JP4362060B2 - インクジェット記録用媒体 - Google Patents
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Description
この様な記録方法の中でも、インクジェット記録方法は、多種の被記録材料に記録可能なこと、ハード(装置)が比較的安価でコンパクトであること、静粛性に優れること等の利点から、オフィスは勿論、いわゆるホームユースにおいても広汎に用いられてきている。
インクジェット記録用の記録媒体に要求される特性としては、一般に、(1)速乾性があること(インクの吸収速度が速いこと)、(2)インクドットの径が適正で均一であること(滲みのないこと)、(3)粒状性が良好であること、(4)ドットの真円性が高いこと、(5)色濃度が高いこと、(6)彩度が高いこと(くすみのないこと)、(7)印画部の耐光性、耐水性及び耐オゾン性が良好なこと、(8)記録媒体の白色度が高いこと、(9)記録媒体の保存性が良好なこと(長期保存で黄変着色を起こさないこと、長期保存で画像が滲まないこと(経時滲みが良好なこと))、(10)変形し難く、寸法安定性が良好であること(カールが充分小さいこと)、(11)ハードの走行性が良好であること、等が挙げられる。
更に、いわゆる写真ライクな高画質記録物を得る目的に用いられるフォト光沢紙の用途では、上記特性に加えて、更に光沢性、表面平滑性、銀塩写真に類似した印画紙状の風合い等も要求される。
これらの記録用シート、特に無機顔料微粒子としてシリカを用いた多孔質構造からなるインク受容層を設けたインクジェット記録用シートは、その構造によりインク吸収性に優れ、高解像度の画像を形成し得る高いインク受容性能を有し且つ高光沢を示すことができ、実用上銀塩写真に匹敵する画像が得られるようになった。
<1> 支持体上にインク受容層を有するインクジェット記録用媒体であって、前記インク受容層が、少なくとも重合度が2000〜3500のポリビニルアルコールと、1次粒子径が0.1μm以下の気相法シリカと、有機カチオンポリマーと、水溶性多価金属塩とを含有し、前記有機カチオンポリマーの少なくとも1種は、重合度が200〜700でケン化度が50〜80%のカチオン変性ポリビニルアルコールであり、前記水溶性多価金属塩として、少なくとも、アルミニウム塩及び/又はジルコニウム塩が用いられることを特徴とするインクジェット記録用媒体である。
なお、本発明において、カチオン変性ポリビニルアルコールとは、ビニルアルコールと、分子中にカチオン性基とラジカル反応性基とを有する分子との、共重合体をいう。本発明のカチオン変性PVA中の水酸基は、必要に応じてエステル化されていてもよい。
以下、本発明のインクジェット記録用媒体の構成を詳細に説明する。
本発明のインクジェット記録用媒体に係るインク受容層には、有機カチオンポリマーとして少なくとも1種の、カチオン変性ポリビニルアルコール(以下、カチオン変性PVAと称することがある。)が含有される。
その他、共重合可能なモノマーとして、N―ビニルイミダゾール、N―ビニル−2−メチルイミダゾール等も挙げられる。
また、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド等の単量体(モノマー)を用いて重合し、重合後に加水分解によってビニルアミン構造単位とすること、及びこれを塩にしたものも利用できる。
これらは、1種単独で又は2種以上を組合せて使用できる。
この中でも、2級若しくは3級アミン又は4級アンモニウムクロライドが好ましく、更に好ましくは、3級アミン又は4級アンモニウムクロライドである。
更に、2級若しくは3級アミン又は4級アンモニウムクロライドは、炭素数2〜12のアルキル基で置換されていることが好ましく、炭素数2〜6のアルキル基で置換されていることが更に好ましい。前記アルキル基は、すべて同一の炭素数であってもよいし、互いに異なる炭素数をもつアルキル基で構成されていてもよい。
また、前記カチオン変性PVAは、骨格の一部にベンゼン環を有することがより好ましい。
前記他の有機カチオンポリマーとしては、第1級〜第3級アミノ基及びその塩、又は第4級アンモニウム塩基を有する単量体(カチオン性モノマー)の単独重合体や、前記カチオン性モノマーと他のモノマー(以下、「非カチオン性モノマー」ということもある。)との共重合体又は縮重合体として得られるものが好ましい。また、これら他の有機カチオンポリマーは、水溶性ポリマー又は水分散性ラテックス粒子のいずれの形態でも使用できる。
前記カチオン性モノマーは、1種単独で又は2種以上を組合せて使用できる。
前記非カチオン性モノマーの具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸アリールエステル;(メタ)アクリル酸ベンジル等のアラルキルエステル;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;酢酸アリル等のアリルエステル類;塩化ビニリデン、塩化ビニル等のハロゲン含有単量体;(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル;エチレン、プロピレン等のオレフィン類、等が挙げられる。
