易に且つ効率的に制御することが出来るのである。
ところが、上記せる如きイオナイザーを用いた除電処理や加湿処理、帯電防止剤処理等によって不導体製品の表面電位を制御する場合、不導体製品の表面電位をゼロ又はそれに近似の値以外の所望の値に制御することは極めて困難であり、ましてや、かかる表面電位を、不導体製品の成形加工時に生ずる静電気とは逆極性の値と為すことは、到底、不可能であったのである。
特開2002−46147号公報
ここにおいて、本発明は、上述せる如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、所定の成形加工具を用いた不導体製品の成形加工時に、成形加工具と不導体製品との間で生ずる帯電現象により静電気が発生せしめられる不導体製品の表面電位を所望の値に制御することが出来、以て、静電気による様々な不具合を発生を未然に且つ有利に防止することが出来る、不導体製品における表面電位の制御装置と方法、更にはそのような表面電位の制御機能を備えた不導体製品の成形加工装置を提供することにある。
そして、本発明者等は、かかる課題の解決のために様々な実験を繰り返し行ったところ、成形加工具と不導体製品との間で生ずる帯電現象により不導体製品に静電気が発生する前に、成形加工具における少なくとも不導体製品との接触部分に対して電荷を印加して、かかる成形加工具の接触部分を帯電させることで、成形加工された不導体製品における静電気の発生後の表面電位を、成形加工具の接触部分に電荷が印加されない場合とは異なる値と為し得ることが、判明した。また、そのような判明事実を基に、更に鋭意研究を重ねた結果、成形加工具の接触部分に印加される電荷の極性と電圧とを、上記せる帯電現象により不導体製品において生ぜしめられる静電気の極性と電圧とに基づいて、様々な値に設定すれば、静電気発生後の不導体製品の表面電位を任意の値にコントロール出来るようになるとの知見を得たのである。
具体的には、所定の成形加工具を用いて不導体製品を成形加工するに際して、不導体製品において、成形加工具の接触部分との間で静電気が生ずる前に、成形加工具における少なくとも接触部分に対して、静電気と同一極性の電荷を印加すれば、不導体製品において負の静電気が生ずる場合には、静電気発生後の不導体製品の表面電位を上昇させ、また、正の静電気が発生する場合には、かかる表面電位を下げることが出来、そして、そのような成形加工具に印加される電荷の電圧を、発生せしめられる静電気の電圧に基づいて適宜に変化させることで、静電気発生後の不導体製品の表面電位を可及的にゼロと為したり、或いは発生せしめられる静電気とは逆の極性に為し得ることを、見出した。更に、不導体製品において静電気が生ずる前に、成形加工具の接触部分に対して静電気とは逆極性の電荷を印加すれば、不導体製品において負の静電気が生ずる場合に、静電気発生後の不導体製品の表面電位を更に下げることが出来、また、正の静電気が発生する場合には、かかる表面電位を更に上げることが可能となることをも、見出したのである。
なお、このような現象の発生メカニズムは未だ十分に解明されてはいないものの、以下の如きものであろうと推察される。即ち、不導体製品において静電気が生ずる前に、成形加工具の接触部分に対して静電気と同極性の電荷を印加した場合、不導体製品表面が、分極により、静電気とは逆の極性において蓄電せしめられる。そして、そのような蓄電状態で、不導体製品において静電気が発生せしめられると、かかる静電気と不導体製品表面とが互いに異なる極性とされているために、成形加工具に印加される電荷の電圧に応じて、不導体製品の表面電位が、可及的にゼロとなるか、或いは静電気の発生前とは逆の極性になるものと、考えられるのである。また、不導体製品において静電気が生ずる前に、成形加工具の接触部分に対して静電気とは逆の極性の電荷を印加した場合には、不導体製品表面が、分極により、静電気と同じ極性において蓄電せしめられる。そして、そのような蓄電状態で、不導体製品において静電気が発生せしめられると、かかる静電気と不導体製品表面とが互いに同一の極性とされているために、不導体製品表面が負に蓄電せしめられている場合には、その表面電位が更に下げられ、また、不導体製品表面が正に蓄電せしめられている場合には、その表面電位が更に上げられることになると、考えられるのである。
すなわち、本発明は、上述の如き知見に基づいて完成されたものであって、その要旨とするところは、所定の成形加工具を用いて、電気絶縁性の絶縁体材料からなる不導体製品を成形加工する際に、該成形加工具との間で生ずる帯電現象により静電気が発生せしめられる該不導体製品の表面電位を制御する装置において、(a)前記不導体製品と接触し、該不導体製品との間で前記帯電現象を生ぜしめることによって該不導体製品に静電気を発生させる、導電性を備えた、前記成形加工具の該不導体製品との接触部分を、該成形加工具の該接触部分以外の部分と電気的に絶縁する絶縁手段と、(b)前記帯電現象により静電気が発生した後の前記不導体製品の表面電位の極性及び/又は大きさが所望の極性及び/又は大きさとなるように、該静電気の極性と電圧とに基づいて極性と電圧とが設定された電荷を、前記成形加工具の少なくとも前記接触部分に印加する電荷印加手段と、(c)前記電荷印加手段による電荷の印加により前記成形加工具の少なくとも前記接触部分に蓄電せしめられた電荷を放出するためのアース手段と、(d)前記アース手段を電気的な接地状態と非接地状態とに選択的に切り換える切換手段とを含んで構成したことを特徴とする、不導体製品における表面電位の制御装置にある。
このような本発明に従う不導体製品における表面電位の制御装置を用いれば、成形加工具と不導体製品との間で生ずる帯電現象により不導体製品に静電気が発生する前に、成形加工具における少なくとも不導体製品との接触部分に対して、静電気の極性と電圧とに基づいて設定される極性と電圧とを有する電荷を印加し、かかる接触部分を蓄電させることが出来る。また、成形加工具の接触部分に蓄えられた電荷の放出を、絶縁手段にて防止して、成形加工具の蓄電状態を安定的に維持せしめることも出来る。そして、それにより、蓄電められた成形加工具を用いて成形加工される不導体製品の表面を、成形加工具の接触部分とは逆の極性において、それと同一の電圧で蓄電させることが出来る。
それ故、かかる本発明装置にあっては、不導体製品に静電気が発生する前に、成形加工具の接触部分に対して、静電気と同一の極性の電荷を、静電気の電圧に基づく適切な電圧において印加させることで、静電気発生後の不導体製品の表面電位を可及的にゼロと為したり、或いは発生せしめられる静電気とは逆の極性に為したりすることが、確実に可能となる。また、不導体製品に静電気が発生する前に、成形加工具の接触部分に対して、静電気とは逆の極性の電荷を、静電気の電圧に基づく適切な電圧において印加させることにより、不導体製品において負の静電気が生ずる場合には、不導体製品の表面電位を更に低下させ、また、正の静電気が生ずる場合には、不導体製品の表面電位を更に上昇させることが出来る。
