JP4367170B2 - 検量線移植方法 - Google Patents

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本発明は、近赤外線分光分析計の検量線作成に関し、類似するサンプル間での検量線の移植方法に関するものである。
例えば、ポリプロピレンーポリエチレンポリマ(PP−PE共重合体)のエチレン濃度測定は、その機械的強度を管理するための重要な指標である。殊にその製造工程では省エネルギー、品質管理向上のため銘柄の変更をリアルタイムでモニターすることが切望されている。溶融ポリマ測定は上記のような要求を満たすことが期待でき、種々の検討が行われている。
製造工程では、多くの銘柄が頻繁に変更されるのでランダムとブロックで共通の検量線が使用できると都合がよい。ランダムとブロックの検量線を作成するために、それぞれ別々にサンプルを集め検量線を作成することは多大の労力を必要とする。
ランダムの検量線をブロックで使用したり、逆のことが出来れば検量線作成の労力を削減することが可能になる。
近赤外線分光分析装置を用いて検量線の作成作業時間を短縮して作業量を減らしたり、
石炭成分分析装置センサー間の器差補正に好適な標準板及び基準となる石炭成分分析装置センサーの検量線を他の石炭成分分析装置センサーでも使用できるようにした標準板を用いた器差補正方法に関する先行技術として、例えば下記のようなものがある。
特開平7−159312号公報 特開2000−215189号公報
ところで、近赤外線を用いた分光分析には、ケモメトリックスと呼ばれる多変量解析の手法を利用し検量線を作成することが多い。しかしながら、このような手法は統計的な手法を用いるため、多量のサンプルを必要とし、検量線の作成に多くの時間が必要である。
従来検量線移植方法としては大きく分けて3種類のものが知られている。
第1の方法はバイアス/スロープ法と呼ばれ、縦軸に予測値、横軸に標準値をとり、y=abの直線がy’=a’となるように調整するものである。
第2の方法はスペクトル変換法と呼ばれるもので、縦軸に吸光度、横軸に波長(波数)をとってスペクトルを変換するものである。
また、第3の方法は検量線モデル変換法と呼ばれるもので、
y=a+a+a・・・aの式を
y=a’+a’x+a’x・・・a’xの式に変換するものである。
しかしながら、第1のバイアス/スロープ法は実用的な方法であるが、バイアス/スロープを用いるためには統計的な検定が必要であり、又スペクトル情報を変換できないという欠点がある。
第2の方法はいくつかの標準物質のスペクトルを基準分光器と被検量線移植分光器でとりそれぞれスペクトルセットを作成し、特異値分解した後にスペクトル変換マトリックスを計算する。このような方法をランダム/ブロックPPの検量線移植に採用すると正確に検量線の移植が可能であるが,ランダム/ブロックPPともに同じラボ値を持つサンプルが同じ数だけ必要になり、スペクトルは残るが現実的ではない。
第3の方法は単なるモデル変換なのでスペクトルは残らない。
このような従来技術は機器間の検量線移植技術であり、サンプル間を考慮したものではなかった。
従って本発明が解決しようとする課題は、ランダムPPとブロックPPのスペクトル変換を行うことによりランダム/ブロックサンプル間の検量線移植のための現実的な方法を提供することにある。
このような課題を解決するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、下記の工程により検量線を移植することを特徴とする。
1.サンプルに含まれる測定対象の濃度値とスペクトルセットが既知の第1サンプルから検量線を作成する工程と、
2.第1サンプルの検量線レンジに入っている第2サンプルのうちの一つをスペクトル変換用サンプルスペクトルとして選定する工程と、
3.第1サンプルの検量線データから前記変換用サンプルスペクトルの測定対象の濃度近傍にある濃度の2つのスペクトルから前記変換用サンプルスペクトルと同じ濃度の第1サンプルスペクトルを作成する工程と、
4.前記変換用サンプルスペクトルと同じ測定対象の濃度をもつ前記第1サンプルのスペクトルの差スペクトルを取る工程と、
5.前記差スペクトルから単位濃度あたりの差スペクトルに換算する工程と、
6.第1サンプルのスペクトルセットに前記単位濃度あたりの差スペクトルから算出されたそれぞれの測定対象の濃度に応じた差スペクトルを加えて新しい第2サンプルのスペクトルセットを作成する工程と、
