JP4368448B2 - 自転車と自転車用の前輪サスペンション装置 - Google Patents

自転車と自転車用の前輪サスペンション装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自転車と自転車用の前輪のサスペンション装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
モウルトン社製の自転車は1962年の発売以来、すべて「フルサスペンション」すなわち両方の車輪用のサスペンションを有する。そのような車輪は、直径が一般的に16又は18インチで、例えば20インチを越えるものはめったに無い。
【0003】
最近登場したオフロード用のいわゆるマウンテンバイクは、現在普及している自転車用に対するサスペンションの必要性に光を当てた。使用されているフロントサスペンションの最も一般的なタイプは、二本の伸縮形の、或いは摺動フォークであり、標準的なオートバイの技術から概念的に得られたものであるが、これはその後逆に、今世紀の初めから1950年代までのオートバイに使われていたガーダータイプに取って代わることになった。伸縮形のフォークは、外観において均整がとれている一方で、その摺動する作用表面はフォークの脚部(レグ)内部にあり、また油圧ダンパーもレグに収容されたものであり得る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、自転車に使用する場合に伸縮形のフォークは、動くレグを連接する補強部品を必要とする欠点がある。これは特にオートバイのものとは対照的に、標準的な自転車ではハブ主軸の剛性が不足するためである。また基本的な伸縮形のフォークサスペンションは、ブレーキング時に突っ込む固有の傾向がある。なぜならば回転の中心が瞬間的にリアに対して低くなるためである。また、自転車用の標準的な伸縮形のフォークは、著しい重量増加を伴う。
【0005】
従来の前輪サスペンション装置において、英国特許第2 130 983号の伸縮形の装置は、前輪の上下動に大きな摩擦性の抵抗を被る。本発明の目的は、いかなる摩擦もない、より容易なばねを実現することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
広く言えば、本発明は自転車の前輪用サスペンション装置を提供するものであり、そこでは自転車のステアリングコラムに対して上下両方向における前輪の動きは、多数のブッシュ装置によって支持される。ブッシュ装置は、それぞれが少なくとも一つのゴムスリーブから成り、このゴムスリーブは前輪がステアリングコラムに対して上方向に動く時、ねじり剪断でもって弾性的に屈曲する。
【0007】
ひとつの好適な形態において、自転車の前輪用のサスペンションは、ハンドルが上に設けられ、且つ自転車のフレームのヘッドパイプ内部に、回転するために周知の方法で支持されるステアリングコラムから成る。このサスペンションは更にフォーク構造を含み、これはその下端に前輪の主軸を装着する。またフォーク構造は、ステアリングコラムの前方にこれと平行に、上方へと延びている。フォーク構造の上部領域は、ヘッドパイプから上方向に突出するステアリングコラムの領域にピボット結合している。前記ピボット結合は、ゴムスリーブを有する少なくとも一つの結合型ゴム/金属ねじり剪断ばねを含み、このゴムスリーブは前輪がステアリングコラムに対して上昇する時、剪断を受けて弾性的に屈曲する。
【0008】
好適には、ステアリングコラムはまた、ヘッドパイプから下方に突出し、且つ前記フォーク構造の中間の領域が、ステアリングコラムのそのような下方に突出する部分にピボット結合される。この第二のピボット結合は、やはりゴムスリーブを有する少なくとも一つの結合型ゴム/金属ねじり剪断ばねを含み、このゴムスリーブは前輪がステアリングコラムに対して上昇する時、剪断を受けて弾性的に屈曲する。
【0009】
これらのピボット結合は、前記フォーク構造を制約する手段を構成する先行リンクである。その結果、ハンドル操作時に、フォーク構造はステアリングコラムの回転軸を中心として一体として回転する。そしてリンク及びゴムブッシュは、前輪が路面の凹凸により上下動する際、ステアリングコラムの前方でフォーク構造が上下動することを可能とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明により提供される自転車のフロントサスペンション装置について、添付図面を参照して、例示的により詳細に説明する。
【0011】