中でも、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレート等が好ましい。
前記非カチオン性モノマーも、1種単独で又は2種以上を組合せて使用できる。
本発明でインク受容層における前記他の有機カチオンポリマーの含有量は、0.1g/m2〜10g/m2が好ましく、0.5g/m2〜3g/m2がより好ましい。
本発明のインクジェット記録用媒体に係るインク受容層には、非イオン性水溶性樹脂が含有される。ここで、非イオン性水溶性樹脂とは、水に溶解可能な、カチオン及びアニオンを生じうる官能基を有しない高分子化合物を言う。前記非イオン性水溶性樹脂の具体例としては、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂〔例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、アセトアセチル変性PVA、シラノール変性PVA、ポリビニルアセタール等〕、セルロース系樹脂〔メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等〕、キチン類、キトサン類、デンプン、エーテル結合を有する樹脂〔例えば、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル(PVE)等〕、カルバモイル基を有する樹脂〔例えば、ポリアクリルアミド(PAAM)、ポリビニルピロリドン(PVP)等〕などが挙げられる。
また、ポリビニルアルコール系樹脂以外の水溶性樹脂の例としては、特開2001−205919号、特開2002−264489号公報等に記載の化合物、及び特開平11-165461号公報の段落番号[0011〜0014]に記載の化合物等も挙げられる。
前記非イオン性水溶性樹脂は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
本発明のインクジェット記録用媒体に係るインク受容層は、1次粒子径が0.1μm以下の微粒子を含有する。前記微粒子を含有することにより多孔質構造が得られ、これによりインクの吸収性能が向上する。特に、インク受容層における前記微粒子の固形分含有量が50質量%以上、より好ましくは60質量%を超えていると、更に空隙率の高い多孔質構造を形成することが可能となり、十分なインク吸収性を備えたインクジェット記録用媒体が得られるので好ましい。ここで、微粒子のインク受容層における固形分含有量は、インク受容層を構成する組成物中の水以外の成分に基づき算出される含有量である。
前記有機微粒子としては、例えば、乳化重合、マイクロエマルジョン系重合、ソープフリー重合、シード重合、分散重合、懸濁重合等により得られるポリマー微粒子が好ましく、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリアミド、シリコン樹脂、フェノール樹脂、天然高分子等の粉末、ラテックス、又はエマルジョン状のポリマー微粒子等を挙げることができる。
更に、平均一次粒径が20nm以下のシリカ微粒子、平均一次粒径が30nm以下のコロイダルシリカ、平均一次粒径が20nm以下のアルミナ微粒子、或いは平均細孔半径が2〜15nmの擬ベーマイトがより好ましく、その中でもシリカ微粒子、アルミナ微粒子、擬ベーマイトがさらに好ましい。
また、アルミナ微粒子の中では気相法アルミナ微粒子が比表面積が大きく好ましい。前記気相法アルミナの平均一次粒子径としては30nm以下が好ましく、20nm以下がより好ましい。
本発明のインクジェット記録用媒体において、インク受容層内の前記微粒子(x)と非イオン性水溶性樹脂及びカチオン変性PVA(y)との質量含有比〔PB比(x/y)〕は、前記インク受容層の膜構造及び膜強度に大きな影響を与える。即ち、前記質量含有比〔PB比〕が大きくなると、空隙率や細孔容積、表面積(単位質量当り)が大きくなるが、密度や強度は低下する傾向にある。なお、前記非イオン性水溶性樹脂及びカチオン変性PVAの質量とは、非イオン性水溶性樹脂及びカチオン変性PVAの総量をいう。
本発明のインクジェット記録用媒体のインク受容層は、更に前記非イオン性水溶性樹脂を架橋し得る架橋剤を含んでもよい。架橋剤を用いることにより、インク受容層を硬化された多孔質層とすることができる。
前記架橋剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組合わせて用いることもできる。
具体的には、アンモニア水、炭酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、炭酸ジルコニウムアンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、トルエンスルホン酸アンモニウム、酸性基を有するポリマー、ラテックスのアンモニウム塩、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、ジアリルアミン、ピペリジン、2−メチルピペリジン、ジメチルピペリジン、イミダゾール、水酸化テトラメチルアンモニウム、酢酸ナトリウム、グアニジン、等が挙げられる。