7.新しい第2サンプルのスペクトルセットを使用して第2サンプルの検量線を作成する工程。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の検量線移植方法において、
第1,第2サンプルはポリプロピレンとポリエチレンの共重合体であることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載の検量線移植方法において、
第1サンプルはポリプロピレンとポリエチレンがランダム状に配列した共重合体であり、第2サンプルはポリプロピレンとポリエチレンのブロック状に配列した共重合体であることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項2又は3に記載の検量線移植方法において、
ポリプロピレンとポリエチレンの混合比率は10%以下であることを特徴とする。
本発明によれば次のような効果がある。
請求項1に記載の発明によれば、
サンプルに含まれる測定対象の値とスペクトルセットが既知の第1サンプルから検量線を作成し、第1サンプルの検量線レンジに入っている第2サンプルのうちの一つをスペクトルを変換用サンプルスペクトルとして選定し、第1サンプルの検量線データから前記変換用サンプルスペクトルの測定対象の濃度近傍にある濃度の2つのスペクトルから前記変換用サンプルスペクトルと同じ濃度の第1サンプルスペクトルを作成し、前記変換用サンプルスペクトルと同じ測定対象の濃度をもつ前記第1サンプルのスペクトルの差スペクトルを取り、前記差スペクトルから単位濃度あたりの差スペクトルに換算し、第1サンプルのスペクトルセットに前記単位濃度あたりの差スペクトルから算出されたそれぞれの測定対象の濃度に応じた差スペクトルを加えて新しい第2サンプルのスペクトルセットを作成し、新しい第2サンプルのスペクトルセットを使用して第2サンプルの検量線を作成するので、類似するサンプル間での検量線の移植が可能となり、多くのサンプルを使用して検量線を作成する工程を省くことができ簡単に検量線の作成を行うことができる。
請求項2乃至4記載の発明では、第1,第2サンプルはポリプロピレンとポリエチレンの共重合体を用い、第1サンプルはポリプロピレンとポリエチレンがランダム状に配列した共重合体とし、第2サンプルはポリプロピレンとポリエチレンのブロック状に配列した共重合体としてポリプロピレンとポリエチレンの混合比率を10%以下としたので、良好な検量線の移植が可能である。
はじめに本発明の実施例として用いたポリプロピレンとポリエチレンが溶融したPP−PE共重合体のエチレン(C2)について簡単に説明する。ポリプロピレンとポリエチレンの化学式は図21のようになっている。
図21に示すポリプロピレン(PP)にポリエチレン(PE)を入れて材質を調整することがある。その場合、構造上からランダムポリエチレンとブロックポリエチレンとに大別される。
即ち、ランダムポリエチレン(ポリプロピレン中のエチレンの配列がランダム)は
PP−PE−PP−PE−PE−PP−PP・・・のような配列となり、ブロックポリエチレン(ポリプロピレン中のエチレンの配列がブロックとして存在する)は
PP−PP−PP−PP−PE−PE−PE−PE−PP−PP・・・のような配列となる。
図1は本発明に用いた溶融ポリマシステムを示すものである。図1において、分光器制御手段1で分光器2が駆動され、この分光器2から出射した光はファイバ3a,プローブ4aを通って測定セル5へ導かれる。測定セル5へ導かれた光は測定セル5内でノズル6を介して供給される溶融サンプル7を透過し、特定の波長が吸収される。その後光は光プローブ4b,光ファイバ3bを通って検出器8へ導かれる。そして、検出器8で電気信号に変換されて分光器制御手段1でデジタル信号に変換され、データ収集・モニタリング機能を有するパソコン9でスペクトルに変換される。なお、溶融サンプル7は温度測定手段10により測定されて温度管理されている。
図2は本発明の実験に用いたポリプロピレンとエチレンの溶融サンプルで、共重合ランダムポリプロピレン(以下、RPPという)8種類、ブロックポリプロピレン(以下BPPという)10種とホモポリマー(以下、HPPという)1種を示すものである。図に示すように、実験では比較的低濃度でのエチレン濃度7.7%までのPP−PE共重合体をサンプルとして使用した。
図3(a),(b)および図4(a),(b)に溶融ポリプロピレンの近赤外スペクトル例を示す。図において、横軸は波長を示し、縦軸は吸光度(光の吸収度合い)を表している。図3(a),図4(a)は生のスペクトルすなわち何もない状態を100とし、サンプルを透過して出てきた光量と比率をとりLOGで表した吸光度を縦軸にしたもの(スペクトル)であり、このスペクトルを2次微分したものが図3(b),図4(b)である。図3(b),図4(b)に示すように2次微分をするとピークは小さくなり、ピークの位置が下(マイナス)になり、ピークが鋭くなるので位置を見つけやすくなる。
