JP4361917B2 - エンジンの制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料噴射量等を制御するエンジンの制御装置に係り、特にデバイスの経時変化、使用燃料性状差等に起因する始動時の空燃比制御精度悪化を可及的に抑えることができる、経時変化や燃料性状差等にロバストなエンジンの制御装置に関する。
近年、北米、欧州、国内等の自動車用エンジンの排ガス規制強化に伴い、エンジン排気エミッション特性の向上が強く要求されつつある。触媒の高性能化及び触媒制御の高精度化が進み、エンジンの排気エミッション特性は、始動時に排出されるものが支配的になっている。排気空燃比を検出して、燃料噴射量を補正する空燃比フィードバック制御は、始動後一定時間後(10〜20s後)に開始される。空燃比フィードバック制御開始までは、空燃比制御は、主に吸入空気量を基に燃料噴射量を決めるフィードフォワード系のみで行われる。一方、稼働(使用)期間に応じて、燃料噴射弁(インジェクタ)等の各デバイスの経時変化、使用燃料の性状(気化率)の差(変化)等が実際には発生する。空燃比フィードフォワード系だけでは、これらの外乱に対応することができず、始動時の空燃比制御精度が悪化し、安定性及び排気エミッション特性の悪化を招く。
このことから、排気空燃比フィードバック制御開始前において経時変化や燃料性状差等にロバストな空燃比制御方法及び装置が、例えば下記特許文献1、2等に見られるように、従来より種々提案されている。
特開2005−105822号公報 特開2004−346810号公報
前記特許文献1には、「筒内空気量mc(k)を取得する手段と、筒内空気量mc(k)に基づいて、筒内で発生する理論上の基準トルクTia(k)を算出する基準トルク算出手段と、筒内での実際の燃焼により発生した図示トルクTi(k)を算出する筒内トルク算出手段と、基準トルクTia(k)と図示トルクTi(k)を比較した結果に基づいて、筒内の燃焼状態又は燃料の性状を判定する判定手段と、を備えたエンジンの制御装置」が開示されており、その中に、クランク角加速度を算出するクランク角加速度算出手段を備え、前記筒内トルク算出手段は、前記クランク角加速度に基づいて前記筒内トルクを算出することが開示されている。この特許文献を初めとして、その他の多くの特許文献では、角加速度を用いて、エンジンの安定性を求める方法が開示されている。
しかし、角加速度の場合は、例えば、所定回数爆発が発生する間、角加速度が小さくなる爆発が所定回数発生したとき、それによって、回転数の急激な落ち込みが継続して発生しているのか、それとも、一時的な回転落ち込みにとどまり、回転数が復帰したのかを特定することはできない。また、運転状態が過渡状態にあるとき等、ドリフト分が発生すると、その影響を受け、検出精度が悪化してしまうという問題がある。さらに、エンジンの燃焼安定性が悪化したことを検知した場合は、早期に正確に補正する必要があるが、それについては、上記特許文献では、開示されていない。
また、前記特許文献2には、「重み付け係数Kf算出処理では燃焼レベルLfaが頻度算出燃焼レベル以上となる回転変動頻度の高さに応じて重み付け係数Kfを大きくし、このことにより積算するLfaの値を増加させる。このため回転変動積算値Sfaの増加速度を高めることができ、回転変動頻度が高ければ回転変動積算値Sfaは、より高速に増加することになる。したがって、早期にかつ高精度にエンジン運転の不安定性を判定できるようになり、エンジン運転の不安定に対して迅速に対応することが可能となる。この場合、重質燃料であることを早期に判定して制御諸元の切り替えにより迅速に対応することができる。」との記載がある。かかる制御方法及び装置は、過去N回の爆発における、回転変動(角加速度)の大きさの指標である燃焼レベルLfaが所定値以上である回数nを求め、回数nに応じて、前記重み付け係数Kfを決めるものである。具体的には、回数nが大きいほど、すなわち回転変動の発生頻度が大きいほど、重み付け係数Kfを大きくするものでる。Lfaに重み付けをすることで、その積算値であるSfaの値は、回転変動の発生頻度が高いほど大きくなるので、Sfaが所定値を超えたときに、例えば燃料増量補正の実行が早期化されるものである。
しかしながら、上記制御方法及び装置によれば、少なくとも過去N回の爆発数のサンプルが必要であり、したがって、N回分のサンプルが終了するまでは、原理的に補正はできないことになる。始動時など比較的、燃焼が不安定な領域で、回転変動が大きくなるとエンストなど重大な性能悪化を引き起こす可能性があり、この場合は、可及的速やかな補正が必要となるが、前述の如く、この制御方法及び装置では、最低N回のサンプリングまで待つ必要があるため、必ずしも、制御の応答速度が最適化されているとは言えない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、燃焼空燃比のリーン化に伴うエンジンの安定性の悪化をより高精度に検出し、より早期に燃焼空燃比のリーン化を解消し得、エンジンの安定性を良好ならしめることのできるエンジンの制御装置を提供することにある。
前記目的を達成すべく、本発明に係るエンジンの制御装置の第1態様は、エンジン回転速度もしくはエンジンが所定角度回転する所要時間のn次微分値(nは整数)に基づいて、エンジンの燃焼空燃比を推定あるいはそれと相関のある値を演算する燃焼空燃比推定手段と、該燃焼空燃比推定手段の推定結果に基づいて、エンジンの燃料噴射量を補正する燃料噴射量補正手段とを備える(図1参照)。
すなわち、エンジンの回転速度(あるいはエンジンが所定角度回転する所要時間)のn次微分値(nは整数)を演算し、それらの値からエンジンの燃焼空燃比を推定あるいは燃焼空燃比と相関のある指標値を演算し、燃焼空燃比がエンジンの安定度を悪化させるほど、リーン化しているときは、燃料量を増量補正し、燃焼空燃比を安定領域に制御するものである。エンジンの回転速度の1次微分値、すなわちn=1のときは、角加速度の次元となるが、例えば、2次微分値、n=2のときは、は角加加速度の次元となる。詳細は後述するが、空燃比リーン化時の、角加速度、角加加速度は、それぞれに有用な情報を持つ。微分処理は、低周波数成分を遮断する特性を持つので、ドリフトノイズ、過渡運転時などの影響を受けにくくなり、検出精度が向上する。一方で、微分値の次数が高くなるにつれ、高周波ノイズへのロバスト性が下がるが、サンプリング周期を必要以上に高くしなければ、その心配はない。
本発明に係るエンジンの制御装置の第2態様は、エンジン回転速度もしくはエンジンが所定角度回転する所要時間の1次微分値及び/又は2次微分値を演算する手段を備え、前記燃焼空燃比推定手段は、前記1次微分値及び/又は2次微分値に基づいて、前記燃焼空燃比を推定するようにされる(図2参照)。
すなわち、第1態様の説明で述べたようにn次微分を1次微分値と2次微分とすることを明記するものである。
本発明に係るエンジンの制御装置の第3態様では、前記燃焼空燃比推定手段は、エンジンが所定角度回転する所要時間の1次微分値の正値及び/又は2次微分値の負値に基づいて、前記燃焼空燃比を推定するようにされる。
すなわち、図3に示されるように、エンジン回転数が低下するときは、エンジンが所定角度回転するのに要した時間(以下、回転所要時間)の1次微分値の正値が大きくなる。また、エンジン回転数が低下した後、回転数が復帰した場合は、回転所要時間の2次微分値の負値の絶対値が大きくなる。このことから、エンジンが所定角度回転する所要時間の1次微分値の正値及び/又は2次微分値の負値に基づいて、前記燃焼空燃比を推定するものである。
本発明に係るエンジンの制御装置の第4態様では、前記燃焼空燃比推定手段は、エンジンの回転速度もしくはエンジンが所定角度回転する所要時間の1次微分値の所定周波数成分及び/又は2次微分値の所定周波数成分に基づいて、前記燃焼空燃比を推定するようにされる。