これらの中でも、塩基としては、インクジェット記録用媒体の紙面pHの調整の点で、少なくとも1種がアンモニウム塩系化合物であることが好ましい。
前記カチオン変性PVAは、塗布液A及び塗布液Bの少なくとも一方に含有されるが、好ましくは塗布液Aに含有される。
本発明のインク受容層における前記架橋剤の使用量は、非イオン性水溶性樹脂に対して1〜50質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましい。
本発明のインクジェット記録用媒体は、形成画像の耐水性及び耐にじみ性の改善を図るために、インク受容層に、さらに、水溶性多価金属塩を含有することが好ましい。前記水溶性多価金属塩をインク受容層中に存在させることにより、アニオン性染料を色材として有する液状インクとの間で相互作用が働き、色材を安定化し、さらなる耐水性や耐にじみ性を向上させることができる。
また、ポリ塩化アルミニウムの使用量は、前記微粒子に対しては、1〜100質量%が好ましく、3〜50質量%がより好ましい。
本発明において、前記ポリ塩化アルミニウムのインク受容層における含有量は、0.1g/m2〜20g/m2が好ましく、0.5g/m2〜10g/m2がより好ましく、特に1g/m2〜7g/m2が好ましい。前記ポリ塩化アルミニウムの含有量が0.1g/m2未満では、耐にじみ性等の改善効果が不十分なことがあり、一方、含有量が20g/m2を超えて添加するのは、画像濃度及び製造適性の低下を招く懸念がある。
前記硫酸イオンは、前記ポリ塩化アルミニウムを製造する際に、原材料又は安定剤として含まれていることに起因するもので、これが前記ポリ塩化アルミニウム内に残存している。従って、前記ポリ塩化アルミニウムは、硫酸イオンが出来るだけ存在しない状態で製造したものが好ましい。
ここで、本明細書においては、前記硫酸イオン濃度の測定は、前記ポリ塩化アルミニウムの溶液試料の質量を測定し、温度100℃で水分を除去した後、温度1450℃で該試料を燃焼させて、SO4の赤外吸収スペクトルより定量して求めたもので、その測定装置としては、堀場製作所(株)製のイオウ分析計「EMIA−120型」を使用したものである。
前記ポリ塩化アルミニウムを含む分散液を調製するには、微粒子と前記ポリ塩化アルミニウムを溶媒に添加して(好ましくは、水中の気相法シリカの含量は10〜20質量%)、例えば(株)シンマルエンタープライゼス製の分散機「KDL−PILOT」等を用いて、分散させる方法等が挙げられる。
その際に、前述の有機カチオンポリマーとして例示の化合物を、微粒子の分散剤として使用してもよい。前記分散剤としては、I/O値が3.0以下の有機カチオンポリマーが好ましく、2.5以下が更に好ましく、特に2.0以下の有機カチオンポリマーを使用することが、印画後の耐にじみ性の向上をはかる観点から好ましい。ここで、I/O値とは、化合物あるいは置換基の親水性/親油性の尺度を表すパラメーターであり、甲田善生著「有機概念図」(三共出版、1984年)にその詳細な解説がある。Iは無機性をOは有機性を表し、I/O値が大きいほど無機性が大きい(極性が高く親水性が大きい)ことを示す。また、I/O値が異なる有機カチオンポリマーを併用して用いてもよい。
前記微粒子と前記ポリ塩化アルミニウムとを混合した後、前記混合液を更に分散機を用いて細粒化することで、前記微粒子と前記ポリ塩化アルミニウムの微細化分散液を得ることができる。
前記水分散液を得るために用いる混合分散機としては、高速回転分散機、媒体撹拌型分散機(ボールミル、サンドミルなど)、超音波分散機、コロイドミル分散機、高圧分散機等の従来より公知の各種分散機を使用することができるが、形成されるダマ状微粒子の分散を効率的に行うという観点から、媒体撹拌型分散機、コロイドミル分散機又は高圧分散機が好ましい。
本発明でインク受容層に含まれる前記水溶性多価金属塩の総量は、0.5g/m2〜10g/m2が好ましく、1g/m2〜4g/m2がより好ましい。
本発明において、インク受容層は、さらに、界面活性剤を含有することが好ましい。前記界面活性剤としては、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性系、フッ素系、シリコン系界面活性剤等のいずれも使用可能である。