図5は代表的なスペクトルの帰属例を示し、共振周波数(この場合は波長)を表している。Cはカーボン、Hは水素を示す。CとHがバネで結合されて光が当たると特定波長(周波数)で共振すると考える。この時に基本の周波数がありその倍音(First Overtone)、2倍音(Second Overtone)をそれぞれCH、2CHで表している。
図5に示すスペクトルの帰属からCH伸縮1倍音域(6437−4705cm−1)、CH結合音とCH伸縮2倍音域とCH伸縮2倍音域(9199−7559cm−1)を使用し検討と解析を行った。又前処理としてMean Center及びベースライン補正、1次微分、2次微分を使用し比較を行った。
図6は検量線作成結果を示している。ここで、検量線を作成するときはデータを全て平均したスペクトルを作成し、データから引いた値を統計処理している。この平均スペクトルを引く過程をMean Centerと呼んでいる。
ランダム/ブロックを一緒にして作成した検量線では、SECVがランダム/ブロックを個々に作成した場合に比較して大きいことがわかる。ランダム/ブロックを一緒にして作成した検量線では、SECVが最小で0.39(図6のNO.23参照)に対し、ランダム/ブロック別々に作成した検量線ではSEVが改善されランダム(0−4.3%)で0.1%(図6のNO.17参照)、ブロック(0−7.7%)で0.3%(図6のNO.7参照)となった。
ここでRはランダム、Bはブロックを示し、1は1倍音域、2は2倍音域を示している。N2は2倍音域と1倍音域との中間領域(結合音領域と呼ぶ)を示しており、1dは1次微分、2dは2次微分、rは微分しないことを表示している。
CH伸縮1倍音域使用の検量線は、他の領域使用の検量線に比べて少しSECVが悪い。これは5900cm−1付近の吸光度が約3Abs高い(パス長8mm)ことに起因していると考えられる(図3,図4参照)。
図6からランダム&ブロック、ランダム、ブロックそれぞれの検量線でSECVが相対的に良い結果を示しているのは、No.7,No.16,No.25の波長域(9200〜6440cm−1)なのでCH結合音/CH伸縮2倍音域を使用し、ベースライン補正を行ったスペクトルを使用して以後の解析を行った。
CH結合音/CH伸縮2倍音域の検量線作成結果を図7(a,b)に示す。図7aはランダムブロックのサンプルを使用して検量線作成を行った結果(図6、R&BN2−r・・・No.25に対応)で、図7bはランダムブロック別々に検量線を作成した結果(図6、RN2−r,BN2−r・・・No.7,No.16に対応)である。ランダム、ブロック共通の検量線SEPは、別々に作成した検量線に比べて悪い結果となっている。
先に述べたようにランダムとブロックで共通の検量線が作成できると実用上都合がよい。ランダムPPのサンプルから作成した検量線(RN2−r)でブロックサンプルを予測した例を図8aに、ブロックPPサンプルを使用して作成した検量線(BN2−r)でランダムPPサンプルを予測した例を図8bに示す。
これらの結果はばらつきが大きくランダムPPとブロックPPで同じ検量線が使用できないことを示している。
ランダムとブロックでどのような差があるか調べるためにランダムブロックサンプルを使用した検量線(R&BN2−r)のスコアのFactor分析を行った。
ここで、図9を用いて相関関数とSECV,SECおよびラボ値と予測値の関係について簡単に説明する。図9において、横軸はラボ値(他の手法で測定した基準となる値)であり、縦軸は予測値でスペクトルから予測した値である。ラボ値に対し予測値のばらつき分布が右上にある山の形で、その標準偏差のことをStandard Errorと呼んでいる。検量線の評価方法によりSECとSECVを使い分けている。
相関関数は、ラボ値と予測値の一致度で完全に合っていれば直線に沿って1となる。
また、検量線を作成した時に作成した検量線を評価する方法として、検量線作成に使用するサンプルが10あるとしたらそのうちいくつか(例えば、1個)を抜いて検量線を作成し、例えば9個のサンプルで検量線を作成し残りの1個のサンプルの値を予測しその精度から検量線の出来具合を見る方法(Cross Validation)がある。
