JP4365955B2 - フレア率測定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は光学的な測定装置に関し、特にビデオカメラやデジタルスティルカメラ等に好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より銀塩カメラ、ビデオカメラ、デジタルスティルカメラに使われる光学系のフレア率測定法がいくつか提案されている。
【0003】
最も一般的な方法は、銀塩カメラで長い実績をもつ方法で、光学系単体のフレア率を測定するもので、積分球を用いて測定する方法である。この方法は、銀塩カメラ用の撮影レンズに限らず、ビデオカメラ、デジタルスティルカメラ用の撮影レンズのフレア率測定に広く用いられている。
【0004】
また、レーザーのような単色の細光束を用いる方法や、特開平10−62300号公報で開示されているような干渉を用いる方法等も提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら従来のフレア率測定は、基本的に光学系単体のフレア率測定を行うものであるため、ビデオカメラやデジタルスティルカメラのような光学ローパスフィルタ(LPF)、赤外カットフィルタ(IRCF)、撮像素子(CCD等)といった光学要素を含めたトータルのフレア率を評価することはできない。
【0006】
また、軸上光線のみの評価となり、実際的なフレア率と差があり、実写評価との対応取りが難しいという問題がある。従来例の定義ではフレア率は軸上光束への回り込みという非常に狭義な意味に定義され、それ以外はすべて単純にゴーストとして扱っている。しかし実際のデジタルスティルカメラの画質評価においてはそれでは不十分である。デジタルスティルカメラでは、35mmの銀塩フィルムに比べ、1/2インチ〜1/6インチという小さい撮像素子が用いられ、それに伴い小型軽量化がより極度に進められる。例えば、レンズ枚数低減を狙って非球面数を増やすと、研磨ガラスに比べレンズの金型の表面粗さは平均的に粗くまた面内に分布を持ち易いので、軸上フレア率の悪化だけでなく画角特性が生じ易い。さらに、絞りや鏡筒を含む光学系のみならず、LPFやIRCF、CCDと言った素子による影響が加わるため、狭義のゴースト、狭義のフレアの定義にこだわって原因究明と対策をするのははなはだ効率が悪い。特に、本出願人提案の特開平10−39121号公報に示されるような薄型を狙ったプリズムタイプの光学系においては、反射面が全て型を用いたモールド成形で作成されるから上記の表面粗さの問題はもちろん、プリズム内で発生した狭義のゴーストが伝播する間に狭義のフレアに寄与する等の過程があり、それらを総合的に扱わなければ正しい評価と対策は不可能である。
【0007】
さらに、実写評価をするにあたっても、カメラによって撮像素子以降の信号処理、例えばγ補正や自動露出(AE)等の特性が異なるため、光学系単体で測定したフレア率と実写評価との対応を取り、標準的な光学系単体のフレア率許容値を設定することは極めて困難である、という問題がある。実際には、ビデオカメラやデジタルスティルカメラでは、このような光学系単体だけで無いトータルのフレア率に対し信号処理により最適化を行うプロセスがあるのであって、その部分を含まない従来の方法でそれに対応することは現実的に不可能であった。
【0008】
本発明は上記問題点に鑑み、構成的にも、性能的にも、より実際の使用時に近い実質的フレア率を高精度に測定できるフレア率測定装置の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によるフレア率測定装置は、黒色図形と、何れかの色温度で発光する発光部を有し、前記黒色図形と前記発光部がカメラにより焦点が合った状態で撮影されるように配置される白色板と、前記カメラが出力する信号から、前記黒色図形に位置対応した黒色図形信号レベルと、参照レベルと、基準黒信号レベルを検出する検出手段と、前記黒色図形信号レベルと、前記参照レベルと、前記黒信号レベルを基にフレア率を算出する計算手段と、を備え、前記黒色図形信号レベルと、前記参照レベルと、前記基準黒信号レベルは前記カメラの同一の露出条件で測定されることを特徴とする。
【0028】
【発明の実施の形態】
[実施形態1]
本発明の実施形態1を図1に示す。
【0029】