しかも、成形加工具の接触部分に対して、電荷印加手段により、所望の極性と電圧とを有する電荷を印加することは、高温環境下においても、何等の不具合もなく確実に実施され得るのであり、また、そのような成形加工具の接触部分に対する電荷の印加が、成形加工された不導体製品の後工程に対して悪影響を及ぼすようなことも、全くない。
従って、かくの如き本発明に従う不導体製品における表面電位の制御装置にあっては、所定の成形加工具を用いて不導体製品の成形加工するに際して、その成形加工の前後又は途中で生ずる帯電現象により静電気が発生せしめられた後の不導体製品の表面電位を、不導体製品の品質、性能等の低下等を何等招くことなく、所望の値となるように確実に制御することが出来る。そして、その結果として、成形加工時に生ずる静電気により不導体製品が帯電せしめられることを未然に且つ確実に防止して、そのような静電気による帯電が原因で不導体製品の成形加工時や後加工時に生じていた様々なトラブルや不具合を、極めて有利に解消せしめることが可能となる。また、不導体製品を複数段階に分けて成形加工する場合に、例えば、一次成形加工で得られる中間成形加工品の表面を、二次成形加工で得られる不導体製品において生ずる静電気とは逆の極性に蓄電させることで、かかる不導体製品の静電気による帯電を未然に防止することが出来、これによっても、静電気による帯電が原因で不導体製品の成形加工時や後加工時に生じていた様々なトラブルや不具合を、極めて有利に解消せしめることが可能となる。更に、本発明装置によれば、例えば、不導体製品の成形加工操作が終了して、成形加工具が不使用の状態となったときに、成形加工具に蓄電せしめられた電荷を放出させることが出来る。それ故、成形加工具を使用していないときに、作業者等が、かかる成形加工具に接触して、感電するようなことが有利に回避されて、不導体製品の成形加工作業の安全性が、効果的に確保され得る。
発明の態様
ところで、本発明は、少なくとも、以下に列挙する如き各種の態様において、好適に実施され得るものである。
<1> 所定の成形加工具を用いて、電気絶縁性の絶縁体材料からなる不導体製品を成形加工する際に、該成形加工具との間で生ずる帯電現象により静電気が発生せしめられる該不導体製品の表面電位を制御する装置にして、(a)前記不導体製品と接触し、該不導体製品との間で前記帯電現象を生ぜしめることによって該不導体製品に静電気を発生させる、導電性を備えた、前記成形加工具の該不導体製品との接触部分を、該成形加工具の該接触部分以外の部分と電気的に絶縁する絶縁手段と、(b)前記帯電現象により静電気が発生した後の前記不導体製品の表面電位の極性及び/又は大きさが所望の極性及び/又は大きさとなるように、該静電気の極性と電圧とに基づいて極性と電圧とが設定された電荷を、前記成形加工具の少なくとも前記接触部分に印加する電荷印加手段と、(c)前記電荷印加手段による電荷の印加により前記成形加工具の少なくとも前記接触部分に蓄電せしめられた電荷を放出するためのアース手段と、(d)前記アース手段を電気的な接地状態と非接地状態とに選択的に切り換える切換手段とを含んで構成したことを特徴とする、不導体製品における表面電位の制御装置。
<2> 上記の態様<1>において、前記成形加工具少なくとも前記接触部分に前記電荷印加手段から印加される電荷の極性及び/又は電圧を、外部からの操作により任意に変更する変更手段が、更に設けられていること。この本態様によれば、電荷印加手段から成形加工具の接触部分に印加される電荷の極性や電圧を容易に変更することが出来、それによって、静電気発生後の不導体製品の表面電位を、更に確実に且つ適切に制御することが可能となる。
<3> 上記せる態様<1>又は態様<2>において、前記成形加工具が、射出成形型であって、且つ該成形加工具の前記不導体製品との接触部分が、該射出成形型の内部に成形キャビティを形成するキャビティ形成凹所を含む射出成形型部分であること。この本態様によれば、例えば、樹脂製品やゴム製品等の不導体製品の射出成形に際して、射出成形型の流路内を溶融材料が流動せしめられる際に生ずる摩擦帯電や、成形された不導体製品の離型時に生ずる剥離帯電等により静電気が発生せしめられた不導体製品の表面電位が、所望の値に有利に制御され得る。
<4> 上記の態様<3>において、前記射出成形型が型閉めされたときに、前記電荷印加手段による該射出成形型への前記電荷の印加を開始する一方、該射出成形型が型開きされて、前記不導体製品が該射出成形型から離型せしめられた後に、かかる電荷の印加を停止するように、該電荷印加手段の作動を制御する制御手段が、更に設けられていること。この本態様によれば、射出成形型の流路内を溶融材料が流動せしめられる際や、成形された不導体製品の離型時において、射出成形型が確実に蓄電状態とされ、それによって、上記せる如き接触帯電や剥離帯電により静電気が発生せしめられた不導体製品の表面電位が、所望の値となるように、より確実に制御され得る。また、本態様においては、射出成形型が型開きされたときに、射出成形型に蓄電せしめられた電荷を放出させることが可能となり、それによって、作業者等が、型開きされた射出成形型に接触して、感電するようなことが有利に回避されて、不導体製品の成形作業の安全性が、効果的に確保され得る。
<5> 電気絶縁性の絶縁体材料からなる不導体製品を成形加工する際に、帯電現象により静電気が発生せしめられる該不導体製品の表面電位を制御する機能を備えた成形加工装置において、(a)前記不導体製品と接触し、該不導体製品との間で前記帯電現象を生ぜしめることによって該不導体製品に静電気を発生させる、導電性を備えた接触部分を有して、該不導体製品を成形加工する成形加工具と、(b)前記成形加工具の前記不導体製品との接触部分を、該成形加工具の該接触部分以外の部分と電気的に絶縁する絶縁手段と、(c)前記帯電現象により静電気が発生した後の前記不導体製品の表面電位の極性及び/又は大きさが所望の極性及び/又は大きさとなるように、該静電気の極性と電圧とに基づいて極性と電圧とが設定された電荷を、前記成形加工具の少なくとも前記接触部分に印加する電荷印加手段と、(d)前記電荷印加手段による電荷の印加により前記成形加工具の少なくとも前記接触部分に蓄電せしめられた電荷を放出するためのアース手段と、(e)前記アース手段を電気的な接地状態と非接地状態とに選択的に切り換える切換手段とを含んで構成したことを特徴とする、表面電位の制御機能を備えた不導体製品の成形加工装置。