この方法を使用して検量線を評価した指標がSECV(Standard Error of Cross Validation)であり、検量線に使用する全てのデータを使用して上記のような評価をしないで作成した場合単なるバラツキとなりSEC(Standard Error of Calibration)で検量線の出来具合を表わすことができる。
図10にFactor1,2のスコア分析結果を示す。
図10に示すように、Factor1,2のスコアプロットは、ランダム(RPP)とブロック(BPP)で明確に分離できることを示している。
図11(a,b)はランダム、ブロックPP検量線FACTOR1,2のLOADING PLOTを示す図である。ランダム、ブロックでほぼ同じ波長にピークがあることがわかる。
図11に示すLOADING PLOTの解析よりLOADINGのピーク位置、及び谷の位置がCH2、CH3のピーク位置とほぼ同じなのでエチレン濃度はCH2,CH3の吸収が大きく寄与していると思われる。
LOADINGの形状から推定するCH2の吸収に対応するピーク波長位置は、1倍音域で5650cm−1、2倍音域で8250cm−1付近であり(図11a,b参照)、図5の帰属とほぼ一致している。
ブロックの検量線は、0−7.7%、ランダムは0−4.3%とレンジが異なり比較がしにくいのでブロックの0−4.6%の検量線を作成しランダムとの比較を行う。
図12にブロックPPの狭レンジ検量線作成結果を示す。なお、図12中Model NameのBN2−rnのnはnarrowの意味で、0〜4.6の狭い領域を表している。
上述までの結果からFACTOR1,2を検討すればよいことがわかっているので、FACTOR2までの回帰係数を使用してブロック(狭レンジ)とランダムPPを比較してみる。比較結果を図13に示す。同じ波長に重みがかかっているが大きさが異なる。すなわちLOADINGの値が大きい又は小さいところに重みがかかっており、ランダムとブロックでは同じようなエチレン濃度の検量線でも、エチレン濃度によるスペクトルの差が異なることがわかる。
上述したようにケモメトリックスによる分析結果は、エチレン濃度によるスペクトルの変化がランダムとブロックで異なることを示しているので、C2がゼロのホモポリマ(H−PP)を基準にしてほぼ同じエチレン濃度を持つRPP(C2・・・6.7%)、BPP(C2・・・6.8%)スペクトルとそれぞれ差スペクトルを取って比較した。(図14参照)
図14において、差スペクトルの形状は、Factor2までの回帰係数とよく似ており、差スペクトルはPLSのFactor1,2を表していると考えて良い。ランダムとブロックの差スペクトルを比較してみると、明らかに差スペクトルの形状は異なりRPP、BPPで同じようなC2濃度でも吸収ピークの変化が異なることがわかる。これらの事象は、近赤外領域ではランダムとブロックによる大きな波長シフトはなく、エチレン濃度が4%程度ではRPP、BPPでCH3,CH2の吸光係数が異なることを示しているといえる。
即ちここでは、波長のシフトはないが、吸光係数又はスペクトルの強度が異なるサンプルがあると言うことを確認してる。
上記の結果に基づいてランダムブロック間で分光吸光係数を変換することによりスペクトルの変換が可能と判断し、ランダムPPとブロックPPのスペクトル変換を行った。ベールの法則「Beer’s low・・・溶液の吸収に関する法則で、溶液の溶媒が吸収をしない場合に初めIの強さの光が濃度Cの溶液中をlだけ進んだときの光の強さIは
I=Iexp(−rcl)・・・rは吸収常数
この関係を用いて工学的に溶液の濃度を知ることができる」は成り立つと仮定し下記のような手順での変換を行った。
Step1
0〜7.7%用のBPP検量線を作成する。
Step2
Step1の検量線レンジに入っているエチレン濃度が既知のランダムPPのサン プルスペクトル1種を
変換用サンプルスペクトルとして選定し、ブロックPP検量線と同じPre−tr eatment(Mean Center、微分、ベースライン補正等検量線の統 計処理をする前の処理)を行う。
Step3
ブロックPPスペクトルセットからRPP変換サンプルスペクトルのエチレン濃度 近傍にある濃度の2つのRe−constructスペクトルを選ぶ(2つのスペ クトルとして第1サンプル(この場合はBPP)の検量線作成時に得られるRe− constructスペクトルを使用することも可能である。ここでRe−con structスペクトルとはローディングとスコアから再構成されたスペクトルの ことである)。
Step4
変換用サンプルスペクトルと同じエチレン濃度を持つブロックPPスペクトルを