前記ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルおよびポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等)、オキシエチレン・オキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリオレート等)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート等)、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル類(例えば、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット等)、グリセリン脂肪酸エステル類(例えば、グリセロールモノオレート等)、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類(モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン、モノオレイン酸ポリオキシエチレングリセリン等)、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノオレート等)、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アセチレングリコール類(例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、及び該ジオールのエチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物等)等が挙げられ、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類が好ましい。前記ノニオン系界面活性剤は、後述する塗布液(A)及び塗布液(B)において使用することができる。また、前記ノニオン系界面活性剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記カチオン系界面活性剤としては、アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリウム塩等が挙げられる。
例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルトリアルキルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル基含有オリゴマー、パーフルオロアルキルリン酸エステル等が挙げられる。
本発明に用いる界面活性剤の少なくとも1種は、前記両性界面活性剤であることが好ましい。前記両性界面活性剤を用いることにより、発色濃度をより向上させることができる。
なお、前記両性界面活性剤とその他の界面活性剤を併用することもできる。
本発明においてインク受容層は、必要に応じて、更に各種の公知添加剤、例えば酸、紫外線吸収剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、モノマー、重合開始剤、重合禁止剤、にじみ防止剤、防腐剤、粘度安定剤、消泡剤、帯電防止剤、マット剤、カール防止剤、耐水化剤等を含有することができる。
前記酸は金属塩(例えばナトリウム、カリウム、カルシウム、セシウム、亜鉛、銅、鉄、アルミニウム、ジルコニウム、ランタン、イットリウム、マグネシウム、ストロンチウム、セリウムなどの塩)、又はアミン塩(例えばアンモニア、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、ポリアリルアミンなど)等の形態で使用してもよい。
これら紫外線吸剤、酸化防止剤、にじみ防止剤としては、アルキル化フェノール化合物(ヒンダードフェノール化合物を含む)、アルキルチオメチルフェノール化合物、ヒドロキノン化合物、アルキル化ヒドロキノン化合物、トコフェロール化合物、チオジフェニルエーテル化合物、2個以上のチオエーテル結合を有する化合物、ビスフェノール化合物、O−,N−,S−ベンジル化合物、ヒドロキシベンジル化合物、トリアジン化合物、ホスホネート化合物、アシルアミノフェノール化合物、エステル化合物、アミド化合物、アスコルビン酸、アミン系抗酸化剤、2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール化合物、2−ヒドロキシベンゾフェノン化合物、アクリレート、水溶性又は疎水性の金属塩、有機金属化合物、金属錯体、ヒンダードアミン化合物(所謂TEMPO化合物を含む。)、2−(2−ヒドロキシフェニル)1,3,5,−トリアジン化合物、金属不活性化剤、ホスフィット化合物、ホスホナイト化合物、ヒドロキシアミン化合物、ニトロン化合物、過酸化物スカベンジャー、ポリアミド安定剤、ポリエーテル化合物、塩基性補助安定剤、核剤、ベンゾフラノン化合物、インドリノン化合物、ホスフィン化合物、ポリアミン化合物、チオ尿素化合物、尿素化合物、ヒドラジト化合物、アミジン化合物、糖化合物、ヒドロキシ安息香酸化合物、ジヒドロキシ安息香酸化合物、トリヒドロキシ安息香酸化合物等が挙げられる。