すなわち、図4(A)及び図5(A)に示されるように、空燃比リーン化によって、燃焼が不安定となり、回転所要時間の1次微分値及び2次微分値の振れ幅は大きくなるが、この波形を周波数解析すると図4(B)及び図5(B)に示されるように、空燃比リーン化によって全帯域のパワスペクトル(以下パワ)が大きくなる。この現象に着目して、エンジン回転速度もしくは回転所要時間の1次微分値の所定周波数成分及び/又は2次微分値の所定周波数成分に基づいて、燃焼空燃比を推定するものである。
本発明に係るエンジンの制御装置の第5態様では、上記第4態様において、前記燃焼空燃比推定手段が前記燃焼空燃比を推定する際に用いる周波数成分は、少なくともエンジン回転数相当周波数成分及び前記エンジン回転数相当周波数の1/2周波数成分とされる。
すなわち、図4及び図5に示されるように、空燃比リーン化によって全帯域のパワが大きくなるが、特に、エンジン回転数相当周波数及びエンジン回転数周波数の1/2周波数にパワが集中していることがわかる。したがって、当該周波数のみのパワの検出で、精度よく空燃比のリーン化が検出可能である。
本発明に係るエンジンの制御装置の第6態様では、前記燃焼空燃比推定手段が前記燃焼空燃比を推定する際に用いる周波数成分は、少なくとも「エンジン回転数相当周波数の1/2周波数」から「エンジン回転数相当周波数」までの帯域の周波数成分とされる。
すなわち、第5態様では、検出周波数をエンジン回転数相当周波数及びエンジン回転数周波数の1/2周波数の2つに特定したが、図4及び図5に示されるように、その中間の帯域のパワも空燃比リーン化により強くなる。したがって、「エンジン回転数相当周波数の1/2周波数」から「エンジン回転数相当周波数」までの帯域の周波数のパワを検出することを提案するものである。
本発明に係るエンジンの制御装置の第7態様では、前記燃焼空燃比推定手段が前記燃焼空燃比を推定する際に用いる周波数成分は、検出可能な全周波数成分とされる。
すなわち、第4態様で述べたように、空燃比リーン化によって全帯域のパワが大きくなる。この現象に着目して、検出可能な全周波数のパワを演算し、もって、燃焼空燃比を推定することを明記するものである。
本発明に係るエンジンの制御装置の第8態様では、前記燃焼空燃比推定手段が前記燃焼空燃比を推定する際に用いる周波数成分は、サンプリング時間の逆数で与えられる周波数からサンプリング周期相当周波数までの全周波数帯域成分とされる。
すなわち、離散系の時間波形を周波数解析した場合、解析可能な周波数帯域は、サンプリング時間の逆数で与えられる周波数からサンプリング周期相当周波数までとなる。これを第7態様に記載の検出可能な全周波数のパワとするものである。
本発明に係るエンジンの制御装置の第9態様では、前記燃焼空燃比推定手段は、時間領域での所定期間における前記1次微分値及び/又は前記2次微分値の絶対値をそれぞれ積算した値を検出可能な全周波数成分の全パワとし、該全パワに基づいて、前記燃焼空燃比を推定するようにされる。
すなわち、パーシバルの定理より、「周波数領域の全パワ」と「時間領域の絶対値の積算値」は等価である。このことから、周波数領域での検出可能な全周波数成分の全パワを演算するのではなく、演算負荷低減の観点で有利な、時間領域での所定期間における前記1次微分値及び/又は前記2次微分値の絶対値をそれぞれ積算した値を演算することで代用することを提案するものである。
本発明に係るエンジンの制御装置の第10態様では、前記燃焼空燃比推定手段は、「所定期間内の前記エンジンが所定角度回転する所要時間の1次微分値が所定値以上となる回数が所定回数以上」で、かつ「前記所要時間の2次微分値が所定値以下となる回数が所定回数以下」のとき、エンジン回転速度が急激に減少したと判定するようにされる。
すなわち、第3態様で述べたように(図3参照)、エンジン回転数が低下するときは、エンジンが所定角度回転するのに要した時間(以下、回転所要時間)の1次微分値の正値が大きくなる。また、エンジン回転数が低下した後、回転数が復帰した場合は、回転所要時間の2次微分値の負値の絶対値が大きくなる。したがって、「所定期間内の前記エンジンが所定角度回転する所要時間の1次微分値が所定値以上となる回数が所定回数以上」で、かつ「前記所要時間の2次微分値が所定値以下となる回数が所定回数以下(すなわち、回転復帰が発生していない)」のとき、エンジン回転速度が急激に減少したと判定するものである。
本発明に係るエンジンの制御装置の第11態様では、前記燃焼空燃比推定手段は、「所定期間内の前記エンジンが所定角度回転する所要時間の1次微分値が所定値以上となる回数が所定回数以上」で、かつ「前記所要時間の2次微分値が所定値以下となる回数が所定回数以上」のとき、エンジン回転速度は急激に減少はしていないが、不安定な状態であると判定するようにされる。
すなわち、第3態様及び第10態様で述べたように、エンジン回転数が低下するときは、エンジンが所定角度回転するのに要した時間(回転所要時間)の1次微分値の正値が大きくなる。また、エンジン回転数が低下した後、回転数が復帰した場合は、回転所要時間の2次微分値の負値の絶対値が大きくなる。したがって、「所定期間内の前記エンジンが所定角度回転する所要時間の1次微分値が所定値以上となる回数が所定回数以上」かつ「前記所要時間の2次微分値が所定値以下となる回数が所定回数以上(すなわち、回転復帰が発生している)」のときは、エンジン回転速度は急激に減少はしていないが、回転速度が減少したり復帰したりの現象が発生しており不安定な状態であると判定するものである。
本発明に係るエンジンの制御装置の第12態様では、前記燃焼空燃比推定手段は、「所定期間内の前記エンジンが所定角度回転する所要時間の1次微分値の所定周波数成分が所定値以上となる回数が所定回数以上」で、かつ「前記所要時間の2次微分値の所定周波数成分が所定値以下となる回数が所定回数以下」のとき、エンジン回転速度が急激に減少したと判定するようにされる。
すなわち、第10態様で説明した原理を、周波数領域で行うものである。
本発明に係るエンジンの制御装置の第13態様では、前記燃焼空燃比推定手段は、「所定期間内の前記エンジンが所定角度回転する所要時間の1次微分値の所定周波数成分が所定値以上となる回数が所定回数以上」で、かつ「前記所要時間の2次微分値の所定周波数成分が所定値以下となる回数が所定回数以上」のとき、エンジン回転速度は急激に減少はしていないが、不安定な状態であると判定するようにされる。
すなわち、第11態様で説明した原理を、周波数領域で行うものである。
本発明に係るエンジンの制御装置の第14態様では、前記燃焼空燃比推定手段は、「前記1次微分値が所定値以上となる回数が所定回数に達するのに要した回数(燃焼回数)A」及び/又は「前記2次微分値が所定値以下となる回数が所定回数に達するのに要した回数(燃焼回数)B」を演算し、前記回数(燃焼回数)A及び/又はBに基づいて、前記燃焼空燃比を推定するようにされる。
すなわち、本態様により、先に述べた従来制御における制御の応答速度の問題点が解決されるものである。以下に図6を参照しながら具体的に説明する。図6は、回転所要時間とその1次微分値と、変動の大きさをイメージしたものである。横軸は時間を表しており、各点の間隔は燃焼(爆発)周期に相当数する。変動の大きさは、第10態様及び第11態様で示したように、1次微分値が所定値以上のときを検出し、そのときの1次微分値(以後有効パワと呼ぶ)を積算したものである。例えば図中では、有効パワが4回発生するの要した燃焼回数Aをカウントしている。最初(1回目)の燃焼回数Aは10であり、2回目の燃焼回数Aは11であり、3回目の燃焼回数Aは7である。
このように、所定爆発数に占める有効パワの発生回数をカウントするのではなく、有効パワの発生回数が所定回数(ここでは4回)に達するのに要した燃焼回数Aをカウントし、燃焼回数Aが小さいほど、有効パワが頻繁に発生することを意味するので、安定度が低い(燃焼空燃比がリーンである)ことになる。本例では、最初は、4回有効パワが発生するまでサンプリングをする必要があるが、それ以降は、有効パワが発生する毎に、それを含めてそれ以前の有効パワが4回発生するのに要した燃焼回数Aが更新される。したがって、遅れなしに燃焼空燃比を推定することができ、後述するように、燃料補正も、遅れなしで行われることになる。これにより、始動時など比較的、燃焼が不安定な領域で、回転変動が大きくなっても、可及的速やかに、検出及び補正を行うことができるので、エンストなど重大な性能悪化を回避できる可能性が高くなる。なお、ここでは、図示していないが、回転所要時間の2次微分値についても同様の処理を行うこと(燃焼回数B)を、第14態様では提案している。
