JP4362216B2 - モータ駆動装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転動力を発生するモータを備え、相手機械に連結される出力軸によってこの相手機械を回転駆動するモータ付き駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、単体としてのモータや減速機構を一体的に備えたギヤドモータ、制動機構を備えたブレーキ付きモータ、クラッチ付きモータ等のように、モータ付き駆動装置は多種多様のものが存在し、生産ラインの駆動源から家電製品の駆動源に至るまで幅広い産業分野で利用されている。
【0003】
このモータ付き駆動装置は、自身の回転動力を取り出すための出力軸を必ず備えており、これを相手機械(被駆動装置)に連結することで動力を伝達するようになっている。
【0004】
図8に従来のモータ付き駆動装置8を示す。
【0005】
この駆動装置208は、モータ210及び歯車減速機構212が組み合わされて構成される。歯車減速機構212は、直交ギヤセット224、第1及び第2平行ギヤセット227、230を備えており、これらが第1中間軸218、第2中間軸220によって連結されている。詳細に説明すると直交ギヤセット224は、モータ軸210Aに形成されるハイポイドピニオン222及びこのハイポイドピニオン222と噛合するハイポイドギヤ223から構成され、又第1平行ギヤセット227は、ハイポイドギヤ223と一緒に回転する第1ピニオン225及びこの第1ピニオン225と噛合する第1ギヤ226から構成され、又第2平行ギヤセット230は、第1ギヤ226と一緒に回転する第2ピニオン228及びこの第2ピニオンと噛合する第2ギヤ229から構成される。第2ギヤ229には中空タイプの出力軸216が設けられており、この出力軸216から回転動力が出力される構造である。
【0006】
この駆動装置208では、モータ210の回転動力が歯車によって確実に伝達されるので、モータ210が大容量であり大きいトルクを発するとしても、それを確実に相手機械(図示省略)に伝達することが出来る。従って、駆動装置208は相手機械の回転負荷(負荷トルク)が大きいときに特に有効である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
駆動装置208の用途は様々であり、現在、こぼれやすい液体を搬送する搬送装置の駆動部や、人体への衝撃を和らげるために滑らかな始動が要求される車両の駆動部等にも利用されてきている。これらはほんの一例であるが、近年の技術の高度化によって「滑らかなスタート、滑らかなストップ、滑らかな加減速」が必要とされる状況が増えてきている。
【0008】
しかしながら、直流モータや誘導モータ、トルクモータ等は、起動トルクが定格トルクよりも比較的大きい場合が多く、例えば、近年広まりつつある高効率モータは起動トルクが定格トルクの4倍程度になるものが一般的となっている。
【0009】
これらのモータ210をそのまま駆動装置208として利用したのでは、歯車減速機構212によって起動トルクが相手機械に確実に入力されてしまい、相手機械に衝撃を与えたり或いは疲労させたりする原因となる。更に、搬送装置の駆動部に利用された場合には、突如の急加速によって搬送中の容器から液体がこぼれたり、容器自体が転倒したりする問題があり、又車両に利用された場合は、スタート時に強い衝撃が人体に伝わるという問題がある。
【0010】
現在、多くの駆動装置メーカー等は、これらの問題のほとんどを電気的制御によって解決しようと苦心している。つまり、歯車減速機構212を利用して確実に動力を伝達できる状態を先ず機械的に確保した上で、例えば、インバータを用いて起動時は低速度状態を維持し、徐々に加速させて目標回転速度に移行させる方法や、モータ210に印可する電圧を制御して徐々に加速させる方法や、又これらを併用する方法等が採用されている。
【0011】
