JP4361764B2 - 配電用絶縁機材の絶縁抵抗測定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高圧配電用碍子、配電用避雷碍子、避雷器などの配電用絶縁機材の絶縁抵抗測定を活線状態のままで安全に行うことができる活線碍子の絶縁抵抗測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
高圧架空配電線において設備保守点検として高圧配電用碍子、配電用避雷碍子などの配電用絶縁機材の絶縁測定を実施するには、当該支持物の電力供給を発電機もしくは工事用ケーブルで救済し、当該支持物を停止して測定しなければならない。測定においては市販の絶縁抵抗計で実施できるが、測定範囲の停止が伴う事から複数の測定を実施するためには多大な事前準備と労力が必要となり、絶縁測定のためだけの配電線停止は実施できない現状である。
【0003】
次に高圧架空配電線の運用状態における測定であるが、例えば、高圧配電用碍子配電用避雷碍子は6KVが印加されていることから、直接絶縁抵抗計を対地間で印加すると絶縁抵抗計を通じて地絡現象を起こし高圧架空配電線が停止する。また、6KV印加状態での絶縁測定では作業者も活線近接状態となり、感電、孤光など安全サイドで技術的課題が多く残されている。
【0004】
そのため、国内の電力会社においては、設備巡視として双眼鏡などで目視による外観検査が中心であり、設備点検としての6KV印加状態での碍子絶縁測定は実施されていない。
【0005】
一方、線路を停電状態にさせることなく運転状態のままで碍子の絶縁抵抗を測定する碍子の不良検出装置が提案されている。この不良検出装置は、懸垂型碍子の両端に一対の接触子を接触させて検出回路により絶縁抵抗を測定するもので、検出回路で出力された信号に応じた周波数信号を発振する発信回路と、発信信号を空間をおいて受信するとともに、その信号を音声に変換してスピーカより出力する受信回路とを備え、接触子に並列に接続され碍子の静電容量よりも大きな静電容量のコンデンサと、接触子に直列に接続された直流電源とを設けたものである。(特許文献1参照)
【0006】
【特許文献1】
特開平5−281286号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら特許文献1記載の不良検出装置では次の問題点がある。
【0008】
(1)前記不良検出装置は、測定端子間に並列に接続された碍子の静電容量よりも大きな静電容量のコンデンサが用いられている。この方式を配電用耐張碍子に適用した場合、2個の耐張碍子が正常状態であれば問題はないが、測定側と反対側の碍子が不良であった場合には、測定端子とコンデンサが対地間に直接接続されるためバイパス状態による地絡現象が発生し、配電線が停止してしまう懸念がある。このコンデンサを対地間電圧に耐えうる性能に替えた場合、コンデンサ自体が大型、大荷重となり、間接操作棒で直接支持して柱上で測定することは困難である。
【0009】
(2)前記不良検出装置は測定結果値が音声信号で発信されるため、絶縁不良の有無程度は分かるものの、実際の絶縁抵抗値(数値レベル)は全く分からない状況となり、測定値の記録や数値表示ができない。送電線では高所でのノイズは少ないものの、配電線での高所使用では市街地のノイズ等で判断できない可能性がある。
【0010】
(3)装置を遠隔で操作することができないので、活線近接作業で直流絶縁診断を実施することができない。
【0011】
そこで、本発明は、配電線運用状態の活線で配電用碍子、配電用避雷碍子、避雷器などの配電用絶縁機材の絶縁抵抗測定が遠隔で安全にできる配電用絶縁機材の絶縁抵抗測定装置を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、配電用絶縁機材の絶縁抵抗測定を活線状態のままで行う、配電用絶縁機材の絶縁抵抗測定装置において、絶縁性の操作棒の先端に検出装置が設けられるとともに、手元側に操作装置が設けられ、検出装置は配電用絶縁機材の両端に接触させる、150MΩの分圧抵抗が直列に接続されている一対の測定端子と、直流電源の直流電圧から直流高電圧を発生させて測定端子から配電用絶縁機材に課電させる高電圧発生回路と、絶縁抵抗測定回路と、操作装置からの操作信号を受信する受信回路と、測定された絶縁抵抗値を表示する表示部を備え、操作装置は検出装置の受信回路へ操作信号を送信する送信回路と、送信回路をオン・オフするスイッチを備えていることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の絶縁抵抗測定装置の全体図である。絶縁性樹脂など絶縁体からなる絶縁操作棒1の先端に検出装置2が取り付けられ、手元側に検出装置2を操作する操作装置3が取り付けられている。絶縁操作棒1は長さを調節できるように伸縮可能にしてもよい。