本発明に係るエンジンの制御装置の第15態様では、前記燃焼空燃比推定手段は、「前記1次微分値の周波数成分が所定値以上となる回数が所定回数に達するのに要した回数(燃焼回数)C」及び/又は「前記2次微分値の周波数成分が所定値以下となる回数が所定回数に達するのに要した回数(燃焼回数)D」を演算し、前記回数(燃焼回数)C及び/又はDに基づいて、燃焼空燃比を推定するようにされる。
すなわち、第14態様で説明した原理を、周波数領域で行うものである。この場合は、燃焼回数C、燃焼回数Dとする。
本発明に係るエンジンの制御装置の第16態様では、前記燃焼空燃比推定手段は、前記回数(燃焼回数)A、B、C、又はDが、小さいほど燃焼空燃比がリーン側にあり、大きいほど燃焼空燃比がリッチ側にあると推定するようにされる。
すなわち、第14態様で述べたように、燃焼回数A、B、C、Dそれぞれが小さいほど、有効パワが頻繁に発生することを意味するので、安定度が低い(燃焼空燃比がリーンである)ことを明記するものである。
本発明に係るエンジンの制御装置の第17態様では、前記燃料噴射量補正手段は、前記燃焼空燃比推定手段により前記回数(燃焼回数)A、B、C、又はDが所定回数以下であると判定されたとき、燃料噴射量を増量補正するようにされる。
すなわち、第14態様で述べたように、最初は、4回(図6の例では)有効パワが発生するまでサンプリングをする必要があるが、それ以降は、有効パワが発生する毎に、それを含めてそれ以前の有効パワが4回発生するのに要した燃焼回数A(B、C、Dもしかり)が更新される。したがって、遅れなしに燃焼空燃比を推定することができる。そして、燃焼回数A(B、C、D)が所定回数以下のとき、すなわち、安定度が悪化しているときは、燃焼空燃比が所定値以上リーン化しているとし、燃料噴射量の増量補正を行うこととするものである。このように、回転変動発生と同時に増量補正を行うので、遅れなしで燃料補正が行われることになる。これにより、始動時など比較的、燃焼が不安定な領域で、回転変動が大きくなっても、可及的速やかに、検出及び補正を行うことができるので、エンストなど重大な性能悪化を回避できる可能性が高くなる。
本発明に係るエンジンの制御装置の第18態様では、前記燃料噴射量補正手段は、「前記1次微分値が所定値以上となった回数分の積算値」、「前記2次微分値が所定値以下となった回数分の積算値」、「前記1次微分値の周波数成分が所定値以上となった回数分の積算値」、及び「前記2次微分値の周波数成分が所定値以下となった回数分の積算値」のうちの少なくとも一つに基づいて、燃料噴射量の増量補正量Eを設定するようにされる。
本態様では、燃料噴射量の増量補正を行う場合、その増量補正量を決める方式を示すものである。すなわち、図6で示されるように、有効パワの積算値(図6の例では4回分)に基づいて増量補正量を決めるものである。一般に回転変動大きいほど、増量補正量は大きくなる。
本発明に係るエンジンの制御装置の第19態様では、前記燃料噴射量補正手段は、前記回数(燃焼回数)A、B、C、及びDのうちの少なくとも一つに基づいて、燃料噴射量の増量補正量Eを設定するようにされる。
本態様も、第18態様と同様に、燃料噴射量の増量補正を行う場合、その増量補正量を決める方式を示すものである。すなわち、燃焼回数A(B、C、D)に基づいて燃料補正量を決めるものである。一般に、燃焼回数Aが小さいほど、安定性は悪い(燃焼空燃比がリーンな)ので、燃料補正量は大きくなる。第18態様では、回転変動の大きさを用いたが、本態様では、回転変動の発生頻度で燃料補正量を決める。
本発明に係るエンジンの制御装置の第20態様では、始動後経過時間及び/又は冷却水温に基づいて、燃料増量補正量Eを演算する手段を備え、前記推定燃焼空燃比が所定値以上のときは、燃料噴射量の増量補正量Eの値を所定期間変化させないか、もしくは前記増量補正量Eの変化率を変更するようにされる。
すなわち、従来制御には、吸気空気量から空燃比が理論空燃比となるように、燃料噴射量を決めているが、冷機始動時は始動後一定時間は、燃料気化率が低いため、それを考慮して、始動後燃料増量が行われている。始動後増量は、水温、始動後経過時間などから決められ、吸気通路壁温、吸気弁温度などの温度に依存するため、始動後経過時間が長くなるにつれ叙々に減少するのが一般的である。
しかし、この始動後増量は、特定の燃料性状の気化率に基づいて決められるため、その特定の燃料性状以外の性状を持つ燃料を用いた場合は、始動時に所望の空燃比プロフィールが実現できなくなる。特に、その特定の燃料性状よりも気化率が低い、すなわち、重質よりの燃料を用いた場合は、始動時の空燃比のプロフィールが所望のプロフィールよりもリーン化し、結果として、安定性悪化を招くことになる。このとき、第1〜16態様で、燃焼空燃比を検出し、燃焼空燃比が所定値以上、すなわちリーンのときは、前記始動後増量を減少させずに保持させるものである。保持させることにより、それ以上燃焼空燃比がリーン化しないようにするものである。その後、吸気通路、吸気弁の温度上昇に伴い、燃料気化率が上がり、その結果燃焼空燃比がリッチ化したときは、同様にそれを検出し、再び、始動後増量を減少させていくものである。本態様では、燃焼空燃比がリーン化しても燃料を増量させないので、誤補正のポテンシャルがなく、より実用的な方式である。
本発明に係るエンジンの制御装置の第21態様では、前記燃料噴射量補正手段は、前記燃焼回数A、B、C、及び/又はDが所定回数以下のとき、前記増量補正量Eの値を所定期間変化させないか、もしくは前記増量補正量Eの変化率を変更するようにされる。
すなわち、第20態様において、燃焼空燃比を推定する方式を第14態様で示した燃焼回数A、B、C、Dに基づくことを明記するものである。
本発明に係るエンジンの制御装置の第22態様では、前記燃料噴射量補正手段は、前記燃料増量補正を行った後の所定期間は、さらなる燃料増量補正を行わないようにされる。
すなわち、燃焼空燃比が燃料燃料増量補正実施後は、実査に燃料噴射されるまでの無駄時間、噴射燃料が燃焼するまでの遅れ(壁流の影響、間欠燃焼によるメカニカルな遅れなど)により、その効果が出るまでには、一定の時間を要する。したがって、燃料増量補正後の一定時間は、仮に燃焼空燃比がリーン化したままであっても、燃料増量補正を行わないことを提案するものである。
本発明に係るエンジンの制御装置の第23態様では、前記燃料噴射量補正手段は、始動後経過時間、始動時冷却水温、冷却水温、始動時吸気温、及び吸気温のうちの少なくとも一つに応じて、前記燃料増量補正量の制限値を設定するようにされる。
すなわち、燃焼空燃比がリーン化した場合、燃料を増量させるが、過補正とならないようリッチ側への補正に制限値を設ける。ただし、この制限値は、一定ではなく、始動後経過時間、冷却水温に応じて、変化させるものである。これは、吸気通路温度、吸気弁温度の上昇に伴い、燃料気化率が上昇するので、燃焼空燃比が一定値よりリッチにならないための、燃料補正制限値が変化するためである。例えば、始動後経過時間、水温上昇に応じて、制限値を徐々にリーン側に変化させて(増量補正量を小さくして)いくなどである。
本発明に係るエンジンの制御装置の第24態様では、エンジンに吸入された気筒毎の吸入空気量と気筒毎の噴射燃料量の重量比である供給空燃比を演算する供給空燃比演算手段を備え、前記燃焼空燃比推定手段は、前記供給空燃比に基づいて、前記燃焼空燃比を推定するようにされる(図7参照)。
すなわち、回転速度、回転所要時間などのn次微分値から燃焼空燃比を推定する場合、供給空燃比を考慮することで、より精度良く燃焼空燃比を推定することを図るものである。
本発明に係るエンジンの制御装置の第25態様では、前記燃焼空燃比推定手段は、始動時冷却水温、冷却水温、始動時吸気温、及び吸気温のうちの少なくとも一つに基づいて、前記燃焼空燃比の推定を許可するか否かの判定を行うようにされる。