図1において、1は面光源、2は正方形遮光チャート、3はデジタルスティルカメラ、4はパーソナルコンピュータ(以下、「PC」という。)である。デジタルスティルカメラ3とPC4はインタフェース5により接続されている。インタフェース5は、例えば、デジタルインタフェースであり、デジタルスティルカメラ3は、光学系、信号処理系を経た信号をインタフェース5にデジタル信号として出力する。或いは、インタフェース5はアナログインタフェースであり、デジタルスティルカメラ3は、光学系、信号処理系を経た信号をインタフェース5にアナログ信号として出力し、PC4の最前段においては、高帯域、高リニアリティなアナログ系を経た後でA/D変換が行われる。従って、被測定系には、PC4の特性は含まれない。面光源1は縦60cm×横80cmのサイズで、面内の光量分布は±5%以内に均一化されており、色温度も所定値に設定されている。面光源1の表面で、ほぼ中心に配置された正方形の撮影チャート2は5cm×5cmで面光源からの光を遮光している。デジタルスティルカメラ3は面光源1からおおよそ画角いっぱいに面光源1が入る距離に固定され、光軸と面光源1はほぼ垂直におかれている。デジタルスティルカメラ3はピントが面光源1に合焦され、シャッターを押し撮影される。撮影された信号はPC4に送られ、画像が解析される。図1では撮影された静止画の輝度データがPC4のモニター上に表示されている状態を表している。
【0030】
図2(a)はPC4に取り込まれた画像の輝度分布の模式図である。10は面光源1に対応する範囲を示し中央部を除きほぼ一様の明部、中央に正方形遮光チャート2に対応した暗部の正方形11が存在する。
【0031】
図2(b)は上下方向にほぼ中心位置にある水平方向Hの走査線(12で示す)に対応する輝度分布を示す模式図である。PC4において、PC4にPC4のCPU、主記憶装置、外部記憶装置などの資源を用いてインタフェース5より入力された信号を処理して図2(b)に示すような画面を表示させるためのプログラムを実行することにより図2(b)に示すような画面を表示することが可能となる。横軸がデジタルスティルカメラの撮像素子の水平方向Hのアドレス、縦軸が輝度Iを示す。輝度分布14を見ると、撮像チャート2により遮光されてない部分に対応した輝度レベルIwは飽和値をわずかに下回るレベルとなっている。また、基準の暗部IB に対して、本来同輝度となるべき正方形遮光チャートの中心部がIF の輝度レベルまで持ち上がっている。これは撮影系のトータルのフレアによるものである。すなわち、レンズ・鏡筒・絞り・シャッター等からなる撮影光学系、IRCF、LPF、CCD等のすべての構成要素から発生したフレアが、本来光が到達しないはずの撮影チヤートの結像位置に回り込んで、本来の黒レベルIB を持ち上げてしまっているわけである。さらにCCD以降の信号処理部も含んだ波形であるから、γ補正やAE等の特性をもトータルで含んだ真の実質的画像を評価していることになる。例えば、図2(b)〜(e)の波形で立ち上がり、立ち下がり部に見られるリンギングやオーバーシュート、アンダーシュートは、エッジ強調等の信号処理を含めたトータルのHPF特性を反映したものである。
【0032】
従って、この持ち上がったレベルIF はトータルのフレアによるものであり、その差であるIF −IB はトータルのフレアの量を示している。
【0033】
図2(d)は正方形遮光チャート2が無い場合、つまり面光源1のみの全面明部の場合の面光源1の像の、水平走査線12に沿った輝度分布を示す。図2(b)のIF に対応する領域の輝度レベルはIW となる。したがって撮影チャート2が無い場合の光量はIW −IB となる。フレア率としては、この二つの光量の比、
(IF −IB )/(IW −IB )
を定義する。PC4でこの比を計算することによりフレア率を求めることができる。PC4において、PC4にPC4のCPU、主記憶装置、外部記憶装置などの資源を用いてインタフェース5より入力された信号を処理して上式を計算し、その結果を表示装置の画面を表示させたり、外部に接続されるプリンタを用いて印刷させたりするためのプログラムを実行することにより、そのようなことが可能となる。
【0034】
実施形態1によるフレア率を求める方法について説明する。まず、正方形遮光チャート2を配設しない状態の面光源1をカメラ3が焦点が合った状態で撮影できるように、カメラ3の前に置き、このときの正方形遮光チャート2を設置すべき位置の輝度レベルIW及び黒レベルIBの測定をPC4により行う。次に、正方形遮光チャート2を配設した状態の面光源1をカメラ3が焦点が合った状態で撮影できるように、カメラ3の前に置き、このときの正方形遮光チャート2を設置した位置の輝度レベルIFの測定をPC4により行う。このようにして測定されたレベルIW、IB、IFを用いて、
(IF −IB )/(IW −IB )
をPC4により計算する。
【0035】