しかし、これらの制御装置はかなり高価であり、モータとほぼ同程度或いはそれ以上の価格であることが多い。つまり、上記の問題を制御によって解決しようとすると、装置だけで約2倍のコストが必要となる。それにも拘わらず、制御は電気的に行われるので必ずしも100%信頼できるという訳ではなく、相手機械の負荷変動、不慮のアクシデント等の多くのバリエーションに対して制御だけで対応することは極めて困難である。とりわけ、総てを制御で解決するには、制御対象の状況を的確に把握し、それを解決する制御パターンを試行錯誤して見出し、実際にプログラムして実験を重ねる、という極めて労力・費用のかかる作業が必要であった。
【0012】
又このようにしても制御には一定の限界があり、又時には制御ミス、誤動作等があり得る。
【0013】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、モータ付き駆動装置において、簡易な構成で機械的にクッションスタート機能を実現してその信頼性を高めると共に、滑らかな加減速特性を極めて自然に得ることが出来るようにすることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、回転動力を発生するモータを備え、相手機械に連結される出力軸によって該相手機械を回転駆動するモータ付き駆動装置において、前記モータのモータ軸から前記出力軸までの動力伝達経路の間に、太陽ローラ、該太陽ローラの周囲に配置されて該太陽ローラと転接する遊星ローラ、該遊星ローラが自身の内周面に転接するリングローラ、前記遊星ローラの公転成分と同期するキャリア、を備えた摩擦ローラ伝達機構を介在させると共に、前記太陽ローラ、前記リングローラ、前記キャリアのいずれか1つを回転動力が入力される入力要素、他の1つを回転動力を出力する出力要素とし、更に、前記摩擦ローラ伝達機構の限界伝達トルクPの前記モータ軸換算値Piを、前記モータの起動トルクSよりも小さく且つ該モータの定格トルクMよりも大きくなるように設定したことにより上記目的を達成するものである。
【0015】
本発明者は、従来の歯車のみによる確実な動力伝達と、急な加減速を抑制するための制御装置によるモータ制御とは、必ずしも合理的組み合わせとは言えないとの考えに至った。
【0016】
歯車自体は高いトルク伝達能力を有している一方、モータの(通常の)大きな起動トルクが直接的に相手機械に伝達されては困るということから、制御によって起動トルクを抑制している。これは、歯車のメリットともいえる高トルク伝達領域を敢えて「利用しない」ことを意味しており、その領域に関しては歯車は過剰能力を有しているといえる。又、このようにモータを低速度で長時間運転するのは、モータの効率の面でも好ましくない。
【0017】
そこで、本発明者は摩擦ローラ伝達機構の特性を詳細に検討した結果、モータ〜出力軸の間に摩擦ローラ伝達機構を介在させ、更に一歩進んで、その限界伝達トルクをモータの起動トルクS〜定格トルクMの範囲内に設定し、それによって極めて好ましい伝達特性を発揮させることができることが解った。
【0018】
図1に、本発明者が検討した結果である摩擦ローラ伝達機構の「伝達トルク−滑り率」の一般的な関係(実線A)を示す。なお、滑り率とは、各摩擦ローラ間に滑りが全く生じないと想定した場合の出力要素の回転数(予定回転数)と実際の回転数(実回転数)との差(予定回転数−実回転数)を、予定回転数に対する割合(%)で示したものである。
【0019】
伝達トルク(負荷)が殆ど無い場合には、滑り率は零に近い値を示す。しかし、伝達トルクが増加すると徐々に滑りが増大して、ある地点で伝達トルクにも一定の限界(点P:限界伝達トルク)が生じ、最終的には回転を伝達することができない状態となる(入力要素側は回転しているが出力要素は停止する状態:滑り率100%)。この状態では一般に伝達可能トルクも低下する。
【0020】
なお、実線Aの上方にある点線Sはモータの起動トルクのレベルを示しており、実線Aと交わっている点線Mはモータの定格トルクのレベルを模式的に示している。これは、本発明で言う「限界伝達トルクPのモータ軸換算値Piを、モータの起動トルクSよりも小さく且つ該モータの定格トルクMよりも大きくなるように設定した」ということを分かり易く説明するために便宜上記載したものである。
【0021】