具体的には、芳香族カルボン酸エステル類(例えば、フタル酸ジブチル、フタル酸ジフェニル、安息香酸フェニルなど)、脂肪族カルボン酸エステル類(例えば、アジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、ステアリン酸メチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジブチル、アセチルクエン酸トリエチルなど)、リン酸エステル類(例えば、リン酸トリオクチル、リン酸トリクレジルなど)、エポキシ類(例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化脂肪酸メチルなど)、アルコール類(例えば、ステアリルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DEGMBE)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、グリセリンモノメチルエーテル、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、トリエタノールアミン、ポリエチレングリコールなど)、植物油(例えば、大豆油、ヒマワリ油など)高級脂肪族カルボン酸(例えば、リノール酸、オレイン酸など)等が挙げられる。
本発明に用いられる支持体としては、プラスチック等の透明材料よりなる透明支持体、紙等の不透明材料からなる不透明支持体のいずれをも使用できる。インク受容層の透明性を生かす上では、透明支持体又は高光沢性の不透明支持体を用いることが好ましい。また、CD−ROM、DVD−ROM等の読み出し専用光ディスク、CD−R、DVD−R等の追記型光ディスク、更には書き換え型光ディスクを支持体として用いレーベル面側にインク受容層を付与することもできる。
前記透明支持体の厚みとしては、特に制限はないが、取り扱い易い点で、50〜200μmが好ましい。
白色顔料含有発泡ポリエステルフィルム(例えば、ポリオレフィン微粒子を含有させ、延伸により空隙を形成した発泡PET)も好適に挙げることができる。更に銀塩写真用印画紙に用いられるレジンコート紙も好ましい。
前記原紙としては、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプ、或いはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。前記木材パルプとしては、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。
但し、LBSP及び/又はLDPの含有率としては、10質量%〜70質量%が好ましい。
更に、原紙剛度としては、JIS P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。
原紙のpHは、JIS P−8113で規定された熱水抽出法により測定される値で、5〜9であることが好ましい。
バックコート層に含有される前記白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。
バックコート層に含有されるその他の成分としては、消泡剤や抑泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、耐水化剤等が挙げられる。
本発明のインクジェット記録用媒体のインク受容層は、例えば、支持体表面に少なくとも微粒子と非イオン性水溶性樹脂とを含む第1の塗布液(「塗布液(A)」ということもある。)を塗布し、(1)前記塗布と同時、(2)前記塗布によって形成される塗布層の乾燥途中であって前記塗布層が減率乾燥を示す前、の何れかのときに、少なくともpHが7.1以上の第2の塗布液(「塗布液(B)」と言うこともある。)を付与した後、前記第2の塗布液を付与した塗布層を架橋硬化させる方法(Wet−on−Wet法)により形成されるのが好ましい。また、前記架橋剤は、前記塗布液(A)及び塗布液(B)の少なくとも一方に含有される。前記界面活性剤は、前記塗布液(A)及び塗布液(B)の少なくとも一方に含有される。
前記カチオン変性PVAは、塗布液(A)及び塗布液(B)の少なくとも一方に含有され、好ましくは塗布液(A)に含有される。
この様にして架橋硬化させたインク受容層を設けることは、インク吸収性や膜のヒビ割れ防止などの観点から好ましい。
すなわち、気相法シリカ微粒子と分散剤とを水中に添加して(例えば、水中のシリカ微粒子は10〜20質量%)、高速回転湿式コロイドミル(例えば、エム・テクニック(株)製の「クレアミックス」)を用いて、例えば10000rpm(好ましくは5000〜20000rpm)の高速回転の条件で、例えば20分間(好ましくは10〜30分間)かけて分散させた後、架橋剤(ホウ素化合物)、ポリビニルアルコール水溶液(例えば、ポリビニルアルコールの量が前記気相法シリカの1/4程度となる様に)を加えて、上述と同じ回転条件で分散を行なうことにより調製することができる。得られた塗布液は均一なゾル状態であり、これを下記の塗布方法で支持体上に塗布し乾燥させることにより、三次元網目構造を有する多孔質構造のインク受容層を形成することができる。