すなわち、供給空燃比と燃焼空燃比は、燃料の気化率が低いほど、乖離が大きくなる。したがって、燃焼空燃比の推定は、主に燃料の気化率が低いときに行うのが効果的である。燃料気化率が低い状態をエンジン始動時の冷却水温、エンジン始動時の吸気温、冷却水温、吸気温などから決める。
本発明に係るエンジンの制御装置の第26態様では、前記燃料噴射量補正手段は、前記燃焼空燃比推定手段により推定される燃焼空燃比が所定値となるまで、燃料噴射量を減量補正するようにされる。
すなわち、推定燃焼空燃比が所定値よりリーン側にあるとき、燃料増量補正を行うが、それにより必ずしも、最適空燃比にならない場合を考慮し、増量補正後は、再び燃料を減量させていき、推定燃焼空燃比が所定値となるまでリーン化させるものである。
本発明に係るエンジンの制御装置の第27態様は、前記燃焼空燃比推定手段の推定結果に基づいて、使用燃料の性状を推定する燃料性状推定手段を備える。
すなわち、燃料性状が重質化すると、燃焼空燃比はリーン化するため、燃焼空燃比を推定することで、使用燃料の性状を推定することが可能である。
本発明に係るエンジンの制御装置の第28態様では、前記燃料性状推定手段は、前記供給空燃比と前記推定燃焼空燃比との差もしくは比から、使用燃料の性状を推定するようにされる。
すなわち、供給空燃比と燃焼空燃比は、燃料の気化率が低いほど、乖離が大きくなることに鑑みてなされたものである。
本発明に係るエンジンの制御装置の第29態様では、前記燃料性状推定手段は、冷却水温、吸気温、始動後経過時間のうちの少なくとも一つが所定値以上のときは、前記燃焼空燃比推定手段の推定結果に基づく燃料性状の推定を行わないようにされる。
すなわち、燃料性状による気化率の差は、燃料温度が一定値以上となるほとんど差がなくなる。したがって、冷却水温、冷却吸気温、始動後経過時間などから燃料性状差による燃焼空燃比差が発生する領域を限定し、当該領域において、推定燃焼空燃比がリーン化したとき、使用燃料がより重質化しているものと判定するものである。
本発明に係るエンジンの制御装置の第30態様では、前記燃焼空燃比推定手段が気筒毎に燃焼空燃比を推定し、該推定結果に基づいて、前記燃料噴射量補正手段が気筒毎に燃料噴射量の補正を行うようにされる。
本発明に係るエンジンの制御装置の第31態様では、前記燃料性状判定手段は、「前記推定燃焼空燃比が所定値よりリーン側にあり」、かつ「燃料噴射量を増量補正した際に、推定燃焼空燃比が所定値以上リッチ側に変化した」とき、使用燃料は、第一の燃料性状より気化率の低い燃料であると判定するようにされる。
すなわち、燃焼空燃比のリーン化は、使用燃料の重質化以外にもあり得る。しかし、燃焼空燃比のリーン化を検出し、燃料を増量補正したときに、燃焼空燃比がリッチ側に変化した場合は、燃料の重質化により燃焼空燃比がリーン化したものと判断するものである。
本発明に係るエンジンの制御装置の第32態様では、第一の燃料性状用の制御パラメータ演算手段と、前記第一の燃料より気化率が低い第二の燃料性状用の制御パラメータ演算手段と、を備え、前記燃料性状判定手段は、前記第一の燃料性状用制御パラメータ演算手段で燃料噴射量の補正を行っているとき、「前記推定燃焼空燃比が所定値よりリーン側にあり」、かつ「燃料噴射量を増量補正したことにより、推定燃焼空燃比が所定値以上リッチ側に変化した」とき、制御パラメータ演算手段を前記第一の燃料性状用から前記第二の燃料性状用に切り換えるようにされる。
すなわち、第31態様に準じるが、本態様では、操作量を燃料量に限定せず、点火時期など、その他の制御パラメータについても制御対象とするものである。
本発明によれば、燃焼空燃比のリーン化に伴うエンジンの安定性の悪化をより高精度に検出し、より早期に燃焼空燃比のリーン化を解消し得、エンジンの安定性を良好ならしめることができるとともに、デバイスの経時変化、使用燃料性状差等に起因する始動時の空燃比制御精度悪化を可及的に抑えることができ、経時変化や燃料性状差等にロバストなエンジンの制御装置を提供することが可能となる。
以下、本発明のエンジンの制御装置の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図8は、本発明に係るエンジンの制御装置の実施形態(第1〜第4実施例共通)を、それが適用された車載用エンジンの一例と共に示す概略構成図である。
図示のエンジン10は、例えば4つの気筒#1、#2、#3、#4を有する多気筒エンジンであって、シリンダ12と、このシリンダ12の各気筒#1、#2、#3、#4内に摺動自在に嵌挿されたピストン15と、を有し、該ピストン15上方には燃焼室17が画成される。各気筒#1、#2、#3、#4の燃焼室17には、点火プラグ35が臨設されている。
燃料の燃焼に供せられる空気は、吸気通路20の始端部に設けられたエアクリーナ21から取り入れられ、エアフローセンサ24を通り、電制スロットル弁25を通ってコレクタ27に入り、このコレクタ27から前記吸気通路20の下流端に配在された吸気弁28を介して各気筒#1、#2、#3、#4の燃焼室17に吸入される。また、前記吸気通路20の下流部分(吸気ポート)には、燃料噴射弁30が配置されている。
燃焼室17に吸入された空気と燃料噴射弁30から噴射された燃料との混合気は、点火プラグ35による火花点火により燃焼せしめられ、その燃焼廃ガス(排気)は、燃焼室17から排気弁48を介して排気通路40の上流部分を形成する個別通路部40Aに排出され、その個別通路部40Aから排気集合部40Bを通って排気通路40に備えられた三元触媒50に流入して浄化された後、外部に排出される。
また、排気通路40における三元触媒50より下流側には酸素センサ52が配在され、排気通路40における触媒50より上流側の排気集合部40BにはA/F(空燃比)センサ51が配在されている。
前記空燃比センサ51は、排気中に含まれる酸素の濃度に対して線形の出力特性を持つ。排気中の酸素濃度と空燃比の関係はほぼ線形になっており、したがって、酸素濃度を検出する空燃比センサ51により、前記排気集合部40Bにおける空燃比を求めることが可能となる。コントロールユニット100(後述)では、空燃比センサ51からの信号から三元触媒50上流の空燃比を算出し、酸素センサ52からの信号から、三元触媒50下流の酸素濃度もしくはストイキに対してリッチもしくはリーンであるかを算出する。また、両センサ51、52の出力を用いて三元触媒50の浄化効率が最適となるよう燃料噴射量もしくは空気量を逐次補正するF/B制御を行う。
また、燃焼室17から排気通路40に排出された排気ガスの一部は、必要に応じてEGR通路41を介して吸気通路20に導入され、吸気通路20の分岐通路部を介して各気筒の燃焼室17に還流される。前記EGR通路41には、EGR率を調整するためのEGRバルブ42が介装されている。
そして、本実施形態の制御装置1においては、エンジン10の種々の制御を行うため、マイクロコンピュータを内蔵するコントロールユニット100が備えられている。
コントロールユニット100は、基本的には、図9に示される如くに、CPU101、入力回路102、入出力ポート103、RAM104、ROM105等で構成される。
コントロールユニット100には、入力信号として、エアフローセンサ24により検出される吸入空気量に応じた信号、スロットルセンサ34により検出されるスロットル弁25の開度に応じた信号、クランク角センサ(回転数センサ)37から得られるクランクシャフト18の回転(エンジン回転数)・位相をあらわす信号(クランク角センサ37からは、例えば、回転角1度毎に信号パルスが出力される)、排気通路40における三元触媒50より下流側に配在された酸素センサ52からの、三元触媒50下流の酸素濃度もしくはストイキに対してリッチもしくはリーンであるかを表す信号、排気通路40における触媒50より上流側の排気集合部40Bに配在された空燃比センサ51により検出される酸素濃度(空燃比)に応じた信号、シリンダ12に配設された水温センサ19により検出されるエンジン冷却水温に応じた信号、アクセルセンサ36から得られるアクセルペダル39の踏み込み量(運転者の要求トルクを示す)に応じた信号、等が供給される。