2つの(Re−construct)スペクトルから内挿して作成する(ここで、 内挿するとは、あるデータの中に新しいデータを作ることで、例えば5%と7%の データの中に6%のデータを作る。この場合は5%と6%のスペクトルから足して 2で割って6%を作成するとをいう)。内挿して作成したスペクトルをブロックリ ファレンススペクトルという。
Step5
Step2で選定したブロックPP変換用サンプルスペクトルとブロックリファレ
ンススペクトルの差スペクトルを取り、単位濃度あたりのスペクトルに換算する( 図15参照)。差スペクトルは、同じエチレン濃度のBPPとRPPの差に依存する と見なせるので、この差スペクトルから単位エチレン濃度あたりのBPPとRPPの 差スペクトルを求める。ここで、単位エチレン濃度あたりのBPPとRPPの差スペ クトルは同じ濃度のスペクトル例えば5%のランダム、ブロックのスペクトルの差を 取ってそれを5で割ることにより求めることができる。
Step6
BPPのスペクトルセットにそれぞれのエチレン濃度に応じた差スペクトルを足し
あわせ、新しいRPPのスペクトルセット(エチレン濃度はBPPと同じである。 変換スペクトルセットと呼ぶ)を作成する。新しいRPPのスペクトルセットの作 成は、例えば4.2%のBPPスペクトルがあったら、それに単位エチレンあたり の差スペクトル×4.2として足して求める。
Step7
上記変換スペクトルセットを使用し、RPPの検量線を作成する。
作成した検量線を使用してRPPスペクトルセット(オリジナルと呼ぶ)のエチレン濃度を予測した結果を図16aに示す。ブロックスペクトルから得た検量線BN2−rを使用したランダムサンプルの予測結果(図8b)と比較すると効果が判る。
図16aは、広いレンジ0〜7.7%で作成した検量線(Tr−1)をランダムPPエチレン濃度に当てはめたが、レンジを狭くして(0〜4.6%)作成した検量線(Tr−2)を使用して予測した結果を図16bに示す。よりよい結果になっている。
予測結果はラボ値と良い相関を示し、ランダムPPスペクトルからBPPへスペクトルセットが変換できたことを示している。実用的な方法として知られている最小最大予測値にゼロスパン調を施すバイアス/スロープ法を図8aのデータに適用した例を図17に示す。この例ではバイアス/スロープ法に比べ新しい変換法は良い相関を示している。上記の方法を逆にランダムPPスペクトルを使用してブロックPPスペクトルに変換しブロックスペクトルのエチレン濃度値を予測してみた。図18にその結果を示す。
ランダムPPのスペクトルのエチレン濃度は最大で4.4%であり、ブロックPPの低濃度ではよく変換が出来ていることを示している。0〜4%レンジで変換したスペクトルはレンジを超える(外挿)ところでは誤差が大きくなり、この方法は内挿でのみ有効であることを示している。上記のような手順で変換したスペクトルはブロックのスペクトルセットとホモポリマー及び一つのランダムPPからえられたランダムPPの検量線は、ランダムPPのエチレン濃度を精度良く予測する(又は逆も)ことが可能であり、このような手法が有効であることがわかる。
図19は検量線の作成結果を示し、図20はその検量線の予測結果を示している。
即ち、図19は、BPP(RPP)スペクトルから変換した疑似RPP(BPP)スペクトルから作成した検量線の結果を示し、図20は、図19で示した検量線を使用してRPP(BPP)のエチレン濃度を予測した結果である。
上述のように、ランダムPP、ブロックPPともにエチレン濃度は良好に測定可能であるが共通の検量線は精度が落ちる。ケモメトリックスによる解析結果は、ランダムPP、ブロックPPともにCH2の吸収に相当する吸収帯が大きな意味を持っていることを示しているRPPとBPPでは、吸光係数が異なりそのままではよい精度の検量線が期待できない、又は主成分数が大きくなりオーバフィッティングの危険性が出てくる。
しかし差スペクトルを利用したスペクトル変換によりホモポリマー及び一つのブロックPPを使用してRPPスペクトルセットをBPPスペクトルに変換することができる。
その結果はRPPとBPPの間では、大きなサンプルセットを用いずに検量線の変換が出来ることを示している。
本発明によるスペクトル変換の手法は、サンプルによって使用できる範囲が制限されるが、ランダムPPとブロックPPなどの場合の検量線移植が可能である。
また化学成分がわずかに異なり母集団がクラスタを形成しているような場合に、スペクトルを変換してクラスターを解除するようなことも可能である。