また同様に、垂直方向Vについても、その輝度分布から同様なフレア率を求めることができる。図2(c)は正方形遮光チャート2が挿入されている場合の左右方向にほぼ中心位置にある垂直方向の画素並びに沿った輝度分布で、同じように本来の黒レベルIB と、中心部の輝度IFが測定できる。図2(e)は正方形遮光チャート11が無い場合の垂直方向の輝度分布を示す模式図で、中心付近の白レベルに対応する輝度レベルはIWである。これより垂直方向のフレア率も同様に(IF −IB )/(IW −IB )と定義され、測定値から計算で求められる。
【0036】
水平方向、垂直方向のフレア率は共に、撮像光学系やフィルタ、CCD、信号処理を含んだトータルの評価となる。
【0037】
このように、本実施形態によれば、構成的にも、性能的にも、より実際の使用時に近い実質的フレア率を高精度に測定できる測定装置の提供が可能になる。
【0038】
[実施形態2]
次に、本発明の実施形態2を図3に示す。
【0039】
実施形態2では、広義の意味でのフレアの画角内の分布を測定することができる。
【0040】
図3(a)はPC4に取り込まれた画像の輝度分布の模式図であり、面光源1上の各チャートの配列を示している。20は面光源1に対応する範囲を示し、中央に撮影チャートに対応した暗部の円23が存在する。実施形態2の中央部のチャートは実施形態1のチャートと形状が異なるだけであるが、実施形態2ではさらに画角の4隅に撮影チャート21、22、24、25を対称的に配置している。
【0041】
図3(b)は対角線26上に沿った輝度分布を示す模式図である。横軸が撮像素子の対角線26上の垂直方向Vのアドレス、縦軸が輝度Iを示す。輝度分布27を見ると基準の暗部IB に対して、本来同輝度となるべきそれぞれの遮光チャートの中心部がIF2、IF3、IF4の輝度レベルまで持ち上がっている。これは撮影系のトータルのフレアによるものであり、その差であるIF2 −IB、IF3 −IB、IF4 −IB、はフレアの量を示している。図は省略するが撮影チャート23が無い場合、つまり面光源1のみの全面明部の場合の面光源1の像の、対角線26の輝度分布のIF に対応する領域の輝度レベルIW を求めれば撮影チャート22、23、24が無い場合の光量IW −IBを計算することができ、撮影チャート22、23、24についてフレア率
(IF2 −IB )/(IW −IB)、
(IF3 −IB )/(IW −IB)、
(IF4 −IB )/(IW −IB)、
をそれぞれ定義できる。
【0042】
画角の隅である21、25にあるチャート部のフレア率も同様に定義できる。また、一つの対角線上の輝度分布を例にとり説明したが、実施形態1と同様に、チャート23のほぼ中心を通る水平・垂直方向ばかりでなく、チャート21及び22の中心を通る水平方向、チャート24及び25の中心を通る水平方向、チャート21及び24の中心を通る垂直方向、チャート22及び25の中心を通る垂直方向のフレア率を測定評価可能である。それらを比較評価することにより、4隅の画角と中心のフレア率の分布を定量化できる。
【0043】
もちろんチャートの配列は実施形態1、2に限定されるものではなく、従来では原理的に軸上の評価しか不可能であったフレア率を全ての画角において評価可能となる。
【0044】
このように、実施形態1、2により、構成的にも、性能的にも、より実際の使用時に近い実質的フレア率を高精度に測定できる測定装置の提供が可能になる。
【0045】
[実施形態3]
次に実施形態3を図4を参照して説明する。
【0046】
実施形態3は実施形態1、2に対し、フレア率測定の精度を向上させた実施形態である。
【0047】
図4(a)はPC4に取り込まれた画像の輝度分布の模式図である。31は面光源1に対応する範囲を示す。32は撮影範囲中央に配置された正方形遮光チャートに対応する正方形暗部であり、33は正方形遮光チャートの水平方向の離れた位置に配置されたリファレンスND(Neutral Density)チャート33に対応する円形暗部、34は垂直方向の離れた位置に配置されたリファレンスNDチャートに対応する円形暗部である。2つのリファレンスNDチャートは同一の透過率をもつNDフィルタから作成されたものである。ビデオカメラ、デジタルスティルカメラの撮影は、適正露出に対しオーバー露出で撮影される。オーバーの割合はリファレンスNDチャートに合わせ、絞りで1段から2段のオーバー露出で撮影される。これは、通常、ビデオカメラ、デシタルスティルカメラの露出補正機能を用いるか、露出メモリ機能を用い暗い被写体の露出をメモリさせ、実施形態3のチャートを撮影することにより達成される。もしくは、ビデオカメラ、デジタルスティルカメラ内部のファームウェアにアクセス可能であれば直接露出を制御しても良く、検査測定装置としては図1のPC4からカメラ3に対しリモートコントロールで露出を制御する方が再現性、スピードともに優れている。
【0048】