図示の実施態様において、自転車の前輪用サスペンションは、ハンドル11が上に設けられ、且つ自転車のフレームの構造上の一部を構成するヘッドパイプ12の内部で、回転するように周知の仕方で上部玉軸受けアセンブリ8及び下部玉軸受けアセンブリ9によって支持されるステアリングコラム10から成る。このサスペンションは更に、下端に前輪15の主軸14を装着するフォーク構造13を含んでいる。
【0012】
フォーク構造13は、二本のレグを一緒に接合して形成され、且つヘッドパイプ12の内部で回転可能なステアリングコラム10の前方でこれと平行に、上方向へと延びている。
【0013】
フォーク構造13の上部領域は、ヘッドパイプ12から上方向に突出するステアリングコラム10の領域にピボット結合されている。このピボット結合は、ゴムスリーブを有する少なくとも一つの結合型ゴム/金属ねじり剪断ばねを含み、ゴムスリーブは車輪を支持するフォーク構造13がステアリングコラム10に対して上昇する時、ねじり剪断を受けて弾性的に屈曲する。
【0014】
ステアリングコラム10はまた、ヘッドパイプ12から下方に突出し、且つ前記フォーク構造13の中間の領域は、ステアリングコラムのこの下方に突出する部分にピボット結合している。この第二の、下部のピボット結合もまた、ゴムスリーブを有する少なくとも一つの結合型ゴム/金属ねじり剪断ばねを含み、前輪がステアリングコラムに対して上昇する時、ゴムスリーブが、ねじり剪断を受けて弾性的に屈曲するようになっている。
【0015】
前記上部及び下部のピボット結合は、前記フォーク構造13を制約する手段を構成する上部先行リンク対16及び下部先行リンク対17によって行われている。その結果、ハンドル操作時に、フォーク構造13はステアリングコラム10の回転軸を中心として一体として回転する。そしてリンク及びゴムブッシュは、前輪15が路面の凹凸により上下動する時、ステアリングコラム10の前方でフォーク構造13が上下動することを可能とする。
【0016】
上部及び下部リンク16,17のそれぞれは、横方向に配置された、前部及び後部のゴムねじりブッシュ18,19の間を延びる。前部ブッシュ18はフォーク構造13の前方に配置され、これに対し後部ブッシュ19はステアリングコラム10の後部に配置される。上下の前部ブッシュ18の間の垂直方向間隔は、上下の後部ブッシュ19の間の対応する間隔より長い。その結果、リンク16と17の線を後方に伸ばすと、二つの線は自転車の後輪20の主軸の上の点で架空に交差する。
【0017】
好適には、図2に示されるように、上部先行リンクアセンブリ16と下部先行リンクアセンブリ17の各々は、直列に作用する二つのゴムねじりブッシュを含み、各リンクの前部ブッシュと後部ブッシュの内部の軸は結合されて四辺形のブレスレットになる。
【0018】
一つのブッシュをより大きく詳細に示す図4からわかるように、それぞれのブッシュは内側の円筒形金属シェル52とやはり金属製の一対の外側ハーフシェル53,54との間に結合された円筒形のゴム体51から成る。最初にハーフシェル53,54は隙間によって隔てられている。しかしこの隙間は、外側のハーフシェルを包む巻締めバンド55によって、ゴム体51を前もって圧縮するために閉じることができる。ナットとボルトの締め付けアセンブリ56の締め付けによって、巻締めバンド55がハーフシェルをクランプし、内部のゴム上にこれらを押しつけるように圧力を作用させることができ、スペーサブロック57が過度の締め付けを防止する。巻締めバンド55はほぼU形でボルト穴58を有し、それによって状況に応じてステアリングコラム10またはフォーク構造13に固定可能である。
【0019】
上部先行リンクアセンブリ16及び下部先行リンクアセンブリ17から成るリンクは、内側のシェル52を貫通するシャフト50と結合され、又はそれと一体化され、例えばキー50Aによって相対的な回転に対して固定されているまたはスプラインを用いて、相対的な回転を防止してもよい。リンク16及び17は、前部ブッシュ18及び後部ブッシュ19の2本の軸50を相互に接続する。
【0020】
締め付けアセンブリ56を固く締めると、ブッシュの外側のシェル53,54は、巻締めバンド55に対して回転に逆らって保持される。そして、これらの巻締めバンド55は、図2に示される前部ブッシュ18及び後部ブッシュ19を、一方のブッシュ19はステアリングコラム10へ、他方のブッシュ18はフォーク構造13の2本のレグへと固定する。これらの管状のレグは、レグの基部で前輪の主軸を保持している。
【0021】