本発明における摩擦ローラ伝達機構は2つの重要な作用を奏する。具体的には、(1)モータの起動トルクSの総てを伝達しない(できない)で、自分の限界である限界伝達トルクPを上限として相手機械側に適宜トルクを伝達する、ということ、(2)モータの定格トルクMの総てを確実に伝達する、ということである。
【0022】
その結果、起動時の不必要な起動トルクMは(1)の作用によって摩擦ローラ伝達機構の滑りによって直ちに吸収され、相手機械は徐々に加速することが出来るようになる(クッションスタート機能)。モータにとっては、相手機械の回転数に依存することなく自らを効率の良い領域に即座に移行させることが出来るので、モータの負担も軽減され、相手機械の破壊・疲労等も軽減される。
【0023】
又、相手機械の負荷トルクはモータの定格トルクMで十分駆動できるように設定されるのが一般的であるので、(2)の作用により本発明の駆動装置は相手機械を確実に定常状態で駆動することができる。言い換えると、必要な伝達能力は十分確保されている。更に、定常状態で回転している相手機械の負荷が突然増大した場合等であっても、それが摩擦ローラ伝達機構の滑りによって吸収されるのでモータに直接伝達することがない。この結果、モータも、摩擦ローラ伝達機構限界伝達トルク以上のトルクを発生することを要求されない(あるいは反力トルクを受けない)ことになり、効率の面でも耐久性の面でも大変好ましい状態で運転できる。
【0024】
特に優れている点は、それが「滑りの増減」を伴って実現されることにあり、モータの回転数変動が相手機械の回転数変動に直接影響しないので、より滑らかな加速特性が得られるようになっている。
【0025】
以上のように摩擦ローラ伝達機構を極めて合理的な思想の下で用いることにより、従来の複雑な制御に代えて或いは制御と併用して機械的に滑らかな加減速特性を得ることが出来る。制御装置と併用した場合には、制御の限界を補う役目(信頼性を100%に近づける役目)、又制御ミス・誤動作を機械的にサポートする役目等を本発明は有している。
【0026】
なお、限界伝達トルクPのモータ軸Pi換算値とは、例えば、摩擦ローラ伝達機構とモータとの間に別途増減速機等が介在している場合に、その増減速比を考慮してモータ軸換算することを意味する。
【0027】
又、相手機械の負荷トルクとは、相手機械の起動時を除く通常運転時の負荷トルク(通常運転時においてある程度変動することが予測されるときはその予測最大値)を意味している。
【0028】
ところで本発明では、前記相手機械の負荷トルクの前記モータ軸換算値Tに対して、前記モータの定格トルクMを、0.8*T<M<3.0*Tの範囲内に設定することが好ましい。このようにすると、安全性の高い使用状況の下で相手機械を駆動することが出来るようになる。用途がコンベアの場合、即ちコンベアローラの駆動装置(モータローラを含む)として利用する場合は、モータの定格トルクMを、1.0*T<M<1.6*Tの範囲内に設定する。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照しながら本発明の実施の形態の例について詳細に説明する。
【0030】
図2に、本発明の第1実施形態に係るモータ付き駆動装置(以下駆動装置という)100を示す。
【0031】
駆動装置100は、回転動力を発生するモータ102と、相手機械(図示省略)に連結される出力軸104と、を備えており、この出力軸104によって相手機械に動力を伝達する。
【0032】
この駆動装置100では、モータ102のモータ軸106から出力軸104までの動力伝達経路の間に摩擦ローラ伝達機構110が介在されており、動力伝達の一部を担っている。摩擦ローラ伝達機構110は、図3に示されるように、太陽ローラ112と、太陽ローラ112の周囲に配置されて太陽ローラ112と転接する遊星ローラ114と、遊星ローラ114が自身の内周面に転接するリングローラ116と、遊星ローラ114の公転成分と同期して回転するキャリア118と、を備える。
【0033】