図4(b)はその上下方向の中央付近にある水平走査線35に対応する輝度分布を示す模式図である。横軸が撮像素子の水平方向35のアドレス、縦軸が輝度Iを示す。輝度分布37に示されるように、オーバー露出で撮影された画像であるため、その明部は全て撮像素子であるCCDの飽和レベルIsat に達し白潰れしている。また、レファレンスNDチャートに対応する円形暗部33、34の輝度レベルは飽和値をわずかに下回るレベルとなっている。基準の暗部IB に対して、本来同輝度となる正方形遮光チャートに対応する正方形暗部32の中心部がIF の輝度レベルまで持ち上がっているのは実施形態1、2と同じである。こうして得た測定値IF は、実施形態1、2に比較して輝度方向に増幅した値であるためその増幅率分だけ測定精度が向上する。つまり数%のフレア率の測定を、数十%に相当する輝度レベルを測定することにより精度を約十倍向上させることができる。さらには、実施形態1、2の場合は、輝度レベルが暗部のIB に近い領域ではγ補正をしているとはいえ、線形性が十分に得られないため、実質的フレア率を測定しているとはいえ、精度的に劣る測定を行っていることになっていたが、実施形態3によればそれを改善できる。
【0049】
しかしながら、オーバー露出で撮影するために、明部における輝度レベルが飽和し実施形態1、2で用いていた明部の基準値IW を特定することが不可能である。そこで実施形態3では、リファレンスNDチャートに対応した暗部33、34の輝度レベルIref をリファレンスレベルとし、これをもって相対フレア率を定義することが可能となる。別途リファレンスNDチャートの透過率を測定しておけば、フレア率の絶対値が算出できる。具体的には、実施形態1の正方形遮光チャート2の代わりにリファレンスNDチャートを配置し、実施形態1で説明した方法を用いてフレア率に相当する値を測定、計算すれば、それがすなわちリファレンスNDチャートの透過率を測定したことになり、図4(b)におけるリファレンスレベルIref のIsat に対する比が求まるため、フレア率の絶対値を求めることができる。
【0050】
相対フレア率としては、
(IF −IB )/(Iref−IB )
を定義する。一方、この時の本来の明部のレベルは、別途の測定値から求められるリファレンスNDチャートの透過率、
(Iref−IB )/(IW −IB )
で補正すればよい。従ってフレア率の絶対値は
(IF −IB )/{(Iref−IB )(IW −IB )/(Iref−IB )}
と求めることができる。
【0051】
実施形態3によるフレア率を求める方法について説明する。まず、正方形遮光チャート32、リファレンスND33又は34を配設した状態の面光源1をカメラ3が焦点が合った状態で撮影できるように、カメラ3の前に置き、カメラの絞りをリファレンスND33又は34の輝度レベルが白飽和レベルを僅かに下回るように調整する。このとき、正方形遮光チャート32及びリファレンスND33又は34がない領域のレベルは白飽和し、このような領域に対しては露出オーバーとなる。このときの正方形遮光チャート32を設置した位置の輝度レベルIF及びリファレンスND33又は34を設置した位置の輝度レベルIrefの測定をPC4により行う。このようにして測定されたレベルIref、IB、IFを用いて、
(IF −IB )/(Iref−IB )
をPC4により計算する。
【0052】
このフレア率の絶対値は、他機種との絶対値比較をするときや、許容値の検討をするときに用いられるが、量産時に製品の検査測定をするときや単純比較をするときにおいては相対フレア率のみを測定するだけでよい。リファレンスレベルは透過率が固定した安定した基準であるから、これを基準とした相対フレア率による測定、良否判断でも実質的には問題は起こらない。
【0053】
このように、実施形態3によれば、構成的にも、性能的にも、より実際の使用時に近い実質的フレア率を高精度に測定できる測定装置の提供が可能になる。
【0054】
[実施形態4]
次に実施形態4を図5を参照して説明する。
【0055】
実施形態4も、フレア率測定の精度を向上させた実施形態である。
【0056】
図5(a)は実施形態4によるPC4に取り込まれた画像の輝度分布の模式図である。40は面光源1に対応する範囲を示す。中央に円形遮光チャートに対応する円形暗部41が形成され、その水平方向の左右の離れた位置に2つのリファレンスNDチャートに対応する円形暗部42、43が形成されている。2つのリファレンスNDチャートは異なる透過率をもつNDフィルタから作成されている。実施形態4においてもビデオカメラ、デジタルスティルカメラの撮影は、適正露出に対しオーバー露出で撮影される。
【0057】