この本態様によれば、不導体製品に静電気が生ずる前に、成形加工具における少なくとも不導体製品との接触部分を電荷印加手段により蓄電せしめることで、不導体製品を、成形加工具の接触部分とは逆の極性において、それと同一の電圧で蓄電させることが出来る。そして、それによって、静電気発生後の不導体製品の表面電位を、所望の値となるように確実に且つ有利に制御することが出来る。
従って、かくの如き本態様によれば、静電気発生後において所望の表面電位を有する不導体製品が、優れた製作性をもって、極めて有利に成形加工され得る。その結果として、不導体製品において生ずる静電気が原因した様々なトラブルや不具合の発生が、極めて有利に解消され得ることとなるのである。
<6> 所定の成形加工具を用いて、電気絶縁性の絶縁体材料からなる不導体製品を成形加工する際に、該成形加工具との間で生ずる帯電現象により静電気が発生せしめられる該不導体製品の表面電位を制御する方法であって、(a)前記不導体製品と接触し、該不導体製品との間で前記帯電現象を生ぜしめることによって該不導体製品に静電気を発生させる、導電性を備えた、前記成形加工具の該不導体製品との接触部分を、該成形加工具の該接触部分以外の部分と電気的に絶縁する絶縁工程と、(b)前記帯電現象により静電気が発生した後の前記不導体製品の表面電位の極性及び/又は大きさが所望の極性及び/又は大きさとなるように、該静電気の極性と電圧とに基づいて極性と電圧とが設定された電荷を、前記絶縁工程により絶縁された前記成形加工具の少なくとも前記接触部分に対して、該不導体製品に静電気が発生せしめられる前から印加して、該成形加工具の接触部分を蓄電させる蓄電工程と、(c)該蓄電工程が行われている間は、前記成形加工具の少なくとも前記接触部分に蓄電せしめられた電荷を放出するために該成形加工具に接続されたアース手段を非接地状態とする一方、該蓄電工程の終了後には、該アース手段を接地状態に切り換える工程とを含むことを特徴とする、不導体製品における表面電位の制御方法。
このような本態様によれば、少なくとも不導体製品との接触部分が蓄電せしめられた成形加工具を用いて成形加工される不導体製品を、静電気の発生前に、成形加工具の接触部分とは逆の極性において、それと同一の電圧で蓄電させることが出来、それによって、静電気発生後の不導体製品の表面電位を、所望の値となるように確実に且つ有利に制御することが出来る。従って、不導体製品において生ずる静電気が原因した様々なトラブルや不具合の発生を、極めて有利に解消することが可能となる。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の構成について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
先ず、図1には、本発明に従う構造を有する、表面電位の制御機能を備えた不導体製品の成形加工装置の一実施形態たる樹脂製品の射出成形機が、その要部において、概略的に示されている。かかる図1から明らかなように、本実施形態の射出成形機は、射出装置10と型締装置12と成形加工具としての射出成形型14とを有して、構成されている。
より詳細には、射出装置10は、加熱筒16内において、所定の樹脂材料を、図示しないスクリュにて混練しつつ、加熱溶融せしめる従来と同様な構造を有し、この加熱筒16内で溶融された樹脂材料が、加熱筒16に先端に取り付けられたノズル18から射出せしめられるようになっている。
また、型締装置12も、従来装置と同様に、所定長さを有する複数のタイバー20の先端部に固定された固定板22と、この固定板22に対して、所定距離を隔てて対向し、且つその対向方向に移動可能な状態で、複数のタイバー20に支持された可動板24とを、有している。更に、可動板24の背面側(固定板22との対向側とは反対側)には、図示しない油圧シリンダが設置され、この油圧シリンダの作動によって突出/引込移動せしめられるラム26の先端が、可動板24の背面に取り付けられている。これにより、油圧シリンダの作動に基づくラム26の突出/引込移動に伴って、可動板24が、固定板22に対して接近/離隔移動せしめられるようになっている。
そして、それら可動板24と固定板22との間に、射出成形型14が配設されている。この射出成形型14は、可動型28と固定型30の2個の分割金型を有している。また、可動型28は、可動板24に取り付けられた、矩形平板状の可動側取付板32と、この可動側取付板32から固定板22側に離間せしめられた位置で、固定型30と対向配置された、矩形平板状乃至は矩形ブロック状の可動側型板34と、厚肉の角筒形状をもって、可動側取付板32と可動側型板34との間に介在せしめられて、それらを一体的に連結するスペーサブロック36とを、更に有して、構成されている。そして、この可動型28における可動側型板34の固定型30との対向面には、目的とする樹脂製品の外形形状に対応した内面形状をもって、固定型30側に向かって開口するキャビティ形成凹所38が、形成されている。
一方、固定型30は、固定板22に取り付けられた、矩形平板状の固定側取付板40と、この固定側取付板40に固定されて、可動型28(可動側型板34)と対向位置せしめられた、矩形平板状乃至は矩形ブロック状の固定側型板42とを有して、構成されている。また、この固定型30における固定側取付板40の中心部には、スプルブッシュ43が、埋め込まれるように取り付けられており、更に、固定側型板42の中心部には、スプルブッシュ43の内孔に連通するスプル44が、形成されている。そして、かかるスプルブッシュ43の内孔におけるスプル44との連通側とは反対側の開口部に対して、固定板22の挿通孔46に挿通位置せしめられた前記射出装置10のノズル18の先端が接触位置せしめられている。
かくして、射出成形型14にあっては、図1及び図2から明らかなように、型締装置12における可動板24の固定板22に対する接近/離隔移動に伴って、可動型28が固定型30に対して接近/離隔移動せしめられて、それら可動型28と固定型30との型閉め/型開きや圧締めが行われるようになっている。そして、可動型28と固定型30とが型閉めされて、可動型28におけるキャビティ形成凹所38の開口部が、固定型30の固定側型板42にて覆蓋されることによって、それら可動型28と固定型30との型合せ面間に、目的とする樹脂製品に対応した形状を有する成形キャビティ48が形成されるように構成されている。
また、そのような可動型28と固定型30との型合せ状態下において、固定型30のスプル44が、成形キャビティ48内に開口せしめられ、それによって、射出装置10のノズル18から射出される溶融樹脂材料が、スプルブッシュ43の内孔とスプル44とを通じて、成形キャビティ48内に導入されて、充填されるようになっている。そして、この成形キャビティ48内に充填された溶融樹脂材料が冷却固化されることで、目的とする樹脂製品が成形されるようになっているのである。