図2に戻って、摩擦ローラ伝達機構110のケーシングは、出力軸104側の前部ケーシング130、リング状の中間ケーシング132(これはリングローラ116と一体である)、モータ102の前面カバーを兼ねる継ぎケーシング134から構成されており、これらがボルト120によって連結されている。なお、モータ102のケーシングは、前面カバーとなる上記継ぎケーシング134、モータ102の固定子等が固定されて内部にモータ軸106が収容される円筒ケーシング136、及び後部ケーシング138とからなり、更にその後方に、冷却ファン140を外部から保護する安全カバー142が設置される。
【0034】
太陽ローラ112はモータ軸106の端部にキー結合されており、このモータ軸106と一体となって回転する。又、リングローラ116は、中間ケーシング132の内周面に一体的に形成されている。なお、遊星ローラ114の中心には、ピン122及び該ピン122を覆うローラ124が回転自在に挿入されており、このピン122の一端がキャリア118によって固定・保持されることで、キャリア118が、遊星ローラ114の公転成分と同期して回転する。
【0035】
キャリア118は出力軸104と一体的に形成されており、両者が、前部ケーシング130の内周側に設置される2つの軸受144、146に回転自在に保持される。
【0036】
従って本実施形態では、太陽ローラ112が入力要素、リングローラ116が固定要素、キャリア118が出力要素となっており、減速機として機能する。なお本発明では、これらのいずれか1つが入力要素、他の1つが出力要素とし、残りが固定要素となっていれば如何なる組み合わせでも構わない。
【0037】
更に、この摩擦ローラ伝達機構110では、自身の限界伝達トルクPをモータ軸106に換算した値Piが、モータ102の起動トルクSよりも小さく且つ定格トルクMよりも大きくなるように設定されている。
【0038】
この限界トルクPの測定方法の一例について説明する。
【0039】
図4に示されるように、摩擦ローラ伝達機構110をリングローラ116を固定した状態で単体で用意し、入力要素である太陽ローラ112に試験モータ150を接続して回転動力を入力し、出力要素であるキャリア118(出力軸104)にトルクセンサ151を介してブレーキ152を接続する。
【0040】
モータ150によって回転動力が入力されている状態で、ブレーキ152の制動トルクを徐々に増大させていくと、各摩擦ローラの滑りが増大していき、トルクセンサ151のトルク計測値も増加していく。この計測値が、その時点における摩擦ローラ伝達機構110の伝達トルク(出力要素換算値)を意味している。制動トルクを更に増大させると、図1で既に示したように、トルク計測値に一定の限界が現れる。それが摩擦ローラ伝達機構110の限界伝達トルクPである。ここでの限界伝達トルクPは出力要素であるキャリア118を基準とした値であるので、これを試験モータ150側の太陽ローラ112に換算したモータ軸換算値Piは、摩擦ローラ伝達機構110の減速比I(例えば3.5)及び伝達効率n(例えば0.95)を考慮して、Pi=P*I/nとなる。もし、摩擦ローラ伝達機構110とモータとの間に他の減速機等が介在している場合には、その減速比、効率等を考慮してモータ軸換算値を求めることになる。
【0041】
なお、このモータ軸換算値Piは、モータ(起動)トルクSの60〜90%に設定することが好ましく、更に望ましくは、起動トルクSの75〜80%に設定する。又、モータ軸換算値Piは、モータ定格トルクMの1.1倍〜1.3倍に設定することが好ましく、より望ましくは、モータ定格トルクMの1.2倍付近に設定する。
【0042】
又、本実施形態では特に示さないが、この駆動装置100の出力軸104に連結される相手機械が既に決まっている場合、この相手機械の負荷トルクをモータ軸106に換算した値Tに対して、モータ102の定格トルクMが0.8*T<M<3.0*Tの範囲内に設定されるようにする。これにより大半の用途に適用可能となる。なお、例えばもし用途が物流用のコンベアならば、この値は、1.0*T<M<1.6*Tの範囲が最適となる。
【0043】
次に作用について説明する。
【0044】
この駆動装置100では、モータ102〜出力軸104の間に、摩擦ローラ伝達機構110を介在させ、更に一歩進んで、その限界伝達トルクのモータ軸換算値Piを、モータ102の起動トルクS〜定格トルクMの範囲内に設定している。
【0045】