コントロールユニット100においては、空燃比センサ51、酸素センサ52、スロットルセンサ34、エアフローセンサ24、クランク角センサ37、水温センサ19、アクセルセンサ36、等の各センサの出力が入力され、これらのセンサ出力からコントロールユニット100は、エンジンの運転状態を認識し、この運転状態に基づいて、吸入空気量、燃料噴射量、点火時期のエンジンの主要な操作量を演算する。コントロールユニット100で演算された燃料噴射量は開弁パルス信号に変換され、燃料噴射弁駆動回路117から燃料噴射弁30に送られる。また、コントロールユニット100で演算された点火時期で点火されるよう駆動信号が点火出力回路116から点火プラグ35に送られる。
より詳細には、コントロールユニット100においては、入力回路102にてノイズ除去等の信号処理を行った後、入出力ポート103に送られる。入力ポートの値はRAM104に保管され、CPU101内で演算処理される。演算処理の内容を記述した制御プログラムはROM105に予め書き込まれている。制御プログラムに従って演算された各アクチュエータ操作量を表す値はRAM104に保管された後、出力ポート103に送られる。
点火プラグ35に対する駆動信号は点火出力回路116内の一次側コイルの通流時はONとなり、非通流時はOFFとなるON・OFF信号がセットされる。点火時期はONからOFFになる時点である。出力ポート103にセットされた点火プラグ35用の信号は点火出力回路116で点火に必要な十分なエネルギーに増幅され点火プラグ35に供給される。また、燃料噴射弁30の駆動信号(開弁パルス信号)は開弁時ON、閉弁時OFFとなるON・OFF信号がセットされ、燃料噴射弁駆動回路117で燃料噴射弁30を開弁するのに十分なエネルギーに増幅されて燃料噴射弁30に供給される。電制スロットル弁25の目標開度を実現する駆動信号は、電制スロットル駆動回路118を経て、電制スロットル弁30に送られる。
次に、コントロールユニット100が実行する処理内容を具体的に説明する。
[第1実施例]
図10は、第1実施例の制御システム図で、基本燃料噴射量演算手段120、燃料補正量演算手段130、不安定度(燃焼空燃比)検出手段150、回転所要時間演算手段140を備える。基本燃料噴射量Tpに燃料補正量演算手段130で演算されるTp_hosを乗じて、全気筒の燃焼空燃比が所望空燃比となるよう燃料噴射量Tiが演算される。燃料補正量演算手段130で演算されるTp_hosは、回転変動(から推定した燃焼空燃比)に基づいて演算される。より詳しくは、燃焼空燃比が所望空燃比よりリーンにあると判断された場合は、Tp_hosを増量し、燃焼空燃比をリッチならしめるものである。回転所要時間演算手段140は、クランク角度センサ37から出力される120゜毎のパルス間の所要時間ΔT120を演算する。マイコンのタイマ機能を用いるのが一般的であり、ここでは詳述しない。以下、不安定度(燃焼空燃比)検出手段150、基本燃料噴射量演算手段120、燃料補正量演算手段130、の詳細説明をする。
<不安定度(燃焼空燃比)検出手段150(図11)>
図11は、不安定度(燃焼空燃比)検出手段150を示した図である。本検出手段150は、不安定度検出許可手段151、1次微分値・2次微分値演算手段152、不安定度指標演算手段160を備える。不安定度検出許可手段151では、回転変動から燃焼空燃比に準じる指標の演算を行うか否かを判定し、検出許可時は、検出許可フラグf_kensyutsu_kyokaを1とする。不許可のときは、0とする。1次微分値・2次微分値演算手段152では、120゜毎のパルス間の所要時間ΔT120の1次微分値・2次微分値演算する。マイコンでの演算なので、実際は、差分処理となる。不安定度検出許可フラグ=1のとき、1次微分値及び2次微分値に所定の処理を施して、不安定度指標演算手段160においてエンジン(燃焼)の不安定度指標を演算する。
なお、各ブロックの処理の詳細は後述する。
<不安定度指標演算手段160(図12)>
図12は、不安定度指標演算手段160を示す。本演算手段160は、有効パワ演算手段161及び燃焼回数・変動の強さ演算手段162を備える。有効パワ演算手段161は、不安定度検出許可フラグ=1のとき、1次微分値の正値及び2次微分値の負値、それぞれの有効パワを演算する。
各ブロックの処理の詳細は後述する。
<燃料補正量演算手段130(図13)>
図13は、燃料補正量演算手段130を示す。本演算手段130は、燃料補正許可手段135、補正量演算手段131からなる。燃料補正許可手段135は、燃焼回数(1次微分)もしくは燃焼回数(2次微分)が所定回数以下のとき、変動発生頻度が高い(燃焼空燃比が許容以上にリーン化した)と判断して、燃料補正を許可するものである。燃料補正許可フラグ(1次微分)は、燃焼回数(1次微分)が所定回数以下のとき1となり、燃料補正許可フラグ(2次微分)は、燃焼回数(2次微分)が所定回数以下のとき1となる。補正量演算手段131では、燃料補正許可フラグ(1次微分)=1のときは、変動の強さ(1次微分)に基づいて、補正量Tp_hosを演算する。燃料補正許可フラグ(2次微分)=1のときは、変動の強さ(2次微分)に基づいて、補正量Tp_hosを演算する。燃料補正許可フラグ(1次微分)=1と燃料補正許可フラグ(2次微分)=1が同時に発生したときは、より変動頻度の高い方(燃焼回数(1次微分)と燃焼回数(2次微分)の小さい方)を選択し、燃料補正を行う。各ブロックの処理の詳細は後述する。
<基本燃料噴射量演算手段120(図14)>
本演算手段120では、エンジンの吸入空気量に基づいて任意の運転条件において目標トルクと目標空燃比を同時に実現する燃料噴射量を演算することを目的とする。具体的には、図14に示されるように、基本燃料噴射量Tpを演算する。Cylは気筒数を表し、ここで6である。Kは、燃料噴射弁(インジェクタ)30の仕様(燃料噴射パルス幅と燃料噴射量の関係)に基づき決める。
<1次微分値、2次微分値演算手段152(図15)>
本演算手段152では、120゜毎のパルス間の所要時間ΔT120の1次微分値・2次微分値を演算する。具体的には、図15に示される。ここに、kは、120゜CAごとに1ずつ加算される値である。マイコンでの演算なので、実際は、図中に示されるように差分処理となる。
<不安定度検出許可手段151(図16)>
本許可手段151では、不安定度検出許可フラグの演算を行う。具体的には、図16に示されるように、「始動後のサイクルが所定Cycle_sidou0以上」で、かつ「冷却水温Twn(k)が所定範囲内にあり」、かつ「吸気温Twa(k)が所定範囲内にある」とき、不安定度を検出すべく不安定度検出許可フラグ=1とする。それ以外のときは、不許可とし不安定度検出許可フラグ=0とする。なお、Cycle_sidou0は、エンジンの性能で決めるのがよい。初爆から検出する場合、完爆以降で検出する場合、回転数がピークに達した後に検出する場合など、目的に添った値に設定するのがよい。また、冷却水温及び吸気温同様である。燃料性状の影響を検出したい場合は、燃料気化率差が発生する領域で設定するのがよい。
<有効パワ演算手段161(図17)>
本演算手段161では、1次微分値の正値及び2次微分値ddd_time(k)それぞれの有効パワを演算する。具体的には、図17に示される。
不安定度検出許可フラグが1かつ1次微分値が所定値以上のとき、有効パワ発生フラグ(1次微分)を1とし、1次微分値と所定値の差を有効パワ(1次微分)とする。不安定度検出許可フラグが1かつ2次微分値が所定値以下のとき、有効パワ発生フラグ(2次微分)を1とし、2次微分値と所定値の差を有効パワ(2次微分)とする。
また、不安定度検出許可フラグ=1なってからの本処理の起動毎に、不安定度検出許可後総燃焼数を1ずつ加算させ、検出許可後の総燃焼回数を演算する。
なお、上記例では、有効パワを敷居値との差(相対値)で求めたが、絶対値とするのもよい。