本発明において、前記カチオン変性PVAとポリビニルアルコールとを組み合わせて用いる場合、前記微粒子の分散液中へのこれらの樹脂の添加の順番は、先に前記カチオン変性PVAを添加し、その後にポリビニルアルコールを添加する順番であることが好ましい。この順番でこれらの樹脂を添加することにより、微粒子の分散性を向上させることができる。
前記気相法シリカと分散剤とを混合して混合液とした後、前記混合液を分散機を用いて細粒化することで、平均粒子径50〜300nmの水分散液を得ることができる。前記水分散液を得るために用いる分散機としては、高速回転分散機や媒体撹拌型分散機(ボールミル、サンドミルなど)、超音波分散機、コロイドミル分散機、高圧分散機等の従来より公知の各種分散機を使用することができるが、形成されるダマ状微粒子の分散を効率的に行い得るという観点から、撹拌型分散機、コロイドミル分散機又は高圧分散機が好ましい。
前記分散剤の微粒子に対する添加量は、0.1%〜30%が好ましく、1%〜10%がより好ましい。
また、一度10℃以下の温度に冷却した後に、20〜65℃の温風を吹き付けて2〜30分間徐々に乾燥させてもよい。この方法は、塗布液(B)を用いずに乾燥する場合に、特に好ましい乾燥方法である。
(支持体の作製)
LBKP100部からなる木材パルプをダブルディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300mlまで叩解し、エポキシ化ベヘン酸アミド0.5部、アニオンポリアクリルアミド1.0部、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン0.1部、カチオンポリアクリルアミド0.5部を、いずれもパルプに対する絶乾質量比で添加し、長網抄紙機により秤量し170g/m2の原紙を抄造した。
下記組成中の[1]気相法シリカ微粒子と[2]イオン交換水と[3]「シャロールDC−902P」とを混合し、KD−P((株)シンマルエンタープライゼス製)を用いて分散させた後、[4]ホウ酸と[5]カチオン変性PVAとを加えて混合した。さらに、[6]ポリビニルアルコールと[7]ポリオキシエチレンラウリルエーテルと[8]水と[9]「アルファイン83」と[10]「ZB−115」とを混合し、インク受容層用塗布液Aを調製した。
[1] 気相法シリカ微粒子(無機微粒子) 16.0部
((株)トクヤマ製の「レオロシールQS−30」)
[2] イオン交換水 89.2部
[3] 「シャロールDC−902P」(51%水溶液) 1.6部
(分散剤、第一工業製薬(株)製)
[4] ホウ酸(架橋剤) 0.65部
[5] 下記カチオン変性PVA(a)7%水溶液 10.2部
(カチオン化度2mol%、重合度500、ケン化度78%)
[6] ポリビニルアルコール(水溶性樹脂)7%水溶液 40.6部
((株)クラレ製の「PVA124」、鹸化度98.5%、重合度2400)
[7] ポリオキシエチレンラウリルエーテル(界面活性剤) 1.9部
(花王(株)製「エマルゲン109P」(10%水溶液)HLB値13.6)
[8] イオン交換水 17.15部
[9] アルファイン83 1.0部
(ポリ塩化アルミニウム 23%水溶液)
[10] ZB−115(酢酸ジルコニル 15%水溶液) 1.7部
[1] イオン交換水 68.9部
[2] ホウ酸(架橋剤) 0.7部
[3] ポリアリルアミン「PAA−03」20%水溶液 15.0部
(有機カチオンポリマー、日東紡(株)製)
[4] パラトルエンスルホン酸・1水和物 1.8部
[5] 塩化アンモニウム(表面pH調製剤) 0.1部
[6] ポリオキシエチレンラウリルエーテル(界面活性剤) 10.0部
(花王(株)製「エマルゲン109P」(2%水溶液)HLB値13.6)
[7] メガファック「F1405」 0.2部
(大日本インキ化学工業(株)製のフッ素系界面活性剤)
前記支持体のオモテ面にコロナ放電処理を施した後、上述の方法で得られたインク受容層用塗布液(A)を、支持体のオモテ面にエクストルージョンダイコーターを用いて170mL/m2の塗布量で塗布し(塗布工程)、熱風乾燥機にて80℃(風速3〜8m/秒)で塗布層の固形分濃度が20%になるまで乾燥させた。この塗布層は、この間は恒率乾燥を示した。その直後、前記組成の塗布液(B)に30秒間浸漬して前記塗布層上にその15g/m2を付着させ、更に温度80℃の下で10分間乾燥させた(乾燥工程)。これにより、乾燥膜厚が32μmのインク受容層が設けられた本発明のインクジェット記録用媒体の一例であるインクジェット記録用シートを作製した。
実施例1において、<インク受容層用塗布液(A)の組成>中の[5]カチオン変性PVA(a)7%水溶液(カチオン化度2mol%、重合度500、ケン化度78%)10.2部を[5]カチオン変性PVA(a)7%水溶液(カチオン化度2mol%、重合度300、ケン化度78%)10.2部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを作製した。