さらに、本実施形態の射出成形機には、上記のようにして成形キャビティ48内で成形された樹脂製品を成形キャビティ48内から突き出すための突出し装置が、従来と同様な構造を有して、設けられている。
すなわち、この突出し装置は、可動型28における角筒状のスペーサブロック36の内孔内に、その軸方向、つまり可動側型板34側方向と可動側取付板32側方向の両方向に移動可能に配置された、矩形平板状のエジェクタプレート50を、有している。また、このエジェクタプレート50における可動側型板34側の面上には、複数のエジェクタピン52が一体的に立設されている。そして、それら各エジェクタピン52は、可動側型板34における可動板24との対向面とキャビティ形成凹所38の底面とにおいてそれぞれ開口して、可動型28と固定型30との対向方向に真っ直ぐに延びるように形成された複数のピン挿通孔54内に挿通されている。
一方、エジェクタプレート50における可動側取付板32側の面には、エジェクタロッド56が、その先端部において固定されている。このエジェクタロッド56は、可動板24と可動側取付板32のそれぞれの中心部に設けられた中心孔57,58を通じて、可動板24の背面側に延出せしめられ、また、かかる可動板24の背面に取り付けられたラム26の内部に突入せしめられている。そして、かかるエジェクロッド56にあっては、ラム26を突出/引込移動せしめる、図示しない油圧シリンダの作動に基づいて、ラム26と一体に突出/引込移動せしめられ、また、ラム26に内臓された、図示しない油圧シリンダの作動に基づいて、ラム26に対して相対的に突出/引込移動せしめられるようになっている。そして、このようなエジェクタロッド56の突出/引込移動に伴って、エジェクタプレート50と各エジェクタピン52とが一体移動せしめられるようになっているのである。
かくして、本実施形態では、成形キャビティ48内で目的とする樹脂製品が成形されてから、ラム26の引込移動により可動型28と固定型30とが型開きされる際に、先ず、エジェクタロッド56が、ラム26と一体に引込移動せしめられるようになる。また、このラム26の引込移動が停止する前、つまり可動型28と固定型30とが所定の型開き位置に到達した、完全な型開き状態となる前に、エジェクタロッド56が、ラム26に対して相対的に突出移動せしめられることで、エジェクタプレート50が、スペーサブロック36の内孔内を可動側型板34側に移動せしめられる。そして、それに伴って、各エジェクタピン52が、キャビティ形成凹所38の底面から突出せしめられて、可動型28と固定型30とが完全な型開き状態となったときに、成形された樹脂製品が、各エジェクタピン52にて、キャビティ形成凹所38内から外部に突き出されるようになっている。
ところで、本実施形態の射出成形機にあっては、特に、上述のようにして成形される樹脂製品における負の静電気の発生後の表面電位を制御するための表面電位制御装置(表面電位制御機構)が、特別な構造をもって、設けられている。
すなわち、この表面電位制御装置は、成形されるべき樹脂製品やその成形材料たる溶融樹脂材料に接触せしめられる射出成形型14と、かかる射出成形型14が取り付けられる型締装置12との間を電気的に絶縁して、射出成形型14の電気的な接地を阻止する絶縁手段としての第一乃至第三の絶縁板60,62,64と、射出成形型14に対して、樹脂製品において発生せしめられる静電気と同一極性の負の電荷を印加する電荷印加手段としての高圧電源装置66とを含んで、構成されている。
より詳細には、ここでは、固定型30における固定側取付板40と固定側型板42との間に、第一の絶縁板60が、介装されている。この第一の絶縁板60は、例えばアルミナ等のセラミックス材料を用いて形成された矩形の平板からなり、固定側取付板40や固定側型板42と略同一の大きさと所定の厚さとを有している。そして、かかる第一の絶縁板60にあっては、固定側取付板40と固定側型板42とにおけるそれぞれの対向面の全面に対して、厚さ方向の両面が、各々接触せしめられ、またその状態で、それら固定側取付板40と固定側型板42と共に、例えばセラミックス材料等からなる絶縁性を有するボルト等(図示せず)にて、型締装置12の固定板22に固定されている。これにより、固定型30における可動型28との型合せ面、つまり固定型30における樹脂製品との接触部分たる固定側型板42が、固定板22、更には型締装置12に対して電気的に絶縁されて、かかる固定側型板42の電気的な接地が阻止されている。なお、このような第一の絶縁板60の中心部には、固定側取付板40に取り付けられたスプルブッシュ43の内孔と、固定側型板42に設けられたスプル44とを連通する連通孔68が設けられ、この連通孔68を通じて、射出装置10から射出された溶融樹脂材料のスプルブッシュ42の内孔内からスプル44内への流動が許容されるようになっている。
また、型締装置12の可動板24と可動型28の可動側取付板32との間には、第二の絶縁板62が、介在せしめられている。この第二の絶縁板62も、第一の絶縁板60と同様に、例えばアルミナ等のセラミックス材料を用いて形成された矩形の平板からなっており、可動側取付板32と略同一の大きさと所定の厚さとを有している。そして、一方の面が、可動側取付板32における可動板24との対向面の全面に接触位置せしめられ、またその配置状態下で、可動側取付板32とスペーサブロック36と可動側型板34と共に、例えばセラミックス材料等からなる絶縁性を有するボルト等(図示せず)により、可動板24に固定されている。これによって、成形されるべき樹脂製品との接触部分たる可動側型板34を備えた可動型28の全体が、可動板24、更には型締装置12に対して電気的に絶縁されて、可動型28の電気的な接地が阻止されている。
なお、かかる第二の絶縁板62の中心部には、可動板24や可動側取付板32にそれぞれ設けられた中心孔57,58に連通する中心孔70が設けられており、それら可動板24と可動側取付板32と第二の絶縁板62とに連通状態で設けられた各中心孔57,58,70に対して、エジェクタロッド56が軸方向に移動可能に挿通されている。また、このエジェクタロッド56も、その先端部に、アルミナ等のセラミックス材料からなる第三の絶縁板64が、エジェクタプレート50との間に介在せしめられた状態で、取り付けられている。これによって、エジェクタプレート50やそれに一体形成されたエジェクタピン52が、エジェクタロッド56に対して電気的に絶縁されており、以て、それらエジェクタプレート50やエジェクタピン52が可動型28のスペーサブロック36や可動側型板34に接触せしめられた状態下においても、可動型28の型締装置12に対する絶縁状態(電気的な非接地状態)が確保されるようになっている。なお、そのような絶縁状態を、より有利に確保するには、エジェクタプレート50やエジェクタピン52の全表面に、例えばフッ素樹脂等の絶縁材料をコーティングすることが、有効である。