図5(b)は垂直方向にほぼ中央位置にある走査線44に対応する輝度分布を示す模式図である。横軸が撮像素子の水平方向44のアドレス、縦軸が輝度Iを示す。輝度分布45に示されるように、オーバー露出であるため明部は全てCCDの飽和レベルIsat に達している。円形遮光チャートに対応する円形暗部41の中心部IF は実施形態3と同様に輝度方向に増幅され精度が向上している。
【0058】
さらに実施形態4では、2つの異なるリファレンスNDチャートに対応する円形暗部42、43の輝度レベルIref1、Iref2 をリファレンスレベルとすることにより、基準となるリファレンスレベルの測定精度を向上させている。すなわち、CCDは飽和レベルIsat に近い領域においても輝度の線形性が劣ることが多く、またCCD間のバラツキも多いため、2つの異なるリファレンスレベルを用いることにより、これらをより精度よく補正することができるようになる。実施形態3と同様の方法により、リファレンスレベルIref1、Iref2の透過率が求まるため、相対フレア率を絶対値に補正することができる。
【0059】
上記では、2つのリファレンスレベルを用いる場合について説明したが、線形性を補償するために3つ以上のリファレンスレベルを用いることも可能であるし、暗部IB の上下にリファレンスレベルを設定することも可能である。
【0060】
このように、実施形態4によれば、構成的にも、性能的にも、より実際の使用時に近い実質的フレア率を高精度に測定できる測定装置の提供が可能になる。
【0061】
実施形態1〜4においては、説明を簡単にするために省略したが、ビデオカメラやデジタルスティルカメラの露出バラツキの影響を排除するために、一つの条件に対し、複数回の撮影を行い、その中から所望の範囲内に入ったデータを採用するのが実際的である。また、バラツキを解析し有意性がある場合はその範囲の平均値を計算し採用することも可能である。
【0062】
また、図1では製品の状態のデジタルカメラの例を示しているが、本発明の趣旨はこれに限定されるものではなく、光学系から画像データファイルまで、あるいは処理回路を含まないCCDまでの信号を評価し、構成要素のフレア率を分析することも可能であることは言うまでもない。
【0063】
また、汎用的な例としてデジタルカメラと外部PC接続した場合を示したが、もちろん専用処理装置をハードもしくはソフトで構成し、より専用化した測定装置で本実施形態を実施できることも言うまでもない。
【0064】
更に、上記の実施形態においては、透過型の撮像チャートと用いるとしたが、その代わりに、反射型の撮像チャートを用いても良い。
【0065】
【発明の効果】
以上説明した様に、本発明によれば、構成的にも、性能的にも、より実際の使用時に近い実質的フレア率を高精度に測定できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1を説明する為の概念図である。
【図2】本発明の実施形態1を説明する為の模式図である。
【図3】本発明の実施形態2を説明する為の模式図である。
【図4】本発明の実施形態3を説明する為の模式図である。
【図5】本発明の実施形態4を説明する為のブロック図である。
【符号の説明】
1 面光源
2 撮影チャート
3 デジタルスティルカメラ
4 パーソナルコンピュータ(PC)
33、34 輝度参照チャート
Claims (5)
- 黒色図形と、何れかの色温度で発光する発光部を有し、前記黒色図形と前記発光部がカメラにより焦点が合った状態で撮影されるように配置される白色板と、
前記カメラが出力する信号から、前記黒色図形に位置対応した黒色図形信号レベルと、参照レベルと、基準黒信号レベルを検出する検出手段と、
前記黒色図形信号レベルと、前記参照レベルと、前記基準黒信号レベルを基にフレア率を算出する計算手段と、を備え、
前記黒色図形信号レベルと、前記参照レベルと、前記基準黒信号レベルとは、前記カメラの同一の露出条件で測定されることを特徴とするフレア率測定装置。 - 請求項1に記載のフレア率測定装置において、前記参照レベルは、前記発光部に位置対応した信号レベルであることを特徴とするフレア率測定装置。
- 請求項1に記載のフレア率測定装置において、前記参照レベルは、前記黒色図形を除去して発光部としたときに前記黒色図形があるとしたときの該黒色図形の位置に位置対応した信号レベルであることを特徴とするフレア率測定装置。
- 請求項1に記載のフレア率測定装置において、前記白色板は、更に、前記発光部と同じ色温度の低輝度図形を有し、前記参照レベルは前記低輝度図形に位置対応した信号レベルであることを特徴とするフレア率測定装置。
- 請求項4に記載のフレア率測定装置において、前記白色板は、前記低輝度図形を複数有し、前記複数の低輝度図形は互いに異なった輝度を有することを特徴とするフレア率測定装置。
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