実施例1において、<インク受容層用塗布液(A)の組成>中の[5]カチオン変性PVA(a)7%水溶液(カチオン化度2mol%、重合度500、ケン化度78%)10.2部を[5]カチオン変性PVA(a)7%水溶液(カチオン化度2mol%、重合度300、ケン化度68%)10.2部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを作製した。
実施例1において、<インク受容層用塗布液(A)の組成>中の[5]カチオン変性PVA(a)7%水溶液(カチオン化度2mol%、重合度500、ケン化度78%)を用いなかった以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを作製した。
実施例1において、<インク受容層用塗布液(A)の組成>中の[5]カチオン変性PVA(a)7%水溶液(カチオン化度2mol%、重合度500、ケン化度78%)10.2部を、[5]カチオン変性PVA(a)7%水溶液(カチオン化度2mol%重合度2000、ケン化度98%)10.2部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを作製した。
実施例1において、<インク受容層用塗布液(A)の組成>中の[5]カチオン変性PVA(a)7%水溶液(カチオン化度2mol%、重合度500、ケン化度78%)10.2部を、[5]下記カチオン変性PVA(b)7%水溶液(カチオン化度2mol%、重合度500、ケン化度78%)に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを作製した。
上述の方法により得られたインク受容層塗布液(A)及びインクジェット記録用シートを用い、下記評価試験を行った。その結果を表2に示す。
インク受容層用塗布液(A)の粘度を、B型粘度計にて測定した。測定温度は40℃とし、調液時及び調液2日後の粘度を測定した。
各インクジェット記録用シート上に、セイコーエプソン(株)製のインクジェットプリンター「PM−970C」ではマゼンタインクとブラックインクとを隣り合わせにした格子状の線状パターン(線幅:0.28mm)を印画し、キャノン(株)製のインクジェットプリンター「Pixus850i」ではマゼンタインクとイエローインクとを隣り合わせにした格子状の線状パターン(線幅:0.28mm)を印画して、Xライト社製の「Xライト310TR」によってビジュアル濃度を測定した。次いで、印画後に3時間放置した後、温度40℃湿度90%RHの恒温恒湿槽内に1日保管した後、再度ビジュアル濃度を測定して、保管前後の濃度差(ΔOD)を求めた。ΔODを、恒温恒湿槽内保管前のビジュアル濃度で除して100を乗ずることによりOD変動率(%)を求めた。ここでOD変動率は、その値が小さいほど経時にじみの発生が少なく、耐にじみ性に優れることを意味する。
A6サイズに裁断した各インクジェット記録用シートを10℃20%RHの環境下に1時間調湿し、4隅の立ち上がり高さの平均値を記録した。インク受容層側へのカールをプラスカール、インク受容層と反対側へのカールをマイナスカールと表記した。
Claims (4)
- 支持体上にインク受容層を有するインクジェット記録用媒体であって、
前記インク受容層が、少なくとも重合度が2000〜3500のポリビニルアルコールと、1次粒子径が0.1μm以下の気相法シリカと、有機カチオンポリマーと、水溶性多価金属塩とを含有し、前記有機カチオンポリマーの少なくとも1種は、重合度が200〜700でケン化度が50〜80%のカチオン変性ポリビニルアルコールであり、前記水溶性多価金属塩として、少なくとも、アルミニウム塩及び/又はジルコニウム塩が用いられることを特徴とするインクジェット記録用媒体。 - 前記カチオン変性ポリビニルアルコールが有するカチオン性基は、1乃至3級アミノ基又は4級アンモニウム塩基であり、前記2級若しくは3級アミノ基又は4級アンモニウム塩基は、炭素数2〜12のアルキル基で置換されていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用媒体。
- 前記インク受容層は、さらに、少なくとも1種の両性界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録用媒体。
- 前記インク受容層は、少なくとも前記気相法シリカと前記ポリビニルアルコールとを含有する塗布液を塗布した塗布層を架橋硬化させた層であり、前記架橋硬化は、前記塗布液及び/又は下記塩基性溶液に架橋剤を添加し、かつ、(1)前記塗布液を塗布して塗布層を形成すると同時、又は(2)前記塗布液を塗布して形成される塗布層の乾燥途中であって前記塗布層が減率乾燥を示す前のいずれかのときに、pH7.1以上の塩基性溶液を前記塗布層に付与することにより行われることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用媒体。
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