<燃焼回数・変動の強さ演算手段162(1次微分値)(図18)>
本演算手段162は、1次微分値の有効パワに基づいて、回転変動の発生頻度とその強さを演算する。具体的には、図18に示されるように、有効パワ発生フラグ(1次微分)=1のとき、燃焼回数・変動の強さ更新フラグ(1次微分)、燃焼回数(1次微分)、変動の強さ(1次微分)を演算する。演算方法は、図6に示される。なお、有効パワ発生フラグ(1次微分)=1かつ有効パワ発生回数(1次微分)が3回以上になったとき、燃焼回数・変動の強さ(1次微分)更新フラグ=1とする。
<燃焼回数・変動の強さ演算手段162’(2次微分値)(図19)>
本演算手段162’は、2次微分値の有効パワに基づいて、回転変動の発生頻度とその強さを演算する。具体的には、図19に示されるように、有効パワ発生フラグ(2次微分)=1のとき、燃焼回数・変動の強さ更新フラグ(2次微分)、燃焼回数(2次微分)、変動の強さ(2次微分)を演算する。演算方法は、図6に示される。なお、有効パワ発生フラグ(2次微分)=1かつ有効パワ発生回数(2次微分)が3回以上になったとき、燃焼回数・変動の強さ(2次微分)更新フラグ=1とする。
<燃料補正許可手段135(図20)>
燃料補正許可手段135では、燃料補正を行うか否か(可否)を判定する。具体的には、図20に示される。すなわち、図20(A)に示されているように、「燃焼回数・変動の強さ(1次微分)更新フラグ=1」、かつ「燃焼回数(1次微分)が所定値A以下」のとき、1次微分値により安定性が燃料補正を行う必要があるほど悪化したと判断し、燃料補正許可フラグ(1次微分)=1とする。
また、図20(B)に示されているように、「燃焼回数・変動の強さ(2次微分)更新フラグ=1」、かつ「燃焼回数(2次微分)が所定値B以下」のとき、2次微分値により安定性が燃料補正を行う必要があるほど悪化したと判断し、燃料補正許可フラグ(2次微分)=1とする。
「燃料補正許可フラグ(1次微分)=1」と「燃料補正許可フラグ(2次微分)=1」が同時発生した場合は、燃焼回数(1次微分)と燃焼回数(2次微分)の大小を比較して、小さい方、すなわち、有効パワの発生頻度が高い方の燃料補正許可フラグを1とし、残りの一方のフラグを0とする。
<補正量演算手段131(図21)>
本演算手段131では、燃料補正量を演算する。具体的には、図21に示されるように、燃料補正許可フラグ(1次微分)=1のとき、変動の強さ(1次微分)に基づいて、燃料補正量基本値Tp_hos0が演算される。燃料補正許可フラグ(2次微分)が=1のときは、変動の強さ(2次微分)に基づいて、燃料補正量基本値Tp_hos0が演算される。Tp_hos0は、上限値Tp_hos_limで制限される。Tp_hos_limは、始動後経過時間及び始動時水温に基づいて決められる。すなわち、燃料を過剰に補正しないよう、燃料補正量(増量補正量)の上限を、燃料気化率の変化に応じて、動的に変化させていくものである。
[第2実施例]
第1実施例では、回転変動(燃焼空燃比)の検出を時間領域処理で行ったが、本第2実施例では、回転変動(燃焼空燃比)の検出を周波数領域で行う。
本第2実施例の制御システムは、図10に示される第1実施例と基本的には同じであり、以下においては、第1実施例とは構成機能が異なる手段(有効パワ演算手段161’)を重点的に説明する。
<有効パワ演算手段161’(図22)>
本演算手段161’では、1次微分値の回転数周波数のパワスペクトル及び2次微分値の回転数周波数のパワスペクトルそれぞれの有効パワを演算する。具体的には、図22に示されるように、120゜回転所要時間ΔT120の1次微分値から逐次、DFT(Discrete Fourier Transform:離散フーリエ変換)を行い、回転数周波数のパワスペクトル(1次微分)を求める。なお、1次微分値は、120゜毎に得られるので、回転数周波数のパワスペクトルを求める場合、最初は、少なくとも一回転分すなわち3つのサンプリング値が必要であるが、その後は、1次微分値が1回得られる毎に、回転数周波数のパワスペクトルの演算が可能である。なお、離散フーリエ変換については、多くの書物、文献があるので、ここでは詳述しない。
同様に、120゜回転所要時間ΔT120の2次微分値から逐次、DFTを行い、回転数周波数のパワスペクトル(2次微分)を求める。
不安定度検出許可フラグ=1のとき、パワスペクトル(1次微分)が所定値以上のとき、有効パワ発生フラグ(1次微分)=1とし、パワスペクトル(1次微分)と所定値の有効パワ(1次微分)とする。また、不安定度検出許可フラグ=1のとき、パワスペクトル(2次微分)が所定値以上のとき、有効パワ発生フラグ(2次微分)=1とし、パワスペクトル(2次微分)と所定値の有効パワ(2次微分)とする。また、不安定度検出許可フラグ=1なってからの本処理の起動毎に、不安定度検出許可後総燃焼数を1ずつ加算させ、検出許可後の総燃焼回数を演算する。
本第2実施例では、検出周波数を回転数周波数のパワスペクトルとしたが、前述したように、回転数周波数の1/2周波数(2回転成分)あるいはその他の周波数帯域としてもよい。ノイズロバスト性を上げるため、これらを組み合わせるのもよい。なお、有効パワを敷居値との差(相対値)で求めたが、絶対値とするのもよい。
[第3実施例]
第1実施例では、回転変動(燃焼空燃比)があるレベルを超えたら、燃料噴射量を増量補正する方式としたが、本第3実施例では、回転変動(燃焼空燃比)があるレベルを超えたら、従来制御の始動後増量を操作する。すなわち、従来制御には、吸入空気量から空燃比が理論空燃比となるように、燃料量を決めているが、冷機始動時は始動後一定時間は、燃料気化率が低いため、それを考慮して、始動後燃料増量が行われている。始動後増量は、冷却水温、始動後経過時間などから決められ、吸気通路壁温、吸気弁温度などの温度に依存するため、始動後経過時間が長くなるにつれ叙々に減少するのが一般的である。
しかし、この始動後増量は、特定の燃料性状の気化率に基づいて決められるため、その特定の燃料性状以外の性状を持つ燃料を用いた場合は、始動時所望の空燃比プロフィールが実現できなくなる。特に、その特定の燃料性状よりも気化率が低い、すなわち、重質よりの燃料を用いた場合は、始動時の空燃比のプロフィールが所望のプロフィールよりもリーン化し、結果として、安定性悪化を招くことになる。このとき、回転変動(燃焼空燃比)を検出し、そのレベルが所定値以上、すなわちリーンのときは、前記始動後増量を減少させず保持させるものである。保持させることにより、それ以上燃焼空燃比がリーン化しないようにするものである。その後、吸気通路、吸気弁の温度上昇に伴い、燃料気化率が上がり、その結果燃焼空燃比がリッチ化したときは、同様にそれを検出し、再び、始動後増量を減少させていくものである。本実施例では、燃焼空燃比がリーン化しても燃料を増量させないので、誤補正のポテンシャルがなく、より実用的な方式である。
本実施例の制御システムは、図10に示される第1実施例と基本的には同じであり、以下においては、第1実施例とは構成機能が異なる手段(補正量演算手段132)を重点的に説明する。
<補正量演算手段132(図23)>
本演算手段132では、燃料補正量を演算する。具体的には、図23に示されるように、燃料補正許可フラグ(1次微分)=1もしくは燃料補正許可フラグ(2次微分)=1となってから、本処理の起動回数がkai_hosei_hold以下の期間は、Tp_hosの値を前回値のまま維持する。それ以外のときは、Tp _hos_redずつ現象させる。Tp_hosの初期値は、始動時水温に応じて決める。すなわち、本例では、重質よりの燃料を用いた場合など、始動時の空燃比のプロフィールが所望のプロフィールよりもリーン化したとき、回転変動(燃焼空燃比)を検出し、前記始動後増量をそれよりも減少させず一定期間保持させるものである。保持させることにより、それ以上燃焼空燃比がリーン化しないようにするものである。その後、吸気通路、吸気弁の温度上昇に伴い、燃料気化率が上がり、その結果燃焼空燃比がリッチ化したときは、同様にそれを検出し、再び、始動後増量を減少させていくものである。
[第4実施例]