このようにすると、摩擦ローラ伝達機構110は、モータ102の起動トルクSの「総て」を伝達しないで、自分が伝達できる範囲内(つまり限界伝達トルクの範囲内)で伝達しようとする。その結果、あまりに大きすぎる起動トルクSは摩擦ローラ伝達機構110の滑りによって部分的に吸収されるので、相手機械は、適度の加速トルクによって徐々に加速することが出来るようになる(クッションスタート機能)。これは、相手機械の破損・疲労を軽減させることにも繋がる。
【0046】
モータ102にとっては、摩擦ローラ伝達機構110の滑りによって相手機械の回転数に依存することなく自らを効率の良い回転数領域に比較的早く移行させることが出来るので、モータ102の負担も軽減されて総合効率を高めることができる。
【0047】
又、この摩擦ローラ伝達機構110は、モータ102の定格トルクMの総てを確実に伝達することができる。相手機械の負荷トルクはモータ102の定格トルクで十分駆動できるように設定されるのが一般的であるので、定格トルクMが相手機械側に確実に伝達されることから、相手機械は確実に定常運転される。
【0048】
更に、何らかのアクシデントによって、定常運転状態の相手機械の負荷が突然増大した場合であっても、それが摩擦ローラ伝達機構110の滑りによって吸収されるのでモータ102に直接伝達することがない。言い換えると、モータ102も限界伝達トルク以上のトルクを要求されないことになり、モータ102の寿命が延び、効率の面でも大変好ましい。
【0049】
特に優れている点は、それが「滑りの増減」という連続性のある変動を伴って実現されることにある。これによって衝撃的な回転数変動が低減されて、より滑らかな加減速特性が得られるようになっている。
【0050】
以上のように摩擦ローラ伝達機構110を極めて合理的な思想の下で用いているので、従来の複雑な制御に代えて、或いは制御と併用して「機械的に」滑らかな加減速特性を得ることが出来る。 又、相手機械の負荷トルクのモータ軸換算値Tに対して、モータ102の定格トルクMが0.8*T<M<3.0*Tの範囲内に設定されているので、モータは効率の良い回転数領域で相手機械を定常運転することが出来る。
【0051】
上記第1実施形態では、モータ102〜出力軸104の間の動力伝達経路中に、摩擦ローラ伝達機構110のみが介在している場合を示したが、本発明はそれに限定されず、他の動力伝達手段が動力伝達経路中に介在していても構わない。
【0052】
その例として、図5に、本発明の第2実施形態にかかるモータ付き駆動装置(以下駆動装置という)40を示す。
【0053】
この駆動装置40は、モータ42と、このモータ42の回転動力が入力される動力伝達装置44とが一体的に組み合わされている。なお、モータ42のモータ軸42Aは、モータケーシング46内に配置される2つの軸受46A、46Bによって回転自在に支持されている。
【0054】
動力伝達装置44は、直交歯車減速機48と、この直交歯車減速機48よりも前段側に配置される摩擦ローラ伝達機構49と、を備える。直交歯車減速機48は、入力軸50と、この入力軸50に連結されるハイポイドピニオン51と、入力軸50に対して垂直となる第1中間軸52に同軸に配置されてハイポイドピニオン51と噛合するハイポイドギヤ53と、第1中間軸52に同軸に配置される第1ピニオン54と、第1中間軸52と平行となる第2中間軸55に同軸に配置されて第1ピニオン54と噛合する第1ギヤ56と、第2中間軸55に同軸に配置される第2ピニオン57と、第1中間軸52と平行となる出力軸58に同軸に配置されて第2ピニオン57と噛合する第2ギヤ59と、を備える。
【0055】
つまり、ハイポイドピニオン51及びハイポイドギヤ53によって(1段目の)ハイポイドギヤセット60が構成され、第1ピニオン54及び第1ギヤ56によって(2段目の)第1ギヤセット61が構成され、第2ピニオン57及び第2ギヤ59によって(3段目の)第2ギヤセット62が構成されるようになっている。なお、これらのハイポイドギヤセット60等は、歯車箱63に収容されており、又、出力軸58は、自身の両端から動力を取り出すことが可能なホロータイプになっている(勿論、中実タイプにする事も出来る)。
【0056】