【0014】
検出装置2の上部には配電用絶縁機材の両端に接触させる一対の測定端子4,5が突出している。検出装置2には、後述する表示部、絶縁抵抗を測定するメガーユニット、無線式サーボ、バッテリーを備えている。手元の操作装置3には検出装置2を無線によりオン・オフさせるスイッチ6が設けられている。
【0015】
図2は本発明の絶縁抵抗測定装置のブロック図で、配電用絶縁機材として配電用耐張碍子の絶縁抵抗測定の例を示す図である。検出装置2には配電用耐張碍子7の両端に接触させる測定端子4,5が設けられる。この測定端子4,5には測定側と反対側の碍子が不良であった場合には、高圧の電圧がかかることから、交流電流の地絡を防止するとともに装置にかかる交流電圧から回路を保護するために電圧を分圧する分圧抵抗Rxが一方の測定端子4に直列に接続される。分圧抵抗Rxは150MΩとする。
【0016】
検出装置2には、本装置2から配電用耐張型碍子7を回ってきた直流電流を検出するための電流検出用抵抗R1(シャント抵抗)、直流電流をアナログ電圧に変換するオペアンプ8、オペアンプ8からのアナログ値を中央処理装置9で処理するためにデジタル値に変換するADコンバータ10、絶縁抵抗値を表示するLDC表示部11、装置電源用の直流電源(ニッケル水素電池)12、直流の高電圧(1000V)をパルスにより発生させる高電圧発生回路13、絶縁抵抗測定回路14を備えている。
【0017】
絶縁抵抗測定は、絶縁操作棒により遠隔状態を保ち、装置のスイッチ操作は操作装置の送信回路15で実施、この信号を受信回路16により検出装置へ伝達する。無線で操作することにより配線を必要としないので、感電のおそれがない。
【0018】
次に本発明の絶縁抵抗測定装置の動作について説明する。
【0019】
絶縁操作棒1に取り付けた検出装置2の測定端子4,5を配電用耐張型碍子7の両端に接続する。スイッチ操作は手元の操作装置3のスイッチ6をオンして送信回路15で操作信号を送信し、この信号を受信回路16により受信して装置へ伝達する。
【0020】
配電線に交流電圧が送電された状態において、絶縁測定回路と高電圧発生回路により直流1000Vを課電し、絶縁抵抗測定回路14で絶縁抵抗測定を開始する。
【0021】
電流検出用抵抗R1による洩れ電流をオペアンプ8でアナログ電圧に変換し、その数値をアナログ・デジタルコンバーター10でデジタル値へ変換し、中央演算処理装置9で処理後、LDC表示部11へ絶縁抵抗値を表示する。
【0022】
本発明の活線碍子絶縁抵抗測定装置の試験結果を表1に示す。
【0023】
【表1】
実験の結果、3.8KVが印加された同電位状態で遠隔によりメガー直流電圧1000Vを課電して本体の性能に異常なく絶縁測定ができた。
【0024】
【発明の効果】
本発明の絶縁測定装置により、直流高電圧を課電して正確な絶縁抵抗値を測定することができ、また無線による遠隔操作でスイッチのオン・オフができ、活線状態で安全に絶縁抵抗を測定することができる。その結果、保守の簡素化、耐雷性能の判断、供給信頼度の向上等、設備管理の簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の絶縁抵抗測定装置の全体図である。
【図2】 本発明の絶縁抵抗測定装置のブロック図である。
【符号の説明】
1:絶縁操作棒
2:検出装置
3:操作装置
4,5:測定端子
6:スイッチ
7:配電用耐張碍子
8:オペアンプ
9:中央処理装置
10:アナログ・デジタルコンバータ
11:表示部
12:直流電源
13:高電圧発生回路
14:絶縁抵抗測定回路
15:送信回路
16:受信回路
Claims (1)
- 配電用絶縁機材の絶縁抵抗測定を活線状態のままで行う、配電用絶縁機材の絶縁抵抗測定装置において、
絶縁性の操作棒の先端に検出装置が設けられるとともに、手元側に操作装置が設けられ、
検出装置は配電用絶縁機材の両端に接触させる、150MΩの分圧抵抗が直列に接続されている一対の測定端子と、
直流電源の直流電圧から直流高電圧を発生させて測定端子から配電用絶縁機材に課電させる高電圧発生回路と、絶縁抵抗測定回路と、操作装置からの操作信号を受信する受信回路と、測定された絶縁抵抗値を表示する表示部を備え、
操作装置は検出装置の受信回路へ操作信号を送信する送信回路と、送信回路をオン・オフするスイッチを備えていることを特徴とする配電用絶縁機材の絶縁抵抗測定装置。
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