第1実施例では、回転変動(燃焼空燃比)があるレベルを超えたら、燃料噴射量増量補正する積極的リッチ化の方式とし、第3実施例では、回転変動(燃焼空燃比)があるレベルを超えたら、従来制御の始動後増量を一定期間、その値を保持し、燃料気化率が上昇し、空燃比がリッチ化するのを待つ消極的リッチ化の方式とした。本第4実施例では、リッチ化した後、排気低減及び燃費低減を目的として、再び、安定限界まで積極的にリーン化させるものである。
本第4実施例の制御システムは、図10に示される第1実施例と基本的には同じであり、以下においては、第1実施例とは構成機能が異なる手段(補正量演算手段133)を重点的に説明する。
<補正量演算手段133(図24)>
本演算手段133では、燃料補正量を演算する。具体的には、図24に示されるように、燃料補正許可フラグ(1次微分)=1のときは、変動の強さ(1次微分)に基づいて、燃料補正量基本値Tp_hos0が演算される。燃料補正許可フラグ(2次微分)=1のときは、変動の強さ(2次微分)に基づいて、燃料補正量基本値Tp_hos0が演算される。Tp_ hos0は、上限値Tp_hos_limで制限される。Tp_hos_limは、始動後経過時間及び始動時水温に基づいて決められる。
すなわち、燃料を過剰に補正しないよう、燃料補正量の上限を、燃料気化率の変化に応じて、動的に変化させていくものである。上限値処理をした値をTp_hos1とする。さらに、燃料補正許可フラグ(1次微分)=1かつ燃料補正許可フラグ(2次微分)=1のときf_hosei_kyoka=1とし、それ以外のときf_hosei_kyoka=0とする。f_hosei_kyoka=0となってから、本処理の起動回数がkai_lean回以上経過した場合、Tp_hos1をTp_hos_redずつ減少させた値をTp_hosとする。すなわち、リッチ補正した後、一定期間、安定性に問題がないと認められた場合は、再びリーン化を試みるものである。
なお、上記第1〜第4実施例には記載しなかったが、燃料増量補正後、一定期間は、その効果を確認するため、回転変動(燃焼空燃比)の検出あるいは燃料補正を禁止して、誤補正を避けるように配慮するのもよい。
また、吸入空気量及び燃料噴射量から供給空燃比を演算して、供給空燃比の値に基づいて、燃料性状にばらつきがあった場合の、燃焼空燃比ばらつき範囲を求めておき、回転変動に基づいて推定される燃焼空燃比がその範囲を逸脱しないように処理をするのもよい。また、供給空燃比を考慮することで、過リッチによる燃焼悪化か、過リーンによる燃焼悪化かも分離して判定可能である。
その他、重質を使用した場合は、回転変動が増大するが、その他、回転変動を増大させる要因はある。実施例で示した燃料補正で、回転変動が解消された場合は、燃料重質化によるものと判断できるが、燃料補正しても回転変動が解消されない場合は、燃料重質化以外の原因が考えられるため、燃料増量補正を解除するのもよい。また、使用燃料が重質燃料と判断された場合は、燃料噴射量以外の制御パラメータ(点火時期等)も最適化するとより性能が上がる。
本発明に係る制御装置の第1態様の説明に供される図。 本発明に係る制御装置の第2〜第9態様の説明に供される図。 本発明に係る制御装置の第2、第3態様の説明に供される図。 本発明に係る制御装置の第2〜第8態様の説明に供される図。 本発明に係る制御装置の第2〜第8態様の説明に供される図。 本発明に係る制御装置の第14〜第21態様の説明に供される図。 本発明に係る制御装置の第24態様の説明に供される図。 本発明に係る制御装置の実施形態を、それが適用されたエンジンと共に示す概略構成図。 図8に示されるコントロールユニットの内部構成を示す図。 第1実施例の制御システム図。 図10に示される不安定度(燃焼空燃比)検出手段の説明に供される図。 図11に示される不安定度指標演算手段の説明に供される図。 図10に示される燃料補正量演算手段の説明に供される図。 図10に示される基本燃料噴射量演算手段の説明に供される図。 図11に示される1次微分値2次微分値演算手段の説明に供される図。 図11に示される不安定度検出許可手段の説明に供される図。 図12に示される有効パワ演算手段の説明に供される図。 図12に示される燃焼回数変動強さ演算手段の説明に供される図。 図12に示される燃焼回数変動強さ演算手段の他の例の説明に供される図。 図13に示される燃料補正許可手段の説明に供される図。 図13に示される補正量演算手段の他の例の説明に供される図。 図12に示される有効パワ演算手段の他の例の説明に供される図。 図13に示される補正量演算手段の別の例の説明に供される図。 図13に示される補正量演算手段の他の別の例の説明に供される図。
符号の説明
10 エンジン
19 水温センサ
24 エアフローセンサ
30 燃料噴射弁
37 クランク角センサ(回転数センサ)
50 三元触媒
51 空燃比センサ
52 酸素センサ
100 コントロールユニット
120 基本燃料噴射量演算手段
130 燃料補正量演算手段
131、132、133 補正量演算手段
140 回転所要時間演算手段
150 不安定度(燃焼空燃比)検出手段
160 不安定度指標演算手段

Claims (34)

  1. エンジン回転速度のn次微分値(nは整数)もしくはエンジンが所定角度回転する所要時間のn次微分値(nは整数)が、所定値以上又は所定値以下となる頻度を演算し、該頻度に基づいて、エンジンの燃焼空燃比を推定する燃焼空燃比推定手段と、該燃焼空燃比推定手段の推定結果に基づいて、エンジンの燃料噴射量を補正する燃料噴射量補正手段とを備えていることを特徴とするエンジンの制御装置。
  2. エンジン回転速度もしくはエンジンが所定角度回転する所要時間の1次微分値及び/又は2次微分値を演算する手段を備え、前記燃焼空燃比推定手段は、前記1次微分値及び/又は2次微分値に基づいて、前記燃焼空燃比を推定することを特徴とする請求項1に記載のエンジンの制御装置。
  3. 前記燃焼空燃比推定手段は、エンジンが所定角度回転する所要時間の1次微分値の正値及び/又は2次微分値の負値に基づいて、前記燃焼空燃比を推定することを特徴とする請求項2に記載のエンジンの制御装置。
  4. エンジン回転速度のn次微分値(nは整数)もしくはエンジンが所定角度回転する所要時間のn次微分値(nは整数)の所定の周波数成分を演算し、該所定周波数成分に基づいて、エンジンの燃焼空燃比を推定する燃焼空燃比推定手段と、該燃焼空燃比推定手段の推定結果に基づいて、エンジンの燃料噴射量を補正する燃料噴射量補正手段とを備えていることを特徴とするエンジンの制御装置。
  5. 前記燃焼空燃比推定手段は、エンジン回転速度もしくはエンジンが所定角度回転する所要時間の1次微分値の所定周波数成分及び/又は2次微分値の所定周波数成分に基づいて、前記燃焼空燃比を推定することを特徴とする請求項に記載のエンジンの制御装置。
  6. 前記燃焼空燃比推定手段が前記燃焼空燃比を推定する際に用いる周波数成分は、少なくともエンジン回転数相当周波数成分及び前記エンジン回転数相当周波数の1/2周波数成分であることを特徴とする請求項に記載のエンジンの制御装置。
  7. 前記燃焼空燃比推定手段が前記燃焼空燃比を推定する際に用いる周波数成分は、少なくとも「エンジン回転数相当周波数の1/2周波数」から「エンジン回転数相当周波数」までの帯域の周波数成分であることを特徴とする請求項に記載のエンジンの制御装置。
  8. 前記燃焼空燃比推定手段が前記燃焼空燃比を推定する際に用いる周波数成分は、検出可能な全周波数成分であることを特徴とする請求項に記載のエンジンの制御装置。
  9. 前記燃焼空燃比推定手段が前記燃焼空燃比を推定する際に用いる周波数成分は、サンプリング時間の逆数で与えられる周波数からサンプリング周期相当周波数までの全周波数帯域成分であることを特徴とする請求項に記載のエンジンの制御装置。
  10. 前記燃焼空燃比推定手段は、時間領域での所定期間における前記1次微分値及び/又は前記2次微分値の絶対値をそれぞれ積算した値を検出可能な全周波数成分の全パワとし、該全パワに基づいて、前記燃焼空燃比を推定することを特徴とする請求項に記載のエンジンの制御装置。