そして、そのようにして型締装置12と電気的に絶縁された可動型28に対して、電荷印加手段としての高圧電源装置66が電気的に接続されている。つまり、この高圧電源装置66は、例えば1〜30kV程度の高電圧の負の電荷を供給し得る公知の構造を有している。また、この高圧電源装置66から延びるリード線72の先端部には、例えば圧着端子等(図示せず)が取り付けられている。そして、このリード線72の先端に取り付けられた圧着端子が、可動型28の可動側型板34の側面等に螺入されたボルト等にて、可動側型板34に取り付けられることで、高圧電源装置66と可動型28とが、電気的に接続されている。なお、高圧電源装置66は、アース線74にて接地されている。
また、かかる高圧電源装置66は、その作動を制御する制御手段としてのコントローラ76に対しても、電気的に接続されている。更に、このコントローラ76は、可動型28と固定型30との型閉め状態と前記せる如き完全な型開き状態とを検出する、可動板24や24や固定板22等に取り付けられた、例えばリミットスイッチ等のセンサ素子(図示せず)に対して、電気的に接続されている。そして、かかるコントローラ76にあっては、リミットスイッチ等のセンサ素子にて、可動型28と固定型30とが型閉め状態となったことが検出されたときに、高圧電源装置66を作動させる一方、かかる型閉め状態から、可動型28と固定型30とが完全な型開き状態となったこと、つまり、可動型28と固定型30とが予め設定された型開き位置まで移動し、且つ成形された樹脂製品がエジェクタピン52にてキャビティ形成凹所38内から外部に突き出されたことが検出されたときに、高圧電源装置66を停止させるように、高圧電源装置66の作動/停止を制御し得るようになっている。また、コントローラ76には、変更手段としての操作摘み77が設けられており、この操作摘み77が摘まれて回転操作されることで、高圧電源装置66から供給される負電荷の電圧が、任意の値に予め設定され、或いはその設定値が変更乃至は調節され得るようになっている。
これによって、ここでは、可動型28と固定型30とが型閉め状態となったときに、高圧電源装置66から可動型28の可動側型板34に対して、負の電荷が、操作摘み77に対する回転操作により予め設定された電圧において、自動的に印加(供給)されるようになっている。また、可動型28と固定型30との型閉め状態から、それら可動型28と固定型30とが型開きされ、更には樹脂製品が離型せしめられたときには、高圧電源装置66から可動型28の可動側型板34への負電荷の印加が、自動的に停止されるようになっている。
そして、上記せるように、可動型28は、第二の絶縁板62やエジェクタロッド56の先端に設けられた第三の絶縁板64にて、型締装置12や突出し装置等に対して、常に絶縁状態とされており、更に、固定型30の固定側型板42も、第一の絶縁板60にて、型締装置12に対して、常時、絶縁状態とされている。従って、可動型28と固定型30との型閉め状態下において、高圧電源装置66から可動型28に負電荷が、所望の電圧において自動的に印加されることで、可動型28の全体と、可動型28の可動側型板34に接触する固定型30の固定側型板42とが、可動型28への印加される負電荷の電圧と同一の電圧において、自動的に、負に蓄電せしめられるようになっている。
また、本実施形態においては、可動型28の可動側型板34と固定型30の固定側型板42とに対して、それらを電気的に接地するための、アース手段としてのアース線78が、高圧電源装置66のリード線72と同様な状態で、それぞれ接続されている。更に、それら各アース線78の途中には、アース線78を導通状態と非導通状態とに切り換える、切換手段としてのスイッチ80が、各々設けられている。そして、それら各スイッチ80は、前記コントローラ76にも電気的に接続されて、このコントローラ76により、高圧電源装置66の作動/停止(高圧電源装置66から可動側型板34への負電荷の供給の開始/停止)に基づいて自動制御されるようになっている。
つまり、ここでは、可動型28と固定型30とが型閉め状態となって、コントローラ76により、高圧電源装置66から可動側型板34への負電荷の供給が開始されると同時に、各スイッチ80が開作動せしめられて、各アース線78が非導通状態とされ、以て、可動型28の全体と固定型30の固定側型板42が、自動的に絶縁状態とされるようになっている。また、可動型28と固定型30とが型開きされると共に、樹脂製品が離型せしめられて、コントローラ76により、高圧電源装置66から可動側型板34への負電荷の供給が停止せしめられると同時に、各スイッチ80が閉作動せしめられて、各アース線78が導通状態とされ、以て、可動型28の全体と固定型30の固定側型板42が、自動的にアースされるようになっている。そして、このような各スイッチ80の閉作動による可動型28の全体と固定型30の固定側型板42のアースにより、それら可動型28の全体や固定型30の固定側型板42に蓄電せしめられた電荷が放出せしめられるようになっているのである。
而して、かくの如き構造とされた射出成形機を用いて、目的とする樹脂製品を成形する際には、例えば、以下のようにして、その作業が進められることとなる。
すなわち、先ず、図2に示されるように、型締装置12のラム26の突出作動により、可動板24を固定板22に接近移動せしめて、可動型28と固定型30の型合せ及び圧締めを行う。これによって、それら可動型28と固定型30との型合せ面間に、成形キャビティ48を形成する。
次に、図3に示されるように、目的とする樹脂製品の形成材料たる溶融樹脂材料82を、射出装置10のノズル18から射出する。そして、かかる溶融樹脂材料82を、スプルブッシュ43の内孔と第一の絶縁板60の連通孔68とスプル44とを流動せしめて、成形キャビティ48内に導入し、充填する。
その後、図4に示されるように、成形キャビティ48内に充填された溶融樹脂材料82を冷却固化して、目的とする樹脂製品84を成形する。そして、それに引き続き、型締装置12のラム26を引込移動せしめることにより、可動板24を固定板22から離隔させて、可動型28と固定型30の型開きを行う。また、この型開きを行う際には、前述せるように、型開きの途中までは、ラム26とエジェクタロッド56とを一体に引込移動させ、可動型28と固定型30の離間距離が所定の大きさに達した時点から、ラム26の引込移動が終了するまでの間、エジェクタロッド56を突出移動せしめる。これにより、樹脂製品84を、各エジェクタピン52にて、キャビティ形成凹所38内から外部に突き出し、ラム26が引込移動の限度位置に達して、可動型28と固定型30とが完全な型開き状態となったときには、樹脂製品84を、射出成形型14から完全に離型せしめる。