即ち、モータ46〜出力軸58までの動力伝達経路中に、摩擦ローラ伝達機構46と直交歯車減速機48が介在していることになる。
【0057】
前段側に配置される上記摩擦ローラ伝達機構49は、図6及び図7に拡大して示されるように、モータ42のモータ軸42Aと同軸状に連結されて回転動力が入力される太陽ローラ64と、太陽ローラ64の周囲に配置されて太陽ローラ64に転接する3つの遊星ローラ66と、太陽ローラ64と同軸に配置されて遊星ローラ66が自身の内周に転接するリングローラ68と、遊星ローラ66の公転運動と同期して回転し、その回転を直交歯車減速機48の入力軸50に伝達するキャリア70と、を備える。
【0058】
リングローラ68には複数の軸方向のボルト孔68Aが周方向に所定間隔で形成されており、このボルト孔68Aを貫通するボルトによって、リングローラ68がケーシング72の内部に固定されている。又、各遊星ローラ66の中心には軸方向のピン孔66Aが形成されており、そこに、キャリア70に設けられるピン70Aがローラ70Bを介して挿入されている。キャリア70は、このキャリアピン70Aを介して遊星ローラ66の公転成分を取り出す。
【0059】
直交歯車減速機48と摩擦ローラ伝達機構44の間には、自身の両端に入側及び出側フランジ74A、74Bを有する円筒状の延長ケーシング74が介在・配置される。この入側フランジ74Aには、摩擦ローラ伝達機構49のケーシング72が連結され、出側フランジ74Bには、歯車箱63が連結される。この連結には、各フランジ74A、74Bに形成される複数のボルト孔と、それに貫通する複数のボルト73が利用されている。
【0060】
入力軸50のほぼ中間位置には大径部50Aが形成されており、この大径部50Aの一方の端縁には更に大径となるつば部50Bが形成される。つば部50B及び大径部50Aを軸方向に挟持するようにして、この入力軸50には2つの軸受91、92が設けられている。これらの軸受91、92は上記延長ケーシング74の内周面に設置される。
【0061】
更に、入力軸50の(大径部50Aの)外周面と延長ケーシング74の内周面との隙間であって2つの軸受91、92の間には、リング状のオイルシール94が配設されており、このオイルシール94によって直交減速機48内及び摩擦ローラ伝達機構49内の各潤滑剤が隔離されるようになっている。これは、直交歯車減速機48側に利用される潤滑剤は、各歯車の歯面の滑り抵抗を低減させること、即ち摩擦抵抗を低減させる目的で用いられており、一方、摩擦ローラ伝達機構49に利用される潤滑剤は、各摩擦ローラの接触面の摩擦抵抗を増大させて、高い伝達性能を確保することを目的で用いられており、その結果、それぞれに異なる種類(性質)の潤滑剤が採用されているからである(場合によっては同種の潤滑剤を用いることも可能)。
【0062】
なお、本実施形態に限っては、直交歯車減速機48側にはナフテン系の鉱油が、摩擦ローラ伝達機構49側にはパラフィン系の合成油が採用されている。
【0063】
摩擦ローラ伝達機構49側の軸受92における同摩擦ローラ伝達機構49側端面は、延長ケーシング74に固定されているリングプレート94と係合しており、反対側の端面は入力軸50の大径部50Aと係合している。従って、入力軸50がハイポイドギヤセット60から軸方向反力を受けた場合であっても、この力を軸受92を介してリングプレート94が受ける(反力を付与する)構造になっている。
【0064】
入力軸50における摩擦ローラ伝達機構49側端部には、外スプライン50Cが形成されており、キャリア70に形成される内スプライン孔70Cと係合している。
【0065】
更に、第1実施形態と同様に、この摩擦ローラ伝達機構49では、自身の限界伝達トルクPをモータ軸42Aに換算した値Piが、モータ42の起動トルクSよりも小さく且つ定格トルクMよりも大きくなるように設定されている。
【0066】
又、本実施形態では特に示さないが、この駆動装置40の出力軸58に連結される相手機械が既に決まっている場合、この相手機械の負荷トルクTmをモータ軸42Aに換算した値Tに対して、モータ42の定格トルクMが0.8*T<M<3.0*Tの範囲内に設定されるようにする。具体的に、直交歯車減速機48の減速比をI1、効率をn1、摩擦ローラ伝達機構49の減速比をI2、効率をn2とした場合、相手機械の負荷トルクTmのモータ軸換算値Tは下記のように求められる。