従って、巻締めバンド55を介する同等の曲げモーメントによって、シェル53,54からのねじり力(トルク)の反作用は取り去られる。すなわち一方の曲げモーメントはステアリングコラム10に、もう一方の曲げモーメントはフォーク構造13に作用する。図2及び図3に示される構成においては、実際上二つの同様なゴムブッシュ付きの先行リンクブレスレットがあり、その一方の先行リンク16はステアリングコラム10の頭部とフォーク管構造13の頭部の間に固定され、他方の先行リンク17はステアリングコラム10の基部と前輪15のすぐ上のフォーク管構造13の中間部との間に固定されている。
【0022】
ステアリングコラム10は、頭部と底部に従来の軸受け、すなわちヘッドレース8,9を有する。それらは、ヘッドパイプ12を介して通常の方法で、車輪の跳ね荷重(sprung wheel losds)をフレームで受ける。
【0023】
ステアリング即ち案内機能は、たまにオートバイに見受けられる「ガーダー・フォーク」のような仕方で、これらの二つのゴムブッシュ付き先行リンクブレスレット16,17を介して成し遂げられる。しかしそのオートバイの方法との本質的な違いは、リンクの軸受けに潤滑が必要でなく、またガタが生じないことである。更に、これらのゴムブッシュの寄生剛性は極めて高く、例えば、自転車のサスペンションに適当な小さなサイズでも半径方向に10.7×104 kg/m(6000 lb/in)を越える。従って、案内機能の一体性は十分に達成される。すなわち、いかなる片側負荷状況のもとでも所期の平面に車輪を維持するために、フォーク構造13とステアリングコラム10は所要の平行関係に維持される。
【0024】
自転車に乗る人の体重の変化の範囲は広く、また自転車の乗り方も好みで大きく異なる。常にサスペンションの恩恵を享受するために、これらの変化に応える調節手段を有することが好適である。本発明の新しい概念についての好ましい選択肢は、前輪のゴムブッシュからの主たるライドレイト(ride rate)を低く例えば894〜1072kg/m(50〜60 lb/in)にすることである。この低いレイトは、補助的なエラストマーばねによって徐々に増加させられ、そこで、車輪の行程係合点を調節することができる。この補助的なばね(図示せず)の都合の良い位置はステアリングコラムの底部であり、且つこの位置に前方へ突出するブラケットを設けることができる。ステアリングコラムに取り付けられたこのブラケットは、フォーク構造13の二本のフォークレグの間に伸長し、フォークレグにまたがるクラウンに係合する、手動調節できるゴムの受け、或いは踊り押さえを装着する。この受けは、ブラケットに対してネジで着脱され、クラウンに当接する軟らかいゴムクッションである踊り押さえを上下させることが可能である。この装置では、補助的なゴムばねによって提供される追加の抵抗力を乗り手のニーズに合うよう調節できる。
【0025】
跳ね返りの制御は、下端でフォーク構造13に取り付けられ、上方に伸長するケーブル又はストラップによって実現できる。その上方端は、ステアリングコラムに固定されているブラケットと選択的に係合できる。この作用点は手動のねじ調整器から成ることができ、有効な長さを変えて、好みに応じてサスペンションの下向きの、即ち跳ね返りの動きを制限できる。このねじ調節器は、上述した補助的なゴムばねの高さを調節するために使用されるのと同じ部品であっても良い。速動性の解放レバもまた装着できる。
【0026】
リンク16,17は、後部ブッシュ19から容易に、好適にはそれぞれのブッシュの一本のボルト61を外すことで取り外し可能なように、設計されるのが好適である。この様にして、前輪をフォーク構造13と一緒に一つのユニットとして、自転車の残りの部分から容易に分離することができる。
【0027】
別の構成では図3に示されるように、それぞれのリンクを二つの部品に分離できる。その前部と後部は伸縮スリーブ62によって一緒に接続され、各々のスリーブ62には、締め付けボルト63が装着される。
【0028】
リンク16,17は好適には、関連したゴムねじりブッシュ51の前部と後部へと、ブッシュに対するリンクの角度の調整を可能とする仕方で接続される。設定と乗車位置が得られたならばそのような調整の後に確実な締め付け固定が行われれる。
【0029】