而して、ここでは、特に、上記の如き樹脂成形品84の一連の成形操作の中で、図2に示される可動型28と固定型30との型合せの完了時に、可動型28の可動側型板34と固定型30の固定側型板42のそれぞれに接続されたアース線78の途中のスイッチ80が、コントローラ76にて開作動されて、可動型28の全体と、固定型30の固定側型板42とが、自動的に且つ確実に絶縁状態とされる。また、それと同時に、高圧電源装置66が、コントローラ76にて作動せしめられて、高圧電源装置66から可動型28の可動側型板34に対して、負の電荷が、操作摘み77に対する操作により予め設定された電圧において、自動的に印加されるようになる。これにより、可動型28の全体と、可動型28に接触し、且つ固定側取付板40や固定板22に対して、第一の絶縁板60にて絶縁された固定型30の固定側型板42とが、高圧電源装置66から印加される負の電荷と同電位で、負に蓄電せしめられる。
なお、このような高圧電源装置66から可動型28の可動側型板34への負電荷の印加時には、その電流値が、可及的にゼロとされていることが望ましい。何故なら、射出成形型14に負電荷を印加している最中に、作業者等が射出成形型14に誤って接触することがあっても、その作業者が感電するようなことが有利に解消されて、安全な作業が確保され得るようになるからである。また、前述せるように、本実施形態装置では、可動側型板34と固定側型板42とにそれぞれ接続されるアース線78,78の途中に設けられたスイッチ80,80の開閉作動が、コントローラ76にて自動制御されている。そのため、図4に示されるように、可動型28と固定型30とが完全な型開き状態となって、樹脂製品84が射出成形型14から離型せしめられた時点で、即座に、可動側型板34と固定側型板42とがアースされて、それら可動側及び固定側型板34,42に蓄電せしめられた負の電荷が、自動的に放出されるようになる。
そして、高圧電源装置66から可動型28の可動側型板34への負電荷の印加状態で実施される、図3に示される如き樹脂製品84の成形時には、樹脂製品84が、成形キャビティ48内で、溶融樹脂材料82の冷却固化により成形されるまでの間、高圧電源装置66からの負電荷の印加により負に蓄電せしめられた、成形キャビティ48を形成する可動側及び固定側型板34,42と接触せしめられている。そのため、成形キャビティ48内で冷却固化された樹脂製品84は、その内部で惹起される分極現象等により、表面が、負に蓄電せしめられた可動側及び固定側型板34,42とは逆の正に帯電せしめられるようになる。
そして、図4に示されるように、成形された樹脂製品84を射出成形型14から離型するときには、成形キャビティ48の内面(可動側型板34におけるキャビティ形成凹所38の内周面、及び固定側型板42における可動型28との型合せ面)と樹脂製品84との間で剥離帯電が生じて、樹脂製品84の表面において負の静電気が発生せしめられる。しかしながら、この静電気における負の電荷は、樹脂製品84の表面に帯電せしめられた正の電荷にて打ち消されるようになる。
従って、ここでは、操作摘み77に対する操作により予め設定された電圧において、高圧電源装置66から可動型28の可動側型板34に印加される負電荷の電圧に応じて、離型後の樹脂製品84の表面電位が、所望の値に制御され得るようになる。
すなわち、具体的には、離型による剥離帯電によって樹脂製品84に生ずる静電気の電圧よりも所定量だけ大きな電圧を有する負電荷を、高圧電源装置66から可動型28の可動側型板34に印加すれば、離型後の樹脂製品84の表面電位を可及的にゼロと為して、かかる樹脂製品84の表面の帯電状態を解消せしめることが出来る。また、そのような静電気の電圧よりも所定量だけ大きな電圧よりも更に十分に大きな電圧を有する負電荷を、高圧電源装置66から可動型28の可動側型板34に印加すれば、離型後の樹脂製品84の表面電位を、正のままに維持せしめることが可能となるのである。なお、樹脂製品84の表面電位を所望の値と為すために、高圧電源装置66から可動型28の可動側型板34に印加される負電荷の具体的な電圧は、例えば、かかる負電荷の印加電圧を種々変更しながら、目的とする樹脂製品84を成形する試験を繰り返し行って得られる結果等に基づいて、予め設定される。
かくして、目的とする樹脂製品84が、高圧電源装置66から可動型28の可動側型板34に印加される負電荷の電圧に応じて制御された表面電位を有して、成形されることとなるのである。
このように、本実施形態では、例えば、加湿処理や帯電防止剤を用いた帯電防止処理等の射出成形操作とは無関係な特別な操作や処理を何等実施することなく、それ故、そのような特別な処理の実施に際して必要とされる余分な条件や後処理等が付加せしめられることもなく、単に、従来の射出成形操作と並行して、高圧電源装置66から可動型28の可動側型板34に、負電荷を予め設定された電圧において印加する操作を行うだけで、成形された樹脂製品84の表面電位を、例えば、表面電位が可及的にゼロとなるように、容易に且つ確実に制御することが可能となる。
従って、かくの如き本実施形態によれば、表面電位が所望の値となるように制御された樹脂製品84が、品質、性能等の低下等を何等招くことなく、極めて有利に成形され得る。そして、その結果として、目的とする樹脂製品84の成形加工時や、その後工程等で、樹脂製品84において発生する静電気が原因で生じていた様々なトラブルや不具合が、効果的に解消され得ることとなるのである。
また、本実施形態では、高圧電源装置66の作動/停止が、射出成形型14の型開閉に基づいて、コントローラ76により自動制御されることで、可動型28と固定型30への蓄電操作が自動的に行われるようになっているところから、所望の表面電位を有する樹脂製品84が、より効率的に且つ優れた製作性をもって、工業的に有利に成形され得る。
さらに、本実施形態においては、射出成形型14が型開きされて、成形された樹脂製品84が離型せしめられた時点で、可動型28と固定型30とに蓄電せしめられた電荷が自動的に放出され、しかも、可動型28と固定型30は、それらが再び型閉めされるまで、蓄電されないようになっている。このため、樹脂製品84の成形された後、別の樹脂製品84の成形が開始されるまでの間に、作業者等が射出成形型14に接触しても、その作業者が感電するようなことが有利に解消されて、安全性が有利に確保され得る。
なお、ここにおいて、本実施形態に係る射出成形機が、上述せる如き特徴を確実に発揮し得るものであることを確かめるために、本発明者等によって実施された試験について、詳述する。