【0067】
T=Tm*(I1/n1)*(I2/n2)
【0068】
なお、例えば用途がコンベアに限定される場合は、この値は、1.0*T<M<1.6*Tの範囲が最適である。
【0069】
以上に示した駆動装置40では、第1実施形態の駆動装置100と同等の効果を得ることが出来ることに加えて、直交歯車減速機48よって減速比の増大が図られている。又、各摩擦ローラ(太陽ローラ64、遊星ローラ66及びリングローラ68)の滑りによって得られるトルク伝達に関する「クッション機能」によって、動力伝達経路内にある直交歯車減速機48に作用するトルク衝撃も緩和され、(平歯車よりも動力伝達の面で不利な)ハイポイドギヤセット60等の損傷を極力防ぐことも出来る。
【0070】
なお、この第2実施形態では、摩擦ローラ伝達機構49の後段側に直交歯車減速機48が介在している場合に限って示したが、本発明はそれに限定されず、前段側に何らかの動力伝達機構が介在しても構わない。例えば本発明で言う摩擦ローラ伝達機構の前段又は後段、あるいは前・後段の双方に、歯車伝達機構、(別途の)摩擦ローラ伝達機構、ベルト伝達機構、チェーン伝達機構、カップリング等の各種動力伝達機構を配置してもよい。
【0071】
又、ここでは第1、第2実施形態を示したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば、これらの各部分等を適宜組み合わせた実施形態も存在し、更に、今回示した形態以外の各種実施形態も存在する。なお、明細書全文に表れてくる部材の形容(機能・形状)はあくまで例示であって、これらの記載に限定されるものではない。
【0072】
【発明の効果】
本発明によれば、起動時や加減速時等に相手機械に与える衝撃を機械的に緩和することが出来るようになり、又モータ側の負担も軽減させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の摩擦ローラ伝達機構の一般的な伝達特性を示す線図
【図2】本発明の第1実施形態に係るモータ付き駆動装置を示す全体断面図
【図3】図2のIII−III断面図
【図4】同モータ付き駆動装置における摩擦ローラ伝達機構の限界伝達トルクを測定する状態を示す模式図
【図5】本発明の第2実施形態に係るモータ付き駆動装置を示す全体断面図
【図6】同モータ付き駆動装置の摩擦ローラ伝達機構を拡大して示す断面図
【図7】図6のVII−VII断面図
【図8】従来のモータ付き駆動装置を示す全体断面図
【符号の説明】
40、100…モータ付き駆動装置
49、110…摩擦ローラ伝達機構
58、104…出力軸
64、112…太陽ローラ
66、114…遊星ローラ
68、116…リングローラ
70、118…キャリア

Claims (2)

  1. 回転動力を発生するモータを備え、相手機械に連結される自身の出力軸によって該相手機械を回転駆動するモータ付き駆動装置において、
    前記モータのモータ軸から前記出力軸までの動力伝達経路の間に、
    太陽ローラ、該太陽ローラの周囲に配置されて該太陽ローラと転接する遊星ローラ、該遊星ローラが自身の内周面に転接するリングローラ、前記遊星ローラの公転成分と同期するキャリア、を備えた摩擦ローラ伝達機構を介在させると共に、
    前記太陽ローラ、前記リングローラ、前記キャリアのいずれか1つを回転動力が入力される入力要素、他の1つを回転動力を出力する出力要素とし、更に、
    前記摩擦ローラ伝達機構の限界伝達トルクPの前記モータ軸換算値Piを、前記モータの起動トルクSよりも小さく且つ該モータの定格トルクMよりも大きくなるように設定した
    ことを特徴とするモータ駆動装置。
  2. 請求項1において、
    前記相手機械の負荷トルクの前記モータ軸換算値Tに対して、前記モータの定格トルクMを、0.8*T<M<3.0*Tの範囲内に設定した
    ことを特徴とするモータ駆動装置。
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