  11. 前記燃焼空燃比推定手段は、「所定期間内の前記エンジンが所定角度回転する所要時間の1次微分値が所定値以上となる回数が所定回数以上」で、かつ「前記所要時間の2次微分値が所定値以下となる回数が所定回数以下」のとき、エンジン回転速度が急激に減少したと判定することを特徴とする請求項2又は3に記載のエンジンの制御装置。
  12. 前記燃焼空燃比推定手段は、「所定期間内の前記エンジンが所定角度回転する所要時間の1次微分値が所定値以上となる回数が所定回数以上」で、かつ「前記所要時間の2次微分値が所定値以下となる回数が所定回数以上」のとき、エンジン回転速度は急激に減少はしていないが、不安定な状態であると判定することを特徴とする請求項2又は3に記載のエンジンの制御装置。
  13. 前記燃焼空燃比推定手段は、「所定期間内の前記エンジンが所定角度回転する所要時間の1次微分値の所定周波数成分が所定値以上となる回数が所定回数以上」で、かつ「前記所要時間の2次微分値の所定周波数成分が所定値以下となる回数が所定回数以下」のとき、エンジン回転速度が急激に減少したと判定することを特徴とする請求項5から10のいずれか一項に記載のエンジンの制御装置。
  14. 前記燃焼空燃比推定手段は、「所定期間内の前記エンジンが所定角度回転する所要時間の1次微分値の所定周波数成分が所定値以上となる回数が所定回数以上」で、かつ「前記所要時間の2次微分値の所定周波数成分が所定値以下となる回数が所定回数以上」のとき、エンジン回転速度は急激に減少はしていないが、不安定な状態であると判定することを特徴とする請求項5から10のいずれか一項に記載のエンジンの制御装置。
  15. 前記燃焼空燃比推定手段は、「前記1次微分値が所定値以上となる回数が所定回数に達するのに要した燃焼回数A」及び/又は「前記2次微分値が所定値以下となる回数が所定回数に達するのに要した燃焼回数B」を前記頻度として演算し、前記燃焼回数A及び/又はBに基づいて、前記燃焼空燃比を推定することを特徴とする請求項2又は3に記載のエンジンの制御装置。
  16. 前記燃焼空燃比推定手段は、「前記1次微分値の周波数成分が所定値以上となる回数が所定回数に達するのに要した燃焼回数C」及び/又は「前記2次微分値の周波数成分が所定値以下となる回数が所定回数に達するのに要した燃焼回数D」を演算し、前記燃焼回数C及び/又はDに基づいて、燃焼空燃比を推定することを特徴とする請求項5から10のいずれか一項に記載のエンジンの制御装置。
  17. 前記燃焼空燃比推定手段は、前記燃焼回数A、B、C、又はDが、小さいほど燃焼空燃比がリーン側にあり、大きいほど燃焼空燃比がリッチ側にあると推定することを特徴とする請求項15又は16に記載のエンジンの制御装置。
  18. 前記燃料噴射量補正手段は、前記燃焼空燃比推定手段により前記燃焼回数A、B、C、又はDが所定回数以下であると判定されたとき、燃料噴射量を増量補正することを特徴とする請求項17に記載のエンジンの制御装置。
  19. 前記燃料噴射量補正手段は、「前記1次微分値が所定値以上となった回数分の積算値」、「前記2次微分値が所定値以下となった回数分の積算値」、「前記1次微分値の周波数成分が所定値以上となった回数分の積算値」、及び「前記2次微分値の周波数成分が所定値以下となった回数分の積算値」のうちの少なくとも一つに基づいて、燃料噴射量の増量補正量Eを設定することを特徴とする請求項18に記載のエンジンの制御装置。
  20. 前記燃料噴射量補正手段は、前記燃焼回数A、B、C、及びDのうちの少なくとも一つに基づいて、燃料噴射量の増量補正量Eを設定することを特徴とする請求項18に記載のエンジンの制御装置。
  21. 前記燃料噴射量補正手段は、始動後経過時間及び/又は冷却水温に基づいて、燃料増量量Eを演算する手段を備え、前記推定燃焼空燃比が所定値以上のときは、燃料噴射量の増量補正量Eの値を所定期間変化させないか、もしくは前記増量補正量Eの変化率を変更することを特徴とする請求項1から17のいずれか一項に記載のエンジンの制御装置。
  22. 前記燃料噴射量補正手段は、始動後経過時間及び/又は冷却水温に基づいて、燃料増量量Eを演算する手段を備え、前記推定燃焼空燃比が所定値以上のときは、燃料噴射量の増量補正量Eの値を所定期間変化させないか、もしくは前記増量補正量Eの変化率を変更し、
    前記燃料噴射量補正手段は、前記燃焼回数A、B、C、及び/又はDが所定回数以下のとき、前記増量補正量Eの値を所定期間変化させないか、もしくは前記増量補正量Eの変化率を変更することを特徴とする請求項17に記載のエンジンの制御装置。
  23. 前記燃料噴射量補正手段は、前記燃料増量補正を行った後の所定期間は、さらなる燃料増量補正を行わないことを特徴とする請求項18から20のいずれか一項に記載のエンジンの制御装置。
  24. 前記燃料噴射量補正手段は、始動後経過時間、始動時冷却水温、冷却水温、始動時吸気温、及び吸気温のうちの少なくとも一つに応じて、前記燃料増量補正量の制限値を設定することを特徴とする請求項18から23のいずれか一項に記載のエンジンの制御装置。
  25. エンジンに吸入された気筒毎の吸入空気量と気筒毎の噴射燃料量の重量比である供給空燃比を演算する供給空燃比演算手段を備え、前記燃焼空燃比推定手段は、前記供給空燃比に基づいて、前記燃焼空燃比を推定することを特徴とする請求項1から24のいずれか一項に記載のエンジンの制御装置。
  26. 前記燃焼空燃比推定手段は、始動時冷却水温、冷却水温、始動時吸気温、及び吸気温のうちの少なくとも一つに基づいて、前記燃焼空燃比の推定を許可するか否かの判定を行うことを特徴とする請求項1から25のいずれか一項に記載のエンジンの制御装置。
  27. 前記燃料噴射量補正手段は、前記燃焼空燃比推定手段により推定される燃焼空燃比が所定値となるまで、燃料噴射量を減量補正することを特徴とする請求項1から26のいずれか一項に記載のエンジンの制御装置。
  28. 前記燃焼空燃比推定手段の推定結果に基づいて、使用燃料の性状を推定する燃料性状推定手段を備えていることを特徴とする請求項1から27のいずれか一項に記載のエンジンの制御装置。
  29. 前記燃料性状推定手段は、前記供給空燃比と前記推定燃焼空燃比との差もしくは比から、使用燃料の性状を推定することを特徴とする請求項28に記載のエンジンの制御装置。
  30. 前記燃料性状推定手段は、冷却水温、吸気温、始動後経過時間のうちの少なくとも一つが所定値以上のときは、前記燃焼空燃比推定手段の推定結果に基づく燃料性状の推定を行わないことを特徴とする請求項28又は29に記載のエンジンの制御装置。
  31. 前記燃焼空燃比推定手段が気筒毎に燃焼空燃比を推定し、該推定結果に基づいて、前記燃料噴射量補正手段が気筒毎に燃料噴射量の補正を行うことを特徴とする請求項1から30のいずれか一項に記載のエンジンの制御装置。
  32. 前記燃料性状判定手段は、「前記推定燃焼空燃比が所定値よりリーン側にあり」、かつ「燃料噴射量を増量補正した際に、推定燃焼空燃比が所定値以上リッチ側に変化した」とき、使用燃料は、第一の燃料性状より気化率の低い燃料であると判定することを特徴とすることを特徴とする請求項28から31のいずれか一項に記載のエンジンの制御装置。
  33. 第一の燃料性状用制御パラメータ演算手段と、前記第一の燃料より気化率が低い第二の燃料性状用制御パラメータ演算手段と、を備え、前記燃料性状判定手段は、前記第一の燃料性状用制御パラメータ演算手段で燃料噴射量の増量補正を行っているとき、「前記推定燃焼空燃比が所定値よりリーン側にあり」、かつ「燃料噴射量を増量補正したことにより、推定燃焼空燃比が所定値以上リッチ側に変化した」とき、制御パラメータ演算手段を前記第一の燃料性状用から前記第二の燃料性状用に切り換えることを特徴とする請求項32に記載のエンジンの制御装置。
  34. 請求項1から33のいずれか一項に記載のエンジン制御装置を搭載した自動車。
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