なお、以上の説明は、本発明の説明および例示を目的として特定の好適な実施例を示したに過ぎない。本実施例ではポリプロピレン(PP)について説明したが、サンプル間で大きな波長シフトがなく差スペクトルでの変換が可能なサンプルについては、差スペクトルを取って、測定対象のスペクトル間を内挿して新しいスペクトルを作成することが可能である。従って本発明は、上記実施例に限定されることなく、その本質から逸脱しない範囲で更に多くの変更、変形を含むものである。
本発明に用いた溶融ポリマシステムを示す図である。 本発明の実験に用いたポリプロピレンとエチレンの溶融サンプルを示す図である。 溶融ポリプロピレンの近赤外スペクトル例を示す図である 溶融ポリプロピレンの近赤外スペクトル例を示す図である 代表的なスペクトルの帰属例を示す図である。 検量線作成結果を示す図である。 CH結合音/CH伸縮2倍音域の検量線作成結果を示す図である。 ランダムPPのサンプルから作成した検量線でブロックサンプルを予測した例(a)とブロックPPサンプルを使用して作成した検量線でランダムPPサンプルを予測した例(b)を示す図である。 相関関数とSECV,SECおよびラボ値と予測値の関係を示す図である。 Factor1,2のスコア分析結果を示す図である。 ランダム、ブロックPP検量線FACTOR1,2のLOADING PLOTを示す図である。 ブロックPPの狭レンジ検量線作成結果を示す図である。 FACTOR2までの回帰係数を使用してブロック(狭レンジ)とランダムPPを比較した結果を示す図である。 C2がゼロのホモポリマを基準にしてほぼ同じエチレン濃度を持つRPP、BPPスペクトルとそれぞれ差スペクトルを取って比較した図である。 ブロックPP変換用サンプルスペクトルとランダムリファレンススペクトルの差スペクトルを取り、単位濃度あたりのスペクトルを得た状態を示す図である。 BPPから変換した擬似RPPスペクトルから作成した検量線を使用してRPPスペクトルセットのエチレン濃度を予測した結果を示す図である。 最小最大予測値にゼロスパン調を施すバイアススロープ法を図8aのデータに適用した例を示す図である。 ランダムPPスペクトルを使用して擬似BPPスペクトルに変換しブロックスペクトルのエチレン濃度値を予測した結果を示す図である。 検量線を使用してBPP(RPP)スペクトルから変換した疑似RPP(BPP)スペクトルから作成した検量線の結果を示す図である。 図19で示した検量線を使用してRPP、及びBPPのエチレン濃度を予測した結果を示す図である。 ポリプロピレンとポリエチレンの化学式を示す図である。
符号の説明
1 分光器制御手段
2 分光器
3 光ファイバ
4 プローブ
5 測定セル
6 ノズル
7 溶融ポリマ
9 検出器
10 パソコン


























Claims (4)

  1. 下記の工程により検量線を移植することを特徴とする検量線移植方法。
    1.サンプルに含まれる測定対象の濃度値とスペクトルセットが既知の第1サンプルから検量線を作成する工程と、
    2.第1サンプルの検量線レンジに入っている第2サンプルのうちの一つをスペクトル変換用サンプルスペクトルとして選定する工程と、
    3.第1サンプルの検量線データから前記変換用サンプルスペクトルの測定対象の濃度近傍にある濃度の2つのスペクトルから前記変換用サンプルスペクトルと同じ濃度の第1サンプルスペクトルを作成する工程と、
    4.前記変換用サンプルスペクトルと同じ測定対象の濃度をもつ前記第1サンプルのスペクトルの差スペクトルを取る工程と、
    5.前記差スペクトルから単位濃度あたりの差スペクトルに換算する工程と、
    6.第1サンプルのスペクトルセットに前記単位濃度あたりの差スペクトルから算出されたそれぞれの測定対象の濃度に応じた差スペクトルを加えて新しい第2サンプルのスペクトルセットを作成する工程と、
    7.新しい第2サンプルのスペクトルセットを使用して第2サンプルの検量線を作成する工程。
  2. 第1,第2サンプルはポリプロピレンとポリエチレンの共重合体であることを特徴とする請求項1記載の検量線移植方法。
  3. 第1サンプルはポリプロピレンとポリエチレンがランダム状に配列した共重合体であり、第2サンプルはポリプロピレンとポリエチレンのブロック状に配列した共重合体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の検量線移植方法。
  4. ポリプロピレンとポリエチレンの混合比率は10%以下であることを特徴とする請求項2又は3に記載の検量線移植方法。
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