以上を要するに、二輪車の自転車の前輪用のサスペンション装置は、ハンドルが上に設けられ、且つ自転車のフレームのヘッドパイプ内部に回転するために周知の方法で支持されるステアリングコラムと、下端において前輪の主軸を装着するフォーク構造とから成る。フォーク構造はステアリングコラムの前方に離間してこれと平行に上方へと延び、ハンドル操作時にステアリングコラムの回転軸を中心として一体として回転するようフォーク構造を制約する手段を含む。フォーク構造の上部領域が、ヘッドパイプから上方向に突出するステアリングコラムの領域にピボット結合され、前記ピボット結合が第一に、それぞれが自転車の各側に対するものである一対のリンクを含み、第二に、少なくとも一つの円筒形のゴムブッシュを有する少なくとも一つの結合型ゴム/金属ねじり剪断ばねを含み、そのゴムブッシュが、前輪のステアリングコラムに対する上昇時に剪断を受けて弾性的に屈曲する。更に、フォーク構造が、前輪の最上部の平面のすぐ上の領域で、フレームパイプから下方向に伸長しているステアリングコラムの領域にピボット結合され、前記ピボット結合が第一に、それぞれが自転車の各側に対するものである一対のリンクを含み、第二に、円筒形のゴムブッシュを有する少なくとも一つの結合型ゴム/金属ねじり剪断ばねを含み、そのゴムブッシュが、前輪のステアリングコラムに対する上昇時に剪断を受けて弾性的に屈曲する。好適には、装置によって、ステアリングコラムがフォーク構造にピボット結合され、装置がゴムブッシュアセンブリからそれぞれ成る四つの前記剪断ばねから成り、ステアリングコラムに対する前輪の上昇時にゴムブッシュのすべてが平行に屈曲する。又好適には、それぞれのゴムブッシュが、内側と外側の金属スリーブ間に結合された円筒形のゴム体から成り、金属スリーブの一方の他方に対する回転時に、ゴム体がねじり剪断でもって弾性的に屈曲する。
【0030】
【発明の効果】
本発明により、自転車の前輪用の伸縮形のサスペンション装置に代わる、ゴム/金属のねじり剪断ばねを使用したサスペンション装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフロントサスペンションを有する自転車の側面図である。
【図2】本発明のフロントサスペンションの拡大側面図である。
【図3】二つのねじり剪断ばねが組み込まれている対の先行リンクアセンブリの一例の平面図である。
【図4】図3のIV−IV線で取った断面の拡大詳細図である。
【符号の説明】
10 ステアリングコラム
11 ハンドル
12 ヘッドパイプ
13 フォーク管構造
14 主軸
15 前輪
16,17 先行リンク
18,19 ゴムねじりブッシュ
51 ゴム体

Claims (4)

  1. 二輪車の自転車の前輪用のサスペンション装置であって、ハンドルが上に設けられ、且つ前記自転車のフレームのヘッドパイプの内部で回転するように支持されるステアリングコラムと、下端において前記前輪の主軸を装着するフォーク構造とから成り、
    前記フォーク構造が前記ステアリングコラムの前方に離間してこれと平行に上方へと延び、ハンドル操作時に前記ステアリングコラムの回転軸を中心として一体として回転するよう前記フォーク構造を制約する手段を含み、
    前記フォーク構造の上部領域が、前記ヘッドパイプから上方向に突出する前記ステアリングコラムの領域にピボット結合され、前記ピボット結合が第一に、それぞれが前記ステアリングコラムと前記フォーク構造にわたって互いに対向する一対のリンクを含み、第二に、少なくとも一つの円筒形のゴムブッシュを有する少なくとも一つの
    を含み、前記ゴムブッシュが、前記前輪の前記ステアリングコラムに対する上昇時に剪断を受けて弾性的に屈曲し、
    前記フォーク構造が、前記前輪のすぐ上の前記フォーク構造の中間部で、フレームパイプから下方向に伸長している前記ステアリングコラムの領域にピボット結合され、前記ピボット結合が第一に、それぞれが前記ステアリングコラムと前記フォーク構造にわたって互いに対向する一対のリンクを含み、第二に、円筒形のゴムブッシュを有する少なくとも一つのゴム及び金属結合型ねじり剪断ばねを含み、前記ゴムブッシュが、前記前輪の前記ステアリングコラムに対する上昇時に剪断を受けて弾性的に屈曲する、自転車の前輪用のサスペンション装置。
  2. 前記ステアリングコラムの前記フォーク構造に対するピボット結合が、前記ステアリングコラムに対する前記前輪の上昇時に、すべてが同時に屈曲するゴムブッシュからそれぞれ成る四つの前記剪断ばねから成る、請求項1の自転車の前輪用のサスペンション装置。
  3. それぞれのゴムブッシュが、内側と外側の金属スリーブ間に結合された円筒形のゴム体から成り、前記金属スリーブの一方の他方に対する回転時に前記ゴム体がねじり剪断でもって弾性的に屈曲する、請求項2の自転車の前輪用のサスペンション装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の自転車の前輪用のサスペンション装置を備えてなる自転車。
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