すなわち、高圧電源装置から可動側型板に印加される電荷の極性及び電圧と、離型直後の樹脂製品の表面電位との関係を調べるために、先ず、図1に示される如き構造を有する射出成形機を準備した。また、それとは別に、目的とする樹脂製品の原料樹脂として、金属製の射出成形型からの離型時に、かかる成形型との間で剥離帯電を生じて、負の静電気を発生せしめるポリプロピレンを、ペレットの形態において所定量準備した。
そして、最初の試験として、準備された射出成形機と原料樹脂とを用いて、高圧電源装置から可動側型板に対して電荷を、終始、何等印加させることなく、つまり、高圧電源装置から可動側型板への印加電圧を0とした状態で、縦×幅×厚さが50mm×30mm×2.5mmである矩形平板状の樹脂製品を、従来手法に従って射出成形して、これを供試品1とした。そして、かくして成形された供試品1の離型直後の表面電位を、公知の手法により測定した。その結果を、図5に○で示した。なお、この供試品1の射出成形時と、その表面電位の測定時における室温は18℃で、湿度は55%であった。
次に、型閉め直後から型開きされるまでの間、高圧電源装置から可動側型板に、負電荷を−5kVの電圧で印加する条件と、負電荷を−7.5kVの電圧で印加する条件と、負電荷を−7.5kVの電圧で印加する条件と、正電荷を15kVの電圧で印加する条件の互いに異なる四つの成形条件の下で、供試品1と同一の大きさ及び形状を有する4種類の樹脂製品を、従来手法に従って、それぞれ射出成形した。そして、それら4種類の樹脂製品のうち、可動側型板への印加電圧を−5kVとした条件の下で射出成形された樹脂製品を供試品2とし、可動側型板への印加電圧を−7.5kVとした条件の下で射出成形された樹脂製品を供試品3とし、可動側型板への印加電圧を−15kVとした条件の下で射出成形された樹脂製品を供試品4とし、可動側型板への印加電圧を15kVとした条件の下で射出成形された樹脂製品を供試品5とした。
その後、上記のようにして成形された供試品2〜5の離型直後のそれぞれの表面電位を、公知の手法により測定した。その結果を、図5に併せて示した。なお、図5には、供試品2の測定結果を□で示し、供試品3の測定結果を△で示し、供試品4の測定結果を×で示し、供試品5の測定結果を■で示した。また、これら供試品2〜5の射出成形時と、それらの表面電位の測定時における室温は18℃で、湿度は55%であった。
かかる図5から明らかなように、高圧電源装置から可動側型板に、電荷を何等印加させずに射出成形された供試品1の離型直後の表面電位は、約−3kVであった。これは、供試品1において、剥離帯電により生ずる静電気の電圧が、約−3kVであることを示している。これに対して、高圧電源装置から可動側型板に、負電荷を−5kVの電圧で印加して射出成形された供試品2の離型直後の表面電位は約0.2kVであり、また、かかる印加電圧が−7.5kVとされた供試品3の離型直後の表面電位は約1kVであった。更に、かかる印加電圧が−15kVとされた供試品4の離型直後の表面電位は約2.5kVで、また、かかる印加電圧が15kVとされた供試品5の離型直後の表面電位は約−5kVであった。
これらのことから、離型による剥離帯電によって負の静電気が生ずる樹脂製品を成形する際に、かかる樹脂製品に対して、静電気が生ずる前に、負の電荷を、例えば静電気の電圧よりも大きな電圧において印加し、また、その印加電圧を種々変更することで、離型直後の樹脂製品の表面電位を、ゼロの近似の値や正の値となるように任意に制御出来ることが、明確に認識され得る。また、そのような樹脂製品の成形時に、静電気が生ずる前の樹脂製品に対して、正の電荷を印加することで、離型直後の樹脂製品の表面電位を、負の値となるように制御出来ることをも、認められ得るのである。
以上、本発明の具体的な構成について詳述してきたが、これはあくまでも例示に過ぎないのであって、本発明は、上記の記載によって、何等の制約をも受けるものではない。
例えば、前記実施形態では、電荷印加手段たる高圧電源装置66から、成形加工具たる可動型28に対して負の電荷が印加されることで、樹脂製品84の表面電位が所望の値に制御されるようになっていたが、電荷印加手段から成形加工具に印加される電荷の極性は、何等これに限定されるものではない。例えば、目的とする樹脂製品の表面電位を可及的にゼロとする場合や、そのような表面電位を、樹脂製品において生ずる静電気の極性とは逆の極性とする場合には、かかる静電気と同一極性の電荷が、電荷印加手段から成形加工具に印加されることとなるのであり、また、目的とする樹脂製品の表面電位を静電気と同一極性とする場合には、かかる静電気とは逆の極性の電荷が、電荷印加手段から成形加工具に印加されることとなるのである。
また、電荷印加手段から成形加工具に印加される電荷の電圧も、樹脂製品の表面電荷の所望の電圧に応じて、適宜に決定されるところである。
また、可動型28に加えて、又はそれに代えて、高圧電源装置66を固定型30の固定側型板42に接続し、可動型28と固定型30との両方に対して直接に電荷を印加するように為したり、或いは固定型30だけに直接に負電荷を印加して、可動型28には、かかる固定型30を通じて、電荷を間接的に印加するように為すことも、勿論可能である。
さらに、成形加工具たる射出成形型14の可動型28と固定型30(前記実施形態では、固定側型板42のみ)は、少なくとも樹脂製品84との接触部分において、電気的な接地が阻止されるようになっておれば良く、従って、絶縁手段としての絶縁板60,62,64の配設位置は、例示のものに、何等限定されるものではない。
また、そのような絶縁手段も、例示の絶縁板60,62,64に特に限定されるものではなく、様々な形状や大きさ、構造を有するものが、適宜に採用される。例えば、可動型28の可動側型板34におけるキャビティ形成凹所38の周囲の部分と、固定型30の固定側型板42におけるキャビティ形成凹所38の覆蓋部分とを、それぞれ、導電性材料にて形成する一方、それらの部分を除く全ての可動型28部分と固定型30部分とを絶縁材料にて構成し、それら絶縁材料からなる部分全体を絶縁手段とすることも出来る。
さらに、かかる絶縁手段の形成材料も、セラミックス材料以外の公知の材料が、何れも用いられ得る。
更にまた、電荷印加手段も、例示の高圧電源装置66に決して限定されるものではなく、可動側型板34等に対して、負の電荷のみを印加するものと、正の電荷のみを印加するものと、外部からの操作によって正と負の電荷を選択的に印加し得るものの中から、樹脂製品84において生ぜしめられる静電気の極性と、制御されるべき樹脂製品84の表面電位の値とに応じて、従来より公知の構造を有するのもが、適宜に選択されて、使用され得る。
また、成形加工具は、例示の射出成形型14に、何等限定されるものではなく、目的とする樹脂製品の成形や加工に際して使用される各種の成形具や加工具が、かかる成形加工具として用いられ得る。
加えて、本発明は、樹脂製品を成形する射出成形機と、この射出成形機に装備される表面電位制御装置、並びにそれらを用いた表面電位制御方法の他、樹脂材料やゴム材料、或いはセラミックス材料等の不導体材料からなる不導体製品を、押出成形や、シート成形、プレス成形、真空成形等により成形したり、或いは各種の組付加工や機械加工等により加工したりする場合に用いられる不導体製品の成形加工装置や、そのような成形加工装置に装備される表面電位制御装置、更には各種の不導体製品における表面電位の制御方法の何れに対しても、有利に適用可能であることは、勿論である。
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。
本発明に従う樹脂製品の成形加工装置の一実施形態を示す、一部切欠図を含む要部説明図である。 図1に示された成形加工装置を用いて、樹脂製品を成形する工程の一例を示す説明図であって、可動型と固定型とを型合わせして、成形キャビティを形成した状態を示している。 図2に示される工程に引き続いて実施される工程を説明するための図であって、成形キャビティ内に溶融樹脂材料を充填した状態を示している。 図3に示される工程に引き続いて実施される工程を説明するための図であって、成形された樹脂製品を離型せしめた状態を示している。 図1に示された成形加工装置を用いて、本発明手法により表面電位を制御しつつ、目的とする樹脂製品をした際における、高圧電源装置から可動側型板への印加電圧と、離型直後の樹脂製品の表面電位との関係を示すグラフである。
符号の説明
10 射出装置 12 型締装置
14 射出成形型 22 固定板
24 可動板 28 可動型
30 固定型 34 可動側型板
42 固定側型板 48 成形キャビティ
60 第一の絶縁板 62 第二の絶縁板
64 第三の絶縁板 66 高圧電源装置
76 コントローラ 77 操作摘み
78 アース線 80 スイッチ
82 溶融樹脂材料 84 樹脂製品

Claims (6)

  1. 所定の成形加工具を用いて、電気絶縁性の絶縁体材料からなる不導体製品を成形加工する際に、該成形加工具との間で生ずる帯電現象により静電気が発生せしめられる該不導体製品の表面電位を制御する装置にして、
    前記不導体製品と接触し、該不導体製品との間で前記帯電現象を生ぜしめることによって該不導体製品に静電気を発生させる、導電性を備えた、前記成形加工具の該不導体製品との接触部分を、該成形加工具の該接触部分以外の部分と電気的に絶縁する絶縁手段と、
    前記帯電現象により静電気が発生した後の前記不導体製品の表面電位の極性及び/又は大きさが所望の極性及び/又は大きさとなるように、該静電気の極性と電圧とに基づいて極性と電圧とが設定された電荷を、前記成形加工具の少なくとも前記接触部分に印加する電荷印加手段と、
    前記電荷印加手段による電荷の印加により前記成形加工具の少なくとも前記接触部分に蓄電せしめられた電荷を放出するためのアース手段と、
    前記アース手段を電気的な接地状態と非接地状態とに選択的に切り換える切換手段と、
    を含んで構成したことを特徴とする、不導体製品における表面電位の制御装置。
  2. 前記成形加工具少なくとも前記接触部分に前記電荷印加手段から印加される電荷の極性及び/又は電圧を、外部からの操作により任意に変更する変更手段が、更に設けられている請求項1に記載の不導体製品における表面電位の制御装置。
  3. 前記成形加工具が、射出成形型であって、且つ該成形加工具の前記不導体製品との接触部分が、該射出成形型の内部に成形キャビティを形成するキャビティ形成凹所を含む射出成形型部分である請求項1又は請求項2に記載の不導体製品における表面電位の制御装置。
  4. 前記射出成形型が型閉めされたときに、前記電荷印加手段による該射出成形型への前記電荷の印加を開始する一方、該射出成形型が型開きされて、前記不導体製品が該射出成形型から離型せしめられた後に、かかる電荷の印加を停止するように、該電荷印加手段の作動を制御する制御手段が、更に設けられている請求項3に記載の不導体製品における表面電位の制御装置。
  5. 電気絶縁性の絶縁体材料からなる不導体製品を成形加工する際に、帯電現象により静電気が発生せしめられる該不導体製品の表面電位を制御する機能を備えた成形加工装置にして、
    前記不導体製品と接触し、該不導体製品との間で前記帯電現象を生ぜしめることによって該不導体製品に静電気を発生させる、導電性を備えた接触部分を有して、該不導体製品を成形加工する成形加工具と、
    前記成形加工具の前記不導体製品との接触部分を、該成形加工具の該接触部分以外の部分と電気的に絶縁する絶縁手段と、
    前記帯電現象により静電気が発生した後の前記不導体製品の表面電位の極性及び/又は大きさが所望の極性及び/又は大きさとなるように、該静電気の極性と電圧とに基づいて極性と電圧とが設定された電荷を、前記成形加工具の少なくとも前記接触部分に印加する電荷印加手段と、
    前記電荷印加手段による電荷の印加により前記成形加工具の少なくとも前記接触部分に蓄電せしめられた電荷を放出するためのアース手段と、
    前記アース手段を電気的な接地状態と非接地状態とに選択的に切り換える切換手段と、
    を含んで構成したことを特徴とする、表面電位の制御機能を備えた不導体製品の成形加工装置。
  6. 所定の成形加工具を用いて、電気絶縁性の絶縁体材料からなる不導体製品を成形加工する際に、該成形加工具との間で生ずる帯電現象により静電気が発生せしめられる該不導体製品の表面電位を制御する方法であって、
    前記不導体製品と接触し、該不導体製品との間で前記帯電現象を生ぜしめることによって該不導体製品に静電気を発生させる、導電性を備えた、前記成形加工具の該不導体製品との接触部分を、該成形加工具の該接触部分以外の部分と電気的に絶縁する絶縁工程と、
    前記帯電現象により静電気が発生した後の前記不導体製品の表面電位の極性及び/又は大きさが所望の極性及び/又は大きさとなるように、該静電気の極性と電圧とに基づいて極性と電圧とが設定された電荷を、前記絶縁工程により絶縁された前記成形加工具の少なくとも前記接触部分に対して、該不導体製品に静電気が発生せしめられる前から印加して、該成形加工具の接触部分を蓄電させる蓄電工程と、
    該蓄電工程が行われている間は、前記成形加工具の少なくとも前記接触部分に蓄電せしめられた電荷を放出するために該成形加工具に接続されたアース手段を非接地状態とする一方、該蓄電工程の終了後には、該アース手段を接地状態に切り換える工程と、
    を含むことを特徴とする、不導体製品における表面電位の制御方法。
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